2012年8月15日水曜日

米陸軍のLEMV監視飛行船が飛行試験を開始しました


Army’s LEMV Surveillance Airship Begins Flight Tests


aviationweek.com August 13, 2012


.米空軍は監視偵察用の飛行船開発を断念したが、米陸軍は独自に計画を進めており、ノースロップ・グラマン長時間飛行多用途情報収集機材Long Endurance Multi-Intelligence Vehicle (LEMV) が初飛行を8月7日に完了した。
  1. 同 機はハイブリッド飛行船で全長300フィート、初飛行では有人で90分間マクガイア・ディックス・レイクハースト共用基地(ニュージャージー州)からの飛 行に成功した。「初回飛行では発進と回収の安全性を確認することが第一で、次に飛行制御系の作動確認を目的にした」と宇宙ミサイル防衛軍団/陸軍戦略司令 部が発表。
  2. 「初飛行では耐空性テストと実証が目標であり、システムレベルでの作動確認が加わっていた。全ての点で目標は達成されている。追加して有人飛行が機体の点検のあとで予定されている」(陸軍)
  3. ノースロップ・グラマンが総額154百万ドルでLEMV開発の契約を調印したのは2010年6月で初飛行はその後12ないし13ヶ月後の予定だった。同飛行船はテスト終了後はアフガニスタンで運用される。
  4. LEMVは高度2万フィートで21日間連続運用でき、16kwの発電容量があり、ペイロード2,500ポンドの各種センサーを稼働させる。英国のHybrid Air Vehiclesが飛行船のメーカーとして同契約を下請参加している。
空軍はブルーデビル2監視用飛行船を5月に契約先のMAV6の業務内容が期待以下という理由で開発中止している。

2012年8月14日火曜日

イスラエルのEW技術がF-35運用各国に大きな利益をもたらす

Israel, U.S. Agree To $450 Million In F-35 EW Work

August 06, 2012
総 額450百万ドルでイスラエルとロッキード・マーティンが合意したイスラエル開発の電子戦(EW)装備をF-35搭載の承認はイスラエルの計画する19機 27.5億ドルの第一期導入に道を開くことになり、中東における防衛協力の大きな柱となる。だがそれ以外の意味もある。
  1. 長く待たれていた今回の合意でステルス性能の技術的経済的な制約を認めたうえで、高性能レーダーの出現でJSFのステルス性を長期間確保する必要性があらためて浮き彫りになった。
  2. F- 35導入の決め手はステルス性能のはずだが、それだけで歴史上最大規模の装備調達に加わるわけではない。レーダー断面積が小さいことは隙間的な能力だが、 新型レーダーの開発でその重要性が減少する。中国、インド、ロシアがそれぞれ自国開発に乗り出してステルス機の弱点に気づきはじめている。
  3. 「ステルスによる防御能力は5年10年は有効でしょうが、機体は30年40年稼動しますから、EW能力は簡単に高度化できるようにしておくことが必要です」(イスラエル空軍IAFのある関係者が本誌に)
  4. も うひとつの重要な観点は費用だ。「イスラエルにとってF-35が装備の中にないことは考えられないです。生産機数が増えて単価が下がればF-35はF- 16の後継機となります。」(上記イスラエル空軍関係者) たしかにF-35の現在価格は高価だが、イスラエルは維持が高くつく老朽機を処分したいと考え ている。イスラエルは実質的に米国の援助を受けているのだが。
  5. 「旧式機の保守点検での追加費用発生分は米国の軍事援助では手当てされません。そのためF-35調達が遅れるとそれだけ国防予算の負担が増え、その他にまわす余裕がへります」
  6. 2008 年の最初の合意内容では75機152億ドル(約1.2兆円)調達のオプションがあり、第二飛行隊を複数年度調達で整備することが盛り込まれていたが、この オプションは他の国防装備調達案と比較検討されている。だがイスラエルに追加飛行隊の本体価格は第一飛行隊より低くなるとの連絡が入っている。
  7. 今 回の最新合意によりイスラエルは自国生産の無線 ・データリンク他を自国購入分のF-35に装備することが可能になった。オリジナルではステルス性のある データリンクはF-35のミッションシステムで不可欠な部分とされ、データ通信はF-35編隊内あるいはF-35と特殊な通信連絡機間だけとされてきた。 F-35用にハリスHarris Corporationが開発した多機能高性能データリンクMultifunction Advanced Data Link (MADL)により探知されにくいリンクが実現し、F-35編隊内およびMADLを装備した指揮命令系統間で通信が可能となる。MADLはアンテナ6本で 機体周辺を球状にカバーし、Kuナローバンド波形を「デイジーチェーン」方式で使用する。つまり先頭機が志向性のある信号を二番機に送り、二番機が三番機 に、と続けるのだ。
  8. こ の方式だと波形が探知されす、傍受されにくくなるので、敵の信号傍受情報活動sigintやEW活動から自由になる。今のところこの装備はF-35だけだ が、米軍のステルス機全体に装備されていく。ロッキード・マーティンF-22やノースロップ・グラマンB-2が想定される。MADLはF-35の通信・航 法識別(CNI) ミッションシステムの一部であるのでイスラエルはMADLの供与を期待でき、イスラエル空軍はデータリンクを米軍と共有する始めての海外軍事組織となる。 ただし、MADLだけに依存するとイスラエルのF-35は友軍内のほかの機材と共同作戦が実施できないので、別の解決策が必要だ。
  9. こ れまでステルス部隊はミッションの独自性を求めており、最高度の柔軟性でこそ各機のステルス性能が発揮できると主張してきた。ステルス機、非ステルス機の 協同運用の必要性およびF-35を近接航空支援に投入する想定が米海兵隊に特に強いことから同機にLink-16のような通常装備の搭載が求められること になった。
  10. 最 近のテストでもF-35 でLink-16が使用されており、まもなく可変形式メッセージVariable Message Format (VMF)のテストもはじます。VMFは西側で広く近接航空支援ミッションで使用されている。今回の合意でイスラエルは自国製のデータリンク通信装置の搭 載に道が開けた。
  11. I イスラエルは絶えず海外調達の機体には自国製システムを付加すると主張してきた。米国製戦闘機ではこのような性能向上の中心はEWシステムズ、指揮命令通 信コンピュータ、データリンク、およびイスラエル製兵装の組み合わせが中心だった。このようなイスラエルによる改修は輸出にもつながり、たとえばライトニ ング高性能目標捕捉ポッドは米空軍・海兵隊にも採用されており、F-16、F-15、AV-8B、A-10、F/A-18、B-52の各機に搭載されてい る。
  12. た だしイスラエルのEWを巡る今回の合意内容は簡単に決着しなかった。JSFでは戦域固有の脅威ライブラリーやジャミング・対抗措置技術のレパートリーを元 にシステムの更新を頻繁に行う想定であり、この点で従来型のEWシステムズとは異なる。これまでもEWでは性能改修が行われているが、その他のエイビオニ クスとは関係なく実施されていたので、この改修は可能だった。
  13. こ れがF-35では主要エイビオニクス装備はすべて統合され一体化されているので、システムの一部に手をいれることはすべての関連システムに影響が出るの だ。異なる国籍の空軍がそれぞれ異なる型式のエイビオニクスを使用していると統合作業が非常に複雑になるばかりか非経済的だ。
  14. そ こでF-35のエイビオニクスの構造設計ではこの問題を統合のレベルを2つに分けることで解決。各国は高レベルにアクセスが可能で、使用国特化のサービス 内容、ライブラリー、改修を行うことができ、これは同機のソフトウェア改修スケジュールとは別箇に行うことができる。これに対し低レベルは米国の共用機開 発室の管理対象でアクセスはロッキード・マーティンに限られる。低レベルでは飛行性能およびミッションで不可欠な機能を制御する。同時に機体の低視認性能 とも関連しており、米国が精力的に自国管理を主張している領域だ。
  15. 中 核となるエイビオニクスを新システムで交換することで統合の根底部に触ることは考えにくく、実施すればF-35運用国のすべてが長期間のテストを求めら れ、開発のメリットがないからだ。そこでイスラエル空軍はこれとは違うアプローチを考えた。いわゆる統合モジュラーエイビオニクスintegrated modular avionics (IMA)である。この考え方はイスラエル黒帽研究開発局が長年かけて練り出したもので、現在試験的な搭載が進行中だ。
  16. 階 層は三段構造で新しいアプリケーションを統合していく。統一ハードウェアは協力な汎用プロセッサーgeneral-purpose processor (GPP) と大容量メモリーバンクで形成し、開発メーカーにはソフトウェア開発キットのようにデバイスと機能のライブラリーが利用できる。共通のハードウェアは各型 に適合化され、共通のデバイスや機能を作動させることが可能なので開発メーカーは新しいアプリケーションを異なる型式の機体に同時に提供する異なる。これ はこれまで特定の型式に特定のアプリケーションを開発していたのと対照的。アプリケーションはイスラエル空軍の認証を受ける必要があるが、各型式に問題な く適合し、保守点検が容易になる他アップグレードも長期間に渡り可能だ。
  17. 「ね らっているのは開発メーカー各社のセンサー類、アプリケーションソフトウェアをハードウェアの種類を問わず作動させることです。これにより機体の型式を問 わなくてもよく、統合試験コストを削減できます。」(イスラエル空軍のエイビオニクス部門長)イスラエル空軍はこのコンセプトを現有また将来の戦闘機、輸 送機、ヘリコプター、UAVに採用する予定だ。とくにUAVでは余分なスペースが無く、電力供給余力も少ないので課題となろう。処理能力を高めて、メモ リー領域も拡大することでIMAは中核エイビオニクス装置の負荷を緩和することが可能だ。イスラエル空軍がとくに期待しているのはソフトウェアによる無 線、情報融合、作戦立案の各機能での応用だ。
  18. イ スラエル空軍はIMAを費用対効果の高い手段として既存機種の性能向上を期待しているが、F-35へも新しい可能性を提供できるし、既存の中核エイビオニ クス装置に干渉せずにこれは可能だ。GPPでIMAを共通ハードウェアとすると運用各国に大きな利点が生まれる。サードパーティーのアプリケーショ ン開発メーカーが画期的な新アプリケーションをF-35に提供する道がひらける。スマートフォンのアプリと同じアプローチだ。
  19. . 国営イスラエル航空宇宙工業Israel Aerospace Industriesが今回のEW開発に加わる公算が高く、同社はすでに同機の主翼生産を始めようとしている。エルビットシステムズElbit Systemsの子会社エリスラElisraはイスラエル空軍にEW装備の提供を広く行なっているが、これも参画するだろう。エルビットはロックウェルコ リンズとの合弁事業体で高性能ヘルメットをF-35用に生産している。■


2012年8月13日月曜日

X-51A三回目の極超音速飛行は8月中に実施予定

Third X-51A Hypersonic Test Targeted For Mid-August

By Guy Norris
aviationweek.com August 06, 2012

米空軍関係者によるとマッハ5以上の飛行を狙うX-51A極超音速実証機のおそらく最後の実験が8月14日に設定されているという。
  1. X- 51Aは「極超音速飛行への重要な次のステップ」だと空軍研究所航空宇宙システムズのダグ・バウワーズ所長Doug Bowersは初回のX-51Aの実績が成功失敗入り交じっていたが技術開発には貴重な成果出会ったと語る。「X-51は初回飛行ではほぼ成功したと言っ てよい。第二回目はB-52からの引き離しに失敗し、三番目ではインレットが途中で止まってしまった。毎回のフライトで学ぶものが多いが、飛行させなけれ ばわからないことが多いのも事実だ」
  2. X- 51Aの最新状況だが、ハードウェア、ソフトウェアで変更されており、前回3月5日の飛行がマッハ5をめざしながらわずか9.5秒で終了してしまったこと から想定される対策をこうじている。二回目のフライトは2011年6月13日に搭載するプラットアンドホイットニー・ロケットダインRocketdyne SJX61-2エンジンがエチレンからJP-7への燃料切り替えに失敗したことで終了している。エチレンはスクラムジェット始動に使用し、JP-7は高速 度飛行の持続に使われる。
  3. X- 51はマッハ6.5までの極超音速飛行を空気吸い込み式で一定時間持続することの実証として想定され、2010年3月5日の初飛行ではマッハ4.88を記 録。マッハ5までも達しなかったが同機が210秒の動力飛行中で143秒をスクラムジェットで飛行したことは以前のスクラムジェット機よりも長い時間記録 で技術上の成功とみなされた。
  4. 四号機はボーイングのパームデール工場(カリフォルニア州)で完成まであと一歩のところに来ているが、飛行テストの予算が確保されていない。■


2012年8月12日日曜日

大統領専用機材更新の検討はじまる---ただし運用は2020年代からか

Pentagon Envisions New Air Force One Presidential Jet

bloomberg.com By Tony Capaccio - Aug 11, 2012 4:23 AM GMT+0900
Pablo Martinez Monsivais/AP Photo
President Barack Obama leaves Air Force One at Orlando International Airport on Aug. 2, 2012, in Orlando, Fla.

ペンタゴンは2022年以降の導入前提で大統領専用機の後継機種の検討および購入計画を開始した。
  1. 国 防次官(調達担当)フランク・ケンドールFrank Kendall ,Undersecretary of Defense for Acquisition が「調達決定」メモに署名したできるようなった更新業務室を立ち上げ、あわせてマリーン・ワン大統領専用ヘリコプターの次期機種も2020年より前に稼動 開始する想定で検討できるようなった。
  2. 第一段階は市場動向分析と大統領専用機材に必要な性能要求の評価を完成させることだと国防総省関係者は匿名を条件で話した。上記メモが未公表のためだ。その後をうけて統合参謀本部が性能諸元を決定する。
  3. この手順は航空機メーカー、エンジンメーカーには朗報で、ロッキーと・マーティン、ボーイング、ジェネラルエレクトリック、ユナイテッドテクノロジーズが期待をかけるだろう。
  4. ペンタゴンは一号機に7.57億ドル、ヘリコプター後継機種には18.4億ドルをそれぞれ2017年度まで相当として計上しており、実際の予算執行は2015年度以降が大部分となるという。
  5. 新 型エアフォースワンの引渡しは特殊装備技術の改修を待って2019年以降になるとペンタゴンは30年間の運用計画で想定。一方、新型大統領専用ヘリコプ ターは現行機種が35年間も稼動している中でも稼動開始は2020年まで待たねばならない。専用機は2023年から運用開始となる。
  6. ケンドール国防次官から空軍へは各メーカーへの企画案提出を2015年、開発契約交付を2016年の想定で計画を作成するよう指示している。
  7. 空軍による分析で調達戦略の基礎が出来上がり、現行の大統領専用機VC-25合計2機のメーカーであるボーイングからの単独調達とするべきか、オープンな競争提案とすべきかの決断も含まれる。なお、計画案のメモでは調達機数を指定してない。
  8. 現在稼働中のボーイング747-200Bの一号機は1990年9月から大統領輸送業務を開始しており、空軍によると機体寿命は30年の想定だ。
  9. ロ バート・ゲイツ国防長官(当時)は2010年の下院証言で現行機の更新の必要性を認めており「新型専用機の必要性は明白」と発言し、「予算を確保してお り、2011年に新型エアフォースワンの検討をはじめられる。今後数年間で予算を増額する方向で動いている」としていた。
  10. 空軍は2009年に市場調査によりエアフォースワン後継機を開発・生産する「技術蓄積、能力および経験を有する供給源となるのはどこかを把握する」とオバマ大統領就任前に発表していた。
  11. T調査結果ではVC-25を新型機で更新するのが「費用対効果が現行機を改修するよりも優れている」とし、「2017年度中の」一号機引渡しを想定していた。
  12. 一 方ヘリコプターではゲイツ長官(当時)がVH-71調達案をキャンセルしたのを受けて新規計画となる。VH-91はコスト上昇と日程遅延が原因で頓挫した が、ロッキード・マーティンが受注していた。キャンセル時点で同ヘリの予算規模は130億ドルで、当初の61億ドルを大幅に超過していた。また総合日程は 少なくとも24ヶ月の遅れを生じていた。バラク・オバマ大統領は2009年に同計画を「調達プロセスが制御不能になった例」と言及し、新型ヘリは必要ない としていた。現行のマリーンワンで「完璧に十分だ」とホワイトハウスの予算検討会で発言している。
  13. ケンドール次官からは空軍に詳細計画レベルで調達戦略を作る指示がでている。目標は2013年度内に次期ヘリコプターの提案を業界にもとめることで、開発契約を2014年に結ぶことだが、調達機数は正式には未定だ。■


2012年8月10日金曜日

高性能有人戦闘機の必要性 アフガニスタン、イラクの例外に論調を脱線させないために何を考えるべきか

誤 解される向きもありましょうが、当ブログでは有人戦闘機の存在を否定しているのではないのです。無人機やEWの出現はあっても、有人戦闘機は制空権確保に 必要な装備であることに変わりありません。その思いを同じくする論文がAir Force Assn.機関誌に出ていましたのでやや長文ですがご紹介しましょう。                                          
       
Air Force Magazine Vol. 95, No. 8     August 2012        

    Aberrations in Iraq and Afghanistan    

                                    By Daniel L. Haulman   
                
                       
最近10年間の戦役で空軍は制空権を確保するために戦う必要が一回もなかった。これは正常な状態ではない。
            
  • 空 中での戦闘は米国が参戦した主要戦で20世紀の大きな特徴だった。1918年以来の米国の空軍力は勝利を次々におさめ、1999年まで米国による総撃墜機 数は17,500機であり、第一次大戦624機、第二次大戦15,800機、朝鮮894機、ベトナム137機と言う内訳だ。
  • これが1990年代のイラク、セルビアでは数は少なくなったが、それでもイラクで39機、セルビアで9機を撃墜している。
    *
    1991年、米空軍戦闘機が炎上中の油田を飛行中。イラク陸軍がクウェートから撤退する中で放火したもの。砂漠の嵐作戦で米空軍は37機を撃墜しつつ損失はゼロだった。(USAF photo)

    • ただし21世紀になり、空中戦そのものが消えている。21世紀に米国が関与したイラク、アフガニスタンでエースは輩出していない。空中戦の勝利そのものに気づくことがなかった。
    • 双方の戦闘で空軍力は大きな役割をはたしたが、制空権を巡る戦闘はそこに含まれていない。空中戦そのものが発生していない。
    • そこで21世紀になり空中戦の時代は終わったと主張する向き、高額な制空戦闘機や高度に訓練を受けるパイロットはもう不要だとの主張が出てきた。
    • なぜアフガニスタンとイラクで空中戦が大きな役目を果たしていないのか。むしろこの二例が異常なのである。将来の戦争では再び米国は制空権確保のため戦うことが必要となり、制空権を最初は確保できないかもしれない。

    【アフガニスタン】
    1. 最 初の例外がアフガニスタンだった。2001年10月7日、不朽の自由作戦がタリバン政権を対象に開始された。空中にまともな相手がいなかった。当時のアフ ガニスタン空軍は小規模で、あまりに小規模のためジェーン航空年鑑に1999年から2002年まで記載がない状態だった。
      *
      アラスカ演習でのF-22。空中戦が最近発生していないため、有人機が必要なのかと言う疑問が出ているが.....
      (USAF photo by SrA. Garrett Hothan)


    2. また自国内に航空産業がないアフガニスタンは旧ソ連に航空機供給を依存していた。1980年代ゲリラ戦士が地対空ミサイルの扱いになれてきたためソ連は航空機運用で注意を喚起していた。
    3. 90年代を通じアフガニスタンでの重点は各勢力間の地上戦に終始した。旧アフガニスタン空軍の剰余機材は部族間で分配され、整備部品は不足し、飛行訓練がとくに成約を受けていた。
    4. 1996年までにタリバン勢力が最北部除く国内を平定したが残存アフガン空軍はあまりにも非力だった。当時の推測ではMig-21とSu-22各8機と輸送機わずか、ヘリコプター12機だった。大部分の機体は稼動できない状態であり、パイロットも数名のみだった。
    5. そこで米軍の作戦立案ではアフガン空軍を対抗勢力として一度も真剣に考慮する必要がなかった。イラクで「飛行禁止地帯」を維持する活動を日常的に展開していたのと比べると雲泥の差だ。
    6. ただし、アフガニスタンでもタリバンが航空機に爆発物を搭載した自爆飛行を米軍基地に実施するのではと危惧もあったので、当初から磐石の制空権確保が必須と計画立案上で認識されていた。
      *
      F-16で飛行前点検をするゲーリー・ノース大佐(当時)、1999年。機体の緑色の星は大佐が撃墜したイラク空軍MiG-25を示す。イラク南北に設定した飛行禁止区域の遵守を求めた南部の監視作戦にて。
      (DOD photo)


      1. 作戦の第一波で攻撃対象となった合計31箇所にはタリバン側の空軍基地、空港があり、Mig-21およびSu-22の運用基地二箇所は使用不可能とされた。
      2. 第一夜でアフガニスタンの防空網は崩壊し、その後7日間に渡り米空軍は残存アフガン機材をしらみつぶしに破壊していった。
      3. ペンタゴンからタリバン配下の空軍勢力が消滅したとの発表が出たのが10月25日で、アフガン空軍はその数週間前に消滅していた。
      4. 多国籍軍に対抗すべく発進したタリバン側の航空機は皆無で、米側には撃墜する対象がなかった。タリバン側には発進可能な機材は限られており、その機材も開戦後数時間あるいは数分間で破壊されていた。
      5. タリバン防空体制の破壊は徹底的で、米国は作戦初期から低速、低高度飛行のヘリコプター、輸送機、ガンシップ、無人機を心配なく運用できた。こういう機材は敵が有効な空軍力を保有していればきわめて脆弱な存在だ。

      【イラクの事例】
      二番目の例外事象はその17か月後のイラクで発生している。
      *
      空軍の撃墜・被撃墜比率は戦役により大きく異なる。ベトナム戦争で厳しい経験をした米空軍はその後は合計48機を撃墜し、被撃墜ゼロとしている。

      1. ブッ シュ大統領がサダム・フセイン政権の打倒をねらい開戦したが、イラク空域に侵入する米空軍パイロットは開戦当初はイラク空軍がアフガン空軍と同程度の不活 発な状態にあるのか知る由もなかった。事実、それをさかのぼる12年前にはイラク空軍は地域内でも有数の実力を誇る存在であった。
      2. イ ラク空軍は1980年から88年までイラン・イラク戦争を戦い、90年代初期には南西アジア最大規模の空軍で、固定翼機700機以上を保有していた。ソ連 からはMig-29、フランスからはミラージュF1が主要機材だった。イラクは空軍基地の整備をおこない、滑走路も拡充し、さらに航空機シェルターも強化 した。
      3. この強力なイラク空軍が米空軍という丸鋸にかけられたのだ。
      4. 砂 漠の嵐作戦(1991年1月17日ー2月28日)で米空軍はイラク空軍37機を撃墜している。その他米空軍と同盟軍は254機を地上で破壊している。F- 111やF-117はレーザーおよびテレビ誘導爆弾でシェルター内の機体141機を使用不能にしている他、113機を地上で破壊した。
      5. イランへ逃亡した期待も含めるとイラクは固定翼407機を喪失し、これは開戦前の戦力の半分以上にあたる。
        *
        アメリカ軍要員が地中に隠されていたイラク空軍のMiG-25をアルタカダム基地で掘り起こしている。イラクは攻撃による破壊を避けるべく機材を埋めていた。これはその一機。 (DOD photo)

        1. こ の破壊の影響は長く続いた。かつての強力なイラク空軍は戦闘部隊として機能できなくなり、2003年の戦争ではイラク空軍機は一機も米軍、同盟軍に攻撃を 挑んでいない。制空権の完全な確保により政権転覆と言う所期の目的が迅速に実現し、米軍・同盟軍がバグダッドに進軍するまでに一ヶ月未満だった。
        2. さらに90年代にも米国はイラク空軍力の弱体化を認識していたが、当時はイラク北部と南部に飛行禁止区域を設定し、その履行に米軍;同盟国軍があたっていた。
        3. サダムはこれに対しまれだったが米軍に挑戦をいどむ事例もあった。
        4. 1992年終わりごろと93年早々に米空軍F-16 のパイロットは高性能中距離空対空ミサイルで少なくとも二機のイラク機が飛行禁止区域を無視した段階で撃墜している。
        5. 1996 年にはイラク陸軍が北部飛行禁止区域下を進軍しクルド人の都市イルビルを占拠した。このため米軍は砂漠の打撃作戦を開始し、B-52から巡航ミサイル13 発をイルビル市内の軍事拠点に発射している。防空レーダー施設もここに入っていた。北部飛行禁止地帯での攻勢の結果、南部の飛行禁止地帯も北緯32度から 33度に拡大され、イラク空軍が訓練に使用できる空域が狭まった。
          *
          アフガニスタンのバグラム飛行場で放置されるMiG-21の残骸。不朽の自由作戦ではアフガン空軍の妨害を考慮することなく作戦立案できた米空軍であったが....
          (DOD photo)


        6. イ ラクの交戦能力にはもうひとつ制約条件があった。80年代末にサダムはソ連製戦闘機をユーゴスラビアに供与したが、国連による経済制裁発令により機材の回 収が不可能になった。1995年に国連安保理はイラク向け制裁の延長を可決し、イラク空軍機の機体部品は入手困難となり、作戦可能機はさらに減った。
        7. クーデターを恐れるあまりサダムは軍首脳部を追放し、空軍上層部も含まれていた。サダムは腹心の部下による軍の執行を望んでいた。そのため、イラク空軍には再興のための指導力が不在だった。
        8. サダムが国連査察を1998年に拒んだことで米国・同盟軍の空爆が実施され、砂漠の狐作戦で米英空軍はタリル空軍基地を爆撃しイラクが練習機を改造して遠隔操縦機にしていた機体複数を破壊した。遠隔操縦機は化学兵器あるいは生物兵器の搭載を想定していたと思われる。
        9. これでイラク空軍の残存勢力はさらに弱体化し、2002年には合計267機しか残っておらず、戦闘機はそのうち124機になっていた。戦闘行動がすぐに取れる機材はその一部だけだった。
        10. 米軍がイラク侵攻を開始した2003年にイラク空軍は姿を現していない。同盟軍の航空部隊、地上部隊は空からの抵抗を受けることなく行動を展開した。
        11. イラク空軍の不在を受けて米空軍は本来脆弱性の高い機材を投入した。A-10やAC-130ガンシップであり、各機は撃墜される心配なく飛行した。

          2005年撮影のイラク空軍基地にはMiG-27,MiG-25が使用不能状態で写っている。バグダッド進軍の舞台にイラクは一度も航空攻撃を試みていない。
          (DOD photo)



          【それでも新鋭高性能戦闘機は必要である】
          1. さ て、アフガンとイラクの両戦闘が始まってから技術進歩はめざましく遠隔操作無人機で敵を捕捉、攻撃できるようになり、地上の目標が移動中でもこれは可能 だ。ネヴァダ州の地上にいるパイロットが地球の反対側のイラクやアフガニスタンの目標を空爆している。このことから有人戦闘機はもはや不要だと主張する誘 惑に駆られる向きもあろう。
          2. しかし、遠隔操縦無人機は比較的低速であり、その撃墜は容易だ。高速で武装が充実し、防弾装備もある有人戦闘機なら簡単に無人機を撃墜できるが、その逆は無理だ。
          3. 将来の戦闘では敵側はいっそう強力な空軍力をもっているはずで、それはアフガニスタンやイラクの例ではない。中国、ロシアはそれぞれ第五世代戦闘機にステルス技術を組み合わせて開発中だ。
          4. 高度技術を運用する敵空軍が米国の制空権を脅かすだろう。空自体が戦場と化し、戦闘機が直接対決する事態が来る。
          5. 敵方が優越性を獲得すれば、戦闘の行方は直ちに変わる。空の支配は近代戦での勝利の必須条件だ。強力な敵戦闘機部隊は米空軍力の対抗を受けなければ我が方の輸送機、ヘリコプター、ISR機材、無人機を撃破する。
          6. 最新鋭戦闘機の価格は著しく高価に写るが、高性能新鋭機が不足した状態で戦争が勃発すれば、その代償はもっと高価なものになるのである。


          ダ ニエル・L・ハウルマンは空軍歴史研究局の歴史研究員である。三冊の著書がありそのひとつがOne Hundred Years of Flight: USAF Chronology of Significant Air and Space Events, 1903-2002(米空軍戦闘史)である。その他空軍関係の出版物にも多数寄稿している。

          ど うでしょうか。きわめてまっとうな主張であると思いますが。問題はF-35が①本当に高性能機なのか ②機体コストの上昇で誰も必要な機数を確保できなく なるのではないか ③F-35のため2000年以降貴重な時間がまともな新型戦闘機開発に資源を投入できなかった ④そのため西側防衛体制を危うくする可 能性を同機が持っていること がどうしても気になるのですが。ご意見をおきかせください。

2012年8月9日木曜日

次期弾道ミサイル迎撃用SM-3 IIAの配備開始は2018年

MDA Still Sees 2018 Deployment In Restructured SM-3 IIA Plan

By Amy Butler
aviationweek.com August 07, 2012

.レイセオンの新型SM-3迎撃ミサイルで三菱重工業と共同開発に10億ドル近くの追加契約が成立し、2018年の配備をにらんだ試射を行う。
  1. 予 算がついたことでSM-3の開発体制見直しを一年かけて進められる。以前は迎撃テストを2014年度実施と想定していたが、現在はこれが2016年にずれ こんでいる。実戦配備はイージス艦の新規ソフトウェア他センサー類とともに2018年となり、ヨーロッパへの配備を想定し、イランの中距離弾道弾による攻 撃に備える。
  2. 米政府監査部門が昨年同ミサイルで二つの問題を発見している。ひとつが方向変更・高度制御システムともうひとつがエアロジェット社 Aerojetが取り扱う推進剤で、サブシステム監査で不合格となっている。さらに三段式の同ミサイルのロケットモーターとノーズコーンの双方が三菱重工 による開発品だがこれらも問題を発生させている。まず推進系の大幅見直しを2013年に行うとレイセオンで防空ミサイル防衛担当の副社長ウェス・クレマー Wes Kremerは言う。
  3. 米ミサイル防衛庁MDAは7月に825百万ドルで既存SM-3 IIA改修作業の契約を承認した。これにより同ミサイルの開発費用のうち米国負担分は15.1億ドルになる。
  4. めざすのは直径21インチの迎撃ミサイルで従来のSM-3 1A/B型よりも高速、長射程距離で迎撃がかのうなもの。従来型は直径14インチ。
  5. 新型ミサイルはより大型の攻撃部分を装着し、目標捕捉と最終段階で機動性を改善するだろう。
  6. . 同ミサイルは北朝鮮から日本を防衛することを狙い、より少ない洋上艦船からの防衛実施をめざすが、ホワイトハウスは同ミサイルを2009年に欧州段階的適 合アプローチの中でフェーズIIIの根幹要素として選定している。そのねらいはヨーロッパ各国さらに米国東海岸をイランのミサイルから防衛することにあ る。
  7. この決定は物議をかもした。SM-3には聞き甥開き、前のブッシュ政権の原案からポーランドに二段式の地上配置中間段階防衛迎撃ミサイル(GBI)の配備があったが、これが波紋を呼んだ。防衛庁の長官が交代すればSM-3やGBI開発は再浮上するだろう。
  8. 名称こそ SM-3 IA/Bとつながっているが、IIAで唯一共有されているのが第一段段のモーターで、その他部分は新規開発分がほとんどだ。しかし、以前のモデルと同様にIIAは海軍のマーク41垂直発射システムでの使用を想定している。
  9. 日本は三菱重工業にほぼ契約金額どおりの支出をしており、同社がノーズコーン、第二および第三段ロケットモーター、組み立ておよび操舵制御部分の開発を分担している。
  10. 日 米協力体制での SM-3 IA/B開発はレイセオンと三菱重工に正式な契約上の合意がないまま進んでいる点で他に類を見ないとクレマーは解説する。MDAによる最近の予算計上は同 プロジェクトの最終段階に向かうものだという。「これで飛行テストまでの過程が契約下で実施できるようになる、クレマーは語る。■


2012年8月7日火曜日

2013年度国防予算 上院は承認したものの内容は.....

Senate Panel Approves Defense Bill


aviationweek.com August 03, 2012

上院歳出委員会が承認した国防予算法案は総額604.5億ドル(約4.8兆円)だが、予算案通過の時点で実質的に疑問の残る内容になっている。

  1. 「私の顔に笑みは見えないはず」ダニエル・イノウエ委員長(民主・ハワイ州)Sen. Daniel Inouyeは8月2日の同法案上乗せのあとに発言している。
  2. その理由として上下両院有力議員間で予算管理法が認める範囲で政府予算の執行を今後六ヶ月にわたり認める合意が生まれたためだ。
  3. ただし来年の三月までに現在の予算年度は半分が終わっていることになる。さらに11月の選挙結果で共和党が上院の過半数を握れば、法案も変更が加えられる。
  4. 合意済みの決議案には総額1兆ドルの包括的政府支出削減を回避する選択肢は含まれていない。
  5. 今回の国防予算法案の審議は実際の支出予算よりも赤字削減合意が実行されない場合の罰則となる強制執行停止sequestratonが中心だった。
  6. リ ンゼイ・グラハム議員(共和・サウスカロライナ)Sen. Lindsey Graham (R-S.C.) から提案され撤回されたのは象徴的な決議案で赤字削減策を提言するボウルズ=シンプソン作業部会の提言を活用し強制執行停止を部分的に実施する内容だっ た。その後、同議員からは別の改正案が動議され、連邦政府との契約企業には自社の従業員に強制執行停止に伴う雇用喪失の可能性を通知させようとするもの だった。これは同意形成できなかったが、各契約企業の観点から強制執行停止が予測可能で労働者調整再訓練通知法Worker Adjustment and Retraining Notification Actの適用が可能かについて長時間の審議に火をつけたといえる。
  7. . 実質面では同法案によりロッキード・マーティンの中距離拡大防空システム Medium Extended Air Defense System (Meads)には348百万ドルの予算を計上し、米国の参加を終了させる。なお議会の国防関連委員会三箇所がいずれもMeads予算を終了させている。
  8. ペンタゴンが進めているバイオ燃料の調達には上院歳出委員会は予算を認めた。他の三委員会は棄却している。
  9. ただし歳出委員会はこれ以外の議題では上下両院の国防委員会にならっている。委員会は空軍の戦力再構築提言を一年凍結する議決をして、800百万ドルを追加して州軍航空隊の削減を補うことを2013年度に承認した。
  10. また同法案では昨年度予算の繰越によりノースロップ・グラマンのグローバルホーク・ブロック30およびアレニアのC-27スパータンをそれぞれ継続させる。
  11. また歳出委員会は60百万ドルを追加しボーイングEA-18Gグラウラーの先行取得をさせる。さらに163百万ドルを追加しAN-TPY2レーダー向けに、189百万ドルでSM-3ミサイルのブロック1B調達を追加する。
  12. なお、次世代爆撃機Next Generation bomber ならびに即時全世界攻撃手段Prompt Global Strike 開発はそれぞれ要求が満額承認された。■

2012年8月6日月曜日

空軍新参謀総長にウェルシュ大将

airforce magazine Friday August 03, 2012
               
Welsh Confirmed as Chief of Staff:


8月2日上院がマーク・ウォルシュ大将Gen. Mark Welshの空軍第20代参謀総長就任が承認された。現参謀総長のノートン・シュワーツ大将は交代とともに退役する。この次にはオバマ大統領による正式承認が続く。その後、空軍は8月10日に就任式典を開催する。

ウェルシュ大将は1976年の空軍士官学校卒業生。在欧州米空軍の司令官を経て2010年10月より米空軍総司令部勤務。

上 院による承認はジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)が同大将の承認保留を取り下げたことから同日採血されたもの。同議員の保留はラックランド 基地(テキサス州)内で発覚した性的嫌がらせが理由。同基地は空軍の規則訓練を担当。同議員はウェルシュ大将と同日会見し、状況を話し合った後に保留を撤 回した。「ウェルシュ大将が深刻な状況認識を共有していることがわかった。大将が事件の捜査を続けるとの決意を示したことを嬉しく思う」と声明を発表して いる。

2012年8月5日日曜日

X-47B UCAS-Dのテスト最新状況

X-47B UCAS-D Begins Deck Handling Trials



aviationweek.com August 03, 2012

ノースロップ・グラマンX-47B無人戦闘航空機システム実証機 (UCAS-D) はまもなく地上での公試をパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)で開始し、空母飛行甲板上での取扱手順を確認の上、空母着艦を2013年に行う予定。
  1. X-47Bはパックス基地での初飛行を7月29日に実施しており、チェサピーク湾上空で36分間の飛行を高度7,500フィート速度180ノットで完了した。X-47Bは2機あり、パックスへはエドワーズ空軍基地での性能確認テストを完了してから陸送されていた。
  2. そ の間キングエアを同機に見立てて空母自動着艦時のテストをしている。1号機AV-1はソフトウェアを改修して空母運用への適合性を試される。この改修では 機体を空母運用条件に完全に一体化させるのが目的だ。陸上に設置したカタパルトで発進させ、同じく地上設置の拘束フックでの着艦試験をパックスで今年秋に 開始する。
  3. この数日以内に2号機AV-2を使った地上取扱性テストがパックスで始まり、無線操縦コントローラを飛行甲板操作員の右腕にストラップで取り付け、推進力、首脚操作、ブレーキ、テイルフックを操ることができる。
  4. 飛行甲板上では操作員が「黄色シャツ」責任者の後方に立ち、X-47Bをカタパルト上に移動させ、エンジン回転を上げて、各種制御系統を確認の上、同機をミッションコントロール責任者に引き渡す。
  5. 着艦時にはX-47Bは艦上のワイヤを捕らえたあとエンジン出力をアイドル状態まで下げ、甲板操作員が制御をし、テイルフックを引き上げて、同機をワイヤから離す。