2026年7月14日火曜日

ドイツも地上発射型トマホークミサイルの導入へ―ロシアの脅威はそれだけ深刻だがNATOの通常戦力の整備を永年怠ってきた

 

ドイツが地上発射型トマホークミサイルを購入へ

Germany To Buy Ground-Launched Tomahawk Missiles


この購入は、ロシアからの脅威に対応する中、NATOの通常戦力による攻撃態勢における大きな転換を意味する

https://www.twz.com/land/germany-to-buy-ground-launched-tomahawk-missiles

写真:マーク・ウィルソン/ゲッティイメージズ

ルリンは、トマホーク巡航ミサイルを購入する契約を米国と締結したと発表し、これによりドイツの長距離攻撃能力は大幅に強化される。この動きは、米国がドイツへの長距離火力大隊の配備計画を撤回したように見えたことを受けたものであり、欧州のNATO加盟国がロシアに対する通常兵器による遠距離ミサイル抑止力の強化を急いでいる状況下で行われた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、トルコからの帰国後、今週アンカラで開催されたNATOサミットの合間に、米国当局者とドイツへのトマホークミサイル販売に関する合意に達したと発表した。


2026年7月7日、トルコ・アンカラで開催された第36回NATOサミットで、ドナルド・トランプ米大統領とフリードリヒ・メルツ独首相が握手を交わす。写真:メフメット・アリ・オズカン/アナドル通信(ゲッティイメージズ経由) アナドル

「これにより、わが国防衛での戦略的ギャップが埋まる効果が生まれる。同時に、独自の欧州製システムを開発し、欧州に配備するよう取り組んでいく」と、メルツ首相は本日、ベルリンの連邦議会下院で述べた。

ドイツ政府筋の情報として、ロイターはこの調達に関する意向書が火曜日に署名されたと伝えている。

ドイツは以前からトマホーク購入を模索していたが、ワシントンによって拒まれてきた。

具体的には、ベルリンは地上発射型のシステムとして最新型のトマホーク・ブロックVbミサイルを最大400発(報道によると10億ドル以上の価値)の取得を希望していた。

特徴的なノーズコーンを持つブロックV型トマホーク。米海軍

ブロックVトマホークには双方向データリンクが搭載され、飛行中に進路修正やその他の標的情報の更新を受け取れるほか、任務を再設定することも可能だ。ブロックVbサブバリエーションには、より多様な地上目標への攻撃に適した複合多目的弾頭が装備されている。トマホーク・ブロックVの射程は、具体的な構成にもよるが、1,000マイルを超える。

ドイツ陸軍が配備している最長射程の間接射撃能力は、M270多連装ロケット発射システム(MLRS)であり、ドイツ軍では「Mittleres Artilleriraketensystem II(MARS II)」として知られている。同システムで現在利用可能な最長射程の砲兵用ロケット弾は、約43マイル先の目標を攻撃できる。ドイツは、最大186マイル先の脅威を攻撃可能な、はるかに大型の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)短距離弾道ミサイルは未導入だ。

演習中にロケットを発射するドイツ陸軍のM270。ドイツ連邦軍/カール・シュルツェ カール・シュルツェ

トマホークミサイルに加え、ドイツはそれらを配備するためにタイフォン発射機を購入する必要がある。ドイツメディア報道によると発射機の調達要請は2025年7月にすでに提出されているという。

トマホーク取得はドイツにとって大きな出来事となるだろう。

米国以外では、現在オーストラリア日本オランダ、および英国のみがトマホークを使用している。これらの輸出国はいずれも海軍型ミサイルを採用しており、それだけにドイツによる開発は一層重要な意味を持つ。

ワシントンがベルリンへの「トマホーク/タイフォン」の組み合わせ販売を承認したのは、米国がドイツに陸軍の長距離火力大隊を派遣しないことの裏付けだと思われる。

米陸軍のタイフォン・システム一式。米陸軍 ダレル・エイムズ

5月、イランに対する米国の軍事行動に対するドイツからの批判をきっかけに、ベルリンとワシントンの関係が悪化していた中、米国は在ドイツ駐留兵力を5,000人削減すると発表した。

同時に、国防総省が陸軍の第2マルチドメイン・タスクフォース(2MDTF)をドイツに展開する計画を断念したとの報道もあった。

これに対し、ドイツ当局は事態の収拾を図り、米国によるミサイル配備の「決定的な取り消し」はなかったと述べていた。

バイデン政権下で最初に発表された第2多領域任務部隊(2MDTF)は、2026年にドイツへの「断続的な展開」を開始し、その後、同国への各種長距離ミサイルの「長期駐留」が行われる予定だった。2MDTFの「タイフォン」発射機は、トマホークに加え、SM-6多目的ミサイルも発射可能だ。将来的には、ダーク・イーグルのような「開発中の極超音速兵器」に加え、オペレーショナル・ファイアーズ(OpFires)極超音速ミサイルやプレシジョン・ストライク・ミサイル(PrSM)短距離弾道ミサイルなども装備される予定である。

オーストラリアでの実弾射撃演習中に、タイフォンシステムがSM-6ミサイルを発射している様子。米陸軍提供、撮影:パーラ・アルファロ軍曹 パーラ・アルファロ軍曹

こうした点を踏まえれば、ドイツのタイフォン発射機も将来的に、これらのミサイルの一部を配備する可能性はある。

しかしドイツにとって、トマホーク調達は、国内(あるいは欧州)で開発する長距離兵器が利用可能になるまでの暫定的な解決策と見なされている。

長期的な視点では、ドイツは欧州長距離打撃構想(ELSA)に参加しており、フランスが主導し、イタリア、ポーランド、スウェーデン、英国も参加するこの構想は、巡航ミサイル、弾道ミサイル、あるいはその両方を組み合わせ、新たな長距離打撃能力の開発を目指している。

これまでの発表によると、ELSAは射程1,000~2,000キロメートル(621~1,243マイル)のミサイルの実現を目指しており、2030年代の配備が計画されている。

これと別に、ドイツと英国は、射程2,000キロメートルを超える長距離精密打撃兵器を共同開発する計画を明らかにした。しかし、このプロジェクトは依然として初期段階にあり、産業面での枠組みについてはまだ合意に至っていない。

これらの取り組みは総じて、同盟の東側戦線におけるロシアの脅威の高まりに対応するため、欧州のNATO加盟国間で長距離打撃能力を開発しようとする決意が強まっていることを浮き彫りにしている。

ドイツが計画している地上発射型トマホーク巡航ミサイルの調達案は、中距離核戦力(INF)条約の崩壊後に劇的に変化した欧州の安全保障環境を反映している。冷戦の最盛期1987年に調印されたこの条約は、米国とソ連(後にロシア)に対し、射程500~5,500キロメートル(310~3,420マイル)の地上発射型弾道ミサイルおよび巡航ミサイル(核兵器または通常兵器を搭載するものを問わず)の配備を禁止していた。

皮肉なことに、INF条約によって禁止された兵器の一つは、トマホーク巡航ミサイルの初期地上発射型である米空軍のBGM-109G グリフォンであり、これも物議を醸しつつドイツに配備されていた。

試験発射の際、輸送・設置・発射機(TEL)からBGM-109G「グリフォン」地上発射型巡航ミサイル(GLCM)が打ち上げられる様子。HUM Images/Universal Images Group via Getty Images HUM Images

同条約は、2019年にトランプ大統領の最初の任期中に、米国がロシアによる禁止されている9M729(SSC-8 スクリュードライバー)地上発射型巡航ミサイルの配備を理由に脱退したことで、事実上破綻した。モスクワはこの主張を一貫して否定している。ロシアは2023年に同条約への参加を正式に停止し、欧州における中距離地上発射型ミサイルの配備に対する最後の法的障壁を取り除いた。



2019年、ロシア・モスクワ郊外のペイトリオット・コングレス・アンド・エキシビション・センターにある9M729ミサイルのコンテナ。新華社/Bai Xueqi via Getty Images Bai Xueqi

それ以来、ロシアとNATOはともに、30年以上にわたり欧州大陸から失われていた戦力を再構築する動きを見せている。正式脱退の前から、モスクワは、米国による同等の配備への対応として、新たなINF射程のミサイルを配備する意向を示していた。同時に、西側諸国によるウクライナへの支援を阻止するため、注目を集める演習露骨な威嚇を含む核によるシグナリングを繰り返し行ってきた。

ロシアはまた、ウクライナ戦争を利用して、各種ミサイル兵器庫を実証し、改良を重ねてきた。2024年11月、ロシアは新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を初めて実戦で使用した。ウクライナに対して使用された型は通常弾頭、あるいは不活性弾頭を搭載していた可能性もあるが、核弾頭を搭載したオレシュニクであれば、西ヨーロッパの主要な首都のほとんどや、NATOの重要な軍事インフラを攻撃することが可能となる。

同時に、ロシアがウクライナで9M729を実戦投入した兆候が見られるほか、ジルコン艦対艦ミサイルをベースとした可能性のある報道されている地上発射型極超音速ミサイルや、性能向上の図られたイスカンデル-M弾道ミサイルなど、さらなる中距離攻撃システムの開発も継続している。またロシアは、核搭載可能な「イスカンデル」ミサイルや、キンジャル空対地弾道ミサイルを装備したMiG-31フォックスハウンド戦闘機をバルト海のカリーニングラードに配備することで前線態勢を強化するとともに、戦術核兵器、あるいは少なくともその運搬インフラを隣国ベラルーシに移送している。

こうした背景でドイツが地上発射型トマホーク導入を決定したのは、NATOの長距離通常戦力による抑止力および攻撃能力を回復させる広範な取り組みの一環である。これらのミサイルは、ロシアの中距離兵器の保有数増加に対抗し、NATOの東部戦線において、長距離通常戦力によるより信頼性の高い均衡を再確立しようとする、欧州全体の取り組みの一部をなしている。米国がこれまで欧州に提供してきた安全保障上の保証が疑問視されている今、この取り組みは一層重要性を増している。

導入されるトマホークの数は現時点では不明だが、それでもなお、それらは高強度紛争という現実とはかけ離れたものとなる可能性が高い。ウクライナは現在、長距離巡航ミサイルを用いてロシアを定期的に攻撃している。NATO全体で持続的な交戦を行うために必要な数は非常に多くなるため、欧州はこれらの教訓を踏まえ、長距離ミサイル能力の拡充と拡大を加速させることになるだろう。

ドイツのトマホークの調達は、欧州におけるNATO抑止戦略の根本的な転換を反映している。長距離通常攻撃能力が、事態をエスカレートさせるものではなく、再び不可欠なものとして見なされている。ロシアが新型中距離ミサイルを配備し、NATOと米国の関係が緊張し、欧州同盟国が独自の開発プログラムを立ち上げる中、大陸の安全保障環境の変化に伴い、新たなミサイル競争が繰り広げられている。■

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマス・ニューディックはTWZのスタッフライターであり、軍用航空、防衛技術、兵器システム、国際安全保障を専門に取材している。ドイツのベルリンを拠点とし、世界中の紛争、軍事近代化の取り組み、新興の航空宇宙技術について報道しており、特に空軍力と現代戦争におけるその役割に関心を寄せている。彼の報道は、現代および歴史的な空軍力、とりわけヨーロッパにおける深い専門知識に基づいており、大陸内外の軍用航空、空戦、航空宇宙技術の発展に焦点を当てている。


2026年7月13日月曜日

ロシアはウクライナ戦で自らの未来を削っている―ロシアはもはや大国ではなく、虚勢を張ったところで国際社会は低い評価しか与えない。しかし最大の犠牲は未来を犠牲にされた国民である

 

ロシアは自らの未来を戦争で犠牲にしている

Russia’s War Against Its Own Future

https://nationalinterest.org/feature/russias-war-against-its-own-future

ウクライナ戦争は、ロシアの金融、エナジー、労働力、そして外交力の源泉を、ゆっくり、しかし確実に蝕んでいる

シアは崩壊しつつあるわけではない。むしろ、潜在的にはさらに危険な変容を遂げつつある。すなわち、この大国は、負けるわけにはいかず、明らかに勝teない戦争を維持するために、自らの経済的、人口統計的、地政学的な基盤を徐々に食い荒らしているのだ。クレムリンの「平常」という表層の下には、ウラジーミル・レーニンの不朽の問いが迫っている。Shto delat? 「何をなすべきか?」

2022年のウクライナ侵攻以来、西側アナリストたちは、崩壊が差し迫っているという見方と、ロシアの回復力は制裁の失敗を証明しているという見方という、二つの誤った前提の間を揺れ動いてきた。どちらの解釈も、大きな全体像――ロシアの経済的基盤がゆっくり着実に蝕まれているという事実――を見落としている。

この戦争は、ロシアの権力の根幹そのものを蝕んでいる。クレムリンは、ロシアを大国たらしめた経済的、人的、地政学的な資産を清算しつつある。今日、ロシア国家が萎縮しつつあるのは、レーニンが予言したものではない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による国有財産の掌握と拡大は、大衆の利益のためではなく、大衆を犠牲にして行われている。

強国ロシアという幻想

今日のロシアは依然として戦闘能力を有しており、武器の生産、兵士の徴兵、エナジーの輸出、そして他の多くの国家なら耐えられないほどの打撃に耐え続けることが可能だ。しかし、この戦争はロシア連邦を、現在および将来の権力の基盤そのものを蝕むことでかろうじて存続する体制へと、ますます変貌させつつある。クレムリンは経済資源を軍事力へと転換することに成功したが、その代償は甚大である。外国からの投資は枯渇し、ロシア製品の市場は大幅に縮小し、歳入が激減する中でインフレは急騰している。問題は、戦争が終わった後、ロシアの経済活力、人的資本、地政学的影響力のうち、どれだけのものが残っているかということだ。

これは単なる経済的な話ではなく、政治的な問題でもある。ロシアのエリート層は、オリガルヒ、防衛産業、地方当局者がますます軍事支出に依存するようになった戦時下の政治経済に適応してきた。今や、強力な支持基盤を持つ勢力が、紛争の長期化から利益を得ている。

4年間にわたる、一見制限のない軍事支出、兵力の動員、ナショナリズム的な言説、そして弾圧を経て、クレムリンはその正当性を継続する戦争と不可分なものにしてしまったようだ。面目を保つための和解を除けば、この戦争を終結させるには、不満を抱き士気が低下した軍隊を解隊するだけでなく、それを支える強靭な政治経済体制を解体し、方向転換させる必要があるだろう。

ロシアの「財政的近親相姦」

今のところ、戦時支出がこうした脆弱性の多くを覆い隠している。2022年以降、ロシア経済は国家主導の軍事支出への依存度をますます高めている。防衛・安全保障支出は現在、連邦支出のおよそ40~50パーセント、そしてGDPの10パーセント近くを占めている。景気後退にもかかわらず、公式の成長率は依然としてプラスを維持している。しかし、これらの要因は健全な経済成長と同義ではない。

砲弾や装甲車、軍人の給与で測られる成長は、持続的な繁栄をもたらさない。モスクワによる軍産複合体の推進は、労働者に高額な賃金を提示することで賃金インフレを煽っており、その結果、非防衛産業も同じ労働力を巡って競争するために自社の賃金を引き上げざるを得なくなっている。経済はますます旧ソ連時代を彷彿とさせる様相を呈しており、表面上は生産性が高そうに見えるものの、実際には反競争的な国家支出と統制に依存している。

このシステムを支える金融メカニズムは、ますます脆弱さを露呈している。ロシアの戦時経済は、ますます「自己借入」に依存している。国家は戦争支出を賄うために債務を発行し、銀行がその債務を引き受ける。その後、ロシア中央銀行がこのプロセスを維持するために必要な流動性を供給する。ロシアは事実上、将来の経済力を現在の軍事力へと転換しているのだ。文字通り「紙幣を刷っている」わけではないが、中央銀行によるこの自己強化的な財政ループは、それに極めて近い状態にある。「ロシアは、銀行に資金を貸し出し、銀行が政府に融資を行い、政府が持たない資金を支出できるようにすることで、予算赤字を埋めている」と、欧州政策分析センター(CEPA)のシニアフェローであるジェシカ・ベルリン氏はX上で指摘した

その影響が顕在化しつつある。ロシアの国家富基金は、戦争前はGDPの6.5%に相当していた。2026年4月までに、その流動資産は当時の3分の1未満にまで落ち込み、モスクワの主要な財政的余地は大幅に縮小した。主要な石油・ガス収入は前年比で約45%減少した。

ロシアの国債残高は少ないため、直ちに経済が崩壊する可能性は低い。しかし、モスクワが外貨準備やエナジー収入から、債務の増加、インフレの高騰、そして脆弱な地方予算へと依存するにつれ、戦争のコストは高まりつつある。戦死した兵士の遺族に支払われる「棺桶代」であるグロボヴィエでさえ、負担となっている。クレムリンが資金調達のために銀行に依存するようになった結果、金融機関はよりリスクの高い融資を引き受けることになっている。

ウクライナ戦争の代償が国内に波及

EUが新たな制裁パッケージを準備する中、一般のロシア国民もその重荷を感じ始めている。調査対象企業の半数以上が売上高の減少を報告しており、家計債務の増加と融資の債務不履行は、ある欧州の諜報機関の評価が「爆発的なリスク」と表現する事態を招いている。

同報告書は、企業の不良債権が過去最高水準に達し、2025年には50万人以上のロシア人が破産を申し立てるだろうと予測している。ガソリンの行列は国内各地で数マイルにわたり延びており、これはウクライナによるロシアの製油所や石油資産を標的とした激しいドローン攻撃による供給不足が原因である。中小企業への投資活動は、コロナ禍以来見られなかった停滞水準にまで落ち込んでいる。労働市場も同様の状況だ。

数百万人の労働者が防衛産業に引き込まれたり、兵役に動員されたり、海外へ移住したりした結果、製造業から運輸、建設に至るまで、非軍事産業でも人手不足が深刻化している。侵攻以来、100万人ものロシア人――その多くは若く、教育水準が高く、経済的に生産性の高い層――が国外へ流出している。今後帰国する見込みはほとんどないため、この「頭脳流出」はロシア経済に長期的な影響を及ぼすだろう。ルーブルは印刷できるが、機械工やボールベアリング、エイビオニクスモジュールはそうはいかない。ロシアの最大のボトルネックは、資本へのアクセスではなく、労働力、部品、そして産業能力へのアクセスにある。

2025年、キーウは戦略を転換し、ロシアの戦争経済を支えるインフラを標的とするようになった。紛争の多くは領土の獲得によって評価されてきたが、ウクライナにとって最も効果的な攻勢は、今や地理的なものではなく経済的なものかもしれない。過去2年間で、ウクライナのドローン戦術は、時折行われる象徴的な攻撃から、ロシアの軍事力および経済力を支えるインフラを標的とした実効的な制裁という持続的な作戦へと進化してきた。

製油所、燃料貯蔵庫、飛行場、物流センター、レーダー基地、産業施設がすべて標的となっている。これらの攻撃が重要なのは、個々の製油所が戦争の行方を決定づけるからではなく、累積的なコストを課すからである。金融制裁とは異なり、これらのコストは帳消しにしたり回避したりすることはできない。なぜなら、それらは修復、防衛、あるいは交換を余儀なくされる生産能力を直接破壊するからである。

西側の観測筋は、ロシアが苦境を戦略的成功へと転化させる能力をしばしば誤解してきた。ロシアはナポレオンやヒトラーを打ち破ったが、それは祖国への侵略に対して防衛体制を動員した国家存亡をかけた戦争におけることだった。現在の紛争は根本的に異なり、ロシアは国家存亡をかけた戦争ではなく、自発的な攻勢戦争を継続しようとしている。その取り組みがもたらす地政学的な影響は、ウクライナをはるかに超えて、旧ソ連圏全体に波及している。

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ロシアの国際的影響力の衰退

何十年もの間、ユーラシア全域におけるモスクワの影響力は、軍事力、エナジー輸出、経済統合、そしてクレムリンがこの地域の不可欠な安全保障の提供者であるという認識の組み合わせに支えられてきた。その認識は著しく損なわれている。ナゴルノ・カラバフ紛争の崩壊の際、モスクワが介入する能力を欠いていたか、あるいは介入する意思がなかったことを受け、アルメニアはロシアの安全保障体制から距離を置いている

カザフスタンは引き続きカスピ海を横断する代替輸出ルートと、より強固な接続性の確保を追求している。ウズベキスタンは外交関係を着実に多角化させている。モスクワの最も親密な軍事同盟国であるベラルーシでさえ、特にウクライナの軍事攻撃能力が高まるにつれ、戦争に巻き込まれることを慎重に回避している。

ロシアの影響力の終焉を象徴する単一の出来事など存在しない。しかし、貿易ルート、エナジー回廊、投資、外交はますますモスクワを迂回するようになっており、報復的な強制への依存は、ロシアが維持しようとしている近隣諸国の多くを遠ざけてしまった。

モスクワの勢いの変化を示す最も明確な兆候は、かつての従属的なパートナーへの依存だろう。クレムリンは現在、戦争経済を維持するために、北朝鮮製の砲弾や弾道ミサイル、イランのドローン技術、そして中国の産業サプライチェーンに大きく依存している。戦略的自律性を誇りとしてきた国にとって、弾薬の供給を北朝鮮に強制的に依存せざるを得ない状況は、適応ではなく屈辱である。

プーチン大統領は、西側諸国による侵害への抵抗を理由の一つとして侵攻を開始したが、4年が経過した今、ロシアは戦略的自律性の多くを放棄し、ソ連崩壊以来かつてないほど中国への経済的依存度を高めている。エネルギー部門は、この変容を最も明確に示している。

ロシアのエナジーが抱える機会費用

何十年もの間、石油と天然ガスは、モスクワにとって単なる収入源であるだけでなく、地政学的権力の手段としても機能してきた。ロシアのパイプラインは欧州のエナジー政策を形作り、その炭化水素輸出は軍事近代化の資金源となるだけでなく、モスクワの地域的影響力を強固なものにしてきた。しかし、そのモデルは着実に衰退しつつある。相次ぐ制裁により、ルコイル、ガスプロム、ロスネフチを含むロシアのエネルギー企業は、資産の売却、事業再編、そして主要な国際市場からの撤退を余儀なくされている。

ロシアは今後数十年にわたりエナジー輸出を続けるだろう。しかし、欧州の顧客を1社失うごとに、アジアへの出荷価格を1回値引きするごとに、そしてユーラシア全域で代替輸送ルートが1つ開発されるごとに、かつてクレムリンのエナジーが生み出していた政治的影響力は低下する。多くの点で、ロシアは現在、長期的な地政学的影響力を短期的な現金へと転換している。その取引は戦争を維持するかもしれないが、同時にロシアの未来を弱体化させている。今日、モスクワが戦略的資産を売却することは、明日の影響力の源泉を放棄することに他ならない。ロシアはもはや未来への投資を行っていない――むしろ、それを清算しているのだ。

とはいえ、これらすべてが、モスクワが敗北の瀬戸際に立っていることを意味するわけではない。経済的圧力だけでは、ロシアにその目標を放棄させることはできない。ロシア国家は依然として、消費の抑制、資本の再配分、情報の統制、そして痛みを伴う経済的選択の強制を通じて、社会に代償を強いる並外れた能力を保持している。モスクワは今後何年にもわたって戦い続けるかもしれないが、粘り強さは強さと同義ではない。西側の政策立案者は、ロシアの回復力を永続的な強さの証拠と誤解しがちだが、両者は同じものではない。強さとは、力を再生する能力を測るものである。ロシアは驚異的な損失を吸収できるかもしれないが、同時に、国家の力の伝統的な源泉を再生する能力を犠牲にしているのだ。

戦後のロシアに何が残るのか?

したがって、より重要な問いは、戦後に何が現れるかということである。戦時経済の軌道修正や転換は困難だ。現在、軍事契約に依存している地域全体は、防衛支出に直接・間接的に結びついた数百万人の労働者への対応を図りつつ、新たな成長源へと移行する必要がある。ロシアの銀行は、政府の借入への融資に適応してきた。政治エリートたちは、戦時の優先事項と利益を中心に再編成されている。平和が自動的にこれらの問題を解決するわけでもなく、ロシアの地政学的地位を2022年以前の水準に回復させるわけでもない。■