2011年12月7日水曜日

F-35開発が中止になったら③代替エンジン開発は途中で中止に

                             

GE, Rolls Give Up on F136 JSF Alternate Engine

aviationweek.com Dec 2, 2011

ジェネラル・エレクトリックロールスロイスはF136エンジン開発を中止する。これでF-35共用打撃戦闘機の代替エンジン開発計画は消滅することになる。
  1. こ の決定の出発点は去る10月31日のGEエイビエーション首脳部と国防次官アシュトン・カーターAshton Carterの会合で「国防総省から自社開発への支援が得られる見込みがなくなったため」とGEは説明。国防総省はすでに4月にF136開発の中止を決め ていたので、驚くべき内容ではないが、これでF-35に採用済みのプラット・アンド・ホイットニー製F135エンジンを上回る性能をねらったF136の 15年に渡る開発は終了することになる。
  2. 業界筋ではJSFのエンジン関連業務量を1.000億ドル相当と見ており、代替エンジン開発による競争効果で15から20%の生涯費用節約を予想していた。
  3. F136 開発の中止により戦闘機用エンジンメーカー間の将来の第六世代戦闘機向けエンジン開発のバランスにも影響が出る。プラットとロールスが従来は考えられな かった共同事業の形で民間商用機向けのターボファンエンジン開発にとりかかっており、その延長で第六世代機用の軍用エンジン開発でも提携する可能性が出て きた。
  4. ペ ンタゴンから終結宣言が出た時点で開発は八割ほど完了しており、国家予算も30億ドル程度投入されていたが、GEとロールスは自社資金によりF136開発 を2012年度まで続けると宣言していた。しかし、GEによるとカーターの発言により「F136の開発継続が困難と判断し、JSF関連の連邦予算の動向も さらに不確実性を増している」という。
  5. これまでにF136開発用エンジン6基で合計1,200時間の稼働実績がある。GEによるとF136関連の人員は全員他部署へ移動の予定だという。
  6. F136 は技術的に先進性があるとはいえ、GEとロールスは別箇に将来の第六世代機用エンジン開発を空軍研究所の適合性多用途エンジン技術Adaptive Versatile Engine Technology (Advent) 他の研究成果を利用しながら模索してく。両社はF136技術で特許を出願しており、同エンジンはそのまま開発を継続できないばかりか、長距離爆撃機構想な どの他の用途に流用することはできない。
  7. GE、ロールス両社は開発中止は最終決定であり、仮に議会が自社開発案を指示したとしても、両社とも復活の意向はないという。
  8. こ れまで同エンジン開発を指示してきたのは上下両院のうち特に下院軍事委員会でペンタゴン、ホワイトハウスに働きかけてきたが、ホワイトハウスはブッシュ前 政権時代からこれに反対しており、同エンジン開発による支出増とそもそも2つのエンジンを開発することが効率性の観点から疑問を持たれていた。
  9. そ もそも両社の共同事業は1996年にロールスロイスがアリソンの親会社となり、GE-アリソンチームに加わりYF120巡航エンジンを当時検討中だった JSFの各種発展型用のエンジンとして開発を着手したことで成立した。両社はGEA-FXLエンジンとしてJSF短距離離陸垂直着陸型の垂直飛 行・巡航飛行用のエンジン案でも共同事業パートナーとなっている。
  10. 同年後半に政府が正式にYF120をJSF代替エンジン開発の対象として選定したことで両社の共同事業は正式になった。当初はアリソンがエンジン中核部分と低圧タービンを、ロールスがファン部分の設計と製造を担当する計画だった。
  11. 翌1997年に議会の求めに応じてペンタゴンがGE-ロールスチームにより代替エンジン開発の仕組みづくりを開始し、両社はF136と呼称を変更したエンジンの開発に取り組んだのであった。
       

2011年12月6日火曜日

F-35 第四ロット機は7%の予算超過に

F-35 LRIP 4 Jets 7% Over Target Cost

aviationweek.com Dec 2, 2011     By Amy Butler



総額3,800億ドル規模のF-35開発を管理する政府関係者によると同機生産の第四生産ロットでは機体単価が目標を約7%上回りそうだという。

  1. D・ヴェンレット中将(F-35生産統括責任者)によるとロッキード・マーティンには単価引き下げの可能性があると見るが、低率初期生産ロット4号(LRIP)の3割は完成しているという。
  2. ロッキード・マーティンも7%超過は「きわめて正確な予測だ」と認めている。
  3. では、政府が掌握している同機の単価はどうなっているのか。
  4. -通常型離着陸のF-35Aでは111.6百万ドル
  5. -短距離離着陸型は109.4百万ドル
  6. -空母運用型の初期生産で142.9百万ドル
  7. と なっており、契約により目標価格の120%上限までの価格超過部分は政府とロッキードが折半して負担する。初期の生産ロットでの超過額は11から15% だった。結果、政府はLRIP1から3までに総額771百万ドルを負担している。これは一機あたり27.5百万ドルの追加支払になる。このうち135百万 ドルはテスト期間に判明した補修を完成機に実施することにあてられた。これだけで対象28機に一機あたり4.86百万ドルをつかったことになる。

リビア作戦から明らかになったNATO軍の実態

                             

Libya Reveals NATO Readiness Highs And Lows

aviationweek.com Dec 2, 2011    

一 回の紛争事例の結果から「普遍的な真理」を引き出すのは危険かもしれない。今年前半に英国の戦略国防安全保障レビューはアフガニスタン作戦から将来の作戦 上のひな形を想定している。その報告では国家間の紛争とそれ以外の紛争のオプションの区別などきれいにまとめてはいるが、あくまでもきれいごとだ。では統 合護民官作戦Operation Unified Protector(NATOによるリピア内戦におけ国民、反乱軍保護ミッション)から意味のある教訓は引き出せるのか。
  1. NATOの即応体制が作 戦実施で欠点があきらかになったとか、ヨーロッパ各国の準備不足が露呈した等結論を急いで引き出す傾向があったが、空中給油機の8割 は米空軍が提供しており、このことが関係者に衝撃を与えているのが事実だ。欧州全体からはわずか20機程度しか動員できなかった。英国はVC-10とトラ イスターの退役で空中給油能力が低下しており、この状態はエアバスA330ヴォイジャー給油機が稼働開始するまで続く。フランスの給油機の稼働率は著しく低く、両国で進行中の調達拡充が実現すれば、「タンカーギャップ」は解消するだろう。
  2. 一方、敵防空網の制圧ではNATOは米国装備に頼りっぱなしであったのも事実だ。これは今回始まったのではなく、これまでの数十年間同じ状況で今後も変わりそうにない。また、救難捜索用機材がないため、サハラ砂漠が緊急時には着陸地点に指定されていた。
  3. だ が空軍戦力近代化の努力の結果が今回出ている。各攻撃機には目標照準・Istar(情報収集、監視、目標捕捉、偵察)ポッドを搭載し、1990年代よりも 状況に応じてはるかに柔軟な対応をしている。すでに他国からは今回のNATO作戦で示された欧州各国の軍用機の作戦状況に関心が寄せられており、複雑な攻 撃作戦の大部分を地上統制官なしで実施していることが注目を集めている。今回の作戦の前にはアフガニスタンの経験が念頭にあり、複雑な航空作戦を実施する には地上統制官が目標を示すことが必要だろうと広く信じられていた。リビア作戦はこの考え方をある程度変える結果になった。
  4. 初期報道では電子偵察能力では米国の機材がたよりといわれていたが、予想よりも広範囲で欧州各国装備はとくにIstar分野で性能を発揮したようである。スウェーデン空軍のサーブJAS39グリペン戦闘機はrecceポッドによる画像品質と即応性で高い評価を与えた。ダッソー・ラファールF3はタレス製 のAreos Reco NGポッドを搭載し、これも高い性能を発揮したと伝えられる。英空軍はこれに対しセンティネルR1アスターAstor(空中スタンドオフレーダー)が予算 削減で退役するところを引っ張り出し、ラプターRaptor(空中偵察ポッド、トーネード用)を投入。欧州だけでIstar運用を実施している。
  5. 使用された兵装についても興味深い点がある。フランスはサゲムSagem製AASM動力付き爆弾を225発使用している。トーネードGR4で主に使われたのはレイセオンのペイブウェイIV500ポンドレーザーGPS照準付きを700発以上使用した。同爆弾はアフガニスタンではすでに使用済みだが、リビアではもっと広範な目標に使用されている。そのバックアップとしてMBDA製ブリムストーンミサイルが使われた。もともとは対装甲兵器として開発されたが、レーザー誘導とミリ波レーダーがついて性能が向上している。リビアでの大量使用に呼応してMBDAには緊急生産発注がされている。
  6. 精密誘導兵器の在庫が不足してしまった小国もあるが、米国からボーイング製共用直接攻撃弾(JDAM)の購入に走っている。希望の兆しもある。各国は財務当局に以前よりも兵装在庫量を増加させる必要があると説得するのは容易になるだろう。
  7. リ ビア作戦で注目するべきは英仏両国が政治的な決断の後に長距離攻撃態勢を整えたスピードだ。また、両国では海軍艦艇による砲撃支援(NGS)が再び脚光を 浴びた。英海軍は4.5インチ砲で240発を発射し、高性能爆薬、曳光弾を混ぜて使用した。英海軍の砲火は英海兵隊向け支援として2003年にもイラクで 実績があるが、リビアでの実績により英海軍のタイプ26グローバル戦闘艦構想フリゲートには5インチ砲を搭載してNGSを提供することになろう。
  8. フランス海軍は100mm砲・76mm砲あわせて3,000発をNGSミッションで発射。このことから軽量弾では重量弾と同じ効果を得るためには大量の発砲が必要だとわかる。
  9. リビアは両国にとって攻撃ヘリを海上から運用する点で転換点となった。英国はボーイングAH-64アパッチロングボウを5機投入し、フランスはユーロコプターEC665 タイガーヘリを10機使用した。その実績は現在評価を受けているが今回限りの作戦というよりも今後の標準使用方法となりそうだ。リビアでのヘリ作戦様式が 高速ジェットと攻撃ヘリの混成運用に発展するかは不明だ。その実現にはより多くの訓練と実践経験の上により多くの支出が欧州に必要だ。
  10. NATO 軍はこれまで20年近くの経験をイラク飛行禁止地帯、バルカン半島、イラク、アフガニスタンで積んできているので航空作戦でリビアで得た教訓は常識の範囲 に留まる。ただし、250機から300機の作戦航空機を揃える英仏両国がわずか25機程度しか持続的に作戦に投入出来なかったことはひとつの懸念だ。
  11. 一 つ明らかなのは今回の統合護民官作戦は将来の運用の基準にはならないし、次回の作戦のひな形にもならないことだ。地上部隊投入がなくても実施できる作戦で はあったが、ほとんどの教訓はこれまでの結果を裏付けるものだった。ひとつには装備が整い、よく訓練され、ただしい指揮命令を受けた部隊にとっては想定外 の事態にもうまく対応できることが証明された形だ。アフガニスタンと平行して統合護民官作戦を実施するNATOの立場なら航空作戦の観点では対地攻撃方法 はひとつだけではないことがわかるだろう。

2011年12月3日土曜日

F-35が中止になったら② 結局F-15を徹底的に使いこなすことになるのか

                             

F-15s May Out-Maneuver Sequestration Impact

aviationweek.com Nov 30, 2011            

F-35開発が仮に中止あるいは更に遅延した場合、米国及び同盟国はレーダー断面積の少ない機体またはスタンドオフ兵器を敵の高性能防空網に向けて発射できる機体がより多く必要となる。
そこで現有機を改良して高性能通常型兵器、指向性エネルギー兵器、高性能電子戦(EW)能力の搭載が求められるが、その価格はステルス専用機の数分の一にすぎない。
  1. F-35開発中のロッキード・マーティンは既存のF/A-18やF-15、F-16を改装してもJSFと同程度の能力を実現することは不可能だと主張している。
  2. た だし、空軍内部でステルス機のF-22やF-35の能力を現有機が代替できると信じる向きはわずかだ。「現時点で利用できる技術を取り入れないのでは現在 の空戦で求められる機能を発揮できません。みなさんのほとんどが対空ミサイルの性能、配備数が上昇しており、対抗上機体断面積を小さくするステルス性が必 須になっていることをお分かりになっていないようです」(太平洋空軍司令官ゲーリー・ノース大将“Gen. Gary North, commander of U.S. Pacific Air Forces)
  3. 「空対空ミサイルの有効射程も伸びており、敵を先に探知し、集中的に電子戦を仕掛けることが重要になっています。各国の防衛政策では必要な装備をどこまで整備するのか、どれだけの防衛作戦を行うのか真剣に検討するべき時期が来ています」(同大将)
  4. だ が、ステルス機の配備数があまりにも少ないのであれば、その補完装備が必要だ。ここでボーイングのF-15ミッションシステムズ担当部長ブラッド・ジョー ンズがすき間市場として、サイレントイーグルを海外向けに売り込もうとしている他、米空軍向けには現有F-15CとF-15Eストライクイーグルの改修を 提案している。米軍装備が縮小に向かう中、急に発生する紛争事例(リビアがその例)に投入できる各国共通運用が可能な機体の需要が大きくなっていると分析 する。ただし第一の疑問は現有のF-15は今後の新型機導入あるいは現有機改修が実現するまでの間の耐用年数が残っているかという点だ。その中で米空軍の F-15は今世紀の中頃まで供用される見込みだ。
  5. 新型機の生産数が削減されるあるいは中止になる中で、戦闘機の機数不足は明らかで、実地運用・訓練用ともに必要な機数が今後足りなくなる。現時点で米空軍が運用するF-15はC型350機、E型222機であり、各型の耐用年数延長を急いで実施しようとしている。
  6. ボーイングはF-15Cの疲労試験を実施中で現在の飛行時間上限9,000時間を18,000時間に延長するのが目標だ。F-15Eはもともと兵装搭載を前提に主翼構造が強化されており、現行上限8,000時間を32,000時間にできないか疲労試験を開始するところだ。
  7. ボー イングは各機の近代化改修契約をすでに交付されており、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーに換装し現有の機械式スキャンレーダーの有効距 離56海里を2,3倍に拡大させる。また、機械式レーダーの平均故障時間は100時間だがAESAでは2,100時間になる。
  8. こ の新型レーダーAPG-82(v)1 には高精度の地図作成機能もあり、搭載する長距離攻撃兵装が高精度の目標捕捉をすることができる。さらに同レーダーの性能を増幅する機能が現在開発中の高 性能ディスプレー・コア・プロセッサー (ADCP II) であり、2013年度予算ではさらにデジタルEW機能の開発が予定されている。
  9. 空 軍は機体の運用可能性を延長するつもりだ。F-15には巡航ミサイルと同じサイズのChampのような長距離誘導で強力な兵装を搭載でき、チャンプは電子 攻撃の中核となる。さらにF-22にはさらに高高度を飛行させるか、敵防衛網の中に展開させ、F-15向けの目標情報を配信することが可能。そこでF- 15が実際の攻撃を担当し、F-22は指揮命令機能を提供する構想だ。
  10. ADCPIIは海軍のF/A-18E/Fと共通装備であり、機体の一部として取り付けられる。その中心部分のソフトウェアは海空軍共通化され、アップグレードの効果を共用出来る利点がある。
  11. もう一つのF-15改修の可能性はデジタル電子戦システム (DEWS)でギガバイト単位の大量データを使い、レーダー、プロセッサー群、EW装備への接続ポートを持つ。DEWSカラの情報がレーダー他の発信機に流れ、ジャミングや電子攻撃を実施する構想だ。
  12. 「ハー ドウェアは完成しています。今はソフトウェアの改修を検討しています。EWシステムには電子攻撃以外のオプションもありますが、ハードウェア全体は同じア レイの中に搭載し、アレイの中のチャンネルをふやせばもっとすごい仕事がこなせるようになりますよ」(ジョーンズ)
  13. その可能性の一つがデータビームであり、アルゴリズムを入れて敵の電子目標を発見することができる。「構想は完成しており、まだ完成していないのはアルゴリズムであり、プロセッサーに組み込むデーターベースだけです」(ジョーンズ)
  14. 敵 に発見されにくくなるF-15サイレントイーグルはすでに韓国のFX-3候補として提案済みである。「AESA,DEWSにフライ・バイ・ワイヤを盛り込 みました。特に韓国向けにはデイスプレイを大型化し、一体型兵装庫でレーダー断面積を縮小しています。」(ジョーンズ)
  15. 「ただし空気取り入れ口には手を入れていません。機体構造の大掛かりな変更になってしまうためです。そこでF/A-18 と同様のタービン表面の改修が選択肢に入ります。低費用で非探知性を向上できますよ」(ジョーンズ)

コ メント: ボーイングの商売上手はこれまで通りですが、結局F-35は西側世界の防衛体制を根本から揺るがす史上最大の失敗機になるのではないでしょう か。そのあげくがF-15の運用延長というのは泣けてきますし、F-22を母機にF-15が攻撃にとりかかる、というのはF-35の運用コンセプトそのも のですが、ステルス性がちがうF-15では相当の被害も想定しておく必要がありますね。くりかえし主張してきたようにF-35は日本には不要の機体であ り、今回のF-X選定でも失速する可能性が濃厚になって来ました。

2011年11月30日水曜日

F-35開発が中止になったらどうなるか

            

Are There Alternatives To The F-35 Program?

aviationweek.com Nov 29, 2011    

もしF-35開発がさらに遅れるか、規模縮小になるか、予算問題で取りやめになったとしたら米国の攻撃機戦力保持の代替策はあるのだろうか。
  1. 仮 にF-35の編成整備が高価過ぎると判断された場合、ペンタゴンの選択肢は即刻取りやめから海軍用F-35Cあるいは海兵隊用F-35B開発の中止または 先送りまでの範囲がある。空軍用A型の中止の場合は全体開発そのものが継続できなくなるので、むしろ開発を先送りにするか、空軍向け本格生産機数を現在の 目標の年間80機から縮小する可能性がある。
  2. JSF 関係者は代案はありえない、とか次善の策はないとこれまで巨額の規模の同機開発がサクッ元されようとすると繰り返し主張してきた。ただし、財務危機の現実 の前に計上済みの予算も削減の可能性が出てきた。JSFでは初期作戦能力獲得がいつになるのか未だに保証ができない状態であり、調達コスト、維持コストで も同機の将来には不安が離れない。一方で米国、海外において現行の各種機体の生産を今世紀半頃まで維持し、戦闘機の不足を回避するべきだと主張する向きが ある。現行機種ではステルス性が劣るため、その穴を無人攻撃機、長距離発射兵器、電子攻撃装置また探知性削減の装置装着で補う構想がある。
  3. それにしてもF-35で複雑な問題が国際共同開発国の役割だ。8カ国の合計でも全体機数の5%相当にしかならないが、各国は機体調達を早期に求めており、初期低率生産LRIP段階で各国が導入する機数は米空軍分に相当する規模になる。
  4. 仮に共同開発国が遅延と価格上昇に我慢できず、計画から脱落したら、生産数が低下し、単価がLRIP段階で上昇していしまう。LRIPでは初期の少数生産から急速に年間200機程度に増加するのが当初の計画だ。
  5. こ の規模は現在の戦闘機各種のいずれよりも大きく、この規模の経済がJSFの根本なのだ。これまで大規模投資が組み立て設備、試験機器等になされており、複 雑なサプライチェーンで中小企業含む多数の企業が参加しているが、これは一定規模の仕事量を前提としてきた。その結果、現行の戦闘機の生産量では不十分な 規模のシステムが生まれている。
  6. 前 国防長官ロバート・ゲイツが当時の計画主任デイビッド・ハインツ少将を解任してから二年もたたないうちにJSFはナン-マカーディ法案の定める上限に大幅 に反すると判定され、現時点でも遅延と予算超過の最終的な見通しは立っていない。その理由として同機を導入する予定の各軍がそれぞれ同機の初期作戦能力獲 得の確実な予定を立てられないことがある。
  7. またJSFはマイルストーンB承認(システム開発、実証、低率初期生産で必要な法律的な要求事項)を獲得していない。当初のMS-Bは2001年に交付されているものの、上記ナン-マカーディ条項違反を理由に取り消し処分となっている。

2011年11月29日火曜日

米空軍のISR分野に新しい動きが出ています

                             

USAF ISR Review Points To Priority Change

aviationweek.com Nov 28, 2011
   
今夏に実施された米空軍の情報収集・監視・偵察(ISR)業務内容の検討の内容が明らかになった。相手国防空体制が整備された空間での活動、宇宙配備・サイバー空間の装備との融合、空軍以外の各軍や情報関連諸機関との連携を求めるのがその大綱だ。
  1. こ の10年間の空軍ISR活動の中心は対テロ作戦におかれており、有人・無人機ともに脅威の存在しない空域での作戦が可能だった。空軍ISR担当参謀副本部 長ラリー・ジェイムズ中将Lt. Gen. Larry Jamesは今後の課題は接近を拒む空域での作戦を実現できるバランスの取れた装備を整備することにあると指摘。
  2. 同中将は空軍協会主催のグローバル戦闘シンポジウムの席上でISR整備計画検討の結果は「空軍長官に数週間前に説明ずみ」と紹介した。その結果は「2013年度予算要求に反映され、14年度案にも影響を与える。また国防長官から大方針は承認を受けたところ」であるという。
  3. 今回の検討結果ではISRの一層の統合運用を、空中、宇宙、サイバー空間間で行い、高性能技術でデータ量の増加に対応し、情報伝達面では電気光学、赤外線、無線の各情報収集活動に加え可視光偵察他現行の各種手段により情報を統合することが課題だ。
  4. 「融合するにはどうしたらよいか。地上施設に行くと下士官が4時間連続でスクリーンに向かってアフガニスタンで敵の動きのパターンを捉えようと集中している。これこそ機械が行う仕事でしょう」(ジェイムズ中将)
  5. ISR分野は大幅な予算削減のさなかでも比較的優遇されているとはいえ、今回の検討結果では研究開発、技術開発分野で不安な動きになりそうだ。が、ジェイムズ中将は両分野の予算は絶対必要で高い優先順位をつけると、死守の姿勢だ。
  6. あ わせて戦闘空中哨戒用にMQ-1プレデター、MQ-9リーパー、RQ-4グローバルホーク合計65機体制で戦域上空に提供する計画は順調にすすみ、 2013年度末に完成する。このうちMQ-1は予定268機は全数納入済みで、MQ-9発注400機の内最初の100機が納入中で2016年までに全機 リーパーによる編成が完成する。現時点でイラク,アフガニスタンの地上作戦支援用に60機が毎週合計で1,200時間のフルモーションビデオ画像を収集 し、グローバルホークからは11,000枚の静止画像が毎月ISR分析官に届いている。
  7. リー パー搭載の広域監視システム「コーゴンステア」Gorgon Stareは毎秒2フレームの動画を形成し、4キロメートル四方を連続してとらえることが出来る。ジェイムズ中将は同システムを昨年導入後の効用を評価し ている。さらに監視用飛行船ブルーデビル2Blue Devil  2をアフガニスタンに2012年投入するので、二つのシステムで一日53テラバイトのデータを生成できるようになる。これは54,000本の長編映画に 等しい量だ。その他C-130 に搭載するシャドーハーベスト Shadow Harvestが多様なスペクトルの対応が可能で今後が期待されるISR装備だ。
  8. キングエア350を改装したMC-12Wも実戦で役立っており、合計12,000時間の戦闘投入実績になっている。

2011年11月26日土曜日

F-35の2011年テスト目標は早期に達成されたが....

                             

Lockheed Hits 2011 F-35 Test Targets Early

aviationweek.com Nov 21, 2011        

ロッキード・マーティンはF-35共用打撃戦闘機の2011年内フライトテスト目標を達成し、このまま順調に行けば2012年フライト回数は大幅に目標を上回る見込み。
  1. 11月17日に本年第875回目のフライトを実施し、年間目標回数を上回った。フライト全体で合計6,809点のテスト項目達成も年間目標を上回る。
  2. ただしF-35B短距離離陸垂直着陸(Stovl)型のテスト機は再度飛行を停止しており、リフトファン収納部分の構造部品を交換する。これは小さなひびがみつかったため。
  3. ロッキードはStovl機のBF-5テスト機以降では問題の構造部品が最設計されており、問題はないという。
  4. BF-1は12月でバタクセントリバー海軍航空基地でテスト再開する。BF-2の改修は次回定期補修時に行う。BF-3はStovlテスト回数の実施が少なく、ひびはまだ発生していないが改修は受ける。BF-4は現在高度飛行に使用されている。
  5. 今年の一月にF-35のテスト全体が見直され、二年間延長して問題点の改修に余裕が生まれた。8月半ばの飛行再開後、F-35テスト機は月間で平均100フライトをこなしている。来年は合計1,100フライトを予定している。
  6. テスト項目数は予定水準を上回ったとしても、F-35C艦載型で500点以上、F-35A通常離着陸型では100点以上のテスト項目達成目標が残っている。
  7. 2011年のフライトテストの大きな目標はデータを集めて飛行訓練開始時の性能限界を明確にすることだったが、これは達成され、性能限界の改訂につながっている。ただし、F-35Aのエグリン空軍基地(フロリダ州)での訓練はまだ開始に至っていない。

2011年11月23日水曜日

指向性エネルギー兵器搭載ミサイル誕生

                             

First Look: Electronic Warfare Missile

aviationweek.com Nov 18, 2011
   
米国は指向性エネルギー兵器を搭載するための専用ミサイルをすでに製作し、発射実験に成功している。実戦運用はまもなくと思われるが、使用されれば敵の電力網を撹乱、停止、あるいは損害をあたえることができるが、この全貌はほとんど不明のままだった。
  1. た だし各種の情報を総合するとこの新型ミサイルの運用コンセプト(conops)が浮上してきた。プロジェクト名は対電子装置高出力マイクロ波発達型ミサイ ルプロジェクトCounter-electronics High-power Microwave Advanced Missile Project (Champ)だ。
  2. ボーイング発表の想像図ではB-52から投下される空中発射型の設計のようだ。ただし、指向性エネルギー高出力マイクロ波(HPM)を発生するペイロードは陸上、海上、に加えて空中出の運用が可能な柔軟性を持つ。
  3. 対電子装置能力では無線周波数帯の全域が標的になるとボーイングは明らかにしており、その効果は目標の周波数ならびに実行性放射出力effective radiated power (ERP)に依存するという。
  4. 空 軍製作のビデオクリップ2本でconopsと効果が示されている。巡航ミサイルが低高度出飛行しながら高層オフィスビルに向けてHPMビームを側面及び下 方から発射している後継がアニメーションで示されている。ビルの照明が消える。実写では室内のデスクトップコンピュータの場面が真っ暗になる光景が写って いる。
  5. ただ2つの疑問が残る。Champはステルス性があり、再使用が可能なのか。ボーイングの図を見ると機体は小型で発射後に主翼が伸長する。ボーイングの図は実際のミサイルと一致しない可能性があるが、同社制作の空中発射型巡航ミサイルと類似している。
  6. Champの初発射は5月17日にユタ試射訓練場(ヒル空軍基地内)で行われており、目標群への照準は成功し正確な照射により付随的損害を最小限あるいは皆無にできると確認されている。
  7. 巡 航ミサイルはレーダー断面積が小さく、小型でレーダー波吸収あるいは反射塗料を施す事が可能だ。このため、開戦初日に巡航ミサイルで敵の防空網を突破する 手段となる。Champの仕様でも同じ運用能力とステルス性がうたわれている。ただしHPMペイロードはChampだけに搭載されるわけではない。無人機 への搭載も可能だ。
  8. 関 係者はChampが空軍による長距離攻撃兵器(LRS)と関連があるのかについては口を閉ざしている。指向性エネルギー兵器と電子攻撃能力がLRSに搭載 され無人機で運用すると空軍、業界関係者が発言している。HPM兵器はもっと小型の機体にも大型の機体にも搭載できるという。
  9. 小型であれば敵目標に探知されずに接近することが可能な一方、開口部が大きいほど高出力となるので大型装置も必要になるだろう。
  10. ミサイルの機体部分を製作したのはボーイングのファントムワークスで誘導システムも製造した。その際に巡航ミサイル、無人攻撃機等の知見を空軍研究所と連携して応用した。
  11. レ イセオンがこの度買収したKtech部門がHPM弾頭部を製作した。今後のテスト飛行で機体部と弾頭部分の整合性が2012年7月までにかけて研究される 予定だ。レイセオンはHPMによりレーザーは重要性を失い、指向性エネルギー兵器が次世代の戦闘作戦の中心となるとみる。ボーイングは同社製無人機に再使 用可能な複数回発射可能なHPM兵器搭載を検討している。

2011年11月19日土曜日

将来の戦力構成を真剣に考える米空軍

                             

USAF Weighs Future Priority Needs

aviationweek.com Nov 18, 2011    

米 空軍の新型装備開発計画も現実の財政制約で既存装備の改修と新装備開発との間に極めて微妙なバランスを取ることを余儀なくされている。そのひとつにF- 22後継機種の開発計画があり、空軍内でF-Xと呼称されている。20年先に実用化される技術でそのあと30年間にわたり制空権を確保する方法を模索して いる。また次世代ミサイルは現行のレイセオンAIM-120D空対空ミサイルの後継モデルでF-22・F-35の機体内部搭載を想定する。
  1. ま た空軍はミサイル防衛庁と空中発射兵器のミサイル防衛体系取り込み構想を協議中。この構想の出発点は空軍参謀総長ノートン・シュワーツ大将が空中発射で確 実に命中する兵器体系の可能性を2009年に問いかけたことで、そこから技術検討が開始された。空軍はこの構想に関心を示したもののMDAに開発を担当さ せようとしていると伝えられる。
  2. 空 軍は2014年度以降の予算方針を検討しており、この構想もその一部となると見られる。方針案の完成は来年1月の予定で現時点で協議が進んでいる予算削減 の内容も反映されるだろう。財政難の及ぼす一例として空軍はF-16およびA-10の州空軍での配備機数を削減する案があるが、予算節約にはなるが、ミッ ション遂行のリスクとなる案だ。
  3. F-35Aの運用開始がさらに遅れて2018年となる見込みからF-16ブロック40/50の300機ないし350機の耐用年数延長、エイビオニクス改修が予定されており、一機あたり10百万ドルになると空軍は議会に報告している。
  4. さ らにF-15の老朽化も無視できない。2008年には金属疲労が原因でF-15Cの墜落事故が発生している。さらに機体構造にひびが入っているのが最近発 見された。機体点検で対策が可能である程度でまだ致命的問題とはなっていないが、各機の経年変化は免れない。すでに長期間就役している機体では修理点検サ イクルがはやまっているが、F-15Cで2030年、F-15Eが2035年という就役期間の終了目標が達成できなくなるまでとは見られていない。
  5. も う一つの課題が厳しい予算配分の中で機体の運用能力を将来にわたり維持する点だ。ソフトウェアとプロセッサーの改修が効果的と見られ、F-15Cで APG63(V)3 、F-15EではAPG-82(V)のアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー改修が想定されている。
  6. あわせてF-15Eに搭載されているスナイパー目標捕捉ポッドを-C型にも搭載すべきかが検討中。これは2012年度予算で総額345百万ドルの赤外線探知捕捉システムを取り下げて節約を図ったための対応だ。
  7. 現 時点で最新鋭のF-22も長期間に渡る性能改修を受ける。短期間改修はすでに実施中だが、空軍はこれとは別の3.2C改修内容を決定する。その内容には攻 撃・防御能力を向上する敵味方識別能力、自動地上地形衝突回避能力が含まれる。F-22の収集するデータをその他機種と共有する方法も検討している。F- 35とのデータ共有はもともと構想ずみだが、F-35の就役開始が遅れることでF-22データを第四世代戦闘機に配信することが急務となってきたのだ。
  8. F- 22最初の大規模性能改修となる3.1改修の機体が就役状態に復帰しつつあり、最初はエルメンドーフ-リチャードソン供用基地(アラスカ州)に二機が到着 した。改修は2016年まで継続し、小口径爆弾8基の運用能力、合成開口レーダー(SAR)の画像取り込み、精密な位置情報獲得、電子攻撃能力が盛り込ま れる。
  9. 改修性能の完全な評価はまだ出ていないが、空軍戦闘軍団によるとこれまでの成果は満足できるものだという。SARの正確性は予想を55%上回り、位置把握は15%も良好だという。電子攻撃能力はテストでは全件実施に成功している。
  10. ま たF-22にはAIM-120Dの発射能力の基礎部分が来年に組み込まれる予定であるが、完全な運用能力は2017年の3.2B改修まで待つことになりそ うだ。レイセオンAIM-9Xドッグファイト用ミサイルを発射する能力は2015年に前倒しされるが、完全搭載はやはり3.2B改修で実現することにな る。その前に3.2A改修が控えており、ソフトウェアの性能拡張でリンク16のデータリンク機能、戦闘情報統合および電子防御能力が搭載される。この実現 は2014年ごろの予定。
  11. 2016年をめどに空軍はブロック20のF-22は訓練及び技術開発用に使用し、ブロック30/35機体を作戦運用に回す予定だ。このうちブロック20は36機が該当し、ブロック30/35は149機になる。
  • コメント F-22の作戦投入合計機数は149機になるのですか。またF-35の計画遅れの影響は広範囲ですね。有人戦闘機の意義がどんどん薄れていき、無人機が台頭する中で技術温存のため極少数の有人機が運用されるのでしょうか。一方で「ならず者国家」が第四世代あるいは第3世代の大量の機材を作戦に投入したらどうなるのでしょうか。電子の力でF-22が一機で10機分の仕事をするとしても、長期の作戦となれば米空軍の機材が全滅するという冷戦時の対ソ連戦闘のシミュレーションが現実のものとならない保証はありません。

2011年11月12日土曜日

空母着艦誘導技術の向上をめざす

                             

ONR Hones Carrier Landings

aviationweek.com Nov 11, 2011    

米 海軍研究局 Office of Naval Research (ONR)は艦上配備航空兵力に予算の優先度を高め、無人機、回転翼機と計画中の共用打撃戦闘機を海軍、海兵隊に配備することで研究陣は将来の海軍航空機 の設計に大きな変化ができる可能性があると強調している。
  1. 直近出発表されたのが新型の飛行制御ソフトウェアで、空母着艦をより正確に実現できる。これにより航空機設計に変化が生まれ結果として大幅な資金の節約になり、将来の航空機の金属疲労、摩耗が大幅に減り、全般的性能が向上することになるかもしれない。
  2. ソ フトウェアに組み込まれたアルゴリズムで空母着艦が正確になるのだという。これに実証中の艦上照明誘導システム(名称ベッドフォードアレイ)、さらにコッ クピット内のヘッドアップディスプレイにシンボル記号を表示することで、ソフトウェアがパイロットの操縦桿の挙動を航空機の飛行経路に直接反映させる。こ れまでは軌跡を高度変化に応じ間接的に絶えず調整してきたが、パイロットははHUD表示の緑色の線に合うように機体を制御し、目標となる着艦地点の輝点を めざす。今回のアルゴリズムは今後50年間の空母着艦方法を変えることになる、とONRは見ている。
  3. 海 軍・海兵隊のパイロットが実施している着艦方法は飛行甲板自体が動いているため手順が複雑になっている。速度を絶えず調整し、飛行制御をエルロン、方向 舵、昇降舵により適正なグライドパスに乗せて飛行甲板に方向をあわせ、着艦フックを使う。アプローチ全般出パイロットは空母左舷の照明灯セットに目を凝ら し、機体高度が高すぎたり低すぎたりならないように注意を払っている。
  4. これに対し、技術革新で空母着艦の安全性、効率性は向上するとともに、機体ライフサイクルコストとともに機体設計にも大きな影響が出るだろう。例としてソフトウェアの恩恵で空母着艦訓練課程が短縮されて大幅な費用が節約できるだろう。
  5. また機体への負担が減り、機体重量の軽減にもつながると、保守点検修理費用も節約できる。更に次世代機への影響も大きい。新ソフトウェアとその運用経験から飛行制御関連の装備設計が見直される可能性も出てくるだろう。
  6. ONRは新技術をノースロップ・グラマンX-47Bをシミュレートした機体に搭載し、飛行テストを2015年度に開始する予定。

2011年11月9日水曜日

F-35配備遅延にF-16 寿命延長で対応

USAF To Extend F-16s To Cover F-35 Delays

aviationweek.com Nov 8, 2011    

米空軍ははロッキード・マーティンF-16を300機以上改修する。またボーイングF-15も対象に含め、ロッキード・マーティンF-35開発の遅れで生じる戦闘機不足を解消する狙いだ。
  1. F-16後期モデルのブロック40および50の300機ないし350機の寿命延長とエイビオニクス改修計画は近日中に発表になると、H.・カーライル中将Lt. Gen. Herbert Carlisle, (運用、計画、調達担当空軍参謀次長)は議会に報告している。
  2. 改修費用は一機あたり9.4百万ドルと同時に発言している。機体寿命は現行8,000時間が10,000時間になり、約8年相当の使用延長が可能となることで、F-16部隊は2030年まで稼動することが可能となる。
  3. 今回の措置はF-35Aの初期作戦能力獲得(IOC)が当初2018年予定だったものがさらに2年ほど先送りになることが判明したためとカーライル中将は説明する。
  4. 新しいIOC予定はF-35の総合大日程が完成すると確定する。カーライル中将は完成はまもなくとし、これができるとF-35の配備にともないF-16他の機種が空軍正規部隊、州空軍、予備役で交代となる詳細計画が判明する。
  5. 空軍が運用中のブロック40・50機は600機近くあり、F-35の更なる遅延により発生する機体数不足の解消には十分だ。
  6. 空 軍はすでにF-15CおよびD型の176機に対する改修を実施中であり、2025年までの運用は確保できる見込みで、F-22生産が187機で終了するこ とで生じる機材不足を埋めることができる。カーライル中将は「将来の体制として250機体制を長期的には維持することになろう」と議会で発言している。
  7. F-15改修機はAESAアクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載しており、F-16にも同様の高性能レーダーを搭載する空軍の要求にグラマンレイセオンが提案を回答している。

2011年11月6日日曜日

F-5近代化で十分な国への対応を考える

                             

RUAG Eyes F-5 Upgrades

aviationwek.com Nov 3, 2011

「ラ イフコスト」の概念が生まれたのは55年ほど前にノースロップのエンジニアだったウェルコ・ガシッチWelko Gasichが以前に勤務していたランド研究所から発想を拝借してのことだった。当時戦闘機は毎年のように新型が登場するたびに外寸と価格が上昇してお り、米国の同盟国の各空軍はF-86セイバーでジェット時代に入っていたが、マッハ2の全重量15トンの戦闘機は高嶺の花だった。
  1. そ こでガシッチのチームは最小限の装備として機銃2基、ミサイル2発を搭載する戦闘機にもともとはマクダネルのクェイルおとりミサイル用にジェネラルエレク トリックが設計した高性能ジェットエンジンを双発にしてまとめあげた。素材と設計は先進的にしたが、完成したのは簡素でモジュール式の機体構造だった。
  2. 各 国空軍は同機を無視したが、米空軍はマッハ2級機で墜落するパイロットの増加に気づいており、高性能訓練機のニーズがあった。そこでノースロップT-38 が就役すルト米空軍はその時点自重25トンの1960年代の戦闘機を購入できる外国空軍の数の少なさに気づき、同社から単座F-5を軍事援助プログラムで 発注したのだ。
  3. ガシッチはその後ノースロップの主任設計技師になる。だがF-5はそれよりも長い就役期間につき、現在も使用中の国もある。
  4. RUAGエイビエーションRUAG Aviationはスイス空軍のF-5E/Fフリートの保守点検にあたっているが、世界規模ではここ数年で作戦可能なF-5の機数が増加しているという。 同社はスイス国防省向けに代替策の検討を行い、新型機(ラファール、タイフーン、グリペンのいずれか)の停止とF-5改修の間で今後数十年間にわたる運用期間延長の 比較検討を行った。
  5. RUAG はこの成果をばねに世界規模でのF-5ビジネス拡大につなげようとしており、世界各国のF-5E/FでJ85-GE-21エンジン搭載機多数の保守点検を 行う予定だ。またそれ以前の旧型も大将に加えようとしている。同社はエイビオニクス総合会社(例としてブラジルのF-5E改修に参画したエルビット社)や システム装備メーカーとチームを組む予定だ。
  6. RUAGが提供するのは同機のエンジン、機体、システムやソフトウェアの保守点検に加え、スイスの経験知識だ。
  7. F- 5の長期間にわたる供用の理由はRUAG社やスイス空軍の施設を見ればあきらかだ。補修工場ではF-5Eの水平尾翼含む後部がボルト4本と小さなアクセス パネルを開くことで取り外されていた。そして取り外された部分は手動の台車に乗っている。エンジンは天井設置のレールから吊るされている。
  8. スイス空軍のF-5は曲技飛行に使用され、パイロットは通常はF/A-18ホーネットを操縦する現役パイロットや予備役パイロットが務める。これだけでF-5が操縦しやすい機体であることがわかる。そこでRUAG社はF-5を戦闘機導入訓練に使う可能性を提案する。
  9. ただしF-5は純粋な戦闘機であり、超音速飛行が可能、アフターバーナーで上昇性能、加速性能は優れている。「同機とのドッグファイトは考えたくない」と話すパイロットもいるくらいだ。
  10. スイス空軍の第一の任務は本土防衛であり、F-5の欠点はエイビオニクス能力だ。レーダーは1972年製でヘッドアップディスプレイもない。今後の改修での対象となり、オートパイロットも搭載されるだろう。また全天候運用能力の付与も望まれるところだ。

2011年11月5日土曜日

国際阪F-18が登場か

                             

Boeing Reveals Details Of International F-18

aviationweek.com Nov 4, 2011

ボーイングがF-18スーパーホーネットの国際版開発ロードマップを公開した。主な特徴は一体型燃料タンク(CFTs) 2基を機体上部に搭載し、閉鎖型ウェポンポッド(EWPs)が多数取り付けられていることだ。
  1. 今回の発表はボーイングとロッキード・マーティンがともにインドの中型多用途戦闘航空機契約取得に失敗し、日本のようなJSF共同パートナー以外の国でビジネス拡大が必要とされるタイミングで出てきたもの。
  2. ボーイングはF-18の改修を同社独自の国際ロードマップのコンセプトで昨年から進めており、日本をはじめとする販売対象想定国に情報を小出しにして提示している。
  3. ボーイングの想定する新型スーパーホーネットでは機体基本構造を改良し、推力重量比、加速、敏捷性、操縦性、継戦能力、低視認性、センサー性能をそれぞれ向上する。
  4. 抗力増加につながる主翼下の燃料タンクは搭載しない新型スーパーホーネットにはCFT二基を搭載する。その場合、さらに胴体下部に通常型外部燃料タンクをつけて、現行型の外部燃料タンク3基と同じ航続距離が可能と計算している。
  5. さらにCFT搭載での風洞試験と飛行試験は未実施である。同社によると飛行テストは今年末から2012年にかけて予定されているという。
  6. CFT以外にボーイングが売り込むのが通常型の主翼、胴体につくパイロンや強化ポイントに代わり採用された閉鎖式ウェポンポッド(EWPs)で各ポッドにAIM-120ミサイル4基、2,000ポンド爆弾一基、あるいは500ポンド兵装を二基取り付けられる。
  7. ボー イングによるとEWP搭載能力は370Kg まで今後増加する見込みだが、パイロン、レールが不要となる空力学性能の向上、レーダー断面積の減少の効果の方が大きいという。EWPを主翼下と胴体下部 に取り付けるとAmraamミサイル12発と翼付きAIM-9X2発をスーパーホーネットに搭載できるという。
  8. ま たボーイングは性能向上型ジェネレラルエレクトリックF414エンジン、亜音速飛行特性向上のための主翼形態変更パッケージ、CFGとEWPを搭載する スーパーホーネットの性能変化の予測結果は発表していない。ただし同社は水平飛行時の巡航速度からマッハ1.3ないし1.5への加速性能が向上すると見て いる。一般的な戦闘空中哨戒飛行を高度4万フィートで行う場合、パトロール状態から超音速戦闘に加速する時間は大幅に短縮されるという。
  9. 現在の国際ロードマップによるとボーイングは自社費用で研究開発を続けることになっているが、ボーイングが期待するのは顧客による費用負担で開発を進めテストによる改善を実現することだ。

2011年10月29日土曜日

F-35B艦載運用公試は順調に進んでいるようです

 このたび F-35Bの初の艦上運用試験にはじめて報道陣が招待されたようです。おなじみのバトラー記者が早速レポートしています。

Navy Sees Few Anomalies in F-35B Ship Trials 

aviationweek.com Oct 28, 2011 By Amy Butler Onboard the USS Wasp

ヴァー ジニア州沖合で強襲揚陸艦USSワスプは今月初めから横20マイルの箱型の航行を続けており、ロッキード・マーティンF-35B海兵隊仕様の短距離離陸垂 直着陸(Stovl)機の母艦として初の公試を実施する舞台となっている。
  1. そこからわずか数マイルの内陸部のワシントンではペンタゴン関係者、議員 はF-35共用打撃戦闘機計画の運命を巡り議論を続けている。予算赤字削減の議論の中で、いまやペンタゴン史上最高額の開発予算規模となっている同機は削 減対象となることを免れない見込みだ。
  2. だ が初期開発テスト期間の締めくくりの前に、海兵隊とF-35統合管理室が沈黙を破り、一部報道関係者をUSSワスプに招待し、初めてテストの実態を公開し た。公開されたテスト結果は一部分だが、おおきな異常結果を示していない。ただ、テストの進捗によりF-35B開発が継続となるのか、合計9カ国が参加す る同機開発全体が各国が赤字対策のさなかに資金を確保できるのか、不確実な点が多い。
  3. わずか一年前にはテスト機BF-1の垂直着陸に失敗し、修理のため飛行停止状態で、残るテスト機材の確認が必要な状態だった。そこでゲイツ国防長官(当時)がStovl機に「保護観察処分」を命じたのであった。、
  4. 当 時の海兵隊はテストデータが不足しており、ロッキード・マーティンを信じ、同社モデルは有効として同機開発を支持していた。それが現時点では海兵隊は今年 になってからのデータを入手し、特に一番コストの高いB型を削減対象から外すべく、信念よりも事実で論拠を展開する構えだ。
  5. 今回の公試はF-35BをLHDクラス強襲揚陸艦出運行する親和性を検証するのが目的だ。海兵隊は同艦に各6機を搭載し、海上および上陸地点上空の支援を提供する構想だ。これまでのところ垂直着艦短距離発艦(STO)を60回以上実施しているという。
  6. また、B型は飛行甲板および格納庫内でAV-8Bよりも取り回しが楽であることも判明した、とB.ホルデナー艦長Capt. Brenda Holdenerは言う。
  7. パタクセントリバー海軍航空基地のテスト関係者はテストデータを精査し、艦上運用の熱力学を解明中だ。特に関心を呼ぶのがプラットアンドホイットニーF135エンジンの高温排気が飛行甲板に与える影響の大きさだ。
  8. 垂 直着艦のアプローチはAV-8Bと同様であると海兵隊大佐R.コーデルMarine Corps Col. Roger Cordell(F-35B、C型テスト評価責任者)は語る。それによるとパイロットはまず艦尾から艦首に向けてアプローチしたあと、飛行甲板上空を角度 90度で横切る。その後艦上の要員がイロットの技量を確認してから角度は45度に変更される。
  9. 人向上テストではF-35Bは高度100フィートでホバリングすることが多いが、艦上では40フィートまでに制限される。「直感に反しているようですが、100フィート上空よりも40フィートだとホバリング条件がよくなるのです」(コーデル大佐)
  10. 「陸 上上空では100フィートで土石の巻き上げを予防します。艦上ではその心配が無いので合理的な高度を維持できます。」 機体は毎秒7フィート降下率を維持 するが、将来はその速度を上げる予定だ。パタクセントリバーのテストパイロットM・ケリー中佐Lt. Col. Matt Kellyはもともとホーネットを操縦していたが、垂直着艦では機首のタイヤを艦上の1フィート四方の箱スペース内に収めることだという。このため艦の揺 れが着艦に影響を与えることがあるが制御プログラムが有効に働いて補正してくれるという。
  11. 公 試開始前は飛行甲板への排熱の影響が憂慮されていた。データは正式に解析されていないが、パタクセントリバーでは同機の実績は予想モデル通りの艦上熱摂取 を確認したという。関係者はF-35Bが機内に熱の再摂取をおこし、推力やハードウェアへの影響が出るのではと心配していた。いままでのところ性能への悪 影響が見られないとコーデル大佐は言う。
  12. ワ スプのパイロットおよびクルーはハリアー運用の資格を有しており、USSワスプはF-35B受領前に改修を受け、駐機スポット7番から9番にすべり止め塗 装が施された。9番スポットには新素材サーミオンThermionが使われており、高温耐久性が高く、補修費は節約できると期待されている。
  13. 機 首主脚の着艦目標となる黄色いラインは機体の翼幅が大きくなっているため38インチ外側に移動している。また、WSC衛星通信アンテナ、救命いかだ、ミサ イル発射装置を取り外し、その他同機の電子装置の損傷を予防するため一部装置を防護したが、あくまでもテスト期間のみの措置だ。
  14. 垂 直着艦パターンはハリアーと類似しているものの、F-35Bのステルス形状、超音速飛行性能のため短距離離陸の運航は異なっている。ワスプ艦上のテストで は同機のノズルと制御表面の作動は甲板上225フィートで行い、迎え角を作り、主翼が揚力を十分発生させるようにすることで短距離発艦を実現する。計測装 置記録では発艦時に同機のノズルと艦との距離は十分あるという。
  15. STOテストの目標は海上での風力限界を確認し、マニュアル設定を決めることだ。離陸には3つのモードがあり、マニュアル、ノズル作動、自動STOだ。
  16. 艦 上テストには飛行制御の検証用に特化したBF-2とうミッションシステム系統データ収集用のBF-4が使用された。10月18日取材時点でBF-2はパタ クセントリバーに戻っており、BF-4が二回の垂直着艦と短距離発艦を実施していた。BF-2は以前にも燃料漏れの修理を受けている。その他修理も数回艦 上にて実施されており、タイヤのパンクがF-35開発で初めて発生している。ブリッグスによるとパタクセントリバーではタイヤ交換の頻度は艦上より高いと いう。
  17. BF-4では上部リフトファンの作動機構を艦上出交換しているとブリッグスは語る。同機では記者団が飛行甲板を去った時点で再び作動機構で問題が発生している。それでもパタクセントリバーよりは故障頻度は低いとブリッグスは明らかにした。
  18. 第 二派遣打撃グループ司令官K.スコット少将はワスプ艦上で得られた経験はF-35Cの艦上テストに活用されるという。パタクセントリバーは艦載用拘束着艦 のテストが続いている。ブリッグスによると新設計の拘束装置が検討されており、従来型では着艦ワイヤーをうまく捕まえられなかった。.
  19. ワ スプ艦上の公試はロッキード・マーティンが2011年に経費支払を受けるための条件5つのひとつ。昨年に同社は35百万ドル想定のうち7百万ドルしか受け 取っていない。海兵隊はF-35Bの初期作戦能力獲得を2015年とする意向だ。英国がB型の取得を見合わせる中、海兵隊とイタリアだけがB型を調達する ことになりそうだ。
イタリアも財政難で今後の調達をキャンセルするかもしれません。そうなると海兵隊だけが同型の運用をするのでしょうか。それ とも海上自衛隊に思わぬ期待が寄せられるのか。まもなく判明するF-X選定結果とも重なってくる話題ですね。しかし、本ブログの主張はF-35には手を出 さないことであるのは一貫していますが。

米海兵隊:太平洋に軸足を戻す


USMC Prepares For Pacific Mind-set

aviationweek.com Oct 27, 2011

米海兵隊はイラク・アフガニスタンでの活動を縮小する中、優先順位は太平洋に移す過程にあり、兵猟区の地上展開よりも遠隔地への部隊投入を重視する。海兵隊司令官J・エイモス大将Gen. James Amos, the Corps Commandantが語った。
  1. 以下は同大将が10月26日の外交問題評議会 Council On Foreign Relations主催のワシントン会合で語ったもの。太平洋は広大であり、重要性は否定できない。米国の対外活動の中心となる地域である。
  2. 太 平洋へのシフトは海兵隊にとって以前の状態への回帰に他ならないとエイモス大将は発言し、これまで70年近く維持してきた海兵隊の兵力遠征任務を再度重視 することだという。それでも近時は地上作戦に注力してきた海兵隊にとっては再編成が必要だ。「艦上作戦を重視していきます。また各軍との協調行動も必要で す。つまり、9/11以前の海兵隊の中心的な活動に戻ることです」
  3. 太平洋中心の任務を念頭に訓練課程を再編成するという。
  4. これに従い艦船修理能力も米西海岸に再編成の動きが出るだろう。米海軍が過去10年間で通常艦船修理に支出したのは125億ドルで東海岸、西海岸でほぼ均等であったと本誌は独自に分析。
  5. 海兵隊は情報活動能力の向上も求めていく。その手段として無線、無人機、宇宙配備装備に加えステルス作戦を太平洋、とくに中国領海を意識して展開していく。
  6. とくに中国が領土へのアクセスそのものを困難にする姿勢を取る中、解決策として海兵隊は特殊作戦軍団Marine Special Operations Command (Marsoc)に期待を寄せる。同軍団はすでにサイバー戦でその実効性を証明済みだ。エイモス大将は海兵隊総兵力削減の中でもMarsocは逆に増強す る構えだ。
  7. Marsocに加えSeals他の部隊は「究極の経済効果のある部隊」だと同大将は語る。極めて小規模の各部隊の運用で極めて大きな成果を実現できる。
  8. 海 兵隊が運用コンセプトの考え方を切り替える中、イラク・アフガニスタン以前の倹約策への回帰も求められている。「海兵隊は伝統的に質素な予算執行をしてき ました。そこに戻ろうというわけで、予算は今や大きな問題です。したがって必要な装備を要求していきますが、あったらいいなと思う装備は要求できません」


2011年10月22日土曜日

南シナ海がISR活動の重点地域になる


Recon Needs Grow For South China Sea Region

aviationweek.com Oct 20, 2011
  1. 米中両国はお互いに相手は味方になれるのか、やはり敵なのか測りかねている現状が続いている。
  2. 「中国の真意が理解できるのであればどんなにいいでしょう。中国は近代国家の形を取りながら軍事思想は4,000年のままで偽計が信条です。だから心配なのです。」(ブルース・カールソン空軍大将(退役)、現国家偵察局(NRO)局長U.S. Air Force Gen. (ret.) Bruce Carlson, director of the National Reconnaissance Office (NRO))
  3. 重大な関心が寄せられているのが中国の第四艦隊整備で海洋攻撃能力を備えた空母部隊、防空護衛艦、潜水艦、高速輸送船の編成だ。この新艦隊は中央軍事委員会直属の独立編成であり、戦略弾道ミサイルとならぶ中国の戦略部隊の位置づけだ。
  4. 「太平洋が安全保障上の主要舞台です。中国の交戦能力増強に対抗し、南シナ海全般の領有を主張する動きに対応するためにどんな能力が必要でしょうか。最近の出来事から同地域の各国間で緊張が高まっています。」(太平洋空軍司令官ゲイリー・ノース大将Gen. Gary North, commander of Pacific Air Forces)
  5. 「北朝鮮のは狡猾に我が国をだます努力を真剣に進めています。アジア太平洋地域の各戦闘部隊とは全面的な連絡体制を維持しており、北朝鮮の動きは逐一探知しています。また、グローバルホークやU-2でも同国の動向を把握する努力をしています」(カールソン局長)
  6. 米国は中国発の高性能軍事装備の輸出、北朝鮮からの核関連、ミサイル技術の輸出を案件発生ごとに追跡しようとしている。
  7. この関連で需要がたかまっているのが高性能の情報収集・監視・偵察(ISR)能力だ。この分野に次世代有人(無人)爆撃および攻撃機材が投入されるだろう。有人型は遠距離情報収集機としての活躍が期待される。無人機型はより詳細な情報を収集するべく領空内深くまで飛行する任務を実施する。サイバー探査cyberprobeや相手側のネットワーク構造解析がこれからのISR任務の重要な一部となり、情報収集の結果はリアルタイムで送信される。.
  8. 「情報活動の結果は共有が必須条件です。9-11の教訓で痛感されています。敵より優位に立つためには情報共有が必要です」(レティシア・ロング国家地理空間情報局局長Letitia Long, director of the National Geo-Spatial Intelligence Agency (NGA))
  9. ただ中国の問題は南シナ海だけではない。米軍各司令官は中国の太平洋、アフリカ出の活動拡大に中国の意図を感じている。アフリカでは高性能軍事装備の販売では中国はロシアよりは責任感を自覚していると米国は感じている。
  10. 「中国がアフリカ諸国を軍事装備で支援しているのは明らかですが、米中間の軍事来協力に匹敵する活動は見られません。たとえばコンゴ民主共和国に中国は河川パトロール艇を治安維持用に供与していますが、これは有益な効果を生んでいます。中国製航空機を運行する国も多くなっています。」(カーター・ハム陸軍大将(アフリカ軍司令官Gen. Carter Ham, chief of U.S. Africa Command)
  11. 対照的にロシア企業は最新鋭のSA-24歩兵携行対空ミサイルをリビアへ、SA-18をエリトリアに売却して、後者はソマリアの反乱部族の手にわたり、貨物機撃墜に使用されている。中国のリビア向け軍事装備売却の証拠は不明。
  12. 太平洋におけるISR能力の中心がグアム島アンダーセン空軍基地のホーク施設でノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク3機を常駐させている。今後はAESA電子スキャンレーダーを搭載したブロック40機材を配備することで能力増強が予定されている。配備は2014年予定でMP-RTIP多重プラットフォーム・レーダーを搭載する。
  13. 「合成開口レーダーで陸上、海上の移動目標の捕捉追跡ができることで指揮官の状況認識能力、適正な手段の選択能力が高まります。また、機材を周辺地点に配備する交渉をすすめているところです」(ノース大将)
  14. アンダーセン基地は同機の長距離飛行能力とグアムの地理的条件で理想的な選択だ。また海軍のMQ-4C無人機およびP-8パトロール機との統合運用をするにも理想的な位置だ。
  15. グローバルホークがグアムに配備されていることで韓国は同機の取り扱いを訓練することも可能だ。同国はグローバルホークを2015年から16年にかけて計4機導入検討中。
コメント あれ、日本のグローバルホーク導入はどうなったのでしょうか。