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2025年6月7日土曜日

技術移転の約束により、タイはスウェーデンのグリペン戦闘機採用に舵を切った(Defense News)



イがグリペンE/F戦闘機12機を3段階に分け購入する決定をしたのは、スウェーデン政府によるオフセット・パッケージが決め手だった。

 この経済的・技術的支援により、サーブのグリペンはアメリカのF-16ブロック70/72の競合機を打ち負かした。

 6月4日、タイ空軍(RTAF)は記者会見を開き、グリペンの追加購入を発表した。

 昨年8月に最終オファーが提出された際、サーブは「スウェーデンの提案は、タイにとって重要な技術や国家能力の主要分野をカバーする体系的で長期的な計画を通じて、契約額を上回る最高の投資対効果をタイに保証する」と宣言していた。

 サーブのオフセット・パッケージ(プロジェクト金額の約155%に相当)は、航空宇宙産業と自給率向上に熱心なタイにとって特に魅力的であることが証明された。

 「オフセット委員会は、利益を最大化し、政府および国防相の政策に従うことを目的として、防衛オフセット提案に関してサーブと交渉を行った」とタイ航空局は声明で述べた:

 スウェーデン提案での重要な要素は、サーブが開発したタイ独自のLink-Tデータリンクである。現在、これを装備しているのは一握りのタイの航空機と数隻の軍艦だけである。

 バンコクは現在、Link-Tの無制限使用と拡張のため知的財産権を獲得している。「サーブはLink-Tの開発能力をRTAFと地元の防衛産業に移転する予定である。

 Link-Tはタイのマルチドメイン作戦能力を強化する。米国がデータリンクを厳重に管理しているため、ロッキード・マーチンのF-16はこの点で対抗できない。

 タイの2機のサーブ340空中早期警戒機もアップグレードされる。 さらに、現地にグリペンの整備、修理、オーバーホールのハブが設置される。

2024年3月4日、NATOノルディック・レスポンス24軍事演習中にスウェーデンのルレア・カラックス空港を離陸するJAS39グリペンC/D戦闘機。 (Anders Wiklund/TT News Agency/AFP via Getty Images)


 さらに、タイ企業はグリペンのサプライチェーンに参加し、タイヤ、ベアリング、クランプ、機体部品などの部品を製造する機会を得る。

 訓練支援は、パイロット6人、整備士18人、サポートスタッフ2人の計26人が対象。2025年から29年にかけて、サーブはネットワーク中心の飛行計画と訓練のためのミッション・サポート・システムに加え、ロジスティクス管理とメンテナンスのためのメンテナンス・グラウンド・サポート・システムを提供する。

 サーブはこの選定を歓迎し、次のように述べている: 「グリペンE/F戦闘機と関連機器に加え、サーブ提案には長期的なオフセット・パッケージが含まれている。これは、タイの国家安全保障と戦略的独立性に利益をもたらすと同時に、タイのさまざまな社会部門に新たな雇用と投資をもたらすものです」。

 タイのグリペンE/Fには、Raven ES-05レーダー、SkyWard赤外線サーチ&トラック、Arexis電子戦スイート、照準ポッドとスタンドオフ武器機能、Link-T、Meteor、IRIS-Tミサイル、Targoヘルメットマウントディスプレイが搭載される。

 初期バッチは、3機の単座型グリペンEと双座型Fで構成され、2025~2029年度に195億バーツ(約6億米ドル)で調達される。

 さらに8機のグリペンE/Fが2034年度までに納入され、102飛行隊の老朽化したF-16A/B戦闘機と入れ替わる。

 タイの航空機選定は、2024年8月27日に公表されたグリペンが指名されたことを受けて行われた。今回、選定が承認されたことで、空軍は8月中に調達契約に調印するとしている。■




Tech transfer pledge steers Thailand to pick Sweden’s Gripen warplane

By Gordon Arthur

 Jun 6, 2025, 01:52 AM

https://www.defensenews.com/global/asia-pacific/2025/06/05/tech-transfer-pledge-steers-thailand-to-pick-swedens-gripen-warplane/


ゴードン・アーサーについて

ゴードン・アーサーはディフェンス・ニュースのアジア特派員。 20年間の香港勤務を経て、現在はニュージーランド在住。 アジア太平洋地域の約20カ国で軍事演習や防衛展示会に参加。

2024年11月29日金曜日

スウェーデン、海底光ファイバーケーブル損傷の調査継続のため、中国貨物船にスウェーデン海域での滞留を要請中(USNI News)―そもそも錨をおろしたまま航行する行為がありうるのでしょうか。金銭のためなら何でもするのが中国の規範?

 

Sweden Requests Chinese Bulk Carrier To Stay in Swedish Water as Investigation Into Undersea Fiber-Optic Cables Continues

John Grady

November 27, 2024 3:02 PM

https://newsinterpretation.com/yi-peng-3-sabotage-investigation-international-tensions-rise/#google_vignette



ウェーデン首相は、バルト海で海底光ファイバーケーブル2本を切断した疑いのある中国のばら積み貨物船に対し、調査が続く中、滞留するよう求めている。

 「非難しているわけではないが、何が起こったのかを明確にすることを求めている」とウルフ・クリスターソン首相は記者会見で述べた。 

 また、スウェーデン当局は、11月15日にロシアのウスト・ルーガ港を出港したイペン3号と連絡を取っており、その行き先はエジプトのポートサイドである可能性が高いと付け加えた。

 スウェーデンの捜査当局は、今回のケーブル切断が偶発的なのか故意によるものかは明らかにしていない。

 月曜日、中国外務省は、デンマーク、リトアニア、ドイツを含むすべての関係者と「円滑なコミュニケーション」が維持されていると述べた。

 ドイツとスウェーデン両政府は、ケーブル切断が発覚した直後の共同声明で「意図的な損傷の疑いが直ちに浮上する事態」を調査していると述べた。欧州の安全保障は、ロシアのウクライナ戦争と「悪意ある行為者によるハイブリッド戦争」によって脅かされていると、共同声明は行為者を名指しすることなく述べた。

 ドイツのボリス・ピストリウス国防相は先週、ドイツとフィンランドを結ぶ730マイルのケーブルの断線が検出された後、「これらのケーブルが偶然切断されたとは誰も考えていない」と述べていた。

 「具体的にどこから来たのかわからないが、"ハイブリッド "な行動だと言わざるを得ない。そして、まだわからないが、妨害行為であるとも考えなければならない」。

 ピストリウスが発言した直後、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は定例記者会見で、「理由もなく何でもかんでもロシアのせいにし続けるのは極めて馬鹿げている」と述べた。

 報道によれば、中国船は現在移動しておらず、デンマークの排他的経済水域にいるという。 デンマークの軍当局はこの船を注意深く監視している。

 フィンランドとドイツ、スウェーデンとリトアニアを結ぶケーブルが破断したのは、11月17日から18日にかけてのことだった。

 ノルウェーの北極大学の海洋法の専門家であるアレクサンダー・ロットは、火曜日のWest Pointの "Articles of War "シリーズに寄稿した。 彼は、この船にはロシア人の船長がいると付け加えた。

 イーペン3号はデンマーク海軍の軍艦に伴われ、デンマークのグレートベルトを経由してバルト海を出たとロットは書いている。その後、デンマークとスウェーデンが設定したEEZコリドーを含むカテガット海峡に停泊した。

 月曜日現在、中国船はカテガットのデンマーク領内に留まっている。  デンマーク海軍、ロシア、ドイツの軍艦、スウェーデンの沿岸警備隊もこの海域で目撃されている、とロットは書いている。

 中国船に乗り込もうという動きは報告されていない。 また、このばら積み船と海難事故を結びつける直接的な証拠もない。

 スウェーデンの首相は火曜の記者会見で、「比較的短期間に深刻な物理的ケーブル破断があったのは、これが2度目だ」と付け加えた。 首相は、中国がこの要請に前向きに応えてくれることを期待していると述べた。

 8月に中国は別の中国商船が錨を引きずったまま、フィンランドとエストニアの間のバルト海でガスパイプラインと通信ケーブルを誤って切断したことを認めた。

 欧州の調査当局は、2023年の事故が偶発的なものであったと考えているかどうかについては明らかにしていない。

 この2つのケーブル切断事故と、2022年に起きたノルドスチーム1号とノルドストリーム2号の謎の爆発事故は、重要インフラがテロリストや紛争の「グレーゾーン」で活動する政府による攻撃に対していかに脆弱であるかを浮き彫りにしている。

 これらの爆発事故は現在もドイツの司法当局によって調査中である。■


https://news.usni.org/2024/11/27/sweden-requests-chinese-bulk-carrier-to-stay-in-swedish-water-as-investigation-into-undersea-fiber-optic-cables-continues


2024年1月2日火曜日

2024年の展望⑥ スウェーデンがNATO加盟へ

  • ロシアにどんどん不利になる欧州方面の環境ですが、スウェーデンのNATO加盟が決定打になるのではないでしょうか。一方、日本もロシアと国境をはさみ、千島四島という未解決の領土問題を抱えていることを忘れてはなりません。その意味でNATOと日本が接近するのは当然のことなのですが、東京事務所開設に反対したマクロンの世界観がなんともうらめしいですね。




加盟が承認されれば、ストックホルムは特に空と海の領域で、NATOへの多大な軍事的貢献が広く期待される



国フィンランドが2023年4月にNATO加盟したのを見届けた後、スウェーデンが32番目の加盟国としてNATOに名を連ねることになりそうだ。

 北欧の安全保障を不安定にしたロシアのウクライナ侵攻の直後、スカンジナビアの2カ国は同時に加盟を申請した。フィンランドは無事通過したが、トルコの反対でスウェーデンのNATO加盟は遅れている。

 トルコは、テロ関連法の強化や、PKK過激派やグレン運動への対応についてストックホルムに譲歩を求めた。グレン運動は、2016年のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に対するクーデターの責任があるとアンカラに非難されている。スウェーデンとフィンランドはまた、トルコによるNATO加盟への協力の見返りとして、アンカラに対する武器禁輸を解除した。

 すべての政治的論争が決着し、NATOが最も新しい加盟国を迎える前に、スウェーデンの加盟の批准にはトルコとハンガリーの議会投票だけが残っている。

 NATOでは同盟国に対するいかなる攻撃もすべての報復行動の根拠とみなす第5条がある。スウェーデンはまた、同盟の核戦力と、その核戦力が敵の戦略的意思決定に与える抑止効果の恩恵も受けることになる。

 スウェーデンは、2023年から2024年にかけて国防費を270億クローネ(24億米ドル)増加させると発表した。ストックホルムは2022年から軍事費を倍増させ、2024年には総額1200億クローネ(108億米ドル)弱を用意している。

 1994年以来NATOのパートナー国であるスウェーデンは、NATO主導の演習に参加し、アフガニスタンにおける同盟の支援ミッションに貢献し、招待国としての地位を得て以来、同盟の各種会合に出席している。

 しかし、NATOに加盟していないため、スウェーデン軍によれば、集団防衛義務や「共通作戦計画」から除外されている。

 加盟が承認されれば、ストックホルムは特に空と海の領域で、NATOに多大な軍事的貢献をすることが広く期待されている。

 スウェーデンのカール・ビルト元首相は、スウェーデンとフィンランドの艦隊が同盟に参加するようになれば、バルト海地域は250機以上の戦闘機でパトロールされるようになり、ゴットランド島はNATOの前方作戦基地になると見ている。ゴットランド島は、スウェーデンとロシアのカリーニングラード州間のバルト海で中心に位置する戦略的に重要な島だ。

 ドナルド・トランプが政権に返り咲き、キーウへの支援を削減または縮小するという脅しを実行に移した場合、ヨーロッパはアメリカの莫大な資金なしに戦費を賄うという見通しに直面することになる。■


Sweden to finally enter NATO: Europe's 2024 preview - Breaking Defense

By   TIM MARTIN

on December 29, 2023 at 1:30 PM


 

2023年12月11日月曜日

スウェーデンが国内基地を米軍に開放。北欧の安全保障地図は大きく変貌しそうだ。ただし、スウェーデンのNATO加盟は未決のまま。

 ロシアの無謀な行為が本来ロシアが避けるべき、国境近隣でのNATOのプレゼンスを増大させているという皮肉な進展の一つです。Aviation Week記事からのご紹介です。

US Air Force aircraft in lulea SwedenA U.S. Air Force Rockwell B-1B Lancer at the Swedish Air Force base in Lulea, Sweden.Credit: TT News Agency/Alamy Stock Photo

米軍がスウェーデンの空軍基地を利用できるようになる。

防協力協定(DCA)は12月6日署名され、スウェーデン議会の承認を待つ。協定により、米軍は北欧諸国での演習や活動が可能になる一方、米軍の法的地位、基地エリアへのアクセス、スウェーデンでの物資の事前保管などの規制が変わる。

スウェーデンのNATO加盟は、ハンガリーとトルコ両政府が加盟を批准していないため、遅れたままだ。

協定により、米軍はスウェーデンの基地に防衛装備品を配備・保管できるようになる。また、米軍機の上空飛行、空中給油、スウェーデンの飛行場からの離着陸も許可される。

協定によると、米軍機には航空航行料金や、上空飛行料金、経路料金、ターミナル・ナビゲーション料金などの料金が課されす、スウェーデン政府が所有・運営する飛行場での着陸料や駐機料も課されない。

米国は、ハルムスタッド、ルレア、ロンネビー、サテナス、ウプサラのスウェーデン空軍基地やヴィドセル空軍基地、試験飛行場で航空機を運用することができる。

スウェーデン国防当局は、この協定を「スウェーデンとアメリカの長期的な安全保障・防衛協力の自然な発展」と説明している。DCAは、スウェーデン政府がロシアのウクライナ侵攻による「ヨーロッパの安全保障状況の悪化」と呼ぶ状況の中で生まれた。

DCAに先立ち、両国はすでに2016年に合意した二国間防衛協力の強化に関する意向表明と、2018年に遡るフィンランド、米国との三国間意向表明を実施していた。

スウェーデン政府関係者は、「協定は、米国が欧州と近隣の安全保障に関与し続けている明確なシグナルである」と述べ、他にも同様の協定がノルウェーと結ばれており、デンマーク、フィンランドとも結ばれる予定と述べている。■

Swedish Bases To Be Opened To U.S. Forces | Aviation Week Network

Tony Osborne December 07, 2023


Tony Osborne

Based in London, Tony covers European defense programs. Prior to joining Aviation Week in November 2012, Tony was at Shephard Media Group where he was deputy editor for Rotorhub and Defence Helicopter magazines.


2022年1月18日火曜日

気になるニュース スウェーデンの原発はじめ重要施設上空に正体不明の無人機目撃談が相次ぐ。他方、バルト海のロシア軍の動向に地政学的関心が高まっている。

 

  •  

VATTENFALL

 

原発以外にも機微施設上空で無人機の飛行目撃が続いており、スウェーデン警察当局が調査をはじめている。

 

ウェーデン警察は、フォルスマルク原子力発電所Forsmark Nuclear Power Plant付近で新たな無人機目撃があったと確認した。前日にスウェーデン当局が、同原発付近と国内のその他原子力施設2カ所付近で多数のドローン侵入事案があり調査中と発表していた。

 

 

一連の事件は「国家的特別事件」に分類され、スウェーデン当局がドローン操縦者の意図に懸念を抱いていることを浮き彫りにしている。スウェーデンでは、政府機関や空港など機密性の高い場所で相次いで無人機が目撃されている。

 

スウェーデン市民が、同国最大の発電施設フォルスマルクの上空で新たな物体を本日未明、発見し、警察に通報してきた。警察の広報担当者Jonas Eronenによると、現場に派遣された係官は自ら物体を観察し、無人機であると評価したという。目撃情報を受け、警察ヘリコプターと原子力発電所の現場警備隊が出動したが、無人機は捕捉されず、逮捕者は出ていないとスウェーデン国営公共テレビ放送SVTが報じた。

 

スウェーデン語の頭文字をとってSäpo(セポ)とも呼ばれるスウェーデン保安局は、今回の目撃情報について、「現在の捜査対象に含まれていない」とコメントを控えている。警察のエローネン報道官は、さらに事件が彼らの仕事に加えられることは十分に予想されると述べた。Säpoは国家レベルの法執行・情報機関で、スパイ対策とテロ対策任務を一部担う点で米国の連邦捜査局(FBI)に類似している。

 

Säpo社はフォルスマルク上空での無人機目撃事件と、南部リンハルスRinghals原子力発電所とオスカルスハムンOskarshamn原子力発電所に関する調査を引き継いだと発表した。この調査が、最近報告されたバルセベックBarsebäck原子力発電所(2005年に廃炉となり、2028年までに取り壊される予定)付近の目撃情報も含むかは不明。

 

地元紙Aftonbladetによると、首都ストックホルム、およびキルナKiruna空港とルレオLuleå空港付近の政府機関上空を無人機が飛行したとの別々の報告について、地元当局は調査を続けるという。ストックホルムでは、国会議事堂(Riksdag)と、隣接する君主カール16世グスタフ国王の公邸であるストックホルム宮殿上空で無人航空機が目撃されたと報じられている。キルナはスウェーデン最北端の空港で、ルレオはスウェーデンの北東、ボスニア湾沿いに位置する空港。

 

各事件の無人機については、詳細は得られていない。Aftonbladet紙は匿名情報源を引用し、「小型のプロペラ機ではなく、少なくとも2メートル(~6.5フィート)の翼を持つ大型ドローンだ」と報じたが、これらの主張を立証する証拠は提供されていない。国内テレビ局TV2の以前の報道では、少なくとも1機は 「風に耐えられるほど大きな機体」だったと説明していた。

 

無人機目撃情報からは、一転除けば他にはほとんど何もわからないままだ。明らかに懸念されるのは、無人機操縦者が誰であれ、何らかの邪悪な意図を持っている可能性があると懸念される。潜在的な脅威としては、スウェーデンの原子力発電インフラや電力網等をスパイすることから、関連する無線ネットワークのサイバーセキュリティ上の脆弱性などの潜在的弱点を調べることまで、さまざまな可能性がある。物理的に限らず脆弱性を発見しておけば、将来の情報収集活動や攻撃に役立つ可能性がある。

 

市販改造型を含む無人機が、商用電力インフラをはじめ、民間の機密施設や、軍事目標にもたらす非常に現実的な脅威がすでに十分立証されている。The War Zoneは、2019年にアリゾナ州のパロベルデPalo Verde原子力発電所付近で発生した、同様に気になる、まだ説明のつかない一連のドローン目撃情報を最初に報告していた。現在公開されている米原子力規制委員会(NRC)資料によると、2015年から2019年の間に、パロベルデだけでなく、米国の原子力発電施設24か所で60件の無人機目撃事案があったことが判明している。

 

昨年末には、米国当局がペンシルベニア州の変電所付近に墜落した無人機が、未遂に終わった同州内電力網への攻撃に関与した可能性が高いと判断したことが明らかになっていた。

 

スウェーデンが隣接するロシアの活動へ地政学的な懸念を高める中で、こうした事件が発生した。スウェーデン軍は先週、ロシアの北方艦隊から3隻が到着したことを受け、バルト海の戦略的地点であるゴットランドGotland 島に装甲車、追加部隊数百人を配備した。スウェーデンはロシア海軍艦艇が同地域を離れたため、再び警戒態勢を敷いた。スウェーデン当局は、ロシアの動きが不規則であると感じており、海軍艦艇の配備とあわせヨーロッパの他の場所、特にウクライナとロシアの緊張の高まりとの関連性が議論の的となっている。

 

ストックホルムでの事件の調査結果と同様に、原子力発電所付近を飛ぶ無人機について、Säpoの調査から何が判明するかまだ不明だ。はっきりしているのは、スウェーデン政府が事態を非常に深刻に受け止めているということだ。■

 

Swedish Security Agency Declares A National Event As Drone Incursions Over Nuclear Sites Grow

 

BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 17, 2022


2016年6月9日木曜日

★スウェーデンが米国と防衛協力を強化する理由はロシアにあり



スウェーデンと言えば独自に開発した優秀な装備で中立を力をもって維持している国と理解していましたが、ロシアの動きに呼応して自らの政策を大胆に検討しなおしているようです。中国といいロシアといい自分勝手な行いが自らを孤立化させている現象が東西で見られるのは興味深いことですね。


Sweden, US Agree to Closer Defense Collaboration

Aaron Mehta, Defense News 2:03 p.m. EDT June 8, 2016

Swedish Submarine(Photo: Andreas Rentz/Getty Images)

WASHINGTON — スウェーデンと米国が国防協力の推進をうたう意向書に署名した背景にはロシアの動きに神経をとがらせる北欧諸国の問題意識がある。
合意書は拘束力がなく各論での課題はほとんど出ていないが、Defense News TVの独占インタビューでスウェーデン国防相ペーター・フルトクビストPeter Hultqvistは文言よりも米国との防衛関係の現実の方が重要だとの認識を示した。
関連ニュース フィンランド、スウェーデンが共同防衛体制を検討中
「スウェーデンにとって極めて重要な声明であり、大西洋を挟んだ連携がスウェーデンのみならずヨーロッパ全体で重要だと示すもの」とフルトクビスト国防相は述べている。「これまで米国とこのような仕組みはなかった。両国は多くの点で合意は見てきたがこのような総括的な傘はなかった」
フルトクビスト国防相は今回の声明文の背景にロシアとの安全保障関係であることを堂々と述べた。その事実が文書に反映され、8日に米国防長官アシュ・カーターとの署名に臨んだ。
「安全保障の課題はこれまでにまして深刻かつ複雑化している」と合意声明文の冒頭は述べている。「地域内勢力は隣国相手に公然と力を試しており、その他各国や国際機関ならびに我が国自体の安全はテロ活動や過激な暴力集団により影響をますます受けている」
今回の文書が取り上げた主要分野は次の七つ。
  • 両国間で「対話と情報共有」を進め、「北欧における安全保障の環境のよりよい理解」に焦点をあてること
  • 両国の軍組織間で対話を増やすこと
  • 演習や訓練を通じ相互作戦態勢を深める一方で「演習訓練が政治的なシグナルを送る」と認識すること
  • 二国間、多国間で幕僚レベルの演習を開発すること
  • 現時点の戦闘に対応する戦力を整備し中心を「航空戦と水中戦の装備協力ならびに関連センサー技術、兵装、機材」に置くこと
  • 将来の戦闘に対応できる戦力を整備し中心を航空戦力、水中戦ならびにサイバー戦に置くこと
  • 現状の多国間協力体制を国連やNATO通じさらに強化すること
インタビューでフルトクビスト国防相は情報共有を特に強調し、情報機関のみならず二国間で解析の課程での共有が重要だと述べた。米国との共同演習の回数が増えていること自体が「力強い安全保障の声明文」だと発言している。
技術についてフルトクビスト国防相は将来の二国間協力では自信をもって「進めていく」と答えたが、スウェーデンが開発を進めている新型センサーについて明言を避けた。


2014年10月31日金曜日

オーストラリア潜水艦事業に絡みたいサーブ・コックムスとはどんな企業なのか


オーストラリア向け潜水艦建造の競合相手になりそうなサーブ傘下のコックムスの話題です。同社が提携したコリンズ級がオーストラリアにとっては不満の種なのですが、同社はオーストラリアにこれまでも実績のある会社で決して無視はできないと思います。だがはたして日本の2社に海上自衛隊向けとは別に輸出用船体を作る余裕があるのか、そこに米国も割り込んできて、ますます混迷しそうな状況ですね。同社を率いるフランソン女史の発言を見ると、とてもオーストラリアの想定する性能を実現できる実績のある会社と思えないのですが、いかにも自信満々ですよね。日本側もメディアを使って自社の立ち位置を説明してはいかがでしょうか。

Saab Confident in Its Kockums Submarine Builders

Oct. 29, 2014 - 05:03PM   |  
By CHRISTOPHER P. CAVAS   |   Comments
Saab Kockums Security and Defense Solutions unitを率いるグニラ・フランソンは世界の海軍市場で競合に勝ち残りたいと意欲満々だ。 (Christopher P. Cavas/Staff)
PARIS — コックムス造船が再度スウェーデンの所有・統制に復帰した際は同国の国民、政府、産業界が全員承認する稀な事例となった。
  1. 「全員が好意的な反応を示すのはこの国で初めてでしょう」と言うのはサーブ・コックムスSaab Kockums Security and Defense Solutionsを率いるグニラ・フランソンGunilla Franssonである。
  2. サーブはコックムスを傘下に収め潜水艦建造でスウェーデンらしさを出してきた。
  3. 「サーブ・コックムスとしてサーブの強みとコックムスの造船能力を提供します」
  4. フランソンはサーブの海軍艦船建造実績を上げたうえで、「サーブは造船では有名とはいいがいですが、コックムスの名前はサーブが造船も手掛けていることを印象付けます」
  5. サーブの名称はグリペンに代表されれる航空機製造、サーブ・バラキューダSaab Barracudaとして米国に本社を置く安全保障防衛システム開発で知られているとフランソンは指摘。
  6. サーブ・コックムスは海軍関係の事業を世界規模で展開し、艦船建造からシステムズまで手掛けようとする。
  7. 「海軍関連事業は業界内の協力があって成立し、一社ですべてのシステムを提供できません」
  8. サーブはシステム統合企業と自社をみていると語る。「当社の強みは海軍関係の統合機能です。主契約企業をめざし、競合他社の製品も利用します」
  9. コックムスがドイツ持ち株会社と関係が不安定だったのはホバルツウェルケ・ドイチェHowaldtswerke-Deutsche Werft が国有企業だったコックムスを1999年に買収したためだった。その後ティッセンクルップ・マリンシステムズThyssenKrupp Marine Systems (TKMS)に2005年に編入され関係はさらに悪化し、併合でコックムスの潜水艦設計建造事業が廃止されるとの猜疑心だけが高まっていた。
  10. 今年二月にスウェーデン政府から「国益の観点で潜水艦建造能力が必要だ、サーブに同事業をやってもらいたい」と言ってきたとフランソンはいう。そういわれて、ことわれなかった、と回想する。
  11. コックムスは15年もの間外国に所有されていたが、「スウェーデン企業のままで、TKMSへ統合されていない」とフランソンは言う。
  12. スウェーデン政府方針でサーブ・コックムスはA26潜水艦の開発を再開し、設計・建造の準備を急いでいる。フランソンはこの事業の行方に自信を持っている。
  13. 「20年間潜水艦を一隻も建造してなくても、スウェーデン海軍用に潜水艦をドック補修していましたから」と言う。
  14. 造船技術そのものはサーブが手に入れた900名のコックムス社員の中にある。「30年40年勤務の社員が多数おり、技能水準を維持しています。スウェーデンには海軍関係者も多く、コックムスと強い関係を持っていますので、技能で心配はしていません」
  15. 経営管理層はサーブ出身者、コックムス出身で半々だという。「管理職には20年30年の経験があり、海軍士官出身者もいますよ」
  16. 政府契約でサーブ・コックムスはA26設計を見直し、「現在の要求水準に合致するか確認中で、サブシステム、調達品を再検証する」という。
  17. サーブ・コックムスはA26潜水艦調達の決定が数年以内に決まり、詳細設計、建造を開始できると見ている。A26級一号艦の納入は2022年目標だとフランソンは言う。
  18. TKMSは傘下のコックムスに潜水艦の輸出営業を許さず、スウェーデン側に不満の種だった。同社はオーストラリア向けに建造したコリンズ級の出来具合に誇りを持っている。コリンズはスウェーデン海軍向け設計案を拡大した潜水艦である。
  19. 同社はオーストラリアで再度存在感を高めようとしている。オーストラリア政府はコリンズ級6隻の後継艦として12隻の建造を計画している。
  20. 「オーストラリア案件に当社も関与したい。オーストラリアとは強い関係がある」(フランソン)
  21. サーブには20年にわたり防衛事業を支える現地社員がオーストラリアにおり、「サーブはオーストラリア企業として認知されています。コックムスが加わり、潜水艦事業で強力な入札企業となります」
  22. 「潜水艦調達を獲得するのが目標ですが、決めるのはもちろんオーストラリアです」 ■

2014年10月27日月曜日

スウェーデン謎の潜水艇捜索はロシアとの緊張増大の最新事例


ロシア軍の活動が目立って活発になっています。これは北欧でのお話ですが、太平洋でも警戒が必要なことは言うまでもありません。日本の沿岸部に小型潜航艇が来るとしたら北朝鮮をまず疑うところですが、ロシアの新型ハードウェアは相当高性能になっているようです。他山の石と達観しているわけにいかないでしょう。

Sub Search Highlights Growing Unease With Russia

Oct. 25, 2014 - 05:11PM   |  
By GERARD O’DWYER   |   Comments
SWEDEN-MILITARY-SUBMARINE-RUSSIA-SEARCH
謎の潜水艦を追うスウェーデン海軍の海防艦ヴィスビュー、捜索5日目の10月21日ミシンゲン湾にて。スウェーデンは捜索を10月24日に打ち切った。 (FREDRIK SANDBERG/ / AFP/Getty Images)

HELSINKI — クリミア半島を巡るロシアとヨーロッパの対立が6か月以上となる中、今回のスウェーデン事件はバルト海近隣諸国がロシアに神経をとがらす事態を改めて浮き彫りにした。
  1. 各国政府とロシアとの緊張が今月に入り高まるきっかけになったのはスウェーデン海軍がロシア海軍と思われる潜航中の船体をストックホルム近郊で捜索したことだ。
  2. さらに10月23日には、デンマーク空軍所属F-16とスウェーデンのグリペン戦闘機がデンマーク、スウェーデン国境近くを飛行しエストニア領空に侵入したイリューシンIL-20情報収集機を追尾。同機は最終的にNATO空域からポルトガル空軍F-16にエスコートされて退去した。ポルトガルはリトアニアのNATO空軍基地を利用している。
  3. スウェーデン海軍の捜索活動は冷戦終結後で最大規模になった。きっかけは10月18日に沿岸近くで異常な動きがあると民間から報告されたことだった。スウェーデンは10月24日に捜索を縮小した。
  4. スウェーデン海軍は暗号電文がロシア軍の「救難信号」周波数で発信されるのを傍受したとの報道を否定した。
  5. 報道によればストックホルム近郊の島しょ部からカリニングラードに発信されているが、同地にはロシア海軍のバルト海艦隊の司令部がある。
  6. ロシアはスウェーデンに自国の「潜水艦部隊は全隻その動向を把握」していると発表。スウェーデン領海に侵入したロシア海軍艦船は存在しない、とも伝えた。
  7. さらにロシア国防省から国籍不明の「水中艦艇」とはオランダのウォーラス級潜水艦ブルインヴィスBruinvisで、スウェーデン領海を通過しエストニアのタリンへ移動していたと伝えてきた。オランダ国防省は直ちに否定している。
  8. バルト海ではロシア潜水艦がたびたび目撃されており、ラトビア海軍はキロ級潜水艦とCC-750支援艦を同国領海から10カイリ外で9月に撮影している。8月には同じラトビア海軍が海防艦ステレグシュチイStereguschiyとキロ級潜水艦一隻を識別したが、同国の排他的経済水域から2カイリ未満の地点だった。
  9. ロシア海軍がフィンランド海洋調査船の進路を妨害する事件が10月11日に発生しており、発生地点はスウェーデン側のバルト海の国際水域だった。
  10. 北欧諸国の各海軍トップはロシアが露骨に軍事力を誇示するのはNATOがバルト海で演習を強化しているのと関係があると見ている。
  11. 「NATOとロシアはともにバルト海で軍事活動レベルを引き上げている」と、フィンランドの国防トップ・ジェローム・インドベルグ大将 Gen. Jerome Lindbergは語る。「ロシアが活発になっており、NATOもバルト海のパトロールを増やしている。以前は航空機が数機の規模だったが4倍5倍になりバルト海全体に作戦区域が拡大している」
  12. 各国政府(スウェーデン、ノルウェー、エストニア、リトアニア)はこれ以上脅威が増加すれば国防支出を増額し、相互協力体制をとることとしている。
  13. スウェーデンの捜索活動の背景には100件以上の民間目撃があり、荒い写真で半分潜水した「物体」他が報告されていると同国海軍少将アンダース・グレンシュタッド少将Rear Adm. Anders Grenstad が述べている。
  14. スウェーデン海軍は捜索し、位置をつきとめ、武器を使用してでも「外国の」潜水艇を浮上させると少将はいい、さらに外国艦が遭難しているとの情報はない、と断言していた。
  15. スウェーデン海軍は2012年から軍事制限地区の海岸監視を強化しており、「外国による水中活動」や「外国船」が海図作成や軍事監視装置の設置、あるいは沿岸の防備状況を偵察する可能性があるとしていた。
  16. 捜索活動は10月23日に規模縮小している。一週間にわたる捜索で「外国船」を発見できなかったためだ。
  17. スウェーデン海軍は同時にロシアのタンカー・コンコルドの動向を監視し、沿岸警備隊が同船の「ジグザグ」航行を発見している。これはスウェーデン沿岸で待ち合わせをする際のパターン。
  18. スウェーデン沿岸警備隊によれば同船の所有者はSCF Novoshipでリベリア船籍で、バルト海のロシア側プリモルスクPrimorskへ向け航行しているという。
  19. ロシアと北欧諸国の緊張が高まりは冷戦時代への逆戻りだとベルギーの政治アナリスト、イェンス・ケスラーJens Kesslerは言う。
  20. 「当時はロシアのバルト海艦隊、北方艦隊は定期的に開発したばかりの水中艦のステルス性をテストしており、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの各海軍の対潜防衛網を試すゲームをしている。領空侵犯も頻繁で北欧各国の空軍の頭痛の種だった」
  21. 今回スウェーデン海軍が水中の「外国船」を島しょ部で見つけられなかったのは、船体の大きさに加え同地へのアクセスが難しいことがあるとケスラーは言う。「藁の中で針金を見つけるのと同じだ。スウェーデン沿岸には3万の島があり、海底地形は大きく変化している。本当に潜航艇が潜んでいたら、またロシアの新型トリトンNN型なら、数週間も探知から隠れるのは可能」
  22. スウェーデン軍が「外国による水中活動」に反応したのはいかなる国境侵犯に対して迅速かつ効果的に対応する意図を「非常に明確に」示したものと国防トップ、スベルカ・ゴランソン大将Gen. Sverker Göransonは語る。
  23. 「今回は情報を基にした作戦だが目標は潜航中の対象を浮上させることで、必要なら武力行使もいとわない」とゴランソンは以前発言していた。
  24. 一方、ノルウェーは自国国境付近でロシア部隊増強の様子を監視中で、北方艦隊がコラ半島にK-560セヴェロドヴィンスク Severodvinsk 新型ステルス巡航ミサイル潜水艦の4号艦を第11潜水艦戦隊の母港ブロシャヤ・ロパトカ Bloshaya Lopatkaに配備した。同地はノルウェー国境から61キロメートル地点。■