2013年5月3日金曜日

X-51ウェイブライダーが極超音速を持続して飛行実験に成功

X-51A Waverider Achieves Hypersonic Goal On Final Flight

By Guy Norris guy_norris@aviationweek.com
aviationweek.com May 02, 2013
Credit: USAF



米空軍のX-51Aウェイブライダー実証機がスクラムジェット推進による極超音速飛行に5月1日成功した。
  1. ま だ空軍から発表がないが、X-51Aはテスト飛行では想定通りマッハ5を維持したと思われる。持続時間は300秒と見られ、無動力滑空時間500秒ののち に、太平洋上の試験海域に突入した。以上の時間及び速度が確認出来れば、空気取り入れ式での極超音速飛行の記録更新となろう。
  2. X- 51Aは自由飛行可能なスクラムジェット機の可能性を実証する意味で製造されて、極超音速兵器・高速航空機に向けた重要な足がかりとなることが期待され る。しかし、2010年5月の初回飛行ではマッハ4.88と部分的な成功をしたものの作動不良でミッション中止となり、2011年3月と2012年8月の テストも不調に終わっている。
  3. これまでが期待以下の結果だったのに対して、今回の飛行は研究開発にはずみをつけるもので、空軍は極超音速飛行の実用化を模索している。機体はボーイングが製造した4機の最後の機体で、動力はプラット・アンド・ホイットニー・ロケットダインSJX61ラムジェット/スクラムジェットのデュアルモードエンジンだ。さらに前回の試験で得た知見と改良が施されていた。
  4. そ の内容にはエンジンのフローパス間のシーリング改良があり、第一回飛行ではこれが不足して高温ガスが機体内部に入ったことで「溶融」が発生し飛行が持続で きなくなったと見られていた。さらにハードウェア、ソフトウェアでも改良があり、今回のテスト飛行では機体の制御フィンも変更が加えられ、三回目ミッショ ンの失敗原因への対策とした。
  5. ミサイルブースターに装着されてB-52H母機から太平洋上空で発進された。切り離しは予定通り実施され、Atacmsが作動終了し分離された後、スクラムジェットが点火されている。■

2013年5月2日木曜日

UASによる領空侵犯に断固対応しているイスラエル空軍の事例は日本にとって他山の石でしょうか

Israeli F-16 Downs Another Hezbollah UAS
                   
                        UAS Vision, Posted on April 30, 2013 by The Editor                   
                                            


イ スラエル空軍のロッキード・マーティンF-16がレバノンから飛来したヒズボラの無人機一機を撃墜した。この無人機は地中海上空を飛行中に4月25日探知 された直後に空対空ミサイルで撃破されたもの。交戦は現地時間13:30に発生し、その時点でベンジャミン・ネタニヤフ首相が公式行事で同国北部にヘリコ プターで移動中だった。今回のUAS撃墜は10年間で5回目。


  1. .迎撃地点はイスラエル・レバノン国境に近い沿岸部で、撃墜されたUASが武装されていたか、あるいはイスラエル沖合の天然ガス採掘施設を狙っていたかは不明。イスラエル空軍はテロ組織の標的となりうる施設の防衛用に特殊システムを運用している。
  2. 「イスラエル軍はレバノンから飛来するUASを軽く見すごしていません、飛行目的に単なる写真撮影のみならず要人暗殺の可能性があるからだ」と西側外交筋が現地Nahar新聞に語っている。
  3. 無人機が発見された時点でイスラエル首相が搭乗のヘリがイスラエル北部ハイファの西10キロ地点を飛行中だった。同ヘリは着陸を指示され、イスラエル空軍が領空の安全を確保するまで地上待機した。
  4. 事 件直後の報道ではヒズボラが発進させたUASと見ている。昨年10月にイスラエルのネゲブ上空で1.5時間の無人飛行に成功とヒズボラが発表していたた め。この無人機はイスラエルが撃墜したが、ソレク核施設Soreq nuclear facilityから数マイルの地点だった。当時のイスラエル軍発表は無人機が「レバノンから」発進したとのみだった。
  5. この際はイランの関与があったとされ、米国政府が自制を求めたのでネタニヤフ首相が報復を断念したとされる。同首相は「我が国の国境を侵犯する深刻事態に」対応しただけと発言している。
  6. シ リア叛乱軍およびイスラエル情報部によるとイランは革命防衛隊隊員をシリアとレバノンに投入し、シーア派勢力を支援している。イランはシリア軍兵員に対し て高性能兵器の取り扱い訓練をしているという。その一環で長距離短距離ミサイルに加え、ヒズボラがUASの運用能力を向上しているのだという。アラブ報道 機関によるとイランから毎週5トンの武器がシリアに供給されている。
  7. 2012年10月にはレバノンから飛来しガザ回廊上空を飛行中のUASを撃墜しており、2011年11月にはこれもレバノンを発進したUASがF-16で撃墜されている。2006年にはイラン製アバビUASがヒズボラにより運用されており、F-16がこれを撃墜した。
  8. 2004年11月に同様の事件が発生したことを契機にイスラエル空軍はセンサー装備を追加展開し、無人機による国境侵犯の探知能力を向上させてきた。
Photo: F-16 – Israeli Air Force


コメント:我が国においても敵性無人機の飛行に対処する事態が早晩発生するでしょう。その意味でイスラエル事例は参考になるはずです。

2013年5月1日水曜日

軍用衛星通信回線の保全に使われるRaidrsシステムとは

U.S. Air Force Makes Raidrs System More Permanent

 


By Amy Butler
April 30, 2013
Credit: Staff Sgt. Angelita Lawrence

米空軍は重要な衛星通信を妨害から守る恒久的な解決策を実戦配備している。

ロ ジャー・ティーグ准将Brig. Gen. Roger Teague(宇宙軍団Air Force Space Command戦略立案担当)が第29回国家宇宙シンポジウムの席上、急速攻撃識別探知報告システムRapid Attack Identification Detection Reporting System (Raidrs)の配備状況について触れ、2012年の実績の一つと紹介している。Raidrsは衛星通信リンクの防御手段としてC、Ku、X、 UHFの各周波数帯での異常を警告する機能を有する。

Raidrs試作型はインテグラル・システムズ(本社メリーランド州ランハム) Integral Systems of Lanham, Md.が設計し、中東で2005年から供用中。システム構成は妨害電波の発信元を探知するアンテナ各種を含む。

こ の配備でシステムが衛星通信をモニターし、干渉信号の発信元を探知する能力があることが実証された。このミッションは米軍部隊が分散配置され、衛星通信に 依存する傾向が強まっていることから重要度が増している。Raidrsは静止衛星による民間通信のモニターを重視し、海外展開する各部隊にとっては頼みの 綱となっている。

こ れに対して空軍はより恒久的なシステムの配備を開始している。空軍はコロラド州ピーターソン空軍基地に中央一括オペレーションセンターを設けた。 Raidrsの移動可能地上施設Raidrs Transportable Ground Segments (RTGS) が以下の5地点に戦略的に配備されている。ハワイ州ルアルアアレイ海軍基地、フロリダ州ケイプカナベラル空軍基地、日本の三沢空軍基地、ドイツのカパウン 空軍基地および非公表の中央軍施設である。「RTGSを日本とハワイに配備していることで、太平洋地区全域での電子電磁干渉信号の監視が可能となっていま す」と宇宙軍団は説明している。

Raidrsの追加調達の予定はない。

コメント:  有人戦闘機の話題はどうしても注目を浴びますが、通信の保全を確保する意味で一見地味なこんな話題が本当は重要な意味を持ってきます。第一次大戦以来情 報を重視する米国人の考え方がこのシステムにつながっているのでしょう。安全保障上の理由からシステムの機能説明はほとんどありませんが、すでに通信回線 の保護で重要な手段となっていることが伺われます。防衛予算の使い方でも考えさせられる内容だと思いませんか。

2013年4月30日火曜日

韓国国産開発戦闘機KF-Xに注目 戦闘機自国開発の意義

Seoul Plans Phased-Development, Typhoon-Size Fighter

By Bradley Perrett
aviationweek.com April 29, 2013
Bradley Perrett Seoul and Jeongseon, South Korea

西側世界では完全に新型の戦闘機といえるのはロッキード・マーティンF-35だけで各国は同機以外に選択肢がないのが現状だが、新たな戦闘機が東洋から出現しようとしている。
  1. ほぼ10年の研究期間を経て韓国のKF-X戦闘機構想が明確になってきた。このまま進み大幅変更なければ同機は双発でユーロファイター・タイフーンと同程度の機体寸法となり、タイフーンはじめ欧州戦闘機の例にならい水平安定板を機体前部に取り付けることになりそうだ。当初は米国製兵装・センサーを搭載しその後韓国製装備を搭載するだろう。
  2. 政 府内で検討が始まったのが1999年、国家プロジェクトになったのが2002年のKF-Xは14年間の研究期間を経て、いまだに全面開発の承認を得ていな い。当初の配備目標は2015年だったが、現状では2021年以前の初飛行はない状況なので、就役は2020年代中頃だろう。ただし、これも強力な反対勢 力から生き残った場合の話。
  3. 韓 国空軍はKF-Xは中型戦闘機としてKF-16の代替を目指す。KF-16は韓国内で生産したF-16。ペイロードと航続距離で優れるKF-Sは高性能戦 闘機として想定されており、現状のボーイングF-15Kとその後継機種として選定されるはずのF-X第三段階選定機種となる。下には韓国航空宇宙産業(KAI)製のFA-50がある。
  4. 推 進役は国防省の国防装備開発庁Agency for Defense Development (ADD)で、ここで予備設計を進めており、完全開発段階でまとめ役になる予定だ。そうなればKAIは韓国の戦闘機製造専門メーカーなのにサプライヤーの 役割を甘んじることになり、同時に詳細設計を担当するのだろう。大韓航空が部品の一部を生産する可能性もある。エンジンは海外調達となり、電子装備は複数メーカーから供給されるだろう。
  5. さらに海外メーカーがパートナーとなるはずで、F-X第三段階の受注企業がこれになるはず、つまりボーイング、 ロッキード・マーティン、ユーロファイターのいずれかだろう。ただし韓国国内には海外メーカーの介在を快く思わない向きもある。KF-Xはあくまでも韓国 主導であるべき、というのだ。一方で、インドネシアは2011年から技術開発の人的貢献と開発費用20%負担、さらに50機発注の意向を示していることで 限定共同開発国となっており、同機がKF-X/IF-Xと呼称される所以でもある。トルコを巻き込む目論見は失敗したが、韓国が主導権を握ると主張したた めといわれ、以後それ以外の国は手を挙げていない。
  6. 一 方、KF-Xには幾多の反対勢力があり、価格が高い、正当化できない、開発能力そのものが不足している、技術者が足りないとの主張の他、開発すべきは民間 機であり、軍用ヘリコプターであるとの意見、技術を握る米国がKF-Xの海外販売を妨害すると見る向きもあり、そもそも韓国製戦闘機の価格は既存機種より 低くならない都の意見もある。
  7. こ れに対して推進派なかんずくADDはKF-Xは韓国製軍用航空機開発の要であり、国産戦闘航空機システムの搭載機として韓国防衛産業全体を引き上げる役割 が期待されるとしている。また韓国が完全に自国主導で機体装備のシステム構成を決定すべきとしており、T-50超音速練習機ならびに派生型戦闘用機体の前 例を引き合いに出している。
  8. ADD は韓国国内に技術力があるのか、同機の性能設定が妥当なのかとの疑問に対応してきた。2009年にはF-35と同等のステルス機の国内開発能力はないと認 め、レーダー断面積の達成目標をボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットおよびユーロファイター・タイフーン並まで後退させている。
  9. 具 体的にはKF-Xの目標は0.1から1平方メートルと見られ、F-4ファントムやF-5タイガーと言った韓国が運用してきた旧式戦闘機が1から10平方 メートルであったのと比較される。これはKF-X企画に関与した空軍退役幹部によるもの。この目標値は「十分な水準」と同幹部は指摘し、非公表ながら公に 認知されている北朝鮮防空レーダーの性能欠陥を暗示している。
  10. ス テルス性能で妥協したものの、外観と機体構成では大きな変更はなく、KF-X はステルス機としては古典的な形状といったところだ。ADDはKF-X後期型でのステルス性能向上を提唱し、ブロック2でステルス表面塗装の向上、レー ダー吸収性を有する表面素材、機体隙間の削減、等を実現する。このステルス性能はF-117と同等となるとADDは見る。さらにブロック3でF-35程度 のステルス性能をめざす。
  11. ADDは同機の仕様でいろいろ検討をし、エンジンは双発とし、水平安定板は海外メーカーの知見を借りることとした。既製エンジンの選択としアフターバーナー出力17,700 lb.のジェネラル・エレクトリックF404か20,200 lb.のユーロジェットEJ200または22,000 lb.のGE製F414を検討している。二案あり米メーカーの支援を想定した水平安定板を後部に備えるのがC103案、欧州メーカーをパートナーとする機首に安定版をもつのがC203案だ。
  12. 推力の想定はタイフーンと類似し、企画中の機体サイズが同機に近いものになっていることも偶然の一致ではない。ステルス機では空気取り入れ口の形状から機体容積は大きくなるものだが、タイフーンを上回る機内燃料搭載量を想定している。
  13. この機内容積を利用してブロック2で兵装ベイを確保する予定。ブロック1ではレイセオンAIM-120空対空ミサイルを機体下部に搭載するが、ブロック2ではこれを機体内部に移動させる。ただし、ベイ、外部ともにスペースは十分とはいえない。
  14. こ の他に強化ポイント6箇所が主翼にあり、別の二点はレイセオンAIM-9X短距離空対空ミサイル専用に想定する。ADD作成の図面では空対地兵装の GBU-39、GBU-53、CBU-105、GBU-31、 GBU-38、GBU-24 誘導爆弾やAGM-65ミサイルが確認できる。外部燃料タンクはオプションとし、巡航ミサイル搭載も想定している。翼端には強化ポイントはなく、レーダー 反射を抑えるためだろう。ただし、モデルではセンサーポッドが機体下部に搭載される。機銃1丁を左側内部に搭載する。
  15. 主センサーはアクティブ電子スキャンアレイ式レーダーで、海外製品をまず搭載し、後期モデルには国産レーダーとする。LIG Nex1 社が開発中である。その他として電子光学目標捕捉システム、赤外線探知追跡センサー、データ・リンク、GPS-INS航法装置、高性能脅威警告対抗装置、電子妨害装置の詳細も検討が進んでいる。
  16. ヘルメット一体型のディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、多機能ヘッドダウンディスプレイがコックピットに搭載sれる。電子装置と兵装の統合では西側設計の標準を採用し、中国やロシアの対抗機種への優位性を確保する。
  17. C103 案、C203案は2月に比較検討されており、複座型案は却下された模様だが、ADDによる最新の発表内容を見ると機体前方燃料タンクの場所に二番目のシー トが搭載されている。F-35ではシミュレータにより複座練習機型は不要としているが、戦闘機で複座型が再度注目をあびているのは、単座型より戦闘ミッ ションの処理が楽になるためだ。
KF-X プログラムのその他記事はAviationWeek.com/kfx をクリックされたい。■

2013年4月28日日曜日

飛行時間あたりコストでは誤解を生むとペンタゴンがプロジェクト推進室見解を批判

   
        
   
       

Pentagon Backs Off F-35 PEO's Flying Hour Prediction

By Amy Butler abutler@aviationweek.com

aviationweek.com April 24, 2013
Credit: Lockheed Martin

ペンタゴンの調達トップ、フランク・ケンドールFrank Kendall がF-35Aの一時間当たり運用コストデータでオランダに開示された情報は来月議会に提出される公式値よりも低いものだったと発言した。
  1. 米空軍のクリストファー・ボグデン中将Lt. Gen. Christopher Bogdanがオランダ議会関係者へF-35Aの運用コストはF-16より大体10%高くなると伝えており、以前の予測よりも大きく下がっている。
  2. 「あれは仮定条件の数字です」とケンドールは4月24日にペンタゴン取材報道陣に語っている。「仮定を基にした試算はしたくないですね」
  3. 来月に議会に提示される数字は昨年の特定調達報告 lected acquisition report (SAR) の数字よりも低くなるとケンドールは語る。同報告内ではF-35Aの飛行時間費用は$31,900でF-16 C/Dは$22,500だった。
  4. 「この数字は今年版では下がりますが、ボグデン中将が示した水準までは下がらないでしょう」とケンドールは発言した。
  5. ケンドールが言うにはF-35の飛行時間コスト計算には少なくとも六通りの方法があり、仮定条件で異なってくるという。飛行時間を少なくすれば、時間単価は上がる。だが、総費用は既存機種と同程度か少なくなるという。
  6. 「大事なのは総費用ではないでしょうか。機体の稼動状態を既存機種と同程度にして総額がいくらになるのか。これは国別に違ってきます」とケンドールは語り、各国の飛行時間設定、予備部品の調達計画、保守要員の技術熟達度、活用方針をどうするのかなど条件は多い。
  7. ただ運用予定国・組織はそれぞれ総費用の把握で苦労しているのは事実だ。米海軍の試算では50年間運用の総費用は1兆ドルとしており、これに対してそこまでの高額にならないはずとして試算が繰り返されているが、苦労しているようだ。
  8. ロッキード側も折れてF-35の飛行時間単位費用は既存機種よりも高くなると認めつつ、それでも総費用はF-18、F-16、A-10をあわせたよりも低くなると主張し、同機の優位性を訴えてきた。
  9. 時 間単位の運用コストは総費用の構成要素の一つにすぎない。機材の維持管理で長期間使用することがコスト削減で大きな要素となる。同機の開発は順調に進み、 これまでフライトテストの40%が完了している。ただしリスクは依然として存在しており、とくにソフトウェア分野が要注意だが、ケンドールによればF- 35開発は「慎重ながら楽観的」に見ているという。また初期生産で得られた実際の数値をもとにうまく生産はうまく管理がされているという。
  10. ケンドールの部署ではF-35の長期間稼動の可能性を別の角度から検討中だ。ペンタゴンは契約会社各社からのフィードバックを受けてこの検討を完了する。また同機向けのロジスティックスは実績ベースで組み立てるとしている。
  11. なお、F-35各型の飛行時間あたり費用はペンタゴンが議会に最新版のSARを提出する中で開示される見込みで、一ヶ月ほど先になる。■





2013年4月27日土曜日

超極秘ISR無人機の開発状況が議会で話題となる

                      
Shhh... It's Vewwy Secret

aviationweek.com Ares, A Defense Technology Blog

Bill Sweetman 4:12 PM on Apr 23, 2013

ペンタゴンはいつになったらノースロップ・グラマンが超ステルス長距離無人機を製作している事実の一部でも公式発表するのか。同社はグルームレイクで同機のフライトテストを実施する。(この記事を参照AW&ST December 3, 2012 )
  1. 米空軍調達部門の制服組次席トップであるチャールズ・デイビス中将Lt Gen Charles Davisが 極秘情報の一部を下院軍事委員会でもう少しで明らかにするところだった。中将はジョン・ガラマンディ議員(民主、選挙区にはグローバルホーク配属のビール 空軍基地あり)から情報収集、監視、偵察能力計画での米空軍の方向性およびグローバルホーク調達削減を聞かれて回答したのである。
  2. 「U-2およびその他極秘機体でどう穴を埋めるかを注意深く検討しております」と中将は答え、「これ以上の情報は別の席で得てください」としていることから非公開審議の場があることを暗示している。
  3. 極秘UAV調達の時期について中将はUSAFにはブロック30仕様のグローバルホークをこれ以上調達する必要はなく、「その分の予算はもっと優先順位の高い支出にあて」たいと発言している。
  4. 「これまで二十年ほどの間に相当の予算をつぎ込んできたISR用途機があります」と中将は紹介し「運用要求や情報収集でこれまでは制約なしに運行が可能だったものが今後は現状の自由度がなくなることを前提に検討をしているところです」
  5. この極秘UAVはグローバルホークの機体サイズとほぼ同じであるが、ノースロップ・グラマンお得意のジグザグ形の西洋凧の形で、高度ステルス性能と高効率の空力特性を兼ね備えているという。
  6. た だし、同公聴会で暗示された極秘プロジェクトは同機だけではなく、ビル・モラン海軍少将(海軍航空戦部門責任者)からAPG-78AESAレーダーをブ ロック2型のスーパーホーネット全機に装備する予算とは別に「その他プログラムがいくつかあり、詳細は秘密会だけでお話できるものです。それぞれ2014 年度予算では満額がついており、スーパーホーネットを2020年代から30年代初めまでは十分に威力ある機材にできるものです」と発言している。


2013年4月25日木曜日

新型赤外線警戒衛星の配備で中東から太平洋までのミサイル発射はより正確に捕捉できるようになります

Sbirs Gets Second Set Of Eyes In Orbit

By Amy Butler

aviationweek,.com April 23, 2013
Credit: Lockheed Martin

宇宙配備赤外線警戒衛星システムSpace-Based Infrared System (Sbirs) の二号機が「ファーストライト」を達成し、まもなく機能認証を受け年末までに弾道ミサイル発射警報を発信できると期待されている。主契約会社ロッキード・マーティンによるとファーストライトとは赤外線ペイロードのスキャナーとスターターのカバーが取り外されたことを意味する。現在同機は校正中。
  1. Sbirs衛星は地球静止軌道geosynchronous (GEO) orbitに3月19日にケイプカナベラルからアトラスVで打ち上げられた。
  2. . 一号機GEO-1は2011年5月に打ち上げられ、統合戦術警戒攻撃評価Integrated Tactical Warning/Attack Assessment (ITWAA) のメッセージ送信機能は認証待ちの状態だ。認証を受ければ飛来する目標情報を米ミサイル防衛体制に提供できる。空軍はスキャナー機能を最優先し、新型の監 視センサーstaring sensorの認証は後回しにする。
  3. Sbirs 衛星は従来の国防支援衛星システムDefense Support System (DSP)の後継機として発射地点、軌道、目標地点といった標的情報を提供する。情報はミサイル防衛庁の指揮命令戦闘管理通信システムCommand, Control Battle Management and Communications Systemに流れ、海上、地上配備の各種迎撃手段とリンクできる。
  4. GEO-1号機は新型衛星でもありITWAA認証取得は長期間工程となっている。関係者は安全保障上の理由から詳細を語らないが、ロッキード・マーティンによれば同機のスキャナーは微調整後の最終公試中(所要期間30日)であるという。
  5. GEO-2号機は所定位置に移動途中で、定位置につくと二機のGEOが軌道上に配備され、中東から太平洋までミサイル発射を「立体的に」探知することが可能となる。
  6. これと別にスキャン用ペイロードが極秘衛星二機に搭載され高高度楕円軌道で運用中だ。
  7. ロッキード・マーティンはGEO-3の製作を開始しており、HEO-3(高高度地球周回軌道衛星)が今後六週間以内に納入される。同社は空軍にGEO-5および-6の製造を提案しており、9月末までに契約交付の見込みだ。9月は米会計年度の最終月。■


2013年4月24日水曜日

統合参謀本部議長の訪中、平行線の米中軍部トップ主張

In China, U.S. Top Military Officer Defends U.S. Pivot To Asia

By Reuters

aviationweek.com April 22, 2013
Credit: U.S. Navy

米軍トップがアジア重視で再構築中の米外交政策の意義を中国政府関係者の前で主張した。これは中国が米軍増強を批判したことへの返答。
  1. 米国が兵力の「再バランス」と呼ぶ、アフガニスタンの作戦縮小にともない、アジア東部に関心を深めていることに中国は不快感を覚えている。中国によるとこの政策で日本、フィリピン、ベトナムが領土をめぐる対立で勢いを得ているとする。
  2. 統 合参謀本部議長マーティン・デンプシー大将Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Martin Dempsey は米国は「これまでもこれからも太平洋国家である」と発言している。「地域内を安定させる影響勢力となるよう目指す」と同大将は中国国防省での記者会見で 発言。「米国の不在は不安定をもたらすが、常駐が不安定さをもたらすことはない。」
  3. デ ンプシー議長は中国人民解放軍参謀総長房峰輝Fang Fenghuiと記者会見に臨み、これに先立ち両名は会談を終えている。中国国防省は米国に対しアジア太平洋の緊張状態を作っているのは米国だとし、中国 は安全保障上の脅威に直面しているとの発言が先週にあったばかり。
  4. 房参謀長からは北朝鮮が四回目の核実験に踏み切る可能性があると発言が出た。「北朝鮮の核実験阻止を働きかけるとともに核兵器製造も中止させようとしています」
  5. また同参謀長は中国の姿勢は北朝鮮の核実験反対で変わらないと再確認した。中国は北朝鮮の主要支援国だがここ数ヶ月は北朝鮮に苛立ちをあらわし始めている。
  6. 北 朝鮮は開戦を公言し脅かしてきたが、先週に入り交渉の席に戻ると表明した。ただし、条件のひとつに国連制裁解除を求めている。米政府は北朝鮮が核兵器開発 を中止する「明白な兆候」を求めると発言している。北朝鮮は短距離ミサイル発射装置二基を東海岸に移動させ、試射に向けた動きだと韓国報道は伝えている。
  7. 中国がサイバー安全保障でグローバルなルール作りに協力する意思があるのか、との問いに房参謀長はインターネットは「安全を確保しないと、核兵器並みの被害が発生すると言っても過言ではない」と発言している。
  8. 米 中両国は大規模なサイバー侵入事件のたびかさなる発生で相互に非難している。米国は中国発のハッキング攻撃は米政府ならびに民間企業のコンピュータネット ワークが標的で、政府・民間のデータが盗まれたとする。米国を狙うハッカー攻撃の裏には中国軍秘密部隊の存在がある、との報告書が米国コンピューターセ キュリティ分野の民間企業から公表されている。■


2013年4月21日日曜日

オスプレイを艦上輸送機に利用できるか米海軍が評価中

U.S. Navy Assesses Osprey For Carrier Onboard Delivery Mission

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
April 18, 2013CVN-75t: Boeing

米海軍はベル/ボーイングMV-22 オスプレイを艦上輸送機Carrier Onboard Delivery (COD)に転用できるかを検討中で、現用中C-2Aグレイハウンドを近代化するのか後継機種を開発するのか、の決定前に参考としようとしている。同機は 空母ハリー・S・トルーマン(CVN-75)上で初期段階の評価を受けるとウィリアム・モラン海軍少将(海軍航空戦部長)Rear Adm. William Moran, Navy director for air warfareが明らかにした。4月19日より同機を「パレット貨物のサイクル運航」をトルーマン艦上で実施するという。同時に人員輸送も行う。
  1. モラン少将によると空母運用に求められるテンポで同機の運用可能かを検討する。同少将はAviaton Weekに対し下院軍事委員会小委員会の4月17日の聴聞直後に発言している。
  2. 6月に評価は第二段階に入り、海軍の評価委員が空母艦上で6日間連続の「サイクル運用」に同機が投入可能かを見極める。これはV-22に過酷な内容となるが、COD任務では迅速な運航を連続して実施する必要があるためだ。
  3. 次期COD候補にはV-22以外にノースロップ・グラマンC-2改修型がある。モラン少将によると評価作業が完了すれば海軍はMV-22の候補資格を確認できる。ただし予算手当は最速でも2015年度以降となる見込みだ。
  4. V- 22に脈がないとなれば、海軍は随意契約での改修型C-2導入の理由立てに入る。改修型C-2はE-2Dホークアイ早期警戒機と部品の共用性があり、ノー スロップ・グラマンはここを利点として強調しており、艦上での取り回しも実証済みだとする。同社はE-2Dで採用したT56-427Aエンジンを改修型 C-2にも搭載する予定で、新設計の主翼、デジタル式エイビオニクスや機体後部もホークアイと共通化するという。
  5. 同社の言い分ではC-2Aグレイハウンドを改修近代化すれば他の候補よりコストは半分で済むとする。さらに人員貨物の積み下ろし作業はC-2Aで実証済みとする。とくに改修型ではキャビンを与圧するとしており、V-22への優位性を強調している。.
  6. こ れに対しV-22推進派は現時点で与圧は必要なしとする。「V-22の実用上限飛行高度は25,000-ft.で現行のターボプロップ機と同程度。人員輸 送は通常は 8,000-から12,000-ft.で運用して機体運用の最適化を図っています」とベル-ボーイングは説明する。「与圧していない海軍人員輸送フライト では13,000 ftまで飛行が認められています。」 さらにブロックC天候監視レーダー、氷結防止装置、エイビオニクス支援全天候昼間夜間飛行性能と空調性能により人員 にも快適な長距離飛行が可能だとする。
  7. V- 22は空母より小型規模の艦艇での運用が可能(ただし運用証明が必要な場合がある)なので陸上から各艦艇に貨物輸送が直接実施できる。C-2を運用すると ハブアンドスポーク方式で貨物は陸上から大型空母に搬送した後にヘリコプターで小型艦に運んでいる。.このためV-22推進派は直接輸送で大きな節約が実 現できると主張する。
  8. 両社ともに維持管理費用、部品費用はすでに海軍が運用している機種のため安価にできるとしているが、具体的な費用試算は両社ともに明らかにしていない。
  9. これに対しモラン少将によると海軍は選択候補の比較検討をすでに終えているという。現在のCOD機は2020年代までは供用可能としている。■



2013年4月19日金曜日

F-35の時間当たり運用コストはF-16を10%上回る水準になりそう

F-35A Cost Per Flying Hour Exceeds F-16 by 10%


By Amy Butler abutler@aviationweek.com


April 18, 2013


.F-35Aの運用コストはF-16より10%高くなる予想が米政府関係者から出ている。
  1. F- 35開発を統括するクリストファー・ボグデン空軍中将Lt. Gen. Christopher Bogdan がオランダ政府にF-35Aの時間あたり運用コストが24,000米ドルになると明らかにしている。他にF-16とF-35の比較検討結果 が伝えている。空軍スポークスウーマンのナターシャ・ワゴナー大尉Capt. Natasha Waggoner が発表した。
  2. 中将はあくまで速報値としているが、F-35Aの飛行訓練が始まっており、テストも継続中なので収集したデータは多いが、機体寿命全体を反映したものではない。
  3. 機体耐久性テストでどの部品部材で維持管理の手当が必要になるのか、また試算に取り入れる必要があるのかを見極めることができるだろう。
  4. 同機の時間単位運用コストは米国はじめ各国からロッキード・マーティンへ要望されていたもの。F-35開発コストはほぼ2倍になっており、開発日程も大きくずれ込んでいる中で同機の導入を希望する各国は機体価格だけでなく、運用コスト水準でも神経質になっている。
  5. ロッキード・マーティンは開発当初からF-35の運用コストは既存機種より安くなると公言してきた。今年になり同社幹部から「飛行時間あたり運用費用はF-16水準を上回りそう」との発言が出ているが、機体寿命全体の費用は既存機種より安くなるとの主張は変わっていない。
  6. オランダは85機導入という当初案を見直し中で、33機削減して52機導入に変更するとの案が出ている。
  7. 米 海軍の当初の試算ではF-35の機体寿命内のライフサイクルコストでは50年運用の場合1兆ドルを上回るとしていたが、ペンタゴンの費用分析計画評価局 Cost Analysis and Program Evaluation の試算ではF-35三型式を維持する場合の毎年の支出を182億ドルとしており、これは政府会計検査院 Government Accountability Office.が調べた2010年度実績で既存機種で支出した111億ドルをすでに上回っている。
  8. .なお、F-35統合開発室からはF-35B短距離離陸垂直着陸型、F-35C艦載型の時間あたり運用コストの試算はまだ出ていないが、議会に5月あるいは6月に提出する年次調達報告の中で明らかになるとみられる。


コ メント F-35が財務的に維持できないのではないか、というのがこの記事が暗示している内容なのですが、F-16はじめとするレガシー機種の老朽化もど んどん進む中、本当に西側の戦闘機部隊に信頼できる機種が配備されなくなる日が来るのかもしれないと思うとぞっとしますね。いよいよF-3あるいは F/A-XXといった次の世代の機体が求められることになるのでしょう。そうなるとF-35は一体何だったのか、という疑問と一度始めたプロジェクトをこ こで中止できないとすれば今後40から50年間高いコストを払って維持するのか、それとも前倒しで(余分なコストを払って)同機を配備してまもなく廃棄す るのか、という悩ましい問題がまもなく出てくるのではないかと愚考しております。