レーザー兵器でもそうですが、海軍が進めている高度技術が着々と実用化に向かっていきます。スペースに成約がない艦艇にまず搭載して、小型化に成功すれば航空機にもゆくゆくは搭載され、コストパフォーマンス比を大きく改善していくことになるのでしょうね。数セントかせいぜい数ドルで百万ドル単位のミサイルを撃破できれば納税者も大喜びでしょう。問題は電力の確保ですね。
Navy Wants Rail Guns to Fight Ballistic and Supersonic Missiles Says RFI
By: Sam LaGrone
Published: January 5, 2015 12:42 PM • Updated: January 5, 2015 12:44 PM
電磁レールガンを搭載したUSNSミリノキット(JHSV-3)の想像図 US Navy Image
ペンタゴンが進める電磁レールガンが想定する目標は弾道ミサイル迎撃、ステルス機、水上等であると明記したレールガン射撃制御システムの情報提供依頼書(RFI)を海軍海洋システム司令部 Naval Sea Systems Command (NAVSEA) が12月22日に公開したが、直後に公開を取りやめている。
撤回は事務上の誤りで想定日付より早く公開されたためだとNAVSEA関係者がUSNI Newsに1月5日に説明している。今月末にあらためて政府調達入札情報を掲載するFedBizOpps上で公開するという。
とはいえ、今回のRFIは指向性エネルギー電動兵器開発部 Directed Energy and Electric Weapons Program Office (PMS 405)、海軍研究所(ONR)、国防長官官房(OSD)を取りまとめてNAVSEAが出した形で、合衆国がレールガンに求める方向性が見えてくる内容だ。
RFIでは「多用途レールガンシステムで弾道ミサイルを発見、追跡、迎撃し、あわせて空中および水上目標にも対応できる」実証システムを2018年までに完成させ、2025年までに実用化するとしている。
NAVSEAは以下のうち最低一つを実現するよう産業界に求めている。
- 低レーダー断面積(ステルス)目標を長距離で追尾すること
- 電子スキャン範囲(視野)が方位角および仰角で90度を超えること
- 大気圏内で弾道ミサイル目標を追尾し、迎撃すること
- 環境条件の影響を受けないこと(天候、水面、生物)
- 弾道ミサイル迎撃、対空戦、水上戦をそれぞれ支援すること
- 飛来してくる目標と発射後の超音速飛翔体を同時に追尾すること
ただしNAVSEAは想定速度や有効射程は明記していない。飛行体に加え、RFIでは水上目標の追尾交戦能力も強調している。
実用化を2020年ないし2025年と想定していることから米海軍はEM(電磁)レールガンを次世代大型水上艦に搭載する意向であるとわかる。アーレイ・バーク級駆逐艦、タイコンデロガ級巡洋艦の後継艦は開発の初期段階にあり、建造は2028年開始と海軍はUSNI Newsへ昨年伝えてきた。
ステルス性を高め、高速化している誘導兵器から海軍艦艇を防御する対策としてEMレールガンは有効だと海軍は長年に渡り主張している。
高速撮影カメラがとらえた試作レールガンによるはじめての全出力発射の様子。(2012年) US Navy Photo
海軍の現行システムは高価なミサイルで目標に対処するもので、イージス戦闘システムが駆逐艦、巡洋艦に搭載されている。スタンダードミサイル(SM)とレーダーシステムが弾道ミサイル対応に改修されたが、ミサイルは単価11百万ドルになっている。
これに対してレールガンは安価な砲弾を使い、大型弾倉で発射回数も多くなる。
作動原理は磁場を形成する通電レール二本の間に発生する巨大な力で砲弾を押し出すもので、燃焼は一切発生しない。マッハ5を超える速度により砲弾は目標を破壊する。原理はいいとしても信頼性の高いレールガンを兵器として作ることは難題だ。
まず莫大な電力が必要で、海軍艦艇では不足傾向がある。さらに兵器として連続使用も課題だが、海軍はレール間に素早く電気パルスを発生させることで超音速に達する初速を確保した。
ONRによる実証では32メガジュールで発射できることがわかった。これは100マイルまで到達する事が可能な規模で、現在は連続使用に耐える兵器として開発中だ。
海軍は試作品のレールガンを高速ボートUSNSミリノキットMillinocket (JHSV-3)に搭載してテストを来年に実施する。試作レールガンのメーカーはBAEシステムズあるいはジェネラルアトミックスの予定で、実施すれば初の海上テストとなる。■
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