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イージス陸上配備を歓迎するポーランド、ルーマニアの思惑



ロシアと西側(いまや東欧も含みます)の対立はどこまですすむのでしょうか。ロシア、イラン、中国と「嫌われ者」グループと言う位置づけがミサイル防衛の世界です。その中で陸上配備イージスシステムがボーランド、ルーマニアに配備されるというのは一昔前には想像できない展開ですね。運営はイージスに詳しいのは海軍だけ、ということで陸上基地に米海軍が部隊を派遣するという形のようです。今後、ロシアによる嫌がらせが発生するでしょうから相当の警備体制であることは想像するまでもありません。

Poland, Romania Eye Intensified Cooperation With United States

Nov. 18, 2014 - 01:51PM   |  
By JAROSLAW ADAMOWSKI   |   Comments

Building Protection: The Aegis Ashore missile defense complex in Romania is scheduled to be operational in 2015.
陸上イージスミサイル防衛施設がルーマニアで2015年に稼働開始する予定 (US Army Corps of Engineers)
WARSAW — ウクライナ巡る対立が続く中で、東欧の安全保障で懸念が増しているが、ポーランド、ルーマニア両国政府が陸上イージスミサイル防衛装備の導入に真剣になっており、ロシアの弾道ミサイルへの防衛を東欧と南欧のNATO加盟国むけに構築しようとしている。
  1. 6月には米国務副次官補(防衛政策・検証担当)フランク・ローズFrank Roseがポーランドでスタニスラウ・コジエジStanislaw Koziej(退役大将、現国家安全保障局長)と会い、ミサイル防衛協力を話し合っている。

  1. 席上でコジエジはNATOの東側に位置する同国の地理的条件からミサイル防衛システムの早期導入に前向きであり、自国防衛のみならずNATOの存在感を東欧で強めたいと発言している。

  1. ポーランド、ルーマニアともにイージス導入にもともと前向きだが、ロシアのウクライナ東部への干渉とクリミア半島併合が合衆国の軍事プレゼンスが両国に必要と強く感じさせる効果をもたらしたと現地専門家は分析している。

  1. 「ロシア国防政策がポーランドの軍事力整備に影響している。ウクライナ紛争がポーランド政策立案過程に脅威の恐れを増幅させている」とし、ロシアがポーランド国境付近で大幅に軍事力を増強させるのではないか、とくにロシア飛び地領土のカリニングラードにイスカンダーミサイル Iskander missiles が配備されたとの報道に神経をとがらせている。

  1. イスカンダーM戦術弾道ミサイルはソ連時代の原型を近代化したもので、約120発が2020年までに配備されるとロシア国営防衛企業ロステックRostecが発表している。「射程範囲はおよそ400キロメートルでワルシャワはカリニングラードから400キロも離れていない。これがポーランド当局の頭に入っている数字だ」と同上専門家は指摘する。

  1. 2013年12月にロシア日刊紙イズヴェスチアがロシア軍がイスカンダーミサイルをカリニングラードでポーランド国境付近に配備したとロシア国防省高官の発言として報道していた。

  1. 「知る限りではミサイルは同地に長く配備されている。問題はどれだけあるのかだ」とポーランド政府関係者は語る。

  1. ロシア政府は公式に認めていないが、ロシア軍はカリニングラードのレーダー性能を高度化しているという。ユーリ・ボリソフ Yuri Borisov 国防副大臣はロシアが早期警戒レーダー基地にウォロネツDM級のレーダーを配備し、来る12月に本格稼働すると10月15日に発言していた。同レーダーの有効範囲は6,000キロと言われ、500の目標を同時に追跡できるという。

  1. そこで、陸上イージスとは海軍のイージス弾道ミサイル防衛(BMD)システムを陸上化したもので、進化し続ける弾道ミサイルに対応する装備として設計されていると米ミサイル防衛庁が表現している。

  1. ヨーロッパ段階的適合型ミサイル防衛の第二段階として陸上イージスをルーマニアに配備し、弾道ミサイル防衛を南欧に提供する構想で、スタンダードミサイルー3(SM-3)ブロックIB迎撃ミサイルを導入する。

  1. 第三段階では二番目の陸上イージスをポーランドに設置し、北欧の守りとする。施設は2018年に稼働開始予定で、レジコウォ基地に設置される。ポーランド北方であり、イージスBMD5.1とSM-3ブロックIBとIIAミサイルを配備する。

  1. ルーマニアの陸上イージスは南方のデヴェセルDeveselu 空軍基地に2015年に設置される。配備が完了するとイージスBMD5.0改良型とSM-3ブロックIBミサイルが利用可能となる。.

  1. NATOでロシア代表アレクサンドル・グルシュコ Alexander Grushkoが地域の安全保障バランスを崩すと合衆国を非難しており、ルーマニア首相ヴィクトル・ポンタ Victor Pontaから同施設建設は自国の戦略的目標の一部だと反論されている。

  1. 「我が国の目標は明白で、エネルギーの自給自足、黒海の安全今日か、それにモルドバ、ウクライナ、ジョージア、セルビア、バルカン諸国の欧州統合である。この関連で我が国は脅威を受け入れることはできない」と日刊紙ルーマニア・リベラRomania Liberaが伝えている。

  1. ルーマニア国防相ミルセア・ドゥサMircea Dusa がデヴェセル基地を8月に訪問しており、施設の建設工事は2014年中に完成し、システムが運航開始するのは2015年だと明らかにしている。

  1. 同地では総額134百万ドルの陸上イージス起工式典が2013年10月に行なわれており、米海軍が今年10月から同基地の指揮をとっている。■

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