2011年10月9日日曜日

ヨーロッパのミサイル防衛を強化する米海軍の地中海派遣

                

地 中海が欧州のミサイル防衛の観点で重要性を増しているようです。スペインに米海軍がイージス艦を配備する事になったのは知りませんでした。エイビエーショ ンウィークは以下のように伝えています。それにしても革新的な設計のズムワルト級を犠牲にしてイージス艦とは言え、お手軽な既存設計艦の建造を優先しなけ ればならないほど国防予算に余裕がなくなっているのですね。

Navy Anchors European BMD Mission With Basing

aviationweek.com Oct 7, 2011

  1. 米海軍はスペインとジブラルタル北西60マイルのロタをイージス艦配備基地として利用する合意が形成できたことで、いわゆる段階的適合アプローチPhased Adaptive Approachによる欧州ミサイル防衛(BMD)の基盤づくりに成功。
  2. 米国スペイン間の合意内容は実際にはタイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦USSモントレーが段階的適合アプローチの一環で地中海に配備されて5ヶ月が経過後に成立したものだ。
  3. 同艦のジム・キルビー艦長Capt. Jim Kilbyが本誌独占取材に対して性能向上型イージスシステムは期待通りの性能でBMD以外の任務にも有効な戦術を海軍は構築していくと語った。
  4. ま たロタ基地の利用でイージス艦の配備は海軍の考える理想型になり米国の力を増強する形に働くとし、「北アフリカ、地中海地方の米国の政策目的の支援に役立 つ」とレキシントン研究所のローレン・トンプソンLoren Thompsonは分析する。「イージス艦は米国の戦域ミサイル防錆の中心であり、大陸間弾道弾対策においても重要な存在となるでしょう」
  5. 基地利用合意の発表に際し、レオン・パネッタ国防長官は「ロタにイージス艦4隻を配備し、地中海における同盟各国の海軍力は大幅に増強され、この重要地域の安全を確実にする能力が向上されます」と語った。
  6. 「各 艦はNATOのミサイル防衛の支援します。米国はルーマニア、ポーランド、トルコとも協定を結んでおり、今回のスペインの決定は欧州段階的適合アプローチ の実施で大きな進展となります。米国はNATO各国のうち欧州域内各国への完全な対ミサイル防衛能力の建設に全力で取り組んでおり、弾道ミサイルの脅威が 増している中その重要性がましています」
  7. もう一つ重要な要素が陸上イージスシステムAegis Ashore system.であり、ミサイル防衛庁は総額115.5百万ドルでロッキード・マーティンにシステム改造、用地選定、輸送計画、ギ技術開発含む契約を交付している。
  8. 米 海軍はイージスシステムに高い優先順位をつけ、BMD任務関連でDDG-51アーレー・バーク駆逐艦の建造再開でイージス防衛装備の増強を進めている。さ らに高性能のBMDおよび個艦防衛手段として対空・ミサイルレーダー(AMDR)をアーレー・バーク駆逐艦フライトIIIの各艦に装備する予定だ。
  9. アーレー・バーク駆逐艦を追加建造する予算を捻出するために海軍はより新鋭のDDG-1000ズムワルト級駆逐艦建造を当初の7隻から3隻に縮小した。DDG-51級の建造再開の妥当性は政府会計検査院が調査中。

2011年10月3日月曜日

予算削減でISR機材はどう変化をせまられれるのか

USAF Weighs Which ISR Programs To Cut

aviationweek.com Sep 27, 2011
By Amy Butler
Washington
   

米 空軍の偵察監視情報収集(ISR)機材にはU-2、新世代無人機からボーイング707を原型とする各機種まであるが、9/11以後は緊急性を理由に予算計 上は特別扱いであった。そして10年がたち、空軍は情報収集装備の縮小により今後数十年にわたる各種の脅威に対応剃るまで追い詰められている。
  1. 空 軍長官マイケル・ドンレーによると空軍は今後の上昇収集・監視・偵察(ISR)機材の構成で選択肢を検討しているという。この検討は今後数週間のうちに完 了し、その結果次第で2013年度予算案が来年2月に議会に提示される際にどの情報収集活動を削減するかを伝えることになる。その結果次第では仮に議会が 赤字削減法案通過に失敗する事態を想定して、各種の選択肢を検討することになるという。
  2. このような選択肢検討は情報収集機材だけに限らず、空軍全体で進められている。たとえば、F-35にかわる選択肢はないと言われるものの、ドンレー長官は同機計画も精査を免れることはできないと理解している。
  3. た だし情報集機材の構成には多様な検討ポイントが組み込まれており、機材、搭載センサー、地上配備のデータ処理能力などあり、逆に内容の吟味が最も必要な分 野になっている。ドンレー長官は空軍協会主催の会議の席上「ISR関連で合計13もの近代化装備計画が別個に有ることを昨年発見した」と語る。「予算に余 裕が減っている現状を考慮して今後の選択ではより注意深くかつ書く選択肢の優劣を意識する必要がある」と述べている。
  4. ISR 用機材の整理統合は空軍にとってつらい仕事になる。わずか数年前までゲイツ前長官がイラク、アフガニスタンの戦闘でISR支援が不足していると主張してい た。ゲイツ前長官は退任直前になり空軍のISR能力増強を評価しつつ、さらにMQ-9リーパー調達の増加を求める意見書を起草している。しかし、 ゲイツは去り、空軍内部にはこの問題提起に対する検討の自由度が高まると見る向きがある。ゲイツ長官在任中はISR機材の縮小案は即座に却下していたと証 言する関係者もいる。
  5. ゲイツ前長官の影響が減少している証拠として、ドンレー長官はリーパー購入増を承認しなかった。「この決定がいまでも議論の種になっているのは十分承知している。今年の秋も引き続き論争が続くだろうが、後戻りはできない」とドンレー長官は語る。
  6. 空 軍関係者と業界筋は単に機材の購入数を増やすだけでは均衡を欠く結果におわると主張。「センサー、インフラ開発、指揮命令通信装備が重要であり、情報の処 理、解析、共有の要望に答えてすすめる必要があります」とドンレー長官は指摘する。空軍は小型機MC-12Wプロジェクトリバティーを配備し、その整備を 進めている。機体メーカーは新規受注量の減少となるが、センサーのメーカーはモジュラー型センサーや性能改修を既存各機に装備する仕事の増加で恩恵を受け るだろう。
  7. 空軍は予算を考慮して単一機種に絞りこむ以外に、機体購入費用に対して機体整備・人員訓練・情報共有ツールの費用を比較している。ただし、ある機体選定で予算を確保すれば他の機体メーカーが負けることになり、熱い論争になる。
  8. 次 期地上監視機材の状況も同じだ。まもなく決断を迫られることになり、JSTARSにもっと予算を拠出すべきか、グローバルホークのブロック40無人機にす べきかを決めなければならない。両機種ともノースロップ・グラマンがメーカーだ。同社は両案を推進してきたが、地上偵察手段で代替策検討がまとまりつつあ り、空軍にはつらい決断を迫ることになりそう。
  9. 厳しい財政状況の中でノースロップは両案をすすめることができなくなるかもしれない。ただ他の計画が中止となっても、グローバルホークが残れば開発費用の超過分が回収できる可能性がある。
  10. そうなるとJSTARS各機のエンジン換装や大型監視レーダーの更新に何百万ドルも使うという要求がしにくくなる。業界でもISR装備整備の中でJSTARS装備の近代化に高い優先順位は無理と見る向きが強い。
  11. 厳 しく見られているのは費用だけでなく、代替策となるグローバルホークでも6月に議会に提出した数字でまもなく決定が下る見込みだ。ペンタゴンの見積もりで はJSTARS部隊の年間運用費用はグローバルホークで同じ面積を監視するよりも650百万ドル余分に必要となる。ただし、グローバルホークには指揮命令 機能がない。
  12. 同 じく発表が予想されるのが高高度飛行するロッキード・マーティンU-2の退役計画で、特にグローバルホークに画像・信号情報(sigint)機能がついて 同機の配備が継続することを考慮すると、これは不可避と思われる。空軍内部では両機の維持を求めてきたが、予算の圧力でついにU-2の退役を空軍は選択す る。これには戦闘部隊の指揮官から中東、北朝鮮近辺で同機の重要性を訴える声が寄せられていたのだが。
  13. 「グローバルホークと比較するとU-2は220百万ドル余分に経費が必要」とペンタゴンは費用分析で総括している。
  14. J-starsは削減対象となってもリベットジョイント信号情報収集機は削減対象を逃れると見る業界関係者がいる。その理由はL-3コミュニケーションズが定期的なシステムの維持管理をしてきたためだという。
  15. 空 軍は広範囲監視能力機能についても評価をすることが求められる。その例としてゴーゴンステアGorgon Stareがあり、広範囲のフルモーションビデオ情報を可能とする同システムは開発・配備費用とその効果を厳しく比較される。同じようにペンタゴンはタス クフォースオーディン機材(各軍で運用中の小型特殊用途機)の取扱を戦闘活動が縮小する中で検討する必要に迫られている。選択肢には機材からセンサー装備 を取り外すことから機体売却まで含まれ、将来の再配備のため機体を温暖地出保存することもあり、さらにそのまま運用を継続する選択肢もある。機材としては 戦地で重要なのだが、特殊性故に訓練、維持が困難という実態がある。
  16. 予 算案の議会内検討では通常複数のシナリオを想定するものだが、今年は空軍も業界も大幅な削減があるものと覚悟している。たとえばU-2やリベットジョイン トの即刻退役もあるかもしれない。単なる想定検討とは言うものの、ペンタゴンにとっては予算削減の大きな圧力となるだろう。


2011年10月1日土曜日

米空軍次期高等練習機を巡る各メーカーの思惑

T-38C高等練習機の後継機種を巡り各メーカーがすでに動いていると、国防関連に詳しいAmy Butlerが以下報じています。

                               

Contractor Teams Shaping Up For T-X Work

aviationweek.com Sep 28, 2011
                                  
米空軍はT-38C高速ジェット練習機の後継機種(T-X)調達計画をまだ発表していないが、業界では米国内の高い失業率を考慮して後継機生産は米国内を前提とするものと見ている。
  1. 競 合メーカーとなりそうなのは三社でそれぞれが海外メーカーの機体を原型とする設計案を準備している業界では有力国会議員の各選挙区で雇用促進に貢献す る提案が出てくるのは時間の問題と見ている。空軍が通常の選定を行う際には雇用創出規模は考慮されることはないが、KC-135後継機を巡る争奪戦をボー イングとエアバスが行ったようにT-Xでも「もっともアメリカ的」なチームが米国内雇用創出を前面に訴える政治的な主張を展開すると見られる。
  2. こ の中でBAEがまっさきにノースロップブラマンと共に米国内生産を提案している。同社提案はホーク練習機を基本とするものだが、生産拠点をどこに置くかは 明瞭にしていない。ノースロップは同社レイクチャールズ工場(ルイジアナ州)の雇用を確保したいところだ。同工場はボーイング707をJSTARS空対地 監視機に改装する作業を行なっていた。予算削減の折、同工場は閉鎖に向かおうとしている。
  3. ア レニアエアロノーティカはM-346原型の提案をする見込みだ。ただ、同社社長ジョン・ヤングは「レイクチャールズ工場を活用するためノースロップが BAEとチームを組むのは予測範囲だ。当社は急いでパートナーを探すつもりはない」と語る。同社CEOジュセッペ・ジオルドは「米国進出も7念目となり、 当社は米国内で受け入れられる仕事の進め方を理解している」と米国メーカー提携先を模索しているようだ。
  4. そ の候補先はボーイング、レイセオンL-3コミュニケーションズだろう。ボーイングは空軍が短期間に開発できる既存設計の応用という当初の案を廃棄して、 完全な新型機の開発に変更するkとを期待している。ただし、その可能性は少ないので、同社としてはアレニアとの共同開発の可能性を残している。ボーイン グ・アレニアの共同事業の直近の例はC-27J輸送機の米国内導入提案だったが、両者間の作業分担率を巡る意見不一致で不発に終わっている。
  5. ヤング社長はフロリダ北部のセシルフィールドが生産候補地だという。同地はC-27Jの最終組み立て拠点として選択されていた経緯がある。アレニアはサウスカロライナ州とも提携先ボーイングの787事業で関係がある。
  6. ロッ キード・マーティン韓国航空宇宙工業とチームを組み、T-50原型の提案をする構えだ。どうチームの提案内容は米国部品メーカーを多数巻き込み、生産拠 点も国内に設定するものになりそう。その場所はジョージア州マリエッタが最大の候補だ。同地ではC-130Jが年産33機生産されているが、F-22生産 ラインは閉鎖に向かっており、余力がある。同工場出の生産案は同州選出の有力国防サクスビー・チャンブリス上院議員Sen. Saxby Chambliss (R-Ga.)(共和党)の強い支持を受けている。
  7. た だ、競争提案がいつ開始されるのかは不明だ。空軍教育訓練軍団を指揮するエドワード・ライス大将Gen. Edward Riceは遅延をほのめかしている。「機体の構造寿命が残り少なくなっているわけではない。まだ安全な飛行は可能です」と同大将は2009年に発言してい る。調査の結果、既存機の余命は予測より長いことが判明している。
  8. T- 38Cの平均機齢は40年超だが、飛行制限なしに戦闘機パイロット向けの高等練習機の役目を果たしている。空軍はその中で次期高等練習機計画をどこまで遅 らせるかを慎重に検討している。2008年にT-38墜落事故が発生したことで同機の運航に不安が広まったのは確かだが。
  9. ペンタゴンはこのT-X調達計画を巡り国防装備取得検討委員会を10月21日に開催する。その結果で競争提案日程と契約への道筋がつくだろう。

2011年9月25日日曜日

F-16生産ライン閉鎖の可能性、機体寿命の延長可能性

Possible F-16 Production Lull Stirs Worries

aviationweek.com Sep 23, 2011     
                         
F-16の生産開始は1976年でそれ以来世界20カ国に4,500機以上が販売されている。かつては「黙っても売れる」状態だった同機の生産が終了する可能性が出てきた。
  1. ロッキード・マーティンは生産終了を回避したいところだが米空軍はF-35導入に注力しており、支援は見込み薄だ。一方、現存するF-16の飛行寿命を50%延長する案に空軍は注目している。
  2. 海 外販売ではイラクとオマーン向けの詳細がまだ決まっていない。オマーンには12から18機、イラクには18機の販売予定だが商談は成立していない。一方、 最近成立したモロッコ、エジプト向け販売でロッキードは57機の受注残を抱える。生産ペースは年間18機で、各機は30ないし36ヶ月の工期が必要。その ため今年末までにイラク・オマーン商談が未成立のままだと現有の生産ラインを維持するための資金段取りの決断が求められると同社は見る。
  3. イ ラク・オマーン両国向け販売に議会の反対はないが、政府間交渉がまだ続いている状態だ。米空軍高官にはイラク向け販売に難色を示す動きがある。イラク空軍 のパイロットには高性能機を運行する準備がまだできていないというのが理由だ。さらに中東地域の不安定要因が販売を遅らせている。
  4. そ の次に控えるのがルーマニア・台湾向け販売の可能性で、台湾は最大66機、ルーマニアは48機程度を検討している。ルーマニア高官の訪米が今月に予定さ れ、それを機に一気に進展するかもしれない。台湾向け販売は政治的に厄介な側面があり、中国の抗議を呼ぶが、ホワイトハウスは来月までに決断を下す見込み だ。ジョン・コーニン(共和 テキサス)とロバート・メネデス(民主 ニュージャージー)両上院議員が台湾向け売却を支援する法案を上程している。コーニ ン議員はF-16生産ラインを選挙区に持ち、販売の経済効果は87億ドルもあると主張する。
  5. 一方、1,000機以上のF-16を運航中の米空軍には調達予定はない。むしろF-35導入までのつなぎで現有機の飛行時間を延長する方法を検討中だ。
  6. 設 計仕様では飛行時間は最長4,500時間であったが、これまでの改修で8,000時間まで延長されている。だが、稼働中機材の点検で空軍はパイロットが性 能上限以下で扱っていることを発見している。9/11後の10年間でF-16は地上兵力支援や空中警戒を危険度の低い空域で行うことが多くなっており、機 材への過酷な負担も少なくなっている。このことから空軍は各機材の予測寿命を判定している。各機で「数年間」の追加となり、さらに最新のブロック 40/50機では12,000時間を目標にする機体構造飛行時間延長プログラム(SLEP)を空軍は検討中だ。
  7. 財政赤字削減が課題のワシントンでは費用は重要な検討課題で、ブロック40/50機材にSLEPを実施する予定の空軍もF-35導入の日程がさらに遅れると実施できなくなるかもしれない。
  8. 空 軍が運航中のブロック40/50機は640機で、機齢は17年から21年になっており、その他ブロック25・30・32が400機で平均24年経過してい る。ロッキード・マーティンはF-16機体の耐久性を飛行時間を24,000時間の設定でテストする契約を受注しており、これはSLEP設定の二倍だ。こ のテストが2017年に終了し、SLEPで焦点を当てるべき部材を判明する。
  9. 機体構造とは別にエイビオニクスの更新も検討中で2025年以降に予想される電磁スペクトラル環境で同機が行動できることが狙いだ。
  10. そ の内容にはアクティブ電子スキャンアレイレーダーの搭載、AN/ALQ-213電子戦装置の更新がある他、現在の4インチ四方のコックピットディスプレイ 各種は6x8インチのスクリーン一つに集約し、赤外線目標捕捉ポッド都のインターフェースを改良する。さらに同機に統合情報通信サービス Integrated Broadcast Serviceを利用した運用が想定される。

2011年9月24日土曜日

2010年度の国防契約受注大手企業はどこか

Analysis: Lead Pentagon Contractors For 2010

aviationweek.com Sep 23, 2011                                                             
本誌独自の分析で2010年の国防契約で最大の規模を獲得したのはロッキード・マーティンと判明した。同社は総額125億ドル契約数6,334件で第一位。
  1. 続 くボーイングは83億ドル1,756契約件数で、ジェネラル・ダイナミクスが第三位で67億ドル5,604契約だった。ノースロップ・グラマンは僅差なが ら第四位で63億ドル6,302件でここに最近同社から分離した造船部門(現社名ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)を含むと66億 ドルになる。HII単体では64位の規模だ。
  2. これら上位企業に共通するのは幅広い事業部門を有することで、その多くは近年の企業統合で傘下に入ったもので軍の幅広い部門でサービス・装備を提供している。
  3. それ以外の主要契約社は専門性をもち、特定のサービス、機材等を提供している。
  4. た とえば2010年には第五位のオシュコシュ・トラック・コーポレーションOshkosh Truck Corpは車両製造を専門に行い54億ドル837件の契約規模であった。同社が契約額の規模拡大を開始したのは2000年代の後半になりペンタゴンがアフ ガニスタン、イラクの過酷環境で兵員、物資の輸送を拡大する必要に迫られた事態以降だ。
  5. 第六位のBAEシステムズBAE Systemsもペンタゴンの車両需要の拡大の波に乗ってきた。同社の実績は41億ドル5,485件だった。
  6. ペ ンタゴンは各計画の管理水準の向上に契約会社を使うことが多くなってきた。ベクテルBechtel,は第七位28億ドル79件だったが、プログラム管理業 務、エンジニアリング、建設で専門的な立場にある企業だ。その他ケロッグ・ブラウン・ルートKellogg, Brown and Rootも建設大手で2010年順位は8位28億ドル350件だった。
  7. 2010年に10大企業の座から脱落したのはベル・ボーイング共同事業体(27億ドル298件)とレイセオン(23億ドル、2,052件)だった。

2011年9月23日金曜日

リビア作戦の教訓:精密誘導ミサイル開発を重視する英仏

                             

After Libya, Europe Eyes Precision Arms

aviationweek.com Sep 22, 2011

NATO主導のリビア作戦ではっきりしたのは精密兵器の威力だ。だが同時に今回の作戦でヨーロッパ各国の精密兵器備蓄が不足していることも露呈した。
  1. フランスは自国のAASM精密誘導弾に大きく依存し、英国空軍はデュアルモードのブリムストーンを大量に使用しており、ミサイルメーカーMBDAに増産を依頼している。
  2. 今回の作戦でヨーロッパの精密誘導兵器の大幅な見直しにはつながっていないが、実地使用の結果が現在分析中で、今後の改善につながる可能性がある。
  3. 欧州防衛機関(EDA)は欧州内兵装メーカーと共同で精密兵器の産業基盤の大規模評価をまもなく完成する。その目標は2020年目標で強い産業基盤を整備することにある。
  4. 同評価から先に出た内容では移動目標に対する弾薬生産で各国協力関係の強化が指摘されており、附随損害を避けて攻撃を最後の段階で取り消す機能が求められている。
  5. 同時にこの評価から現状の欠陥が指摘されており、高性能誘導弾の誘導制御に必要な技術の弱体化がその例。
  6. 技術ギャップにも注目があつまっている。欧州の防衛関連電子工業がそのひとつで、誘導弾の数千Gに耐える制御部分ハードウェア製造がその中心だ。また同様に過酷な条件に耐える電池製造能力も不足していることが露呈。
  7. 関 連する国の数、企業数のためその調整内容は現在の誘導ミサイル製造でフランスと英国が協力している事例をはるかにこえる規模になる。英仏両国は昨年にミサ イル開発の協力を確認しており、その理由には自国内産業技術の温存がある。合意されたのは将来型空対艦重量級誘導ミサイル(FASGW(H))でフランス ではANLと呼称される。
  8. フランスも自国兵装メーカー支援に動いており、FASGW(H)向け予算は国防相合意のMBDA向け財政支援の一環として特別扱いになっている。業界筋によれば11月予定の英仏国防協力サミットでこれ以外の協力案件が成立する可能性があるという。
  9. FASGW(H) 開発は昨年合意された技術基盤強化の一環である。弾頭部、推進モーター技術のそれぞれ成熟化、ミサイルのデータリンク試験、海上でのアンテナ試験を実証す る。赤外線画像シーカーも海上試験の対象で、その結果から早期の製品製造段階につながることが期待されている。次の段階は重量110Kg射程20Kmのミ サイル本体を飛翔試験することで、4.5年間の期間が予想される。運用はまず英国のAW159ワイルドキャット、フランスのパンテール、NFH90の各ヘ リコプターに搭載する。
  10. ただしフランスの支出がすべて英仏共同兵装開発にあてられているわけではない。一部予算はMMP兵員携行対戦車兵器やアステル30ブロックINT弾道ミサイル防衛に振り向けている。
  11. 英 国も同様に自国の防空体制整備に取り組んている。MBDAの将来型局地防空システムFuture Local Area Air Defense System (Flaads)の海軍仕様は初期発射テストを完了しているが、原型の共用空対空モジュラーミサイルCommon Anti-Air Modular Missile (CAAM)は実地試射テストが完了していない。MBDAは同ミサイルのレーダーシーカーテストを開始した。
  12. もうひとつの進展がファイヤーシャドウ空中待機兵器の海軍阪で、もともとはMBDAが英陸軍向けに開発したもの。海軍版は開発契約はまだ締結されていない。陸軍向けファイヤーシャドウは納入に向けた最終公試を完了している。来年に第39砲兵大隊にまず導入される。

2011年9月21日水曜日

米空軍次期ISR機開発は新型爆撃機構想と同一方向になりそう

Bomber Discussions Template For USAF ISR

aviationweek.com  Sep 20, 2011   
                                                                      
次期情報収集・監視・偵察(ISR)機材の支出規模を再調整する米空軍案は長距離攻撃能力を基本とする「システムのファミリー」をめざした以前の案と同じ方向を たどると空軍長官マイケル・ドンレーは考えている。「予算規模が全体で縮小すれば、優先順位のつけ方でも差別化を図らねば、ISRの向上は実現しません」 と本誌に語っている。
  1. ISR戦力構築の再検討作業は空軍情報本部の主導ですでに開始されている。ドンレー長官によると秋に完成し、予算配分の決断に間にあうという。2013年度予算案は来年2月に議会に提出される。
  2. 今秋の財政赤字削減策協議の結果次第でペンタゴンは5ないし10%の削減を余儀なくされるだろう。このため異例の予算検討作業が主要プロジェクト全般で国防総省内で進んでいる。
  3. わ ずか三年前にはゲイツ国防長官(当時)が空軍に対しアフガニスタン・イラク両作戦でISR支援の対応が遅すぎると叱責していたのであり、同長官のもと ISR対応チームが編成され従来の調達方法に頼らず迅速な第一線配備をめざすことになった。同長官はこれまでになく迅速にISR機材を戦地に配備しようと していた。
  4. そ の結果、空軍はジェネラルアトミックスのプレデターおよびリーパーへの支出を大幅に増やした他、MC-12プロジェクトリバティとしてL-3コミュニケー ションズによるホーカー・ビーチクラフト製キングエア350ERに電子光学、赤外線、情報収集センサーを装備させイラク、アフガニスタンに投入している。
  5. 「ISR は成長分野ですが、購入価格にも十分な考慮をして最新技術を早く戦地で利用できるようにする必要があります。国防長官とは昨年に次期爆撃機でやりとりがあ りましたが、空軍が全体包括的な考えをして選択肢の詳細評価に時間をかけてバランスのとれた判断をしようとしたためです。そのモデルをISR検討にも使っ ています」(ドンレー長官)
  6. ゲ イツ長官が空軍が選択肢を検討し終わるまでは棚上げしようとしている中で新型爆撃機の構想は生まれた。参謀本部議長ノートン・シュワルツ大将がその結果生 まれる機体は「一匹狼」ではないと発言し、ミッション遂行に必要な各種システムを搭載する機体各種と共通項を持つものになるとの意味だった。これで大幅に 次期爆撃機の要求性能の範囲を狭めて経済性も上がると期待された。「現在の関心は価格であり、調達可能性が計画内容を決定する要因です。空中給油機ではこ の考え方を徹底的に推し進め、次期爆撃機でもこの点を十分配慮しています」(ドンレー長官)
  7. た だしISR機材の整備では大きな課題も立ちはだかっている。まだ決着がついていないのが共用管理目標捕捉攻撃レーダーシステム(JStars)機のエンジ ン換装、地上監視レーダーの性能向上に予算を使うべきなのか、それとも別の方法を採択すべきかという問題だ。後者ではグローバルホークやボーイング737 改装の機体を使うことが構想されている。ノースロップ・グラマンはJStars、グローバルホークの双方で主導的な立場にある。もうひとつはグローバル ホークの運用成熟度が確実に上がる中U-2の退役をすすめるべきなのか、退役させるとしたらいつにすべきなのか。空軍内部ではまだ結論が出ていない。
  8. 空軍にそもそも長距離UASとして数日間数週間飛行が可能な機体、リーパーやグローバルホークを上回る性能の機体への関心はあるのだろうか。またリーパー後継機の構想を空軍は検討しているが、要求性能や調達日程の最終案まで完成していない。

F-35 テストは順調に進展中

Lockheed Wraps Up F-35 Structural Testing

aviationweek.com  Sep 20, 2011     By Amy Butler
                                                        
ロッキード・マーティンの共用打撃戦闘機開発は静的構造テストを完了したことで重大課題5件のひとつを達成し、報奨金の受け取りが期待できる。

今回達成したF-35Cの静的テストはA型B型ではすでに完了している。2011年予定の5つの課題の中では難易度が一番低いとはいえ、同機開発が正しい方向に向かっていることは確実だ。:

同社は2010年に合計6億ドル以上の報奨金を得ているが、今年は35百万ドルを獲得している。さらに以下の各課題につき7百万ドルを手に入れることができる。

*F-35Bの空母運用試験
*カタパルト発信および拘束着艦試験
*ブロック1Bソフトウェアの訓練開始
*ブロック2ソフトウェアを飛行テスト用に使用可能とする
*F-35C艦載型の静的モデル公試
同 社F-35開発統合担当執行副社長トム・バーベッジTom Burbageによると特別装備の二機のF-35B短距離離陸垂直着陸型(Stovl)を揚陸艦ワスプに搭載する準備が進んでおり、10月第一週に実施す るという。これが艦載公試の皮切りで艦艇と同機のインターフェースを見ることになる。公試期間中に合計67回の垂直着艦をワスプで試す予定だ。

こ れとは別にF-35テストチームと米海軍はジェット噴射偏向板のテストを実施している。同機の飛行運用の効果測定として偏向板は艦と搭載機を発進時の高温 ジェット噴射から守る役目がある。バーベッジによると現状の偏向板を改修する必要なく、F-35Cを空母に導入できると確認できた。同機の空母上の公試は 来年春に開始となるという。

現時点でStovlテストは合計156回実施され、ロッキード・マーティンによるとテスト飛行で一時中断はあったものの、年間計画では8%計画を先行しているペースだという。本年に入ってからの飛行回数は以下のとおり。

*F-35Aによる通常型離着陸 314回
*F-35B Stovl: 226回
*F-35C艦載型 102回 
 
テストは順調に進んでいるが、資金確保では逆風状態だ。バーベッジによると同社は2013年度予算で上院歳出委員会国防省委員会が提唱している大幅予算削減の効果を慎重に検討しているという。

2011年9月20日火曜日

F-22飛行運用再開へ

U.S. Air Force Clears F-22 Fleet For Flight  

aviationweek.com Sep 19, 2011

                                 
米空軍はF-22の飛行再開を9月21日付で認め、パイロットへの酸素供給を強化する形で進めると議会に19日に報告した。
  1. ラ プター各機は5月3日以来地上待機となっていた。パイロットに低酸素症の兆候が発見されたため。空軍科学審議会が調査に乗り出したが決定的な原因は見つ かっていないことが議会に報告されている。かわりに搭載する酸素発生器(Obogs)がパイロットに適度の酸素を供給しなかった理由には複数の要因があっ たのではないかと調査を進めている。
  2. この問題により空軍はF-15C部隊の再編成を進めている。また機体の点検を強化し、訓練や防護策でパイロットに生理学的なテストも実施している。
  3. 同審議会は「残る問題の解決」に今も取り組んでおり、最終報告は今秋の末の予定だ。
  4. Obogsの欠陥により2010年11月に発生したアラスカの第525戦闘機中隊のF-22喪失事故が発生したと見られる。同機のパイロットは機体脱出せず死亡。墜落地点に大きな穴ができていることから機体が高速急角度で地面に衝突したことが伺われる。
  5. Obogs はF-22向けは英国のハネウェルが制作したもので、F/A-18は米国のCobham(旧ベンディックス)が納入している。ただし作動原理は共通で、エ ンジンのブリードエアを分子レベルで振るいにかけ酸素を発生させ、窒素他のガスを吸収して、パイロットにはほぼ樹酸素の状態で送風する。
  6. これに対し空軍は口を閉ざしており、今回の地上待機でラプターはリビア作戦にも投入されず、光学な同機の存在が改めてワシントンでは厳しく見られていた。

2011年9月18日日曜日

NRO長官が近況を語る


NRO Chief Protects Tech, Procurement Budgets

aviationweek.com Sep 16, 2011



米国の極秘情報収集衛星群の状態は良好、かつ現在開発中の次世代宇宙機の進捗も良好だと極秘宇宙機を設計、運用する国家偵察局 National Reconnaissance Office (NRO)長官が発言している。

  1. ブ ルース・カールソン空軍大将(退役)Bruce Carlsonは同局の科学技術開発予算規模を「維持」していると強調している。これまで科学技術開発予算は同局予算の8%台であったが、近年は5%近く に下がっていた。この予算で革新的な技術の配備につながる先端的な業務が支えられている。
  2. 予算削減が求まられるのであれば、職員や技術の現行レベルを維持するの使われている業務予算を削減する道を選ぶと同局長は語る。ただし、これによりNROが迅速に対応する能力が損なわれる。
  3. 軌道上にある衛星の多くは旧ソ連の情報データ収集に特化した設計だとカールソン局長は語り、NROは反テロネットワーク活動を支援する方向に大きく方向転換しているという。例としてアフガニスタンの即席爆発物(IED)を作動前に探知することに成功している。
  4. NRO の課題は通信情報・画像情報含む多様な情報を統合して伝達することで、局長は「数分間以内に実施できる」と「レッド・ドット」計画の例を挙げる。名前の由 来は陸上兵士がもつデジタル地図上にIEDの所在地を疑われる地点に赤い点で表示するためだ。これは通信情報データを携帯電話等の発信機に転送するもの。 携帯電話はIED爆破に使用される。
  5. また、現場で使用される通信機器について以前は半径3マイル以内の範囲で捉えていたが、現在は数メートル単位で可能だという。これは敵の通信手段が米国の誘導兵器の目標になるということだ。
  6. 寿命3年から4年といわれる衛星画10年たっても機能しているとカールソン局長は語り、新型衛星の開発調達計画も順調に進捗しているという。

2011年9月17日土曜日

米上院の動き 国防予算削減へ対応し勘定を潜りこませる 



Senators Shift Billions in Defense Off Budget

aviationweek.com Sep 16, 2011

上院歳出委員会の2012年度国防予算の調達削減規模は予想より三分の一程度少ないもの。同委員会が9月15日に可決した案では基本調達を60億ドル削減し、29億ドルを予備費に編入しアフガニスタンでの戦闘活動の支出に充当する。
  1. 同案の予算項目合計22点には国防総省でも最高度の優先順位がついているMQ-1Aグレイイーグル、MQ-8ファイヤースカウト、MQ-9リーパーといったUAV各機が含まれている。
  2. その他調達にめどが付いた装備には陸軍向け155-mm軽量榴弾砲、ロケット対抗迫撃砲、ハンビーの仕様強化が含まれる。
  3. 22 件合計で33億ドルとなるが、2012年度予算編成の当初は全てが基本予算でゼロ査定となっていた。同委員会は調達規模を削減したものの、9割相当の予算 を臨時戦闘勘定に潜り込ませ、戦闘運用及び保守活動でも同じように本予算から米中央軍の広報、隊員家族支援その他の予算を財源に切り替えている。
  4. 9 月13日に上院国防歳出小委員会はペンタゴンは不要予算50億ドルがあり、兵員数削減によるものだと発表。それに対し歳出委員会による法案はオバマ政権が 求める総額1,170億ドル戦闘継続予算にはほとんど手をつけていない一方で260億ドルを基本予算から削減し、予算管理法が求める赤字削減に対応しよう としている。
  5. 計上された予算は一見アフガニスタン国内の戦闘活動に関連しているように見えるが、戦端を切ってからワシントンの予算専門家たちは戦闘継続に必要な支出を見極め、その結果基本予算に残る規模はいくらあるべきかを巡り議論を続けてきた。
  6. 2006 年10月に国防副長官(当時)ゴードン・イングランドGordon Englandは議論の種となったメモを発表し、戦闘勘定に「対テロ世界戦争」に必要な経費のすべてを盛り込み、戦闘中に喪失した装備の改修・修理も可能 とすべきと主張した。その結果、戦闘活動を理由とした支出は4割増加し、その中にロッキード・マーティン共用打撃戦闘機開発予算も計上された。
  7. 補正国防支出には伝統的に本予算要求と同程度の議会による精査は必要としないもので、補正支出そのものが緊急性があるためとされてきた。その反面民主党はジョージ・W・分ブッシュ前政権の予算管理の不備を攻めてきた。
  8. この結果戦闘活動支出にいっそう厳しい定義が導入されることになり、オバマ大統領の選挙公約がこれを求めてきた内容と同じだ。そうなるとオバマ政権が上院の動きに同調すれば、公約の後退と受け止められるおそれがある。

2011年9月10日土曜日

T-50を世界各国に売り込もうとするロシア




Russia Sees 1,000 T-50 Sales

aviationweek.com Sep 9, 2011
  1. ロシアはT-50戦闘機の需要は1,000機にのぼるものがあると見込んでいる。
  2. 同機導入を契約済みのロシア、インドに加え、10カ国以上で274機から388機の商談があるとロシア国防省関連団体のTsamto分析センターは見ている。
  3. 輸 出先にまず想定されるのが、アルジェリア、シリアで、販売が成立するのは早くて2025年の予想。ラテンアメリカではブラジル、ヴェネズエラ、アルゼンチ ンが先陣を切ると見られ、この中ではヴェネズエラがまず2027年以降に導入する予測だ。同国には中国も戦闘機を売却している。
  4. その中国にも同期販売の可能性は排除しないが危険性があると指摘する。そのひとつが同機の知的所有権をロシアが守ることができるかで、スホイSu-27を過去売却した結果、見事にコピーされた苦い経験がある。
  5. その他にアジアではインドネシア、マレーシア、ベトナムが輸出先として有望だ。
  6. Tsamtoは西側ヨーロッパも同機の購入可能性はあると予測している。


2011年9月4日日曜日

MALDの新しい作戦用途

Old Weapons, New Tricks 

aviationweek.com Sep 1, 2011

                                               
ISR(情報収集・偵察・監視ミッション)に電磁スペクトルの領域が加わり、新しい性能が浮上してきた。サイバー戦、電子・情報戦能力だ。

  1. そ の中で2つの兵器体系が注目を集める。ひとつが高速対放射線ミサイル(HARM)により地対空うミサイル(SAM)陣地を運動学敵に破壊する策とミニチュ ア上空発射おとり miniature air-launched decoy(MALD)でSAMを惹きつけてその位置を電子的に探知する方法だ。電子ネットワーク攻撃でこの2つが重要となり今後はその性能が拡充 されるだろう。
  2. MALDは各種航空機の特性をシミュレートすることで おとり目標となる。2010年にF-16とB-52仁搭載されて実戦化された。
  3. 「B- 52機内でMALDはSmart1760バスに接続され操作員あるいは情報部員が飛行中にプログラムを変更できます。発射後のMALDは特定の機体として 認識され、SAMやレーダー基地を目標とすることができます。その情報から敵のIAD(統合防空網)の種別や位置を割り出すことが可能です。または HARMを使って敵施設を破壊することができます」(レイセオンのMALD-Jプロジェクト責任者).
  4. 米 海軍もMALDに関心を示し、F/A-18E/Fスーパーホーネットに装備する可能性が高い。作戦立案では攻撃ジャミング装置の検討をしており、MALD は独立したミッションを近接範囲出実施可能であるので有望な候補だ。MALDの重量は300ポンドを下回り、ここに80ポンドの燃料が入っている。これで 2時間以上の飛行が可能で500マイルの有効距離がある。空軍、海軍が着目しているのは電子ジャミング機能を搭載した派生型MALD-Jで空軍が2012 年に配備を開始する。
  5. レ イセオンはMALD-Vの採用を期待する。これは弾頭部分に任意のペイロードを搭載できる設計だ。同社はここに電子攻撃・通信ペイロードの搭載を検討中 で、高出力マイクロウェーブまたは無線周波数バースト装置を組み込む。このため同社はその分野ヲ専門とする企業を買収している。
  6. MALD は外寸が小さいことから探知は難しく、目標に接近できる点で有人機や大型無人機よりも優位性がある。これにより多くのミッションに最適と考えられており、 電磁パルスによる電子攻撃への応用も想定される。これにより無動力誘導爆弾と長距離巡航ミサイルの間のギャップを埋めることができる。運用は上空 35,000フィート上限で可能で、飛行速度はマッハ0.2から0.9の間になる。
  7. こ れに対しHARMに非運動性志向エネルギー弾頭を搭載することで、対電子兵器とする検討も進むだろう。HARMコントロールセクション改修の製作が進行中 だ。GPSと性能向上型IMU(慣性測定装置)を組み合わせて命中精度を上げるのが目標。付随被害、自軍攻撃を減らすのも期待できる。

2011年8月28日日曜日

米海軍もF-35の行方に疑問視

Navy Official Questions Need For JSF Variants

aviationweek.com Aug 25, 2011

ロ バート・ワーク米海軍次官U.S. Navy Undersecretary Robert Work は海軍・海兵隊関係者に対して海軍が進めている戦術機開発で低コスト代替手段を検討すべきだ、さらにF-35B短距離離陸垂直着陸機または空母運用型F- 35Cの計画中止の影響について検討すべきだと7月に伝えている。同次官は2013年度予算案提出を睨んで内部検討を模索している。
  1. あわせてワーク次官は海軍・海兵隊が計画している合計40飛行隊680機のJSF運用規模が縮小する際の検討も求めており、無人機による代替策の開発促進の可能性も検討するように求めている。F-35B、F-35Cの発注取消の可能性はまだ認識されていない。
  2. こ れらの指示は同次官から海軍調達部門の責任者ショーン・スタッキーSean Stackley、海軍作戦副部長ジョナサン・グリーナート大将Vice Chief Of Naval Operations Adm. Jonathan Greenertおよび海兵隊副司令官ジョセフ・ダンフォード大将assistant Marine Commandant Gen. Joseph Dunfordに送られた7月7日付けメモの内容だ。ワーク次官は検討チームを編成し戦術機代替策を三案作成し、それぞれ50億ドル、75億ドル、100 億ドルを今後の国防予算から削減する方法を求めている。その結果から同次官は「費用と効果の双方で最適の代替策」を決定したいとしている。
  3. 「今 回の見直しはすべての計画局面でおこなわれるべきだ。たとえ長期計画で購入するはずだったJSFでも調達削減効果を検討するべし」と同メモはまとめてい る。「ブロック2のF/A-18E/Fと同機の改修計画、F-35BとF-35C各機の中核的性能でどこが違うのかを明らかにすることをチームに求める」 ともしている。
  4. 同メモでは比較分析を短時間でメモの日付の三週間後以内に完了することをもとめており、それによれば7月28日だったが、その内容は公表されていない。

コメント:これはF-35が米国においても疑問視されている証です。コストの大幅な上昇で調達すればその後の維持費で、取消にすれば大幅な違約金、どちらにころんでも国防予算削減の流れの中で棘の存在になるのが同機の運命なのでしょうか。

2011年8月27日土曜日

浮かび上がってきた新型爆撃機構想はISRと表裏一体

New Bomber Brings ISR Surprises
aviaonweek.com Aug 26, 2011 By David A. Fulghum, Bill Sweetman,Washington


米空軍の次世代長距離爆撃機計画から驚くべき話題が出てくるはずだ。海軍の無人艦載攻撃機にも関連するだろう。
  1. 低 視認性かつ有人運航がオプションとなる同機構想ではノースロップ・グラマン案とボーイング案が競合しており、各陣営からあわせてより小型、低視認性、無人 亜音速偵察任務支援機の提案が出る見込みだ。あわせて4案の設計の源泉はX-47BとX-45C実証機だ。ロッキード・マーティンからは高速飛行可能な情 報収集・偵察・監視(ISR)用派生機への技術提供が期待されている。
  2. 各 機の狙いは米国にとって最大の脅威となりつつある「接近拒絶戦術、地域ぐるみの接近否定」に対抗するものと国防副長官ウィリアム・リンDeputy Defense Secretary William Lynnは解説する。「弾道ミサイル配備により我が方の部隊を戦場より遥か後方に封じ込めようと画策している国があります」と同副長官は中国のDF-21 対艦ミサイルを念頭に発言。「精密攻撃技術が普及して向上すると世界の遠隔地に軍事力を展開する我が方の軍事能力に対する課題となるでしょう」
  3. この他の非対称戦略、兵器体系には地上基地や駐機中の航空機に対して発射され最終段階で誘導される子爆弾erminally guided submunitionsがある。
  4. 新 型ステルス爆撃機の価格は100機編成で一機あたり5.5億ドルと見られるが、ペンタゴンの装備価格部門の責任者シェイ・アサドShay Assadはその観測は設計仕様が未確定で費用試算方法が定義されていないので非常におおざっぱな推定だという。さらに議会が定めた新しい予算管理により この計画も固定価格になってしまうかもしれない。そうなると予算に「要求水準の方を合わせる」事になろうとアサドは見る。新型爆撃機の要求性能が定まるの は今年末ごろと見られる、とアサドは下院軍事委員会およびレキシントン研究所主催の電子攻撃セミナーで発言している。
  5. そ の開発戦略には「大規模予算で長距離攻撃システムのファミリーを作り、敵防衛網を突破して世界中いかなる場所にも爆弾を投下する能力を確保すること」があ るとリンは言う。「ファミリーには電子攻撃任務、高性能の情報収集偵察機、新型長距離爆撃機で無人有人運営可能な機体が含まれます」
  6. 実際には各任務を同一の機体にもりこむと非常に高価となるため、計画上は比較的少数の爆撃機型とそれよりも多い数の小型無人型の派生機で防御支援、目標捕捉、その他特殊攻撃としての電子攻撃や指向性エネルギー攻撃のオプションを実施することが想定されている。
  7. こ の案は次期爆撃機(長距離攻撃機体LRSP)が長距離センサーや重い強化目標攻撃用兵器を搭載したらとても高価になり調達不可能になるのではという懸念に 答えるものだ。そこで新計画では目標の一部は他のシステムに任せ、空中電子攻撃airborne electronic attack (AEA) 、偵察任務をLRSPに残すことにした。同機編隊は情報リンクで結ばれ、広範囲に展開する編隊が情報戦やサイバー攻撃能力を実施する。
  8. 「サイバー攻撃の絶対効果はどんどん大きくなっています。サイバーツールで物理的な損害を発生させる段階に入ろうとしています。そこで、サイバー戦では敵方が技術を獲得する前に我が方の攻撃が大きな効果を与えられる機会に恵まれているわけです」(リン)
  9. こ れは次の航空機、兵装、電子装備で大きな競争分野になる。「今後これだけの規模の航空機開発の機会はなくなるでしょう」と内部知識に明るい航空宇宙関係者 は言う。「成功か失敗かで大きな分かれ目になります。次世代爆撃機では企業連携が規模を拡大するでしょう。ただし、各軍共用の構想ではありませんので、同 機開発の結果、海軍のUclass(無人空母発着空中監視攻撃システム)のミッションにどこまで応用できるかはわかりません。」
  10. 少 数の有人機と多数の小型無人支援機を組み合わせた編成は攻撃威力が増え、より迅速かつより複雑な対応ができることで、その原型はオサマ・ビンラディンを追 い詰める際に証明済みだ。その際はステルス性のあるRQ-170無人ISR機にフルモーションのビデオ送信をさせて隠れ家の動きを逐一監視しており、長期 間これを継続したがついに発見sれることはなかった。
  11. 「敵 の防空網内で長期間の作戦を展開する必要性が急速に増えています」とデイブ・デプチュラ中将(退役)は語る。空軍情報部長を務めていた。新型爆撃機、海軍 のUclassとボーイングのファントムアイ構想の組み合わせは「分散型センサー構成の一部」となるという。同中将によると爆弾投下は今日では二次的な意 味しかないという。それよりも情報戦能力特にコンピュータネットワーク侵入や電子戦の発展が目覚しい。
  12. た だしデプチュラ中将が一点警句を発しているのは、ネットワーク機能拡充への官僚的かたくなな反対姿勢だ。「最大の障害は上位文官の頭の中に高性能センサー でパイロットにしかデータが提供されないと刷り込まれていることです。国防総省がF-22やF-35へのデータリンク導入に抵抗していることにこれが現れ ています。このため新型爆撃機の要求性能の決定も遅れているのです。」
  13. ボーイングはファントム・レイ(X-45C派生型)を二機一組で支援無人機システムとして提案する。ノースロップ・グラマンはすでにステルス長距離UAV開発を開始しており、X-47設計を元にしていると言われる。
  14. そ れよりも小型の無人機は「高高度(約60,000フィート)、ペイロード組み合わせ多数、長距離滞空して電子攻撃、電子戦を爆撃機支援に実施できます」と ボーイング社の関係者は語る。「ノースロップ・グラマンはX-47を拡大してISRを加えたものを爆撃機計画から流用する考えです。ま、当然でしょう。爆 撃機型はISR機よりも寸法は大きくなるものです。ファントム・レイがX-45を利用しようとしているのはプレデターやボーイングの新型ファントム・アイ では生存率が高くできないのです。爆撃機の派生型なら爆撃機と同様に生存する可能性がありますね」
  15. 「大 手メーカーなら全社が新型爆撃機計画に参画したいと考えています」とノースロップ・グラマン関係者は語る。「ボーイングもF-15SEサイレントイーグル だけ生産しているわけにいきません。X-45派生型でファントム・レイのような機体には相当の投資をしていますね。」 しかし、ノースロップ・グラマンは 秘密資金で極秘爆撃機開発中と以前はアナリストは見ていたが、今やこれはX-47に類似したISR機であると考えられている。
  16. ロッキード・マーティンではF-35に資金が予想以上に必要となっているため、新型爆撃機設計は提示できないとみられる。
  17. 「新 型機購入予算の約6割がF-35に流れています。このため、ペンタゴン調達活動責任者のアシュトン・カーターの目標は要求性能を満たして購入可能な金額の 爆撃機とすることでほう。今のところ要求内容は抽象的で調整の余地は大きくなっています。今後のやり取りで中身が決まればどの社と組むかを決めることにな ると思います。」(前出ノースロップ・グラマン社関係者)
  18. 「ロッキード・マーティンはF-35で手一杯ですから、次期爆撃機計画に参画するとしてもプライムでなくても構わない姿勢でしょう。肝心なのはニッチプレイヤーでいることなのですがどんなニッチを同社がめざしているかは謎です」
  19. 「ロッ キード・マーティンは高速ISR機の開発に相当の時間を使っていますが、高速ISR機では上空滞空時間が不足します」と上記ボーイング関係者は解説する。 「F-35が資金を使っているので、同社は新型爆撃機・ISR機の技術開発にまわす余裕がありません。同社が新型爆撃機を今から開発すると1億ドルは必要 でしょう。同社には大金です。高速ISR機開発の成果を投入しても爆撃、ISR、情報戦を分散して実施するミッションに不適となるでしょう」
  20. 高 高度飛行も生存性を高める助けにはならない、と航空宇宙技術関係者は言う。機体探知性を下げて、超高速で飛行するのは助けになる。ただし、高速飛行では目 標地点上空の飛行時間が短くなってしまう。そこで新型爆撃機の設計ではステルス性が最大の考慮点となる。「強固な敵防空網の中を自律飛行するのは不可能で す。協調して飛行する支援機からの電子戦がなければ飛行するも不可能です。EW装備の一部を爆撃機に搭載するとしてもEWは無人操縦と連携していなければなりませ ん。有人無人を問わず敵の強固な防衛体制の中で飛行が必要となります」(ボーイング関係者)
  21. この協調支援こそボーイングがファントム・レイで提唱するものだ。ノースロップ・グラマンもX-47で同様の運用を検討する。

ペンタゴンの中国軍事評価報告へ早速中国が反論

China Denounces U.S. Report, Defends Military

aviationweek.com Aug 26, 201 
By Chris Buckley/Reuters
BEIJING

ペンタゴンから中国の軍事装備近代化は域内安定が損なうとする報告が出されたことに対し、26日に中国から反論が発表され、米国による中国軍評価は誇張され、「根拠のない疑い」に満ちたものと一蹴している。
  1. 今年に入ってからの米中間では意見対立の応酬が目立つが、バイデン副大統領の訪中で協力関係、親善が確認されたばかりだった。ただし軍部の疑心暗鬼が両国間緊張の理由であり、米国防総省の報告内容に中国が露骨に反応したこと自体がこのことを裏付けている。
  2. 中国国防省はロイター宛にファックスで「強く遺憾とし、決然と反論する」とのコメントを送付してきた。ペンタゴン報告書では中国の軍事装備近代化は2020年目標に着実に向かっていると評価している。
  3. 「技術進歩に伴い、中国が軍装備の開発および性能向上をめざすのはきわめて自然なことである」とあわせてコメントしている。
  4. 米国防総省の毎年の中国軍事力評価報告では中国軍事力の拡張に懸念を示し、特に台湾との格差の拡大を取り上げている。
  5. 同報告では対艦弾道ミサイルの打ち上げ、空母建造計画が緒についたこと、国産ステルス戦闘機開発も取り上げている。
  6. また2010年に発生したサイバー攻撃で米政府のコンピュータ網も被害を受けているが、その発生源が中国と判明したことも記述している。
  7. こ れに対し中国国防省は「いわゆる本土から台湾への軍事脅威を誇張している」とペンタゴン報告書に反論している。同報告書は「根拠のない疑いを中国の宇宙空 間およびインターネット安全保障政策に抱いている」ともしている。「米報告書は事実をねじまげており、全体として詮索に耐えられない内容だ」
  8. 中国の2011年度国防予算は6,011億元(915億ドル 7兆円)で前年比12.7%増とされるが、実際の支出規模はこれよりもはるかに大きいと見る専門家が多い。これに対し米国某予算は2012年に5,530億ドルとなる見込みだ。
  9. ペンタゴン報告書が中国軍事力に懸念を示すのは毎年のことで、これ自体で両国間の広範な関係を損ねるものではない。ただし米中関係の最大の不安要因が台湾であり、中台間の緊張がやや緩和していると言っても大きな変化はない。
  10. 米国が台湾向け軍事装備の売却をしたことから2010年は人民解放軍は米軍との関係維持に及び腰となり、中国政府からの非難も表明されていた。
  11. マ イケル・シーファー国防次官補はオバマ政権は台湾への追加軍事装備売却は未定だと論評している。この件に詳しい消息筋は8月初旬にロイターに対して米国が 66機のロッキード・マーティンF-16C/D新造機を売却する可能性は少ない、と見ているが、最終決定は未定だと伝えてきた。

2011年8月26日金曜日

ロシア空軍の機材更新計画の近況 T-50 Su-34など



Large Su-34 Fleet In Russian Aircraft Plan

aviationweek.com Aug 24, 2011

長年軽視されてきた空軍部隊を再活性化するには資金力だけでは十分ではない。これがロシア軍が得つつある手痛い教訓だ。
  1. 過去二年間に投入された資金で航空産業が恩恵を受けているのは間違いないが、同時に新しい問題も浮上してしまった。たとえば空軍機材の更新予定をいかに実現するかだ。
  2. ロシア空軍司令官アレクサンダー・ゼーリン上級大将Col. Gen. Alexander Zelinによると空軍はSu-34を5飛行隊配備することをめざしている。合計120機規模だ。
  3. た だし、ゼーリン大将の関心はSu-35配備の方だ。同機はロシア最新の戦闘機で機材更新計画の中核を担うとともにT-50導入までのつなぎとして重要だ。 Su-35は開発遅延に苦しみ、試作三号機が地上で全損事故にあったこともあるが、Su-35そのものがロシア空軍の性能要求を満足させられないのではと いう懸念があるのも事実だ。同機は国内配備の予算が形状できなかった時点で輸出用として当初設計された経緯がある。
  4. T- 50がロシア空軍の最高優先順位プロジェクトとして位置づけれれているためにSu-35にはさらにプレシャーがかかっている。現在T-50は試作機2機が 納入済みでユナイテッド・エアクラフトコーポレーションUnited Aircraft Corp. (UAC) 社長ミハイル・ポゴシアンMikhail Pogosyan は年内にさらに二機を納入するという。計画ではT-50の本格生産前製作は2013年で、量産仕様の機体は2014年ないし2015年に完成するという。 ただし、軍関係者はT-50のこれら計画が予定通り実現するとは見ておらず、Su-35を一刻も早く第一線配備し、装備不足を解消すべきだとする。
  5. 多 くの側面でSu-35はT-50への橋渡しとなる技術が盛り込まれている。両機種はアーティクル117Sエンジンを採用しており、レーダー技術も同様だ。 Su-35のイルビス-Eレーダーの有効半径は350から400キロメートルで3平方メートルのレーダー特性の物体を捕捉できる。また電子式、機械式双方 でスキャンできる。30個までの目標を同時に補足でき、8個に同時に交戦ができる。
  6. Su- 35に搭載する目標捕捉用のレーザーはT-50にも応用さえる。T-50にはより大型のアーティクル110KSポッド(UOMZ社製)が搭載される予定だ が、同機の低視認性を犠牲にすることになろう。これに対しSu-35では機内に装備しており、レーダー断面積も小さく、T-50もこの方式に変更となる可 能性がある。さらにロシア空軍はSu-30SMを28機購入する計画で、ロシア国内生産装備の採用という伝統を破りタレスサフラン製の西側装備を搭載す る。Su-30SMはインド空軍に売却したSu-30MKIのロシア空軍仕様機だ。Su-30SMの契約は未成立だが、オプションで12機追加し、ロシア 海軍航空隊用の機材を確保するという予測もある。
  7. その他ゼーリン大将はIl-476輸送機は2013年から配備開始と見ているが、実際の同機開発状況から見て、これが前倒しになる可能性はない。
  8. そ の他機材更新で心配となるのがTu-22M爆撃機(海軍航空隊)で運航は空軍に移管されようとしている。エンジン部品の老朽化で同機のメンテナンスは悪夢となって おり、重要部品の再生産が求められている。ゼーリン大将は部品供給の目処がつけば再び海軍に同機部隊を移管するという。
  9. た だし、ロシアの新鋭機材導入にも限界がある。空軍が軽量第5世代戦闘機を購入するという機体がMiGはじめ各社にあるが、実現の可能性は少ないようだ。 ゼーリン大将はMiG-35取得の可能性のほうが高いと見ており、同機も当初インド用に開発された機材だ。ただし、同大将はあくまでもT-50が第一であ るとこの期待にくぎをさしている。

2011年8月24日水曜日

中国がサイバー攻撃をしている証拠を自ら放映

Chinese TV Clip Reveals Cyberattack On U.S.

aviaonweek.com Aug 23, 2011

中国国内でテレビ放映されたドキュメンタリー番組で中国軍による米国内の宗教カルト組織へのサイバー攻撃との説明のシーンがあったが、これが米国の情報機関ならびに防衛産業関係者の関心を呼んでおり、YouTubeでも見ることができる。

  1. このテレビ番組を見た国家安全保証局のサイバー戦専門官は中国政府にとって困惑の種となると論評。8月23日現在では中国CCTVのウェブサイトでも同一内容を公開していた。
  2. 本件を報道したのはニューヨークのEpoch Timesで、法輪功支援者が運営する新聞。法輪功は中国共産党への批判姿勢のため弾圧の対象になっている。 .
  3. 同番組は7月15日に放映されたもの。軍事大学の場面でコンピュータ画面に法輪功他の米国内の目標へのサイバー攻撃の状況が確認できたと同紙は報道している。
  4. 番組は中国の軍事戦略の優秀さを賞賛し、米国をサイバー空間の憎き侵略者として糾弾するものだったが、中国からサイバー攻撃がしかけられている場面が写ってしまった格好だ。
  5. 肝心の画像は6秒間にわたり見ることができる。特別製の中国語ソフトウェアでサイバー攻撃を法輪功のウェブサイトに対して行っている。米国の大学のIPアドレスを改ざんしたものを使っていた。
  6. 同番組で搭乗した中国の学校は人民解放軍PLAの電気技術大学であると判明。同紙の報道ではこのビデオはPLAがサイバー攻撃のコードを作成し、中国の反政府勢力を標的にしていることの証拠だとする。
  7. ソ フトの表示で「攻撃対象を選択」となっている。138.26.72.17とあり、目標として選択されている。このソフトウェアに組み込まれているのは「法 輪功ウェブサイトのリスト」で、プルダウンリストに多数の法輪功関連サイトが見られる。画面ではコンピュータ操作員はMinghui.orgを選択してい るが、これは法輪功の精神鍛錬の中心となるウェブサイト。このIPアドレスはアラバマ大学のものであると判明している。その後、このドキュメンタリーでは 「攻撃」ボタンが押されているのが写ってからカメラが移動している。