2021年12月3日金曜日

新型練習機T-7Aレッドテイルの運用が始まっていないのに,米空軍がさらに新型練習機の企画をはじめているのはなぜか。ヒント F-35の時間当たり飛行経費が35千ドル程度になっている。

  

空軍は第五世代機パイロット養成のためT-7Aレッドホークに期待を寄せているが、航空戦闘軍団は高性能戦術練習機構想の検討を始めている。 (Boeing)

 

空軍が新型練習機の検討に入っている。第四世代機第五世代機の特性を再現し、新米パイロットを鍛える機体だ。

 

 

これはT-7Aレッドホークのことではない。別の機体だ。おそらく。空軍が10月12日に公表した情報開示請求では高性能戦術練習機(Advanced Tactical Trainer, ATT)と位置付けている。だがT-7の一号機納入が2023年に予定される中、空軍は早くも別の、あるいは類似した練習機へ関心を寄せているという、外部には理解に苦しむ事態となっている。

 

政府監視団体Project on Government Oversightのダン・グレイジアDan Grazierによれば空軍が別機種の練習機を模索していることから戦略方針と優先順位付けに問題があること、T-7自体に問題があるのだろうと見ている。

 

グレイジアは11月29日本誌取材で答えた。「今回の動きの裏に空軍が伝えたくない内容があると見ています」

 

2018年に空軍から92億ドル契約がボーイングに交付され、次世代練習機T-7Aレッドホーク351機の調達が決まった。デジタルエンジニアリングを駆使し、オープンアーキテクチャを採用したほか、各種の画期的な設計技術で同機は期待を集め、迅速かつ高効率の機体開発の新モデルになるとされた。

 

ボーイングは航空戦闘軍団が求める高等練習機の実現に向かい、T-7は各種ニーズにこたえるべく進化するとの声明文を出している。

 

「デジタルを出発点にT-7は今後の成長を盛り込んだ設計になっています」「今後のT-7の成長への道は航空戦闘軍団が求めるATTの方向性に合致しています」

 

T-7はT-38練習機の後継機種となり、1960年代供用開始したT-38では最近墜落事故がよく発生している。ただし、新鋭F-22、F-35両戦闘機はT-38で想定する性能をはるかに超えている。

 

「T-38には高性能のエイビオニクス、探知機能、処理機能をもつ新鋭機と乖離が大きくなっており、溝を埋めるのが大変だ」とACC司令マーク・ケリー大将も10月25日のミッチェル研究所主催イベントで発言していた。

 

ケリー大将によればT-7は空軍教育訓練軍団で最若年パイロットに飛行の基本を教える任務に投入する。

 

「ACCパイロット候補生には1964年製のT-38と2021年製のF-35のへだたりの大きさを感じさせない機体が必要だ」

 

ケリー大将もT-7ならACCの各種ニーズにこたえられ、導入機数を増やすべきとみている。だが同時にT-7の増産以外の新型機の実現も可能性があるとした。

 

ACCの戦闘機パイロット訓練に必要な追加機能が欲しいとし、T-7の要求内容にないものだという。

 

ケリー大将はさらにその内容としてセンサー活用の拡大、ミッション時間延長のため燃料消費効率の向上、アフターバーナー使用時間の延長が例だという。また兵装運用の基本計算能力やシミュレーション再現能力により脅威対象への対応ぶりをパイロットに教える機能も必要とする。

 

「こうした機能は当初のT-7要求内容にはなかった」とし、「このためT-7を批判しているのではない。要望通りの機体に仕上げてくれた。だが戦闘機乗りの養成ニーズに合わなくなる事態があり得る」

 

戦闘航空軍団はDefense Newsの取材申し込みを拒否したが、文書による回答で提案されている練習機の要求内容はT-7と異なり、ACCの求める戦闘機パイロット養成を最高度の効率効果で実現するものと伝えてきた。

 

「ATTの目標は実機を再現した訓練機会をパイロット候補生に与え、実戦部隊での活躍を可能とすることで、作戦機材による訓練時間を削減すること」とACCは11月23日にメールで伝えてきた。

 

ATTによりパイロットは「学んだ技量を伝えるられる」用になりミッション訓練に費やす時間を短縮化しつつ実戦に備えることが可能となるというのがACCの言いぶりだ。

 

願望とニーズのせめぎあい

 

空軍はまず10月12日に高性能戦術訓練機の情報開示(RFI)を求める公告を発表し、航空戦闘軍団の求める戦術訓練に供することをめざした。RFIでは敵勢力の航空支援に触れ、演習で敵側を演じる、また既存また今後登場する機体の役を演じることに触れている。

 

11月9日には質疑応答が掲載され、ACCが望む練習機の詳細情報がわかる。兵装は訓練用途のみだが、実際の投下は想定していない。また第四第五世代機の性能を再現する性能を求めており、遷音速加速を想定しているようだ。

 

ACCはこの質疑応答で実機の代わりに今回提案の練習機を投入することで一人前のパイロット養成の所要時間を12-18カ月削減する効果を期待しているとある。

 

ただ今後の国防予算が厳しくなる観測の中で、九軍関係者から厳しい予算選択を覚悟する発言が続いており、機材の取捨選択は避けられないとし、グレイジアは別の練習機を調達する余地が少ないことを認める。

 

「ニーズというより願望に聞こえる」(グレイジア)

 

戦略国際研究所の航空宇宙安全保障部門長トッド・ハリソンTodd HarrisonはRFIを見ると「すでに調達事業が動き出している中で空軍に新たな機体を入手する余裕があるのだろうかと悩ましくなる」と述べている。

 

T-7の改修に向かうのか


空軍の情報開示請求で別の練習機を想定しているからといって全く別の機体を今から作ろうとしているとは限らないとハリソンは見ている。

 

逆にボーイングT-7Aを改良するアイディアを集め、F-35の飛行時間を節約するためT-7Aの投入を増やそうとしているのではないかというのだ。

 

「ボーイングにはプレッシャーとなります。T-7Aで新たな要求内容を実現することになりますから」とハリソンは述べ、「ボーイングとしては別の練習機が登場しせっかく確保してもらった予算が取り合いとなるのは見たくないはずです」

 

T-7はもともと簡単にアップグレードできる想定で、必要に応じて新たな任務に適応できるとハリソンは指摘。また空軍が調達機数を増やせば、ボーイングにはATT要求内容に呼応した改良にはずみがつくはずという。

 

だがもしT-7でACCの要求水準が実現できなれば、空軍は逆に同機事業にブレーキをかける可能性が出るとグレイジアは見ている。

 

「つまり、T-7Aでは要求通りの実現が不可能だとわかった場合です。その場合でも引き続きT-7Aを続けるわけにはいかなくなるのでは」(グレイジア)

 

ヘリテージ財団で国防政策を専門とするジョン・ベナブルJohn Venableは戦闘機パイロットの経歴を有し、こう言っている。別機種の練習機の実現をめざすのは「意味がない」とし、空軍が練習機の必要な条件として想定内容とT-7の実際にギャップがある証拠だろう。

 

「ボーイングがT-7で想定したRFIの性能をすべて実現しているのなら、同機を改良すればいいだけの話です」(ベナブル)

 

空軍が第一線配備の戦闘機を使わずに戦闘機パイロットを訓練したいと考えるのは自然な流れだ。とくにF-35の運行経費が予想以上に高くなっていることを考慮すれば。ハリソンはこう述べている。「戦闘機の消耗、疲労を抑えたいと考えているのだろう」

 

ACCもATTが複座機で新米パイロットが後部座席の経験者からいろいろ教わる効果を期待しているはずとハリソンは見ている。第五世代機のF-22やF-35はそれぞれ単座機だ。

 

また、ケリー大将もACCにはF-35より低コストで運用できる訓練機材が必要とみている。F-35の時間当たり運航経費は34千から36千ドルになっている。

 

「時間あたり20千ドルの機体ではなく、2千ドル3千ドル程度の経費でかつ最新エイビオニクスに近い装備を備えた機体が欲しい」

 

だがこの問題は空軍が保有する戦闘機機材構成に行き当たるとグレイジアは指摘する。

 

「別の練習機の調達を目指せば現行戦闘機各種の機体構造が浮上します。完全新型の練習機を目指せば、予算上で調達は困難となるはずです」■

 

 

With T-7 on the way, why is ACC eyeing a new trainer?

By Stephen Losey

 Dec 1, 11:00 PM


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2021年12月2日木曜日

英海軍 クイーンエリザベス発艦に失敗したF-35Bは人為ミスでの喪失か、事故の様子を伝えるビデオが流出。一方、海中の機体を回収するのは米海軍。

 

1117日に英軍のF-35共用打撃戦闘機が英旗艦空母HMSクイーンエリザベスから発艦直後に海面へ墜落したが、その後ネットに上がった映像では同機は完全に発艦しないまま太平洋に墜落していたのがわかる。

[事故時のビデオは下をクリック]

https://twitter.com/i/status/1465351592018956295

同機は空母のランプ最先端に接近したものの、最悪のタイミングで減速したようだ。ランプ最上部に到達した段階で前方へ進む勢いがほぼ全部失われており、パイロットは機体が海に飲み込まれる前に射出脱出している。

今回の映像はスマートフォンで同艦の艦内カメラ映像を撮影したもののようで、今回の事故の原因となった飛行前に除去すべき空気取り入れ口のカバーがついたままであったことを示している。映像は本物のようで報じられる失態を裏付けるもののようだが、英海軍は本記事執筆の時点で真偽を確認していない。

パイロットは無事脱出できたが、英国保有のF-3524機のうち一機を喪失したのは英海軍にとって痛い結果となった。ときあたかも英国では今後のF-35発注を減らそうとしており、同機の運行経費が高水準なのを理由としている。

英国政府検査院による分析では今回喪失したF-35Bは機体価格134百万ドルとF-35ファミリーで最も高価な機体とある。

The Sunの報道では(真偽は疑う必要があるが)匿名筋の情報として今回の事故で機体がランプを移動する段階で誰が見ても何かおかしいと思ったとある。

「発艦前にエンジンカバーとブランクを外しておくことになっている。これは厳格に地上要員が行っている。パイロットも機体周りを点検する」と匿名筋は説明している。

ところが同筋によれば今回のF-35墜落は「人的ミス」だという。未確認だが、なんらかの不具合があれば英軍のその他のF-35のみならず世界各地の同型機の運行を止めていたはずだが、これは発生していない。また事故直後に英空母で運用は再開されている。

F-35にも空気取り入れ口のカバーに加え安全ピンがつき、稼働していない間のエンジン他敏感な部品を異物混入や天候条件から保護する。安全ピンは常時正しい位置にあり、「飛行前に取り外せ」との赤色タグがつく。

「海兵隊機材のフライトラインでは『レッドギア』と呼ばれ、視認性が高く、空気取り入れ口をふさぐぐらい大きな発泡剤製ピローになっているので地上要員が吸い込まれることはない」と海兵隊での経験が長いSandboxx News編集のトロイ・リッチが解説してくれた。リッチはF-35Bの前身マクダネルダグラスAV-8BハリアーII整備を担当していた。

飛行前作業としてこうしたカバーやピンをすべて取り外し、さらに重要なのは全部取り外したかをチェックすることだ。最終的にパイロットが機体周囲を歩きフライト前点検を行う。

「レッドギアが飛行中に吸い込まれたらと思うと動揺する。空気取り入れ口カバーが吸い込まれたら、これも想像するだに恐ろしいが、フライトでこれが発生したことはない」とリッチが回想した。「FOD(異物)に整備陣は気を遣う。この予防をたたきこまれている。偏執狂のようにこの原則に忠実に動く」

防雨カバーなどがそのままで空気取り入れ口に残っていたとしたら今回の墜落の説明がつく。カバーを吸い込んでしまったら、エンジン内部で深刻な損傷が発生し、単発の同機は推力を十分得られず、離陸に支障をきたす。同様に大型リフトファンが作動しなければF-35は高度を稼げなくなる。

「フライトラインでFODをチェックするのは行動の前提となる。チェックは何度も行い、事故の発生がないことを確実にする。そう言われても信じられないと思うが」(リッチ)

残念ながら、F-35一機の喪失だけで英海軍の苦境は終わらない。今回の墜落を受けてF-35事業全体への影響を最小限にしたいという。

ランプ前方からそのまま落下したため、空母艦首に損傷が発生した可能性がある。排水量65千トンのHMSクイーンエリザベスにすぐ危害が及ぶわけではないが、修理には多額の経費がかかる。

「機体が艦首すぐそばに落下したため、また発艦時の艦の速力を考慮すると、水面下で艦首に当たった可能性が排除できない」と英海軍にいたトム・シャープ中佐がSky Newsに語っている。

「軍艦の艦体は実は厚くなく、機体と艦の重量が大きく異なるが、艦首付近の区画は直ちに点検すべきだと思う。その後、艦体を潜水調査して安全を確認すべきだろう」

英海軍は艦体に損傷は発生していないと見ているが、現在の展開が終了次第、完全点検を行うとしている。

これと別の懸念材料はロシア潜水艦が海中の機体の位置を突き止め回収し、リバースエンジニアリングや戦術評価されることだ。公表されていが米国中心で回収作業が展開しており、英海軍には回収手段がない。

ロシアも同様に回収作業に踏み切るだろうか。断言できない。またロシアが正確な位置をつきとめたとしても海中の機体回収を実施する能力があるかも不明だが、可能性は消えていない。

What leaked footage tells us about the British F-35 crash

Alex Hollings | November 30, 2021

  

2021年12月1日水曜日

米西海岸の物流トラブル対策で米海軍が港湾施設を民間に開放

一見すると大きなニュースではないのですが、日本企業の物流の悩みを解消する大きな流れの一部になるかもしれません。USNI Newsの記事です。


米海軍はオックスナード港湾地区に協力し、ポートヒューニーム施設を開放し、ロサンジェルス郡の港湾施設の混雑解消の支援で全国的なサプライチェーン危機の解決の一助をめざしている。Nov. 22, 2021. US Navy Photo

 

カリフォーニア港湾施設が処理能力オーバーとなっている中、パンデミックでサプライチェーンが影響を受け、貨物輸送に遅延が目立つが、米海軍は同州ポートヒューニームPort Huenemeの軍用ふ頭を民間商船に開放している。

 

ポートニューニームはサンフランシスコ、ロサンジェルス間で唯一の大型船取扱い可能港だ。

 

海軍の決定は2002年の「共同使用合意」を適用するもので、オックスナード港湾地区xnard Harbor Districtと取り交わし、第三ふ頭(全長1,000フィート)とあわせ21エーカーの工業用地の利用により貨物積み下ろし、一時保管を、軍事利用を妨げないことを条件に認めている。

 

貨物ターミナルと沖仲士を運用するポーツアメリカPorts America が40フィートコンテナーを貨物船から降ろし、休暇シーズンの需要増加に対応するべく作業を開始したとヴェンチュラカウンティー海軍基地Naval Base Ventura Countyが海軍報道資料で発表していた。

 

先週月曜日に自動車運搬船MVDelphinus Leaderが第三ふ頭に接岸しているのがMarinetraffic.comで確認された。先週金曜日にはコンテナ船MV Chiquita Ventureが港外で投錨していた。同船は11月11日にメキシコ、グアテマラ経由でポートヒューニームに寄港した。また金曜日にはMV Del Monte Harvest(コンテナー船)、MV Grand Race(自動車運搬船)が寄港していた。

 

共同使用合意により基地利用が可能だが、船員、基地従業員はともに荷物積み下ろしには従事できないことになっている。同海軍基地は「ふ頭及びコンテナ保管場所を提供するが労務提供はしない」とベンチュラカウンティー海軍基地広報がUSNI Newsに述べている。

 

ロサンジェルス、ロングビーチ両港湾施設で依然として積み下ろしの順番を待つ船舶が多い中で、同基地ふ頭の追加は朗報だ。

 

ロサンジェルス、ロングビーチはともに全国有数の大規模港湾施設ながら一時は沖合に100隻もの貨物船が順番を待つ状態だった。そこにCOVID-19が港湾労働者に広がり、コンテナ不足、トラック運転者不足、倉庫不足、鉄道便が利用できないことが加わったが、パンデミックで世界的に経済活動が低迷していた中で需要が最増加しており、取扱い施設は混雑の度を深めている。

 

連邦政府州政府は運輸規制の緩和を図り、利用料金徴収を猶予しているため混雑の解消につながりそうだ。各港湾も24時間作業に向かおうとしている。だが感謝祭により取扱いが止まり、貨物ターミナルでは日曜日には一切の作業をしていない。

 

ただし、各港湾は取扱能力をフル活用していない。11月23日にロサンジェルス港にはタンカー1隻、バルク貨物船1隻、コンテナー船18隻がふ頭に係留していたことが同港ウェブサイトでわかる。だが94隻がサンペドロペイに入港あるいは待機し、ロサンジェルス港では45隻が入港の順番待ち状態だった。

 

オックスナード港は海軍のポートヒューニームとオックスナード港湾区の二つを抱える。このうち、海軍は港の西部と北部の用地を管理し、四つある大型ふ頭が艦艇運用に供され、海軍工兵隊センターもある。オックスナード市が東、南側を管理し、大型ふ頭二つと民生用倉庫群がある。

 

ポートヒューニームのふ頭が一つ追加されただけで大きな効果にはつながらないものの、船舶運用側には選択肢が広がるわけで、特に多忙となる休暇シーズンの海運需要を考えると意味があり、さらに海軍自身の運用にさしたる影響は発生しない。

 

同港湾区のトップ、ジェイソン・ホッジは「NBの協力を感謝し、休暇シーズンの作業量増大に呼応する追加スペースの提供に感謝する」と述べているのを海軍広報は伝えている。「ともに必需物資の物流という課題に取り組むことができるのも長年の協力関係のたまものであり、全国的なサプライチェーン問題の解決に取り組んでいる」

 

「海軍は地域社会の一員としての重要性を認識しており、運用上の要求に応えるべく支援を提供している」と同基地司令ロバート・キムナック大佐が述べている。合意により「港湾施設の混雑解消を直接支援しつつ全国規模のサプライチェーン不足に対応し、海軍と地元社会の協力関係の好例」

 

米海軍は同港を1942年に接収し、その後第1第2ふ頭は民生用に開放したとポートヒューニームのウェブサイトが沿革を述べている。同港ではバナナ、自動車、食用油、生鮮食品を取り扱っており、今年9月までの実績で80億ドルの貨物が同港を利用した。ただし、ロサンジェルス、ロングビーチ両港合わせ年間4.600億ドル(2020年実績)なので微々たる規模である。■

 

Navy Opens Up Military Deep-water Pier to Merchant Ships to Ease California Cargo Crisis - USNI News

Navy Opens Up Military Deep-water Pier to Merchant Ships to Ease California Cargo Crisis

By: Gidget Fuentes

November 29, 2021 4:58 PM

 

2021年11月30日火曜日

オーストラリアSSN選定はここまで困難な作業となる。ヴァージニア級対アステュート級の比較。米設計案の採用が有望に見えるが、2060年代の安全保障を左右しかねない重大な決断。

 

英海軍のアステュート級。. Image: Creative Commons.

 

 

立オーストラリア海軍(RAN)向けの原子力潜水艦の選定は非常に複雑かつ困難な選択となる。現在、二型式が候補にあがっている。米海軍(USN)のヴァージニア級ブロックV、英海軍(RN)のアステュート級だ。

 

ともに優秀な艦で性能は互角といえる。原子炉は燃料交換が不要な点で共通しており、高性能ポンプジェット方式の採用も同じだ。またトマホーク巡航ミサイルを運用できる点も共通する。

 

オーストラリア政府が検討すべき点として何隻を整備するのか、供用期間、国内産業界への裨益などがある。

 

今回は両級の違いに着目し、リスク、サイズ、乗員規模、ペイロード、供用開始時期、また輸出規制について論じたい。

 

 

 

【設計上のリスク】ヴァージニア級ではオーストラリアが運用を望むAN/BYG-1 戦闘システムとMk-48魚雷の運用が最初から可能だが、アステュート級は想定してない。アステュート級を改装すれば、ち密に設定されている艦内配置、重量、浮力、バランス、動力、冷却機能の変更が必要となり、想定外の問題になりそうだ。既存設計の変更は数億ドル相当の作業となり数年かかる。代替策として最初から英装備を受け入れ、英国製戦闘システムとスピアフィッシュ魚雷を採用することがある。

 

【サイズ】両級とも通常型の既存艦コリンズ級を上回るサイズで、オーストラリアのインフラ整備が必要だ。これは低規模予算では実施できない。アステュート級は全長97メートル、排水量7,800トン、ブロックV仕様のヴァージニア級は140.5メートル、10,364トンだ。コリンズ級は77.8メートル、3,407トンにすぎない。

 

【乗員数】RANではコリンズ級の60名の乗員確保にも苦労しているので乗員数は少ないに越したことはない。アステュート級は90名、ヴァージニア級は130名程度が必要だ。

 

【ペイロード】ヴァージニア級がアステュート級より大きく、トマホークミサイルに加え将来の新型装備にも対応する。英艦は魚雷発射管を使うのみで、スピアフィッシュとトマホーク合計38発の発射が可能だ。ブロックVヴァージニア級は65発を搭載する。魚雷発射管から25発、ペイロード発射管からトマホーク12発のほか、セイル後方の大直径ペイロード発射管からトマホーク28発も運用するほか、AIM-9X対空ミサイルや極超音速滑空ミサイルも発射できる。

 

【調達見込み】米国が同意すれば既存のヴァージニア級ブロックV数隻をRANに比較的短期間で提供できる。RANの求める原子力安全運用基準と乗員訓練、運用方針の策定に供される。同時に8隻はオーストラリア南部で建造する。2018年のASPIレポートではSSN10隻を整備すればオーストラリアの要求水準を満たすのが可能で、乗員確保が必要とある。

 

原子炉運転では少なくとも当初数年間はUSNによる指導が必要とされ、米向け建造数隻をRANに回す想定だが、これはあくまでも米国が優先順位の変更を認めた場合のことだ。米海軍はヴァージニア級を66隻まで整備する計画だ。アステュート級では英海軍が想定する7隻での建造中止を改める必要が生まれるが、そのため新鋭ドレッドノート級原子力潜水艦の建造が遅れることになる。

 

ヴァージニア級の維持運用は米海軍実績を見ると容易なのではないか。新鋭技術の研究開発も運用隻数が少ないと長期化したり予算超過となることが多い。オーストラリアが最終的にSSNを10隻整備する場合、アステュート級なら17隻、ヴァージニア級なら76隻がそろうことになる。米海軍では静粛性を高めたヴァージニア級ブロックVの企画をすでにはじめている。

 

【補給体制】有事の補給体制も考慮すべき分野で、ヴァージニア級を採用の場合はオーストラリア海軍艦は米海軍艦とともにオーストラリア、日本、グアム、ハワイ、サンディエゴで補給を受けられる。だが英艦採用の場合は英国はAUKUS加盟国であり、スピアフィッシュ魚雷を一部のRAN/USN施設に確保しておく必要が生まれる。

 

【乗員の確保】アステュート級を選択する場合はオーストラリア国内の艦長副長人材の確保が短縮化できる。英海軍の艦長副長は原子力推進コースを修了しており、専門の原子炉技術士官も補助にまわる。これに対し米海軍の艦長副長クラスは全員が原子炉技術をマスターしており、原子炉運転をまじかに見てキャリアをつでいる。オーストラリアで原子力技術をマスターした士官が潜水艦艦長になるには15年かかるため、英米の扱いの違いが大きく作用する。

 

【技術移転の制約】輸出規制がヴァージニア級を選定した際に大きくのしかかる。米国務省の国際武器取引規制(ITAR)制度では米軍事技術の移転を厳しく制限している。ITARのためオーストラリア国民で二重国籍とみなされるものは米政府承認を取るのが困難となる。そもそも二重国籍市民は最初から対象から外されそうだ。

 

ITARの違反罰則が厳しい。米政府指定のリストに違反すると一回につき100万米ドルまたは10年の懲役が科される。ITARの想定する二重国籍者排除の原則はオーストラリアで問題になる。移民が多いためだ。これに対し、英政府の輸出規制には柔軟性がある。

 

【まとめ】見る角度により、最適な原子力潜水艦の選択はオーストラリアにとって極めて技術面で複雑かつ困難になりかねない。最も楽観的に見ても引き渡しまで数か年がかかり、オーストラリアの乗員が艦運用に自立するまで15年かかってもおかしくない。正しい選択によりオーストラリアにおける2060年代以降のSSNの運用維持が左右されかねない

 

長期にわたり影響を与えかねない政府の決断はそうたくさんあるものではなく、間違いを許容できる余地はほぼない。今回がまさしくその例である。■

 

Astute vs. Virginia: Which Nuclear Submarine Is Best for Australia?

BySam GoldsmithPublished2 days ago

 

Sam Goldsmith is the director of Red Team Research, has a Ph.D. on Australian defense industry innovation, and has published through the US Naval War College. This first appeared in ASPIs the Strategist. 

In this article:Astute-Class, AUKUS, Australia, China, Virginia-class

 


 

歴史に残らなかった機体 番外編 米空愚がこの戦闘機が正式採用されていたら歴史は変わっていた----消えた5機種を見る。

 



F-35共用打撃戦闘機やF-22ラプターの背後に選定に漏れた競合各機があった。米政府は優秀な機体を選択したことはずだが、常に選定は正しかっのだろうか。


過去の選定に漏れた機体は国防総省が対象企業の言う通りの性能の実現を信じられなかった、機体性能がその時点で必要とされた水準に達していなかったため採択されなかった。


理由はいろいろだが、選定に漏れた各戦闘機は生産されなかった。だが、選定されていれば、卓越した、あるいは他に比類なき性能を発揮していたはずの機体がある。では、その5例を見てみよう。



第5位 F-16XL もっと優秀な F-16


F-16ファイティングファルコンは40年超にわたり、米空軍戦闘機部隊の中心だが、F-16供用開始の一年前、F-16をしのぐF-16XLが生まれていた。


同機は技術実証機の域を超えた高性能を発揮し、空軍の求める高性能戦術戦闘機としてF-15Eの有力な対抗策になっていた。


F-16XL (U.S. Air Force photo)


だが製造コストと既存システムの利用という点でF-15Eに軍配が下り、同機は敗退したが、今でもF-16XLの優秀性を論じるものが多い。


主張には議論の余地があるが、F-16XLが実現していたら第四世代戦闘機として最高性能を発揮していたのだろうか。


第4位 A-12 Avenger II:米国初のステルス戦闘機になるはずだった(U.S. Navy)


1988年1月13日、マクダネルダグラス=ジェネラルダイナミクス合同チームにA-12アヴェンジャーIIの開発契約が交付された。同機はロッキードがSR-71派生型で武装型となるはずだったA-12とは別の機体だ。実現すればA-12は全翼機形状となり、ノースロップ・グラマンB-2スピリット、同社のB-21レイダー同様の形状ながらはるかに小型の機体となっていただろう。ただA-12アヴェンジャーIIは全翼機形状を採用したが、機体全容は当時開発中のB-2スピリットとは異なる姿だった。


Artist’s rendering of A-12 Avenger II



A-12は鋭角三角形形状で、「空飛ぶドリトス」の愛称がついた。A-12開発は問題なく進展している観があったが、突然国防長官(のちの副大統領)ディック・チェイニーにより1991年1月に開発中止とされた。



第3位 YF-12: 史上最高速で最サイズの戦闘機


冷戦時にSR-71ブラックバードは最も印象の強い機体だったが、高速飛行と高高度飛行だけを主眼としていなかった。事実、SR-71の前身となったのがA-12で迎撃戦闘機として計画され、その後YF-12となり、理論上は制式採用後にF-12Bとなる予定だった。


YF-12の変更点は機体前方にあり、コックピットが追加され戦闘制御士官が空対空装備の運用にあたるはずだった。


機首は設計変更でヒューズ製AN/ASG-18火器管制レーダーを搭載するとした。これは開発中止となったXF-108ように開発されたものだった。だがA-12とYF-12の最大の違いは高性能カメラ装置その他偵察装備の収容を想定した機内搭載ベイ4つだった。そのひとつに火器管制装備を、残る三つにヒューズAIM-47ファルコン空対空ミサイル3発を収納する予定だった。YF-12開発の背景は以下を参照されたい。


第2位 21世紀の運用をめざしたASF-14スーパートムキャット


F-14Dには「スーパートムキャット」の愛称がついたが、F-14近代化改修は「ST21」の名称で別に開始されており、「21世紀のスーパートムキャット」の実現を目指していた。エイビオニクス改良、推力増加、航続距離延長と全般的に性能向上を目指していたのでこの名称はあながち誤りといえなかった。


ST21、AST21ともに既存トムキャットを再生産する構想だったが、グラマンは海軍にその後まったく新規生産となるトムキャットをASF-14として売り込もうとした。


ASF-14は外観ことF-14同様だが類似点は外観だけだった。


ASF-14は推力60千ポンドでF-14Dをしのぐ重力推力比を発揮するほか、推力偏向制御、機内燃料搭載量の増加、ペイロード拡大、レーダーのほかセンサーポッド各種により状況認知能力の増加をめざし、当時の第四世代戦闘機各種より傑出した性能を目指した。


第1位 YF-23: ラプターと互角の機体


ロッキード・マーティンF-22ラプターの供用が始まり15年ほどになるが、同機には同等の性能を有する対抗機種がないままだ。だが、常にそのままではなかった。1990年代には短期間ながらその後F-22となったYF-22には同等の性能を有する対抗機種があった。それがノースロップのYF-23だ。


YF-23試作型は2機製造された。一号機はブラックウィドーIIと呼ばれ黒色塗装でプラット&ホイットニー双発でマッハ1.43のスーパークルーズを1990年のテストフライト開始時点で実現した。

Both YF-23 prototypes in flight (U.S. Air Force)


二号機は灰色塗装のため「グレイゴースト」と呼ばれ、ジェネラルエレクトリックYF120エンジン双発となった。こちらのスーパークルーズはテスト時に、マッハ1.6となりわずかながらYF-22のマッハ1.58を上回った。


YF-23はF-22のアクロバティック性能と互角だったが、ロッキードが契約を勝ち取った。ロッキード作がダイナミックな飛行ぶりを誇示したためで、同社テストパイロットは高い迎角でミサイルを発射したライ、9Gの飛行ぶりをみえつけた。YF-23でも同じような飛行ぶりを示せたのにノースロップは実行しなかった。YF-22の採択は性能より営業手法によるものと主張する向きが多く、国防関係者の目を奪ったという。■


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Alex Hollings | November 28, 2021


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