2016年9月28日水曜日

B-1Bにちょっかいを出すと痛い目にあうぞ 北朝鮮を睨むランサーの韓国臨時派遣飛行


なるほどB-1Bでも中国、ロシアへの侵攻は不可能になっているわけですか。でも北朝鮮なら可能なのですね。そうなれば北朝鮮もグアムを狙ってくるはずで、グアムのミサイル防衛はどうなっていましたかね。
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韓国オサン基地上空を飛行する B-1B ランサー。Sept. 21, 2016. U.S. Air Force photo

It’s Still a Bad Idea to Mess With the B-1B Bomber

The Lancer shows off near North Korea

by DAVE MAJUMDAR
ロックウェル・インターナショナルB-1Bランサー戦略爆撃機一機がオサン空軍基地(韓国)に着陸した。ペンタゴンは同機の臨時派遣は韓国防衛の意思を核をちらつかせる北朝鮮に示すものだ。
  1. 「米韓のつながりは鉄並に堅く、北朝鮮の強硬な態度が出てもコミットメントが揺らぐことはありません」とトーマス・バーゲソン中将(第7空軍司令官)は語る。
  2. B-1Bはグアムのアンダーセン基地から9月21日、北朝鮮が新型潜水艦発射ミサイルのテストに成功したあと韓国に飛来した。
  3. B-1B一機が9月13日に韓国上空を飛行したが着陸はしていない。
  4. 韓国空軍作戦司令官リー・ワン・クエン中将は「韓半島は深刻な安全保障上の危機状態にあり、その原因は北朝鮮が五回目の核実験、SLBM発射、弾道ミサイル発射で、国際社会の懸念を招いている」との声明を発表している。「韓米空軍部隊は状況の変化を意識し密接に情報交換し運用能力を高めている。敵が再度挑発してくれば合同空軍部隊は迅速に対応し、敵の戦闘意欲と能力を排除する」
北朝鮮との国境線付近を韓国空軍F-15Kスラムイーグル二機編隊と飛行するB-1B Sept. 21, 2016. South Korean air force photo
  1. B-1Aは1970年代に高高度をマッハ2で飛行する戦略核爆撃機として構想された。しかし当時のジミー・カーター大統領が1977年に一旦開発を取り消し、空中発射巡航ミサイル(B-52搭載)やICBMを重視した他、その後B-2スピリットとなったステルス爆撃機構想を進めた。
  2. カーター政権はこの理由としてソ連領空に高高度から非ステルス機が侵入すれば自殺行為に等しいとしていた。
  3. ロナルド・レーガン大統領はランサーを1981年に復活させたが、新型B-1Bは低空侵入に特化した機材となった。さらに空軍は同機の空気取り入れ口やその他を改良しレーダー断面積を減らした。
  4. その結果B-1Bはマッハ2の速度は失い、マッハ1.2が限度となったが、残存性は大幅に高まった。
  5. 冷戦後に空軍はB-1Bから核運用能力を除去し、通常兵器運用機材に変換した。イラク、アフガニスタンでは大きな活躍を示している。
  6. その後空軍は精密誘導兵器、データリンク、各種センサーを取り込み、今後の供用に備えさせている。また機内エイビオニクスも更新中でノースロップ・グラマンのAESAレーダー他が搭載される。
  7. ただし性能向上してもB-1Bは敵の強力な防空体制で残存は期待できない。中程度の脅威空域での運用が精一杯だ。
  8. 20機あるB-2ステルス爆撃機隊のみがA2AD体制の防空網を突破できる戦略爆撃機となっている。中国、ロシアがS-300V4,S-400あるいはHQ-9で防空を固めている。
  9. 開発中のB-21レイダーによりあらゆる防空網を突破できる能力の実現に期待する米空軍だ。
  10. だがレイダーの実用化は2030年以降となる。空軍はレイダーを100機調達する予定だが、希望として200機を想定している。■

2016年9月27日火曜日

歴史に残らなかった機体(1)F-103は設計に終わったラムジェット・マッハ3迎撃戦闘機



The National Interest

The F-103 Could Have Been America's Mach 3 Ramjet Fighter

The XF-103 was an amazing design best left on the drawing board.
XF-103 Fighter. Wikimedia Commons/U.S. Air Force

September 22, 2016

  1. ICBMが登場する前の1950年代はワシントン、モスクワ双方が高高度飛行爆撃機で核攻撃する想定だった。
  2. 当時の主力戦闘機F-86セイバーでは迎撃できないと考えられ、米空軍は1949年に高高度超音速迎撃戦闘機をもとめソ連爆撃機が爆弾投下する前に撃墜をめざした。
  3. 構想は1954年型迎撃機事業と命名され、その年に供用開始を見込んだ空軍に提案9件が寄せられた。そのうち三案が初期開発に進んだ。コンベアはその後F-102デルタダガーとなる案、ロッキードはF-104スターファイター、リパブリックエアクラフトはAP-57を提案しXF-103と命名された。
  4. 三案でXF-103がずばぬけて先端的で、リパブリックは時速2600マイル(音速の三倍)で高度80千フィートを飛行するとした。1950年代初頭ではF-86とMiG-15が朝鮮半島で数百マイルの速度でドッグファイトをしていた中でXF-103は航空機と言うよりロケットのようなだった。
  5. 図面から起こした想像図は巡航ミサイルのように見える。高速度を得るためリパブリック(のちにF-105サンダーチーフを製造)は複合推進方式を想定した。ライトXJ-57ターボジェット一基で離陸と通常飛行し、ソ連のバジャー、ベア、バイソン各爆撃機にダッシュが必要となればラムジェットを始動する。ラムジェットは前方から空気を吸い込み、燃料と混合させ、後方に排出する比較的単純な構造だが前提は機体なりロケットがすでにマッハ1以上の速度で飛行している必要がある。ラムジェット効果を得るための空気圧縮度のためだ。そこでXF-103はまずターボジェットで速度を稼いでからラムジェットを始動する。
  6. 装備には長距離レーダー、GAR-3ファルコンレーダー誘導対空ミサイル6発、非誘導指揮マイティマウス2.75インチ対空ロケット弾36発を搭載する構想だった。マイティマウスは良い考えだっただろう。なぜならファルコンは空軍の第一世代でヴィエトナム戦で欠陥を露呈し54発発射して命中はわずか5回だった。XF-103は機関砲を搭載しなかったが、この発想がやはりヴィエトナムで障害となった。マッハ3飛行中に機関砲を発射する管制レーダーを1950年代に実現するのは難しかったからだ。
  7. 独特の射出脱出装置を搭載する予定だった。コックピットの与圧が失われれば、座席下の隔壁が上昇し、パイロットを包む与圧ポッドを形成する。パイロットは機体を基本操縦だけで帰還させ、視界は潜望鏡で行う。あるいは射出脱出が必要となれば、ポッドがレールで降下し機体底部から機外に放出する構想だった。
  8. だがXF-103は地上モックアップから先に進まなかった。競合するコンベアーのF-102が現実的な選択肢となり採用されると空軍はXF-103への関心を失った。遅延とコスト超過のため試作機一機制作まで規模が縮小される。ライトXJ67エンジンは結局完成しなかった。空軍は1957年8月にXF-103事業を断念した。
  9. F-103として米空軍に配備されていたら、無駄な投資になっていただろう。ソ連が大量の長距離爆撃機でアメリカを攻撃する恐れは根拠がないと後にわかる。1960年代初頭にソ連はICBMに軸足を移していた。迎撃対象の爆撃機はわずかで、F-103はヴィエトナム上空の低速ドッグファイトには全く不向きであったはずだ。
  10. 結局XF-103の驚異的な設計は図面台に留まった。
Image: XF-103 Fighter. Wikimedia Commons/U.S. Air Force

2016年9月25日日曜日

日曜特集 B-21名称募集にこんな応募が....米空軍隊員の考えは多様です



アメリカ文化の広がり多様性を物語るようなエピソードであり、空軍という軍組織でも隊員はいろいろな価値観を持っていることを伺わせます。かつて航空自衛隊でも機体愛称をつけておりF-104が栄光だったりした時代があったのですが定着せず中止になりました。今回、F-35一号機に航空自衛隊内部に限り愛称を公募したらどんな結果になるでしょう。その応募こ組織文化を反映するものになるはずです。一部よくわからない名称もあり、ご存じの方は教えて下さい。

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Here Are the Names the Air Force Didn’t Pick For the B-21 Raider

Bomber McBombface didn’t make it

by JOSEPH TREVITHICK
9月19日のこと、101歳の退役中佐リチャード・E・コールは有名なドーリットル日本爆撃隊(レイダーズ)の生き残りの一人でジミー・ドーリットルの副操縦士を務めた人物でB-21を「レイダー」と命名した。
高齢の元中佐が数千におよぶ名称提案すべてに目を通すなくてよかった。
四ヶ月前に空軍は異例な決断で空軍隊員に爆撃機名称をインターネットで広く集めることとした。レイダーは4,600件を超える応募で重複を除くと2,100件の名称から選ばれたものだ。
その後空軍は名称候補を15件に絞ったとしていた。コールが発表したのは空軍協会主催の年次大会の席上だった。
本誌は情報公開法でその他の候補内容の開示を求めていたが9月21日に空軍から完全な一覧表が示された。
多くの提案が真面目な内容で空軍の伝統や歴史にふさわしいものだったが、ふざけたものや侮蔑的な名称もあった。空軍広報部門のアン・ステファネックは上位15件の名称を教えてくれた。
アルファベット順にならべると、ブーメラン、ゴースト、ホライゾン、ルメイ、リベレーターII、ミッチェルII、ナイトフューリー、フェニックス、レイダー、シャドウ・フォートレス、スティングレイ、ヴァルキリー、ヴィクトリー、レイス(幽霊)、ゼウスIIであった。
中にはなるほどと思える候補もある。カーティス・ルメイ大将の名前は物議を醸し出しそうだが、その名前はステルス爆撃機としての血統を思わせる。同将軍が核爆撃機の基礎を1940年代50年代に作った。リベレーターとミッチェルの各初代は第2次大戦に米空軍力の象徴として北アフリカ、欧州、太平洋の各戦線で活躍した。
A B-25 Mitchell flown by the Doolittle Raiders takes off from the USS ‘Hornet’ to attack Tokyo in 1942. ‘Mitchell II’ and ‘Raider’ were both on the list of B-21 names. U.S. Air Force photo
空軍は明らかに過去の時代を想起させる名称を模索したようだ。ノースロップ・グラマンがB-21レイダーを製造するが、競争相手のボーイングにはB-17空飛ぶ要塞からB-52ストラトフォートレスまで米爆撃機として鮮やかな記憶が残っている。
ゴースト、ホライゾン、フェニックス、ヴァルキリーという名前ははるか遠くまで飛ぶステルス爆撃機にふさわしいものがある。B-21の想像図はB-2と同様にブーメランに見える。
最終候補には採用済み名称もある。米海軍はスティングレイを開発中の偵察空中給油無人機につけており、レイスはRQ-170偵察無人機の非公式名称である。
選外となった名称も同様の分類が可能で、自由に関連した名称がある一方、空軍の過去の機材名称からドーントレスII、ドラゴンII、ハヴォックII、フライイングフォートレスIIやファントムIIIの応募があった。空軍隊員はダーク、グローバル、シャドウ、ピース、サイレント、スィフトの付いた名前を多数応募している。
一方で冗談としか思えない候補も挙げられており、Badasswhoopass, Zoomfist, Bomber McBombface, Plane McPlaneface, Stealthy McStealthfaceが見られる。
A B-2 stealth bomber. Air Force photo
アクション俳優のチャック・ノリスは空軍憲兵隊勤務の経験があり、今回の名称リストに含まれる。同様にパット・ティルマン(フットボール選手)やクリス・カイル(海軍シールズの名狙撃者)の名前もある。またユリシーズ・グラントやセオドア・ローズヴェルトの元大統領の名前を提案したものもある。
その他有名人の名前ではレスリング界のスーパースター、ジョン・セナやシンガーソングライターのケニー・ロギンス(「Danger Zone])があり、実在しない人物としてキャプテン・アメリカ、C-3PO、ダースヴェイダーなどがあった。
スターウォーズ映画からはデススター、ミレニアム・ファルコンなどがあり、バード・オブ・プレイを推薦したのはクリンゴン宇宙船(スタートレック)で姿を隠す装置がついていたことからの連想だろう。
商標名もあり、ドリトス、チートスの他ベイコネーター(ダブルチーズバーガー)と言うのはウェンディファストフードチェーンからだろう。確かにB-21初めて極秘ステルスジェット機は三角形のドリトスチップと形状が似ている。
だが何よりもポップカルチャーの流れを組む名前には独創性がない。また、独創的と思える名称には空軍に受け入れがたいものもあった。
優雅さでは劣るA-10ウォートホグの名称での応募も二人からあった。空軍は直線翼で丸鼻の同機を何度となく退役させようとしており、うわべ上はF-35やB-21用の予算を確保するためと説明している。
その他「F-35で金をドブに投じたね、ハハハ」とか「予算を飲み込む空に開いた穴」とか「この機体に使える予算があるのかな」という表現も名称として応募されており空軍の選択への疑問が表現されている。その他「国家債務」とか「この機体がどれだけ税収を食いつぶすかわからないだろう」という案も提案されていた。
その他に「無人機の方がマシだが無駄遣いは好き」というのもあり、空軍が無人機で長い間複雑な関係を作ってきたことを思い起こさせる。グローバルストライク軍団司令官のロビン・ランド大将はB-21を無人機にする案はないと公言している。
「国立保険研究所に予算を回せ」とか「この機のせいでデイドにろくな装備がそろわない」というものもあった。「デイド」とはアル・ウデイド空軍基地(カタール)のアメリカ式ニックネームだ。
2月から空軍は同基地の劣悪な居住環境でたたかれている。この二年間でアル・ウデイド基地から9千名を超える隊員がメディアを通じ、あるいは自らソーシャルメディアで水源の汚染、電気系統の危険などを訴えている。
異色をはなつのは陰謀説に関連した9/11やリベラル派慈善事業家ジョージ・ソロスに関する激烈な内容だ。応募には隊員の氏名をつけて空軍所属であることを示す必要があるのだが、こういった応募をした隊員は氏名を明らかにしていない。■



2016年9月24日土曜日

もし戦わば⑤ J-20対F-16(台湾)、F-15(日本)


日台両国とも主力戦闘機の性能改修を着実に行わないと、中国新型機に対応が難しくなるね、という主張です。中国のエンジン技術が遅れていることが救いですが、長距離誘導ミサイルの登場で空戦の様相が相当変わってきているようです。J-20はむしろ支援機としてのAWACSや空中給油機を緒戦で撃ち落とすのが目的と思っていましたが、日本の防空体制に穴が開けば各地の自衛隊基地へのミサイル攻撃も視野に入ってくるでしょう。

The National Interest


China's J-20 Stealth Fighter vs. America's F-35, Taiwan's F-16 and Japan's F-15: Who Wins?

September 22, 2016


中国軍がわずか四分の一世紀で劇的に進歩している。
中国は米国を標的とした機材に多額の投資をし、アジアの覇権を賭け米軍と対抗する動きを示している。その例が台湾であり東シナ海、さらに緊張が高まる南シナ海だ。装備には議論の種となるDF-21D(「空母キラー」ミサイル)、巡航ミサイル、高性能機雷、潜水艦、無人機等接近阻止領域拒否を狙う装備が目白押しだ。
空の上でも進展がある。特にJ-20新型第五世代戦闘機が注目される。米第四世代、第五世代機並びに日本、台湾他の機材を相手に設計された同機には米国のみならず各国防衛関係が大きな関心を寄せている。
だが戦闘になれば同機はどんな活躍を示すだろうか。台湾のF-16や日本のF-15との対決はどうなるか。そこでカイル・モチズキの以前の記事をお届けする。アジアの空を制するのは誰か。

台湾空軍が相手の場合
  1. 台湾をめぐる軍事優位性のバランスはゆっくりと変動中だ。中華民国空軍の戦闘機部隊が確保してきた優位性は台湾国防予算の減少とともにゆっくりと中国の側に向かっている。
  2. 内戦に敗れた中華民国政府は台湾に逃れた。大陸とは二百マイルと離れないままで台湾が強力な海軍空軍を維持し、中国が貧しいままなら月の裏側に等しかった。
  3. だが現在の中国は貧しさを脱却し富に見合った軍事力を構築中だ。中国は台湾が対応できないほどの機数の軍用機を整備しており、第五世代戦闘機も同時に二型式を開発中だ。
  4. 成都J-20は昇竜の名前で開発はまだ終わっていないが、台湾の安全保障上で最大の脅威といってよい。大型双発でステルス性を兼ね備え長距離飛行が可能なJ-20(各種型式がある)は長距離航空優勢戦闘機となるだろう。
  5. これまでの中国戦闘機は短距離性能のため台湾上空で滞空時間に成約があったが、J-20は大型で機内に大量の燃料搭載が可能だ。そのためJ-20は中国本土の基地から出撃し、台湾上空の戦闘機を排除し台湾空軍を標的にすることが可能だ。J-20のステルス性能が設計通りなら台湾の防空レーダーは同機の追尾に苦労するはずだ。
  6. J-20が搭載するセンサー類一式は新型アクティブ電子スキャンアレイ方式AESAレーダー(現在開発中と推定)や赤外線捜索追尾(IRST)があり、後者でパッシブ方式で追尾撃墜ができるようになるはずだ。
  7. 台湾上空へ飛来すればJ-20は相当の火力性能を発揮するはずだ。昇竜には三箇所の機内兵装庫があり、ふたつが短距離用ミサイル、のこりに中長距離ミサイルを搭載する。航空優勢確立ミッションに投入する際の標準ペイロードでPL-15レーダー誘導長距離ミサイル4発を搭載するはずだ。推進方式にラムジェットも採用しているPL-15の有効射程は95マイルから125マイルだろう。
  8. このJ-20に立ち向かうのが台湾空軍のF-16ファイティングファルコンで獰猛な機種だ。もともと軽量の昼間限定戦闘機としてF-15を補完する存在だったF-16は全天候多用途戦闘機に進化している。機体価格が比較的安くて多彩な任務をこなすF-16は台湾にはいい買い物だった。
  9. 台湾空軍のF-16Aブロック20の150機は1992年発注、1997年から2001年にかけて納入されており、20年近く経過している。ブロック20はAN/APG-66(V)3レーダーでAIM-7スパローおよびAIM-120C7AMRAAM中距離レーダー誘導方式ミサイルを運用する。レイセオン製の電子対抗手段ポッドとプラット&ホイットニーF-100-PW220ターボファンエンジンを搭載する。
  10. 2011年になり、新型F-16を66機の発注が不成約になり米国は台湾とともに導入済み機材の改修に注力し、センサー、航法、武装を改良した。APG-83拡張可能機動ビームレーダーScalable Agile Beam Radar (SABR)が搭載された。これはF-22やF-35のレーダーから生まれた新しいハードウェア、ソフトウェアである。
  11. 台湾はSNIPER ポッドの搭載も検討している。これは空対地精密目標捕捉機能のあるポッドで空対空赤外線相殺追尾にも応用できる。またAIM-9Xサイドワインダーも導入する予定だ。これは最先端のドッグファイト用ミサイルで米軍ではすでに導入済みだ。
  12. 航空優勢ミッションでは台湾F-16はAIM-9Xサイドワインダー4発ととAIM-120AMRAAMを2発搭載するだろう。
  13. では空中戦で勝つのはどちらか。交戦を視程内、視程外で区別してみてみよう。
  14. 視程外交戦ではJ-20がF-16を一方的に撃墜するはずだ。J-20の設計が正しければステルス、高性能レーダー、長距離ミサイルの組み合わせが功を奏するはずだ。F-16搭載のSABRがJ-20を相当の距離で探知する可能性もあるが台湾機で足かせになるのはAMRAAMミサイルがジャミングに弱いことだ。PL-15を搭載し、ステルスに守られたJ-20は理論上はF-16パイロットが気づく前に同機を撃墜しているだろう。
  15. 短距離戦となるとJ-20の操縦性の悪さが浮上するはずだ。F-16は逆に高い操縦性を発揮し、AIM-9Xサイドワインダーミサイルが本領を発揮する。だが長距離高性能視程外ミサイルの登場で有視界内の交戦は相打ちとなる可能性が増えてきた。
  16. このため中華民国空軍はJ-20に手こずる可能性が高い。探知が困難であり、台湾機に先制攻撃を仕掛けてくる公算が高い。そこで考えられる戦術として台湾の山岳部を利用して低高度に機体を待機させることがある。これでJ-20の長距離交戦能力を無意味にできる。また中国のルックダウン、シュートダウン能力はまだ西側水準に達していない。台湾が低周波地上配備レーダーやE-2Tが搭載するUHFレーダーでJ-20探知に成功すれば、F-16で有利な待ち伏せ攻撃をしかけることができ短距離戦に持ち込めば成功の可能性は高い。
  17. J-20の高性能と機体構成は台湾にとって現実の脅威だ。中国空軍の規模と成長する威力の前に台湾は自国上空の航空優勢の確保が一層困難になるだろう。そうなると城塞型の姿勢を採用し、両国がA2AD戦術を採用することになるかもしれない。
航空自衛隊が相手の場合
  1. 日中両国の緊張が高まっており、両国の軍用機が空中で遭遇する事案が増えている。人民解放軍空軍(PLAAF)のSu-27が東シナ海上空で日本機により目撃される機会が多くなっており、日本のF-15が沖縄から緊急発進している。
  2. 空での対峙はもう普通のことになっているようだ。では近い将来にJ-20が作戦投入されたらどうなるだろうか。J-20の供用開始は2010年代末と言われる。
  3. その時点で日本はF-15Jイーグルをまだ運用しているだろう。確かに優秀な機材ではあるが、防衛省は本来ならいまごろF-22ラプターに交替させているはずだった。不幸にも米議会がラプター輸出を禁止してしまい、F-15は後継機種がないままだ。
  4. 日本がF-15導入を開始したのは1981年で、ライセンス生産で三菱重工業が製造し、大方は米国が運用中の機体と同じだが例外が電子対抗装置およびレーダー探知警告装置で米政府がこの2つの販売を拒否した。当初はAIM-9サイドワインダーとセミアクティブ方式のAIM-7スパローを搭載していたが、後者はAIM-120AMRAAMに換装された。M61機関砲(20ミリ)も搭載する。
  5. F-15Jは223機が納入され、8機を事故喪失した。
  6. 日本は2000年代早々から性能改修を開始し、新型赤外線誘導ミサイル(AAM-3およびAAM-5)を搭載し、エンジンを改良し、AN/APG-63 (V)1機械式スキャンパルスドップラー・レーダーやAAM-4Bレーダー誘導ミサイルが運用可能となった。改良型の電子対抗措置や機首に赤外線探知追尾センサーもついて近代化が実現した。しかし、改修は非常に高価で年間10機未満しか作業できない。このため改修が完了したF-15Jはまだ半数未満だ。
  7. 成都J-20は謎の機体だ。中国初の第五世代戦闘機としてまず2011年にその存在が確認された。双発、単座機で前方カナード翼とステルス性能を有するJ-20はF-15Jより僅かに全長が長い。機体は長く幅広で内部兵装庫と燃料タンクに活用している。短距離、長距離双方の空対空戦および空対地ミサイルを搭載する。
  8. J-20のノーズコーンは大きく高性能の電子スキャンアレイレーダーを搭載できるはずだ。長距離で敵目標の捕捉に有効でレーダー誘導ミサイルで攻撃できる。最近完成した試作型では赤外線探知追尾システムと電子光学式目標捕捉装置で空対地攻撃に対応できるようだ。
  9. 正確な任務は不詳のままだ。長距離ミッションを念頭に製造されているようだ。「昇竜」はロシアのMiG-31同様に高速かつステルスの迎撃機として敵の空中給油機やAWACS、偵察情報収集機を撃墜する想定なのかもしれない。あるいは中型爆撃機なのかもしれない。米F-111同様に沖縄や日本国内の各基地を攻撃するための機体かもしれない。
  10. ここで検討したいのはJ-20を長距離対応可能な航空優勢戦闘機と想定した場合で、F-15Jと空戦に入れば勝つのはどちらか。
  11. J-20の機体設計が正しくレーダー断面積が小さいとすれば、F-15Jでは長距離からの探知は困難だろう。またF-15Jにはステルス性がなく-20は容易に日本機を探知できるはずだ。このため視程外戦ではF-15Jに幸先が悪い。ことにJ-20が搭載するPL-15ミサイルがあり、アクティブレーダーシーカーおよびおそらくパルスロケット推進あるいはラムジェット推進となっているはずだ。
  12. 接近戦になればF-15Jが優位に立つ。J-20は推力不足と言われ、F-15の推力重量比が際立つ。またF-15のドッグファイト実績は他に例がなく高推力と操縦性で有利な位置につけるはずだ。
  13. もうひとつ検討してみよう。J-20はまだ試作機の段階で銃はまだ搭載されていない。銃の効用を巡っては今も専門家の意見は分かれるが、接近ドッグファイトではF-15JのM61ガトリング砲が効果をあげるはずだ。
  14. 成都J-10と三菱F-2の比較では接近戦ではJ-10が、長距離戦ではF-2がそれぞれ優位と判定された。航空優勢戦闘機同士の戦いとなると逆転する。中国の歴史上のライバル国を一気に追い抜いて第五世代戦闘機を完成させた事実には主要国が一様に驚いているはずだ。■
Image: Creative Commons/Flickr.

★KC-46の対日販売を米国務省が認可



KC-46も小牧基地に配備するのでしょうか。実機が現れればKC-767との区別が話題になりそうですね。しかし小牧基地にそれだけのスペースがありましたかね。追記)読者の方からご指摘あり、KC-46は美保基地配備になるとのことです。訂正します。

State Department Clears $1.9B Sale of KC-46A Tankers to Japan

By: Valerie Insinna, September 22, 2016 (Photo Credit: Boeing)

  1. WASHINGTON —  米国務省は21日、19億ドルでKC-46空中給油機の日本向け売却を承認し、ボーイングは同機で初の海外販売の実現に一歩近づいた。
  2. 国防安全保障協力庁(DSCA)によれば案件はKC-46A四機、プラット&ホイットニー製4062型エンジン予備一基を含む。日本は運用訓練も契約の一部として受ける。
  3. 各機はALR-69Aレーダー警告装置および小型空中GPS受信機を装着する。ともにレイセオン製で、さらにノースロップ・グラマンのAN/AAQ-24(V)大型機用赤外線対抗装置も搭載する。
  4. 日本は昨年10月にKC-46導入の意向を表明していた。海外販売を模索していたボーイングには初の海外販売成約となった。
  5. KC-46はエアバスA330多目的給油輸送機としのぎを削る商戦を展開しており、軍用実績ではエアバスのほうが多く低リスク選択肢と受け止められてきた。韓国は2015年にボーイングを退けA330MRTTの採用を決めている。
  6. アジア太平洋の同盟諸国は米政府に装備提供と訓練実施を求めて中国、北朝鮮への対応を急いでいる。対外軍事販売は米議会の承認が必要だが 今回の案件は議会を難なく通過するだろう。日本との軍事上の密接な関係があるためだ。この点はDSCAも声明文で強調している。「今回提案されている売却により日本の太平洋地区における安全保障活動能力が強化され、米国の主要同盟国たる日本の防衛体制も向上します」
  7. DSCAは今回の契約に付随した見返り合意内容 offset agreementsはないとしている。
  8. 米空軍はKC-46を179機調達する。■


2016年9月23日金曜日

★もし戦わば ④  F-35対 中国J-31、ロシアSu-35、そしてイーグル最強のF-15SAの勝利の行方は?



F-35を前面にたてた作戦ではこれまでの機材の場合と相当異なる様相になることが想像されます。しかし問題は何でもかんでも戦闘任務をこなさなければならない同機がどれをとっても中途半端な戦力になりそうなことで、今後数十年に渡り西側防衛体制で頭痛のたねとなるでしょう。

The National Interest


America's F-35 Joint Strike Fighter vs. China's J-31, F-15SA and Russia's Su-35: Who Wins?

September 20, 2016


ここ数十年で最も議論の対象になった兵器体系が米F-35共用打撃戦闘機で論議の種となっている。理由は明確だ。供用期間通じ1兆ドル超の事業経費、戦闘のあり方を根本から変える技術革新、ゆくゆく第四世代機に取って代わる期待も大きい。
F-35が戦闘に投入されたらどんな活躍をするのだろうか。たとえばF-15最新型にどこまで優勢なのか。中国の新型ステルス戦闘機に対してはどうか。また、ロシアの最新第四世代機Su-35が相手なら?
そこでデイヴ・マジュンダー(TNI防衛デスク)にそれぞれの予想を尋ねてみた。以下の記事を楽しんでもらいたい。執筆は数ヶ月前であると申し添えておく。

1) J-31対F-35
瀋陽J-31戦闘機の詳細情報が最近入手できたが、ロッキード・マーティンF-35に類似しているのは外観だけでなく空力学的性能も同等だとわかった。だが真の問題は中国がレーダーやエンジンのようなサブシステムをどこまで完成させているかだ。また中国が各種技術内容を機体と統合できているのかも疑問だ。

外観上はJ-31は双発にしたF-35クローンと言っても通用する。中国がJSF技術を盗んで同機を開発したと見ていい理由がある。ゆくゆくは米側戦闘機と互角の実力になるのか。「最終的には中国は米第五世代戦闘機と同等の性能を手に入れるでしょう。産業スパイ活動は今でも活発です」と米軍航空関係者が昨年記者に語っていた。

だが一対一では中国機はF-35と同等の性能を得る必要はない。中国の狙いは米側に打撃を与えて同機投入の代償を高くすることだ。あくまでも仮説だがF-22が中国J-11フランカーを相手にすれば撃墜30対1で優勢になる。だが戦闘投入可能なラプターはわずか120機。F-22もJ-31あるいはJ-20が相手なら優勢は3対1にまで低下する。つまり米軍は損耗率を意識せざるを得なくなる。「J-31やJ-20が出てくれば、3対1の撃墜率でも米側には高い代償になる」と米空軍高官がやはり昨年記者に語っている。

J-31の弱点がエイビオニクスであり、レーダー、赤外線探追尾装置、データリンクやデータ融合の分野である。同機は単独行動を前提とした機体であるが、各種センサーで集めた情報を融合することは極めて困難だろう。F-22でさえLink-16のデータを機内センサーに融合させるのはインクリメント3.2Aソフトウェア更新まで待っている。ここにF-35開発日程でロッキードが大きく遅れた理由があり、空軍がソフトウェア問題を一貫して懸念している理由でもある。

中国産業界がJ-31生産に成功できるかとの疑問が残る。ステルス機の製造では公差が低いのが特徴でF-22の場合は1インチの一万分の一の誤差しか許容されていない。F-35は更に厳しいといわれる。中国がここまでの誤差の精密仕上げをした実例がないこと、中国が国産ジェットエンジンで信頼性の高い製品を完成させていないことから、中国が米第五世代機の水準に追いつくまでにはまだ時間がかかるだろう。

J-31が技術面でF-35の水準に到達していないとしても中国が力を入れている分野がある。長距離ミサイルでPL-15の存在が確認されており、ヨーロッパのメテオ視野外攻撃ミサイルと類似している。ただし中国版はラムジェット推進方式で極めて長距離の有効射程と最終段階での目標捕捉能力を引き上げており、AIM-120 AMRAAMを凌ぐ水準にしている。AMRAAMのロケットエンジンは数秒間しか作動せず、目標捕捉方法は通常のミサイルと同じだし、AMRAAMはデジタル無線周波数メモリーによるジャミングの妨害を受けやすいという弱点を抱え,後継機種が必要とされている。

航空戦闘軍団(ACC)はこの問題を深刻に受け止めており、空軍上層部はここ数年内情を訴えてきた。「PL-15の射程を考えるとこちら側には対抗策が必要だ」とACC司令官カーライル大将がFlightglobalに語った。

2)F-15SA対F-35
ボーイングF-15Aの初飛行は1972年7月で、イーグルは究極の航空優勢戦闘機となった。高速で高高度を飛び、機動性が高く、APG-63パルスドップラー・レーダーを搭載した同機に対抗可能な機種がソ連になかった。他方で同機のもともとの製造メーカーのマクダネル・ダグラスは同機を多用途戦闘機に発展させF-15Eストライク・イーグルが生まれた。航空優勢用のF-15Cと攻撃を重視するF-15Eは今後数十年に渡り米空軍装備として残るが、サウジアラビアがイーグルの最新高性能仕様を発注している。この最新型はロッキード・マーティンのF-35と互角にわたりあえるのだろうか。

サウジアラビアは新造F-15SAを84機と現有ストライク・イーグルの性能改修キット70機分を発注した295億ドルの巨大商談は2011年11月に成立し、当時は米史上最大の軍事販売となった。その後ボーイングは性能向上型を開発テストし、ジェネラル・エレクトリックF110エンジン双発とし、プラット&ホイットニーF100を採用しなかった。同社は納入の準備が整い、今年4月にサウジ向けの1号機がセントルイス(ミズーリ州)工場からロールアウトしている。

F-15SAで最大の改良点はフライバイワイヤー操縦システムで、これまでのイーグルはハイブリッドのコンピュータによる機体制御を採用していた。フライバイワイヤーの採用でボーイングはこれまで使えなかった主翼下外側ハードポイント二箇所を再活用できるようになる。一番外側のハードポイント一号、9号に武装を装着すると機体安定度に問題があったのだ。

それ以外にF-15SAは高性能APG-63 V.3アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)を搭載し、今後の顧客にはより高性能のAPG-82も提供する。米空軍のストライク・イーグルが換装中のレーダーだ。F-15SAではBAEの高性能デジタル電子戦システム(DEWS)も搭載し、デジタル無線周波数記憶ジャミング能力が備わる。

このデジタル装備は周波数帯域を連続探査し探知可能性が低い(LPI)電子信号も見つけることができる。(F-22とF-35ではLPI技術で自機の出す電子信号を隠している) さらに干渉型アンテナは現行型より正確な方位測定が可能だ。

DEWSの性能はF-22やF-35の搭載する電子支援手段装置に匹敵するものだろう。元は同じ技術なのだから。米空軍の現有ストライク・イーグルよりはるかに高性能だ。米空軍ではイーグルにパッシブ・アクティブ警告残存装置(EPAWSS)が搭載されるまでは匹敵する性能は存在しない。

F-15SAではロッキード・マーティン製のAN/AAS-42赤外線探知追尾装置もついている。レーダー、赤外線探知追尾装置、電子戦装備がそれぞれ得た情報を融合し、明確な像を示す点でF-22やF-35と匹敵する内容だ。像はF-35同様の大型カラーディスプレイに表示し、前席後席で見ることができる。搭乗員両名は共用ヘルメット装着型指示出し装置をつける。このすべてでF-15SAは極めて強力な多用途戦闘機となり、米国が製造した第四世代戦闘機で最強だろう。

だがこれでF-35と堂々と対抗できるだろうか。長期的に見ればF-35は戦闘機市場で競争相手のない存在となるはずで、西側では特にそうなる。ステルスは大きなセールスポイントで高性能ロシア製中国製地対空ミサイルの普及を見越している。さらにF-35には米国政府の後ろ盾もある。だが短期的に見れば、ボーイングはF-15をお金持ち国に売る商機がある。高性能長距離ジェット機が必要な国は多く、イーグルの高価格に抵抗のない相手だ。そうなると中東とアジアが有望で特にF-35が手に入れられない国が狙い目だ。

だが忘れてはいけなのは戦闘機導入では機体性能や軍事要求を満たすことよりも地政学が重要となることだ。ある機種を導入することで他国と戦略的同盟関係が生まれる。たくさんの国がペンタゴンの装備とつながろうとすると高級店のように高価格な機体とともに高額の整備費用を負担することにつながる。

3)Su-35対F-35

ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機はゆくゆくペンタゴンの戦術戦闘機部隊の主力の座につくはずだが、高価な第五世代戦闘機を難なく運用できる国ばかりではない。

ロシアや中国でさえ第五世代戦闘機のみで編成するつもりはないようだ。かわりに当面はスホイSu-27フランカー航空優勢戦闘機の改良型があちら側の戦術航空機材の中心となるだろう。極めて高性能なフランカ-派生型がSu-35で、エイビオニクスが大幅に改良され、エンジン、機体構造も同様だ。今後数年間で最新のフランカーEが世界各地に広がりそうだ。

フランカー各型が世界各地に拡散することに対抗して米空軍、海兵隊ならびに限定的ながら海軍はF-35各型を頼りにせざるを得ない。もともとF-35が航空優勢の確保を念頭に作られた機体ではないこともあるのだが。F-35は空対空戦でも十分な実力を持っているとは言え、攻撃機の性格が強い。もっともペンタゴンは同機は万能機だと主張しているが。

ではF-35の4機編隊がやはり4機のSu-35と対決したらどうなるか。一番考えやすいのはF-35編隊は針路を変更し、F-22ラプターやF-15Cの助けを求めるだろう。そうしながらF-35編隊は本来の標的探しに戻るはずだ。

だが歴史で明らかなように、戦争では多くの場合、最適な解決手段が選択可能なわけではない。もしF-35だけで対応することになれば、Su-35とは互角の戦いになるだろう。ただしうまく装備を活用出来ればだ。F-35のパイロットはステルス、各種センサー、さらに巧妙な戦術を駆使し、F-35の強みを活かしつつ弱点をつかれないようにするだろう。つまりステルスとセンサー能力で視界外から的編隊と交戦し、視界内での戦闘は避けるはずだ。F-35が弱点を露呈するからだ。

ラプターは最初から空対空での勝者を目指し高性能となっているが、F-35は事情が違う。ラプターはステルスと高硬度超音速巡航飛行(マッハ1.8超)が可能だ。これに対しF-35はアフターバーナーまで使ってマッハ1.6が精一杯である。またF-22には近接有視界内ドッグファイトでの機体制御が極めて優秀で旋回率、旋回半径、迎え角、高エネルギー性能を全高度帯で発揮する。

ラプター四機編隊は超音速巡航飛行を高度50千フィートで行い、空戦の主導権を自由に発揮できるが、F-35は低速低空飛行でうっかりすれば高性能敵機への対応を迫られる事態にもなりかねない。

さらにF-35ではAIM120空対空ミサイルに十分な発射エネルギーを与える高度速度が確保できない。ラプターはこれが可能で、JSFが発射するとミサイルは有効射程が短くなる。またF-35が搭載できるミサイルの本数は少ない。これは敵のデジタル無線周波数記憶型ジャマーによるAMRAAMへの妨害を考えると困った問題だ。

接近戦になるとJSFにはラプター同様の機体制御は期待できない。F-16やF/A-18にも劣る。どうしてもドッグファイトになれば、米F-35パイロットの技量と経験を使い撃墜を免れるしかない。F-35のステルス性は兵装を機内装備した場合のみ有効だ。AIM-9X視程外ミサイルは搭載できない。これが将来搭載可能となればそれだけの価値はある。F-35パイロットはどんなことをしても接近戦を避ける必要がある。

そうなると米側の統合航空部隊指揮官(JFACC)がF-35部隊に航空優勢ミッションを割り当てる可能性は極めて低い。他の機材が使える前提でだ。だがラプターが少数機しかなく、F-15Cも減耗していくことを考えるとJFACCとしてもF-35に航空優勢確保を命じざるを得ない事態が生まれるだろう。ただし、アメリカの空軍力が世界各地で直面する本当の脅威は敵航空機材ではなく敵の高性能統合防空装備となるはずだ。■



2016年9月20日火曜日

★B-21の名称はレイダーに決定、有人運用が基本となる

ドゥーリットル爆撃隊の生存者はついに一人になり、命名式に参加できたようです。レイダーとは空軍にとって、米国人にとって特別の意味があるようです。

Air Force Wants to Keep ‘Man in the Loop’ with B-21 Raider

Image via U.S. Air ForceImage via U.S. Air Force
POSTED BY: HOPE HODGE SECK SEPTEMBER 19, 2016


B-21が選択的に有人操縦機になるとの観測は誤りだったようだ。

空軍長官デボラ・リー・ジェイムズが新型機の呼称をレイダー Raider と発表したのと同日に空軍グローバルストライク軍団司令官が同機にはパイロットを無期限に登場させると発言している。

「有人機として運用する」とロビン・ランド大将は空軍協会年次大会の席上で19日発言した。

ランド大将は単価550百万ドルの長距離戦略爆撃機は無人運用の支援機材と運用するとも発言したが、レイダーの無人運行も将来的には可能性があるものの、有人運用の利点を強調した。「ヒトが介在している方がいい。パイロットとして女性もいいね。とくにこの機は核運用もしますから」

一方で空軍迅速戦力整備室のランドール・ウォルデンは将来の変更の可能性は残してあると発言。「無人機運用の基本的な要求内容はすでに出ている。問題は実現するタイミングです」

同機は老朽化進むB-52やB-1の交替が期待され、空軍は初期作戦能力獲得を2020年代中頃と見ている。

名称のレイダーは第二次大戦中のドーリットル東京爆撃隊にちなむもの。ジェイムズ・ドーリットル中佐以下の各機は1942年に東京他で工場、軍事施設攻撃を真珠湾攻撃の後で実施した。■