2026年11月4日水曜日

突如浮上してきた米中ロ首脳会談は新たなヤルタ体制への布石となるのか―米国が世界に指導力を今後も発揮できるのか懸念が生まれてくるだろう

 

米中ロ首脳会談は新たなヤルタ会談になるのか?

The Donald Trump-Vladimir Putin-Xi Jinping Summit: A New Yalta?


プーチン・習近平を交えた前例のない首脳会談は、ワシントンの外交的影響力を示すものとなるかもしれない。しかし、同時に、米国の力と信頼性の間に広がる溝を浮き彫りにしかねない。


ドナルド・トランプ大統領が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領および中国の習近平国家主席との前例のない3カ国首脳会談に前向きな姿勢を示している。この会談は、今年11月に深センで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットの場外で行われる可能性もあるが、その意義はウクライナ戦争をはるかに超える。

報道によると、提案はモスクワ発で、プーチン大統領はトランプ大統領との関係改善を活かすことを狙っている。しかし、トランプ大統領は、こうした会合ではウクライナ問題より核軍縮に焦点を当てるべきだと示唆している。

とはいえ、このような首脳会談の意義は、当面の議題をはるかに超えて広がるだろう。国際関係におけるより広範な変容――すなわち、確立された機関、同盟、多国間枠組みを、大国間の直接的な取引に置き換えたいという誘惑が高まっていること――を反映する。

もっと根本的な疑問は、このアプローチが米国の力そのものについて何を明らかにしているかという点だ。ワシントンは国際秩序を形作る独自の能力を示しているのか、それとも、その力をこれほどまでに効果的なものにしてきた信頼性を徐々に損なっているのか。

トランプ・習近平・プーチン首脳会談で最大の恩恵を受けるのは誰か?

提案されている首脳会談は、ワシントンが最近モスクワに対し示している姿勢の変化という文脈で捉える必要がある。今月初め、トランプ大統領はロシア産ディーゼル燃料の輸入を認め、10月16日には 施行を免除し、 「リンジー・O・グラハム・ロシア・イラン制裁法」に基づき ロシアに対する新たな制裁や関税を一時停止した。法的には許容される措置ではあるが、共和党内からも批判を浴びたこれらの決定は、相応の譲歩を引き出さないまま、ロシアへの経済的圧力を弱めている。

一方、ウクライナは、こうした制限措置が衛星通信に影響を及ぼし、情報支援を妨げていると懸念を表明している。ワシントンはこれらの主張の一部を否定しているが、ロシアが民間施設へ攻撃を続ける中、この不確実性はウクライナが米国に依存している実情を浮き彫りにしている。こうした背景において、華々しい三カ国首脳会談は、物議を醸している米国とロシアの和解への注目をそらす役割も果たすかもしれない。

ドナルド・トランプにとって、首脳会談は、非効率的と見なす多国間機関よりも大国間の直接交渉を好む本人の姿勢や、確立された枠組みや伝統的な同盟関係よりも、海外指導者との個人的な関与や目に見える合意を優先する取引的な外交アプローチを反映するものとなるだろう。また、戦略的な計算の表れでもあるかもしれない。ウォルター・ラッセル・ミードが論じているように、ワシントンは、ロシアの北京への依存を制限し、エナジー市場を管理し、イスラム過激主義に対抗することにおいて、モスクワと共通の利益を見出している可能性がある。

この論理に加え、トランプが欧州の戦略的懸念に対して比較的無関心であることから、欧州の安全保障が、より広範な地政学的妥協における交渉材料となる可能性が高まっている。しかし、首脳会談がもたらす当面の利益は、主に政治的かつ象徴的なものとなるだろう。ロシアと中国の指導者を一堂に集めることは、米国の主要な競争相手と直接交渉できる「ディールメーカー」としての彼のイメージを強めることになる。

ウラジーミル・プーチンにとって、得られる利益はさらに大きくなる可能性がある。ワシントンの最近の決定によりモスクワへの圧力は緩和された一方で、ワシントンとキーウ間の緊張は高まっている。米国および中国の大統領と並んで首脳会談を行うことは、2022年のウクライナ侵攻後に孤立したロシアの国際的地位を正常化させることになるだろう。また、西側主導の秩序を、競合する大国と影響圏を軸とした秩序に置き換えたいプーチンの野望を前進させることにもなる。ウクライナをめぐる交渉がキーウの直接的な参加なしで進められれば、モスクワは自らの侵略行為をワシントンとモスクワ間の交渉材料に変えて、さらなる優位性を獲得することになるだろう。

もしこの首脳会談が、キーウの直接参加なしにウクライナをめぐる交渉への道を開くことになれば、モスクワはさらに重大な成果を収めることになる。すなわち、自らの軍事侵略をワシントンとモスクワ間の交渉材料へ変えることになる。

習近平の計算は異なる。このような会合を主催することは、中国が国際安全保障ガバナンスにおいて不可欠な役割を担う存在であることを強固にする。しかし、北京には慎重になる理由がある。習近平は、ウクライナの解体を正当化し、欧州連合との関係をに損なう解決案を支持することには消極的かもしれない。また、中国の犠牲を代償として交渉された米露の和解を歓迎する可能性も低いだろう。

したがって、3人の指導者全員が利益を得る立場にあるが、このサミットの広範な意義は、その象徴性にある。すなわち、数十年にわたり国際安全保障の枠組みを形成してきた機関や同盟の外で機能する、非公式な大国間の協調体制の台頭である。欧州にとって、これは不安定化要因となり得るほか、ロシアが国際的な正当性を回復しつつ、軍事的目標を追求できることを示唆する可能性がある。

核軍縮:真剣な目標か、それとも外交上の口実か?

トランプ大統領がサミットではウクライナ問題より核軍縮に焦点を当てるべきだと示唆したことは、ワシントンがモスクワに対してどのような譲歩をする用意があるかという点から世間の関心をそらす可能性がある。しかし、核軍備管理を単なる外交上のパフォーマンスとして一蹴すべきではない。世界は核競争の新たな時代に突入しているからだ。

トランプは第1期政権において、中国を排除した軍備管理協定に疑問を呈した。2019年にワシントンが中距離核戦力(INF)条約から脱退した理由の一つは、中国が同条約に参加していなかったことだったが、主な正当化理由は依然としてロシアによる条約違反であった。また、トランプ政権は中国をより広範な戦略的軍備管理交渉に引き入れようとしたが、成功しなかった。

それ以来、課題は深刻化している。新START条約は2026年2月失効し、米国とロシアの戦略核兵器を制限していた最後の拘束力ある二国間条約が終了した。ワシントンとモスクワで合わせて世界の核兵器の約86パーセントを保有している一方、中国の核兵器の拡大は、二国間であった均衡を三極間の競争へ変容させつつある。

しかし、三カ国間の軍備管理には大きな障害が立ちはだかっている。中国の核兵器保有数が米国やロシアの保有数よりはるかに少ない現状では、北京側に数量制限を受け入れる動機はほとんどない。一方、ワシントンは、主要な核競争相手2つと同時に対峙する可能性を考慮しなければならない。

欧州とインド太平洋地域も相互に関連し合っている。モスクワへの譲歩は、北京に対する米国の抑止力計算に影響を及ぼす可能性がある。一方、ロシアは戦略的優位性を確保するため核の威嚇を使い続けており、中国は核兵器の近代化と増強を進め、米国は核三本柱の近代化を進めている。

こうした情勢下でも、軍備管理が不可能になるわけではないが、信頼性のある合意には、継続的な交渉、検証メカニズム、相互の約束、そして戦略的な予測可能性が必要となる。個人間の外交で知られる3カ国の首脳による即興的な首脳会談では、意向表明は出ても、持続可能な合意の制度的基盤は築けないだろう。

核軍備管理は重要な戦略的目標である。問題は、派手な首脳会談が交渉のきっかけとなるのか、それとも根本的な戦略的課題を解決しないまま、政治的妥協の外交的口実を提供するに過ぎないのかという点だ。

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核軍備管理プロセスの再開は欧州の安全保障に利益をもたらす可能性がある。SALTからSTARTに至るまで、米ソおよび米露間の合意は、戦略的競争を抑制し、核リスクを低減するのに寄与してきた。

危険が生じるのは、米国、ロシア、中国が、自国を世界的な核均衡の唯一の仲裁者と見なし始めた場合である。

何十年もの間、欧州における米国の拡大抑止は、核による保証だけにとどまらなかった。通常戦力の駐留、共同計画、情報共有、兵站支援、そして作戦上の統合が、ワシントンの公約に実質的な裏付けを与えてきた。したがって、欧州同盟国との有意義な協議なしに交渉された核合意は、NATOの核態勢を形式的には変更することなく、米国の安全保障保証に対する信頼を損なう可能性がある。

その影響は、ワシントンとパリ、ロンドンとの二国間関係にも波及するだろう。フランスの独立した核抑止力と、英国の主権を保ちつつも米国と緊密に統合された核関係は、それぞれ異なる課題に直面することになる。とはいえ、モスクワや北京との広範な妥協において、欧州の核に関する利益が交渉材料となれば、両関係とも試練にさらされる可能性がある。いずれの関係も自動的に崩壊するわけではないものの、政治的な打撃により、欧州が自律的な抑止体制を構築する動きが加速する恐れがある。

逆説的なことに、核リスクを軽減することを意図した取り組みが、大西洋両岸の分断を深め、欧州に大きな戦略的責任の追求を加速させる可能性がある。したがって、いかなる合意でも重要なのは、核兵器削減につながるかどうかだけでなく、欧州の安全保障が依存する同盟関係を弱めることなく、戦略的安定を強化できるかどうかである。

ヤルタ会議との類似性の限界

ヤルタ会議との象徴的な比較は避けがたい。1945年2月、フランクリン・デラノ・ローズベルト、ウィンストン・チャーチル、ヨシフ・スターリンは、戦争の最終段階と戦後の秩序を協議した。その後、ヤルタは、小国の全面的な参加なしに大国がそれらの未来を決定した象徴となった。関係国抜きでウクライナの将来や、欧州・台湾に影響を及ぼす安全保障上の取り決めを決定しようとする深センでの首脳会談も、同様の批判を招くだろう。

しかし、この類比には限界がある。1945年、ソ連軍は東ヨーロッパの大部分を占領しており、西側指導者は現地の軍事的現実を覆す手段をほとんど持っていなかった。ヤルタ会議が単独でヨーロッパを分割したわけではなく、それは数十年にわたり大陸の様相を形作ってきた戦略的状況を反映したものに過ぎなかった。今日、ウクライナは抵抗を続けており、欧州諸国は防衛能力の再構築を進めており、世界的な経済的相互依存関係が、排他的な影響圏の確立を複雑にしている。

したがって、現在浮上しつつあるのは、新たな「ヤルタ」というより、取引の多極化である。すなわち、大国は二国間や三国間の取引を追求しつつも、完全に制御できない軍事的、政治的、経済的現実による制約を受け続けている。

さらなる違いは、モスクワと北京の間の非対称性だ。1945年のソビエト連邦は、ナチス・ドイツ打倒への軍事的貢献によって戦後秩序に対する絶大な影響力を確保したが、今日のロシアは経済、産業、技術の面で中国への依存をますます高めている。その核兵器と軍事力は重要な戦略的自律性を維持しているものの、北京の包括的な世界的な力に及ばない。3カ国首脳サミットに見られる表向きの対等性は、この不均衡を覆い隠すだろう。

また、そのような会合からどのような具体的な合意が生まれるのかは不透明だ。それは、世界を再編する試みというより、大国外交を慎重に演出した見せ物に過ぎないかもしれない。危険なのは、ヤルタ会談の再現というより、大国が他国の同意なしに、その安全保障や主権を交渉できるとの原則が常態化してしまうことにある。

米国は比類なき能力を持つものの、外交的信頼度は低下している

トランプ・習近平・プーチンによる首脳会談の可能性は、米国の力に内在する根本的なパラドックスを浮き彫りにしている。米国は、世界的な同盟ネットワークに支えられ、比類なき軍事的、技術的、財政的、そして外交的能力を保持している。プーチンがトランプとの直接交渉を推し進めていることや、いかなる合意においても中国が重要な役割を果たすという事実は、ワシントンの中心的な役割を浮き彫りにしている。しかし、物質的な優位性だけではリーダーシップは保証されない。信頼できる公約、予測可能な意思決定、そしてパートナーの信頼も不可欠である。

多国間機関に対するトランプの長年にわたる懐疑的姿勢――そして、こうした機関に主要な紛争を解決する能力がないという認識――は、大国間の直接交渉を好む本人の姿勢を強め、その外交を形作っている。個人的な会談、劇的な発表、そして派手な合意は、力の誇示として目に見える形で示される。しかし、この傾向は戦略的な代償を隠してしまう可能性がある。すなわち、合意が威圧を助長したり、商業的な取引が敵対国への圧力を弱めたり、あるいは同盟国の利益を交渉の材料にするというワシントンの姿勢を露呈したりする恐れがあるのだ。

同盟国にとっての問題は、もはや単に米国が自国を守れるかどうかというだけでなく、政治情勢が変化したり、取引的な取り決めが魅力的に見えたりした際に、米国の公約が持続するのかという点にある。こうした疑念は欧州にとどまらない。アジアの同盟国は、自国の安全保障の保証を評価する中で、ワシントンがウクライナ問題をどう扱うかを注視しており、中東のパートナー国も米国の公約の持続性に疑問を抱いている。こうした認識は、敵対勢力の計算にも影響を及ぼす。抑止力は軍事力だけでなく政治的意志にも依存する。たとえ圧倒的な優位性を有していても、交渉の余地があるように公約が写る場合、抑止が失敗する可能性がある。

敵対国との二国間取引を優先させることで、ワシントンは自らの最大の戦略的優位性の一つ、すなわち世界的な影響力、作戦上の深み、そして正当性を提供する同盟ネットワークを損なうリスクを負っている。ロシアも中国も、これに匹敵するシステムを保有していない。これらのパートナーシップは、米国の力に対する制約ではなく、その主要な源泉の一つなのである。

深センで首脳会談が実現した場合の核心的な疑問は、トランプが単に劇的な外交パフォーマンス以上のもの――すなわち、欧州の安全保障上の利益を犠牲にする可能性を伴いながら、大国間の選択的な取引に基づく地政学的な再編――を追求しているのかどうかという点である。米国の問題は、力の欠如ではなく、力の「見せかけ」を「実効的な行使」と混同するリスクにある。同盟関係の基本となる信頼を顧みずに短期的な外交的突破口を追求することで、ワシントンは実質的に依然として無敵の地位を維持しつつも、その最大の戦略的優位性の一つである「パートナーからの信頼」を弱体化させる可能性がある。

深センからどんな宣言が発せられても、より深く、国際秩序を一変させることになるだろう。■

著者について:ツィポラ・フリード

ツィポラ・フリード は、ハドソン研究所の客員上級研究員であり、大西洋横断の安全保障、軍事戦略、防衛イノベーション、および新興技術の戦略的意味合いを研究の中心としている。彼女はフランス統合参謀本部副議長のシニアアドバイザーを務め、戦略的フォアサイト、ネットアセスメント、人工知能、ウォーゲーム、防衛イノベーションに関する業務を主導した。国立行政学院(ENA)を卒業し、パリ政治学院(Sciences Po)で政治学の修士号、国立東洋言語文明学院(INALCO)でロシア語・ロシア文明の学位を取得している。


一年超にわたる長期海上展開がこれからの米海軍の「新状態」になる―艦艇のみならず、乗員や整備補給能力へのしわ寄せが顕著になり、結局戦力低下につながるのではないでしょうか

 

1年にわたる艦艇展開が米海軍の「新常態」となるのか?

Are yearlong deployments the Navy’s new normal?


当局は日本を母港とする水兵の家族にそう伝えている。日本からは駆逐艦2隻が12か月・14か月の巡航を予定している。

米海軍の駆逐艦「ジョン・フィン」が1月に母港を出港した際、乗組員は3月には帰港できると予想していた。しかし、延長に次ぐ延長が重ねられ、家族には、14か月の展開を経て来年3月に帰還する見込みだと伝えられている。

同じくアーレイ・バーク級駆逐艦「マスティン」は今年、母港を変更し、2月にサンディエゴを出港して3月に横須賀に到着した。乗組員たちが艦を降りた際、「明日」にも再出動する準備をしておくよう告げられた。

「マスティン」は実際に4月に日本を出港し、8月に終了する予定だった展開に就いた。しかし現在、乗組員たちは2027年4月に帰還することになると伝えられていると、ある乗組員の配偶者が本誌に語った。

空母「エイブラハム・リンカン」の記録を更新した322日よりも1ヶ月以上も長いこれらのマラソン並の展開は、米軍艦艇にとって「新常態」となるかもしれない。先週、海軍当局者は横須賀に残る家族に対し、当面の間、国内・海外を問わず、すべての艦艇の展開および哨戒任務は10~12ヶ月間続くことになると伝えた。

この発言について問われた海軍の広報担当は本誌に対し、「作戦上の機密保持のため、将来の作戦や移動について言及しないことが米海軍の方針」と述べた。

しかし先月、海軍作戦部長ダリル・コードル大将は、「必要な海軍を拡大できる」まで、乗組員とその家族は「より長期の展開」を覚悟すべきと述べた。同軍の戦闘部隊は艦艇約290隻で構成されており、2年前の295隻から減少しているものの、10年前の約275隻からは増加している。

「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」の研究担当副所長キャサリン・クズミンスキーは、ここ数十年、海軍は概ね6~7ヶ月間の展開を維持してきたが、それは絶対的な方針ではないと述べた。しかし同氏は、「現在、その約束は破られている」と指摘した。

「もちろん、作戦上の必要性や要請次第ではあるが、軍人と家族は、進行中の作戦において課される要件に応えることには全面的に賛同していると思う」とクズミンスキーは述べた。「海軍がこの問題を緩和できる一つの方法は、実際に最初から長期化を公約し、軍人とその家族に対して明確に伝えることだ。」

リンカン艦上の乗員の苦境に関する最初の報道が浮上すると、他の軍種や過去の紛争に従軍した退役軍人の一部が、自分たちが経験したより長期の派遣についてすぐにネット上に投稿した。しかしクズミンスキーによれば、問題は派遣期間の長さそのものではなく、「当初の説明と実際の状況との間の不一致」にあるという。

その不一致は、横須賀を拠点とする数隻の「前方展開」型誘導ミサイル駆逐艦の一つであるジョン・フィンにおいて特に顕著である。他の海軍艦艇は通常、約6ヶ月間展開した後、1年間母港に戻る傾向があるのに対し、前方展開艦は通常、1回につき2~3ヶ月間出航し、その後2~3ヶ月間母港に戻って整備を行った上で、再び出航する。こうした展開は、同地域における艦艇の戦闘準備態勢を維持し、中国からの侵略を阻止し、「自由で開かれたインド太平洋」を維持することを目的としている。

昨年、ジョン・フィンは6月に同地域への「通常の」展開のため出港し、11月初旬に帰港した。しかし、その後の2か月の大半は、再出航に向けた慌ただしい準備に費やされた。

「実際に彼に会えたのは、合計たったの20日だけでした」と、同艦に乗船する水兵の配偶者は本誌に語った。

1月初旬、同艦は再び出航した。当初の予定では、45日から60日程度の展開となる見込みだった。同艦はインド洋に向かい、ヴェネズエラの石油タンカーへの臨検に関与した後、「エピック・フューリー」作戦が始まる直前にアラビア海へ移動するよう指示を受けた。

同艦はイランに対する初期攻撃の一翼を担ったと配偶者は述べ、「今も現地にいる」という。

今月初め、乗組員たちは2027年3月までは帰国できない可能性が高いと告げられた。

「基地に放置された車の中には、レッカー移動され、その後スクラップにされるようステッカーが貼られたものもある。だから、戻ってきても車がない乗組員もいるだろう」と、配偶者は語った。「彼らは冬に出動した。基地外に住む独身水兵の中には、家やアパートを1年以上も放置したままにしている者もいる。冬に出発した際、暖房を『常時稼働』モードのままにしておいたが、やがて夏がやってきた」。水兵たちは「帰国したら、持ち物がすべて台無しになっている」と分かっている。

家族にとっては、親の一人がいない状態が1年以上も続くことになり、長期派遣に向けた準備も何一つできていない。

「子供たちにとって本当に胸が張り裂けるような思いでした」と配偶者は語り、基地内では「メンタルヘルス支援はほぼ皆無」だと付け加えた。派遣期間は「駆逐艦として前代未聞」だと彼女は述べた。

フィン事例は極端だが、横須賀を拠点とする駆逐艦で決して珍しいことではない。

米国防総省のメディアサイト「DVIDS」に掲載された写真によると、「ラファエル・ペラルタ」は11月にフィリピン海、12月に南シナ海、そして1月8日に再びフィリピン海に姿を見せた。その後、帰港せず4月に中東へ向かい、現在も同地に留まっている。家族たちには、2027年4月までは帰港を見込まないよう伝えられている。

4月にインド太平洋海域で数時間にわたり動力と推進力を喪失した駆逐艦ヒギンズは、修理後に展開を継続し、現在インド洋で活動中。駆逐艦ミリウスは2月に日本を出港し、3月以来中東に滞在したままだ。

マスティンは2月に以前の母港サンディエゴを出港し、3月に日本に到着した。通常、乗組員には母港変更に伴い、特に海外転属の場合、家族の引越しや新居への定着を支援するため30日間の猶予が与えられており、家族の大半は艦船が到着するまで引越しを待っていた。しかし、「艦が着岸した瞬間、夫が艦から降りてきて、『明日出発する準備をしておかなければならない』と言った」と、マスティンの配偶者の一人が本誌に語った。

同艦は、ソナーの不具合により専門家を呼び寄せて修理する必要があったため、新しい母港に数週間留まったが、その間、乗組員たちはいつでも出航できる態勢を整えておく必要があったため、休暇は与えられなかったと、配偶者は語った。彼らは4月に出航し、8月に帰港した後、年末の休暇期間中に再び出航し、2月から始まる数ヶ月にわたる定期整備に入る予定だった。

しかし、8月になると、艦長は乗組員に「あと1ヶ月ほど」出航状態が続くと伝えたと、配偶者は語った。数週間前、乗組員は2027年4月まで帰還できないと告げられた。

この状況は、乗組員や家族にとってさらに苛立たしいものとなっている。というのも、同艦は展開期間のほぼ全期間をインド洋で「予備艦」として過ごしてきたからだ。

「彼らは封鎖線には入っておらず、いわば次番手として、ただそこで待機しているだけなんです」と彼女は語った。

この区別により、マスティンの乗組員は戦闘手当や給付金を受け取ることができない。

「彼らが忘れ去られていると感じているのは分かっています」と彼女は述べた。

ジョン・フィンの乗組員の配偶者は、リンカンの長期展開に関するメディアの報道を目にする一方で、同艦を支援している他の艦艇が「置き去りにされている」ことを知っているため、家族や乗組員にとって苛立たしい状況だと語った。

「長期展開なら私にも耐えられる」と彼女は言った。「問題なのは、これがいつ終わるのかという答えがないことだ。……なぜ艦艇を交代させないのか? それなら、なぜ私たちはそこにいるのか?なぜ前線展開中の艦艇より先に、本国の艦艇を帰還させているのですか?」

艦艇が交代されていない理由についての質問に対し、海軍の広報担当は、「国防総省は世界的な戦力管理について慎重かつ周到なアプローチをとっており、各戦域におけるリスクと当面の作戦上の要件とのバランスを絶えず図っている」と述べた。

クズミンスキーは、長期展開が常態化していくのであれば、海軍が水兵やその家族に対し、今後どのような状況になるかを率直に伝えることが重要だと述べた。

しかし、この状況は別の問題も浮き彫りにしている。海軍には、正式承認された文民の海軍長官がいない。「海軍長官とは、基本的に、事態の進捗状況について議会に対して説明責任を負う人物である」と彼女は述べた。

「これが『新常態』なのか? どのように対処しているのか? 水兵たちをどう備えさせるのか? 家族をどう備えさせるのか? 艦艇をどのように備えさせるのか?」海軍長官がいなければ、こうした重要な疑問に答えることは難しいと彼女は指摘した。■


2026年11月3日火曜日

カナダ向けF-35の引き渡しが始まったが、米国との対立を受けて発注全88機の行方はまだわからない―カナダ政府は米国への嫌がらせでサーブ・グリペンの調達を匂わせているが、軍当局はライトニングIIの受領を希望

 

カナダがF-35の 初回2機を受領したが計88機発注の行方は不透明なまま

Canada Receives First 2 F-35s, But Its Full 88-Jet Order Hangs In The Balance


F-35 Royal Canadian Air Force

出典:RCAF

カナダ王立空軍(RCAF)は、米国からF-35戦闘機2機を初めて受け取った。しかし、最大88機となる第5世代ステルス戦闘機の発注全体にはカナダ政府による審査が続いている。最初の2機は、10月22日(木)にルーク空軍基地で引き渡された。

2機のロッキード・マーティンF-35は、パイロットが操縦の専門訓練を受ける間、アリゾナ州に留まる。RCAFは、この訓練プログラムをいつ開始するかについては確認していない。

カナダにおけるF-35の追加発注がなぜ不透明なままなのか

F-35A Prototype AA-1 3

出典:Navy Service News |ウィキメディア・コモンズ

カナダのマーク・カーニー首相は以前、最大88機の発注を一旦保留し、代替案としてスウェーデンのサーブが製造するグリペン戦闘機の導入を検討していると報じられている。これは、カナダと米国の間で続く貿易摩擦の最中に起きた。カーニー首相による検討は1年以上前に結論が出る予定だったが、議論は続いている。

今年初めに本誌が報じた通り、同国はすでにF-35戦闘機14機の追加購入代金の支払いを確定しており、これにより総発注数は16機となった。残る72機については、北米の2カ国間の広範な貿易交渉の行方次第で不透明な状況にある。カーニーは、最初の16機での継続的な支払いが、交渉材料として機能していることを認めた。

しかし、RCAF向けには、サーブのグリペンをはじめとする代替機が検討されているほか、カナダ国内での航空宇宙・防衛産業の復活も検討されている。

最大80億ドルのF-35予算

RCAF向けのF-35プログラムの総費用は、当初の予算80億ドルを上回っている。両国間の緊張の高まりを受け、カナダは代替案としてサーブ JAS 39 グリペン Eの導入を検討している。この機体は、メンテナンスの容易さと北極圏の気温下での汎用性が高く評価されている。

しかし、軍幹部は、ロシアや中国といった手ごわい脅威に対抗するため必要なステルス性やセンサーフュージョン機能が同機に欠けていると指摘している。カナダが契約を全面的に進めることに躊躇している要因の一つは、F-35全機体の初期コスト見積もりが膨らみ、現在では270億ドルを超えると見込まれている点である。

さらに、批評家や政府高官からは、米国の防衛産業への依存が、ソフトウェアへのアクセス、整備、および長期的な機体サポートに関する制限により、カナダを脆弱な立場に追い込む可能性があると警鐘が鳴らされている。そのため、カナダは他の選択肢を模索している。最初の16機のF-35の受け入れが法的に義務付けられているにもかかわらず、グリペンは適切な代替案として浮上している。

将来のF-35フリートは危機に瀕している

Lockheed Martin F-35 Lightning II Mock-up 04

クレジット:トゥオモ・サロネン |ウィキメディア・コモンズ

歴史的に緊密な同盟関係にあった両国間の地政学的緊張の高まりを受け、カナダはF-35に加え、サーブのグリペンの導入も検討している。これは、F-35が世界トップクラスのステルス戦闘機であり、兵器技術の要であるにもかかわらずのことだ。トランプ大統領の下で不確実性が続く中、カナダ政府は国内の航空宇宙・防衛産業への再投資と再生の方法を検討してきた。

カナダ国内での航空機開発の再検討は、自律性の統合という観点から見ることができる。これは、カナダ生産がサーブとの合意の一部となっているためであり、これによりカナダは自国で航空機を製造できるようになることを意味する。

緊張が続いているにもかかわらず、カナダ空軍(RCAF)やカナダ国防省による内部ブリーフィングでは、政治的な緊張の行方にかかわらず、依然としてF-35を支持している。これは、同プログラムが既存のカナダ航空宇宙産業と密接な関係にあること、そして第5世代ステルス戦闘機であることに起因している。110社以上のカナダ企業がF-35のサプライチェーンに貢献しており、現在も約30社が操業を続けており、国内で最大3,300人の間接雇用を生み出している。■

ジャーナリスト – アーロンは、旅行・観光業界で14年の経験を持つ航空・旅行ジャーナリストです。ニュージーランド、ヨーロッパ、北米にわたるグローバル組織での勤務経験があり、その経歴は空港運営、航空インフラ、旅行コンサルティングに及びます。

業界の専門知識と、5大陸52カ国以上を実際に旅した経験を組み合わせ、アーロンは航空会社、空港、航空政策、そしてより広範な旅行セクターについて取材しています。ニュージーランドのカンタベリーを拠点としています。

彼の記事は『Simple Flying』に掲載されたほか、MSN、SAM CHUI Aviation & Travel、EIN News、Pakistan Defence、Climate Depotでも取り上げられている。


読者のコメント

  • カナダの優柔不断さをトランプのせいにするのは馬鹿げている。過去25年間にわたりカナダの調達状況を追ってきた人なら誰でも、彼らが多くの発注キャンセルや再入札を繰り返してきたことを知っているはずだ。その多くは、新しい政党が政権を握った際の、純粋に政治的な理由によるものだった。正直なところ、現時点で彼らの調達プロセスを真剣に受け止めることなど誰にもできない。

  • イギリスでは、何でもかんでもトランプのせいにする。
    2026-10-27 05:34:31

  • 概ね同意だ。代償はつきものだ。文字通りね。
    入札・キャンセル・再入札の過程で、カナダドルは世界のほとんどの通貨に対して価値を下げた。さらに、ジェット機の価格は上昇し続けている。
    個人的には、経済的に賢明な判断はほとんどなかったと思う。

  •  これだけは意見が一致するね!アメリカでは、何でもかんでもトランプのせいにする。(とはいえ、まだブッシュJr.のせいにする人もいるけど…

  • どの政治的立場に属する政治家であれ、「経済的に賢明な判断」で評価されることはめったにない……だからこそ、彼らはビジネスで失敗した後、政界に入るのだ。

  • カナダは、この新型機で旧式のAN/APG-81レーダーを手に入れたのか、それとも鉛のバランスウェイトか? ブロック4仕様は依然として「ベーパーウェア」の域を出ていないため、注文した機体さえ手に入らない状況だ。

  • まるでカナダが、地球上で最も技術的に先進的な多用途ステルス戦闘機を欲しがっていないかのような言い方だ……彼らがそれを手に入れなくても済む唯一の理由は、米軍の軍事的優位性によるものであり、彼らは我々がどうせ助けてくれることを知っているのだ。

  • その最後の点については、あなたの見解は間違っていることが証明されるかもしれないと思う。

  • そもそも、誰がカナダを攻撃しているというのか?
    カナダの隣国は米国、ロシア、グリーンランド(デンマーク)、そしてノルウェーだ。脅威となり得るのはロシアだけだが、米国がロシアからアラスカを購入しているため、自国の安全保障に関しては米国がカバーしている。

    だからもう一度教えてほしい。米国の隣に位置するNATO加盟国であるカナダを、一体誰が脅かすというのか?

    最高級のステルス戦闘機を少数導入し、日頃の迎撃任務は、NATOの最新加盟国であるスウェーデンのグリペンなど、より安価な航空機で行うというのは、まったく理にかなった考えだ。

  • ロシアがカナダを侵略する可能性よりも、米国がカナダを侵略する可能性の方が高

英タイプ31派生型が米海軍向け次期フリゲート艦競合に加わりそう―自国海軍向け艦艇建造もままならない英国は輸出に救いを期待しているのでしょう。競合にはわが「もがみ」級も候補となっています

 

米海軍向け次世代フリゲート艦競合に

英国が「タイプ31」派生型で参入


British Type 31 Frigate Variant Offered To The U.S. Navy


米国のフリゲート艦調達要件に向けバブコックは「アローヘッド140」を提案しようとしている

The British defense company Babcock is preparing to offer its Arrowhead 140 frigate design, which forms the basis of the Royal Navy’s Type 31 class, to the U.S. Navy as the service looks for ways to rapidly expand its fleet of surface combatants.

バブコック・インターナショナル

英国の防衛企業バブコックが米海軍の次世代フリゲート計画への参入を表明した。提案の基盤は、英国海軍のタイプ31級の原型である汎用フリゲート 「アローヘッド140」となる見込みだ。迅速かつ大量に建造可能な比較的完成度の高いフリゲートを求めるワシントンに外国設計艦艇がさらに選択肢に加わることになる。

『テレグラフ』および『ネイビー・ルックアウト』の報道によると、バブコックは国防総省当局者と予備的な協議を行っており、10月末までに参加意向表明書を提出する見込みだ。提案には、米国最大の軍用造船会社ハンティントン・インガルズ・インダストリーズ(HII)が関与する可能性があり、両社は「アローヘッド140」をライセンス契約で米国で建造する提携を検討している。

英国王立海軍タイプ31多目的フリゲートのイメージ図。王立海軍

「もちろん当社は関心がある。当社のフリゲートは世界トップクラスで、米国および米国産業界との強いつながりもある。これに応じないのは正気の沙汰ではない」と、バブコックの海事事業責任者であり、元海軍次官のニック・ハイン卿は、『テレグラフ』紙に語った。

海上自衛隊(JMSDF)の同型艦1番艦「もがみ」。JMSDF

2024年の引き渡しに先立ち、海上試運転中の韓国海軍「ROKS 忠南」。HD現代重工業

トルコのイスタンブール級に属する将来の「TCG イズミル」。アナドル造船所

開発が中止されたコンステレーション級フリゲートを手掛けたフィンカンティエリ・マリン・グループも、最新のフリゲート計画に 新たなビジネスチャンスを見出していると述べている。

一方、水上戦闘艦市場に新規参入したドイツの防衛企業ラインメタルは、最近、GMF 140フリゲートを公開した。同社は、他の同盟国海軍との取引機会を模索する前に「北米での調達プロジェクトの一環として」この艦を提案する計画であると述べている。

バブコックにとって、この機会は米国防衛産業との関係を大幅に拡大するものである。成功すれば、同社は米国造船所がフリゲート艦を製造するために必要な設計、技術的専門知識、そして場合によっては知的財産を提供することになるだろう。

これは、ポーランド海軍の プロジェクト106 ミエチニク(ソードフィッシュ)級と同様のプロセスとなる。同プロジェクトでは、英国にある同社施設を使用するのではなく、ポーランド国内で3隻の新型多目的フリゲート艦を建造している。

ポーランドのグディニャで建造中の、ポーランド海軍向け新型フリゲート「ヴィチェル」。写真:マテウシュ・ヴロダルチク/NurPhoto

海軍による候補案の評価結果は11月12日までに提出される予定だ。現時点で契約は締結されておらず、バブコック=HIIの提案内容の詳細も未確認のままである。

「アローヘッド140」は、スコットランドのバブコック社ロサイス造船所で建造が進められている、英国海軍の「タイプ31」5隻の基盤となっている。この設計は、デンマークの アイバー・フイトフェルト級フリゲートに由来する。 ポーランドに加え、インドネシアもこの艦を選定した。

アローヘッド140の標準的な全長は約455フィート、全幅は65フィート、排水量は約5,700トンであるが、各国仕様の艦艇ではこれよりかなり重くなる可能性がある。同艦は従来型のディーゼル・ディーゼル複合(CODAD)推進システムを採用しており、28ノットを超える速度を発揮できる。設計は長期間の航続能力を重視しており、標準的な航続期間は約1~2ヶ月である。AH140には、海軍ヘリコプター運用用の飛行甲板と格納庫、乗組員用の居住区、小型艇運用施設、用途に応じて柔軟に活用できる任務スペースが備わっている。そのモジュール式構造で、顧客は各国の要件に応じて、さまざまなセンサー、戦闘管理システム、電子戦装備、および兵器を統合することができる。

アローヘッド140の派生型の一つとして、ポーランド海軍のプロジェクト106級を挙げると、特に重武装化された派生型であり、76mmレオナルド・ストラレス主砲、対空ミサイル用32セル Mk 41垂直発射システム、対艦攻撃用の 海軍ストライクミサイル8基、および軽量魚雷発射管を備えている。ポーランド仕様は最大排水量約7,700トンであると報告されている。

ポーランド海軍のプロジェクト106「ミエチニク(ソードフィッシュ)」級第1番艦ウィチェル。PGZ SW

タイプ31は、海上保安、護衛、対水上戦任務を遂行できる汎用艦で比較的大きな船体により、兵器、センサー、航空施設、および将来のアップグレードのための十分な内部容積を確保している。

この点は、護送船団の護衛、単独作戦、そして大型駆逐艦を補完できる艦艇を求める米海軍にとって魅力的な要素となり得る。アーレイ・バーク級駆逐艦より運用コストが大幅に低いフリゲートで幅広い任務を遂行できるため、より高性能な戦闘艦を広域の防空・ミサイル防衛、持続的な打撃作戦、その他のより過酷な任務に充てることが可能になる。

アーレイ・バーク級駆逐艦USSジェームズ・E・ウィリアムズの航行風景。米海軍提供写真USSジェームズ・E・ウィリアムズ。USN

アローヘッド140のサイズなら、米国の兵器や戦闘システムを搭載する上でも柔軟性を発揮できるだろう。しかし、米国版には明確な構成が求められるため、現時点では、米国仕様に向けた公に確立された兵器搭載計画は存在しない。

同時に、英国海軍のタイプ31フリゲートはまだ実戦配備されておらず、その基本構成は米海軍が要求しうるあらゆる任務に最適化されているわけではない。特に、持続的な対潜戦に必要なソナーやその他のシステムの統合は、多大な労力を要する作業となるだろう。

また、米海軍は、自らの要件を満たしつつ、既存の設計をどの程度維持する課題にも取り組まなければならない。コンステレーション計画から得られた主要な教訓の一つは、既存の外国設計に大規模改造を加えると、莫大なコストとスケジュール上のリスクが生じ得るということである。米海軍仕様に適合させる過程で元の設計がほとんど残らなかったことが、最終的にこの計画の破綻を招いた。

中止となったコンステレーション級フリゲートのレンダリング画像。米海軍

バブコックにとっては、提案の競争力を維持するため必須の米国製装備を統合しつつ、アローヘッド140を既存構成に可能な限り近づけてることが不可欠となる。

バブコックには米国内に造船所がないため、米国の産業パートナーとの連携が同社のアプローチで極めて重要となる。

ニューポート・ニューズとインガルスに主要な造船施設を運営中のHIIは、米海軍向けの軍艦建造において豊富な経験を提供できるだろう。

このような取り決めは、国内の造船能力を再構築しつつ、同盟国の専門知識を活用して軍艦の生産を加速させるというトランプ政権の目標に合致する。また、これによりバブコックは、ロサイス造船所を英国海軍への納入義務に専念させながら、大規模な新規建造プログラムを負担することなく、重要な米国からの受注を目指すことが可能になる。

ただHIIが複数の設計を支援できるのかについて、生産能力、プログラムの優先順位、同社が各造船所にかかる競合する需要をどのように管理するかで疑問を投げかけている。

一般的に言えば、政権が外国製フリゲート艦に関心を示している背景には、米国製の新型軍艦の開発に伴う時間と費用に対する懸念が高まっていることがある。

コンステレーション級プログラムは、海軍が退役させたオリバー・ハザード・ペリー級フリゲート艦に代わる近代的な後継艦を提供することを目的としていた。欧州のFREMM設計をベースに、米国での運用に向けて大幅な改造が施されたが、その後、深刻なスケジュール遅延とコスト問題に見舞われた。海軍はその後、このプログラムを中止した。

オリバー・ハザード・ペリー級フリゲート「USS カー」の2006年の様子。同型の最終艦は2015年に米海軍から退役した。米海軍

米海軍は、建造と配備が容易な巡視フリゲートであるFF(X)の導入を進めている。しかし、その初期構成に垂直発射システムが含まれない見込みであり、重武装な多目的戦闘艦に期待される能力の一部を提供する能力は制限される。

FF(X)フリゲートのレンダリング画像。米海軍

HIIは、沿岸警備隊のレジェンド級国家安全保障カッターをベースにしたFF(X)フリゲートを建造する。FF(X)の契約は締結ずみだが、海外フリゲート艦の提案においてバブコックと提携しようとしている点は、ある意味で示唆的である。

沿岸警備隊のレジェンド級カッター「USCGC ハミルトン」。米国沿岸警備隊

国際的なフリゲート艦プロジェクトは、既存の同盟国の設計に基づく艦艇が、能力、コスト、納入速度の面で異なるバランスを提供できるかどうかを検証することを目的としている。

8月の大統領覚書により、海軍が同盟国の設計を検討し、限定的な状況下では国家安全保障免除措置を通じて海外建造を行う道が開かれた。このアプローチは米国造船所に移行する前に、艦艇を当初少数海外建造するモデルと比較されている。

報道されている枠組みでは、海外建造は最大2隻に制限され、米国の造船業への投資と結びつけられている。したがって、バブコックが最終提案する際には、その設計をいかにして国内に移転し、要求されるペースで生産できるかを実証する必要がある。

これは大きな課題となる。バブコック自身のタイプ31の生産ラインは、すでに英国海軍が発注した5隻の建造に充てられており、米国での生産ラインを立ち上げるには、労働力の訓練、サプライチェーンの構築、そして製造ノウハウの移転が必要となる。

また、米海軍は、コンステレーション計画で問題となったような大規模再設計を経ることなく、外国の設計が最低限の運用要件を満たせるかどうかを判断する必要がある。

バブコックが参入するこの分野には、すでに日本、韓国、トルコによる確立されたフリゲート艦の設計が存在しており、さらに増える可能性もある。

それぞれが、設計の成熟度、戦闘システム、生産能力、および潜在的な産業提携の組み合わせにおいて異なる。「もがみ」および「忠南」プログラムはすでに就役艦を擁している一方、アローヘッド140は輸出プログラム数件で選定されているものの、まだ就役には至っていない。


バブコック社製アローヘッド140の紹介

バブコックのセールスポイントは、アローヘッド140のサイズ、適応性、確立された設計実績に加え、HIIを通じた米国での生産の見通しが組み合わさった点にあると考えられる。

アローヘッド140が複数国の海軍に採用されることで、規模の経済、設計の共通化、艦隊全体での共同アップグレードを通じて、コスト削減の可能性が生まれる。国際的なユーザー基盤が広がることは、世界規模での訓練や後方支援を含む、海外との産業提携の可能性ももたらす。

同時に、米海軍による選定は、このプラットフォームに対する大きな支持を示すものであり、他の輸出市場におけるその地位をさらに強化することになるだろう。

バブコックがこの機会を追求する意向を明らかにしたことで、米海軍による新型フリゲート艦の選定プロセスに新たな候補が加わった。「アローヘッド140」が初期の関心表明の段階を超えて進むかどうかは、その能力と生産の見通しが他の候補とどのように比較されるかにかかっている。そして何よりも重要なのは、バブコックとその米国パートナー企業が、コンステレーション計画で生じた遅延や再設計の課題を繰り返すことなく、海軍の要件を満たせる艦艇を納入できると国防総省に納得させる必要があるということだ。

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマス・ニューディックはTWZのスタッフライターであり、軍事航空、防衛技術、兵器システム、国際安全保障を専門に取材している。ドイツのベルリンを拠点とし、世界中の紛争、軍事近代化の取り組み、新興の航空宇宙技術について報道しており、特に空軍力と現代戦争におけるその役割に関心を持っている。彼の報道は、現代および歴史的な空軍力、特にヨーロッパにおける深い専門知識に基づいており、大陸全域およびそれ以上の地域における軍用航空、空戦、航空宇宙開発に焦点を当てている。


コメント59件

  • 4つの新たな候補機。そのいずれも海軍の要件を満たすことはなく、検討と再設計が繰り返されるだろう。そして最終的に、当初から存在していた完成済みの「コンステレーション」設計をそのまま建造すべきだと気づくことになるだろう。

    • コンステレーションは、設計要件を満たさず、コストも高すぎた大失敗だった。今さらそれを建造するのは、沈没費用の誤謬の極みだ。自前で艦艇を設計して建造する方法を学ぶか、同盟国の海軍の艦艇を購入して、そこに我々のシステムを単に組み込むか――そして……

  • 完璧だ!さあ、上部構造から電子機器と配線をすべて撤去し、すべての作業ステーションの物理的なレイアウトを変更し、船体をアーレイ・バーク級と同じ大きさになるまで延長しよう。ICBMを撃墜するために96個のVLSセルを追加するのを忘れるな。あ、忘れてた。これらすべてに動力を供給するには4基のLM-2500が必要だから、え……

  • なぜ他国の提案が必要なんだ? トランプ氏自身が、戦艦級だけでなく、すべての海軍艦艇を設計するつもりだったことを思い出してほしい。 それなのに、なぜトランプ氏は、我々に必要なフリゲート艦の設計を放置しているんだ? 2025年12月22日、マー・ア・ラゴで、海軍設計者のドニーはこう言ったのを思い出してほしい:「米海軍は……」

  • フリゲートの生産は、以下の2つの作業ストリームに焦点を当てるべきだ:

  • 1) 最小限の時間で複数の船体を建造できる「十分実用的な」設計

  • 2) 長期的な計画に適した最適化されたプラットフォーム。

  • どちらの設計も時間の経過とともに調整可能だが、新機能がクリティカルパスに影響を及ぼすことは許されるべきではない……

  • 英国は自国の艦艇を操船できる人材を育成できていないことを考えれば、米海軍はタイプ31が利用可能になり次第、そのまま引き取ればよい。

  • その設計は長期間の航続を重視しており、基本航続期間は約1~2ヶ月である。

  • この1~2ヶ月という期間は、海上給油の有無を含んでいるのかどうか疑問だ。第二次世界大戦のフレッチャー級は、定常巡航速度で航行した場合、約2週間で燃料を使い果たした。ペリー級フリゲートも同様だ。両者ともF...

    • 公表された数値では28日となっている。

    • 無給油での航続距離は7500~9000マイル。

    • 18ノットで9000マイル。

    • 作戦ペースの速度では7~7500マイル。

  • 話題は逸れるが、本当に恐ろしい。TWZはこれについて報じるべきだ:

  • https://defence-blog.com/senators-seek-details-on-23000-strong-national-guard-riot-force/

  • ケリー・ジョンソンは海軍との取引について何と言っていたか? 彼の非公式な

  • 「第15のビジネスルール」が、この状況に当てはまりそうだ。

  • なんて素敵な艦だろう……でも、我々が手に入れることは決してないだろうな!

  • まあ、これは間違いなく乗組員のスマホを検査することになる艦だな。

  • Sutherland555 このネタ、少なくとも1人は分かってほしいな。

  • 申し訳ありませんが、もうふざけるのはやめて、長年にわたり国に尽くしてきた実績のあるコンスティテューション級フリゲートに戻すべき時です:

    • 航続距離が長く、大部分がレーダー吸収材で造られている。うーん。

  • 私の意見としては、コンステレーション級の再始動(確かに遅延はあったが、海軍の仕様に基づく設計作業はすでに完了している)か、あるいはまったく新しい級を新設するか、のいずれかだ。既存の設計を土台にして調達を加速させるというアイデアは気に入っていたが、海軍にはそれがうまくできないようだ。ただ…

  • 建造されたタイプ31のポーランド版は、船体搭載型ソナーに加え、ポーランドが万能型を求めているため曳航式アレイも装備している。インドネシア版は船体搭載型ソナーを装備しているが、英国は単なる汎用フリゲートを求めているだけだ。ポーランド版は76mm砲1門と35mm砲を数門装備しており、インドネシア版は上射式76mm砲を2門装備している… .

  • 他国から艦艇を調達しなければならない状況を想像してみてください。

  • 余談ですが、海軍の話といえば……

  • 「2024~25年、中国の海軍艦艇総トン数は米国の2倍以上:ユーロナバル」

  • これ、もうやったんじゃない? 我々の問題は設計案の不足じゃないし、また新たな計画を作っても問題は解決しない。

    • イエスでもあり、ノーでもある。フリーム級は、最新のデジタルツイン型「設計・建造・維持」という観点では古い設計だった。デジタル「設計図」はそれらすべてに先立つものだったので、すべてを再現し、ミニ・バーク級という海軍の壮大な構想に適合させる必要があったのです

    • タイプ31は完全なデジタルツインとして登場します…

  • タイプ26を選べばいいじゃん、さあ…

  • OT: F-35導入20周年:その成功と失敗が航空宇宙産業に与えた影響

  • https://breakingdefense.com/2021/10/the-f-35-at-20-how-its-successes-and-failures-shaped-the-aerospace-industry/

  • 個人的には、法律で海軍を麻薬取締業務やそれに類するパトロール任務から完全に外すべきだと思う。沿岸警備隊が存在している以上、それは資源の無駄であり、任務の重複だ。軍そのものが法執行任務を行うべきではない。沿岸警備隊の人員を拡充すべきだ…

  • 頑張ってください。現政権との間で結ばれるいかなる合意も、それが書きなぐられたおむつ一枚の価値すらないでしょう。

  • VLS(垂直発射システム)能力を一切備えていないFF(X)の設計は……不可解だ。LCSを構想したあの道化師の一団が、どうやら墓場から蘇ってきたようだ。ポーランド版の案は、私にはまったく理にかなっているように思える。

  • 私の時代には、米国は自国の艦艇を自ら設計・製造していたものだ。

  • トランプ政権下で一体何が起きたのか、なぜ外国のフリゲート艦の設計を採用し、輸入しなければならないのか?

    • これは昔から続いていることだ。ウォール街が問題で、彼らは何万人ものMBAを量産し、その連中が議会や上院に働きかけて、目につくものはすべて外部委託させている。

  • この段階では恥ずかしい限りだ……

  • これのどこが悪いんだ。

  • いいアイデアがある。こうした妄想や恥さらしに浪費されている金をすべて、本来やるべきことを解決するために使えばいいじゃないか。「ああ、しまった、あれが必要だった」と気づくまで、物事を安売りし続けるのはやめよう。米国旗を掲げた外国の船なんて、誰もここには欲しくない。何とかしろよ

  • リバー級26型への敬意が欠けているな 🤨