2026年7月6日月曜日

在英米空軍基地上空へのドローン侵入にロシア関与の疑いが浮上―洋上の貨物船から発進したか。とにかく邪悪なことを展開するロシアですね。日本も対岸の火事とばかり油断していられません

 

在イングランド米軍基地へのドローン侵入に

ロシア関与の可能性が「極めて高い」との報告書

Russia “Highly Likely” Behind Drone Incursions Over U.S. Bases In England Report Concludes


IISS(国際戦略研究所)の調査は、2024年以降ヨーロッパ各地で相次ぐドローン侵入事件でのロシアの役割を包括的に検証した

https://www.twz.com/air/russia-highly-likely-behind-drone-incursions-over-u-s-bases-in-england-report-concludes

2024年11月、本誌は出所不明のドローンによるイングランドの米軍基地上空での一連の侵入事件についてスクープを報じた。無人機の出所は公式には特定されていないようだが、新たな報告書によると、ロシア艦船から発射されたことが示唆されている。

国際戦略研究所(IISS)が作成したこの報告書は、2024年8月に始まった欧州全域でのドローン侵入の相次ぐ事例を調査し、「クレムリンが欧州上空で無人航空機(UAV)による作戦を実施した可能性が極めて高い」と結論づけた。

「ロシアと関連のある船舶や『ダークフリート』が、クレムリンによる欧州に対する広範な非対称戦争の一環として、無人航空機の発射・回収プラットフォームとして使用された可能性が高いと評価される」と報告書は付け加えている。

報告書は、2024年8月から2026年2月にかけて、NATO加盟国12カ国およびアイルランドにまたがる欧州上空で、クレムリンが調整された無人航空機(UAV)作戦を実施した可能性が極めて高いと評価している。

また、ロシアと関連のある船舶や『シャドウ…』が…pic.twitter.com/pGRtWRHPtE

— IISS News (@IISS_org) 2026年7月2日

調査は状況証拠や公開情報に大きく依存している。本誌は調査結果を独自に確認することはできないものの、これらの結果は、飛行の背後に誰がいたのかについて、具体的な答えとは言えないまでも、新たな洞察を提供している。

当メディアが最初に報じたドローンの基地上空への侵入は、IISSが調査した欧州全域での一連の侵入事件の中でも初期の事例だ。報告書によると、ほぼ同時期に、ドイツのラムシュタイン空軍基地上空でも飛行が確認されたという。当メディアはこれらの事件についても報じている

当時当メディアが報じた通り、出所不明のドローンは、最初にRAFレイクンヒース上空で、続いてRAFフェアフォード、RAFフェルトウェル、RAFミルデンホール上空で目撃された。

RAFレイケンヒース。(Google Earth)

特に報告書は、核兵器配備の準備が進むRAFレイケンヒースの重要性に言及している。「一般市民への情報提供呼びかけにより、約170件の目撃情報が寄せられ、約半数は、複数の目撃者による裏付けがあるか、あるいは通常の航空交通では説明のつかない画像で裏付けられたものとして、信憑性ありと判断された。」

「作戦上のセキュリティは高度に維持されていたようだ」とIISSは指摘した。「無人機は、ライトを点灯させたまま低高度でRAF基地周辺の空域に進入し、高い高度で離脱した。到着および離脱の方向は、事象期間を通じ様々であった。」

目撃者の報告は、「複数の機種が関与していた可能性があることを示唆している」と報告書は述べている。「一部の目撃情報はマルチローター型UAVと一致し、他の情報は固定翼型プラットフォームと一致していた。UAVの推進音については証言に一貫性がなく、一部目撃者は、電気モーターというよりはガソリンエンジンに典型的な音を聞いたと述べている。」

「特に注目すべきは、後に2025年のドイツにおけるドローン事件と関連付けられた船舶『Hav Dolphin』が、当時たまたま英国に停泊していたことだ」と調査チームは指摘した。

同船は、いわゆる「ダーク・フリート」の制裁対象船舶でロシアが運用する船舶、あるいはロシアと関連のある船舶の一隻だ。報告書は、欧州の米軍基地での事件後、欧州全域で発生したドローン侵入事件との関連を詳細に論じている。報告書は、これらの船舶を「シャドウ・フリートのタンカー、沿岸貨物船、小型船舶を含む、ロシアと関連のある商船」と記述している。

IISS

IISSは、ロシア製ドローン「オルラン-10」が、これらの侵入事件の際に使用されたプラットフォームの一つであった可能性を示唆した。

「2010年からロシア軍が運用中の小型多目的無人航空機(UAV)『オルラン-10』は、沿岸および内陸の標的に対する遠距離からの情報収集に適した航続距離と搭載能力を備えており、中型商船の甲板スペースにも収まる」とIISSは述べている。

「民間航空測量業務に『オルラン-10』を使用しているロシアの地理空間企業が公表した仕様など、同プラットフォームの商用仕様書によれば、航続距離は500キロメートル、最大飛行時間は12時間、速度は90~130 km/hと記載されており、これらの性能パラメータは、問題となっている欧州の海岸線から視認範囲をはるかに超えた海域を航行する船舶からの海上発射に適している。」

さらに、「『オルラン-10』の動力源は内燃機関である。この詳細は、2024年11月にRAFレイクンヒースで発生した事件に関する目撃証言と照らし合わせると関連性があるかもしれない。同事件では、推進音の性質について、一部観察者から、民生用ドローンやファーストパーソンビュー(FPV)ドローンに典型的な電気モーターというより、ガソリンエンジンに特徴的なものだと説明があった。」

さらに、オルラン-10が搭載可能なペイロードには、「衛星測位偽装モジュールやGSM(Global System for Mobile Communications)ネットワーク監視モジュールに加え、光学センサーや熱センサーが含まれており、オルラン-10シリーズが受動的なISR(情報・監視・偵察)能力だけでなく、能動的な電子戦能力も有していることを示唆している。」

オルラン-10は、ウクライナ戦争において、ロシアによって情報・監視・偵察(ISR)ドローンとして広く使用されてきた。しかし、それをこのような秘密作戦に用いたのは極めて異例である。報告書はこの点を批判的に指摘し、「識別可能なロシア製UAVプラットフォームの使用には、本質的な帰属リスクが伴う」と述べている。

「別の、かつ作戦上信憑性のある仮説としては、否定の余地を残すために、市販品または改造されたプラットフォームが意図的に使用されたというものである。これには、長距離[一人称視点(FPV)]システム、自家製の固定翼機、あるいは無線周波数(RF)通信の代わりに携帯電話通信を使用するように改造された商用UAVなどが含まれる」とIISSは付け加えた。

ロシアは「オルラン-10」ドローンでウクライナ軍の陣地の探知と攻撃を支援している

同シンクタンクは、海上発射説が「好機、実証済みの能力、そして一貫した地理的パターンの合致に基づいている」と認めている。しかし、当局者が非公式にその可能性を示唆しているにもかかわらず、特定の「影の艦隊」の船舶を特定の事件と公に結びつけた欧州政府はまだない。本報告書の残りの部分では、事件の発生場所と時期について、海上とドローンの関連性を最も妥当な説明として扱っているが、これを裏付けるには、まだ公表されていない証拠が必要であることを認めている。


IISS

ロシアがドローンの侵入の黒幕であると非難されたのは、これが初めてではない。

2025年2月、英国を拠点とするThe i Paper は調査記事で同様の主張を行ったが、同紙は飛行が地上のロシア工作員により行われた可能性を示唆していた。

調査をきっかけに、一部の政治家がさらなる調査を求めている。

「元保守党所属の国防特別委員会委員長、ジュリアン・ルイス氏は次のように述べた。『昨年11月、米英当局が両空軍基地でのドローン侵入を検知した際、調査が進行中であると表明していた』」と同紙は報じた。「『一方で、ここにはレイケンヒースおよびミルデンホール近郊にGRU(ロシア軍参謀本部情報総局)と関連する工作員が存在した可能性を示す信頼できる証拠がある。私は閣僚に対し、これらすべての調査結果を統合し、できるだけ早く下院で声明を発表するよう求めるつもりだ』」

トム・トゥーゲンハット元安全保障相は『i Paper』に対し、この調査結果は「国防省および英国情報機関による緊急の調査を必要とする」と語った。

それでも、RAFレイクンヒースでの事件に関する国防省の調査は、容疑者の特定に至らず終了した、Bury Mercuryによると。


RAFレイクンヒース。(RAF)

関与した他の基地3箇所に関する調査の結果は明確ではない。

「英国は軍事基地の安全保障を真剣に受け止めており、国防関係者の安全、施設、能力を守るため、同盟国、法執行機関、その他の当局と緊密に連携している」と、英国国防省は木曜日の朝、IISSが「ドローンの侵入の背後にはロシアが関与している可能性が高い」と指摘した疑惑や、その操縦者に関する同機関の評価につい本誌が質問して、以下回答してきた。

「『軍法法案』を通じて、我々は基地を脅かすドローンを撃退するため、防衛要員に大きな権限を付与しており、対ドローン能力にも多額の投資を行ってきました。潜在的な脅威を検知し、抑止し、対応する能力を引き続き強化しています」と国防省は付け加えた。

国防省は、「諜報事項や防衛施設における具体的な警備体制についてはコメントしない」として、これ以上の詳細の提供を拒否した。

また、本誌はこれらの事象へのロシアの関与に関するIISSの主張が正確かどうかを在欧州・アフリカ米空軍(USAFE)に尋ねた。

「2024年に、英国の軍施設数カ所の上空で、小型無人航空機(UAS)による活動があったことは確認できる」と広報担当者は語った。「これらの事象は監視されており、要員や作戦に何の影響もなかったと判断された。」

「作戦上の機密保持のため、諜報に関する事項については言及できない」と広報担当者は付け加えた。「施設の安全と保安を確保するため、英国のパートナーと緊密に連携し続けている。」

同司令部は、これらの侵入の背後に誰がいるのかという当メディアの質問に対する回答は準備中であると述べたが、7月4日祝日までは準備が整わない見通しだ。

ドローンの侵入問題はヨーロッパに限ったことではない。当メディアも頻繁に報じてきた通り全米の軍事施設でも侵入事例多数が発生しており、2023年12月に本誌が最初に報じたラングレー空軍基地のように、水辺に近い場所での事例も含まれている。さらに最近では、B-52戦略爆撃機や核兵器を配備するルイジアナ州バークスデール空軍基地でも極めて懸念すべき一連の侵入事件が発生した。2019年夏には、カリフォーニア沖で米国の海軍艦艇が数日にわたり断続的にドローンの群れに襲われた。他にも多くの事例があり、欧州の場合と同様、これらすべての事例において、誰がそれらのドローンを操縦していたのかは依然として公には明らかになっていない。

IISS報告書は、欧州以外の事例については一切触れていない。しかし、英国やドイツの米軍基地を含む欧州を悩ませてきたドローンの越境飛行の黒幕として、ロシアを明確に指弾している。■

ハワード・アルトマン

シニア・スタッフライター

ハワードはTWZのシニア・スタッフライターである。紛争について頻繁に執筆しており、特に中東とウクライナに焦点を当てているほか、世界中の軍・諜報当局者や業界リーダーへのインタビューも行っている。現在は、米中央軍および米特殊作戦司令部の本拠地であるフロリダ州タンパ近郊に在住している。





イラン作戦は米航空戦史でもっとも「成功した失敗」だった ― 破壊線と撹乱戦とは

 

 

米航空戦史上でイラン戦は最も「成功した失敗」となった

米国は破壊戦war of destructionに綿密な計画を立て紛争に突入したが、イランによる撹乱戦war of disruptionへの本格的な対策は講じていなかった

https://breakingdefense.com/2026/07/iran-was-the-most-successful-failure-in-us-airpower-history/

国がイラン攻撃を開始して4か月で、イラク侵攻の「ショック・アンド・オー」作戦以来、最も激烈な空爆作戦が6週間にわたり繰り広げられた。しかし、その結果で生まれた合意は、まだ最終交渉の段階にあるものの、せいぜい引き分けに過ぎず、多くの点でイランに有利な内容となっている。ドナルド・トランプ大統領が爆撃再開をほのめかすことは、その理由を誤解している。

米国は2つの空戦を同時に展開していた――1つは破壊のための空戦、もう1つは機能麻痺のための空戦だ。そして、最も重要だった方の空戦に敗れた。

前者――破壊のための空戦――は、米国とイスラエルがイラン上空の高高度空域を制圧し、それを活用して大規模な攻撃を仕掛けることに重点が置かれていた。ステルス機や精密誘導弾が勝敗を左右する高度2万フィート以上において、米軍はまさに想定通りの戦果を上げた。米国はイラン南部・西部の広大な空域で制空権を確立し、防空体制を弱体化させ、イラン海軍の大部分を撃沈し、ミサイルおよびドローン能力に損害を与えた。破壊戦争の成果は、命中した標的(軍事用語でDMPI、すなわち「目標平均着弾点」 “desired mean points of impact”)と破壊された能力で測定された。その指標で言えば、米国は勝利した。

しかし、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖し続けることに成功した。第二の空戦――破壊ではなく混乱を目的とし、戦闘が政治的に耐え難くなるまで心理的・経済的コストを課す戦い――が、その決定的な要因となった。

紛争の初日から、イランのドローンやミサイルは、テヘラン上空における米軍の制空権を阻止するのではなく、それを無意味なものにすることを狙っていた。高高度領域をほぼ放棄したテヘランは、軍事作戦の焦点を下方、すなわちホルムズ海峡上空および周辺の沿岸空域――低高度空域――へ移した。そこでは、、世界最重要のエナジー要衝を通過することを、商船にとっても米海軍にとっても、あまりにもコストがかかり危険なものにするのに安価なドローンやミサイルが十分な効果を発揮できることが証明された。

言い換えれば、イランは破壊戦争で勝利する必要はなかった。米国にとって勝利する価値がないと感じさせれば十分だったのである。

テヘランの戦略は、単純な非対称性に基づいていた。すなわち、人々にとって慢性的な不便や増大する不便より、一時的な甚大な破壊の方が耐えやすいという事実だ。存亡をかけた戦争を戦うイランにとって、破壊は耐え忍ぶべきものだった――殉教した指導者や将軍、爆撃された飛行場、沈められた艦船は、むしろ政権の決意を強固にした。一方、限定的な利益しかかかっていなかった米国にとって、不便は逃れなければならないものとなった。

米国の空軍力が、イランの空軍力によって封鎖された要衝を開くことに失敗すると、米国は経済的圧力を用いたより広範な作戦へと拡大した。イランの石油輸出に対する海上封鎖は、テヘランの経済に相応の圧力をかけ、破壊的な空戦では得られなかった影響力を獲得することを目的としていた。しかし、封鎖は「時間軸の勝負」となり、米国にはそれを勝ち抜く態勢が整っていなかった。情報機関の分析によればイランは少なくとも90日から120日、あるいはそれ以上も封鎖に耐えうるという結論が導き出された。その一方で、ガソリン価格高騰を目の当たりにする米国の消費者、自国経済へのコストを計算する欧州やアジアの政府、そしてこの状況がいつまで続くのかとワシントンにひそかに問いかける湾岸諸国などからの政治的・経済的圧力は高まる一方だった。

イランの主要な撹乱兵器はシャヘドドローンだった。米国の基準からすれば、これは大したものではない。低速で、低空を飛行し、撃墜されやすく、コストも数億ドルではなく数万ドル程度に過ぎない。しかし、このドローンは、はるかに高価なレーダーや指揮統制施設を破壊し、石油生産を妨害し、地域全域の港湾飛行場を攻撃した。

イランは、この戦略に偶然たどり着いたわけではない。イランは、紅海でのフーシ派による攻撃やイラク民兵組織による作戦を通じて、長年にわたりこの手法を試験・洗練させてきた――安価で使い捨て可能なシステムが、不釣り合いなほどのコストを相手に強いることができるかを学んだのである。また、ロシアに2万ドルのドローンを供給した際、その価値が実証されるのを目の当たりにした。この紛争が始まった時点で、イランはすでに何が有効かを把握していた。

この脅威により米軍は後退を余儀なくされた――それ自体が、イランの成功の尺度であった。2003年、米軍の戦闘機および支援機の大半は、クウェート、カタール、UAE、バーレーン、サウジアラビアに前方展開されており、空母は地中海とペルシャ湾から作戦を行っていた。しかし、イラン戦で状況は一変した。イランによる攻撃の脅威により、作戦指揮権はアル・ウデイドの統合航空作戦センターから移管され、空母、ステルス戦闘機、給油機はイスラエルヨルダン、そしてアラビア海へ後退させられるようになった。

米国はそうした距離からイラン全土の標的を攻撃することは可能だ。しかし、その距離からは、幅21マイルの海峡を警備できなかった。航路を確保し続けるには、持続的かつ至近距離での警戒が必要である――脅威が到達する前にそれを検知し、対応できるほど近くに配置された部隊が求められる。イラン沿岸から発射されたドローンは、数分で石油タンカーに到達する。米軍は、敵の活動を妨害する「妨害戦」への態勢を整えていない。

そのギャップを埋めるには、米国が体系的に軽視してきた、あるいは開発さえしてこなかった能力が必要となる。例えば、比較的低高度で長時間滞空できる大容量弾倉を備えた航空機、機動性の高い防空システム、そして飛来するドローンやミサイルから艦船を守るための量産型兵器などである。これらはまさに、イランの「妨害戦」が要求していた能力そのものであり、米国が大規模に投入できなかったものそのものであった。

海峡封鎖が長引くほど、「どの空戦が重要か」というイランの主張は強まった。海峡通過のための戦争リスク保険は事実上機能しなくなり、数百隻の船舶がペルシャ湾で足止めを食らった。世界最強の軍隊はイラン全土の標的を攻撃できたが、世界で最も重要な水路で安全を保証することはできなかった。イランは、局地的な兵器で世界的な影響力を発揮する方法を見出した。

これこそが、今回の紛争から得られる核心的な教訓だ。長年にわたり、破壊戦争――長距離精密攻撃、ステルス技術、遠距離からの統合防空網の無力化能力――に最適化された調達方針が、近接かつ消耗戦を遂行する米国の能力に隙間を残してしまった。米国に欠けているのは、生存性や射程より持続性と数こそが重要となる、地表付近で低コストのシステムを大量に生産する能力である。イラン独自の「シャヘド」設計を模倣した「ルーカス」は正しい方向性を示しているものの、数百機のドローンを生産する3000万ドルの契約では、数万機を生産するイランのような敵対勢力に対して、米国は依然として力及ばない。

この問題を解決するには、国防総省がこれまで抵抗してきた調達方針を優先する必要がある。すなわち、長時間滞空可能なドローン、大容量の弾薬搭載能力を持つプラットフォーム、移動式防空システム、そして大規模配備が可能な安価な量産型迎撃手段である。

しかし、より根本的な問題は概念だ。米国はこの紛争に、破壊戦争のための詳細な計画を持って参戦したが、撹乱戦争のための真剣な計画は持っていなかった。米国は、イランのミサイルやドローンを、上空での本格的な作戦が進行する中で対処すべき厄介者として扱った。その誤算のため、テヘラン上空で制空権は確保できたものの、実際に重要な局面で敵を打ち負かすことはできなかった。次回も、撹乱戦を主要な計画シナリオの一部とし、国防総省が好む戦いの「後付け」として扱わなければ、状況は変わらないだろう。

現在進行中の枠組み合意は、どちらの空戦がより重要だったかを示す指標である。トランプが「再び、しかもさらに激しく」イランを攻撃すると脅したのは、本質を見失っている。米国の空爆作戦が失敗したのは、空爆の強度が不十分だったからではない。戦いの行方を決定づけない空戦を優先してしまったからである。爆弾をもっと投下したところで、真に重要な戦争に勝利できない。

問題は、テヘラン上空の制空権を誰が掌握するかなどではなかった。常に、その下で行われる「破壊作戦」の戦いを誰が制するか、ということだったのだ。■

マキシミリアン・K・ブレマーは、米空軍退役大佐であり、スティムソン・センターの「米国の大戦略の再構築(Reimagining US Grand Strategy Program)」プログラムの非居住フェロー、およびアトロポス・グループのミッション・エンジニアリング・アンド・ストラテジー部門長を務めている。

ケリー・A・グリエコは、スティムソン・センターの「米国の大戦略の再構築(Reimagining US Grand Strategy Program)」プログラムのシニアフェローであり、ジョージタウン大学安全保障研究センターの客員教授を務めている。

トランプがめざすミサイル等武器備蓄の補充には時間がかかる―高性能兵器はそもそも大量生産を想定していないことに加え、米国の生産基盤そのものに問題がある

 

トランプがめざす武器備蓄増強は時間との戦い

Trump battles time in bid to boost weapons stockpiles 

https://thehill.com/policy/defense/5948623-trump-munitions-stockpiles-hurdles-time-congress/

ランプ大統領が掲げる兵器備蓄増強への方針は、米国の生産能力という厳しい現実に直面している。

議会が1.5兆ドル国防費要求を可決したとしても(その可能性は週を追うごとに低くなっている)、防衛関連企業がウクライナやイランでの戦争で著しく枯渇した備蓄を迅速に補充することは到底できない。

ロイターによると、トランプ大統領は先週、ロッキード・マーティン、ボーイング、ハネウェルの各社CEOと会談し、その席でスティーブ・ファインバーグ国防副長官が主要プログラムの遅延で経営陣を厳しく追及したという。

ある情報筋はロイターに対し、「君たちの取り組みは不十分だ」というのが経営陣への最初のメッセージだったと語った。

しかし、高度なまで洗練されたミサイルや迎撃ミサイルの量産には、政府の資金調達サイクルに左右されながら数年を要する。つまり、最近発表された組立ラインの拡張計画が具体的な成果をもたらすまでまだ数年を要するということだ。

戦略国際問題研究所(CSIS)の産業基盤センター所長ジェリー・マクギンは、ペイトリオットミサイル、トマホーク、共同空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、および高高度防衛ミサイル(THAAD)などの「補充には2年から4年かかるだろう」と述べた。

同氏は本紙に対し、「問題は、これらのシステムが実に優れている一方で、生産性を重視した設計ではなく、性能を重視して設計された点にある」と語った。「大量生産を前提に作られていない。ある意味では、本質的に手作業の製造のようなものだ」

バイデン政権下で、ロシアとの戦闘に直面するウクライナを支援するため、米国が数十億ドル相当の致死性援助を送った時点にすでに打撃を受けていたワシントンの兵器備蓄は、トランプ政権下のイラン軍事介入や中東における緊張の高まりにより、急速に減少している。

4月に暫定停戦が発表される前、米国は2ヶ月足らずで数千発のミサイルを消費したと報じられている。これにより、ワシントンの備蓄に残っていた長距離ステルス巡航ミサイルのほぼすべて、THAADの半分以上、ペイトリオット迎撃ミサイルのほぼ50%が使用され、トマホーク、プレシジョン・ストライク、ATACMSといった地上発射型ミサイルの備蓄も枯渇している。

CSISによる4月の分析によると、これらの兵器の備蓄を「エピック・フューリー作戦」前の水準まで回復させるには、1年から4年を要するとされる。

停戦や、ワシントンとテヘラン間の最近の了解覚書にもかかわらず、米軍はホルムズ海峡付近での攻撃への対応として、金曜日や土曜日を含め、定期的にイランに対する追加攻撃を実施している。

国防総省は、イラン戦争でこれまでにどれだけの弾薬を使用したかについて、公には明らかにしていない。自国のミサイル使用とは別に、米国は同盟国にも大量の武器を供給してきた。

トランプ政権の元高官で、現在はケイトー研究所の上級研究員を務めるキャサリン・トンプソンは公開情報から判断すると、米国の在庫が戦前水準に戻るまでには、トランプの任期終了をはるかに超える期間を要すると指摘した。

「そのタイムラインは防衛関連企業が公表しているものではないが、現時点で入手可能なデータに基づけば、少なくとも2030年代初頭までは戦前の水準には戻らないと言えるだろう」と、彼女は本紙に語った。

備蓄に対する懸念が極めて高まり、政権は今年初め、同盟国やパートナー国への武器販売を一時停止した。先月、海軍長官代行のフン・カオは議員らに対し、イランとの戦争に「必要な弾薬を確実に確保するため」、台湾への140億ドル規模の武器販売を一時停止していると説明した。

また、ピート・ヘグセス国防長官は4月下旬の証言で、兵器備蓄の補充には「数ヶ月から数年」かかる可能性があると述べ、弾薬数の不足はバイデン政権の責任だと指摘した。

大統領は、米国の弾薬備蓄が「かつてないほど豊富で良好な状態にある」と繰り返し主張しているが、非公式には、先週のホワイトハウスでの会合を含め、請負業者に対し、工場や操業への投資を通じ生産量を増やし、スピードアップするよう働きかけている。

国防総省はロッキード・マーティンと、ペイトリオット迎撃ミサイルの生産を3倍に増やす暫定的な生産合意を結び、THAAD迎撃ミサイルについて最大350億ドル規模の7年契約を同社に正式に発注した。

また、同政権は先週、RTXに対し、先進中距離空対空ミサイル(AMRAAM)の契約として3億9870万ドルを発注した。

契約が締結されても、兵器の生産拡大には時間がかかる。4月の決算説明会で、ロッキード幹部は、パトリオットミサイルの生産を現在の年間650基から年間2,000基に増産するには3~4年かかると述べた。

さらに、両契約とも議会が承認するまでは全額の資金調達ができない。それまでは各社は生産ラインに大幅な投資を行うことができない。

ホワイトハウスは先週、イランとの戦争やその他の要請に充てるため、876億ドルの追加予算を議会に要請した。うち210億ドルは兵器購入に充てられる予定だ。さらに、政権は、新型ミサイルや迎撃システムを含む防衛支出の優先事項の大部分を賄うため、350億ドルの予算調整法案の成立を期待している。いずれの資金調達法案も、共和党内ですら成立が確実とは言えない。

トンプソンは、こうした法案が可決されないと、弾薬を増強したいトランプ政権の計画にとって「重大な」打撃になると述べた。

「補正予算案でも調整法案でも、議会で資金確保できなければ、深刻な影響が出る」と彼女は語った。「元議会スタッフとして、なぜそのような立法戦略を採用したのか首をかしげざるを得ない」

国防総省の予算を掌握するスーザン・コリンズ上院議員(共和党、メイン州)やミッチ・マコーネル上院議員(共和党、ケンタッキー州)をはじめとする主要議員らは、3億5000万ドルの調整法案が前進する見込みはないとの見解を示し、政権の広範な防衛支出戦略を批判した。

エレイン・マッカスカー(元国防総省会計監察官代理で、現在はアメリカン・エンタープライズ研究所フェロー)は、兵器生産の面では「目指す水準へ到達するための生産拡大につながる、非常に良い勢いがたくさんある」と指摘する一方で、その勢いを「その勢いを鈍らせれば、ある程度は失われてしまう」とも見ている。「3年から5年後には、現在よりはるかに良い状況になっている可能性があるが、そのためには毎年、一貫した需要のシグナルと資金提供が必要だ」。

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