2014年5月1日木曜日

F-35Bを操縦してみた米海兵隊パイロットの証言



Pilot reaction to flying the F-35B

aviationweek.com Apr 24, 2014by Guy Norris in Ares

F-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)型の初飛行(2008年6月)はBAEシステムズ所属のテストパイロットがしたが、それ以降は同機の操縦性がきわめて正確かつ簡単との話が多く聞かれている。STOVL運用をめぐってもパイロットの間には垂直着陸の「プッシュボタン」で楽にできることに話題が集中しがちで、どうしてもハリアーと比較されてしまい、なれるまでは「ブレンダ―の中に入れたウォールナッツ」音がリフトファンから聞こえるのも気になるようだ。
しかしこれまでのコメントは経験が深い軍あるいは民間のテストパイロット、または経験豊かな教官パイロットで同機の訓練対象に選ばれた人の声。今や海兵隊の現役パイロットでF-35Bを操縦する人数がユマ海兵隊航空基地(アリゾナ州)で増える中、彼らはどう思っているのか。JSFが今夏にも初の海外遠征を英国の航空ショーエアタトゥーとファーンボロで行おうという中その視点には興味をそそるものがある。
ロッキード・マーティンの社内誌Code OneでF-35Bのユマ基地での運用状況を掲載しており、飛行隊の初の有資格パイロット数名への取材も含まれている。同誌取材の3月時点ではパイロット数は16名だったが、その後も名簿は追加されており、同基地で運用中の機体数も増えている。F-35Bの初納入を2012年に受けたVMFA-121飛行中隊も現時点で定数の17機に増えている。
Preparing for a sortie at Yuma (Code One)
では同誌記事から見てみよう。
ブライアン・ミラー大尉Capt. Brian MillerはF/A-18Dから転向組で機種切替を簡略に表現している。「ホーネットでは真ん中に操縦桿がありましたが、F-35はサイドスティック方式です。でもその違いは意識していません。シミュレーターで離着陸を体験すれば、操作系の位置を難なく取扱いできましたよ」
「ハリアーのパイロットはF-35BのSTOVLモードでは以前の経験から有利と考えるでしょうね」とミラー大尉は続ける。「でもF-18パイロットもSTOVLを先入観なしに扱えるので有利なんですよ」.
もうひとりジョナサン・トンプソン大尉 Capt. Jonathan Thompsonは以前はハリアーを操縦していた。「F-35Bはホバリングモードに入ると直感的に動く設計です。従来型機種のパイロットにとってスティック上のボタンを押せば、機体は下がり、スティックを引き起こせば機体は上昇する、と極めて直観的です。これに対してハリアーのホバリング操作では上下移動はスロットル操作で行い、左右移動はスティックで行うものだった。
「ホバリング中のハリアーではスティックを引くことで着陸用のスロットルを絞っていましたが、F-35ではスティックを押し出すことで着陸できます。」(トンプソン大尉) 「つまりF-35のホバリングは簡単に体得できて、自然に操作できます。AV-8を操縦していたパイロットは逆にSTOVLモードが普通に行えるまではもっと慎重に構える必要があります。短距離離陸垂直着陸にはちょっとしたコツが必要ですが、シミュレーターでみんな練習したのですよ」
(Code One)
「F-35の状況把握能力で一番の改善はレーダーです。F-35ではコックピット内のレーダー表示が一番感動的です。簡単に操作できることには驚かされますね。ハリアーのAPG-65レーダーは旧式でしたが、それなりに状況認識に役立ちましたが、AV-8をレーダーなしで操縦した回数は数えきれないですよ。それでもミッションをやり通しましたが、状況認識がないままだったですね」
F-35ではヘルメット搭載のディスプレイで状況認識が増幅される。「ホーネットのパイロットではJHMCS(共用ヘルメット搭載目標指示システム)を以前使った経験がある人がいるでしょう。しかし、レーダー捕捉情報がヴァイザー上に表示されるというのはハリアーとは全く違います」(トンプソン大尉)
Old and new - Harrier and F-35B fly by the Salton Sea. (Code One)
VMFA-121はじめとする海兵隊では新性能を有効活用する戦術方法を開発中だ。「レーダーの性能が安定しており、電子光学的目標捕捉システム(EOTS)の信頼度が高くなっている中、パイロットの技量も向上しており、飛行性能制限が解除されていけば、戦術戦法を検討してその他の方法で従来型戦闘機の先を行く方法を編み出します」(ミラー大尉)「F-35ならこれまでと違う形で実施ができます。まだ戦術開発をはじめたばかりですが」
パイロットたちは同機の性能制限が解除されることを期待している。「400ノットで飛んで4.5gで機体を引くことは全然難しいことではないです。むしろそんな条件は機体の設計想定の一部ですが、実際には戦術上は400ノット以下の飛行は想定しにくいですね」
今後登場するブロック2Bソフトウェアでは兵装搭載量が増え、飛行速度制限もマッハ1.2、5.5g、迎角50度まで広がる。最終的にはマッハ1.6,7gまで可能となる予定。■



2014年4月29日火曜日

謎の機体の正体はB-2だった(と空軍が伝えてきました)


Midwest Mystery Jets are Actually B-2 Stealth Bombers

USNi News By: Dave Majumdar
Published: April 28, 2014 5:14 PM
Updated: April 28, 2014 5:17 PM
A B-2 in 2010. US Air Force Photo
A B-2 in 2010. US Air Force Photo

テキサス州アマリロとカンザス州ウィチタ上空で相次いで目撃荒れた謎のジェット機編隊の正体はノースロップ・グラマンB-2スピリットステルス爆撃機編隊の編隊飛行、と軍関係筋がUSNI Newsに伝えてきた。

「アマリロの編隊はB-2の訓練飛行です」と米空軍関係者がUSNI Newsに4月28日に話している。編隊はニューメキシコ州のメルローズ空軍演習場爆で弾投下訓練をしたのち、からユタ州のテスト訓練地区へ移動途中だったという。

B-2が配備されているミズウリ州ホワイトマン空軍基地から発進し、アマリロを経由地としてメルローズへ向かおうとしていたのだろう。

「カンザス州の写真はカンザス、ミズウリ付近の訓練飛行の可能性があります」と同上米空軍関係者は話す。

これまでの報道で目撃された機体は未知の三角翼機だとされていたが、写真の解像度が低いために誤認されていたもの。写真で見える三角翼形状はB-2の機体が錯視されたもの。

Photo taken by amature photographer Jeff Templin in Kansas on April 16, 2014
Photo taken by amature photographer Jeff Templin in Kansas on April, 16 2014

「写真解像度からすると、軍用機なのかもはっきりせず、まして空軍機であると断言もできません」とジェニファー・キャシディ(米空軍スポークスウーマン)はUSNI Newsに4月21日語っていた。

コメント さあ皆さんはどう思いますか。情報の操作のために別の話をリークするというのは 1947年にもニューメキシコ州ロズウェルでありましたよね。この話題がまた浮上することはないと思いますが、ブラックの世界の内情はなかなかわかりませんね。


2014年4月28日月曜日

DDG-1000カーク艦長に聞く 配備先はサンディエゴ


前回に続き革新的な新型駆逐艦ズムワルトの記事です。今回は艦長になったジェイムズ・カーク大佐(!)へのインタビューですが、有り余る電力を使った今後の発展性が期待されますね。また、三隻ともサンディエゴ配備というのは太平洋をにらんだ意味があるのでしょうか。

Interview: Zumwalt Commander Capt. James Kirk

USNI NEWS By: Cmdr. Daniel Dolan
Published: April 11, 2014 9:34 AM
Updated: April 11, 2014 9:34 AM
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ダニエル・ドーラン中佐が新型駆逐艦ズムワルト(DDG-1000)の艦長ジェイムズ・カーク大佐に3月31日話を聞いた。同艦は次世代駆逐艦として建造される3隻の一号艦で米海軍の建艦史上もっとも高価な艦艇である。多くの新型装備を搭載しながら、乗組員は同規模の艦艇のいずれよりも最小となっている。ドーラン中佐から同艦長に操艦、船体、命名の由来に加え、海軍大学校からの質問が向けられた。なお、インタビューは同艦の命名式典(メイン州バスのジェネラルダイナミクス・バスアイアンワークス)に先立って行われた。
kirk
Have you decided on ship’s motto yet?
艦の標語はもう決まったのですか
.
Pax Proctor Vim(力による平和)としたよ。艦の力強い外観、兵装や発電容量の規模にぴったりだ。同じ標語はUSS Dewey (DLG-41)も採用していて、ここバスで建造されており、当時中佐だったエルモ・ズムワルトが命名している。ズムワルト家には代々受け継がれている家訓があるんだ。話はズムワルト大将が海軍作戦部長時代に実施した改革に対する批判が渦巻いていたときのことだ。提督は「どうやればいいのか」との質問に「学習しつづけるのみ」と答えている。こちらの砕けた表現の方が就役前の乗員にぴったりだと思う。仕事が多く、どうやって実現するかを自問すれば、前向きに学ぶことをつづけるだけとわかるからね。

ズムワルト提督は多くの面で先駆者でした。ひとつには海軍で初めて雇用機会の均等化を実現したことが知られていますね。その名前をとった本艦の乗員とともに艦長はこの伝統をどうまもりますか。

本艦の乗員を見れば、これまで40年間になかったタイプだとわかるよ。だれもが機会を利用できる社会になったことの反映だ。本艦の役割はズムワルト提督と同じように国の求める結果を出すことであり、艦の文化としてズムワルト提督が提唱したのと同じように同じ機会を提供することだ。提督の偉業として機会均等を実現したことがあり、本艦の紋章の周りの綱にねじりが66個入っているがこれは提督の通告Z-Gram第66号、有名な「機会均等」のメッセージに由来している。

人員配備については本艦とLCSを比較してあれこれ批判がでていますが、LCSの教訓とはなんだったのでしょうか。

海軍全体としては教訓は反映されていると思う。たとえばLCSでは保守管理のために乗艦してくる要員があるが、もともとの乗員が保守管理を手伝わないということではない。乗員は適正な契約企業が正しい作業を実施していることを確認する責務があるが、本艦はLCSよりはるかに複雑であり、今後に得られる教訓は数多く出てくるだろうと思う。今後二年間は本艦の設計と能力を試されることになるだろうね。

乗組員わずか130名で艦の安全が保てるのでしょうか。

簡単に言えば「うまくできるはず」だ。艦の防護のために停泊中、航海中ともに確実に行う必要があり、海兵隊予備役部隊との訓練も開始している。海兵隊の考え方で各兵士がライフルマンであるように各水兵が防護の達人である必要がある。艦の被害対策をしっかり理解し、医療対応なども理解させる。

喫水線から上にいくほど狭まるタンブルホーム構造の船体で外洋での操船に疑問を呈する向きがありますが。

海軍水上戦センターの波形プールへ行き、テストをみせてもらったが、結論としてどの艦にも操艦で癖があるもので、操艦上望ましくない状況や波形があるのは確かだが、それが理解できて来たと思う。乗組員には十分な指導をして本艦をどんな状況でも安全に操艦できるようにしつつあるところだ。

操艦に関して、固定ピッチのプロペラが電動推進方式になじむのかと疑問を呈する向きもありますが。

電動推進で固定ピッチプロペラは英海軍のタイプ45駆逐艦でこの数年間運用中だ。本艦ではモーターをタンデム上に配置しているので若干違うところがある。これは公試中に実際に会場で試さないといけない。操艦に関しては「獲物のウサギのちょっと先を狙って射撃する」と一定いることになると思う。操艦の手順は蒸気機関の時代に戻る形になるのではないか。ガスタービン推進で制御可能で逆転できるピッチプロペラとはやはりちがうだろうね。

DDG-1000で実現した技術革新は全く新しい戦術や作戦行動につながるのでしょうか。あるいは乗組員は従来型の艦船での経験をいったん忘れてもう一度やり直すべきでしょうか。

そんなことはない。従来からの水上艦戦闘戦術はそのまま使える。システムが新しいので新しい技術や手順を組まねばならないが、戦術に関する限りは今ある指導書で十分だ。一つ例外は砲術で射程63海里で一定量を精密に砲撃する能力があるので、これは戦術を新たに組む必要がある。火器管制もこの砲を使う対空射撃ではトマホークを発射するのとは手順が変わってくる。そういう意味で大部分ではご質問に対してはノーだが新システムでは若干追加作業が必要となりますね。

すでに戦術教本はできているんですか、あるいは乗組員がこれから編纂するのでしょうか。

戦術教本の原稿はある。乗組員は勉強を始めているよ。艦隊に編入されるまでに完成させる。乗組員は当地に半年前に到着しているが、ほとんどが座学の状態だ。今後は艦上で実地訓練をふやし、システムや艦内スペースに慣熟させて、パワーポインンではなく実際に運用できるようにする。、

本艦の母港はきまったのですか。
.
DDG-1000級三隻はサンディエゴに配備される。各艦が戦力化するまではどこであれ海軍の指示により移動するだろう。

海軍大学校教授ジム・ホームズは著書 Red Star Over the Pacific で「単価40億ドルの艦を投入するだけの理由がある緊急事態があるだろうか」と疑問を呈していますが。

指揮官としてみる限り、Phase-II作戦段階に入れば、本艦を投入する意義はたくさんあると思う。艦隊に編入されれば、本艦はPhase-I段階で有効な抑止力となり、Phase-0でも有益な手段になる。本艦の能力はけんかになれば十分に頼りになるものと重宝がられるだろう。

アジア関連の著名な専門家トシ・ヨシハラ教授はこう言っています。「DDG-1000がアジアへの兵力再配備に適合するだろうか」

本艦と同時に乗組員の対応体制を整えるのが第一の仕事だが、もし私が文官あるいは武官の上位者に助言をするとしたら、DDG-1000を太平洋に配置することは公約した政策を実施していると示す良い方法だと言うだろう。USSズムワルトを太平洋で運用するのは目で見てわかる有効なアクションであり、我が国のアジア重視を示す方法になるだろう。

その点をさらにつづけると現在のアジア情勢で懸念で考えることはありませんか。

ある。戦略レベルで領土対立や一触即発の敵視が歴史上の行為をめぐって存在するのは地域内の安定を一気にくずしかねない。毎週毎週毎月毎月地域の大国間で摩擦が発生し、相互作用が繰り返されているようだ。戦術作戦レベルでは技術の進歩と普及により海洋領有権がこれまでよりも対立要素になっている。西太平洋部隊で経験をつんできた小官としては1990年代の冷戦末期が参考になると思う。当時は海洋環境を適切に評価し、我が国の戦力投射能力を再配備しているのはFrom the Sea 、さらに後日Forward, From the Seaで示された非常に知的な視点を現実にしている。その後数年間にわたり、振り子は逆に振ってきて、「海に戻る」必要が我々の思考に生まれ、投資もそれに応じるべきだろうと思う。

Neptune’s Infernoやヒュー大佐のFleet Tactics and Coastal Combat は愛読書で制海権の確保がどうして必要なのかを教えてくれるからだが、航空部隊は有効な右フックを提供してくれるし、他より優れたリーチが可能で大きな可能性を見せてくれる。潜水艦部隊はアッパーカットで接近戦で有効だ。だが制海権の確保にはジャブや敵のパンチをかわすパーリも必要だ。

ボクサーならジャブとパーリが両方必要だ。バーリは向かってくる投打の効果を鈍らせ、ジャブは敵を損失させるもの。

水上艦部隊は敵に連続して対抗し、敵を危険に陥れることが可能だ。とくに敵の交戦が我が国を目標としていない場合や場所で有効だ。もし敵が先に手を出せば、わが方には防衛しつつ迅速に反撃する能力が必要だ。敵の攻撃を防ぎ迅速に敵を攻撃することこそ絶対不可欠だ。部隊にリスクがあっても防衛行動が必要なら、水上部隊こそこのミッションを実施できる唯一の存在となる。

最後に制海権をめぐり、艦長はマハン派あるいはコーベット派ですか、つまり海上優越性をあらゆる箇所で常時確保すべきか、それとも必要な場所と必要な時に確保すればよいと考えますか。

必要な事態で必要な個所で確保すればよいと思う。海上優越性は都合の良い考えだと思うね。任意の場所と時間で海洋を制圧できる力があり、敵の自由にさせない力があればエスカレーションの防止が可能だ。海上支配ができればいっぺんにエスカレーションすることが防げる。ツキディデスの言葉を借りれば敵を海上で敗り、敵の名誉、利益に損害を与え、恐怖を植え付けることだが、支配権を守ることにもなり、地上兵力を上陸させ、重要な施設を攻撃し、敵の沿岸地域へ侵攻し、わが方の意図に住民を従わせること。もし交戦の結果が敵を撃破することが海空軍力を撃滅しつつ敵領土への損害を制約すれば、複雑かつ危険度の高い地政学的状況においては極めて有益な国家政策の実現手段になりうると思う。その意味で制海権には大きな戦略的意義がある。海を舞台に戦術的な交戦で勝利を収める手段があれば、防衛的な姿勢を戦略上もとりつつ、政治上の目的を限定つきでも達成する方法としてはとても有益だと思う。同時にエスカレーションの危険も押さえれば。たくさんの国家が人類を全滅させる能力を有している状況では恐ろしい損害を解き放す能力は恐怖、名誉、権益が混ざり合った状態で実際にその手段の実行に余儀なくなる状況に追いやられるので、優れた制海権の確保が可能な手段を持つことがこれに対する保険の役割を果たすと思う。■k

2014年4月27日日曜日

DDG-1000ズムワルトは未来志向の新世代駆逐艦


21世紀の新型駆逐艦(といっても巡洋艦クラスですが)のズムワルト級一号艦がこのたび命名式をおえ、就役に一歩近づきました。以下海軍水上部隊部長が Navy Times に解説記事を寄稿していますので、その内容を見てみましょう。ただし同級は大幅に規模が縮小されて3隻しか建造されないのですがね。


USS Zumwalt: Building the Future

– APRIL 17, 2014 POSTED IN: INSIDE THE NAVY, SURFACE
By Rear Adm. Thomas Rowden, Director of Surface Warfare, N96
先週の週末にメイン州バスでエルモ・ズムワルト提督の遺児がシャンペンのビンをUSSズムワルト(DDG1000)の舳にぶつけ公式に命名を与え、21世紀の駆逐艦が米海軍の水上艦艇の新しい歴史を開いた。
  1. エルモ・R・「バド」・ズムワルトジュニアは第19代海軍作戦部長(1970-1974年)で海軍最高位に着いた最年少の提督。ズムワルトは時代遅れの人事制度その他を果断に変革し、21世紀につながる海軍の基礎を作った。
  2. その提督の名前を与えられた本艦は一般的な駆逐艦の概念に挑戦するものである。USSズムワルトは世界で最も革新的な軍艦であり、米国の建艦技術の進歩を反映している。
The Zumwalt-class guided-missile destroyer DDG 1000 is floated out of dry dock at the General Dynamics Bath Iron Works shipyard.
ズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦DDG 1000が乾ドックから海上に引き出された。ジェネラルダイナミックス社バスアイアンワークス造船所
  1. DDG1000ステルス駆逐艦3隻の一番艦であるUSSズムワルトは全長610フィートでこれまでどおりの制海任務や兵力投射の任務にあたる。船体はタンブルホーム型(喫水線より上が狭まる)で波浪を「貫通」しつつ敵レーダーに見つかりにくい。推進力は統合動力システムも備えたUSSズムワルトは米海軍の建艦史上最大の駆逐艦である。高性能技術による兵装と生存システムを備え、いかなる脅威にも対応可能であり今後数十年間にわたりその地位を維持する。統合推進力、高性能主砲、SPY-3レーダーとMK57発射装置を装備した同艦は米海軍が今後も各地で支配力を維持する意味で重要な存在だ。

  1. 統合推進力システムは全電動で全艦に電力を供給するほか、推進力、兵装システム他艦内維持を電動でおこなう。発電能力は78メガワットあり、一般家庭47千軒に十分配電できる規模だ。十分な発電量があるので同艦は将来のレイルガンやレーザー兵器の搭載に理想的な環境だ。艦には将来の搭載に十分なスペースと電力余裕が残されている。

  1. 高性能主砲システムは155ミリメートル長距離陸上攻撃砲弾を最大70マイル発射するもので、水上艦艇により前例のない射程と精度で陸上の海兵隊、陸軍、特殊作戦部隊を支援できる。

  1. SPY-3レーダーは高性能対艦、対巡航ミサイル用でビーム幅が狭いため高度に正確で広い周波数帯域をもたせてあるので、低高度飛行目標を識別するほか、SM-2や改良型スパロウミサイルに目標照準を提供することが可能。

An artist's rendering of DDG 1000.
An artist’s rendering of DDG 1000.
  1. MK57は新設計の垂直発射システムで船体の外側で厚さ4インチの鋼鉄板で周囲を囲み高温のミサイル発射の影響を最小限に食い止める。80セルで発射可能な装備はスタンダードミサイル、垂直発射型ASROC、ESSMや陸上攻撃用トマホークミサイルがある。このシステムはオープンアーキテクチャが特徴で電子装置はモジュラー構成は今後導入される新型ミサイルにも対応可能だ。

  1. USSズムワルトの就役で海軍は紛争の各段階で主導的立場を維持することができ、海上交通路の確保を確実にする。ライフサイクルでのコスト削減を狙い、同艦は将来の敵の脅威に対応可能だろう。

  1. 単独行動するミサイル発射艦として、あるいは艦隊の一部として、または多国籍軍の一員として本艦は十分かつ全ての局面で能力を発揮し、制海権を大洋、沿海のいずれでも確保し、これを今後数十年保持できるだろう。■

2014年4月25日金曜日

☆ ステルスに限界が見えたとき、電子戦機はどこまで頼りになるのか



これまでも取り上げてきましたが、海軍のEA-18Gは当面唯一の電子戦機としてその役割に空軍も期待しているようでこのままいけば、追加調達もすんなりと議会を通りそうです。ただ空軍と海軍の見解の相違、さらにボーイングとロッキードの主張にも相当の差があるようで、こんなことで本当に近い将来のA2AD環境への攻撃作戦が実施できるのか不安になってきますね。それにしても日本はこの分野で大きく遅れをとっていると思いませんか。まさかF-35があれば大丈夫と思っているのでしょうか。

Stealth Vs. Electronic Attack

USNI News
By: Dave Majumdar
Published: April 21, 2014 6:19 AM
Updated: April 21, 2014 8:25 AM
An F-35C Lightning II aircraft on Aug. 14, 2013 at Eglin Air Force Base, Fla. US Navy Photo
F-35CライトニングII、エグリン米空軍基地(フロリダ州)にて、
2013年8月14日、写真 米空軍 

  1. 接近阻止領域(A2AD)へはステルスと電子攻撃能力を組み合わせて対抗すると海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将 Adm. Jonathan Greenertが米海軍協会の年次総会(4月16日、ワシントンDC)で述べている。

  1. 「ステルスの先を見通すと、ステルス性だけでなく敵の電子電磁発信を制圧する性能のある航空機が必要だ」

  1. グリナート大将が言わんとするのは電子攻撃だけでは米軍は将来の敵の防空網を突破できないということで、同じ意見が軍と業界筋から出ている。

  1. 同大将は「将来の米軍がすべてを制圧できるか疑わしいが、次世代ジャマーは将来の侵攻・撤収時に威力を発揮するだろう」と発言。

  1. グリナート大将の発言は大方でボーイングが先週行った海軍連盟での展示内容を反映している。その席上で同社副社長マイク・ギボンス Mike Gibbons (F/A-18E/FおよびEA-18G担当)がステルス機には電子攻撃機の支援が必要と発言している。


  1. 「侵入時には一つの周波数帯へ対抗するだけでは不十分です。他の周波数帯で探知される可能性があるからであり、ここがカギです」とギボンスは説明。「グラウラーは全周波数に対応できるセンサーとジャミング能力を備えた唯一の機種で、攻撃機支援が可能です」


  1. ボーイングのプレゼンテーションでは低探知性技術は「なま物」だとし、敵方が高性能低周波レーダーや信号処理で進展をとげれば有効性は減じると主張。
Boeing Presentation
Boeing Presentation

  1. 「ステルスとは『探知されるのを遅らせる』にすぎず、この遅れは短くなってきています。地対空ミサイル用レーダーが使用する周波数が低くなっており、米国のステルス機は効果が減ってきています」とボーイングでF/A-18E/F およびEA-18Gの性能改修を統括するマーク・ギャモン Mark Gammon, Boeing’s F/A-18E/F and EA-18G program manager for advanced capabilitiesは説明している。「VHFを使う早期警戒レーダーでステルス性が下がります。各レーダーはSAM管制用レーダーとネットワーク化されており、探知が容易になっています。ステルスだけでは対抗できないIRST(赤外線探知追跡)システムが登場しています。」


  1. このボーイングの見解を軍関係者にUSNI Newsから紹介したところ、完全に同意したのは一部で、反発も一部、ほとんどは微妙な反応だった。


  1. 「ボーイングはF-35を全面攻撃しているのだろう。グラウラーの利点は強調しつつ、その内容は誤っていないが、長所の裏にある代償には目をつむっている。グラウラーと低視認性機体はお互いに補完するのは事実だ」と米空軍関係者は語る。

  1. ロッキード・マーティン社はF-35は強固に防衛された空域にいかなる支援なしに侵入できると主張している。

  1. 「政府契約により同機は脅威度が高い接近拒否環境に侵入が可能になることになっており、自律的にミッションを実施し帰還することが可能」とロッキードでF-35の国内向け事業開発担当役員エリック・ヴァン・カンプ Eric Van Campは説明する。「飛行試験結果からも同機はこの契約の要求水準に合致してることがはっきりとわかる」

An EA-18G Growler from the "Shadowhawks" of Electronic Attack Squadron (VAQ) 141 prepares to make an arrested landing on the flight deck of the U.S. Navy's forward-deployed aircraft carrier USS George Washington (CVN-73) in 2013 US Navy Photo
電子戦飛行隊(VAQ)141「シャドウホークス」のEA-18Gグラウラーが米海軍の前方配備航空母艦USSジョージ・ワシントン(CVN-73)で拘束着陸を行おうとしている。写真米海軍

  1. 戦術機サイズのステルス航空機に高周波帯(C,XやKuバンドなど)に対抗する必要があるのはその通りだが、現実には別の手段で探知・追跡を困難にできる。

  1. 航空業界、空軍、海軍関係者は同様にレーダー周波数波形が一定の想定範囲を超え共鳴効果resonant effectを発生させれば低視認性機体の「段階的変更」が必要になると認めている。共鳴が発生するのは航空機の尾翼などが特定の周波数の波長の8倍を超える場合である。

  1. 小型ステルス機にはレーダー吸収剤を2フィート以上塗布できる余裕がないので表面の各部分はそれぞれ特定の周波数に特化した対応をすることでしのいでいるのが現状だ。

  1. 低周波数帯(SやLバンド)で運用するレーダーなら民間航空管制用でもステルス機をある程度探知追尾することが可能になる。

  1. ただし大型ステルス機の例としてノースロップ・グラマンB-2スピリットでは共鳴効果を生む特徴が少なく低周波レーダーにもF-35より有効に対処できる。


  1. だが低周波レーダーではペンタゴンが「軍用仕様」“weapons quality” と呼ぶミサイルを目標まで誘導する能力がないし、「航空管制レーダーで低視認性機が発見できたとしても、火器管制システムがなければ撃墜は不可能」と空軍関係者は言う。

  1. 一方でロシア、中国他が高性能UHF、VHF帯を利用した早期警戒レーダーを開発中で、これまでより長い波長を使い他のセンサーを追尾させ迎撃戦闘機にある程度の敵位置情報を与えることが可能となる。

  1. とはいうもののVHFやUHF帯レーダーにも問題があり、米海軍関係者がUSNI Newsに語ってくれたのは波長が長くなるとレーダー解像セルも大きくなることだ。つまり兵器を誘導させるだけの正確な追尾ができない。

  1. ただ空軍、海軍、海兵隊関係者が異口同音に言うのはF-35やF-22のような航空機は低視認性だけでは生存はできないことだ。

  1. ある空軍関係者の説明ではステルスと電子攻撃は常にシナジー関係にあり、信号体雑音比signal to noise ratioで探知されるからだという。低視認性で信号を減らせるが、電子攻撃で雑音が増える。「A2/AD対抗策ではこの両方で解決を迫られる」というのだ。

  1. 空軍と海兵隊関係者からはボーイングの指摘した、F-35にはXバンドによる電子攻撃しかなく、その有効範囲が前方にある、との指摘に異議を唱えている。「後方有効範囲は現状のどの機体でも装備されているかいないか明かせない。ただしパッケージで実現している。その場合はEA-18が必要だ」と空軍関係者は指摘する。

  1. しかしながら空軍・海兵隊関係者はグラウラーは今後出現する脅威対象に有効ではなくなると言い、F-35の電子戦能力向上案があるという。

  1. 「グラウラー自体は信頼できる機体だが、高度のA2/AD地帯では対応が限定される」と空軍関係者は言う。「現時点で最新鋭としても今後予想される環境ではジャミング機体として適当なのかわからない」

  1. にもかかわらず、複数の空軍関係者がグラウラー追加調達の拡大案を支持する。「グラウラーは有益な機体で機数をふやすべきだし、高性能のIADS(統合防空システム)に対する攻撃パッケージの中で重要な部分となる。ボーイングのいうような単独での有効性はない」

  1. だが、そういう関係者もグラウラーは共同編成部隊で相互運用性が完璧でないと指摘している。「グラウラーで未解決なのは攻撃用機材との間の問題だ。」という。

  1. 一方で「ボーイングにとっては共用作戦運用が限定される機体を広めることで利点が生まれる。SEAD/DEAD(敵防空体制制圧・敵防空体制破壊)ミッション用の他社製機体とうまく連携できない機体だが、戦闘実施にはあまり意味がない」

  1. 業界筋もグラウラーには共同作戦実施で問題があることを認める。とくに空軍機材との共同作戦でだが、グラウラーだけの問題ではない。たとえばロッキードF-22が編隊中データリンク (IFDL)を使えるのは他のF-22との間だけだし、F-35は共用打撃戦闘機同士でしか使えない多機能高性能データリンク(MADL)がある。「これはエアシーバトル室が解決を迫られている大きな問題の一部にすぎない」と業界筋は解説する。

  1. ボーイングのギャモンはEA-18Gの相互作戦運用能力を弁護している。「グラウラーにはリンク16を装備しており、F/A-18スーパーホーネット、F-35, E-2D、F-15、F-16他爆撃機各種と互換性を確保しています。グラウラーは脅威から距離を置くスタンドオフが可能なのが利点で、そのままでEM(電子電磁)マップを作成し、リンク16経由で兵器照準を支援します。さらにTTNT(戦術目標捕捉ネットワーク技術)がここに加わります。」

  1. 業界筋からはF-35へリンク16搭載案があるが、同機では脅威度が高い空域では全方向性を持つ同リンクは使用できない、なぜなら同機の位置をさらしてしまうからだと説明があった。「F-35のように自機のリンク16で発信を避けたい機材はグラウラーからのリンク16発信を受信して、その指示で兵装を使うことになる」という。

  1. 空軍関係者もEA-18Gの追加調達は必要だと認める。「そもそも初回調達機数が少なかった」と空軍関係者は語る。「同機には同じ重量の黄金の価値があり、ES(電子電磁スペクトラム)による状況把握、EA(電子攻撃)部隊両面で多大な貢献が可能。しかしLIMFAC(限定条件)は常に空母運用による飛行サイクル回数がついてまわることだ」
Boeing Presentation.
Boeing Presentation.

  1. 海軍関係者からは空母運用によりサイクルが限定されるのはグラウラーにAGM-88E高性能対放射線誘導ミサイル(AARGM)あるいは高速対放射線ミサイル(HARM)のようなミサイル発射任務を想定する場合だけだという。同関係者によれば空中給油の実施で海軍の戦闘機が6時間以上耐空するのは普通だという。「もしグラウラーがHARMを全弾発射して再装填するため着艦するとサイクル回数を考慮しなくてはいけないが、現実的にはスタンドオフでジャミングにあたるはずで、HARMを発射するのは防御の想定だけです。」 つまり、着陸し、燃料補給し、乗員を交代させ、点検修理を一定の間隔で実施するのはどの機体にも必要なことではないか、というのである。

  1. ボーイングも自社グラウラーを対空あるいは攻撃任務に投入する可能性が説明している。ギャモンもEA-18Gをそのような任務に使用するのは同社のこれまでの説明とは異なるが、展示では上掲の図を使い、「対空任務ではグラウラーはESM(電子支援装備)を使い、味方戦闘機の敵捕捉を支援し、敵の識別を行うのがもっと重要だ。グラウラーはこれをスタンドオフ位置から実施しても、十分なSA(状況把握)とID(識別)が可能だ」

  1. ギャモンからはEA-18Gを対地攻撃に投入した場合の説明もあった。「グラウラーは敵の戦闘隊形をEMで把握し、敵の発信源を識別し、司令塔の役割をEMで行い、どれをジャム、攻撃あるいは回避する対象とするか決定する。グラウラーはAARGMなどの兵器を発信源に発射するほか、味方攻撃機に交戦情報を提供する」

  1. 海軍関係者はグラウラーを戦闘指揮統制機材として使用する想定だが、同機を直接攻撃任務につかせるとか制空任務にに投入する考えはないという。

  1. 業界筋もグラウラーを制空戦闘機あるいは攻撃戦闘機として投入する可能性はないが、投入されれば重要な役目は果たせるとみる。「グラウラーでJDAM(共用直接攻撃爆弾)を投下することはないが、攻撃任務の他の戦闘機に目標まで誘導させることで支援は可能だろう」

  1. グラウラー追加調達には幅広い支援があるが、それでもさらに進歩したA2/ADの脅威に単独で解決を提供することにはならない。
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  1. 「ステルスには欠点もあるが、第四世代機でも新型ジャミングポッドを搭載すれば将来のIADSにも実用的な解決策になる。米空軍はポッドを大量導入するのはまちがいない」と米空軍関係者は言う。■


★★★カンザス州でも目撃された謎の機体の正体を探る



Analysis: Mystery Plane Seen Over Kansas Likely U.S. Military Aircraft

USNI News By: Dave Majumdar
Published: April 23, 2014 10:48 AM
Updated: April 23, 2014 11:02 AM
Photo taken by amature photographer Jeff Templin in Kansas on April, 16 2014
ジェフ・テンプリンがカンザス州上空で2014年4月16日に撮影した写真

  1. 謎の三角翼機が数回にわたり米大陸部の上空で目撃されており、直近はカンザス州ウィチタ上空で見つかっているが、その正体は米軍の航空機である可能性が高いと軍事情報から判明した。

  1. 極秘米軍機であるとされるが、実際にどんな機種なのかを判別するには情報が少なすぎる。

  1. アマチュア写真家ジェフ・テンプリン Jeff Templin は頭上を飛行する航空機の画像を400mmレンズでとらえている。テンプリンによると同機は数回Sターンをし飛行機雲を残したという。

  1. 3月10日にはテキサス州アマリロで2名のカメラマンが同型の航空機が3機飛行しているところを撮影に成功している。

  1. テキサスの写真では詳細が見えなかったが、テンプリンの写真では謎の機体の三角形形状がはっきり見える。その形は米海軍のジェネラルダイナミクス/マクダネルダグラスのA-12アヴェンジャーII艦載攻撃機によく似ているが同機は1991年1月に開発取り消しになっている。


  1. 「写真の解像度から見て軍用機なのか不明ですし、ましてや米空軍所属機だとはわかりません」と米空軍スポークすウーマンジェニファー・キャシディーがUSNI News取材に答えている。FAAは単刀直入に「知らない」と答えている。海軍関係者も正体を推察する情報を出していない。一方、中央情報局は一切反応していない。

  1. その中で空軍関係者のひとりが同機が空軍所属の可能性があると認めたが、それ以上は語っていない。

  1. 飛行機雲を残していることから、飛行高度は 26,000 ft 以上のはずである。NASAによれば26,000 ft以上で飛行機雲が形成される。また同機が複数のエンジンを搭載していることも分かる。

  1. この身元不明のジェット機が有人機であることは確実なのはFAAが厳しい制限を無人機に課しており、衝突回避機能がない無人機はFAAが国内の飛行を認めていない。

  1. テキサス上空を編隊飛行した機体と今回のカンザス州で目撃された機体が同じなら、有人戦闘航空機の可能性が急浮上する。軍用機以外の航空機が編隊飛行することはめったになく、また軍用機でも戦闘用途以外の機体でも少ない。

  1. もう一つの可能性は、テキサス州上空を編隊飛行した三機が無人機を指揮統制する有人機版だったとするもの。無人機を有人型に改造したものが編隊の先頭を飛ぶことはありうる。.

  1. 業界筋もテキサス、カンザス上空で目撃された機体があえて関心を集めるために飛行した可能性を指摘するが、国防総省や情報機関が極秘機を昼間に飛行させ写真撮影を許すとは極めて考えにくい。

  1. もし謎の三角翼機が極秘裏に開発された機体なら、数年間にわたり開発テストが実施されている可能性は高いし、今年になって初めて撮影されるよりずっと前から開始されていただろう。そうなれば同機が米軍の装備体系にすでに組み込まれている可能性は高く、これで同機が数回にわたり目撃されている理由の説明がつく。


  1. そうであれば、ロッキード・マーティンF-117ナイトホークの事例が参考になる。1980年代末に空軍は同機を初めて昼間飛行することを許し同機を正式に装備体系に組み入れた。空軍は同機の秘密がばれるのは時間の問題だとわかっていたのだ。そこで空軍は声明文を準備していた。もっと鮮明な写真が撮影されれば、情報開示が進む可能性はある。

  1. もう一つ最近では空軍がロッキード・マーティンRQ-170 センティネル無人偵察機の存在を公表した例がある。これは同機がアフガニスタンで繰り返し撮影されてしまったためだ。■


コメント 飛行機雲を見る限りでは通常型のエンジンを搭載しているようですね。
有人機が無人機の編隊長となる新型の運用コンセプトの実証でしょうか。もちろんあえて事実をカバーするためのリークもあるのですべてうのみにはできないのですが、ブラックの世界では確実に新型機の開発がすすんでいるようですね。

2014年4月23日水曜日

韓国に墜落した無人機は中国製だったのか 気になる写真が見つかりました


韓国で相次ぎ発見された無人機に非常に似た製品が中国にあることが判明しました。以前に発見された機体にはハングルが書いてあったそうなので、仮に中国製の機体だったとしてもなんらかの手を加えていたことになります。また中国製の機体だったら我が国のものではないと主張する北朝鮮のロジックが一部にせよ正しいことになりますかね。


More Photos of Chinese UAS Found in South Korea

UAS Vision, 23 April 2014
Sky-09H Launch

韓国で墜落しているのが見つかった無人機と外観が似た中国製Sky-09P無人機の写真数点が入手できた。今回の新しい写真では同機の底部の詳細およびパチンコ式発射システムがわかる。


写真は北京中交通信科技有限公司China Trancomm Technologiesのウェブサイトで公開されているもので、同社はSky-09P他のUASを販売しているようだ。

Sky-09Pの底部にはゴムパッドらしきものが数か所に見られ、機体は主翼の起点近くの数点で発射機に乗せられている。韓国国内でみつかったUASの底部にもよく似たパッドが見られ、機体側面には追加パッドが左右に見られるが、発射機に搭載する場所に近い点についている。
Korea 2

中国からの写真では左右の翼の端近くに暗くなっている個所がいくつか見られ、制御ケーブルのように見える。韓国で撮影された写真では制御ケーブルに似たものが確認できる。その部分は黒で塗装されていないが、主翼の一部に長方形部分が確認できる。

その他の類似点は以下の通り:
Korea 1

北京中交通信科技有限公司のウェブサイトではカメラ搭載システムが複数利用できることを示している。その中には小型ビデオカメラ用、デジタル一眼レフ用、他4台のデジタル一眼で3D撮影が可能とうたっている。韓国で発見された機体にはデジタル一眼レフ一台が搭載されていたが、韓国国防省の発表した画像ではどこまで中国製の機体と類似しているか不明確だ。

そこで今回の画像により韓国で発見されたUASはSky-09Pあるいは北朝鮮が同機をもとに作成した類似機であるとの仮説が出てくる。

Sky-09P本体と操縦装置を梱包した場合の写真は以下のとおりだ。無人機が撮影したサンプル写真もあるが、画像の解像度は搭載するカメラに依存するものであり、機体は無関係。
Sky-09P Pack


追記 北京中交通信科技有限公司は「当社は無関係」とし、事件の微妙な点もあり、発見された機体の製造元とされることを拒んでいる。「当社はこれまで該当する無人機を公に販売した実績はありません」

2014年4月21日月曜日

非常に理解しにくいF-35の機体単価 削減の矛先はP&Wに向けられています


F-35 Chief Puts Heat On Pratt's F-35 Engine Cost

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com April 17, 2014


F-35調達コストで米国分担分が昨年だけで45億ドル上昇したのは「コスト曲線」あるいは機体製造費用が大幅に下がるはずと過剰なまでに楽観的な見方があったためだとF-35開発を統括する米空軍クリストファー・ボグデン中将 Lt. Gen. Christopher Bogdan は見ている。.
  1. 実績が予測を下回ったのには二つの理由がある。主契約企業やその他協力企業の費用と、JSF購入を先送りする傾向が各国にあるためだ。費用低下では従来はロッキード・マーティンに圧力がかかってきたが、ボグデン中将の照準は今やエンジンメーカーのプラット&ホイットニーに向けられている。
  2. 「エンジンでも価格カーブを想定していた。プラットは約束を満たしていない。全然だめだ」と同中将は取材陣に話している。.
  3. 米議会の求めで作成された2013年度報告書では米国の負担額は開発、調達、55年間供用含み総額3,986億ドル(約40.7兆円)で、前年度は3,912億ドルだった。上昇分のうち45億ドルが調達関連だ。
  4. ボグデン中将は全体額の中で上昇分は無視できる規模だとしながら、契約企業の価格設定には不満の様子だ。
  5. これに対しプラット&ホイットニーは最初のロットとの比較で価格を4割下げていると主張するが、F-35では単一エンジン供給元の立場から実際の数字を一切公表していない。
  6. ボグデン中将の不満はエンジン単独供給元に対して交渉力の切り札がないことだ。「エンジンの選択肢がないままではコストをさげさせる有効な手段がみつからない」
  7. F-35の平均機体単価は開発、調達、維持の各費用と未公表のプラットのF135エンジン含め130百万ドル(約133億円)で米国は2,443機を調達する予定だ。飛行可能な状態での機体単価(総費用を2,443で割る)は104.8百万ドル(約106.9億円)となる。二つの数字は米国の想定導入機数を前提としている。
  8. 価格をさらに下げる要因として韓国、シンガポール、イスラエルの購入が実現することがある。ただし、カナダ、トルコ、オランダが子導入を先送りしているので、短期的に価格が上がる要因になっている。ボグデン中将は結局価格を下げる要因は差し引きゼロになるとみている。
  9. もっと多くの調達引き合いがあることを期待しながら、ボグデン中将はロッキードとプラットに部品等をまとめ買いしてスケールメリットを生かすよう求めている。「強制予算削減も二年目に入り、F-35も無傷のままではいられない。」(ボグデン中将) この点でプラットがロッキードよりも先行しているのはF135の部品等で商用エンジン含む他製品と共通性が高いためだ。
  10. 78億ドルの上昇分で別の要員は為替レート変動とインフレーションによる補正だ。約3割の機体部品は米国外から調達しており、多くは英国のBAEシステムズとイタリアのアレニアだが、ドルやウ傾向がポンドとユーロ相手に続いていることがその理由だ。
  11. もともと量産開始は2018年とみていたが、関係者もこれが2019年にずれ込むと認めている。ボグデン中将は量産が開始されれば飛行可能な状態の機体単価は85百万ドル(約87億円)以下になると今でも期待している。■

2014年4月20日日曜日

UCLASS提案依頼書がまとまる



Navy Issues Restricted UCLASS Draft Request for Proposal

USNI News By: Dave Majumdar
Published: April 17, 2014 5:35 PM
Updated: April 17, 2014 6:50 PMNorthrop Grumman's X-47B flies over USS George H.W. Bush (CVN-77) on May 14, 2013. US Naval Institute Photo
Northrop Grumman’s X-47B flies over USS George H.W. Bush (CVN-77) on May 14, 2013. US Naval Institute Photo

米海軍がUCLASS無人艦載監視偵察攻撃機の提案依頼書原案を17日午後発表した。
  1. 提案依頼書原案は同機開発の予備設計審査に参画中の四社に送付されている、と海軍航空システムズ本部 (NAVAIR) が発表し、原案の目標は各社にUCLASSに必要な各要素を統合することを求めることと説明。送付先はジェネラルアトミックス航空システムズ、ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社。
  2. なお、提案依頼書原案は当初2013年中に発出予定だったが要求性能の方向性の違いが表面化し遅れていたもの。
  3. 最終版が今年中に出るものとみられる。
  4. しかしながら上位要求内容は昨年4月から変更ないとマット・ウィンター少将(NAVAIR無人機計画主査)Rear Adm. Mat Winter, NAVAIR’s program executive officer for unmanned aviation and strike weapons は明らかにしている。
  5. ウィンター少将によればUCLASSのめざす目標の中心は制空権の確保された空域内で「戦術上の意味がある範囲内で」24時間、毎日ISR(情報収集・監視・偵察)飛行を実施することだ。同時に軽攻撃能力ももたせる。
  6. ウィンター少将からはUCLASSはオープンアーキテクチャ設計として改修が簡単にできるようにするとの発言もあった。
  7. ただし、UCLASSが2020年の初期作戦能力獲得目標を達成できるためには開発・試験で相当強引な日程消化が前提となる。■