2026年7月17日金曜日

ウクライナ戦争でロシアを交渉の席につかせる方法とは―ロシア国内にプーチンへの不満が高まってきた

 

ウクライナ問題でロシアを交渉の席につかせる方法

How to Push Russia to Negotiate on Ukraine


https://nationalinterest.org/feature/how-to-push-russia-to-negotiate-on-ukraine

ウクライナ戦争へのロシア国内の不満の高まりと、キーウ側の作戦上の成功が相まり、ついにモスクワを交渉の席につかせる可能性が出てきた。

こ数週間でロシアのエリート層や一般市民の間で、ウラジーミル・プーチン大統領への支持が低下してきたとする報道が相次いでいる。これと時を同じくして、モスクワ含むロシア国内の奥深くでウクライナによる攻撃が成功する事例が増加していることに対し、ロシア国内で広範な懸念が広がっているというニュースも報じられている。

こうした一連の出来事は、米国と欧州にとって新たな機会となる。特に、適切な防衛体制さえ整えば無力化可能なミサイル攻撃に大きく依存しているプーチン大統領の現在の軍事戦略の弱点を突くよう、両者が連携して対応できればなおさらである。NATO首脳会議からのニュースは、その方向への有望な一歩だ。とりわけ、ドナルド・トランプ大統領が、ウクライナにペイトリオットミサイル迎撃システムライセンス供与を行うと約束したことは注目に値する。

プーチン率いるロシアに対する不満に関しては、最新の兆候として、『エコノミスト』に掲載された、ロシアで最も著名な実業家である「肥料王」アンドレイ・メルニチェンコへのインタビューがある。彼が公に発言することを決断したことは、戦争が長期化し、国内で変化がなにもなければロシアが直面するという、彼が描く厳しいシナリオと同様に衝撃的である。彼は政権交代を求める発言を慎重に避けているが、国民の福祉をより重視し、世界に対してより予測可能で敵対的でない姿勢を示す政策がなければ、ロシアは混乱に陥るか、あるいは中国や西側諸国との間で、無力な従属関係に陥る可能性があると見ている。

これに先立ち、ロシア政府の元高官が匿名で『エコノミスト』論説を寄稿していた。プーチン政権の近々の崩壊を予測するわけではないものの、「匿名」氏は、ロシア国民が「彼不在の未来」を想像し始めたと主張し、ロシアが勝利を収められていない戦争のコスト増など、多くの要因があると指摘している。しかし、主な論点は、ロシアのエリート層が得ていた利益が失われつつあると感じており、ロシア国民一般が「目的のない弾圧」を受けていると感じているという点にある。2025年3月に逮捕された同国屈指の農業実業家から数十億規模の資産を没収しようとした政府の試みは、間違いなくこの感情に拍車をかけている。

同様の報道は、ロシア国内に有力な政府筋を持つと主張する出版物からも漏れ伝わっている。メデューサは、ラトビアを拠点に活動するロシアの反体制派ジャーナリストが運営するメディアだが、大統領府、議会、地方政府の情報筋を引用し、彼らが「戦争が2024年に終わらなかったこと」に失望していると伝えている。彼らは戦争に「疲弊」しており、プーチン大統領には明確な戦後のビジョンがないと考えている。

これとある程度対をなすのが、異なる形で不満を表明する相当数のグループだ。彼らは戦争をもっと積極的に遂行することを望んでいる。彼らは戦争そのものに反対しているわけではないが、人的・物的資源の不足に苛立ちを感じている。彼らはさらなる動員と、国をこれまで以上に戦時体制に置くことを支持しており――つまり、プーチン大統領の紛争管理にも深く不満を抱いているということになる。

おそらく、ロシア国内でこれほど広範な怒りを引き起こしたものは、政権によるテレグラムアプリの禁止インターネットへの厳しい規制以外にはないだろう。これらは、比較的自由な表現や外部情報へのアクセスが可能な数少ない手段であると同時に、ストレスに満ちた社会で日常生活を便利にするものでもある。一部ロシア国民は、こうした規制がインターネットの「北朝鮮モデルへの移行を準備している」のではないかと懸念している。

ロシアにおける世論の把握は常に困難だ。しかし、入手可能な調査の中で最も信頼性の高いものは、「アノニマス」や、依然としてロシア国内への影響力を持つ独立系ジャーナリストたちが描き出した全体的な傾向を裏付けている。比較的独立したレヴァダ・センターの世論調査によると、軍自体への支持やロシアにとって有利な結果への期待は依然として高いが、戦争への支持は24%と過去最低水準に低下している。クレムリンのために活動する世論調査会社による別の調査によると、プーチン大統領への信頼度は2022年以来の最低水準にあるという。

戦況は、こうした状況にどこまで影響を与えているのだろうか? 西側の世論の多くは、戦況がウクライナ側に傾いたという見方だ。確かにウクライナは好調だが、「勢いの転換」という説明では状況を過度に単純化しすぎている。

ウクライナが高性能ドローンでロシア国内深くまで侵入し、破壊的な打撃を与えていることは、間違いなくロシア国内の雰囲気を暗くしている。こうした攻撃により、ロシアの精製能力の約20%が停止状態に追い込まれたからだ。しかし、領土の獲得・喪失を追跡している専門家たちの見解は分かれており、ロシアの損失が甚大だと指摘する者もいれば、わずかな獲得にとどまると報告する者もいる。

その主な理由は、双方の浸透戦術によって、現地に流動的なグレーゾーンが生まれ、従来の「前線」という概念が崩れたことにある。浸透した地域を支配地域として数える(ロシアや一部の専門家がそうしているように)と、たとえ一時的なものであっても、領土の獲得のように見える。一方、ロシアの浸透をウクライナの損失として数える(キーウがそうしているように)と、状況は異なって見える。

過去3か月のデータを見ると、いずれの側も戦略的な規模で戦況を覆す能力を示していない。とはいえ、ウクライナは、戦場で一進一退の状況に耐えつつも、ロシアに対する経済的・政治的圧力を強めることで戦略的優位性を獲得しつつある。この状況は、兵力不足でさらに悪化しており、プーチン大統領が戦争を十分に長く継続させることができれば、兵力不足は大きな弱点となるだろう

純粋に軍事的な観点から見れば、近い将来、いずれの側も決定的な突破口を開くことはなさそうだ。

では、これらすべては何を意味するのか? 本当に何かが変わったのだろうか? 結局のところ、プーチンへの信頼を失いつつある人々や戦争にうんざりしている人々は、プーチンは生き残る可能性が高いと見ている。また、ウクライナで足止めを食らっているロシア軍が、決定的な敗北の危機に瀕している確証もない。これは単なる一時的な局面に過ぎず、秋までには、終わりが見えない、いわゆる「膠着状態の戦闘」に戻ってしまうだろうと言いたくなる。

とはいえ、4年を経て、ある種の転換点に達している可能性も否定できない。主な特徴は、ロシア国内における重要かつ新たな動き、すなわち、抑圧的な措置のデメリットがメリットを上回り始めたという認識かもしれない。

こうした不満が「臨界点」――つまり、指導者への支持が単純かつ突然に崩壊する時点――に近づいているかどうかは定かではない。それに対抗するのは、異議を検知し無力化するためにプーチンが指揮する強力な弾圧機構である。政治分析において、確信を持って測るのが最も難しいのは、漸進的な変化――筆者がロシアで察知していると思うもの――が臨界点に達し、決定的な転換を引き起こす瞬間である。こうした変化が起きたことに我々が驚かされるのは、通常、それを正確に予測することがほぼ不可能だからである。

プーチンはロシア国内での支持率低下に対する対応として、ウクライナでの軍事行動をエスカレートさせてきた。彼はウクライナへの爆撃、ミサイル攻撃、ドローン攻撃を強化することでこれを行っている。これは、国内の聴衆に向けて、勝利しているかのように見える演出を作り出すためである。したがって、もしここで米国の政策に機会があるとすれば、それはプーチンがそうした行動をとる能力を阻害する可能性にある。

そのような米国戦略の2つの重要な要素は、ウクライナへの防空能力の強化と、プーチンが攻撃を行う手段を無力化する中距離打撃能力の強化である。

もちろん、ウクライナを支援することは、戦争を終結させるための標準的な評価であり、これは目新しい考えではない。しかし、斬新なのは、これらすべての要因――プーチンの国内問題、彼による「見せ物」への欲求、そして現地での未解決の状況――が組み合わさっている点だ。これらが相まって、西側諸国が行動を起こすには特に好都合な局面が生まれている。今こそ、米国と欧州が、ウクライナの最も重要な戦力を強化するために最大限の努力を払うべき時である。これこそが、プーチンの現在の戦略を阻害し、ロシア国内における彼の統治に対する不満を煽るための最大の希望となる。

ウクライナの防空能力強化は最優先事項であり、ペイトリオットシステムは依然として最高水準の装備である。もちろん、こうしたシステムは高価であり――1システムあたり約10億ドル、ミサイル1発あたり400万ドル――供給も不足している。ウクライナは現在、米国、ドイツ、オランダを通じて調達した8基のシステムを運用中である。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、十分な防空網を確保するには25基が必要だと述べている。

トランプが、永年求めてきたウクライナに生産ライセンス契約を付与すると約束したことは、キーウにとって歓迎すべきニュースだ。これは戦略的に重要だが、主に米国の支援を示す政治的シグナルとしての意味合いが強く、2026年の迎撃ミサイル不足という危機に即座に作戦上の影響を与えるものではない。同危機においては、集中攻撃期間中の消費量が月あたり推定100発に達すると見込まれている。さらに、トランプが言及していたのが、迎撃ミサイルのみを指すのか、より広範なペイトリオット・システム全体を指すのか、あるいはウクライナや欧州におけるその他の種類の生産を指すのか、あるいはその両方なのかは、明らかではなかった。

さらに、システム全体の生産には極めて複雑なプロセスが伴う。これには、ロッキード、RTX、ボーイングという少なくとも3社が製造した部品の統合が必要であり、部品によっては製造や統合に他よりも多くの時間を要するものもある(この問題が最終組立の遅れの一因となっている)。

ここから現時点からウクライナでの生産ラインが稼働するまでの間のギャップを、兵器の移転、同盟国による購入、および優先順位付けによって埋める必要が残っていることがわかる。生産を加速させ、かつ/または運用19ヵ国から約17~18基のペイトリオットミサイルを調達することは、米国の産業界や外交、そしてウクライナの防衛産業基盤にとって極めて困難な課題ではあるとはいえ、乗り越えられないものではない。

もしトランプ大統領が「インパクト」を求めているのであれば、これを成し遂げること以上に、今日の国際舞台において決定的な成果をもたらすものは想像し難い。

たとえこれによってプーチン大統領がウクライナにおける目的を放棄したり、ロシアで政権交代が発生するとは、決して期待すべきではない。しかし、これにより彼のジレンマは深まり、選択肢は狭まり、面目を保つため終結を求めて交渉の席に着く方向に、情勢の均衡が傾く可能性はある。そうなれば、抑止力と安全保障の保証を通じ、将来にわたってウクライナの領土保全を保証するという、同様に困難な課題は、米国、欧州、あるいはその両者による外交に委ねられることになるだろう。■

著者について:ジョン・マクラフリン

ジョン・マクラフリンは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の教授である。2004年7月から9月まで中央情報局(CIA)の局長代理を務め、2000年から2004年までは同局の副局長を務めた。それ以前は、CIAの諜報担当副局長、情報評価担当副委員長、国家情報会議(NIC)の議長代理を歴任した。1968年から1969年にかけては、ベトナムで米陸軍将校として従軍した。

本記事に記載された事実、意見、分析はすべて著者個人のものであり、米国政府の公式な立場や見解を反映するものではない。本記事の内容は、米国政府による情報の認証や著者の見解への支持を主張または示唆するものと解釈されるべきではない。


ウクライナの無人機部隊「マジャールの鳥たち」がアゾフ海で大暴れ―ロシアは燃料確保に懸命だ

 Ukraine says it has attacked nearly 50 ships in the Sea of Azov over the past five days.

(『Magyar's Birds』のスクリーンショット)

ウクライナはロシア船多数をアゾフ海で攻撃したと主張

Ukraine Claims Scores Of Russian Ships Struck In Sea Of Azov


長距離ドローン攻撃はロシアの石油タンカーを標的とし、深刻化しつつあるロシアのエナジー危機に拍車をかけている

https://www.twz.com/news-features/ukraine-claims-scores-of-russian-ships-struck-in-sea-of-azov


ウクライナは、土曜日、アゾフ海でロシア船舶28隻をドローンで攻撃したと主張している。ウクライナ当局によれば、一連の攻撃は7月6日以降、同海域で毎日展開中の作戦の一環であり主にいわゆる「影の船団」の石油タンカー含む約80隻のロシア船舶が攻撃を受けたとしている。

これらの攻撃の結果、「ロシアは、ドン川とアゾフ海を結ぶ航路であるドン・アゾフ水路を通る船舶の航行を一時停止した」と、ロイターが報じた。同メディアは穀物輸出業界の3つの情報筋を引用している。

この措置は、金曜日、タンカー10隻を含むロシア船舶13隻が同海域で攻撃を受けたことを受けて取られたものである。市場アナリストらはロイターに対し、世界最大の小麦輸出国であるロシアからの小麦輸出の約25%がアゾフ海を経由していると指摘した。

アゾフ海作戦は、クリミア半島を孤立させるとともに、ロシアのエナジーインフラを攻撃し、同国の経済に打撃を与え、戦争遂行能力を低下させるという、ウクライナによる広範な取り組みの一環である。以前にも報じた通り、これらの攻撃はクリミア半島のロシア軍に打撃を与えている。また、しばしばロシア国内の深部まで及ぶこれらの攻撃は、同国全土の燃料供給に壊滅的な影響を及ぼしている。さらに、これらの攻撃はモスクワの攻勢を食い止める一助となり、ウクライナ軍の進撃への道を開いている

7月8日に撮影された、アゾフ海のケルチ橋付近で炎上するロシアのタンカーの衛星画像。(衛星画像 ©2026 Vantor)

7月9日に撮影された、アゾフ海のケルチ橋付近で炎上するロシアのタンカーの衛星画像。(衛星画像 ©2026 Vantor)

「7月11日の夜、『無人システム部隊の鳥たち』はアゾフ海でタンカー21隻、タグボート4隻、貨物船2隻、特殊用途船1隻を攻撃した」と、「マジャールの鳥たち」として知られるウクライナ第414独立無人攻撃航空システム旅団はXで発表した。この最先端部隊は、ウクライナのドローン部隊司令官ロバート・ブロヴディ(通称「マジャール」)にちなんで名付けられた。

「マジャールの鳥たち」は、船舶への攻撃に加え、「クリミアおよび一時占領地域の南部にある敵の後方深くで、艦隊資産やエナジーインフラを含む53の正当な軍事目標を攻撃した」と主張した。「『クリミア・スイッチオフ』作戦に終了日は存在しない」

同旅団はさらに、この「影のタンカー艦隊」への攻撃には、多岐にわたる部隊のドローン操縦士が関与したと付け加えた。

「帝国の技術的屈辱は続いている」と「マジャールの鳥たち」は宣言した。「クリミアのために、帝国は崩壊するだろう」

本誌はこれらの主張を独自に検証することはできないが、ソーシャルメディア上には、これらの攻撃の結果を示すとされる動画が多数投稿されている。「マジャールの鳥たち」は、動画をまとめた6本のコンピレーション動画を公開している。

同旅団は7月6日から、攻撃の動画を公開し始めた。最初の動画は、主にクリミア半島の標的に対する攻撃を収めたコンピレーションで、船舶2隻が被弾する様子が映し出されている。標的にはS-400地対空ミサイルシステム、レーダー、石油貯蔵施設などが含まれていた。

翌日7月7日、「マジャールの鳥たち」は、アゾフ海に20隻近くのタンカーが並んでいる広角映像で始まる動画を公開した。その後、映像は切り替わり、数隻が被弾して炎上する様子が映し出された。同部隊は、タンカー8隻、貨物船1隻、フェリー1隻が被弾したと主張した。

7月8日、「マジャールの鳥たち」は、さらに9隻のロシアタンカーが攻撃を受けたと主張した。

7月9日、「マジャールの鳥たち」は別の動画を公開し、前夜に14隻のロシア船が攻撃を受けたと主張した。

7月10日(金)、「マジャールの鳥たち」は、10隻のタンカー、1隻の貨物船、1隻のフェリー、および1隻の曳船に対する攻撃を主張した。

同部隊が公開した動画に加え、ソーシャルメディア上には、これらの攻撃の被害状況を示す他の動画も投稿された。

「マジャールの鳥たち」は使用されているドローンの機種名を明かしていないが、映像からは、特攻ドローンやFP-5フラミンゴ巡航ミサイルを製造しているファイア・ポイント製であることが確認できる。

「Defense Tech For Ukraine」集団の一員であり、ウクライナのドローン戦術の専門家である元カナダ軍将校のロイ・ガーディナーは、これらの攻撃はFP-2ドローンによるものだと推測した。

FP-1 and FP-2 – Drones that inflict pain on the Russian rear! | Weapons with @StarskyUA thumbnail

FP-1とFP-2――ロシアの後方を苦しめるドローン! | @StarskyUAの兵器

「これほど大量の爆薬を運搬できる射程を持ち、かつ大量に確保可能なUAVは、長距離型のAN-196『リウティ』以外にはない。AN-196ははるかに高価であり、この任務に投入するのは非合理的だ」 Xで@GrandpaRoy2というハンドルネームを使用しているガーディナーは、このように語った。

Fire Pointの共同オーナーデニス・シュティラーマンは最近、メディアTSNに対し、同社がFP-2攻撃用ドローンの弾頭重量を200キログラムに増量したと語った。同氏は、主翼の設計変更により、その弾頭を搭載した状態で最大370キロメートルの飛行距離を達成できるようになったと主張した。


ウクライナのドローンがミサイル運搬体へ! ウクライナの開発者による詳細 / TSN.Tyzhden

この射程距離により、ウクライナ軍は黒海の北に位置するアゾフ海のほぼ全域を射程内に収めることができる。動画からは、遠距離での「マン・イン・ザ・ループ」運用を可能にする高速衛星データリンクによって、これが実現されていることがうかがえる。これにより、ウクライナの海上ドローンは導入当初から運用が可能だったが、技術の小型化が進んだことで、現在では片道攻撃用兵器への大規模な導入が可能になった

アゾフ海(Google Earth)

タンカーを攻撃した航空ドローンに加え、ウクライナの国家保安局(SBU)は6月8日、「シー・ベイビー」海上ドローンで黒海でロシアのタンカーを攻撃した。これまで繰り返し報じてきた通り、ウクライナの海上作戦は圧倒的にロシア黒海艦隊に焦点を当てている。黒海艦隊の艦艇や施設に対する攻撃の成功多数が記録されており、その結果、占領下のクリミアからロシア本土の基地へと、ロシア海軍資産の全面的な撤退が余儀なくされている。

アゾフ海での作戦を受けて、一部のロシアの軍事ブロガーは、これらのタンカーを保護する措置をモスクワが十分に講じていないと非難している。

「テレグラムチャンネル『Military Informant』は、タンカーが無防備な状態で航行していたため、事実上ウクライナのドローン操縦者に格好の標的となってしまったと不満を述べた。現在、黒海艦隊は自軍を防衛することさえほとんどできない状況にあり、タンカーを援護する余地がなかった」とBBCは最近報じた

クレムリンは、ウクライナによる製油所、石油貯蔵施設、港湾、船舶、その他のエナジーインフラへの攻撃に注目している。

ウラジーミル・プーチン大統領は、「国営テレビで燃料不足に公に言及するほど懸念しており、ウクライナによる攻撃が『明らかに問題を引き起こしている』と認めつつも、『危機的状況ではない』と主張している」とBBCは説明した。

プーチン大統領が懸念を抱くには十分な理由がある。

「ウクライナによるドローン攻撃が大型製油所の操業停止を招いた結果、ロシアのガソリン生産量は季節平均消費量の約65%相当の水準まで落ち込んだ」と、ロイターは金曜日、「業界関係者2名およびロイターの試算」を引用して報じた

ウクライナの攻撃の結果、長らく主要な石油輸出国であったロシアは、供給不足を補い需要を満たすために輸入に頼るようになっている。

「ベラルーシからロシアへのガソリンとディーゼルの供給量は6月に月間過去最高を記録した一方で業界筋は先週、ロシアがインドからの海上輸送を開始したと述べた」とロイターは付け加えた。「トレーダーによると、隣国ベラルーシからロシアへは1日あたり最大6,000トンのガソリンが供給されている。備蓄も取り崩されている。」

ロシアはまた、ディーゼル、ガソリン、ジェット燃料の輸出禁止を検討するという抜本措置も講じている。

こうした一連の動きは、ドナルド・トランプ大統領が紛争終結に向け、進展が鈍く、断続的な取り組みを続ける中、ウクライナとロシア両国が領土と影響力をめぐり駆け引きを繰り広げている状況下で起きている。

ウクライナがロシアのエナジーインフラを標的にし、クリミアを孤立させることに成功したことは、どちらの側を支持するかで立場を繰り返し変えてきたトランプ大統領に影響を与えた可能性が高い。

先日当サイトが報じた通り、今週初め、トルコのアンカラで開催されたNATOサミットで、トランプ大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、驚くほど和やかな二国間会談を行った。その和気藹々とした雰囲気は、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に対し、ペイトリオット防空システムの迎撃ミサイルを製造するためのライセンスを約束するほどであった。これは、ゼレンスキー大統領が長年求めてきたものの、これまで実現していなかったものだ。

ウクライナはロシアの弾道ミサイルの集中攻撃を食い止めるため苦戦を強いられており、戦場では兵力や装備の面で圧倒的な劣勢にあり、戦闘は事実上膠着状態にある。それにもかかわらず、キーウによるアゾフ海作戦のような非対称的な取り組みがモスクワの優位性を相殺するのに役立っていると証明しつつある。■

ハワード・アルトマン

シニア・スタッフライター

ハワードはTWZのシニア・スタッフライターである。紛争について頻繁に執筆しており、特に中東とウクライナに焦点を当て、世界中の軍・諜報当局者や産業界のリーダーへのインタビューを行っている。彼は、米中央軍および米特殊作戦司令部の本拠地であるフロリダ州タンパ近郊に住んでいる。

無人装備は世界を変えた―海軍を有さないウクライナがここまでロシア海軍を追い詰めている様子を各国海軍が注視している

 


ロシア艦隊を封じ込めた

海軍のないウクライナへ世界各国の海軍が注目中


Ukraine Has No Navy. It Just Drove Russia’s Fleet Into Hiding and Forced It to Cage Its Own Submarines — and Every Navy on Earth Is Taking Notes


衛星写真から黒海に展開するロシア潜水艦の司令塔に格子状の檻を取り付け、自国の港内でウクライナのドローンからマストを隠す様子が明らかになった。ウクライナはこの戦争を、たった1隻の軍艦で開始したが、その艦は開戦当初に自沈させた。以来、ウクライナは、自らに向け発射された魚雷より安価な小型艇を用いて、世界有数の艦隊の約3分の1を破壊し、その教訓は世界中の海軍に響き渡っている


https://www.19fortyfive.com/2026/07/ukraine-has-no-navy-it-just-drove-russias-fleet-into-hiding-and-forced-it-to-cage-its-own-submarines-and-every-navy-on-earth-is-taking-notes/

の夏、衛星写真により、ロシアが黒海に配備された自国の潜水艦の司令塔の上に格子状のケージをボルトで固定し、自国港内でウクライナのドローンからマストやハッチを隠していることが明らかになった。ウクライナはこの戦争をわずか1隻の軍艦で開始したが、その艦は敵の手に渡らないよう、開戦当初に自沈させられた。それ以来、ウクライナは世界有数の艦隊の約3分の1を撃沈または座礁させ、生き残った艦艇をクリミアからもはや防衛できない港へと追いやり、かつて自分たちに向けて発射された魚雷よりも安価な潜水艦を用いて、軍艦の価値という概念を書き換えた。世界中の海軍が注目しているのは、この教訓がすべての海軍に突きつけられることになるからだ。

7月3日、英国国防省は、6月上旬の衛星画像で明らかになっていた事実を確認した。ロシアの黒海艦隊が、ノヴォロシースクにおいてキロ級潜水艦のセイル上にドローン対策用ケージの取り付けを開始した。運用中4隻のうち3隻はすでに改造が完了している。この格子状カバーは、潜水艦の水中でのステルス性を損なうことなく、潜望鏡、通信マスト、ハッチをウクライナの攻撃用ドローンから守ることを目的としている。これは小規模で即興的な、しかし多くを物語る措置だ。世界で最も歴史ある海軍の一つが、埠頭で潜水艦を生き延びさせるため、潜水艦にケージを溶接するまでに追い込まれているのだ。そしてこれは、単一の艦隊の不運をはるかに超える、より大きな何かを示す最新の兆候である。

ウクライナが海上で行った作戦の規模には前例がない。ウクライナ国防省の集計によれば、ロシアの黒海艦隊の約3分の1が破壊または深刻な損傷を受けたとされており、英国国防省は早くも2024年3月時点で、同艦隊を「機能的に不活性」と判断していた。2023年10月に歴史的な母港セヴァストポリから追い出された同艦隊は、200マイル以上東のノヴォロシースクへ撤退したが、今年の展開として、ノヴォロシースクも安全な場所ではなくなった。3月の200機以上のドローンを用いた攻撃により、掃海艇1隻が沈没し、対潜艦2隻が損傷したと報じられている。4月の攻撃では、フリゲート艦「アドミラル・エッセン」と「アドミラル・マカロフ」が被弾した。これらは、2022年に巡洋艦「モスクワ」が撃沈されて以来、ロシアが黒海に残していた最大級の艦艇である。12月には、ウクライナの水中ドローンが係留中の潜水艦を攻撃し、無人水中機が停泊中の潜水艦を任務遂行不能に追い込んだのはこれが初めてと評価されている。ウクライナの海上ドローンは航空機の撃墜さえ成し遂げている:「マグーラ」型ボートは、水上から発射されたミサイルでロシアのヘリコプター2機、続いてSu-30戦闘機2機を撃墜した。これは海軍戦史上初の事例である。これらすべては、戦前の海軍戦力がフリゲート艦1隻に過ぎなかった国によって成し遂げられたのである。

これがモスクワにとって単なる不運の連続ではなく、革命である理由は、コスト計算にある。ウクライナ海軍ドローンの価格は数十万ドルで、魚雷1発よりも安いにもかかわらず、これらのドローンは数千万相当の軍艦を沈め、何世代にもわたって築き上げられた艦隊を隠遁に追い込んだ。4世紀にわたり、海軍力とは数百人の乗組員を乗せた高価な艦艇を意味しており、その投資の論理全体は、安価な兵器が大規模にそれを脅かすことはあり得ないという前提に基づいていた。ウクライナは、世間の目の前でその前提を打ち砕いた。艦隊を持たずとも、ロシアが沈める速度よりも速く秘密工場で製造できる使い捨て装備を用いることで、「海上拒否」――敵艦隊にとってその海域の利用が危険すぎる状態を作り出す能力――を達成したのだ。

だからこそ、世界の海軍大国は異例なまでの熱意をもって黒海を注視している。中国との戦争の可能性に焦点を移しつつある米国防総省は、この20年代の終わりまでにインド太平洋全域に小型無人水上艇数千隻を配備する計画であり、6月には、フィリピン沖での演習において、米特殊部隊がウクライナ製の「マグーラ」で標的艦を撃沈した。これは太平洋地域における同技術の初の実戦投入であった。この教訓は、海上における最も高価資産に直撃する。数十万ドルのボートがフリゲート艦を脅かすことができるなら、同じ理屈が100億ドルの空母にも当てはまるからだ。これは、米国の造船能力の脆弱性太平洋における固定基地や大型プラットフォームの脆弱性に関するあらゆる警告をさらに深刻なものにしている。これらは、台湾をめぐる戦闘を想定した戦争ゲームにも共通する懸念である。NATOはすでにウクライナの戦術に対する訓練を行っており、昨年ポルトガルで行われた海軍演習では、ウクライナ自身のドローン操縦チームが、あらゆるシナリオで同盟軍を打ち負かした。海軍を持たない国が、教官の役割を果たすようまでになったのである。

とはいえ、これで物語が終わったわけでも、ハイライト映像が示唆するような一方的な展開であるわけでもない。ロシアは適応を進めており、その姿勢は真剣だ。英国国防省は、ロシア海軍がウクライナとの差を埋めるために、独自の攻撃用ドローンと対ドローン防衛システムの両方を開発していると分析している。ロシアは港湾の防護を強化し、ヘリコプターを用いて、空中のFPV(ファーストパーソンビュー)カメラを搭載したウクライナの海上ドローンを狩っている――「コープ・ケージ」は、その中でも最も目立つ一部に過ぎない。この競争のペースは過酷だ。アナリストたちは、イノベーションのサイクルが数ヶ月単位で進むと説明している。今日支配的な兵器も、一シーズン以内に打ち消される可能性がある。つまり、ウクライナの優位性は守り抜くべきリードであり、不変の法則ではないのだ。ドローンにも現実的な限界がある。電波妨害を受けたり、荒天で苦戦したり、多くは目標に到達する前に撃墜される。警戒態勢を保ち、分散し、防御された艦隊は、2023年にウクライナが奇襲を仕掛けた、停泊して油断していた艦隊よりもはるかに攻撃しにくい標的だ。そして、ウクライナの成果のすべては西側の技術に依存している。ロシアが独自の海軍ドローン作戦を構築しようとしたが、SpaceXがスターリンクへのアクセスを遮断したことで、その計画は停滞したと報じられている。これは、この革命の多くが、単一の企業が管理する衛星ネットワークにどこまで依存しているかを思い知らせるものだ。

しかし、適応は逃避とは異なり、その方向性は紛れもない。ロシアが講じてきたあらゆる対策――東方への撤退、港湾の要塞化、ヘリコプターの投入、潜水艦への防護檻設置――はすべて、この安価な機械がルールを変え、大国の海軍に、自国の艦艇の数分の1のコストしかかからないボートに対する防御に時間と資金を費やすことを強いているという事実への譲歩に他ならない。これこそ心に留めておくべきイメージだ。ウクライナの勝利というわけではないが、ノヴォロシースクで、どの潜水艦を最初に「檻」に入れるかを決めているロシアの提督の姿である。依然として巨大で高価な艦艇の数で戦力を測るすべての海軍は、今や密かに同じ計算を行っており、その答えがロシアの場合と異なるものになるよう願っている。■

著者について:ハリー・J・カジアニス

ハリー・J・カジアニス (@Grecianformula) は、リチャード・ニクソンが設立し、ワシントンD.C.に拠点を置く外交政策シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト(CFTNI)」の元国家安全保障担当シニア・ディレクターである。ハリーは、シンクタンクおよび国家安全保障関連の出版分野において、10年以上の経験を持つ。彼の見解は掲載されたニューヨーク・タイムズワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、CNN、その他多くのメディアを通じて世界中に発信されている。CSIS、ヘリテージ財団、ノッティンガム大学、および国家安全保障の研究・調査に関連するその他の複数の機関で要職を歴任した。『ナショナル・インタレスト』および『ザ・ディプロマット』の元編集長でもある。ハーバード大学で国際関係を専攻し、修士号を取得している。