2026年10月9日金曜日

インドの軍用輸送機105億ドル案件を巡りロッキード・マーティンとエンブラエルが直接競合―航空自衛隊のC-130Hでもそろそろ後継機の話が出てくるのでしょうか

 

インドの105億ドル軍用輸送機契約をめぐりエンブラエルとロッキード・マーティンが競合

Embraer, Lockheed Martin vie for India’s $10.5B military transport aircraft deal


2025年10月8日、インドのガジアバードにあるヒンドン空軍基地で、インド空軍のC-130J「スーパー・ハーキュリーズ」が展示された。(サキブ・アリ/ヒンドゥスタン・タイムズ via ゲッティ・イメージズ)

ニューデリー発 — ブラジルのエンブラエルと米国のロッキード・マーティンは、インド空軍向けの中型輸送機60機、総額約105億ドルの契約の獲得を目指し、インド国内で航空機製造施設の拡張を提案している。

インドがソ連時代のアントノフAn-32を含む老朽化した軍用輸送機隊の更新を図る中、エンブラエルの「C-390ミレニアム」は、ロッキード・マーティンの「C-130Jスーパー・ハーキュリーズ」と競合している。

インド最大級の軍用航空機契約の一つをめぐる競争は、8月にインド政府がインド企業5社に提案依頼(RFP)を発行し、入札の舞台が整って幕を開けた。ニューデリー政府は、初期の機材については飛行可能な状態で納入されるものの、残る機体は国内で製造すると義務付けているため、世界の航空機メーカー各社はインド企業と提携を進めている。

インドが国内の航空宇宙産業基盤の構築に注力する中、エンブラエルは10月1日、同社とインドのパートナー企業マヒンドラ・ディフェンスが、契約を獲得した場合の同機の生産拠点として、インド中部の都市ナグプルを候補地に選定したと発表した。

エンブラエル・ディフェンス&セキュリティの社長兼CEOであるボスコ・ダ・コスタ・ジュニアは、マヒンドラとの共同声明の中で、「ナグプルを組立施設の候補地として選定したことは、同国において強固で長期的な航空宇宙エコシステムを構築するための重要な一歩である」と述べた。

両社は、製造、訓練、ライフサイクル支援を提供するため、インドの航空宇宙企業をC-390ミレニアムのエコシステムに段階的に統合していくと述べた。

ロッキード・マーティンはインドですでに事業を展開しており、インド空軍は現在、C-130J「スーパー・ハーキュリーズ」12機を運用中。同社は、今回提案の「C-130J-30」(ブロック8.1.2仕様)が、インド空軍が現在保有している機体より先進的であると述べている。

落札の場合、ロッキード・マーティンは、12機を米国で、48機を合弁パートナーであるタタ・アドバンスト・システムズと提携してインドで製造すると述べている。

同社はすでにインドに製造拠点を有しており、機体の尾翼アセンブリを含む主要部品をタタと現地で共同生産している。

契約を獲得すれば、インドにおける産業基盤をさらに拡大することになると、ロッキード・マーティンのグローバル事業開発・戦略担当上級副社長ダン・テニーはプレス・トラスト・オブ・インディア(PTI)に対し語った。「当社はC-130J機の部品や尾翼を製造するタタと長年にわたる提携関係にある。これは非常に堅固な能力で、今回の入札でさらに拡大されるだろう」た。

同社はまた、インド空軍が保有する既存のC-130J 12機の改修も提案している。

インドは国内調達比率を最低40%とする要件を定めている。同国はライバルであるパキスタンや中国とヒマラヤ山脈を挟んで長い国境を接しているため、同機は高地での運用や、仮設あるいは未舗装の滑走路からの離着陸が可能でなければならない。インドは、兵員、車両、弾薬の輸送に加え、災害救援や人道支援にも軍用輸送機を活用している。

入札締め切りは12月上旬で、その後、提案書は技術評価を受ける。■

現地生産の拡大と技術移転を20年にわたり推進してきたインド政府は、今回の大規模な航空機契約を通じて、同国の防衛産業の基盤をさらに強化したいと考えている。■

米海軍は「トラブルメーカー」(機名)を片道攻撃兵器として採用―ドローンにこれまで知らなかった企業がどんどん参入してきますね

 

米海軍の片道攻撃兵器としてアイデアル・エアロスミスの「トラブルメーカー」が浮上

Troublemaker Revealed For U.S. Navy One-Way Attack Arsenal


trouble

トラブルメーカー 提供:アイデアル・エアロスミス

ノースダコタ州に拠点を置くアイデアル・エアロスミスIdeal Aerosmithは米海軍向けに現在少量初期生産段階にある片道攻撃型無人航空機システム(UAS)「トラブルメーカー」を10月7日発表した。

同社は数十年にわたりシミュレーションおよび試験計測機器の分野を専門としてきたが、攻撃および偵察任務向けの、低コストで長距離飛行が可能かつ量産可能な新クラスのUASを開発する部門を立ち上げた。

海軍の特定されていない最終ユーザー向けの「トラブルメーカー」の初期生産は現在、週2機のペースで進行中だが、同社は生産を大幅拡大する準備を進めている。

「契約が順調に進めば、年間数千機規模まで拡大できる」と、アイデアル社の政府システム担当上級副社長であるデビッド・マーカートは述べた。

海軍からの受注に加え、マーカートは、米陸軍の「長距離発射効果(Long-Range Launched Effects)」プログラムや、米空軍の「地上配備型低コスト大量生産(Ground-Based Affordable Mass)」を、さらなる受注獲得の機会として挙げた。

マーカートによると、アイデアルの生産拡大戦略には、推進システムを含む垂直統合型の組立が含まれている。

重量110ポンドの「トラブルメーカー」は、翼幅15.19フィートを誇り、750海里を超える射程で30ポンドのペイロードを運搬できる。同UASはカタパルトまたは移動中車両から発射され、必要に応じ着陸スキッドで回収することも可能だ。しかし、同社はジェット推進型を含む、より大型の単発攻撃兵器のシリーズを開発する計画だ。

「(現在は)小型内燃エンジンを使用しています。将来のドローンはより大型の内燃エンジンが搭載され、将来的にはタービン駆動ドローンも開発する予定」とマーカートは述べた。

「トラブルメーカー」シリーズは、1人のオペレーターが複数の、場合によっては数十機のドローンを同時制御できるシステムを備えていると、マーカートは説明した。

この「1対多」の制御哲学こそが、一方通行型攻撃システム市場が混みあう中で、アイデアルが「トラブルメーカー」UASシリーズを差別化しようとしている点だ。

「1対多は、このプラットフォームの理念であり、一方通行型攻撃市場において、当社が他社とは一線を画す包括的なアプローチです」と、アイデアル社の先進プログラム担当副社長シェーン・ブレイディは述べた。■

スティーブ・トリムブル

スティーブ氏は、ワシントンD.C.を拠点とする「Aviation Week Network」で、軍用航空、ミサイル、宇宙分野を担当している。


たいげい級SSK7番艦「しょうげい」が進水―安保関連3文書の改訂で原子力潜水艦保有への道が開くかが今後の焦点―しかし、艦名をひらがな標記にするのはいい加減やめませんか。しょうげいを翔鯨とすぐわかるでしょうか

 

原潜をめぐる議論が高まる日本でたいげい級潜水艦7番艦が進水

Japan Launches Seventh Taigei-Class Submarine as Nuclear Propulsion Debate Grows

「たいげい」級第7番艦「しょうげい」(写真提供:三菱重工業)

10月8日、日本の三菱重工業(MHI)は、海上自衛隊向けの「たいげい」級第7番艦となるディーゼル電気式攻撃型潜水艦「しょうげい」を進水させた。一方、日本は将来の潜水艦の推進方式として原子力推進の導入を検討している。

艦番号SS-519のこの新型3,000トン級潜水艦は三菱重工業の神戸造船所で行われた命名・進水式において進水した。

「らいげい」(第4番艦)や、その後継艦である「ちょうげい」、「そうけい」と同様に、「しょうげい」も新開発の高出力型川崎重工業製12V 25/31型ディーゼルエンジンが搭載される。建造費約805億円(5億900万ドル)のこの潜水艦は、2028年3月に海上自衛隊へ引き渡される予定である。

「しょうげい」という艦名は、漢字で「翔鯨」と書き、「空を舞うクジラ」と訳すことができる。海上自衛隊が艦艇に「しょうげい」という名称を付けるのは今回が初めてであり、旧日本海軍にも同名の艦艇は存在しなかった。

海上自衛隊によると、同艦の全長は84メートル、全幅は9.1メートル、標準排水量は約3,000トンである。

「たいげい」級通常動力型潜水艦の兵装

「たいげい」級は、最後の4隻の「そうりゅう」級潜水艦に搭載されたのと同じ魚雷対策システムを採用している。また、89型に代わる最新の18型魚雷を搭載する。この新型魚雷は、推進力、目標探知、処理能力の面で改良が加えられている。また、同型艦は水上目標に対艦ミサイル「UGM-84Lハープーン・ブロックII」を発射することも可能である。このミサイルの射程は248キロメートルと報告されている。

日本が原子力潜水艦導入を検討している理由

「たいげい」級潜水艦は、水中航続距離と作戦能力を向上させるため、大容量リチウムイオン電池を採用している。従来のディーゼル電気式潜水艦は、バッテリーを充電するためディーゼルエンジンを稼働させる必要があり、そのため浅深度まで浮上し、スノーケルを使い空気の吸排気を行わなければならない。これにより、探知されるリスクが高まる。

また、高速航行の持続はバッテリーの消耗も早くなる。その結果、従来型潜水艦は、持続的な高速航行、長距離移動、および長期の潜航を組み合わせた能力において、原子力潜水艦には及ばない。

中国海軍が西太平洋で活動を拡大する中、長距離を迅速に展開し、長期間にわたり潜水状態を維持する能力は、日本にとってますます重要になってきた。

2022年12月に採択された日本の安全保障3文書に基づき、防衛省は、長距離スタンドオフミサイルを発射可能な垂直発射システム(VLS)を装備した潜水艦の開発および最終的な導入を推進している。

2026年7月6日、防衛装備庁(ATLA)は、次世代VLS搭載潜水艦の船体全体最適化設計に関する研究について、三菱重工業に39億円(約2,460万ドル)の契約を授与した。研究は2026年度から2029年度にかけて実施される予定である。

日本の調達・技術・物流庁(ATLA)が検討中の、次世代VLS搭載潜水艦の概念図。(提供:ATLA)

VLSの搭載には、潜水艦の設計に大幅な変更が必要となり、船体の大型化も含まれる可能性がある。より高度なソナーシステムや無人潜水機(UUV)の運用も、艦内の電力需要を増加させる要因となり得る。しかし、通常動力型潜水艦が潜水中に利用可能なエネルギー量は、依然としてバッテリー容量によって制限されている。

2025年9月、防衛省に助言を行う専門家委員会は、VLS搭載潜水艦に関するさらなる研究・技術開発を推奨し、その中で「次世代推進システム」と称されるものの検討も含めるよう提言した。この提言では原子力推進を明示的に求めておらず、日本政府は将来のVLS搭載潜水艦を原子力推進とするかどうかをまだ決定していない。

2026年9月11日、小泉防衛大臣は、年末までに安全保障関連3文書の見直しを検討する中で、原子力潜水艦の可能性を排除しないと改めて表明した。小泉大臣は記者会見で、原子力潜水艦は通常型潜水艦よりはるかに高い速度を維持しつつ、長期間にわたり潜水状態を維持して作戦行動を行うことができると述べた。同氏は、こうした特性により、乗組員の高い安全性を確保しつつ、潜水艦が任務を遂行できると強調した。

こうした能力があれば、潜水艦の艦長は作戦上の柔軟性を高め、敵の対潜戦を回避しようとする際、乗組員の生存率を向上させることができる。

しかし、小泉大臣は、コストの高さ、より大型の船体の必要性、原子力推進システムに関する専門的な知識、そして通常型潜水艦より水中音響シグネチャが大きくなる可能性があることなど、重大な欠点も認めた。

原子力潜水艦の導入には、東京が原子力安全、要員の訓練、整備インフラ、そして海軍用原子炉の長期運用に関する課題に対処することも求められるだろう。

現時点では、日本は原子力潜水艦の取得について決定を下していない。核心となる問題は、将来の潜水艦部隊にどのような任務が期待されるか、そして乗組員の安全を守りつつ、それらの要件を最も適切に満たす推進システムはどれか、という点である。■

高橋浩祐は、日本を拠点とする防衛問題ライターである。同氏は『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』、『ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル』、モンチ・パブリッシングに寄稿してきた。また、ハフポスト・ジャパンの元編集長であり、朝日新聞社およびブルームバーグの元スタッフライターでもある。高橋氏は1993年に慶應義塾大学を卒業し、経済学の学士号を取得した。朝日新聞社およびダウ・ジョーンズ社での勤務を経て、コロンビア大学のジャーナリズム・スクールおよび国際公共政策大学院(SIPA)で学び、2004年にジャーナリズムの理学修士号および国際関係の修士号を取得して卒業した。1993年に朝日新聞の記者として入社する前は、川崎市の姉妹都市プログラムの一環として、ボルチモア経済開発公社に交換研修生として勤務し、日米間の貿易問題について調査を行った。その功績が認められ、1988年にボルチモア市の名誉市民に選出された。

VTOL「戦闘機」ドローンX-BAT は実現すれば画期的な航空戦力になる―まず米海軍が注目し、開発費用を負担しています

 米海軍がVTOL「戦闘機」ドローンX-BAT の開発に本腰

Navy Doubles Down On X-BAT VTOL ‘Fighter’ Drone Development


X-BATの飛行試験が目前に迫り、野心的な運用能力達成のスケジュールが明らかに


X-BAT's core concept was already highly ambitious, but an extremely aggressive timeline to reach some degree of operational capability through the U.S. Navy's Runway Independent Maritime Expeditionary Strike (RIMES) program has now been disclosed.

Shield AI

シールドAIShield AIは、ジェット推進式ステルス「戦闘機」ドローンX-BATの最初の試作機を今月末に公開する予定と述べている。尾部着座姿勢から垂直に離陸および着陸するよう設計されたこの無人機の飛行試験は年内に開始される予定だ。X-BATの基本コンセプトは極めて野心的なものだが、米海軍の「滑走路非依存型海上遠征打撃(RIMES)」プログラムを通じて、ある程度の運用能力を達成するという極めて積極的なスケジュールが今回明らかにされた。

本誌は昨日、シールドAIの航空機部門担当上級副社長兼ジェネラルマネージャーであるアーマー・ハリスへのインタビューを通じて、X-BATに関する最新情報を入手した。同社は海軍を通じて「防衛輸出適性機能(Defense Exportability Features)」プログラムにより、国防総省調達・維持担当次官室から追加で1億5,000万ドルの資金提供を受けたという本日の発表に先立って明らかになった。これは、RIMESの取り組みの一環として、今年初めに海軍が国防総省の防衛イノベーションユニット(DIU)と協力してX-BAT開発に投じた5,000万ドルの投資に上乗せされるものである。シールド AIも同額の社内資金を拠出しており、合計で4億ドルとなる。

ジェイミー・ハンター

「この1年は海軍との共同によるリスク低減の取り組みの連続でした。つまり、風洞試験、エンジン試験、熱試験など、プログラムにおける主要なリスクを基本的に洗い出し、それらを解消することで、自信を持って量産設計へと移行できるようにしたのです」と、ハリスは語った。「リスク低減の最終段階は、2機のフルスケール試作機による飛行試験です。そのうちの1機目は10月末に実施される予定です。」

「これは実物大の機体です」と彼は続けた。「アウターモールドラインがあり、F110エンジン、完全な推進系などすべてが搭載されています。」

これまで、シールドAIが公に公開してきたのはX-BATの模型のみだった。4月に海軍連盟(Navy League)主催の「Sea-Air-Space 2026」展示会で展示された新しい模型は、基本設計に大幅な変更が加えられていることを明らかにした。これには、「クランク型カイト」型の配置から、直線的な前縁とより大きな後退角を備えた、矢じり型のプロファイルへと、平面形状を完全に再設計したことが含まれている。

前述の「推進経路」は、すでに地上試験が実施されており、主にジェネラル・エレクトリック社製のF110エンジンと、軸対称ベクタリング排気ノズル(AVEN)の組み合わせで構成されている。このノズルは、もともと1990年代に実験的な推力偏向機能付きF-16戦闘機向けに開発されたものである。シールドAIは、X-BATの開発を支援するため、数十年にわたり保管されていたオリジナルのAVENを活用している。このノズルはピッチおよびヨー制御を担い、ロール制御は、ドローンの翼に設置されたスラスターに供給されるブリードエアで行われる。

シールドAI は以前、戦闘機並みの大きさを持つX-BATの最大航続距離は2,000海里、実用上昇限度は約50,000フィートになると述べていた。同社はまた、F-35の約2倍、つまり約1,340海里の有効戦闘半径を目標としていると過去に述べており、 一方で、実際には1,000海里程度になる可能性もあるとしている。X-BATの設計には、将来的な空中給油機能に対応するためのスペースが確保されているが、現時点ではその機能を統合する具体的な作業は行われていない。

搭載能力に関しては、X-BATにはF-35とほぼ同サイズの内部兵器ベイに加え、主翼下部に2つの外部ハードポイントがある。これらのハードポイントには配管が施されており、航続距離を延長するドロップタンクや、ドローンが給油機として機能できるようにするバディ給油用装備も搭載可能である。設計段階から組み込まれたモジュール性とオープンアーキテクチャのミッションシステムにより、将来的に様々なセンサー、データリンク、その他の機能を容易に搭載できる。

X-BATの兵装搭載能力を強調したレンダリング画像。ここでは、内部ベイに2発のAGM-154 ジョイント・スタンドオフ・ウェポン(JSOW)滑空爆弾が描かれている。翼下には、AGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)のシルエットが示されている。シールド AI

「X-BATは、本質的に多用途能力を備えるよう設計です。10年から20年先を見据えると、将来の戦闘がどのような形になるかを予測するのは困難です」と、シールド AIのハリスは指摘した。「当社は多用途能力が極めて重要であると根本的に確信しています。したがって、X-BATが現在のサイズに設計された理由は、空対空戦闘や電子戦、その他の任務セットを遂行できることに加え、内部および外部に本格的な攻撃兵器を搭載できるようにするためです。

「X-35対F-35のような関係だと考えてもよいでしょう」と、彼は昨日、初期の2機のプロトタイプと最終的な量産設計との間でさらなる変更が予想されるかとの質問に対し述べた。

ロッキード・マーティンのX-35実証機は、非常に大まかに言えば、ジョイント・ストライク・ファイター(JSF)の派生型と類似しているが、それらとは一線を画している。シールドAI は注目すべきことに将来的には設計の排気口部分に、より多くの低可視性(ステルス)特性を組み込むことについて言及している。

左がX-35実証機、右が量産型F-35Aを並べて比較した写真。USAF

「その後、今年終わり頃に飛行試験に入る予定です」とハリスは付け加えた。「その[初期プロトタイプ]を用いて垂直離着陸(VTOL)試験を行い、X-BAT向けのVTOL技術を実際に実証・開発していく予定です。」

カンザス州ニュートン市・郡空港にあるシールドAIのX-Forge 2施設は、X-BATの主要な飛行試験拠点となるほか、ドローンの維持管理の中心地となる予定だ。また、ワシントン州デモインには生産施設「X-Forge 3」も建設中だ。同社の最初の拠点である「X-Forge 1」は、テキサス州フリスコにある。

X-Forge 2施設の完成予想図。シールド AI

実際の飛行試験キャンペーンについて、ハリスは次のように述べた。「X-BATシステムには、航空機本体と、発射・回収用トレーラー(発射および着陸を行うためのトレーラー)があることをご存じでしょう。基本的に試験の流れはこうです。まず、航空機を水平な状態で発射・回収用トレーラーの上に載せ、エンジンを始動させます。その後、航空機を垂直な位置まで持ち上げ、垂直状態でエンジンを稼働させ、航空機自体も垂直状態で動作させます。」

「さらに、現在カンザス州の試験場に設置中の世界最大級のクレーンで機体を吊り下げ自由飛行中の各種試験を行います」と彼は続けた。「その後、クレーンを撤去し、実際の無拘束飛行を行います。」

シールド AIの目標は、2028年に完全な任務遂行能力を備えたX-BATを飛行させ、翌年から量産開始することだ。

ワシントン州デモインに建設中のX-Forge 3生産施設のレンダリング画像。シールド AI

さらに、「[RIMES]プログラムの構成上、2029年に初期運用能力を達成することが最終目標となっています」(ハリス)。

これが、RIMESが「最終的には単なる能力の実証にとどまらず、真の運用可能な能力に到達すること」を目指していることを意味するのかと尋ねられると、彼は「その通りです」と答えた。」

この点については後ほど詳しく触れるが、まず前置きとして言っておくと、X-BATが3年以内に運用レベルの成熟度に達するという見通しは、控えめに言っても極めて野心的だ。

一方、ハリス氏によると、シールド AIはすでに、動力のない「戦艦」型試験機を用いて、X-BATを発射・回収システムに「固定・解除」するメカニズムの試験を行っている。発射・回収システムの設計も進化しており、現在は単なる牽引式トレーラーではなく、少なくともある程度は自走式となっている。

「発射・回収車両は、地上での生存性を確保するため、X-BAT兵器システムの運用において実際に極めて重要だ。つまり、陸上環境で運用する際、基本的に『撃って逃げる』という戦術を可能にするのだ」とハリス氏は付け加えた。「敵の(ミサイル用)運搬・設置・発射装置は、絶えず移動しているため、発見するのがかなり難しい。X-BATも同様で、発射・回収車両に搭載されると常に移動しているため、追跡も発見も破壊も困難になる。」

発射・回収トレーラー上に展開された状態のX-BATのレンダリング画像。シールド AI

現在の計画は、「航空機に対して1対1の発射・回収車両を構築することだ。つまり、機体は常にトレーラー上にあり、そこから降りることはない」と彼は続けた。「メンテナンスも発射・回収車両の上に載せたまま行われる。」

「実際、発射・回収車両は1対1以上の比率で製造する。そうすれば、島々や戦域内の様々な場所に事前配置し、複数の拠点から『リリーパッド』のように飛び立つことができるようになる」と彼は付け加えた。「ただし、1台の発射機に複数の航空機を搭載して発射するようなことは決して行わない。

「通常、ジェット機を運用する際には、地上電源カート、地上冷却カート、エアスタートカートなど、数多くの地上用カートを持ち込む必要があります」とハリスはさらに詳しく説明した。「そこで、これらのシステムの多くを発射・回収車両に統合しました。これにより、個別のカートを多数用意する必要がなくなり、遠征作戦を行う上でこれは極めて重要な点です。

「陸上作戦のモデルは、いわばハブ・アンド・スポーク型のモデルです。つまり、飛行隊は航空基地に駐屯しています。燃料や兵器も、一般的にすべて航空基地に配備されています。しかし、航空機自体は飛行場全体に分散配置することができるのです」と彼は続けた。「つまり、敵の行動を想定してみると、彼らは滑走路や駐機エリアを標的にしてきますが、航空機を飛行場の周囲に分散配置することができます。ゴルフコースからの発進や誘導路の空きスペースからの発進も可能です」

ハリスは、もう一つの「スポーク」に前方武装・給油拠点(FARP)をあげた。これらは、シールドが構想している広範な作戦概念の一部で、陸上での展開に限定されるものではない。ハリス氏はインタビューの中で、発射・回収システムが自走式であるため、十分な甲板スペースがあれば、事実上あらゆる艦船上でドローンを移動させるのにも役立つと指摘した。ここで、米海軍の空母搭載型「協調戦闘機(CCA)」ドローン構想と別個で独立した「RIMES」プログラムが真価を発揮する。

「RIMESの根本的な価値提案は、空母搭載型CCAの場合、空母の甲板面積に制約を受けるという点とのちがいです」とハリスは説明した。「つまり、F-18やF-35を艦から降ろすのであれば、降ろす機体よりもデッキ面積1平方フィートあたりの能力が優れた機体で置き換える必要があるのです。」

「F/A-XX[海軍の第6世代空母搭載戦闘機で、現在はボーイングが製造予定]は、能力面で飛躍的な進歩ですよね?だからこそ、そのプログラムは非常に理にかなっているのです」と彼は続けた。「CCA(無人戦闘機)に関する課題は、空母から有人機を撤去し、無人機で置き換えることが本当に理にかなっているのか、という点にあります」。

シールドAIの主張は、空母上の有人機の収容能力を一切犠牲にすることなく、X-BATが艦載モードで運用可能なCCAのような能力、あるいはそれ以上の能力への道を開くことで、この根本的な方程式を覆すとことにある。シールドAIは、この記事の冒頭で示されているように、X-BAT数十機が、強襲揚陸艦や、遠征型海上基地艦を含むその他の種類の水陸両用戦艦から運用されることを想定している。

米海軍の将来のアメリカ級強襲揚陸艦「USSブーゲンビル」の甲板上にX-BATドローンが配置されている様子を描いたレンダリング画像。シールド AI

「海軍が展開しなければならない空母航空団の数を考えると、すべての艦艇にX-BATを展開することは、実質的に空母航空団の数を大幅に増やすことになる」とハリスは述べた。

前述の通り、ハリスによると、RIMESの現在の構造には、2029年の早期運用能力達成という目標が含まれている。「その目標を達成するためのプログラムが策定されており、その過程では基本的にマイルストーンごとに支払いが行われる。つまり、シールドが成果を上げ、マイルストーンを達成するたびに、海軍が追加の資金を投入する仕組みだ」と彼は付け加えた。

RIMESドローンフリートの最終的な規模について、大まかな計画数値があるかどうか尋ねられ、「海軍の先走りはしたくないし、具体的な数字を挙げるつもりもないが、数百から数千機程度だろう」と述べた。

X-BATについては依然として多くの疑問が残っている。基盤となる垂直離着陸能力の実現可能性が未実証だからだ。この設計に関する当初の詳細レポートで指摘した通り、ここでの中核となるコンセプトは目新しいものではなく、過去にも実用化に向けた多くの試みが失敗に終わっている。他社が失敗した分野で、シールドAIが成功するかどうかについては懐疑的な見方もある。同社は、はるかに小型の内燃機関搭載型V-BATテールシッティングVTOLドローンを用いた自社開発を含む取り組みを通じて、この種の設計を真に実現するための基盤が、今やより強固に築かれたとの見解を示している。

シールドAIがX-BATの飛行開始後に期待する性能と能力も野心的なものである。高度な自律性も計画されている全体パッケージの一部であり、これには同社の「Hivemind」ソフトウェアを用いた同社のこれまでの広範な取り組みが活かされることになる。

また、海軍によるRIMESの具体的な計画や、より広範な将来のドローンフリートにも疑問が投げかけられている。今年に入ってからも、海軍は契約公告を数回発表しており、これらは将来の空母を基盤とする攻撃用ドローンやその他の無人航空機に対する見解が急速に変化していることを示唆するものだ。海軍航空システム本部(NAVAIR)が8月に、表向きは将来のCCA型ドローンを対象として公表した新たな要件は、特に、高度な無人戦闘航空機(UCAV)に非常に近いものを指向していることが顕著であり、詳細についてはこちらを参照されたい。

海軍がRIMESの下で目指しているとされる2029年の運用開始時期が確固たるものなのか、あるいは何らかの形で現実的であるのかはまだ不明だ。「初期運用能力」を構成する要素の定義も、非常に柔軟なものになる可能性がある。また、シールドAI以外にもRIMESの下で作業を行っている企業がある点にも注目すべきだ。海軍がこのプログラムを通じて複数の設計を採用する計画があるかどうかは不明である。詳細について海軍に問い合わせを行っている。

他の軍種も、RIMESの取り組みを通じて生み出される運用能力に関心を示す可能性がある。 本誌は定期的に、滑走路に依存しないドローンが、米海兵隊の 新たな遠征型および分散型作戦概念に特に適している点を強調している。同軍はすでに、従来の滑走路から運用可能な クレイトスMQ-58B「ヴァルキリー」ドローンの調達を進めている。同機は滑走路を必要としない発進も可能だが、着陸は依然として従来方式で行わなければならない。基本仕様のヴァルキリーはパラシュートで着陸する。

『エイビエーション・ウィーク』は本日、シールドAIが、米陸軍のMQ-1Cグレイ・イーグル武装ドローンの後継機として、X-BATを同軍に提案しようとしていると報じた。

一般的に、大規模基地に対する脅威の規模と範囲が拡大し続ける中、滑走路に依存しない運用能力に米軍全体が関心を高めている。各種武装ドローンの拡散は、この点において特に重要な要因であり、 本誌 が今週詳細に検証したように、英国のRAFフェアフォード基地からのB-1爆撃機の撤退という文脈でも明らかである。ますます高性能化する 巡航ミサイル、弾道ミサイル、および 極超音速ミサイルも、脅威の全体像の一部を構成している。

イランとの紛争はまた、従来型固定翼機を分散配置しても生存性の面で得られる利益に限界があることを浮き彫りにした。X-BATは、F110エンジンのホバリング時の推力を処理できる施設内であれば、ほぼどこにでも、従来の方法とは全く異なる方法で分散配置することが可能となる。

シールドAIが年末までに実際の飛行試験を開始する準備を進めていることから、今後数週間以内に実物大のX-BATプロトタイプを初めて目にする見込みが出てきた。■

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフはTWZの副編集長として、当サイトの経験豊富で献身的なチームの統括を支援するとともに、有益で影響力のある防衛・国家安全保障に関するコンテンツを執筆している。彼はその最前線であるワシントンD.C.エリアに住んでいる。

ディスカッション 61件のコメント

  • 構成は全く違うのは分かっていますが、これを見るたびに映画『ディール・オブ・ザ・センチュリー』の「ピースメーカー」を思い出さずにはいられません。

  • https://www.youtube.com/watch?v=zYa7LmASgQ0

  • 動画を見る

  • YouTube

  • 『ディール・オブ・ザ・センチュリー』 - 1983年 ドローン

  • うまくいけば素晴らしいですが……期待を膨らませる前に、まずは飛行試験の結果を見たいですね。

  • 「 woke」で労働組合に理解のあるワシントン州に生産工場を建設するというのは少し意外ですが、嬉しい驚きです。この地域には航空宇宙工学の優秀な人材が豊富にいることが、おそらくプラスに働いているのでしょう。

    • 昨今、エンジニアリング人材の近くに拠点を置くことは極めて重要だ。その好例が、Hermeusが本社をジョージア州からホーソーンに移転したことだ。これは新興企業には有利だが、大手企業には不利に働く。LMがバーバンクから撤退し、McDnD/ボーイングがエルセグンドから撤退したのは正しい判断だったと思う。彼らは今や、地理的な「堀」を築き……

  • ドローンの下側へのアクセスをほぼ遮ってしまうため、整備の大部分と武装作業のすべては、発射・回収用トレーラーの外で行わなければならないようだ。その移動には、おそらくリフト装置と、何らかの大型の関節式整備用トレーラーが必要になるだろう――その多くは...

    • 武器ベイのドアを探してみたのですが、それに関する情報は全く見つかりませんでした。いくつかのレンダリング画像を見る限り、折りたたまれる翼の面積もかなり大きいようです。折りたたみは、後縁が前方へ傾く部分でほぼ行われます。これにより、中央の胴体やライフ...

  • テールシッターの最大の問題は、常に搭乗者が確実に着陸できないことでしたが、ここではそれが解決されています。しかし、たった1基のF110エンジンで、実際の戦闘機ほどの大きさとおそらく重量を持つ機体をVTOLさせられるとは、私には到底信じがたいです。

    • 公平に言えば、今や私たちは、巨大なステンレス製のロケットが空から落下し、巨大なロボットの爪によって正確に受け止められるのを目撃した世界に住んでいる。それを一度目撃した以上、このXbatが成功する可能性もあると信じ始めてきた。

  • もし成功すれば素晴らしいことですが、XQ-58には誰もが熱狂していましたし、パラシュート着陸が機体にとってそれほど簡単ではなく、生存性も低いようであるため、現在はCTOL(通常離着陸)型の開発に焦点が移っています。私は依然としてこの件について疑問を抱いています…

  • 「ゴルフ場から打ち上げられるんだ」

  • 笑、ハリスさん、特定の個人に向けたマーケティングメッセージがかなり明確ですね。 😂

  • レンダリング画像はたくさん見かけるけど、実機は一つも…

  • ピッチングやヨーイングするプラットフォーム上に、単発エンジンの無人VTOL機が着陸した例はあるのか?記事のテスト内容には明確に言及されていなかったが、もしこれがそれなら別だが:「Shield AIはすでに、無人機を用いてX-BATを発射・回収システムに『固定・解除』するメカニズムのテストを行っている...」

    • SpaceXやBlue Originは、ロケットを海上のバージや船に垂直着陸させています。その機体には優れたスラスタ安定化システムが必要になると思いますが、採掘船では何十年も前からそれが採用されています。

  • 疑問は残るが、もしこれが機能すれば、これは本当にとてつもなくクールな航空機になるだろう。もし機能すれば……

    • 機能すること自体は疑わない……だが、その代償はどれほどか? 1機あたり5,000万ドルを超えれば、その競争優位性は大幅に低下し始めるだろう。

  • Shield AIの主張は、X-BATが、空母上の有人航空機の運用能力を一切犠牲にすることなく、艦載モードで運用可能なCCAのような能力、あるいはそれ以上の能力への道を開くことで、この核心的な方程式を覆すというものだ。Shield AIは、数十機のX-BATが……と構想している。

  • これは資金の有効な使い方にはならないと思います。システム全体のコストは1基あたり8,000万ドル近くになると予測しています。それなら、はるかに高性能で、すでに完全な支援体制が整っているF-35Bを購入したほうがよいのではないでしょうか?

  • また、トランプ氏らは……の株を保有しているのではないかと疑っています。

  • [オフトピック] ロシア/ウクライナ情勢の最新情報:

  • ロシア、ドローン対策として1万2000ドルの新型地対空ミサイルを開発中:判明していること、その仕様は?:

  • https://en.defence-ua.com/weapon_and_tech/russia_developing_new_12000_surface_to_air_missile_to_counter_drones_what_is_known_what_co...

  • ウクライナ、セシュチャのロシア軍An-124・Il-76航空基地を攻撃

  • aerotime.aero

  • 関連情報。「Shield AIと米海軍は、X-BATドローンに合計4億ドルを投資している。」 https://breakingdefense.com/2026/10/navy-shield-ai-pour-big-bucks-into-x-bat-drone-development/

  • ようやく、遅ればせながら気づいた。従来の飛行機がどれほどクールであろうと、周囲の飛行場がすべて月面のようなクレーターだらけになっても、VTOLなら運用できるのだ。

  • つまり、これはアフターバーナーを使えば明らかに超音速になるよね? スーパークルーズも可能なのか?

  • コンセプト全体にはかなり懐疑的だけど、まあ、現在計画段階にあるSFドローンに最も近いものだな。

  • 最高! X-Bat、頑張れ!

  • このX-Batのコンセプトは、この他の、想像力に欠けるコンセプトよりもはるかに気に入っている。

  • 古きは新しきとなる。

  • うわっ、航続距離2,000マイルか。これは戦闘仕様か、それともフェリー仕様か。

  • ジェシカ・ビールとジェイミー・フォックスが出演し、完全自律型のウィングマンが登場する2005年の映画『ステルス』の世界に、着実に近づいている。

  • 少し話題がそれますが

  • Shield AIの共同創業者の一人はネイビーシールズ出身でした。

  • ブランドン・ツェン

  • ブランドン・ツェンはShield AIの共同創業者兼社長です。以前は、ブランドンは7年間、ネイビーシールズおよび水上戦将校として、USSパールハーバー(LSD 52)に乗艦し、海軍で誇りを持って勤務しました。彼はShield AIを設立し、その使命は...

    • Shield AIの共同創業者の一人はネイビーシールズ出身だった。

    • むしろ、それによってこの会社への信頼が薄れてしまった 😭

  • 陸上からの移動式発射システムは、敵にとって悪夢のような存在だ。

  • GJ-11のコピーみたいだ。

  • 全くもって怖くない。