2012年3月22日木曜日

2020年代も今日の主力戦闘機はまだ稼動しているとの予測

Fighter Trends Change For 2020 And Beyond

aviationweek.com Mar 22, 2012                                                                 

近い将来の空軍力の姿は従来予想の多くとは異なってくる。F-35共用打撃戦闘機の大量調達は2020年代までずれ込み、現在の第一線作戦用機体の多くは2010年代全般でまだ使われるだろう。また現行機種が2020年代でも主力機種のままになっているだろう。
  1. ただし、技術的進歩や運用上の効率改善が停滞することにはならない。2010年代に引渡された戦闘機はその時点では最新鋭とはみなされないだろうが、よく見ると各機に重要な改善が加えられているのがわかるはずだ。
  2. そ の究極の例がロシアのSu-35Sだ。本誌が同機の原型Su-27の存在をスクープしたのが1977年出当時は西側はRAM-Kとして認識していた。推力 制御、飛行制御を完全に一体化し、広角レーダー、大型スクリーン式のコックピット、構造強化を施したSU-35Sはこのまま2030年代まで使用されるだ ろう。
  3. 新 型機に使われる技術が全部新しい内容とは限らない。アクティブ電子スキャンアレイレーダー、衛星通信、機内アクティブ電子戦(EW)装置、ヘルメット搭載 ディスプレイが登場してから相当の時間がたっている。各技術の価格が安定し、信頼性が向上し、性能が高度化したことに加え、コンピュータの処理能力が上が り、各装備を同時に稼働させることことも実現可能となった。これにより各国空軍は新装備導入に急ぐことになる。重要なのは戦闘力、生存性、攻撃威力、精密 性、生身の操作員を目標上空まで運ぶことである。ただ戦闘機には2つの意味で多様性が求められる。一つはミッション各種をこなすこと、多様な目標を相手に することだ。もうひとつが長年にわたり改良を加え稼働しつづけることだ。.
  4. こ の意味でシンガポール空軍のF-15とF-16は適合性の好例だ。両型とも純粋な空対空戦闘機として設計されたが、武装を変更して攻撃任務をこなすように なった。ロッキード・マーティン製のLantirnおよびSniper目標捕捉ポッドを搭載し、精密爆撃、近接航空支援(CAS)用以外に情報収集用の機 体にもなっている。ともにEW装備で自機防衛能力を向上させている。一体型年r表タンクを搭載し戦闘機としての能力と航続距離を両立させている。ロッキー ド・マーティンはシンガポール航空ショーでF-16V性能向上型新型機を発表しており、同機の使用期間はさらに延びるいきおいだ。
  5. 性 能向上の結果でミッションにも変化が生じている。両型ともワルシャワ陣営が運用する想定の大量の敵機に対抗すべく設計されている。エアランドバトル思想に より、F-15EとF-16のブロック30/40にはワルシャワ陣営の装甲車両と補給線を攻撃するため空対地精密攻撃兵器が追加されている。
  6. 今日の主流はCAS、哨戒飛行、情報収集・監視・偵察であり、戦闘機はよりいっそうネットワークの一部になる傾向があり、各種センサーや兵器類、通信装置が性能を語る際に重要性をましている。
  7. で はその先はどうなるだろうか。低価格化した空中早期警戒・統制を利用して、戦闘機の作戦投入の共通化が図られるだろう。ネットワーク化は大きな効果を生 み、敵の妨害に対抗することも可能だ。これから出てくる兵器には小口径爆弾性能向上第二計画、フランスのハマーおよび馬手オール空対空ミサイル等があり、 今日の機体の威力を増加させるだろう。さらに長期的にはネットワーク化は有人機と無人機の統合につながるはずである。

2012年3月18日日曜日

米中が電子戦開発急ぐ。シリアでは実戦投入か



China, U.S. Chase Air-to-Air Cyberweapon

aviationweek.com Mar 8, 2012

米空軍は航空機攻撃用のネットワーク兵器を開発中だ。
  1. ただ電子戦専門家ならこの技術は諸刃の剣となることを知っており、事実、政府高官によると中国はすでにこの方面の開発を精力的に進めており、一部は配備ずみといわれ、米国と同様のシステムで高価な早期警戒機、電子偵察機等を攻撃する能力の獲得を狙っている。
  2. 米 空軍の目標はサイバー手段による対航空機攻撃であるとノーマン・シュワーツ空軍大将(参謀総長)Gen. Norton Schwartzは公開の場で明らかにしたが、ハーバート・カーライル中将 Lt. Gen. Herbert Carlisle(作戦担当参謀次長)は米軍航空機に対して同様の脅威が存在しているという。
  3. アシュトン・カーター国防副長官はネットワーク攻撃技術を攻撃と防衛双方で利用して行く方針でペンタゴンのサイバー戦能力には不満があるようだ。
  4. 「ロ シアと中国はそれぞれ電子戦装備を設計しており、わが方の高価値目標を狙っています。電子攻撃はネットワークに侵入してウィルスを植えつけることで実施可 能です。目標となるシステムに侵入するため、通常は発信される信号をとらえることを目指します」(カーライル中将)   
  5. 中国軍は電子攻撃手段として地上配備型と航空機搭載型を取得しており、E-3AWACS、E-8ジョイントスターズはP-8海洋哨戒機を目標に想定していると同中将はいう。   
  6. 米 空軍は「サッター」システム “Suter” systemの実証を行っており、データストリームの中にアルゴリズムをもぐりこませ敵方の統合防空(IAD)システムにアンテナから侵入するのが目的 だった。このデータストリームはEC-130コンパスコール電子攻撃機内で作成され、敵のネットワークのレーダー画像を取りこみシステム管理者に成りすま しネットワークを乗っ取り、無線通信リンクを介してミサイル発射基地の制御が可能だった。敵のIADシステムの主力の変化はRC-135リベットジョイン ト通信情報収集機が担当した。
  7. こ の実戦配備型がイラクとアフガニスタンでコンパスコール機を使い投入され、携帯電話システムに侵入している。即席爆発物の作動に携帯電話が使われていた。 ただEC-130 は大型で低速の期待で高高度飛行ができず    対空ミサイルや    砲火に脆弱である。そこでネットワーク侵入装置の小型化が技術課題となりステルス機搭載が目標となった。
  8. F-22, F-35, EA-18G、 F/A-18E/Fといった新鋭機には新型の長距離アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーが搭載されており、電子攻撃・ネットワーク侵入機能 があると思われている。ただし、サイバー攻撃・電子攻撃用には別の種類の専用AESAアレイが適している。その例として無人機にはボーイングのChamp 巡航ミサイル、レイセオンのMALD-Jジャミングミサイルの他Mk-82爆弾を電子攻撃に転用する案がある。その他サッターのようなネットワーク侵入に 特化した体系の開発が進むだろう。
  9. 皮肉なことにAESAアレイは一方で電子攻撃システムとして有効距離、出力で有望だが、それ自体が電子攻撃の標的になる。AESA自体に弱点があることを意味し、今後検討が進むだろう。
  10. 仮 にシリアで作戦行動が展開されると、このような新兵器が実際に空軍により使用される事態が生まれる。リビアと比較するとシリアの防空体制はより慎重な対応 が必要とシュワーツ大将は認めており、シリア以外にも現地政府が『常軌を外れた』行動を示している各国も同様に注意しているという。

リビアから搬出された兵器がシリア、ヒズボラへ 心配な中東の軍事バランス

                             

Syria And Hezbollah Have Advanced Missiles

aviationweek.com Mar 9, 2012

リピアの兵器庫から行方がわからなくなった世界最先端の対空兵器が中東の内覧分子の手にわたっている恐ろしい可能性がある。
  1. 少なくとも480発の高性能SA-24グリンチ携帯ミサイルがリビア動乱中に消失していたが、イスラエル国境地帯に出現したとイスラエル情報筋は明らかにした。
  2. この高性能兵器はリビアからイランに移動し、そこから一部はシリアへ、またレバノンのヒズボラ勢力のも手に渡った。その他エジプトとガザ地帯のハマスにも引き渡されている。イスラエルはここまで動きを掴んでいるが、実数は把握していない。
  3. ロ シア製のSA-24は最新鋭、携帯型防空システム(Manpads)で高度11,000フィートまでを飛行する、航空機、ヘリコプター、無人機全部に脅威 となる。米国関係者もリビア所有の武器がヒズボラとガザに移動していることを確認。ただし、SA-24については不明とした。リビアの兵器庫では空の格納 容器が見つかっている。
  4. た だし同ミサイルの威力について意見がわかれている。脅威とする見方の一方、同ミサイルが戦場で使用された事例は少なく、リビアでも戦闘の行方を左右するこ とはなかった。電子戦専門家は同ミサイルの脅威を和らげる方法をすでに確立している。実際に英軍のWAH-64アパッチ攻撃ヘリがSA-24の発射を受け たが、被害を出していない。
  5. イ ラン、シリア、ヒズボラ、ハマスは長年にわたり情報監視偵察情報の共有ならびに兵器共用をしている。シリアのレーダー情報、通信、情報統制、指揮命令シス テムは最近ロシアにより性能を向上させており、西側航空機がイラン方面に接近する前に早期警戒情報を出すことが可能だ。イランは2006年のレバノン紛争 でヒズボラを支援するため通信情報収集活動をシリア国内で展開している。実際にはイスラエル通信内容が傍受されたり解読された形跡はないが、携帯電話の通 話状態を監視することでイスラエル軍の集結地点のヒントが得られ、通報していた可能性がある。
  6. 米 国情報機関筋はシリアのシステム性能向上は誇張気味であるとする。同様にイラン防空網を突破し、ミサイル施設核開発施設の破壊に必要な所要期間についても 流布している観測は現実的ではないとする。退役米空軍参謀総長のひとりが任務達成には3日あれば十分と発言している。これに対し、イラン防空網の制圧だけ でもそれより長くかかると反論がある。とくに交戦の最初の数日間のイランの行動次第でこの期間は変動するという。最近の紛争では敵勢力は一部施設を意図的 に使用せず、その後の攻撃に対し温存する傾向がある。
  7. イ スラエルの評価はシリア防空網の性能向上は低周波レーダーの導入が要因ではなく、SA-17グリズリーミサイルの配備によるものとしている。二ヶ月前にシ リアがSA-17を展示しており、無人機含むすべての航空機にとっては脅威だとする。同ミサイルの有効範囲は高度100フィートから82千フィートで射程 は2マイルから26マイル。
  8. ま た、米国とイスラエルはイランからの兵器搬入を追跡しており、レバノンのべカー渓谷に運ばれていることを探知した。当初はシリアのミサイルが貯蔵されてい ると思われたが、実際はリビアの兵器がヒズボラの手に渡っていた。SS-21を除くシリア所有のミサイル各種がヒズボラに譲渡されたとのイスラエル情報が ある。SS-21スカラブは120キロメートル有効射程の弾道ミサイルである。ハマスともにイスラエル攻撃用の長距離ミサイルを手に入れようとしており、 独自開発の8インチミサイルが試射されガザから地中海やシナイ砂漠に到達していることがレーダー追跡で判明している
  9. 更に憂慮されるのがリビアから持ち出された大量破壊兵器(WMD)となる化学製品が闇市場で取引されている可能性である。実際にシリアの化学兵器保有量は世界第四位規模で米国イスラエルともに注視している。ヒズボラ、。
  10. た だしヒズボラにWMDを使用する能力があるとは見られていない。西側にはシリアが相当量の化学兵器を貯蔵しているが、これが内乱分子の手に渡る可能性があ ると判断された場合にイスラエルが軍事行動の行使を迫られるのではとの観測がある。その際の行動の選択肢として強襲作戦で弾道部を除去するあるいは貯蔵兵 器を破壊することがあろう。.
  11. シ リア国内の騒乱でひとつ不明な要因に同国の体制変化でイランにどんな影響が出るかという点がある。結果次第でイランが直接対話を迫られることもありうる。 あるいは核兵器開発を一層加速することもありうる。明らかなのはシリアの体制次第でイランからヒズボラへの物資供給が遮断されうるということだ。
  12. シリア国内情勢の影響でイランはイラクに対する圧力を強める可能性もある。イラクにはシリアを失うとイランにとっては戦略的損失となり、逆にイラク国内での影響力拡大に乗り出すのではとの懸念がある。
       

2012年3月17日土曜日

LRS-B新型爆撃機を巡る話題

                             

Enthusiasts Call For More, Faster US Bombers

aviationweek.com Mar 14, 2012        

次 期主力爆撃機に関し米空軍から100機程度の調達構想が出ているが、積極派はもっと多くの機数が必要との主張だ。現役中は偵察部隊を率いていた退役空軍中 将デイブ・デプチューラDave Deptulaは200機規模の爆撃機フリート調達は困難ではないとし、海外展開部隊10ケに各12機編成の飛行隊を配備し、その他戦略抑止力ミッション や消耗補充用の機体数を想定している。調達数を拡大すれば現行のB-1、B-2、B-52 のすべてを交代させられるばかりでなく、生産構造を整備しながらブロック別に性能向上を図るのが可能となるという主張だ。
  1. 航 空兵力の専門家レベッカ・グラントRebecca Grantは2月に新型爆撃機の必要性を訴える報告初の中で超音速ダッシュ飛行能力が必要と主張し、そのために可変サイクルエンジンの開発が求められるが 全方面ステルス機ではタブーとされる垂直尾翼のない超音速機はまだ存在していない。
  2. こ ういった推進派と控えめな調達で十分と主張する派の間で今後数年間にわたり論争が予想される。ゲイツ前長官then-Defense Secretary Robert Gatesにより知られるようになった「80%解決策」構想だが、多数の大規模国防装備で悩ましい状況が生まれている。
  3. 実 際には空軍にとって2011年のゲイツ長官および統合参謀本部議長(当時)ジェイムズ・カートライト海兵隊大将Gen. James Cartwrightの退任が新型爆撃機取得に大きな向かい風となっている。そもそもゲイツ長官は2009年に次世代爆撃機開発計画を打ち切っている。ま たカートライト大将はし空母搭載型の無人機を爆撃機の代替手段として主張していた。
  4. これに対しオバマ政権は今年1月に長距離打撃爆撃機 (LRS-B)こそ接近阻止領域拒絶(A2AD)対策の鍵であるとして持ち上げ、大統領署名で本計画を同政権が続く限り安泰な存在にしている。
  5. これこそペンタゴンがステルス技術があれば最強の脅威も敵ではないと考えている証左であり、このうらには2008年からはじまっているノースロップ・グラマンによる超ステルス無人機(UAV)開発の進展があるのであろう。
  6. こ の新型UAVとLRS-BはLRSファミリーの一部で、そのほかにUAVからの電子攻撃が加わる。生存の鍵を握るのは敵のレーダーの位置を探知範囲外から 探り、妨害することだ。高性能ステルス機を発見するレーダーが今後開発されたとしても対抗は十分可能と考えられている。
  7. このUAVはステルス性を維持したまま広範囲を探知してレーダー出力も絞ったまま作動できる。有人機には搭乗員による操作と通信機能が期待できる。無人機と共同運航することで通信喪失の危険を減らすことが可能だ。
  8. 爆 撃機再浮上の背景に敵対勢力がA2AD戦略を展開し、米軍の地域介入を阻止しようとしている事実があるる。中国の「空母キラー」DF-21対艦弾道ミサイ ル(ASBM)がこの脅威の象徴だASBM発射台は移動性あり、その他地対空ミサイルも移動により長距離ミサイル攻撃から防御性を高める。双方とも友軍に 脅威となるため、攻撃力の評価を迅速に行い、破壊することが肝要だ。LRS-Bの想定する目標となる。
  9. 指 向性エネルギー兵器(DEW)を防御手段として新型爆撃機に搭載する選択肢もある。ただし現時点では実用的な水準の電磁波あるいはレーザーによるDEW装 備品の確保はできていない。だが、DEW技術が飛躍的に発展しており、距離、威力、出力、冷却特性、重量全てで成果が出ているので、爆撃機の新しい防御手 段になる可能性はある。敵ミサイルの接近を拒み、誘導手段を妨害することができれば機内搭載型のDEWが初めて実用化されたことになる。
  10. 2013年度予算要求でLRSに想定されるのは292百万ドル。さらに2017年にかけて総額63億ドルとなる。機体単価の目標値は550百万ドルだ。
Boeing Concept

2012年3月11日日曜日

イラン攻撃はエアシーバトル使用の想定

Clash With Iran Could See Use Of Huge Bomb 

aviationweek.com  Mar 9, 2012                                  


米空軍はイラン核施設攻撃の場合は3万ポンド(13.6トン)のバンカーバスター爆弾を投下しコンクリート200フィートを通貫させて爆発させることを狙う。同爆弾は昨年に納入されたばかりだが、イラン他、地下施設の攻撃用に準備した兵器の一部。
  1. ペンタゴンは制裁措置や外交手段が失敗しイランの核兵器開発が継続される事態を想定して軍事手段の検討を開始している。
  2. 世界主要国はイランの核濃縮の進展に懸念をもち、核兵器製造の一貫と見ているが、イランはあくまでも原子力平和利用であると主張。
  3. イスラエルはイランが核兵器を取得する事態を看過できないとし、ネタニヤフ首相は国連制裁と外交手段の段階は終わりつつあると発言している。
  4. これに対しパネッタ国防長官は外交措置に一層時間が必要であるとし、イスラエルが高リスクでイランの核施設を攻撃する決定はまだしていないと見る。
  5. 同長官はイランによる核兵器取得は防止するのが米国の立場とし、仮に米国が武力行使が必要と決断すればイスラエル以上の打撃力を行使するとも発言。
  6. 空 軍参謀次長(作戦担当)H.カーライル中将Lieutenant General Herbert Carlisle, Air Force deputy chief of staff for operationsはシリアあるいはイランを相手とする軍事行動にはエアシーバトルとして知られる新しい戦術思想が影響を与えそうだと語る。この考え方 では米軍各部隊の高度な情報ネットワークによる運用を最大限活用する。
  7. カー ライル中将は空中、海上、宇宙、サイバー空間を全て使い、各方面の情報をネットワークでつなぎ活用するため衛星やステルス戦闘機や無人機のセンサーから情 報を提供するという。イラン、シリアで防空網が整備されており、攻撃部隊の侵入を阻止する体制になっていることを意識し、これがエアシーバトルの想定した 条件に合うという。
  8. また両国大将の作戦ではサイバー空間が重要な要素になるだろうと予見する。作戦実行が決断されればすべての利用可能な手段の行使が現実になるだろうと見る。

2012年3月4日日曜日

対イラン作戦の鍵を握るシリアには要注意---イスラエルは単独で攻撃に踏み切るのか

Syria Key To Iran's Defenses Against West

aviationweek.com Mar 2, 2012                                                                 

イランの核開発施設がもし米国あるいはイスラエルによる空爆を受けるとしたら、攻撃側・防衛側双方の計画立案段階でシリアとレバノンの長距離偵察情報収納力の存在を考慮しておく必要がある。
  1. ロシアがシリアの早期警戒能力の改修をレーダー・通信面で完了した所で、レーダー有効範囲は二倍になり、監視範囲は地中海東部全域のイスラエル、ヨルダン、サウジアラビア北部をカバーしている。
  2. 今回の性能改修工事によりシリアへの主要航空接近ルートの大部分に加えイランへの接近ルートも監視対象に入った。イスラエルがイランを攻撃するためにシリア、トルコ、ヨルダンまたはサウジアラビアの領空を飛行する必要があると見られている。
  3. さらに中長期的にはシリアとイランの協力関係も考慮する必要がある。すでに両国は技術交換に加え情報集結果も共有しており、2006年にはイスラエルと戦うヒズボラ戦闘部隊に通信傍受結果を提供している。
  4. シ リアの現政権バシャ・アル-アサド大統領Bashar al-Assadが仮に崩壊するとしたら、米国あるいはイスラエルによるイラン攻撃の実行には相当の混乱が生じるだろう。逆に言うとシリアは早期警戒機能 を提供できる。2007年にイスラエルは探知されずに攻撃部隊をシリア上空に投入し、シリアが北朝鮮の援助で建造中の原子炉を破壊している。この際にシリ アの防空レーダーはイスラエル機が空域を脱出するまで機能を停止していたと米情報機関筋は語る。
  5. ロ シア人技術者がダマスカス南部の電子情報監視施設の性能向上工事を完了した。今や探知範囲はイスラエルからサウジアラビア北部まで広がっているという。さ らに標高8,600フィートのサニン山Mount Sannine頂上にレーダー基地が設置され、情報収集網と接続された。同地のリゾート開発は2007年のイスラエル奇襲攻撃以降中止になっている。同山 からはヒズボラとシリアが支配するべカー渓谷とイスラエルが占領するゴラン高原が見渡せる。
  6. 同時に米国とイスラエルの東地中海における海軍作戦状況、飛行状況を追跡できる。キプロス(米国は常勝収集施設を設置)とギリシアも監視できる。
  7. 今回のロシアによる改修工事はかねてからイランがロシアによるリアルタイムの警告情報に対する信頼に綻びが出ていたため実施されたものだ。
  8. こ れに対し米国政府は外交手段を使いイスラエルによるイラン攻撃の予防につとめているが、デンプシー統合参謀本部議長Gen. Martin Dempseyはイスラエルにイラン攻撃により中東が戦場になる可能性を考慮するよう話していると発言。ただし米国が攻撃を実施した場合はイスラエル、ア メリカ寄りアラブ諸国への打撃は少なくなると見ている。その際の攻撃はより広範囲な中東地域への介入の一部として実施され、シリアへの軍事介入も含まれ る。
  9. 攻 撃を実施してもイラン核施設の完全破壊はできず、5年から10年開発を遅らせるのが現実的と見ている。その作戦期間は3日間でその間の損失は最小限に抑え られるという。イスラエルも単独でウラン濃縮および原爆製造を遅らせることは可能だ。さらに同議長は攻撃部隊は米国あるいはNATO加盟国から発進し、ピ ンポイント攻撃を加える戦術を予想。その後は地上部隊の投入を回避するため外交交渉に入る。イスラエルに対しては単独攻撃は難易度が高いので踏み切らない と見る。イスラエル国防情報部はイランはウラニウム220ポンド近くを20%まで濃縮していると見ており、原爆4個の製造が可能だ。1年以内に原爆の完成 が可能と見ている。.
  10. 秘 密工作の世界に詳しい米国関係者はイスラエル国防軍は単独攻撃の準備ができていると見る。イスラエルは作戦計画をすでに完了しており、演習も行なっている 可能性がある。シリア核施設の事例よりも今回ははるかに攻撃困難な目標であるが、イスラエルは作戦実施能力があるという。問題はイラン側施設の弱点がいつ 情報部がつかむということだろうと同関係者は見る。

コ メント 要はイスラエルの動きが米国でも見えにくいということですか。中東地区の安定はすでに綻びが出ているのですが、さらにリスクを増やしてその挙句核 開発能力そのものを排除することは不可能であれば、非常に高価な作戦になりますね。シリアの微妙な位置関係が気になるところですが、作戦は迅速かつ短期間 に終わるでしょう。

2012年3月3日土曜日

ブルーデビル2飛行船の完成近づく

Blue Devil 2 Still Afloat

UAS Vision http://www.uasvision.com/より
                   
                        March 1, 2012                   
                                            

全長370フィート(123メートル)、容積1.4百万立方フィート(37,000m3)のMav6社のM1400通称ブルーデビル2は最終組立工程に入っており、飛行船メーカーTCOMのエリザベスシティ(ノースカロライナ州)のハンガー内で作業が進んでいる。

ブ ルーデビル2は連続216時間(9日間)の滞空を2万フィートで行い、多用途ISR装備を搭載し、36平方マイルを一度に監視する構想だ。現在の広域空中 監視機(WAAS)では16平方マイルが限界だ。9日間の滞空時間は実際には配備を想定するアフガニスタンの環境条件・搭載ペイロード、風速、温度、大気 圧により変化する。

同飛行船はダクト付きプロペラ二基を搭載し、後尾に操船用エンジンもある。動力はすべて310馬力ディーゼル発電機による120KVA電力だ。最大対空速度は90ノット。
Power Car with 310 HP Thielert Diesel engines (covered in plastic)

同 飛行船はゴンドラ状のミッションモジュールを搭載する。ミッション別のゴンドラが搭載するセンサー類は10ないし40個で電子光学センサー(広域空中監視 用マルチセンサー、マルチスペクトル装置含む)、高解像度動画ビデオカメラ、合成開口レーダー(SAR)、地上移動目標捕捉(GMTI)レーダー、通信装 置、データリンク、高出力スーパーコンピューター(画像処理、保存、再生、情報共有用)がある。

機 内でのデータ処理によりブルーデビル2は最高水準の解像度と詳細な画像情報を帯域を増加させずに撮影することができる。機内でのデータ処理以外に広帯域 データリンクにより画像情報をそのまま情報統制ハブに送信できる。情報機関等は映像の実況中継やオンデマンドの画像提供を15秒以内に既存のRover他 戦術情報ネットワークを介して入手できる。別のゴンドラには4時間で交換できる構造になっている。

Mav6 CEO Dave Deptula at the Controls

同飛行船は無人モードでUHF衛星通信により地上の司令センターから操作される。ゴンドラが2,500ポンド(1.1トン)の場合の滞空日数は5日間で、ペイロードを7.500ポンド(3.4トン)に増加すると3日間連続飛行が可能だ。

コメント 空軍でISRの責任者だったデプチュラ中将はこの会社の経営者になっていたんですね

F-35の運用コスト削減を求める米空軍

                             

USAF Reducing Possible JSF Basing Locations

aviationweek.com Mar 2, 2012

米空軍はF-35の配備基地数を減らし、ライフサイクル費用を低減する方策を展開する。
昨年にペンタゴンが発表した同機の50年間にわたる運用費用は一機あたり1兆ドルで、これを見た米海軍、空軍はじめ運用を予定する各組織の間に懸念が広がった。その余波で各部隊は運用計画を見直し、運用・維持コストを抑制することを検討している。
  1. 空 軍参謀総長ノートン・シュワーツ大将は原案ではF-35Aの運用基地を40箇所以上想定していたが、30台前半に抑える意向だという。一方で同大将は50 年間の運用費用見積もりを重視しておらず、通常はここまで長い運用想定での試算はしていないためだという。同機配備基地を削減するのは空軍のインフラ設備 を最大20%削減するべく基地閉鎖を進める方策とも一致する方向だ。
  2. その反面、運航維持コストの削減策では民間にウェポンシステムの維持管理を委託しているCLS(Contractor Logistics Support)の費用が高いことが問題視されており、維持費用の削減の中で見直し対象となるだろう。
  3. また同大将はF-35Aの飛行がエグリン空軍基地(フロリダ州)で来週にも再開すると発表。同基地の9機は飛行停止状態になっており再開を待っている状態だった。2月28日に空軍航空システムズセンターが飛行可能証明を出したことによるもの。
  4. シュ ワーツ大将によるとF-35AとBは米空軍テストパイロットと海兵隊テストパイロットがそれぞれ飛行するが、パイロット教官向けの教導課程内容をまとめる べく飛行内容を増やしていく。最終的には空軍教育訓練センター司令エドワード・ライスJr.大将Gen. Edward Rice, Jrが同機の正式な訓練運用を許可する予定。

2012年2月26日日曜日

敵防空能力の向上でISR機材の対応も当然変化する

                         

USAF Plans Wrestle With New Lethal Airspace

aviationweek.com Feb 24, 2012    

米空軍は将来への備えとして宇宙空間とサイバー空間を活用し情報収集監視偵察(ISR)作戦を展開する計画を有している。この背景にはサイバー侵入事件の9割が情報収集目的で行われている事実がある。
  1. た だし、短期的にはISRは国防予算削減と運用上の再評価の対象となっており、とくにアフガニスタン作戦の縮小で顕著になってでる。そこで敵性国家が接近阻 止領空侵入拒否anti-access and aerial denial (A2AD)のための兵器・センサー類を運用する難易度が高い空域での作戦運用をどうするかが検討の中心になっている。
  2. そ こで高高度長距離飛行が可能なISR機材に批判の目がそそがれている。「高度を稼げば生存可能性が高まるのか、それとも現行のコンセプトにこだわることで 情報収集能力が飛躍的に向上する可能性はあるのか」とラリー・ジェイムズ中将Lt. Gen. Larry James(空軍副参謀長、前国家偵察局電波信号情報収集部長)は問題提起する。「まだ決定的な答えはありません」
  3. また空軍は小型無人機が高密度防空体制で有効性を発揮できるかを検証する。「超小型機や遠隔操作機を多数投入することでそのような環境の中で有効な情報が得られるでしょうか。まだこれを見極めなければ答えが得られません」(同中将)
  4. この分野の検討ではグローバルホーク、U-2、機体搭載レーダー、ISR基地、次世代無人機が関連してくる。敵防空網を突破し長期間戦闘空域に滞空できるステルス機の配備の必要性は今のところ弱くなっている。
  5. 「防 空網に侵入することは可能でしょうが、長時間の滞空はできないでしょう。別の方法で対象空域の監視ができるシステムとして宇宙空間やサイバー空間を考えて みることがよいのではないでしょうか。あるいはセンサー能力を引き上げれば敵の有効射程の外から探知が可能になるかもしれません。すべてをひとつの機材に まとめる必要はないと思います。そこで現在は画期的な新技術を検討する段階にあるのであり、たとえば極超音速機をISR機に利用することも考えています が、肝心の技術がまだ実用化されていません」
  6. ス テルス無人機MQ-Xの開発は予算削減で実施されないことになった。「海軍がこの分野で義技術開発中です。その結果を待って空軍として次世代機の開発の行 方を決めたいと思います。プレデターCアヴェンジャーを試験評価用に利用します。」(ジェイムズ中将) その結果と既存のリーパーの改修結果が新型機の決 定につながる。
  7. 地 上走行目標捕捉技術をE-8Cジョイントスターズ空中レーダー機とグローバルホークのブロック40に搭載することが2014年度国防予算案で検討される。 さらに特殊任務用途機を運用する空軍第55飛行隊も関心の対象となっている。同飛行隊はRC-135リベットジョイント、コブラボール、コンバットセント を運用している。「特殊任務の内容から機材とセンサー類でベストの選択を考える分析作業が進行中です」(ジェイムズ中将)
  8. グローバルホークのブロック30開発を取り消して有人U-2機の運用を延長する決断は今もペンタゴン内部で自問自答されている状態だ。このこととRQ-170一機をイラン領土内で喪失したことの関連はないとジェイムズ中将は語る。決定的な要因は性能価格比だという。
  9. 「昨 年のことですが、統合参謀本部は高高度運用要求内容でU-2とグローバルホークを対象に変更を行いました。その結果、U-2は要求性能を満足できることに なりました。センサー能力ではU-2は電子光学と赤外線センサーで優れており、電波信号の収集能力も優秀です。そこでグローバルホークのかわりにU-2に 資金投入することになりました。U-2は2020年代以降も使用します。同機のコックピットを与圧式に改造します。」(同中将)
  10. それではできたばかりのグローバルホーク運用施設はどうするのか。「グアムとイタリアに施設がありますが、施設撤去を計画しているところです」と同中将は明らかにした。

2012年2月25日土曜日

韓国FXでF-35引渡しの懸念を否定するロッキード・マーティン

Lockheed Dismisses Korea F-35 Schedule Issue
aviationweek.com Feb 22, 2012    

ペンタゴンがF-35の中期調達機数を削減する決定をしたが、韓国が求める2016年初頭の引渡し開始に影響はないとロッキード・マーティンは強調。
  1. 現在の同社生産能力は年間48機でこのうち米国向けが30機なので、残りのスロットから3機を韓国向けに振り向ければよいとし、その他日本、トルコ、イタリア、ノルウェー向けに振り当てるという。
  2. 韓国の次期戦闘機選定F-X3ではF-35Aの他にボーイングF-15サイレントイーグルのほか欧州からの競争相手も加わる見込み。
  3. ロッ キード・マーティンにしてみれば海外販売が増えればF-35生産量を拡大でき経済効果が期待できる。
  4. ただし同社は航空機の米国における配備の前に海外向け 輸出を禁じる条項の適用除外を求めた上で韓国向け商談を進めるだろう。米国政府は日本向けにはすでに適用を放棄する承認ずみなので韓国向けにも同様の判断 が下る可能性は高い。

2012年2月19日日曜日

中国パキスタン共同開発戦闘機JF-17複座型




Avic, Pakistan Working On JF-17 Two-Seater

aaviationweek.com Feb 16, 2012        

中国Avic傘下の軍用機部門の成都工場で複座型JF-17の開発がパキスタン航空産業複合体との共同体制で進んでいると中国の業界筋が明らかにした。       
  1. 同機は訓練、実戦両用に対応可能だという。ただし戦闘機としては単座型の水準より劣る。JF-17はパキスタン空軍向けに生産が続いている。100機が納入される予定だと   
  2. 実際には同機開発は契約を取り交わす段階までの成熟はしておらず、納入開始がいつになるか不明と中国の航空業界筋は語る。単座型開発の段階で複座型の想定もあったようだ。
  3. JF-17の輸出には中国空軍の発注と了承が大きな支えになっているが、JF-17の性能評価は中国空軍でまだ完了していない。すでに開始後3年ないし4年経過しているとい   
  4. JF- 17は別名FC-1Xiaolong小龍といい、比較的小型の機体である。(自重9.1トン) 搭載エンジンはロシア製推力19,200ポンドのキーモフ RD-93でMiG-29搭載のRD-33の派生型。JF-17のセールスポイントは西側戦闘機よりも大幅に安価であることだという。   
  5. 成都航空機工場はAvicエイビえーションテクニーク(AAT)の一部門で軍用機、練習機、無人機およびミサイルを生産する施設を有し、以前はAvic Defenseと呼称されていた。   
  6. 同社のもう一つの輸出製品がL-15練習・軽攻撃機で、これも中国空軍の発注が大きな助けになるだろう。同機の生産は南昌で行う。L-15は亜音速機だが超音速型も設計されているという。海外では軽攻撃機として販売する意向だ。       
  7. 中国国内ではJL-9というMiG-21派生型との競合になる。同機はマッハ2飛行が可能でAATの貴州航空機が生産する。       
  8. AAT社長Wang Yaweiはアフターサービスが同社の弱点と認識しており、対策を講じようとしている。同じことはAvic傘下の各社でもよく聞こえてくる。        .

       

次期爆撃機は200機規模の調達になる可能性

New Bomber Force May Need 200 Aircraft
aviationweek.com Feb 17, 2012     By David Fulghum , Amy Butler Washington, Washington

米 空軍は、過剰性能の設計となり調達機数を縮小したB-2の経験から、次期長距離打撃爆撃機Long Range Strike-Bomber (LRS-B)では同じ過ちはくりかえさないとしている。B-1,B-52の代替配備を想定して最初から200機程度の調達規模になる可能性もある。
  1. 問題は新技術の導入を図りながら、予算不足や政治的な影響を排し規模縮小や計画の打ち切りをいかにして回避するかだ。B-2では生産停止をあまりにも早期に決定したため機体単価が20億ドル以上に高騰した。
  2. 2013 年度予算要求はLRSに292百万ドルを計上している。2017年までの合計は63億ドル。ペンタゴンでは機体単価は550百万ドルを目標としているが、 業界ではこれはあまりにも楽観的と見る。レオン・パネッタ国防長官Leon Panettaも空軍に対して極秘プロジェクトの予算縮小を求めている。
  3. 「過剰設計の期待になることを回避すべく全力をつくします。適正性能の機体として発注する意向です」(ノートン・シュワーツ空軍参謀総長)
  4. シュワーツが求める同機の納入開始は2020年代中頃で、情報収集、電子戦、機外センサー類へのリンク機能が可能な機体と想定。ステルス機として敵の防空網を突破できる性能でありながら、機体価格は大量調達が可能な水準とする。
  5. そ こで調達機数の想定が問題となる。空軍は80から100機を要求しているが、運用上の効果を発揮するにはその二倍の機数が必要との分析結果がある。「有効 な抑止力として機能するためには200機近くは必要です。むしろ機数はたくさん必要です。」(Washington Security Forum刊行「新型ステルス爆撃機」報告書著者レベッカ・グラントRebecca Grant)「信頼性を生むのは機数の多さです。」(空軍航空戦闘軍団前司令官ジョン・コーリーJohn Corley大将(退役) 一方、グラントは無人機版、有人機版の違いは重要ではないという。「ペイロードが4万ポンドで機内搭載燃料、機体自重に乗員と コックピットモジュールのある有人機にはそれなりの価値があります。新技術の応用も期待できます。たとえば非運動エネルギー兵器として高出力マイクロ ウェーブ兵器、レーザー、電子攻撃手段が想定できます。」「サイバー偵察・攻撃も期待できます。新型爆撃機には目標探知、攻撃能力が必要で、自ら電子攻撃 効果を確認することも求められます」(コーリー) 
  6. 「今 後40年間にわたり供用に耐える機体には新技術を積極的に導入すべきです。少なくともレーザー兵器は必要でしょう。また新型爆撃機が投入されるのは情報戦 闘空間です。ここではまだ我が方の軍用機で十分成功した実績はありません。通信装置では機体間の交信にくわえISR情報の交換が求められます。その実現は 大きな課題です』(グラント)
  7. またB-2よりも大きな飛行速度が求められる。
  8. 「ステルス爆撃機にはスピードが必要です。F-22では超音速ステルス戦闘機を実用化しました。緊急時に超音速飛行が可能なステルス爆撃機の開発はアメリカなら可能でしょう。これも技術上の課題です。」(グラント)
  9. 「さ らに高性能ステルスが必要です。防空網は進歩し続け拡大しています。中程度の防空網でも大きな問題になります。2003年にイラク軍は合計3,884発の 地対空ミサイル(SAM)を25日間農地に発射しており、移動式SAMの66%は発見できませんでした。コソボ紛争(1999年)ではセルビア軍は78日 間で894発のSAMを発射しています。今後はもっと申告になるでしょう」(グラント)
  10. 「将 来はもっと高性能の対空ミサイルとしてロシアのSA-20やSA-21と同程度の兵器が登場するでしょうし、防空網の機能そのものも今まで出現したものよ りも高度になるでしょう。アジア太平洋の敵性国家の戦闘機も心配な要因です。』(グラント) 24時間体制で攻撃できる「どこにでも出現出来る機体、情報を処理出来る機体」が必要なのだという。

2012年2月12日日曜日

ロッキードはF-22後継機種の技術検討中か

防衛関連のブログとしてかねてから注目しているThe DEW Lineに以下の記事がありましたのでご紹介します。掲載の図はロッキード・マーティンのカレンダーからの転載のようですが、よく見るとF-22をデフォルメしただけのような...

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PICTURE: Lockheed reveals concept aircraft for post-F-22 replacement

By Stephen Trimble on January 4, 2012 9:22 PM |



ロッキード・マーティンの2012年カレンダーにF-22後継機種となる第六世代戦闘機として同社が初めて公表する想像図が入っているのを遅まきながら発見した。

米 空軍はすでにF-XとしてF-22後継機種の2030年以降の配備計画を開始しており、ボーイングノースロップ・グラマンからはそれぞれ概念図を示して いる。ただし、ロッキード・マーティンの概念設計は謎に包まれていた。概念設計機と試作機の設計図は混同されない中尉が必要だが、設計思想や前提条件が見 えてくるのは確かだ。

そこでロッキードに今回の概念スケッチの裏にある設計思想について聞いてみたところ、以下の回答が電子メールで寄せられたので全文紹介する。

今 回発表した想像図は当社の高度開発計画グループ通称スカンクワークス®が出所です。スカンクワークスの第一の役目は次世代技術を積極的に追求し研究開発に より顧客の求めに迅速に対応できるようにすることにあります。米国の第五世代戦闘機は現在F-22が米空軍で実戦配備にあり、まもなくF-35が米空軍、 米海軍、米海兵隊および国際共同開発国で配備される見込みです。第四世代戦闘機(F-15,F-16,F-18)と同様に第五世代機も今後発展を続け、供 用期間を通じ性能向上を受けていくものと思われます。これにより各機は今後数十年間にわたり性能を発揮していきます。それとは別に次の大幅な性能向上につ ながる技術を求め次世代戦闘機(初期作戦能力の獲得は2030年以降)の実現を開始するべき段階にあります。機体からパイロットを取り除く、あるいは探知 特性や航続距離を徐々に改良していくのでは性能を画期的に向上するのは不可能です。第五世代機ですでにこの改良は検討されています。
次期戦闘機の性能要求はまだ定まっていませんが、2030年を想定した脅威の評価により左右されるでしょう。速度、航続距離、現地待機時間、多スペクトラ ムでのステルス性、常時状況把握機能ubiquitous situation awareness、機体・システムの自己修復機能self-healing structures and systems などを次世代戦闘機で実現したい技術と見ています。さらに次世代戦闘機は画期的な性能として推進動力、素材、発電能力、センサー類、兵装それぞれで想像力 をフルに活用する内容を盛り込みます。当然、大規模な投資が研究開発に必要ですが、当社は可能性ある技術の調査・実証を継続するとともに当社顧客と密接に 将来の運用概念や要求性能を再定義し、次世代戦闘機でこれを実現していく所存です。


ラプター生産完了

            

The Last Raptor   

Air Force Magazine, February 2012        By Marc V. Schanz, Senior Editor
       
                             
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.F-22最終号機(第4195号機)、ロッキード・マーティン社マリエッタ工場にて。(Lockheed Martin photo by Damien A. Guarnieri)

2011年12月13日、F-22最終号機(通算187号機)がロッキード・マーティンのマリエッタ工場(ジョージア州)でロールオフした。これで世界初の第五世代戦闘機の物語に一つの幕が下ろされた。
  • 一 号機が飛行部隊に配備されたのが1997年、その後15年かけ各機がこの生産ラインで念入りな生産をされてきた。最終号機は第525戦闘機中隊(エルメン ドーフ-リチャードソン合同基地、アラスカ州)に配属される。生産ラインからのロールオフのあとで同機はマリエッタ工場内で燃料を注入され、ロッキード・ マーティンのテストパイロットによりエンジン点火される。
  • 空 中戦闘軍団によると、同機は一連の標準飛行検査を受け、レーダー断面積測定をおこなってから引き渡される。生産の最盛期は2005年で合計5,600名の ロッキード・マーティン社従業員が全米各地でラプター関連の業務に従事していた。当初は750機調達の計画だったが、その後規模は縮小を繰り返した。
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フライトラインへ移動するラプター最終号機。


  • 米 空軍との契約により、ロッキード・マーティンは3,000点に及ぶ生産設備・工具類を保存するが、最終号機の生産完了で同社は設備の解体、梱包作業に入っ ている。各工具はRFIDタグをつけて個別認識されてカリフォルニア州シエラの陸軍施設で必要が生じるまで保存される。
  • 部品メーカーやサプライヤーまで入れると最大95,000名が同機生産に従事していたという。それが今や各自で別の仕事を見つけねばならない。一部はフォートワース(テキサス州)のF-16やF-35関連に移ったが、マリエッタではC-5やC-130に配置転換している。
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(Lockheed Martin photos)


  • 最初の第五世代戦闘機としてF-22では未経験の技術課題もあったが、これがF-35に生かされいると同社は説明する。共用打撃戦闘機にもステルス表面処理や特殊技術があり、経験を重ねた従業員により組立がされているという。
  • 組立工程の終了はラプターの新しい出発点だと同社は言う。各機は今後数度にわたり性能向上改修を受けることになる。
  • ラプター最終号機は1997年完成の一号機と大きく異なっている。最初の5-6機は「手作り」で完成され、F-22の飛行性能を確認・拡大することが目的だったので、テスト用にエイビオニクスは最小限の装備だけであり、耐用年数も短く設計されていた。
  • 今回完成した最終号機は5月に引渡されアラスカで第一線制空・襲撃任務につく。