2014年11月19日水曜日

アイアンドーム機能強化を目指すイスラエルの頼みの綱は米国資金援助


ミサイル防衛(イスラエルの場合は迫撃砲やロケット弾が中心でしょうが)で世界の一歩先をゆくイスラエルの成果の陰に米国の支援が不可欠だというお話です。

Israel Fortifies Iron Dome for Future War

Credits US Support in Race To Outrun Surging Threats

Nov. 8, 2014 - 04:35PM   |  
By BARBARA OPALL-ROME   |   Comments

ISRAEL-PALESTINIAN-CONFLICT-GAZA
イスラエルのアイアンドームから発射されたミサイルがガザから飛来した短距離ロケット弾を迎撃している。8月22日撮影。一スラエルは一層強力な脅威に対応すべくシステムの強化を図っている。 (JACK GUEZ/ / AFP/Getty Images)

TEL AVIV —イスラエルは米国政府の潤沢な予算に加えガザ紛争50日間の対ロケット迎撃作戦の教訓を生かしアイアンドームを強化し、今後の脅威にも対応可能にする。
  1. レバノンに本拠を構えるヒズボラから推定1万発のロケット弾が撃ち込まれたが、イスラエル関係者によれば今回は小手調べにすぎないという。
  2. 公式発表でアイアンドームは迎撃735回で90%に成功している。ガザから発射されたロケット弾は大部分がイスラエル領土に届かず、アイアンドーム防衛では「非脅威対象」扱いだった。
  3. その二年前にPillar of Defense作戦で初めて実戦投入された際は8日間で迎撃成功率は84%だった。この時はガザから発射のうち421発が対応必要な脅威と分類されている。
  4. 実績が向上しているがアイアンドームはまだ一回も純粋なテスト試射はされていないと製作元の国営会社ラファエル   Rafael の航空優位性システムズ Air Superiority Systems Division 事業部長ヨシ・ドラカーYosi Druker は語る。
  5. 次の課題は北側つまりレバノンの脅威に対応できるかだという。
  6. イスラエルミサイル防衛機構の長官を務めたウジ・ルービンUzi Rubinは現在は国際コンサルタントでProtective Edge作戦では打ち上げられたロケット弾の多くからガザ地区で工作能力が着実に向上していることを示していたという。
  7. ルービンの試算では開戦時にガザ内のロケット弾は9,000発以上で現地製造だった。弱小な集団にも製造能力が備われば、「ヒズボラから飛んでくるものは神のみぞ知る、だ」という。
  8. 退役イスラエル空軍少将ジオラ・ロム Giora Romm がイスラエル民間航空局長を6年勤めて先週退任している。ロムはイスラエル唯一の国際空港から1.6キロメートル地点にガザ発射のロケット弾一発が着弾し、空港業務が閉鎖となったが33時間後に業務再開した際の陣頭指揮をとった。.
  9. 11月6日にロムを取材したが、今後のレバノン紛争ではアイアンドーム防衛体制強化が必要で、民間航空の観点からは迎撃に空白地帯を作ってはならないと語っていた。空港へアプローチが困難となれば民間航空はイスラエル南端のエイラート空軍基地へ誘導されるという。
  10. その二日前にヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ Hassan Nasrallah から次回のイスラエル攻撃の際は空港と港湾すべてを使用不能にするとのメッセージが出ていた。
  11. 現在のイスラエルミサイル防衛機構長官ヤイル・ラマティYair Ramatiも脅威の進化に応じイスラエルの防衛体制も強化を迫られていると認める。同機構は国防省の研究開発局MAFATの傘下にある。
  12. 「これは技術競争であり経済競争でもあるのは明白だ。合衆国の支援がなければ、この競争についていけなくなる」
  13. ラマティは「25年以上にわたる米国からの暖かい支援」によりイスラエルは迎撃技術を進めることができたという。
  14. ラマティが特に言及しているのがMAFAT長官のオフィル・ショーハム海軍少将 Rear Adm. Ophir Shohamと歴代の米ミサイル防衛庁長官との密接な関係だ。
  15. 関係者によると開戦時に稼働可能なアイアンドームは6隊しかなかった。だが「命をつないだ」米国の予算手当で開戦数か月前に交戦中に3隊を追加配備できたという。
  16. ルービンの試算ではこの10年間にイスラエルに向け発射された1万1千発のロケット攻撃に対して「少なくとも6割が先のProtective Edge作戦でアイアンドームにより尊い人命の損失を防ぐことができた」という。ルービンの計算の根拠はイスラエル国民の人命被害を「アイアンドーム」稼働前のものと比較し、過去2回のガザ紛争での統計と比較したものだという。
  17. 10億ドル近い複数年度にわたる合衆国の調達予算がなかったらアイアンドーム隊9個編成は実現しなかったと当地の関係者は認める。
  18. また2015年度に要求した175百万ドルがないと、イスラエルはアイアンドーム迎撃体の在庫補充が困難だ。今回の50日間紛争で在庫はかなり使い果たしている。
  19. イスラエルは2012年の総額680百万ドル予算の中から70百万ドルを先行使用し、レーダーと迎撃体を第7部隊に整備した。第8、第9部隊にもレーダー二基を整備した。
  20. 「中東ではタイミングがすべてです。もし一二か月待っていたら、Protective Edge作戦で各レーダーを使用できなかったでしょう」(ラマティ)
  21. 一方でProtective Edge作戦前に策定したアイアンドーム隊の増強策、性能改修策の実施が進んでいる。
  22. 並行しアイアンドームに搭載するタミールTamir 迎撃弾には米国予算で米国製部品の重要な機能が搭載されている。
  23. 米イスラエル政府間で3月に合意された内容では合衆国拠出金の代償に米国企業に作業分担させることが定められている。
  24. レイセオンがラファエルの下請企業として構成部分を生産し、イスラエルの最終組み立てラインへ供給する。レイセオンはラファエルとの契約を9月30日に発表しており、迎撃弾関連の部分で149百万ドルの事業規模だという。
  25. 「アイアンドームはロケット弾、砲撃弾、迫撃砲からイスラエル国民の生命を守るのに有効性を証明しました。タミル迎撃体の構成部分が米国製ですので当面のイスラエル国防に十分な数量を確保できます」とレイセオンミサイルシステムズRaytheon Missile Systems社長テイラー・ローレンスTaylor Lawrenceは言う。
  26. ラマティは最終的に迎撃体部品50%が米国製になると予測している。 ■

2014年11月18日火曜日

★J-31はFC-31(輸出専用モデル)になるのか 珠海ショー余聞②



なるほど、J-31が国内呼称で、FC-31が輸出仕様の型式名称であることが判明しました。中国は米国の考えたハイローミックスは真剣に考慮していないのでは。それともJ-20が長い槍で、J-31とは別の短剣があるのか。これはいまはわかりません。広大な沿岸線を有する中国には防空体制の完璧な整備はなかなかむずかしいでしょうから、シンボリックな高性能機を配備することが費用対効果で意味があるのではないかと思います。

With J-31 Flight, China Makes a Statement

Nov. 15, 2014 - 03:45AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

CHINA-ECONOMY-AVIATION
輸出を視野に入れる: 中国のJ-31ステルス戦闘機が珠海航空ショーで11月11日に展示飛行を行った。(JOHANNES EISELE/ / AFP/Getty Images)

ZHUHAI, CHINA —中国の双発ステルス機J-31が珠海航空ショーで飛行展示されたが、当日の曇天と対照的に、メッセージは明瞭だった。中国は新型戦闘機を売り出そうとする以上に中国の航空産業を世界に売り込もうとしているのだ。

  1. 中国はJ-31を輸出する意向だ。その顧客にはイランとパキスタンが並ぶ。J-31は世界市場をにらんだ初のステルス戦闘機で合衆国の輸出制限対象国やロッキード・マーティンF-35の予算が手当てできない国向けのものだ。
  2. J-31輸出の話はAVIC展示ホールで縮尺1:2のモデルが開幕前のプレス向けツアーでお披露目された際に出てきた。モデルにつけられた説明では「FC-31」となっており、中国の戦闘機には「J」がつき、輸出用機材には「FC」がつくのが通例だ。J-31がFC-31として紹介されたのはこれが初めて。
  3. 米議会が任命した米中経済安全保障検討委員会US-China Economic and Security Review Commissionの委員長ラリー・ウォーツェルLarry WortzelからはJ-31の初の公開展示飛行とFC-31の公開はAPEC会合(北京)およびオバマ大統領の訪中とタイミングを合わせたものと発言。
  4. これはロバート・ゲイツ国防長官(当時)の訪中時にCAC製J-20ステルス機が初飛行した2011年1月の出来事を想起させる。この時ワシントンでは米国訪中団に政治的なメッセージを送るものと解釈されたが、中国関係者は関連を否定した。オバマ訪中と珠海でのJ-31公開ではウォーツェルによれば「今回は少なくとも事前予告があった」点が違うという。
  5. 珠海で実機を公開したことから中国は輸出に本腰を入れるつもり、とダグラス・バリーDouglas Barrie ロンドン国際戦略研究所International Institute for Strategic Studiesで軍事航空の主任研究員、は言う。
  6. 「ただし中国の輸出相手先に第五世代戦闘機を導入する実力があるだろうか」と言い、成都J-7戦闘機ファミリーの後継機種ならCACのJ-10やJF-17/FC-1の方が現実的な選択となるはずというのだ。
  7. これに対して中国はすき間市場を狙っている観がある、というのがロジャー・クリフRoger Cliff (大西洋協議会Atlantic Council.でアジア安全保障構想Asia Security Initiativeを担当する非常勤研究員)だ。「F-35の価格は支払えない国でもMiG-29やF-16より進歩した機体をほしがるところは多い」とし、イランやパキスタンがFC-31に関心を示す可能性が十分あるという。しかしながら、開発費用を回収できる輸出需要があるだろうか、とクリフは不思議がる。「Avicは経済の理屈だけで動く会社ではないけど」
  8. クリフは中国空軍にJ-31購入の予定があるのか疑わしいという。ハイローミックスでいえば、ローの部分を構成する機体です。高性能機はJ-20ですが、珠海に姿を現さず、一方で着々と開発が進んでいると言われています」
  9. クリフは実力を誇示するのであればJ-20が珠海に展示されたはずだという。「中国が輸出用に性能が劣る機材を当ててきた前例があります」とし、JF-17/FC-1とJ-10戦闘機の組み合わせ、KS-1とHQ-9地対空ミサイルの例があるとする。
  10. 中国も模倣できていないのが高性能戦闘機用エンジンだ。ロシア製サトルンAL-31エンジンがJ-31試作機に搭載されているといわれる。これで同機がライセンス問題で輸出できなくなるというわけではない。クリフによればロシアがRD-93エンジンを搭載したFC-1/JF-17の再輸出を許した前例がある。
  11. 中国は国産WS-13エンジン開発を進めており、J-31搭載を狙っているという。成功すれば、ロシア製エンジンは不要となるという。
  12. 中国からJ-31外観が驚くほどF-35に似ているのはスパイ活動が最大の理由だといわれている。
  13. 「中国のスパイ活動で二重に被害が発生します。システムを盗まれて、それが販売されるからです」と説明するのはペンタゴンで技術評価部長を務めたエドワード・ティンパーレイク Edward Timperlake だ。「スパイはF-35の開発途中のソフトウェア設計を盗み、ソフトウェアの核心部分は米国が休まず改良しているので入手できず、いわば出席なしで試験結果だけ手に入れたようなものだ。成績は優でも最終試験は盗み切れていない」.
  14. 最終試験問題を入手しようと中国が動いている証拠がある。6月に連邦捜査局はカナダ在住中国人実業家Su BinがF-22ラプターとF-35の秘密情報を合衆国内の国防産業のコンピュータから盗もうとし逮捕されたと発表。SuはF-35のテスト日程と「青写真」で「中国が米国の水準に急速に追いつく」ことを目指したという。Suの電子メールが米法務省により公開されている。
  15. ではF-35と比較してJ-31はどれだけのステルス性を第五世代機として有しているのか。第五世代機とは単にステルス性能だけの存在ではないとクリフも言う。「スーパークルーズ、推力方向転換、AESAレーダー、高帯域低探知可能性データリンクがあります」という。
  16. この基準だとF-22やF-35も第五世代機として完璧ではないとクリフは指摘。「だが、J-31にはスーパークルーズや推力方向転換機能もないようですし、ステルスつきの第四世代戦闘機以上の存在だが、AESAレーダーや高帯域低探知可能性データリンクがついているか次第で評価がかわりますね。ちなみにF-35ではこれは全部ついています」
  17. J-31とF-35の外観上の類似性は中国がF-35のステルス外観設計を複製しようとした努力のあらわれとティンパーレイクも言う。
  18. 「もし同機が物理的にステルス性能を獲得して、大量生産に入れば、大きな問題になる」と地域内の同盟各国を指して発言。しかし、ステルス性とは生存可能性の問題にすぎず、専門家はもっと内部構造を検討する必要がある。ひとつはF-35の融合コックピットであり、中国がそこまでの水準に達しているかだという。
  19. 「融合の有無でJ-31が本当の競争相手なのかそれとも既存機を直線的に発展させた機体なのかが分かれます。性能が上がっているとしてもハブスポーク方式の戦闘管理、空中早期警戒統制システムと地上から操作する迎撃方式が不可欠でしょう」と指摘する。 ■


空中空母の実現方法を公募中のDARPAは真剣


DARPAはいつも奇抜なことを考えているように見えますが、現実の世界にとらわれず究極のあるべき姿を見ているのかもしれません。その点で思考方法が柔軟なのでしょうね。

Pentagon Wants to Build Aircraft Carriers in the Sky

by MIKE HOFFMAN on NOVEMBER 12, 2014
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ペンタゴンの中心的研究部門が母機に小型無人機を搭載する方法を模索し、軍事応用の経済効果を見極めようとしている。
国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)から発表があり、提案競争で大型機(ほぼC-130なみ)に無人機複数を搭載し、広い地域に無人機を発出させる案を公募している。DARPA関係者によると無人機の空中発進のみならず回収方法も募るという。

大型有人機で通常型航空攻撃を実施すると費用がかさむだけでなくパイロットにも危険が伴う、とDARPAは説明し、そのためペンタゴンは「混合法」“blended approach” で小型無人機の飛行距離を伸ばし、有人機に搭載して運ぶ方法を求めるのだという。
「まず小型機の性能を引き上げる方法がほしい。その有力な候補は既存大型機に最小限の改修を加え、『空中空母』にすること」とDARPA主査のダン・パットDan Pattは言う。
DARPAが求める飛行実証では母機と無人機を今後4年以内に飛ばす。関係者の期待は今回の提案から正式なDARPA案件としてシステムを構築することだ。
今回の発表ではDARPAが無人機を小型化し、価格も低くすることを期待していると強調。軍司令官が求めるのは費用対効果の高い空爆の実施案だ。■


2014年11月17日月曜日

中国の新型ターボプロップ輸送機 珠海ショー余聞①




Avic Shows Model Of New Turboprop Airlifter

Nov 10, 2014 Bradley Perrrett | AWIN First



ZHUHAI, China Avicがロッキード・マーティンC-130とほぼ同寸のターボプロップ軍用輸送機の模型を珠海航空ショーで公開した。

同社は以前から新型機開発を言及しており、公開された模型は60トンクラスで情報が一致する。

機体構造は高翼、主着陸装置は機体取り付け型でT字尾翼と6枚ブレイドのプロペラ推進だ。

名称はないが、中型輸送機と分類されている。展示された模型には8316との番号、RSの文字が尾翼にあり、中国空軍の標識がついていた。

現在中国で運用中の中型輸送機Y-9(アントノフAn-12の国産化)やY-9(Y-8を大幅に改修)よりも胴体直径が大きくなっている。Y-8とY-9はともに陝西飛機工業 Shaanxi Aircraft が生産している。同社はAvicで大型機生産を担当。

この新型機の開発状況は明らかにされていない。エンジンはWJ-16(出力3,782 kw (5,072 hp.))と推測される。もし、WJ-16を採用しC-130Jと同等の推力重量比とすれば、機体総重量は88トン近くとなる。■


2014年11月10日月曜日

新戦略思考 第三相殺Third Offsetの内容とは F-35削減、長距離爆撃機、UAV優先を提唱




本来なら装備はバランスよく、いろいろな事態に備えるべきものですが、現在の財政状態ではこれは無理です。そこで新戦略思考ではUAVを優先、F-35や大型水上艦は削減というのが「革命的な」提案を盛り込んだ報告書の骨子ですが、なんでも調達できた時代ではないので考えてみれば当たり前の内容ですね。しかし軍と民間に根付いた既成の考え方(F-35がその頂点)を放棄するのは簡単ではないでしょう。もたもたしているうちに数で勝利する中国他が先に進んでしまいかねません。この数年が新思考が実現するかの勝負とみているのですがいかがでしょうか。

New Strategy Would Cut F-35s, Boost Bombers and UAVs

The U.S.’s air-centered strategy has top-level backing
Oct 31, 2014 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
Revolutionary Roadmap
今も機密扱いのノースロップ・グラマンRQ-180無人機がCSBA報告書でもそれとなく言及され、精密攻撃や電子攻撃ミッションに投入されるのだという
Ronnie Olsthoorn Concept for AW&ST

中国その他が進める接近阻止領域拒否(A2AD)には今日の米軍兵力投射装備および現在計画中の装備では効果的に対抗できない、との戦略予算評価センター(CSBA)報告書が発表され、第三相殺Third Offset として知られる防衛戦略の新しい方向性を説明している。

  1. かわりにペンタゴンは汎地球偵察攻撃global surveillance and strike (GSS) のシステム開発を中心とすべきで、この範疇に収まるのが長距離打撃爆撃機(LRS-B)や長距離高ステルスの無人戦闘航空機システム(UCAS)や潜水艦であるという。戦術戦闘機や水上戦闘艦、重装備の陸上部隊は削減すべきだとの趣旨で、予算との関連で戦力構造を再調整すべきとする。
  2. このCSBA報告書が注目されているのはロバート・ワーク国防副長官と上級顧問が直々に関与してまとめられたためだ。ペンタゴン内外の観点で国家防衛のありかたを変える議論に火をつけるのが狙いだという。編集にあたったロバート・マーティネイジRobert Martinageはペンタゴン勤務の職歴をもち、ワーク副長官の関与を「確認も否定もできない」と Aviation Weekに語っている。
  3. このCSBA報告書は第三相殺戦略における既存および新型装備の役割を詳細に説明している。その提言では長距離打撃爆撃機の役割を拡大することを求め、その整備を「加速、拡大」することが望ましいとする。新しく提言している兵器として潜水艦発射の滑空ミサイル boost-glide missile があり、中程度あるいは高度の防空体制を突破し強化した地下構造の目標を攻撃する唯一の手段だとする。また同ミサイルは電子攻撃手段の代役ともなり、大量精密攻撃にも投入できるという。
  4. 提言で規模が最大なのはUCAS機材だ。概念上ではマーティネイジは試作機がノースロップ・グラマンX-47B UCAS-D(Dは実証機の意味)で海軍の求める作戦機材がここから生まれるという。CSBAではN-UCASとして8から10時間連続飛行でき、3,000ないし4,000-lbのペイロードがある機体を想定する。CSBAのアナリストとしてワークは「ハイエンド」型海軍UCASの推進役でその影響で海軍は低性能、低価格の考え方を無人空母運用空中偵察攻撃機(UCLASS)構想に使えなくなった。
  5. CSBA報告書はUCAS-Dに先行していた共用UCAS構想 Joint UCAS:を復活させるものだ。艦上運用型は主翼機体一体型となり、陸上運用型は機体を大型化する。米空軍向けのMQ-Xはペイロードを二倍にできると報告書は述べ、無給油で12時間飛行できる。同期に空対空ミサイルを攻撃、防衛双方で装備する案は戦闘機出身者には支持しにくいだろう。
  6. 航続力がUAVの長所だと報告書は指摘する。第三相殺戦略での新型UCASの主要任務は「絶えず移動し続ける目標破壊者」でもともとの長距離航続能力に空中給油を加え48時間超の連続飛行任務をこなすことで、人間の限界を超えている。UAVが区域内の通信拠点の役割を果たし、敵方の宇宙攻撃手段への保険となり、結果的に衛星攻撃を実施する価値を減らす。同報告書では未公表のノースロップ・グラマンによる研究結果を引用し、F/A-18E/Fを無人機で代替すると25年間の機体寿命期間で合計560億ドルの費用節約になると示している。
  7. 新型N-UCASやMQ-X調達の予算は「有人戦術機の削減」を全軍にわたり実施し、F-35各型すべての調達縮小さらにF-35Cの中止も視野に入れて確保し、高性能スーパーホーネット導入やN-UCASで代わりにする」ことで担保する、としている。2011年7月ワークは海軍副長官当時にF-35B/Cの代替策の内部検討を命じている。
  8. 戦闘機の有効性には限界があり、それは「セミステルス」のF-35でも同じだとし、有効範囲が広く全域でステルス性能を発揮できるUAVとLRS-Bとは区別すべきとし、防御が困難で生き残りが難しい空中給油機への依存が高くなる注意を呼び掛けている。マーティネイジはAviation Weekによる成都J-20の性能評価におおむね賛同しており、同機が空中給油機など支援機材を狙う攻撃手段だとするもの。「空対空ミサイルの射程距離も考慮すると給油機は800から900カイリ離れる必要があり、それでは米軍の戦術戦闘機は沿岸にも到達できなくなる」
  9. もうひとつ提言されている無人機がステルス高高度長時間飛行UAVだ。しかし、報告書ではGSSの実施手段のうち三つしか現在開発に入っていないと指摘。(MQ-X、N-UCASSおよび潜水艦用曳航式モジュール) 通称HaleUAVとはノースロップ・グラマンが開発中のRQ-180そのもののようだ。報告書ではRQ-180には軽攻撃能力がある含みを持たせている。
  10. 見落としてはいけないのは第三相殺戦略で低強度紛争を取り上げている点だ。脅威の強度が低くなり、広範囲に広がると、「最も危険なコスト上昇戦略は自分で設定してしまうものだ」と新アメリカ安全保障センターCenter for a New American Securityのアナリスト・ベン・フィッツジェラルド Ben FitzGeraldは語る。「トヨタのハイラックストラックに50万ドルの武器を搭載するようなものだ」 一方で敵も同水準の武装を進める。「ほぼ同格の敵に対現在の優位性を捨てることはできない。一度失えば復活は無理だ」
  11. マーティネイジもCSBA報告書では新装備の調達数は具体的に提言していないとし、「報告書は予算編成の事前準備ではないから」と言う。しかし一つの例として報告書中に海軍がUCASを全面採用すれば、現行の有人機の半分の規模で可能としているノースロップ・グラマンによる社内検討を引用している。.
  12. 潜水艦は合衆国が相当の優位性を今後も確保できる分野とされる。第三相殺戦略報告書では潜水艦部隊の威力と柔軟性を高めるために無人潜航艇の開発を急ぐべきとし、長距離滑空兵器を潜水艦から発射し、曳航式ペイロードモジュールの開発も手提言する。曳航モジュールとは3,000トンから4,000トンクラスの無人船体で大口径発射管を最大12基積むもので、あらかじめ移動させ同じ場所に数か月留まる。ここでもその代償が発生し、DDG-51級など大型水上艦の調達を削るべき、としている。.
  13. 第三相殺戦略では大規模陸上兵力より特殊作戦部隊やテロ対策地上部隊を優先する。ただし地上部隊には「局地的A2ADネットワーク」の確保任務を想定する。これは脅威に直面する同盟国の領土に適用する。地上配備の対艦巡航ミサイルなどの装備と飛行船などに搭載したレーダーaerostat-borne radarsと組み合わせ沿岸部の防御を固め、敵海軍部隊の移動を阻止する。■

2014年11月9日日曜日

F-35主翼生産ラインがイスラエルで生産開始 米イ関係の象徴として重要な存在



Accent on US-Israel Alliance as IAI, Lockheed Launch F-35 Wing Line

Facility To Build 811 Wing Sets Under $2.5B Industrial Deal

Nov. 4, 2014 - 06:06PM   |  
By BARBARA OPALL-ROME   |   Comments

An F-35 production line for wings was inaugurated by Israel Aerospace Industries. From left, Yaacov Rozmann, director of operations for the Lahav Division; Patrick Dewar, Lockheed Martin International executive vice president; US Lt. Gen. Christopher Bogdan, the Pentagon's chief executive for the F-35 program; Dan Shapiro, Washington's Israel ambassador; IAI Chairman Rafi Maor; Israel Defense Minister Moshe Ya'alon; and Haim Katz, a member of parliament and head of the IAI workers union.
イスラエル航空宇宙工業でF-35主翼の生産ラインが開所式を迎えた。写真左から、ヤーコフ・ロズマン(ラハヴ事業部)、パトリック・デワー(ロッキード・マーティン国際事業部)、クリストファー・ボグデン米空軍中将(ペンタゴンF-35開発室)、ダン・シャピロ米大使、ラフィ・マオルIAI会長、モシェ・ヤーロン(イスラエル国防相)、ハイム・カッツ国会議員(IAI労働組合委員長) (Israel Ministry of Defense)

BEN-GURION AIRPORT, ISRAEL —合衆国とイスラエル双方が10年以上にわたる国防産業協力の一里塚とたたえるのが国営イスラエル航空宇宙産業(IAI)によるロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機用の主翼生産ラインの操業開始だ。

  1. 25億ドル総額といわれる産業協力案件として新工場がIAIのラハヴ事業部 Lahav Division に竣工し、月産4基で2030年までに811セットを生産する。.
  2. イスラエル製主翼は米空軍とイスラエル空軍向け機体の他に将来の輸出機体に装着すると当地の業界筋は見ている。生産は既に開始されており、イスラエル製主翼の一号は来年中ごろにロッキードへ納入される。
  3. 本案件は総額40億ドルとロッキードが確約したイスラエル向け事業の大きな部分となり、イスラエルは2010年にF-35飛行隊の編成を決定していた。イスラエル国防省は事業規模は50億ドルに膨れると見ており、すでに調達機数は44機に増えている。
  4. ロッキード・マーティンで国際事業を担当する執行副社長パトリック・デワーPatrick Dewarによれば重要な主翼生産でIAIを信頼できるのはこれまで30年にわたるF-16とT-38事業の実績があるからだという。
  5. F-16Iでは同社は10億ドルまで調達規模を拡大しているのは「IAIが最高の製品を作ってくれるからで、同社を購入先に選択した」からだという。.
  6. さらに次のレベルで「双方の作業分担」の決定をし、両国の空軍部隊に支援業務を行っていくという。
  7. この動きに呼応してクリストファー・ボグデン空軍中将(ペンタゴンF-35開発室長)からF-35は米空軍、イスラエル空軍にとって今後の戦略的な重要装備であると発言している。
  8. 同中将が提案しているブロック購入にイスラエルを参画させる交渉が始まっており、実現すれば両国が複数年調達による経済効果として費用節約できるという。
  9. IAIは低率初期生産第9ロット、第10ロットで商談中だが、関係者は等しく単一発注にまとめられることを期待している。
  10. 「発注機材はそれぞれでコスト削減効果をもたらす。イスラエル国内の手続き規制でこれが可能なのか結論を待っている」(ボグデン)
  11. ロッキードの機体単価は115百万ドルだが、ボグデンはフライアウェイ価格は95百万ドルだとくぎを刺しており、2019年までに85百万ドル以下に下がると発言。「その単価でエンジン、ロッキード社の利潤も含む」
  12. IAI会長ラフィ・マオルRafi Maorは同社がすでに数千万ドルを設備、自動化、高度生産技術に投資してロッキードとF-35関係者の要望に応じているとし、IAIがロッキードF-16事業で精査印した主翼や主要部材は100万飛行時間超の実績を残していると強調している。
  13. 新工場によりIAIは主翼生産で世界トップクラスになると同会長は発言。「イスラエル空軍はF-35運用で世界の先陣を切ることになり、当社は同機の生産に関与することを光栄に思います」」 マオルは退役イスラエル空軍将校である。
  14. ラハヴ事業部で部長代行を務めるヤーコフ・ロズマンYaacov RozmannによればIAIは昨年夏の段階で新工場立ち上げができたのだが、ガザ紛争により先送りされたのだという。
  15. 開所式は当初は質素な予定でボグデン中将だけが目立つ存在のはずだったが、土壇場でイスラエルの国防相モシェ・ヤーロンMoshe Ya’alon と駐イスラエル米国大使ダン・シャピロDan Shapiroの出席が決まり、ボグデンの影が薄くなった。
  16. バラク・オバマ大統領とベンジャミン・ネタニヤフ首相との間で政策を巡る意見対立と緊張が高まる中で、今回の式典は両国を結ぶ関係がゆるぎないものであることを示す効果がある。■

2014年11月8日土曜日

★★中国ステルスJ-31はF-22.F-35に匹敵する性能があると見る米関係者の声




U.S. Pilots Say New Chinese Stealth Fighter Could Become Equal of F-22, F-35

By: Dave Majumdar
Published: November 5, 2014 12:53 PM • Updated: November 5, 2014 http://news.usni.org/2014/11/05/u-s-pilots-say-new-chinese-stealth-fighter-become-equal-f-22-f-35

An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳

来週に開催の珠海国際航空ショーで中国が公開する瀋陽J-31ステルス戦闘機は米側のステルス戦闘機以上の実力を発揮するのではと複数の米側軍事関係者、業界関係者が見ていることが分かった。

  1. J-31は中国による第五世代ステルス戦闘機の最新版で、ロッキード・マーティンのF-22ラプターあるいはF-35ライトニングII共用打撃戦闘機と同等の性能とされる。

  1. F-35開発に詳しいある米国戦闘機パイロットが USNI News に語る。「開発中でありどうしても高性能機に見える」「わが方の第五世代戦闘機と同等の存在だろう。産業スパイ活動は活発に続けられている」
An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳


  1. J-31そのものがロッキード・マーティンF-35(開発費用総額4,000億ドル)から盗んだ技術で設計されたと信じる者は多い。

  1. 「F-35やF-22によく似ている」と空軍テストパイロットが USNI Newsに語っている。
A U.S. F-35 Joint Strike Fighter. Lockheed Martin Photo
F-35共用打撃戦闘機. Lockheed Martin Photo


  1. F-35に詳しい先のパイロットはF-16ファルコンの操縦経験も豊富で、 USNI News にJ-31は第四世代機であるファルコン、ボーイングF-15イーグル、海軍のF/A-18E/Fの性能を上回ると見る。「四世代機では手に余る存在だろう」

  1. 海外製ハードウェアに詳しい元空軍戦闘機パイロットからは中国との戦争になれば中国が送り出す多数の戦闘機対訓練で優れる米パイロットの戦いになると見ている。「機体よりも機数が心配だ」

  1. 「向こうの機体も兵装もきわめてすぐれている。ただし乗りこなすパイロットの技量はわからない」

  1. 「航空ショーはやはり航空ショーで、性能の水準をはかり知ることはできません。つまり航空ショーでは派手な操縦で関心をたかめて商談に結び付けるのが目的」

  1. 現役米空軍テストパイロットからは実際に中国製ジェット機の性能をはかり知ることは困難との発言があった。

  1. 「まだ実戦化されておらず、まともな評価はだれもできない仕事」

  1. 中国が新型機をどのように運用し、どんな兵装を搭載するのかなど多くの疑問が残っている。中でも中国製レーダーがどこまでの性能になっているか、アメリカ製品と比べてセンサーの感度がどこまであるかが最大の疑問だろう。

An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳

  1. 米産業界はJ-31が珠海ショーで公開されるのは中国が同機を海外に広く販売しようとしているためと見る。

  1. 「J-31の輸出可能性が報じられています。そうだとすれば、機体を見せることで購入意欲が高まるはずです」

  1. 中国の航空宇宙産業では多くの進展がみられる。しかし、ジェットエンジンは弱点のままだ。

  1. 珠海ショーではロシアの高性能型スホイSu-35フランカーEもデビューする。

  1. 伝えられるところでは中国は同機を24機購入する意向だという。

  1. 中国が同機をリバースエンジニアリングし、以前のフランカーの前例を踏襲するのではとの観測が見られた。

  1. 「Su-35を購入するのは無難な急場しのぎ策で、その間にJ-20やJ-31の実戦化を待つのでしょう」と業界筋は見ている。■


今年の珠海航空ショーの注目機体はこれだ



何と言っても注目すべきはJ-31でしょう。F-35のコピーとも輸出を狙う機体との報道もあり、その実態がよくわからない機体です。

China Airshow Will Unveil J-31

Nov. 3, 2014 - 11:47AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

A model of the J-31 fighter is shown at the 2012 Zhuhai airshow
J-31の模型が2012年珠海航空ショーで展示されていた(Wendell Minnick/Staff)

TAIPEI — 中国の珠海エアショー関係者がステルスJ-31戦闘機が来週開催の展示会でデビューすることを確認した。
  1. 第10回目となる珠海ショーは正式名称中国国際航空宇宙展示会で11月11日から14日を会期に700社120機が出展する。
  2. J-31は双発で瀋陽航空機Shenyang Aircraft製で出展されれば初の公開となる。機体は単発のロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機と類似しており、中国語軍事ブログでは同機が珠海上空で展示飛行する写真を掲載している。
  3. 人民解放軍空軍(PLAAF)からはJH-7AとJ-10戦闘機のほか、Z-8KAヘリコプターと改良型H-6M中距離爆撃機(巡航ミサイル搭載)が出展される。洪都 Hongdu L-15ファルコン戦闘練習機はまだ出展の予定がないが、同社はすでに中東やアジアの展示会を利用して売込みを図っている。
  4. パキスタン製JF-17戦闘機は2012年に出展されていたが、今回はリストに入っていない。しかし中国航空工業集団AVICはFC-1戦闘機(JF-17の中国版)を出展する。同機は成都航空機パキスタン航空工業の共同事業。
  5. ロシアのSu-35高機動性戦闘機も初の展示となる。中国とロシアは同機を2006年から商談中だが11月末に妥結するかもしれない。
  6. 「24機分の機体と呼びエンジンで契約となると思う」とロシア戦略技術分析センターの専門家ワシリー・カシン Vassily Kashin は語る。「エンジン技術移転の交渉は別個に継続中で、協力分野がこれとは違う形になるだろう」
  7. 同機の搭載するエンジンはステルス機T-50と同じUnited Aircraft Corp製のサトゥルンAL-117Sで、AL-31FNの向上型だが、中国は後者を成都J-10戦闘機に搭載している。

  1. ロシアはSu-27戦闘機の国内生産を中国に1990年代に承認したが、中国がコピー版を勝手に作り始め、瀋陽J-11と呼称した。ロシアはSu-35でも同じことが起こるのを警戒しており、AL-117エンジンもJ-20ステルス機に搭載され別の懸念材料だ。
  2. ラジャラトナム国際関係学研究校(シンガポール)の国防産業専門家リチャード・ビチンガーRichard Bitzingerは「ロシアは中国機に自国エンジンを売却するだろうが、生産技術は別の話」とし、ロシアからの技術移転で中国が同形式のエンジンを製造することは可能性が低いという。
  3. 韓国空軍は出展を取り消した。ブラックイーグル曲芸飛行チームはロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業共作の超音速T-50ゴールデンイーグル9機を使う。韓国国防省は10月30日に中国に重要技術が盗まれることを合衆国政府が恐れているのを理解し、出展を中止したと発表。
  4. 出展していれば合衆国の防衛条約の相手国が珠海航空ショーに軍事装備を出展する初の例となっていた。この件についてロッキード・マーティンでT-50担当の広報エリック・シュナイブルは「出展は望ましくない」と語っていた。
  5. KAIは総額420百万ドルでフィリピン向けにTA-50軽攻撃・練習機12機生産の契約を3月に成立させていた。TA-50改良型では空対空ミサイル空対地ミサイルの搭載も可能。フィリピンと中国は南シナ海の諸島を巡り対立しており、軍事衝突に発展する恐れもある。
  6. 中国からはUAVメーカー各社が自社製品を紹介する。AVICはTianyi-1 (Sky Wing)、 Yilong-1 (Pterodactyl=翼竜)、Haixunzhe (Sea Patroller)を出展する。
  7. このうちSky WingとSea Patrollerは「軍事転用も考えて設計したもの、あるいは別の無人機のコンセプトのテスト用だろう」とみる専門家がロバート・マイケルソンRobert Michelson(Millennial VisionのUAV専門家)だ。
  8. Pterodactylは監視偵察用として開発が始まったが、「ジェネラルアトミックスのプレデター同様に空対地兵器を搭載し、無人機による攻撃の想定をしている」と同上専門家は見る ■

2014年11月7日金曜日

やはり韓国はBAE契約をペンタゴン通じ破棄しました





韓国の話題です。先日お伝えした件、やはり韓国が原契約の破棄を米政府に迫り、結果ロッキードがこのままだと改修契約を獲得しそうというお話です。何かと騒ぎが発生するのがお隣の国の常のようですね

South Korea, Pentagon Kill BAE F-16 Upgrade Contract

Nov. 5, 2014 - 08:17PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

A contract with BAE to upgrade South Korean F-16s has been canceled at the request of Seoul.
A contract with BAE to upgrade South Korean F-16s has been canceled at the request of Seoul. (South Korean Defense Ministry / AFP)

WASHINGTON — 韓国からの要請を受けたペンタゴンがF-16改修事業でBAEとの契約を正式に取り消した。これにより韓国はロッキード・マーティン含む企業に再入札させることになりそうだ。
  1. ペンタゴンが134機のKF-16を対象とした「第一段階」の契約は「便宜上」終了させたと5日に発表。

  1. 本件は有償対外軍事援助のため、合衆国政府が韓国に代わり契約を終了させたが、韓国は二週間前から想定外の価格上昇が第二段階で出ていると抗議をしていた。

  1. メーカーのロッキード・マーティンが絶対的に有利とみられていただけにBAEの契約獲得は大きな突破口とみられていた。第1段階が始まった今年は順調に推移している一方で第二段階の交渉が始まっていた。

  1. 10月になり韓国高官がこっそりと費用上乗せしていると文句を言い始めたのは予想外で、韓国軍事筋は合衆国政府が470百万ドル、BAEが280百万ドルを追加してきたが、当初の合意内容に反すると主張。価格を巡る意見対立は急速に進展し、5日に公式に契約破棄となった。

  1. BAE広報からは同社が決定に「失望」し、原契約の第一段階分の業務は完成ずみと強調する声明を発表している。

  1. 「当社としては政府間協議を通じて固定価格契約で双方が合意した作業内容を実施すると明確にしていた。契約の残り部分も当社なら効率よく費用効果高い形で実施できていたはず」と発表。「残念ながら当事業は韓国の厳しい予算制約の影響を受けてしまった。また米空軍が事業経費全体に控えめな態度を取ったことにも影響を受けた」

  1. そこで大きな勝利をつかむのはロッキードで、BAEと韓国の関係が怪しくなってから同社は裏で動いていた。

  1. ある筋がDefense Newsに語ったところによればロッキードは改修契約の代償に大幅な技術支援をKF-X戦闘機に提供すると申し出ているという。

  1. ロッキード広報はKF-16改修契約の詳細は韓国政府関係者に申し入れるべきものと言いながら、同社としてはいつでも対応の準備があることを明かしている。

  1. 「当社は原メーカーとして唯一の有資格企業であり、世界各地のF-16運用者に最高の価値を提供できる」と同社広報は記し、「今回のF-16改修事業については韓国空軍および合衆国政府に問い合わせてほしい」とする。

  1. 契約破棄の影響は今後にも出そうだ。韓国軍関係者がDefense NewsにBAEは「望ましくない企業」に分類され今後の商談から除外されるリスクを冒していると述べた。

  1. ペンタゴンにとってもばつの悪い状況になる。というのもKF-16C/Dブロック52の二機がBAEのフォートワース工場(テキサス州)にすでに到着しており、ミッションコンピュータの交換を第一段階契約で実施するからだ。

  1. 米政府発表ではペンタゴンはBAEと共同で現行契約を終了させるというが、発生する費用の規模は不明だ。 ■