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リビア作戦でAWACSはこう運用されている

Air Superiority For NATO Over Libya

aviationweek.com Aug 2, 2011

NATO、 米国、英国、フランスから派遣のAWACS空中早期警戒管制機がリビアや地中海上空の攻撃ミッション、空中給油業務を週7日24時間体制で調整している。 合計8機が交代で管制指揮を行っている。NATO所属E-3Aセントリー3機、英空軍E-3D2機がシシリー島トラパニに先方配備されており、米空軍は2 機のE-3B/Cをクレタ島スーダベイ基地から運用しており、フランスもE-3D一機をフランス中部アボール空軍基地から投入している。
  1. DTI 記者は5月末にNATO所属E-3Aに同乗取材する機会が与えられた。夜間飛行は7時間で、シドラ湾上空で12マイルの周回飛行を行った。搭乗員合計18 名は各国所属で半分は米国人だった。操縦席にはカナダ人機長、オランダ人副機長、スペイン人航法士とイタリア人航空機関士が搭乗。指揮官はスペイン人でカ ナダ、オランダ、ノルウェー、ポーランドから派遣の乗組員を取りまとめていた。ミッション中に同機は約50機の飛行を統制し、目標への攻撃、28機の空中 給油を調整した。
  2. NATO 所属E-3Aと英空軍E-3D合同派遣隊の一番の任務は統合運用保護措置Operation Unified Protector (OUP) である。英空軍のAWACSはNATO空中早期警戒管制部隊の一部でありE-3A運用はすでに長期間にわたっている。分遣隊隊長のキース・パウウ中佐(オ ランダ空軍)によると連合軍AWACSは国連安全保障委員会決議1970号および1973号の内容三点を実施しているという。飛行禁止区域、空爆、海上封 鎖である。
  3. カ ナダ空軍エリック・ケニー中佐はカナダ派遣部隊隊長としてボーイングCF-18戦闘爆撃機6機、ロッキード・マーティンCC-130TおよびCC- 150T給油機をトラパニから運用している。同中佐によるとAWACSにより指揮命令、任務割り振り、無線中継が提供されて任務の柔軟度が高まっていると いう。パウウ中佐がAWACSのミッションで好んで使うのは「効率化」で数十機の戦闘機をミッションのあとで給油機に向かわせる際にAWACSは戦力を増 強させる効果があるという。空爆は事前計画の場合も現地状況で臨機応変に行われるが、カナダCF-18各機には空対空ミサイル、500または2,000ポ ンドのレーザー誘導爆弾の組み合わせが搭載され、航空阻止や武装偵察任務にあたっているという。
  4. NATO の合同航空作戦センター5号(CAOC-5)はイタリア・ポッジオレナティコから多様なミッションを統合する役目を果たしている。NATO所属のE-3A と英空軍E-3Dにインターネットによるチャット機能が可能で、軍用の保安措置付きでCAOC-5や地上地点とのメッセージ交換が可能だ。米軍のMIRC インターネット中継チャットとも互換性がある。パウウ中佐はこれにより無線交信が不要でより高速、静寂かつ安定度が高い通信手段が実現したという。メッ セージは暗号化され音声通話の際につきものの誤解はない。E-3Aにはチャット用の正副ラップトップパソコンがあり、給油および攻撃ミッションがリアルタ イムで表示されている。
  5. 2000 年に完了したレーダーシステム改良計画(RSIP)によりNATO所属E-3Aに航空機・艦船へ進路指示をする能力・目標を選別する能力がついた。パウウ によるとカダフィ政権側は今でもヘリコプターを運用しており、同機のレーダーの「低速低高度」抽出機能で探知が可能だという。
  6. 海 上封鎖もE-3Aの海上レーダーモードにより実施されており、最近自動識別機能が機内の専用ラップトップパソコンに加えられた。怪しい船舶はNATOの海 軍司令部(ナポリ)に通達される。これまでの近代化改修によりE-3Aの機能は最高レベル担っているとパウウは認識しており、その中身としてコンピュータ のアップグレード、レーダー表示機の追加、RSIPを上げている。
  7. 例 外はエンジンでプラット・アンド・ホイットニーTF-33-RW-100Aターボファンは英空軍E-3D・フランス空軍のE-3FのCFM56より燃料効 率が悪い。取材同乗したE-3Aはマルタ島上空29,000フィートまでの上昇で燃料を140,000ポンド消費していた。NATOのE-3Aにはミッ ションの完了のために空中給油が必要となることがあるが、フランス空軍のE-3Fはフランス中部から発進して空中給油なしに帰還するが、ミッションの滞空 時間は短い。

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