スキップしてメイン コンテンツに移動

★F/A-18E/F海外受注に最後の望みをかけるボーイングは 米国防航空産業基盤の弱体化の例なのか



かつて日本の産業政策は米国からさんざん攻撃されていましたが、今や国防関連航空産業の基盤を国防総省自らが保護する必要が有るのが現状というのはなんという皮肉でしょうか。スーパーホーネットは米海軍も希望しないのであれば、海外でそのまま販売できるとは思えないのですが。泣いても笑ってもあと数ヶ月で命運が決まるのでしょうね。

USN Hornet Push Reshapes Cost, Export Picture

By Christopher P. Cavas2:24 p.m. EDT March 15, 2015
Super Hornets(Photo: US Navy)
米海軍の需要と無関係に、ボーイングがスーパーホーネット生産を継続するとコスト問題が発生しても海外販売の可能性自体はあるとみられる。
  1. 米海軍関係者はF/A-18を二三十機追加する追加予算要求する想定を先週提示した。
  2. ただし「どこからその予算を確保するのか」と疑問を提示したのはキャピタルアルファパートナーズのバイロン・キャランで、強制削減関連の支出制限が蔓延する中でワシントンには同じ疑問を投げる向きが多い。
  3. 「これはボーイングの生産ラインを維持して共用打撃戦闘機が打ち切りになっても何か残るようにするにはどうしたらいいのか、という疑問への回答だ」と語るのは戦略予算評価センターの国防アナリスト、ジェリー・ヘンドリックスだ。言及しているのは海軍がF-35の680機調達を減らす決定をする可能性のことだが、海軍は激しくこれを否定している。
  4. 海外での戦闘機調達事業にスーパーホーネットが参入する可能性がある。デンマークは今夏にもF-16後継機を決定し、クウェートは数ヶ月以内に戦闘機選定案を公表する見込み。両国ともに調達規模は24機ないし36機程度と見られる。
  5. ベルギーやアラブ首長国連邦も戦闘機選定の初期段階にあり、カナダは現在もF/A-18を供用中だがF-35事業への参画をめぐり議論中だ。
  6. 産業面で見れば、ボーイングのセントルイス事業所で従業員1,200名がジェット戦闘機生産に関係している。またほぼ同数の社員が各地でその他支援業務に従事しているという。これが全国規模になると6万人規模、800社、全米44州に分布するという。
  7. 米海軍はボーイングの視点ではなくあくまでも海軍のニーズで決めるだろうが、ボーイングはあと一二年でもラインを維持したい。そのためボーイングはなんとしても海外案件の受注がほしいところだ。
  8. 米海軍発注の最後のF/A18-E/Fのひきわたしは2016年末以降だが、議会がEA-18G追加発注を認めれば2017年まで生産ラインは維持できる。オーストラリア向けグラウラー12機の生産もあるが、ボーイングは2016年から納入ペースを月3機から2機に落とす。
  9. ライン維持には月産2機がぎりぎりだという。むしろ生産数が上下することを避けたい、というのがボーイングの本音だ。
  10. 今夏中に新規受注機材用のサプライチェーンの取り扱い方針をボーイングは決めねばならない。発注は数ヶ月先行する必要があり、場合によっては一年前に発注する場合もある。
  11. その内で一番リードタイムが長いのがチタン製構造部材で、APG-79AESAレーダー(レイセオン製)も同様だという。
  12. 正式な受注前の機材部品はボーイングが全額費用負担する。グラウラーの場合はノースロップ・グラマン他電子部品メーカーに15機分発注済みだが、米海軍との正式契約は未締結のままだ。
  13. 航空産業の基盤を維持する問題もある。盛況時が過ぎて、メーカーの廃業、統廃合が進んでいる。大手はロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマンのみというのが現状だ。
  14. そこで米空軍の長距離戦略爆撃機案件に大きな関心が寄せられているのが現状とヘンドリックスは指摘する。「今後、給油機、爆撃機、戦闘機の受注企業が決まり業界を撤退する企業が出るでしょう。そうなるとペンタゴンが介入して産業基盤保護に出るかもしれません」
  15. 「生き残れない企業が出ると考えると不安に駆られます。航空産業の基盤は海軍向け産業基盤よりも薄くなっています」
  16. ただこの問題に長い時間を掛ける余裕はない。タイミングが問題で、一度閉鎖したら元には戻せない。■


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ