2026年8月8日土曜日

ホルムズ海峡で米海運がタンカー護衛できない理由とは―1990年代には実施していたのに....(ホームズ教授の視点)

 

ホルムズ海峡で米国が石油タンカー護衛ができないのはなぜか

Why Can’t the US Escort Oil Tankers Through the Strait of Hormuz?


https://nationalinterest.org/feature/why-cant-us-escort-oil-tankers-through-strait-of-hormuz-jh-080726

米海軍が1980年代にイランに対し行ったタンカー護衛作戦を今日繰り返すことができないのには、説得力のある理由が6つある。ほとんどは、米海軍の戦闘能力の欠陥を浮き彫りにしている。

ラン戦争には不可解な側面がある。なぜ米海軍は、ホルムズ海峡の開通を強行するため約40年前の「タンカー戦争」で採用した護送船団方式を再現していないのだろうか?

タンカー戦争はイラン・イラク戦争の副次的な展開であり、主要な交戦当事者であるアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニ率いるイラン・イスラム共和国とサダム・フセイン率いるイラクは、石油掘削施設をはじめとする互いの炭化水素関連インフラや、ペルシャ湾を航行するタンカーを攻撃し合った。イランの攻撃対象にクウェート船籍のタンカーも含まれていた。これに対し、レーガン政権は、海軍が戦火の渦中にある水路を通ってタンカーを護衛する法的根拠を確保するため、クウェート籍のタンカーを米国旗に「転籍」させた。政権はこの護衛作戦を「アーネスト・ウィル作戦」と名付けた。

そして、この作戦は最終的には成功した。海戦は本質的に進行が遅い。実際、海軍戦略家で「史上最高」と評されるジュリアン・コーベット主張しているように、封鎖戦略は、敵を徐々に消耗させることによってのみ効果を発揮する。そして彼は、その点についても懐疑的であるようだ。海軍力は、陸上での成功を可能にする手段であり、それ自体が決定的な力ではない。

したがって、現在のイスラム共和国に対する作戦である「オペレーション・エピック・フューリー」において、護送船団が論理的な解決策となるだろうと考える人もいるかもしれない。しかし実際には、米海軍艦艇はペルシャ湾には一切入らず、オマーン湾やアラビア海に展開してイラン港湾を遠隔から封鎖している。一方、海軍および空軍の戦闘機は、ホルムズ海峡における商船への脅威を抑制すべく、イランの施設を激しく攻撃している。

筆者は、国防総省や、イランに対する作戦を統括する米中央軍(CENTCOM)の意思決定の内部事情を知る立場にはないが、1980年代と現在との間には、4つの顕著な違いがある。

#1:当時の米国はイランと交戦状態ではなかった

政治的状況と戦略は、「アーネスト・ウィル」作戦当時とは異なっている。米国はイラン・イラク戦争に参戦していなかったため、米海軍はイランによる商船への攻撃に対し防御的な姿勢をとっていた。イラン海軍はすでにイラクとの戦いで手一杯であり、米国の船舶を攻撃して米国を戦争に引きずり込むことに戦略的な意味がなかった。

今回は、米国が直接の当事者であり、事実上、主導的な戦闘勢力となっている。米軍はイスラエルと連携して攻勢に転じ、イスラム共和国政権を、古代中国の軍事の賢人・孫子が「死地」と呼ぶ状況に追い込んだ。「死地」とは、生存をかけた戦いを意味する。死地に立たされた戦闘勢力は、敗北すれば滅びることを承知の上で、全力を尽くして戦う。生存のために利用可能なあらゆる資源を投入し、必要な限りその投入を続けるのである。

だからこそ、米軍の航空機が軍事施設やインフラを激しく攻撃し、海軍がイスラム共和国の経済活動の原動力であるイランの港へ向かう船舶の航行を遮断しているにもかかわらず、テヘランは戦闘において頑なな姿勢を貫いているのだ。

#2:今日のイランは、かつてないほど戦争への備えが整っている

今日のイランは、かつてと異なる交戦国となっている。当時も今も、イランは聖職者による統治下にある。しかし、イランの軍事指導者たちは、1988年のイラン・イラク戦争終結後の数十年間、米国研究に費やしてきた。米国は1990年の砂漠の嵐作戦を皮切りに中東に足場を固め、イランの西隣国であるイラクと東隣国であるアフガニスタンで「対テロ戦争」を戦ってきたのである。

正規軍とイスラム革命防衛隊(IRGC)は、予想される敵である米国からの猛攻に耐えられるよう、戦略、作戦、部隊編成を構築した。イラン軍は、ミサイルや、技術の成熟に伴いドローンといった、手ごわい兵器を大量備蓄した。また、イランの険しい地形に潜り込み、地下のバンカーに兵器を保管することで、軍事拠点を要塞化した。また、イランの近隣諸国やホルムズ海峡を通過する船舶を攻撃できるよう部隊を整備した。さらに、指揮統制を分散化し、発射の決定権を現地の指揮官に委譲した。

一連の措置により、「エピック・フューリー」作戦の初期段階における首脳部排除攻撃の影響は鈍化された。そしてイラン側は、ホルムズ海峡を通過するすべての商船を沈める必要はないと理解していた。時折攻撃を仕掛けるだけで十分だったのだ。抑止力は人々の心の中で働くものであり、船主や海上保険会社を怯えさせ、海峡への船舶通過というリスクを冒すことを拒ませることは、船舶を沈めることと同等の効果があった。

#3: タンカー護衛は危険だ

『アーネスト・ウィル』演習以来、米軍の指導部は世代交代を遂げた。現在の上級指揮官たちは、1980年代――私と同世代――には下級将校であり、おそらくタンカー戦争の生々しい記憶を今も抱いているだろう。

意思決定者たちの若き日の出来事は、その後の人生における態度や前提に大きな影響を与える。1987年、イラクの戦闘機が誤ってペルシャ湾でフリゲート艦「USS スタークを爆撃し、37名の水兵が死亡した。1988年には、フリゲート艦サミュエル・B・ロバーツが機雷に接触し、沈没しかけた。1988年、米海軍にとってまたしても不運な日、イージス巡洋艦ヴィンセンス誤ってイランのエアバス旅客機を撃墜し、290人が死亡、テヘランの激しい怒りを買った。

誰もこのような経験を繰り返したいとは思わない――そして前述の通り、「アーネスト・ウィル作戦」は、2026年に米海軍が直面する事態に比べれば、おそらく朝飯前だろう。指揮官たちは、イラン沿岸近くの機雷が散在する海域で、アーレイ・バーク級イージス駆逐艦のような貴重な戦力を危険にさらすことに、顔色を変えるかもしれない。

#4:米海軍には失っても構わない艦艇がない

艦隊の構成もリスク計算と関連している。心理的な側面についてさらに言えば、2026年の米海軍は1980年代のような超大型艦隊ではないという点に留意すべきだ。

最も明白なのは、艦隊を構成する艦艇の絶対数である。現在の海軍戦闘部隊は293隻の軍艦であるのに対し、冷戦末期の(ほぼ)600隻規模の海軍と比較するとその差は明らかだ。軍事においては数量が重要である。艦隊を構成する艦艇の数が多いほど、近接戦闘で艦艇をリスクにさらしやすくなる。1隻を失っても、戦闘力の損失率は小さくなる。指揮官は、より大胆な行動をとることが可能になる。

現在、20隻以上の米海軍艦艇がイラン沿岸を封鎖している。これは現在の293隻の艦隊の相当な割合を占めるが、レーガン時代の600隻の艦隊に比べれば、その割合は約半分に過ぎない。当時、指揮官たちは、今日では躊躇するようなリスクさえも受け入れることができたのだ。

リスク管理は極めて重要だ。一般的な保険数理の公式では、リスクは確率と結果の積として定義される――この場合、艦隊の損失を通じて何か悪いことが起こる確率である。艦隊規模が大きいほど、損害や沈没を容易に吸収できる。かつての米海軍の指揮官たちは、戦闘による損害の結果が戦略的な観点から海軍を後退させることはないという確信を、今日の指揮官たちよりも強く持ってこの計算を行うことができた。

艦隊の構成についても考慮すべき点がある。今日の艦隊は、原子力空母やアーレイ・バーク級のような大型駆逐艦が中心で、上層部が肥大化しているのに対し、1980年代の艦隊はバランスが取れていた。当時、誘導ミサイルフリゲートのような小型水上戦闘艦が十分に配備されており、これらがペルシャ湾地域における米国の存在感を確固たるものにする役割を果たしていた。ペルシャ湾のような狭い水域では、大型艦は機動の自由が著しく制約されるため、低コストのフリゲートを多数、危険な海域に派遣することは比較的容易だった。

繰り返しになるが、海軍上層部は主力艦のような貴重な資産を厳重に守ろうとする傾向がある。主力艦は、海軍の戦闘力の大部分を少数の艦艇に集中させているだけでなく、これらの大型艦の建造や運用には莫大な税金が投じられているからだ。主力艦を危険にさらすなら覚悟が必要だ。

しかし、21世紀に入ってから、かつての小型水上戦闘艦隊は衰退してしまった。その再建の進捗は、控えめに言っても不安定だ。フリゲート艦の自然な後継機である沿岸戦闘艦は、期待外れの結果に終わり、米海軍の指導部はプログラムを早期に打ち切った。さらに昨年、新型フリゲート艦の就役計画は惨憺たる結果に終わり、ジョン・フェラン海軍長官は同級を2隻に縮小し、沿岸警備隊の国家安全保障カッターを基にした新クラス「FF(X)」で一からやり直すよう海軍に命じた。

つまり、イラン沿岸を封鎖したり、狭いホルムズ海峡を通過する商船を護衛したりするためには、米海軍指導部はイラン周辺海域に主力艦を投入せざるを得ないということだ。護送船団に関するリスクの算定は、600隻の艦艇を擁していた海軍の全盛期に比べ、現在ではさらに厳しい状況にある。

#5:今日の米海軍は機雷掃海があまり得意ではない

機雷戦のような特殊能力でも懸念がある。過去数十年にわたり、米海軍は連合戦闘部隊に強力な火力を提供する一方で、機雷の捜索や除去といったニッチな能力については、NATO同盟国や日本に依存する傾向にあった。

タンカー戦争の際はそうではなかったが、そのわずか数年後の「デザート・シールド」および「デザート・ストーム」作戦では、その傾向が鮮明に表れた。連合軍の掃海艇が、合同水陸両用艦隊を機雷原をくぐり抜け、クウェート沖の陣地へと導いた。そこでは、海兵隊を海上から上陸させる準備をしているかのように装った。しかし2026年現在、NATO同盟国はホルムズ海峡での軍事行動に消極的である。海軍は、専門の機雷戦部隊を退役させたばかりで、代替技術も十分に実証されていない状況下で、イラン革命防衛隊(IRGC)による機雷敷設に対して単独で対処せざるを得ない。

さらに、産業面での要因も、上級指揮官やその政治的指導者たちの頭を悩ませている。活気ある産業部門を持たない海軍は脆弱だ。被弾した艦艇の修理や代替艦の建造に苦戦し、その結果、戦闘による損傷で失われた艦艇は、戦争が終わるまで戦力として失われることになるかもしれない。米国の造船業界は、黄金期であった1980年代以降、衰退の一途だ。造船所は、表向き平和な時期であっても、軍艦の保守・修理・オーバーホールをこなすのに苦戦している。戦火が飛び交う中で、戦損艦を戦線に復帰させるための生産能力を何とか引き上げたり、新造艦を供給したりすることなど、想像し難い。

#6: 誰もが護送船団を嫌う

そして最後に、組織文化の問題がある。護送船団は太古の昔から、ほとんどすべての人々から嫌われてきた。強大な海軍は、自らの第一かつ最優先の任務とみなす大規模な海戦に向けた装備と訓練を好む。荷主は、護衛作戦が効率的で低コストな航海を妨げると考えている。保険会社は、船舶が損害を受けた際に保険金を支払うことを嫌う。つまり、護送船団作戦は、ほとんどすべての文化的な気質に反しているのだ。

護送船団は、ある意味で対反乱作戦と似ている。華やかさがない。軍事組織は、それを本来の主目的からの逸脱と見なす。その結果、海軍は主要な海上紛争のたびに、護衛任務の重要性を再認識せざるを得ない。これに機雷戦やドローン防衛といった厄介な任務が加われば、上級指揮官たちがホルムズ海峡のような制限水域で艦隊を危険にさらすことを躊躇する理由も理解できる。

したがって、ある意味で、かつてのタンカー戦争は今日のイラン沖における護送船団作戦の歴史的先例とならない。しかし、「アーネスト・ウィル」作戦と「エピック・フューリー」作戦の違いが問題点を鮮明に浮き彫りにしており、当時と現在を比較することに価値がある。タンカー戦争は否定的な先例ではあるが、検討に値する比較対象なのである。■

著者について:ジェームズ・ホームズ

ジェームズ・ホームズ氏は、海軍戦争大学(Naval War College)のJ. C. ワイリー海事戦略講座教授であり、海兵隊大学(Marine Corps University)のブルート・クルラック革新・未来戦争センター(Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare)の特別研究員である。本記事で述べられている見解は、あくまで著者個人のものである。


イラン=オマーン合意でホルムズ海峡はどうなるのか―両国をまとめさせたいのがトランプで、早く解決を求めているのだが、結局イランが勝利することになれば我慢できないはず

 

イラン・オマーン合意でホルムズ海峡に生まれる影響とは

What the Iran-Oman deal could mean for Strait of Hormuz fight


https://thehill.com/policy/defense/6012636-iran-oman-deal-strait-of-hormuz/

ランとオマーンの間でまとまりつつある合意により、ホルムズ海峡が再開され、両国が同海峡の船舶交通を共同管理することになる可能性があり、これはテヘランにとって大きな譲歩となる。

詳細はまだ調整中だが、提案中の計画によれば、同海峡からペルシャ湾に入る船舶の管理権はテヘランに与えられると報じられている。海峡から出る船舶の交通を最終的に誰が管理するのか、またイランがその中でどのような役割を担うのかについては、決定されていない。両国は水曜日、船舶が海峡を通過するための新たな航路について合意したと報じられている。

合意に至れば、この取り決めは、イランが重要な航路へのアクセスを管理することはできないというトランプ政権当局者による繰り返し主張に真っ向から反することになる。しかし、6カ月目に突入した極めて不人気な紛争からの脱出路を模索しているトランプ大統領は、イラン・オマーン間の協議による勢いを借りて、より広範な核合意に向けたテヘランとの交渉を前進させたいと切望しているようだ。

イランが海峡へのアクセスを管理できるという合意は、米国とイスラエルによるテヘランへの戦争が、当初ワシントンが「無条件降伏する」と断言していた同政権に対し、地域勢力図において著しい変化をもたらしたことを示唆している。

「結局のところ、合意が成立するとしても、イランがホルムズ海峡を通る船舶の通行を管理する能力を保持する内容になるだろう」と、シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の中東プログラム・ディレクター、モナ・ヤクービアンは述べている。

同氏はさらに、米国が両国が決定した条件を黙認・受諾すれば、6月にワシントンとテヘランが署名したものの、その後破綻し敵対行為が再開された当初の了解覚書で想定されていたように、米イラン和平交渉に向けた新たな60日間の期限が始まる可能性が高いと付け加えた。

「イランは海峡を支配する能力を主張し続けるだろう」と、彼女は今後の交渉について本紙に語った。「これは妥協というより、それがどのように影響するか、そして本質的に、米国が合意に黙認する上で面目を保つ方法があるかどうかが問題だ。それが大きな疑問点だ」

今週、イランとオマーンの協議をめぐる状況は急速に変化しており、金曜日までに両国間で合意に達する可能性があるとの報道もあるが、たとえ合意に至ったとしても、海峡が直ちに再開されるわけではない。通常、世界の石油・天然ガスの5分の1がこの航路を通過しているため、海峡封鎖により燃料やその他の物資の価格が上昇している。

合意の具体的な条件、とりわけイランとオマーンが海峡をどのように管理するかという取り決めについては、まだ明らかになっていない。

ロイター通信によると、イランは最終的に、海峡を利用する船舶の貨物価格の5%から7%を料金として徴収することを望む一方、オマーンは約3%の料金を求めている。一方、米国は、戦争が始まる前の状況と同様に、料金をゼロにすることを望んでいる。

事態をさらに不透明にしているのは、トランプ大統領が火曜日にカリフォーニアで記者団に対し、テヘランとの交渉が「非常に順調に進んでいる」と主張したにもかかわらず、イラン側が米国との協議を否定している点だ。

「合意が署名される可能性はある。明日か明後日かもしれない」とトランプ大統領は述べた。「大きな進展があった」

フォックス・ニュースに対し、米政権はイラン当局と「非常に良好な協議」を行っており、中には「終日続いた交渉」もあったと語った。

「彼らが再び合意を反故にすれば、非常に厳しい打撃を受けることになるだろう」とトランプは同メディアに語った。

水曜日午後(太平洋夏時間)、ラスベガスで発言し、同氏は合意の現状について何ら示唆しなかった。

「人を殺したくはないので、むしろ合意を結みたい」と彼は述べ、協議は現在も続いていると付け加えた。

しかし、その攻撃計画はこれまでのところ効果がないことが証明されている。数ヶ月にわたる米国によるイラン空爆――7月の2週間にわたる爆撃作戦を含む――は、海峡を完全に開放することに失敗し、その代わりに重要な弾薬の備蓄を枯渇させた

ハドソン研究所の上級研究員、ブライアン・クラークは、イランについて「彼らは自分たちがこの影響力を持っていることを認識している」と述べた。「米国はホルムズ海峡を強制的に開放し、イランによる支配を阻止するために必要な大規模な作戦を行う意思がないため、米国がそれを取り戻す方法など実際にはないと感じているのだ」

米国の重要弾薬の在庫が著しく減少したため、湾岸諸国は懸念を表明し、そのことが週末にトランプ大統領がイランへの攻撃強化という脅しを実行に移さないよう説得する一因となったと報じられている。

トランプ大統領は現在、イランに対して「火と硫黄」で脅したかと思えば、結局は一歩引いて交渉の余地を与えるというループに陥っているように見える。このパターンは4月以来、少なくとも5回繰り返されている。

「このサイクルをあと何回繰り返せるかは未知数だ。特に、米国が迎撃ミサイルの相当な割合をすでに使い果たしたという報道があること、中間選挙が近づいていること、そしてガソリン価格だけでなく、より広範に米国国内の生活費問題への影響が続いていることを考慮すればなおさらだ」とヤクービアンは述べた。

クラークによれば、どんなに綿密に練られた合意案であっても、トランプの影がちらつくだけで瞬く間に破綻する可能性がある。トランプは、自分が弱く見られていると感じると、毎回軍事行動に踏み切ってきたからだ。

「リスクとは、合意が成立し、誰もがそれを見て『イランの方が有利な条件を得た……そして米国は何も得られなかった』と言うことだ。「彼はそうした解釈を快く思わないだろうし、自分の強さを示すために何か行動を起こさなければならないと感じるはずだ。そうなれば、イランは再び貿易を遮断し、我々は元の木阿弥になってしまう」と、同氏は本紙に語った。

この合意のもう一つの潜在的な障害は、ペルシャ湾における米国の封鎖である。イランは、海峡を航行に開放する前に、この封鎖が解除されなければならないと主張している。

「ホルムズ海峡の安全を脅かす要因は、米国側において依然として存在している。特に、海上封鎖や、イランおよびその利益に対するその他の攻撃的かつ威嚇的な行動が挙げられる」と、イラン外務省は国内メディアに語った。

トランプ政権の選択肢は限られているが、一部のイラン強硬派は、封鎖解除は誤りになり得ると指摘している。

「封鎖が解除された瞬間、大統領は交渉の切り札を失う。石油販売の許可が下りた瞬間、特にエスクロー口座要件がなくなれば、大統領はさらに多くを失うことになる」と、民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies)のリチャード・ゴールドバーグ氏は、水曜日にソーシャルメディアに投稿した。「イランが凍結口座を利用して債務を返済できるようになった瞬間、大統領はさらに多くのものを失うことになる」

それでもなお、一部議員は、この合意を成立させることについて、政権への信頼を依然として抱いているようだ。

「私は、これまでの他のすべての合意について抱いてきたのと同じだけの自信を持っている」と、 とロジャー・ウィッカー上院議員(共和党、ミシシッピ州選出)は水曜日、記者団に語った。

「誰もこれを好んでいる人はいないだろう」とクラーク氏は、現在交渉中の合意について述べた。「現地の国々はこれを好んでいない。そこから石油を輸入しているアジアの同盟国もこれを好んでいないが、おそらく現時点で得られる最善の合意だろう」■


ロシアを救うにはプーチンをここで止めねばならない ― ウクライナの勝利よりロシア国内有力勢力による反乱クーデターのほうが現実的か

 

ウクライナ戦争を強制終了させる:「プーチンを屈服させる」時が来た

How to Finally End the Ukraine War: Time to ‘Bring Putin to His Knees’


プーチンを屈服させる最も有力な手段は、ウクライナによるクリミアの漸進的な締め付けだろう。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる

https://nationalsecurityjournal.org/how-to-finally-end-the-ukraine-war-time-to-bring-putin-to-his-knees/

シアの「正統性を欠いた」大統領は、ウクライナへのロシアの戦争を終結させる交渉に応じる用意があるのだろうか? 米国を代表するロシア専門家の一人トーマス・グレアム Thomas Grahamは、そう考えている。ロシアもウクライナも、今後さらに悪化するばかりである莫大な人的・経済的損失を被っていることを指摘し、グレアムは、トランプ政権が仲介する和平合意に向けた好機が現在存在すると主張している。

ウクライナ戦争を終結させる提案

グレアムの論理は説得力があるが、プーチンが平和を望んでいるという彼の理性に基づいた信念は、残念ながら根拠がない。それは、普通で理性的なロシアの指導者であれば、和平合意に関してグレアムと同じ結論に達しないからではなく、プーチンが普通で理性的なロシアの指導者ではないからだ。確かに、米国はグレアムの助言に従い、戦争を終結させようと試みるべきだろう。奇跡は起こるものだ。しかし、プーチンが平和を望んでいるなどとは誰も想像すべきではない。彼は和平を受け入れることを余儀なくされる可能性はあるが、自発的にそれを望むと信じる理由はない。

グレアムの主張は、要するに次のようなものだ。「戦争が続く毎日、未来はますます暗くなる」。その通りだ。「戦争の代償は、最大限の目標を追求するための政治的余地を着実に狭め、交渉による解決の価値を高めている。こうした状況下では、好機を捉えて紛争を終結させるために、集中的な交渉が緊急に必要とされている」。これもまた正しい。

そもそもプーチンは合理的ではない

残念ながら、プーチンはウクライナに関する決定を、自国や国民にとって何が有益かという合理的な費用対効果分析に基づいて下しているわけではない。もしそうであったなら、2022年にウクライナに侵攻することなど決してなかっただろうし、150万人近いロシア兵の犠牲を払って、ウクライナの泥だらけの土地と、正気の人が住みたいとは決して思わないような荒廃した都市群を手に入れるという「肉挽き機」戦略を継続することもなかったはずだ。

プーチンを動かしているのはイデオロギーと自己保存本能だ。彼は、ウクライナがロシアにとって存亡を脅かす脅威であり、「最終解決」によって根絶しなければならないと固く信じている。グレアムによれば、もし戦争が「今日で止まったとしたら……、双方が勝利を主張できるだろう」という。ゼレンスキーは、ウクライナ人にとって最も大切なもの――すなわち独立、主権、そして欧州への志――を守り抜いたと正当に主張できるだろう。プーチンは、ロシアに戦略的敗北を喫させようとする西側の試みを阻止したこと、そして東ウクライナに住む数百万人のロシア人を、彼がキーウの「ネオナチ政権」と描写する体制から『解放』したことの成功を称えることができるだろう。」

正常で理性的な指導者であれば、グレアムの論理に同意するだろう。当然ながら、ゼレンスキーも、そして大多数のウクライナ人もそうである。しかし、プーチンにとって、完全勝利に至らないまま終結することは、自らがロシア人であることを認めようとしない「自称国家」の手による、ロシアにとっての戦略的敗北となる。

グレアムの論理を受け入れることは、プーチンをも破滅させることになる。彼は、自身の政治的存続が完全な勝利にかかっていることを痛感しているからだ。グレアムは、「双方が、戦闘を継続することで交渉上の立場を有利にできると信じているかもしれない」と記している。ウクライナ人はそう信じているかもしれない。しかし、プーチンはそう考えていない。なぜなら、交渉という概念そのものが、ウクライナの存続を前提としているからだ。

プーチンを止める方法

プーチンに白旗を掲げさせるには、何か説得力のあるものがあるだろうか?

そう、敗北だ。

アドルフ・ヒトラーを思い起こしてほしい。彼と熱狂的な支持者たちは、ベルリンが連合軍に占領され、降伏以外の選択肢が(正常で理性的なドイツ人にとっては)もはや想像もできない状況になっても、最後まで戦い続けた。

戦線におけるウクライナ軍の突破はあり得る。特に、プーチンが今秋、やる気もなく訓練も不十分な50万人のロシア人を動員するという意図を固持し続けるならばなおさらだ。ウクライナのドローンに対する彼らの最初の反応は、死ぬよりは逃げる、というものになるかもしれない。

ロシアのエリート層の間で、「ロシアは勝てない」という認識が広がり、150万人の死傷者で十分と考える者が増えてきたことを踏まえれば、ロシアでのクーデターもあり得る。

プーチンを屈服させる可能性が最も高いのは、ウクライナによるクリミアへの漸進的な締め付けだ。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる。このような歴史的な大惨事は、ロシアとプーチンに対して戦略的な打撃を与えるだろう。

プーチンの無能さと愚行で弱体化され、屈辱を味わされたロシアのエリートたちは、彼の政治生命に終止符を打ち、グレアムの助言に従って自国の残されたものを救おうと決断するかもしれない。■

著者について:アレクサンダー・モティル博士、ラトガース大学

アレクサンダー・モティル博士は、教授としてラトガース大学ニューアーク校で政治学を教えている。ウクライナ、ロシア、ソ連、ならびにナショナリズム、革命、帝国、理論の専門家であり、著書として、『Pidsumky imperii』(2009年)、『Puti imperii』(2004年)、『Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires』(2001年)、 『革命、国家、帝国:概念的限界と理論的可能性』(1999年)、『独立のジレンマ:全体主義後のウクライナ』(1993年)、『右傾化:ウクライナ民族主義のイデオロギー的起源と発展、1919–1929年』(1980年)など、ノンフィクションの著書を10冊執筆している。『ナショナリズム百科事典』(2000年)や『ホロドモール・リーダー』(2012年)を含む15巻の編集を担当し、学術誌や政策誌、新聞の論説欄、雑誌などに数十本の記事を寄稿している。また、毎週更新のブログ「Ukraine’s Orange Blues」も運営している。


2026年8月7日金曜日

GCAPパートナー希望国の参加申込はまもなく閉じられとBAEトップがフォーンボロで発言していた―希望国へ急かしているのか、それとも関係国が増えすぎて事業推進に支障が出るのを恐れてるのでしょうか

 GCAP model at FIA

2026年ファーンボロー航空ショーに展示されたGCAP戦闘機の模型。

写真提供:マーク・ワグナー/Aviation-Images

GCAPの新規パートナー加入締め切りが近いとBAEトップが指摘

BAE Boss Sees Window Closing For New GCAP Partners


https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/bae-boss-sees-window-closing-new-gcap-partners

BAEシステムズのチャールズ・ウッドバーンCharles WoodburnCEOは、グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)を他のパートナーに拡大しても、プログラムの進行が遅れる代償を払うべきではないと述べ、新規参加国を招き入れる時間が残り少なくなっている可能性があると付け加えた。

「パートナーシップのさらなる拡大に関しては、スケジュールを遅らせないことが重要な要件だと考えている」と、同氏は7月30日の同社上半期決算説明会で述べた。

カナダは先週、英国・イタリア・日本によるGCAPにオブザーバーとして参加した。「カナダの場合、オブザーバー参加がスケジュールにいかなる形でも悪影響を及ぼさないことは全く疑いようがなかったが、他のパートナーにもそれが重要な考慮事項となる」とウッドバーンは述べた。

追加国の参加を認めるかどうかは各国政府の判断に委ねられていると彼は繰り返し述べ、その判断材料として、どのような能力をもたらせるか、また何機の航空機を購入するかといった要素を挙げた。「パートナーの他のメンバーも述べているように、機会は閉ざされつつある。現時点ではまだわずかに開いているかもしれないが、プログラムの進捗ペースを考えると、閉ざされつつある」とウッドバーンは語った。

この発言は、ドイツとスペインがフランスとの新型戦闘機開発における協力関係が終了し、同プログラムに参加できるかどうかという疑問が浮上している中でなされたものである。ドイツとスペインの利益を代表する主要産業パートナーであるエアバスは、いかなる新たなパートナーシップにおいても重要な役割を求めると表明している。

GCAPの産業パートナーであるレオナルドの最高経営責任者(CEO)ロレンツォ・マリアーニLorenzo Marianiは、ドイツの参加は強力な産業パートナーと資金力をもたらすと述べた。しかし同氏は混乱を招く可能性もあると指摘した。

ウッドバーン氏はまた、すでに生産拡大が進んでいるユーロファイターの生産において、さらなる上振れの余地があると見ているとも述べた。エアバス、BAEシステムズ、レオナルドからなるコンソーシアムは、国内の顧客やトルコなどの買い手からの需要を受けて、生産量を引き上げると先に発表していた。

「我々は他にも数多くの案件を控えており、納入量が増えたり、タイフーンの輸出がさらに成功すれば、生産量をさらに引き上げなければならないかもしれない」とウッドバーンは語った。

BAEはまた、上半期の売上高が9%増の158億ポンド(210億ドル)、利益が11%増となったことを受け、通期の業績見通しを上方修正した。同社は現在、通期の売上高が前年比8~10%増(従来の見通しより1ポイント上方)となり、1株当たり利益は前年比11~13%増となる見通しを示している。また、同社は20億ポンド以上のフリーキャッシュフローを生み出す見込みだ。■

ロバート・ウォール

ロバート・ウォールは、防衛・宇宙部門の編集長を務める。ロンドンを拠点とし、米国、欧州、アジア太平洋地域に広がる軍事・宇宙分野の記者チームを統括している。


注目の新型機 シコースキーのUASノーマド100はローターブローウィング方式を採用し、垂直離陸後に水平飛行モードに移行する

 Nomad 100

初期飛行試験中のシコースキー「ノーマド100」。(画像提供:シコースキー)

シコースキーがUAS「ノーマド100」の初期飛行試験を完了

Sikorsky Completes Initial Flight Testing of Nomad 100 UAS


https://theaviationist.com/2026/07/23/sikorsky-nomad-100-uas/

シコースキーは、DARPAのEVADEプログラムの一環として、ローターブローイングウィング方式の垂直離着陸(VTOL)ドローン「ノーマド100」の初期地上と飛行試験を完了した

コースキーは、「ノーマド100」無人航空機システム(UAS)の初期地上および飛行試験を完了した。この画期的なローターブローイングウィング方式の垂直離着陸(VTOL)ドローンは、昨年初めて公開された。この試験は、米国防高等研究計画局(DARPA)の「早期VTOL航空機実証(EVADE)」プログラムの一環だ。

「『ノーマド100』の継続的な飛行試験は、自律技術の進歩に尽力すると同時に、顧客が重要な作戦上のギャップを埋めることができるよう、安全で信頼性の高い任務遂行能力を提供するという当社の姿勢を反映している」と、シコースキー副社長兼ゼネラルマネージャーのリッチ・ベントンが述べた。「ノーマドは、有人・無人チームの一員として、過酷な前方作戦基地から艦上、整備されていない着陸地帯に至るまで、あらゆる場所での任務を補完する役割を果たすでしょう。」

この節目を経て、同社は「政府施設において、ノーマド100の多用途ミッションを再現する集中的な飛行試験キャンペーン」を継続すると述べている。次回試験に関する詳細は明らかにされていないが、シコースキーは以前、ノーマドが偵察、軽攻撃、敵対環境下での兵站支援に至るまで、全天候型の作戦遂行が可能であると述べていた。

プレスリリースの中で同社はまた、ノーマドが数十年にわたる先進的な回転翼機および自律技術の専門知識を基盤にUAS市場への参入を象徴するものであると指摘した。その目標は、「急速に変化し、敵対的な環境下で活動する軍関係者に、高性能な無人システムを提供すること」である。

Sikorsky Nomad Family

VTOLドローン「ノーマド」シリーズは、海上および陸上での様々な任務に合わせてサイズを調整可能。(画像提供:シコースキー)

ノーマド100

シコースキーは2025年10月、偵察、軽攻撃、敵対環境下での兵站支援などを目的に設計した長航続時間かつ滑走路が不要の新型ドローン「ノーマド」を発表した。ノーマドは、テールシッティング構成でローターブローウィング構造を採用している。

ローターブローウィング構造では、エンジンナセルの位置によりローターの気流が主翼の上を吹き抜ける。これにより、VTOLモードから飛行機モードへの移行が完了すると、揚力を高めることが可能となる。

このドローンはヘリコプターのように垂直に離陸した後、機体全体を傾けて主翼を水平にし、固定翼機のように飛行する。シコースキーは、このツイン・プロプロター設計が、ヘリコプターの汎用性と固定翼機の速度・航続距離を兼ね備えている点を強調している。

2025年春、翼幅10.3フィートのプロトタイプ機「ノーマド50」の飛行試験の様子。(画像提供:シコースキー)

2025年3月、翼幅10.3フィートの最初の試作機「ノーマド50」を用いて、設計が検証された。10月の発表時点で、同社はすでに「ノーマド100」の製造に着手していると述べた。これは、同試作機のグループ3に属する、翼幅18フィートのバリエーションと説明されている。

シコースキーは、ノーマド・ファミリーがグループ3のUAS(56ポンド~1,320ポンド)からグループ4/5(1,320ポンド以上)までスケールアップ可能であることを特に言及した。ドローンは主に燃費効率に優れたハイブリッド電気推進システムを採用しているが、将来的に開発されるより大型の機種では従来の駆動系が採用される予定だ。

さらに、ノーマドシリーズはシコースキーのMATRIX自律技術で運用される。同社はすでに、空中消火、物流補給、先進的な空中モビリティなど、幅広い用途においてMATRIXの実証を行っており、これによりノーマドを回転翼機や固定翼機とシームレスに統合できるとしている。■

執筆:ステファノ・ドゥルソ

ステファノ・ドゥルソは、イタリアのレッチェを拠点とする『The Aviationist』の副編集長です。産業工学の学士号を取得しており、現在は航空宇宙工学の修士号取得を目指しています。専門分野は、新興の航空宇宙・防衛技術、電子戦、無人・自律システム、ロータリング弾薬、および軍事作戦や現代の紛争の分析におけるOSINT(オープンソース情報)手法の応用などです。


オープンソースソフトウェアの脆弱性を狙う北朝鮮ハッカー集団への身代金支払が同国のミサイル核兵器開発を助けている―最近の日本企業を狙ったのも北朝鮮なら相当の代償を同国に支払わせないといけません

 

北朝鮮がオープンソースソフトウェアを狙う広範なハッキングを実行しているとアマゾンが明らかにした

Amazon uncovers broad North Korean hacking campaign against open-source software

平壌が支援するグループが2025年にさかのぼる侵害4件に関与していると判明し、大規模な作戦が明らかになった

  • Defense One

  • デイビッド・ディモルフェッタ

  • 2026年7月29日

https://www.defenseone.com/threats/2026/07/amazon-uncovers-broad-north-korean-hacking-campaign-against-open-source-software/415110/?oref=d1-homepage-river


マゾンの研究者らは水曜日、北朝鮮と関連するハッカーグループが、2025年3月にさかのぼる4件のオープンソースソフトウェアへの侵害に関与していたと発表した。これにより潜在的な被害者多数にリーチし、企業のシステムへのアクセス権を獲得しようとする平壌の活動が広範囲に及んでいることが明らかになった。。

今回の分析により、金銭目的の同一ハッカーグループが、開発者が他のソフトウェアの構成要素として使用する4つの主要なJavaScriptパッケージ(typo-crypto、debug、chalk、axios)への侵害に関与していることが初めて明らかになった。axiosパッケージだけでも毎週1億回以上ダウンロードされており、その侵害は以前より北朝鮮グループによるものとされていた。

アマゾンは水曜日、コードの再利用事例や攻撃手法の類似性といった技術的調査結果に基づき、この攻撃主体を前述の3件のインシデントと結びつける証拠を発見したと発表した。

水曜日の夕方に公開予定の、Amazon Integrated SecurityのCISOであるCJ Mosesによるブログ記事によると、Amazon Threat Intelligenceは、これらの攻撃キャンペーンを「中程度の確信度」で同グループによるものと断定した。このサイバー攻撃者グループは、Sapphire Sleet、Stardust Chollima、BlueNoroff、CageyChameleon、Alluring Piscesなど、複数名称で追跡されている。

Amazonによると、各インシデントにおいて、ハッカーは信頼されているソフトウェアメンテナーを騙し、そのアクセス権を利用して悪意あるコードを含むアップデートを公開している。これらのパッケージの最新版を自動的にダウンロードするように設定された組織は、侵害されたアップデートをシステムに直接取り込んでしまった可能性がある。この手法により、ハッカーは広く使用されている少数のパッケージを侵害するだけで、下流システム数千へのアクセス権を獲得できる可能性があり、組織を個別に標的にするより効率的だ。

オープンソースソフトウェアでは自由に検証、修正、再利用が可能で、オペレーティングシステム、Webサーバー、暗号化ツール、さらに世界中の企業が日々依存している多くのアプリケーションの基盤となっている。こうしたプロジェクトは、提案された変更のレビュー、セキュリティ上の欠陥の修正、アップデートの公開を、ボランティアのメンテナーに依存していることが多い。

このモデルは、信頼に大きく依存している。攻撃者は、数週間から数ヶ月にわたり、正当な貢献者を装ってバグを修正し、関係を築いた上で、確立されたプロジェクトの制御権を掌握したり、悪意ある更新を公開しようと試みる。

この手口は2024年、広く注目を集めた。当時、「Jia Tan」という名前で活動していたアカウントが、数年にわたり他の開発者の信頼を勝ち取った後、数多くのLinuxディストリビューションに含まれる広く使用されているデータ圧縮ツール「XZ Utils」にバックドアを仕込もうとした。このバックドアは、広く展開される前に発見された。

「率直に言って、オープンソースコミュニティは『良き市民』を求めている。なぜなら、これらのパッケージは、フルタイムの仕事として報酬を得てメンテナンスを行っている人々によって管理されているわけではないことが多いからだ」と、Amazonの脆弱性管理サービス「Inspector」のシニアマネージャー、リック・アンソニー氏は水曜日、バージニア州アーリントンで記者団に語った。「彼らは、貢献する意思のある人なら誰に対しても非常に歓迎的だ。」

北朝鮮はかねてより、サイバー作戦を情報収集の手段と同時に、収入源としても扱ってきた。同国のハッカー部隊は仮想通貨を盗み、スパイ活動を行い、被害者から金をゆすり取っている。一方、IT作業員を装った工作員たちは、外国企業に就職し、給与を政権に送金している。アマゾンもそうした企業のひとつであると、幹部らは水曜日に述べた。米国当局者によると、これら収益は、平壌が制裁を回避し、核兵器や弾道ミサイル計画に資金を供給するのに役立っているという。

「制裁に縛られた体制にとって、こうした作戦を通じて収益を上げるということは、効率が高ければ高いほどより多くの資金が得られ、その資金を、そもそも制裁の原因となった活動に充てることができることを意味する」とモーゼスは記者団に語った。「サプライチェーンへの侵害が1件成功するだけで、数百件、あるいはそれ以上の標的型侵入へのアクセスが可能になる」

この調査結果は、オープンソースを悪用した攻撃の検知がますます困難になっている実態も浮き彫りにしている。

アマゾンによると、攻撃者は悪意のある操作を、個別に確認しただけでは無害に見える複数のパッケージに分割する傾向が強まっているという。あるパッケージには暗号化されたデータが、別のパッケージにはそれを解読するコードが、さらに別のパッケージには最終的なペイロードをダウンロードして実行する指示が含まれている場合がある。これらの構成要素が組み合わさって初めて、悪意のある動作が明らかになる。

また、ブログ記事では、AIの台頭によりマルウェアの発見が前より困難になっていると警告している。ハッカーはAIを利用して、洗練されたコード、説得力のあるドキュメント、偽の開発者プロフィールを作成することができ、かつては危険信号として認識されていた明らかなミスの多くを排除できるようになった。

攻撃者は、AIコーディングアシスタントによる誤りも悪用できる。AIツールが存在しないソフトウェアパッケージを推奨した場合、ハッカーはその名前を登録し、マルウェアを仕込むことができる。これにより、開発者や自動化システムが、推奨が誤りであることに気付かずにそれをダウンロードすることを狙う。

オープンソースソフトウェアのセキュリティに関する懸念は、ワシントンでますます注目を集めている。12月、上院情報委員会の委員長は、ホワイトハウスの国家サイバー担当ディレクターに対し、米軍および民間機関全体で使用されているシステムを支えるオープンソースプロジェクトの脆弱性に対処する措置を講じるよう要請した。

昨年8月、Nextgov/FCW初めて報じたところによると、ロシアのテクノロジー企業Yandexの従業員が、国防総省が利用可能な少なくとも30の既製ソフトウェアパッケージに組み込まれている、広く使用されているオープンソースツールの唯一のメンテナーであったという。■