バルト海で緊張が高まっていることは日本ではほとんど報道されていないようですね。
今回はまたもやロシア戦闘機が危険行為をしており、危機一髪という事態だったようです。
思わぬ事故にならないようにロシアに自制を求めたいと思います。米ロでの取り決めを守らないロシアもロシアですが、同様の取り決めは日中でも必要ですね。
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Russian Jet Threatened U.S. Recon Aircraft
Barrel rolls over plane in latest Baltic Sea provocation
April 16, 2016 3:25 pm
RC-135 / image via Wikipedia
ロシア戦闘機が米空軍RC-135偵察機に危険な接近飛行をバルト海上空で4月14日に行っていたと判明した。米欧州司令部が16日に公表。
- 「4月14日、米空軍RC-135がバルト海上空国際空域を飛行していたところ、ロシアのSu-27一機が危険かつ非常識な飛行で同機を迎撃してきた」と同司令部報道官海軍大佐ダニー・ヘルナンデスが発表している。
- 「今回の迎撃はロシアがUSSドナルド・クックを挑発した直後」で、「昨年から数回にわたりロシア軍用機が航空機艦船に危険な接近飛行をしており、深刻な安全上の懸念が生まれている。このような行為に大いに憂慮している」と述べた。ヘルナンデス大佐は同機はロシア領空に侵入していないと付け加えている。
- 「このような危険かつ無茶な迎撃は機の乗員に深刻な被害を生じかねない。さらに危険かつ無茶な行動が不必要な緊張のエスカレーションを招きかねない」
- ヘルナンデス大佐は問題のSu-27がRC-135側方から高速度で接近し、「過激な操縦」をしたと述べ、ロシア機は「米軍のRC-135Uの乗員の危険を招きかねない操縦をした」という。
- 「具体的にはSu-27機はRC-135の翼端から50フィート未満に近づき、RC-135の左でバレルロールを開始し、同機上空をから右側に抜けた」
- 米政府はロシア政府に外交チャンネルを通じ抗議中と同報道官は述べた
- RC-135Uは電子情報収集偵察機で通常は飛行乗員5名と電子戦要員16名、6名以上の地域専門家が搭乗して飛行する。
- この二日前にロシア軍機が誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クックを襲う飛行をした事件がバルト海で発生しており、米政府は模擬空爆は軍事挑発行為だとし、実弾射撃が始まる一歩手前の事態だったという。この事件ではSu-24戦闘爆撃機の二機がクックを30フィート以内で通過飛行している。
- 冷戦終結後で米海軍艦船がここまでの嫌がらせをロシアや中国から受けたことはないとある海軍士官は述べている。「今までも危ない目にあっているが、ここまで接近されたのは初めて」だという。
- 空での嫌がらせはロシア軍がすすめる米軍、NATOへの威嚇行動の一環と思われる。
- 米国がミサイル防衛をヨーロッパに展開したことでロシアは軍事敵対行為を取っており、一方でロシアはクリミア併合で西側が実施中の制裁で打撃を受けているといわれる。
- ウラジミール・プーチン大統領は「近隣諸国」と呼ぶ旧ソ連共和国やロシア国境付近の東欧各国に対し影響力、支配力を再構築しようとしている。
- この政策でジョージアを2008年に軍事干渉し、ウクライナでは2014年にクリミア半島を強行に併合し、ウクライナ東部の分離独立派を支援している。
- これに対応して米国とNATOは東欧で米軍、NATO軍を強化しており、とくにバルト海のラトヴィア、エストニア、リトアニア、ポーランドで部隊規模を拡大している。
- ここにきてロシアが軍事挑発行為をしているのはロシアの飛び地領土カリニングラードが米軍の監視対象になっていることに符合している。
- 今週初めに国防次官補ブライアン・マッケオン(国防政策担当)が下院小委員会でロシアがカリニングラード上空での米軍、NATO側の飛行を認めない姿勢に出ているが、飛行はオープンスカイズ条約で認められていると述べた。
- マーク・シュナイダーはかつてペンタゴンで戦略兵力の分析を行い、現在はロシア専門家で、ここ数日のバルト海で発生した事件はロシアによる従来の挑発行為と全く違う性質だと指摘している。「ロシア側の強硬さがエスカレートしている。ロシア国防省は驚くほど不誠実な対応に終始している」
- ロシアはクック事件を軽視しようと国防省報道官イゴール・コナシェンコフが国営インターファックス通信でロシア側操縦士は安全基準を守っていたと発言した。
- 考えられる米側の対応としてかつてリチャード・パールが呼んだ「緩い対応」すなわちきわめて弱い形式上の抗議になるとシュナイダーは見る。「そうなると今後の事態はエスカレートしていくのでは」
- 今回のRC-135事案はロシア機が行った米偵察機への危険飛行では今年に入って二回目だ。1月25日にはSu-27が黒海上空のRC-135から20フィート地点を飛行したとヘルナンデス大佐は述べている。
- 一月の際はロシア機はバレルロールこそしなかったが、急激な高速旋回離脱をしている。これでRC-135の操縦が乱された。
- 駆逐艦クックへ危険な飛行を挑んだSu-24の飛行は4月12日のことでその前日にも別のSu-24二機が同艦の上空を20回通過飛行し、うち一回は給油中のNATO側のヘリコプター上空を通過している。このためヘリコプターの運用はSu-24編隊が去るまで中断されている。
- その同日に今度はロシアのKa-27へリックスヘリコプター一機がクックの周囲を飛行している。クックはポーランド寄港直後で艦上にはポーランドのヘリコプターが搭載されていた
- ロシア機は模擬空襲のパターンで飛行し、英語ロシア語で繰り返した注意喚起に反応しなかった、と欧州司令部は声明文で述べている。ペンタゴンは映像記録を公表し、接近飛行で海面上に軌跡が生まれているのを示している。
- 駆逐艦クックは対空兵装として接近迎撃兵装システムCIWSも搭載しているが、今回の事件では射撃準備はしていなかった。これは米ロで相互に機体へ照準を合わせないことが決まっているためだ。
- 「危険かつ無茶なロシア側の飛行操縦を深く憂慮している」と欧州司令部は声明文を発表している。「各事例では不必要な緊張のエスカレーションを招きかねない要素があり、誤解や事故dにより深刻な死傷者が発生してもおかしくない」
- 各事案は米ロ合意による海上事故予防策に反する。協定では模擬攻撃を禁じ、自動作動対空砲の使用も制限している。
- ロシア戦闘機とRC-135の衝突すれすれの事態が昨年5月30日に黒海で、またSu-27がRC-135の20フィートを飛行する事態がバルト海で発生している。さらに昨年10月にはTu-142爆撃機二機が空母USSロナルド・レーガン付近を超低空で通過飛行する事件が日本海で発生している。また2015年7月4日にはTu-95戦略爆撃機二機がカリフォーニア海岸から40マイル地点まで近づき、迎撃に向かった米軍パイロットに「お誕生日おめでとう」との無線交信をしている。この独立記念日の事件はオバマ大統領がプーチンと電話会談を行ったその日のできごとだった。
- ロシアはTu-95爆撃機を太平洋で長距離飛行に投入し、グアム島まで数回にわたり飛行させている。グアムは米軍のアジア重視の中で中心的な役割を果たす軍事拠点だ。■
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