2015年6月26日金曜日

米国ハッキング事件の犯人は中国が一番怪しいと国家情報長官が発言


国家情報長官はCIA,NSAなど情報機関を統括する重責ですが、大胆な発言が公開の席上で飛び出しました。

DNI Clapper IDs China As ‘The Leading Suspect’ In OPM Hacks; Russia ‘More Subtle’

By COLIN CLARK on June 25, 2015 at 12:25 PM

DNI JAmes Clapper at NSS 2014
GEOINTシンポジウム: 国家情報長官ジェイムズ・クラッパー Director of National Intelligence James Clapperは公務員人事局から二回に渡り情報を盗んだハッキング犯人として中国が「筆頭容疑者」と断定した。ただし前日にはNSA局長マイク・ロジャーズ提督Adm. Mike Rogersが断定を巧妙にかわしている。
  1. クラッパー長官はだれがOPM事件の犯人なのかとの問に中国が十分に怪しいとまず回答した。「誤解しないでいただきたいが、中国の行った結果には敬服せざるを得ない」と述べ、さらに会場から中国がOPMハッキング実行犯なのか単刀直入な回答を求められ、「筆頭容疑者」と認めた。
  2. 米国には能力がありながら、政策上の制約があることを念頭に、クラッパー長官は「もし機会が訪れれば、一瞬もためらうことなくわが国も同じ行為に踏み切るべき」と発言している。
  3. ホワイトハウスに対し報復を認めるよう求めると受け止められかねない発言だが、長官によれば今回のような攻撃は「攻撃側が代償を支払ざるを得なくなるまで」続くという。長官は同じ内容のメッセージをわずかにちがうトーンで繰り返している。米国が抑止力と心理的効果を実用化するまで攻撃は続くと述べた。
  4. だが米国は今のところこの選択に尻込みしていると長官は強調した。「意図しない結果が生まれるためで大変苦慮している」
  5. ただし、クラッパー長官の発言から中国やロシアによる脅威の実情が伺われる。両国は米国や同盟国へのサイバー脅威の主要発生源であり、ロシアは中国より「実行犯なのか微妙」だという。ただしロシアの実施能力は米国にとって「大きな脅威」だという。詳細は話さなかったが、長官発言に空軍長官デボラ・リー・ジェイムズのパリ航空ショーでの発言内容を組み合わせれば、単一かつ能力の高い脅威発生源が浮かび上がるはずだ。■
結論はこれでは何のことかわからないので、パリ航空ショーでのジェイムズ空軍長官発言を見てみましょう。

SecAF James: Russia Is ‘Biggest Threat'; F-22s May Come Soon

By COLIN CLARK on June 15, 2015 at 4:56 PM
Air Force Secretary Deborah Lee JamesDeborah Lee James
PARIS AIR SHOW: 空軍長官デボラ・リー・ジェイムズは記者団に欧州歴訪の目的は「復活したロシア」への米国の対応を保証することと語った。
  1. 「最大の脅威はロシアの活動だ」と長官は米国にとっての脅威は何かとの記者の問いに答えている。「そのため欧州各国と協議したい」
  2. 長官はB-2ステルス爆撃機2機がB-52爆撃機とともに現在フェアフォード空軍基地(英国)に展開しており、U-2もキプロス島から飛行している事実を明らかにした。数年前までこうした飛行活動はトップ・シークレット扱いだった。
  3. また長官からは「F-22を定期的にヨーロッパに展開させロシアに対するNATOの防衛実効性を高める」との発言もあった。最強といわれるF-22の投入はプーチン大統領に対する強いメッセージでもある。
  4. 同席したフランク・ゴレンク大将(欧州米空軍司令官)からは米国は現時点でヨーロッパに「安全保障装備」二種類を展開していると説明があり、ひとつがA-10ウォートホグ編隊(ロシア戦車攻撃用)であり、もうひとつがF-15C部隊の高い空対空能力だという。展開の意図にウクライナ問題があるのだろうか。「すべてウクライナ情勢への対応だ」と大将は認めた。
  5. ヨーロッパ歴訪中、長官には最低でもGDP2%相当を国防に支出すべきとのNATO基準に応じていない一部国に事実を指摘するというあまり楽しくない仕事もある。英国は要求水準を割り込みそうで、キャメロン首相の保守党政権が財政赤字対策のため調達予算を削っていることが原因だ。■

なるほどロシアの存在を欧米は相当意識しているということですね。一方で、中国に対しては報復攻撃をかけられない相当の歯がゆさがあるということですか。これでは中国が喜ぶだけですね。日本も対岸の火事とのんびりしていられません。年金情報の漏洩は個人情報の流出というレベルだけで論じられていますが、本当は根深いものがあるとしたら本当に恐ろしいことです。サイバー空間の防衛という新しい事態に日本の各組織が対応できるか真価が試されています


2015年6月25日木曜日

★ イスラエルがサイバー攻撃を受けていたと認める


サイバー攻撃には皆さんのご関心が高いようですね。急速にアクセス数が伸びています。年金機構など攻撃を受けた機関は直近の被害の疑いばかりに関心が集まっているようですが、トロイの木馬のように後になって悪さをする攻撃を受けているとは艦がていないのでしょうかね。どちらにせよ便利担った分だけリスクも増しているわけですが。

Israel Confirms It Was Cyber Attack Target

By Barbara Opall-Rome12:20 p.m. EDT June 24, 2015

TEL AVIV —.イスラエル国防相モシェ・ヤアロン Moshe Ya'alon が昨年夏のガザ紛争時にイスラエルがイランとヒズボラからサイバー攻撃を受けていたと認め、攻撃は三年間にわたり続いていた発言している。
  1. テルアビブ大学での国際サイバーセキュリティ会議の席上で同相は政府機関、軍部、経済機関に「大きな損害はなかった」と総括した。
  2. またイスラエル企業チェックポイント/・ソフトウェア・テクノロジーズがイスラエル、一部西側諸国、中東各国が2012年以来繰り返しサイバースパイ活動の標的になっており、発生源はレバノンであると発表しているが、同相はこれを事実として認めた。
  3. チェックポイント社は発表時にヒズボラの名前を実行者として特定していなかったが、指揮命令系統のサーバー群がマルウェア発送を助けていることがわかり発生源をたどるとレバノンの企業にたどりつき、一方でその他のサーバーも「非常に類似した」レバノンのアドレスがついていることを突き止めた。同社によれば、作戦はトロイの木馬タイプのコンピュータマルウェアを標的に植え付けた上でデータを相当の期間に渡り収集したという。.
  4. 「サイバー感染の監視が非常に難易度が高いのはハッカー集団が数々の方法で偽装を施すためだ」と同社の報告はまとめている。
  5. だがヤアロンはヒズボラをトロイの木馬で侵入するサイバー作戦の首謀者として特定している。「数カ月前にイスラエルの保安専門部隊がイスラエル国内のコンピュータシステムに埋め込まれていたトロイの木馬を発見し駆逐している。その報告によればヒズボラが実行犯だ」
  6. 「今日ではサイバー空間は戦闘の場であり、攻撃と防御が繰り返されている空間だ。通常の戦闘が地理空間で繰り広げられるのに対してサイバー空間は国境がない世界だ」
  7. 遡ること10年前、当時のイスラエル国防軍(IDF)参謀総長だったヤアロンは参謀本部にC4I 部門を設置している。
  8. ヤアロンはガディ・アイセンコット中将(IDF参謀総長)Lt. Gen. Gadi Eisenkotにサイバー司令部を2年以内に立ち上げ各種防衛作戦ならびに現在はC4I部門が行っている技術開発を統合し、第8200部隊および軍情報部が展開中の攻撃作戦も取りまとめる事を認めた。
  9. 「現状の技術要求内容から組織改編により新しい指揮命令系統が必要となった」とヤアロンは発言している。■


2015年6月24日水曜日

★ F-35B>スキージャンプ式離陸に初成功


「defense tech」の画像検索結果

F-35B Leaps off Ski Jump for the First Time

by BRENDAN MCGARRY on JUNE 23, 2015

BF-04 Flight 298. First Ski Jump on 19 June 2015 with Mr. Peter Wilson as the pilot.

F-35Bがスキージャンプ方式による初の離陸に成功した。
  1. 離陸は6月19日にパタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド州)内のテスト施設で行ったとペンタゴン報道官ジョー・デラヴェドヴァ Joe DellaVedova が発表した。「今回のテストはF-35Bを英国およびイタリアの航空母艦で運用するための大きな一歩」
  2. 両国はSTOVL仕様の同機をスキージャンプで空母運用する予定で、短距離離陸でも大重量で運用できるスキージャンプの利点を生かす。
  3. 英国は140機を調達予定で、すべてF-35Bとする。イタリアは90機のうち30機をF-35Bとする。
  4. このうち英海軍は新造空母HMSクイーン・エリザベスに搭載する。同艦は来年に就役する。さらにHMSプリンスオブウェールズが2017年に進水する。イタリアは軽空母カヴールを改装して同機を運用する。
  5. 対照的に米海軍はF-35Cを調達する。同機はカタパルト発艦、拘束ギア着艦方式で大型空母での運用を想定。
  6. 公表写真ではF-35Bのノズルが下方に向けられ上昇率を最大に設定していることに注意されたい。英国防省は同機の離着陸時の自動制御を高く評価している。
  7. ただし実際の運用はまださきのことになりそうだ。今回のテスト実施でも数か月の遅れが出ており、クイーンエリザベスでの艦上公試は2018年以降になる予定。■


2015年6月21日日曜日

★★ロシア>スホイSu-35戦闘機を中国に売却か



なるほど航空自衛隊のF-35導入で中国も軍拡の正当化ができるわけです。しかし、エンジンの国産化がどうしてもうまくいかない中国は手っ取り早く完成機をロシアから輸入することにしたわけですね。ロシアとしても外貨を稼げるし、ほかに高性能機種を買ってくれる国もないのので渡りに船ということでしょうが、技術を盗まれた過去の苦い経験があり、もし商談成立としても劣化版を輸出するか、技術のブラックボックス化を図るのでしょうが、そこは中国、やすやすと回避するはず。そうなるとロシアがこの機体を輸出するということはロシアにとって惜しくない機体、つまり早晩旧式化する機体ということなのでは。

Russia to Ink Deal to Supply China with 24 Su-35 Fighter Jets


Su-35_600x400
PARIS — ロシアのユナイテッド・エアクラフトコーポレーションは中国にスホイSu-35多任務戦闘機20機以上を売却する契約を今年中にまとめる意向だ。
  1. かねてから進行中といわれる商談の現状を問われた同社社長ユーリ・スリュサールがパリ航空ショー会場でこう答えている。
  2. 「その質問は軍事協力を担当する政府部局にお願いします。当社としては今年中に24機の売却を想定しています」
  3. 中国はスホイSu-27を原型としたJ-11Bの改修型-Dを初飛行させている。ただし人民解放軍空軍は双発Su-35の取得を希望しており、報道では日本が導入するF-35共用打撃戦闘機やインドのSu-30MKOおよびT-50への対抗策として想定しているのだという。
  4. ユナイテッドエアクラフトが会場で配布した資料によるとSu-35は「第四++」世代戦闘機で、同社の「トップ優先事業」とのことだ。
  5. また同社によるとSu-35は飛行・戦闘テストで通常の第四世代戦闘機を上回る性能を証明し、米国のF-15、F-16、F/A-18はおろかF-35をも凌駕するという。「したがってF-22Aの強敵主にもなりうる」
  6. Su-35はエンジン、エイビオ二クスその他を第五世代戦闘機T-50PAK-FAから流用している。■


2015年6月20日土曜日

★F-35>イタリア生産一号機の初飛行近づく。日本生産の先行事例として参考になるか



Defense Newsの記事をご紹介します。FACO施設を先行して開所したイタリアの事例は参考になります。記事からわかるのは①一部工程は米国が他国立ち入りを認めず行い、②施設内の装備等は米国が保有する形で ③JPO(JSF推進室)が監督指揮する 、といことですね。JPOは開発段階のみならずF-35のライフサイクル全体にわたり存在する部門だとわかります。機体番号のALは多分イタリアのLを意識していると思いますので、日本で生産する機体はAJと呼称されるのではないでしょうか。

Italy Plans First F-35 Flight in October

By Tom Kington 6:45 p.m. EDT June 19, 2015
635696261521953263-DFN-Italy-jsf(Photo: Larry Bramblett/lockheed Martin)
ROME — 米国外で生産される初のF-35が10月に初飛行する見込み。イタリアの最終生産ラインからロールオフするとロッキード・マーティンが発表した。
  1. 初号機AL-1はイタリア空軍に引き渡された後、2016年第一四半期に英国、アイスランド経由で大西洋を横断しルーク空軍基地(アリゾナ州)へ飛ぶ。同基地でイタリアのパイロット訓練に投入される。イタリア関連のじF-35事業を率いるロッキードのデブラ・パーマーDebra Palmer が述べた。
  2. この飛行経路は昨年夏にファーンボロ航空ショー展示のため派遣する際の飛行計画と同じだ。ただし出展は同型機が地上でエンジン火災を起こし取りやめとなった。
  3. フライトの詳細まで浮上してきたのはイタリアの最終組み立てラインでの生産活動が加速化してきたためだ。ラインは北部カメリ基地内に置かれ、イタリア国防省の資産としてフィンメカニカ傘下のアレニア・アエルマッキとロッキード・マーティンが操業している。
  4. 同施設は今のところ米国外に設置された唯一のもので生産とともに保守整備拠点として欧州、地中海地区のJSF重整備、改修の中心となる。
  5. イタリアで生産する予定の90機の初号機が3月にロールオフし、今月はエンジンを始動している。
  6. 「エンジンが最高出力に到達するのに通常は二三日かかるんですが、今回は一日で完了しました。現地のプラットアンドホイットニー技術陣も今まででもっとも順調な運転だったと言っています」(パーマー)
  7. AL-1は現在小規模な改修工事中でその後最終塗装を施し、6週間の最終工程に入る。初号機のみアレニア・アエルマッキがロッキードから技術指導を受けて行うとパーマーは述べた
  8. 「非常に複雑な作業内容だけに不良が発生しないようにしなければなりません。そのため当社は作業を監督する発注をイタリア国防省から受けたわけです」
  9. 8月20日ごろに同機は検収テスト施設に移り、米関係者がステルス塗装の品質をレーダーを用いて検査する。この検査は2週間の予定でその間米関係者以外は施設内立ち入りができない。
  10. 9月からソフトウェアの組み込みが始まり、10月第二週に初飛行するとパーマーは言う。
  11. 発注者による受領フライトもカメリ基地で実施する。最初のイタリア人パイロット二名はともにテストパイロットで米国内で訓練を受け帰国する。
  12. テスト飛行が終了するとAL-1は最終的な調整を11月末にしてから12月に公式に引き渡しとなる。
  13. 「当社は米国政府と契約をしており、機体はまず米国政府に引き渡し、直後にイタリア政府が受領します」(パーマー)
  14. AL-1、AL-2がそろうと両機は大西洋を渡り2016年早々に米国に移動する。合計11機のイタリア生産機材が米国でイタリア空軍・海軍のパイロット養成に使われる。空軍パイロットはルーク基地で通常離着陸型の習熟にあたり、空軍と海軍のパイロットはボーフォート基地(サウスカロライナ州)で短距離陸垂直着陸型機の訓練を行う。
  15. イタリアは今のところF-35Aを8機発注済みで2020年までに38機を発注する。だがイタリアの発注が削減されており、カメリ施設は当初想定の年間24機の生産能力を発揮できない状況が続くが、それでも修理点検拠点として存在意義が残るという。
  16. 「イタリアはカメリに10億ユーロを投入しているのでF-35のライフサイクル全体で活用しないと理由がたちません」というのはミケレ・ノネMichele Nones(イタリアのシンクタンク国際問題研究所Istituto Affari Internazionaliで安全保障国防部長)だ。「カメリの戦略的な位置も大きい。オランダから機材を受け入れるほか、将来的にはヨーロッパのF-35は700機から800機になるはずだ」.
  17. カメリ施設は初のオランダ向け機材を2019年に生産し、2020年に生産する13機のうち8機がオランダに引き渡される」
  18. 一方でイタリアはカメリを将来の点検修理・重整備・機体維持(MRO&U) の中心施設と想定する。
  19. 「イタリアはJSF推進室(JPO)及び当社と協力しカメリ施設をヨーロッパ内の機材維持の需要にこたえる拠点にしようとしています」(パーマー).
  20. イタリア国内の施設だがMRO&U活動はJPOが直接監督するとパーマーは述べた。
  21. 「資源を世界全体で共有する必要があり、一部装備が緊急にヨーロッパ内の別の場所で必要になる際にはJPOが装備を所有していれば必要な場所に送ることができます。JPOはJSF事業に参加するすべての国のサポートをする権限を持っているからです」■


2015年6月19日金曜日

★パリ航空ショー>スコーピオン続報



こちらのほうが詳しい内容なので掲載します。スコーピオンには既成観念の強い人は食わず嫌いの反応をしているようですが、常識破りの機体なので仕方ありませんね。スコーピオンには今後も注目していきたいと思います。

Paris Air Show 2015: Production-standard Scorpion to fly next year

Peter Felstead, Paris - IHS Jane's Defence Weekly
17 June 2015
量産型のスコーピオンは来年初飛行する。同機は関心を集めながらまだローンチカスタマーがない状態。 Source: Textron
テキストロン・エアランドのスコーピオン多用途ジェット機の量産型が来年に飛行可能となると同社幹部がパリ航空ショーで明らかにした。
  1. 「量産仕様の機体が2016年早々に飛行させる」と同社社長ビル・アンダーソンがIHS Jane's にパリで6月16日話した。
  2. 2014年にはパワーポイントのプレゼンテーションに過ぎなかった同機だが、開発は急速に続いていることがわかる。
  3. 「現在の機体は試作機扱いです。設計最終案で主翼の後退角を6度追加します。これで重量バランスがよくなります。降着装置は少し軽量化し、機体重量を減らします」
  4. 「大きな変化は水平尾翼で、固定式からスタビレーターになり高速度でも操縦性が向上します」
  5. パリでの展示が終わるとテキストロンは同機を東欧へ展示飛行に連れ出し、その後英国へ向かう。ロイヤルインターナショナルエアタトゥーに7月17日から19日にかけ出展し、その間に英国で二週間の期間で英海軍・英空軍の演習に参加し、キネティックのインペリアルテストパイロットスクール(ウィッツシャ州ボスコムダウン)で飛行体験に使う。
  6. テキストロン関係者にとってこの企画はスコーピオンを認知させる絶好の機会であり、性能実証の場でもある。また2019年に現在の委託業者Cobhamの契約が切れる英・国防飛行訓練支援部隊の要求内容にも注目している。
  7. アンダーソンはスコーピンの性能について「求める性能を最小額のコストで実現できる。70立法フィートのペイロード収納、ハードポイント6点、5時間の飛行時間が全て手に入れた上で即応体制98%が実現するという、これ以上の話はありません」
  8. 「高性能ジェット戦闘機だと即応対応率は60%で一時間あたり2万ドルの経費が発生します。スコーピオンを導入すれば大幅な節約になることがわかるはず。しかも性能も手に入るのです」
  9. テキストロンによればスコーピオンの飛行時間あたりコストは3千ドル未満、機体価格は20百万ドルほどだという。
  10. では現時点でスコーピオンの販売可能性はどうなっているのかというIHS Jane'sの問に対して「第一期分の顧客各位とは初期のおはなしはとうにおわっており、来週には初の正式提案書を提出する運びになった。南米、北米、太平洋地区、中東を想定し、今度はヨーロッパが加わる。ヨーロッパからも大きな関心が寄せられている。スコーピオンは大成功すると見ている」
  11. パリショーで展示されている機体は軽攻撃・ISR任務を想定し、各種武装のほかガンポッドも搭載している。またWecam MX-15電子光学・赤外線方式ターレットとタレスのI-Masterレーダーを胴体下部に搭載している。同機はファーンボロでデビューしているが、テキストロンは同機のミッションシステム統合のひとつとして大型15インチモニターを後部座席に搭載した。
  12. 同機は多用なミッションが実施可能となる。すでにI-Masterレーダーの代わりに高性能なタレス・サーチマスターレーダーを搭載し海上監視哨戒機にする案が出ている。
  13. 一方でスコーピオンを練習機に転用する案があるが、米空軍のT-X練習機への要求内容は同機と方向がずれている。
  14. 「性能要求原案はハイエンド、超音速ジェット機を想定します」とアンダーソンはIHS Jane'sに話している。「単一ミッションしかこなせない練習機では非常に高額な機体になります。これではF-16とほぼ同等の機体を作ることになると空軍には伝えたところ、空軍と協議が実現しましたが、今は空軍の判断を待つ格好です」
  15. 「当社の機体でも高速ジェット機の操縦訓練は可能であり、正式提案書を持込みましたが、空軍は戦闘機訓練の導入機材を求めているとわかり、あらためてスコーピオンで参加します」■


2015年6月18日木曜日

★ロシア>第五世代戦闘機PAK-FA(T-50)の開発状況



Russia to Begin Testing Three More Stealth Fighter Prototypes

by BRENDAN MCGARRY on JUNE 16, 2015

T-50_600x400
PARIS — ユナイテッド・エアクラフトコーポレーションはPAK-FAステルス戦闘機の試作型追加3機をロシア軍のテスト用に早ければ来年早々に引き渡す予定だと同社関係者が語った。
  1. 同社社長ユーリ・スリュサー.ル Yuri Slyusar によればT-50 PAK-FAを更に三機ロシア空軍に2016年末までに引き渡すという。同機はユナイテッド・エアクラフト傘下のスホイが製造する第五世代戦闘機だ。
  2. 「予定通り進展中で、試作型の三機追加でテストが迅速に進む」と同社長はパリ航空ショー会場で報道陣に述べた。.
  3. T-50試作型は計8機になる。PAK-FAの初飛行は2011年で、米軍のF-22ラプター・F-35共用打撃戦闘機に対抗する機体と同社がショーで配布したシートは説明する。
  4. 「従来機との比較でPAK-FAは攻撃力と 空戦能力を兼ね合わせた点が特徴」と飼料は説明し、「第五世代戦闘機用の新型エイビオニクス一式を搭載し優れた自動制御および情報支援能力を有する」とある。
  5. T-50のテストではエンジン発火などの課題にも直面したが、テスト結果は上々だとスリュサールは述べている。
  6. 「全ての点で設計通りの性能を示しているので事業進展にはリスクが無いと考えている。計画遅延のリスクもない」
  7. ロシア、インド両国は同機の輸出仕様を共同開発することで同意し、ロシアは開発研究データをインドへ提供している。
  8. 同機のインド版は「インド空軍の仕様のため試作型とは相違点があるだろう」とデータシートは説明している。
  9. 以前のパリ航空ショーとうってかわり、今年はロシア軍用機の展示はない。代わりに新型民間機の売り込みに力を入れており、新型ワイドボディ機は中国と共同開発するとみられる。
  10. スリュサールからはあわせてSu-35を24機中国に売却する契約が成立したこと、ロシア国内の機材整備事業の拡大をめざし協議中であることが明らかにされた。■


テキストロン・スコーピオン>英海軍・空軍が関心を示していると判明


CASやISR「機材として価格破壊を起こしそうなテキストロン・エアランド(本社テキサス州)のスコーピオンに前々から関心を示している国があるとは漏れ伝わっていましたが、英国だとは思いもしませんでした。謳い文句どおりのパフォーマンスであれば同機はこれまでの常識を破ることになりますがテキサスは大ぼらでも有名ですからね。

Textron’s Scorpion Heads To UK For RAF, Royal Navy Trials

By COLIN CLARKon June 17, 2015 at 8:28 AM
PARIS AIR SHOW: When テキストロンがスコーピオンを発表した際は正直言って需要があるのか、どこの国がこの機体を買うのか、なぜ自社資金を投入してまでこの機体を作ったのか、解せなかった。
  1. 疑問がひとつずつ氷解していった。まずホーク・カーライル空軍大将(航空戦闘軍団司令官)から報道陣にスコーピオンは超低価格版のCOIN(対ゲリラ戦)およびCAS(近接航空支援)用機材として最適だとの発言があった。。
Bell Textron Scorpion
  1. だが単価20百万ドルの同機に真剣な関心を示しているのは英海軍と英空軍だ。パリ航空ショーが終わると、展示機は英国に向かい、一週間にわたる飛行展示を英国の要望に答えて実施する。実施するのは空対空模擬戦(英空軍向け)と海上監視活動(英海軍向け)だ。テキストロン・エアランド社長ビル・アンダーソンと話す機会ができた。
  2. 「スコーピオン発表して英海軍が強い関心を示してきたことに一番驚いた」
  3. 英国の他に「中央ヨーロッパ三カ国へスコーピオンを派遣する」というが、国名は明かさなかった。
  4. 海外からの関心が強いことについてアンダーソンは同機の初期費用及び飛行時間あたり費用が低いことが理由だという。またロイター時間が長いが瞬発速度は高いこと、また新型センサーや兵装の搭載切替が簡単に可能なことも理由に上げた。
  5. 例としてアンダーソンは新型アイ・マスター地上監視レーダー(タレス製)の搭載が一週間未満で完了した例を上げた。これが可能なのは同機の基本ソフトウェアはミッションモジュールを内蔵しておらず、フライトごとに再設定が不要なためだという。
  6. アンダーソンは午前中にパイロット訓練用に飛行させ、午後に戦闘ミッションに送ることが可能だと述べた。
  7. またエンジン始動や飛行準備に専用装備が不要のため運用基地を選ばない。パイロットが乗り込み、ボタンを押せばエンジンは始動する。アンダーソンは「自己完結型」と評する。
  8. なお、スコーピオンに馴染みのない方向けには同機が複座、双発構造で機内に70立方フィート(約2000リッター相当)の貨物搭載室があり、高解像度電気光学式および赤外線式センサーを搭載し、主翼には兵装取り付けポイントがあり、機体はすべて複合材でできていることをつたえておく。400時間の飛行実績で即応対応率が95%であったとアンダーソンは言う。この実績に相当する既存機種は存在しない。
  9. これに対して航空アナリストのリチャード・アブラフィアはまだ懐疑的だという。「ルブージェ会場で地上展示だけのスコーピオンに関心を示す向きはごくわずかだ。確かに機体はクールで、会場まで同機を回送してきたのは同社の成果だと認めるはやぶさかではないが」
  10. 「英国での展示飛行については営業にむすびつくのかわからない。今でもこの機体は理解しにくい。想定するミッションや費用対効果についても理解しがたいものがある」■

2015年6月17日水曜日

★ロシア>Tu-160生産再開は実現性なし



自らは依然として大国だと考えても、経済、産業が対応しないギャップをロシアは直視できないのでしょう。指導部から無理なフライトを命令され、機材を酷使すれば事故につながりますね。


Russia's bomber production plans 'not feasible'

Reuben F Johnson, Kiev - IHS Jane's Defence Weekly
12 June 2015
  
ツポレフTu-160の初飛行は1981年で生産機数は16機のみ。ロシアは生産ライン再開により50機の生産を目論んでいる。 Source: Tupolev

ロシア関係者からツボレフTu-160戦略爆撃機の生産再開について声明が出ているが、その他機材の調達などもあり、これは実現不可能と見る専門家が多い。、ロシア産業界にそれだけ多くの調達事業を同時に進行する人材が不足していること、また予算の裏付けがないことが理由だという。
  1. ロシア国防副大臣(調達)ユーリ・ボリソフ Yury Borisov が報道陣に6月4日Tu-160 を生産再開すれば新装備の搭載で全く新しい機材になると語っている。「新造機はTu-160M2と呼称される」とし、「2023年に稼働開始する」と発言していた。
  2. Tu-160近代化に加え、MiG-31迎撃機130機をMiG-31BM仕様に改装する案もある。改修の中心は新型エイビオニクス装置、最新鋭表示装置を操縦席に搭載し、レーダーもNIIP Zasion-M(受動電子スキャンアレイ(PESA)の改修版)に換装する。このレーダーは幅1.4 mのアレイで同時に追跡補足できる目標を10機になる。有効距離は320 kmで、280 km までなら敵機に射撃が可能だ。
  3. さらにロシア空軍(VVS)参謀総長ヴィクトル・ボンダレフ上級大将Colonel General Viktor BondarevはスホイSu-30MK、Su-35、T-50/PFI第五世代戦闘機、Su-34戦闘爆撃機、またインド輸出用に提案されていたMiG-35の改修版がすべて必要としている。"
  4. 「このような指令を出している人たちはまだソ連の時代にいると錯覚している」と批判するのはモスクワ在住のロシア国防部門のアナリストだ。「政令を出せば、すべての設計局や生産工場が前に進むと考えているが、必要な予算を算出する人はおらず、もっとわるいことにこれだけの事業を実施すればその他の機会がどれだけ失われるか誰も考えていない」
  5. 現在のロシア国防部門ではソ連時代から労働人口が大幅に減少しているのが弱点。さらに国防部門の縮小策の一環として重要な設計部門から人材が退出し、1980年代の全盛期に比べ現在は1割にも満たないと試算する向きもある。■


ロシア>西側への苛立ち? 空中、海上での事故未遂事件が増える


ロシアによる示威的な行動がエスカレートしてきましたが、いつか本当に衝突事故にならないか心配です。ロシアという国は極めて外国からの攻撃を恐れる国ですので、ロシア人の中には説明の付かない恐怖心があるのかもしれませんが、一方で西側を排除したい妄想も強まっているようですね。

Russian Su-27 Fighters Intercept US RC-135 Intelligence Aircraft

by RICHARD SISK on JUNE 12, 2015

FILE PHOTO -- The RC-135U Combat Sent, located at Offutt Air Force Base, Neb., provides strategic electronic reconnaissance information to the president, secretary of defense, Department of Defense leaders and theater commanders.  (U.S. Air Force photo)

5月30日に黒海上空でロシアのSu-27フランカー戦闘機が米情報収集機に危険なほど接近したとペンタゴンが6月12日に発表した。
  1. 主任報道官スティーブ・ウォーレン陸軍大佐はロシア機がRC-135の上空を二回通過飛行していると発表した。一機目は国際空域において両国が普段から行う「プロとしての」迎撃パターンだったという。ただし二機目のフランカーは「プロらしからぬかつ不適当な」通過飛行を行ったという。
  2. 2機目のフランカーは背後から近づき、危険なまで接近してRC-135の下部をすり抜けた。「この接近飛行の意図は不明だ」とウォーレン大佐は論評した。
  3. 5月30日の出来事は米ロ海軍関係者が恒例のナボリにおける「1972年公海海上及び上空での危険事態回避合意事項」の見直し(INCSEA)を行う中で発生している.
  4. 国防関係者によれば「会合では最近の迎撃行為や空中接近事例並びに海上での事例を取り上げ、INCSEAで合意済み原則の見直しを行った」とのことだが、5月30日の事案が討議の内容だったかは不明だという。
  5. 会合は米ロの航空機・艦船の衝突あるいは事故の予防方法を検討するのが目的で、開催は前回2013年11月のサントペテルスブルグ以来となった
  6. ロシアによる空のいやがらせが増えているのは米国とNATO軍が大規模な演習を黒海で展開していることにも関連がある。演習はBaltops 15と呼ばれ、B-52三機が米本土から英国に展開され、演習に参加した。
  7. 今回のRC-135機への接近飛行は別のSu-24がクリミア半島近くで駆逐艦USSロスにつきまとったのとほぼ同時間に発生した。
  8. 米海軍は6月1日にビデオ画像を発表し、ロシア機が低空水平飛行で同艦上空を2回通過している様子を公開した。.
  9. ロシア国営通信からは同艦が不遜な行動をとったため黒海から駆逐したとの誤った報道が出ている。しかし米海軍はこの報道を否定し、画像を公開した。
  10. 5月30日のRC-135とSu-27の事件はロシアが黒海上空で米偵察機を力ずくで脅かそうする二回目の事例となった。
  11. 4月7日にSu-27一機が危バルト海上空を飛行中のRC-135に険なほどの距離で接近し、ペンタゴンは「危険かつ無鉄砲」と非難している。.米政府は同事案を外交ルートで非難している。このSu-27はRC-135から20フィートの地点を飛行した。
  12. 米国はロシア軍部隊の情報集活動も強化しており、ロシアのバルト海飛び地領土のカリニングラードが情報活動の主要対象だと言われる。ロシア報道ではイスカンダル短距離核兵器運用可能ミサイルをカリニングラードに搬送済みとしている。
  13. 危険な空での接近飛行や駆逐艦への嫌がらせに加え、ロシアの長距離核運用可能爆撃機がヨーロッパや北アメリカでの飛行回数を増やしており、軍事関係者は露による核示威行動と見ている。.
  14. ヨーロッパリーダーシップネットワークによる報道では「2014年のロシア対西側の危険な瀬戸際軍事接近行動」でロシア戦闘機が米国やNATOの偵察機に対する嫌がらせをする事案が増えており、艦艇上空通過飛行は「爆撃ミッションの模擬演習」だという。.
  15. 記事では「相当の範囲に及ぶ各地で領空侵犯、緊急スクランブル、かろうじて回避出来た空中接近、海上での接近、模擬攻撃その他危険な行為が日常的に発生している」と評している。■

2015年6月16日火曜日

★ボーイング>F/A-18 F-15の改修需要に期待



Boeing Bullish On Near-term Future for F/A-18, F-15 Upgrades

Jun 15, 2015 Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

米議会も微力ながら後押しすることもあり、ボーイングは自社戦闘機各型の輸出に強気の見通しを示している。
  1. 一年前はF/A-18生産ライン(セントルイス)の見通しは不透明だった。ペンタゴンの発注は先細りで、米海軍は2016年度の調達予算要求を再度見送っていた。
  2. ただし海軍は議員に対してF/A-18は高い優先順位事業ながら予算未計上であると伝え、上下両院の国防委員会4つがそろってスーパーホーネット12機程度の追加調達を提言した。さらにEA-18Gグラウラー追加調達で海軍が一年前に要求していた電子戦強化の穴埋めを画策する委員会もある。
  3. 「このことからもう一回出番があると確信できるようになりました」とクリス・レイモンド Chris Raymond (ボーイングディフェンス・スペース&セキュリティのビジネス戦略担当副社長)は語り、海外発注があれば生産ラインは2019年まで維持できるという。.  
  4. もう一つの課題は米海軍があと何機必要とするのか内部分析を終えることだとレイモンドは指摘する。同機の稼働状況を見て、予備機材や不足機数から判断せねばならない。
  5. ボーイングはデンマークでの戦闘機選定に勝てると見ているが、同国の国政選挙結果を待たねばならない。ジェフ・コーラー Jeff Kohler (ボーイング、国際営業担当副社長)によれば同社は同国の評価部門と会い、9月ないし10月に選定結果が判明するとわかったという。
  6. ボーイングはF-15にも米国内、国際市場双方で需要があると見ている。米空軍は今後5年間で数十億ドル単位の性能改修を企画しており、F-22やF-35と相互交信できることも目指している。
  7. 日本にはF-15が200機以上良好な状態で配備されており、やはり通信能力で改修の需要があるとレイモンドは述べる。韓国もF-15改修を目指し、おそらくAESAレーダーあるいはその他デジタル性能の向上が内容だろうとする。.
  8. その他、C-17が合計8機各種生産段階の状態で社内に残っている。そのうち一機は「国名不詳顧客」に売却できたとレイモンドは言う。2機はオーストラリアに売却される。残る5機をめぐり同社は複数の顧客と商談中だ。コーラーは今年第四四半期までに5機全部を売却できる見込みだという■


2015年6月15日月曜日

★中国>自らの行動で軍事装備輸出を狭める皮肉



強硬な中国の姿勢で各国が反発して、中国の武器輸出に逆効果になる、という皮肉な内容です。面子を重視する中国としては武器輸出のために領有権の妥協は考えられないでしょうね

For Military Aviation, China Not Yet Rising

By Aaron Mehta11:34 a.m. EDT June 14, 2015
635697022272896486-DFN-China-pakistan-jf-17(Photo: Pakistan Air Force)
WASHINGTON — 中国の次世代航空機技術を憂慮する向きが米国内にあるが、中国は世界の軍用航空機市場に一定の地位を占めるまでには至っていないと専門家は見る。
  1. 中国の狙いは冷戦時代にソ連が供給していた需要であるのは明らか。ロシア製軍用装備の訴求力は低価格だった。
  2. Avascentのアナリスト、ダグ・ベレンソンDoug Berenson はロシア産業界は従来の得意客を奪われる可能性を覚悟すべきだと指摘する。
  3. 「自分がロシア人なら動向に注意するでしょうね。中国各社は一定程度まで拡大し、ロシアが中国の輸出攻勢を食い止められると考えているのなら愚かとしかいいようがありません」
  4. しかし中国の輸出市場は限定されるのが現状だ。南シナ海でのなりふりかまわぬ領土主張で周辺国は中国へ態度を硬化した。中にはロシア製品の購入実績国もあり、本来なら中国製装備に惹かれる市場だ。
  5. アシュ・カーター国防長官は5月27日に太平洋で孤立化を招くと中国に対し警告を発した。念頭には延べ2,000エーカー(約8百平方メートル)の土地造成で領有を主張する中国の姿がある。米国は同盟国とともに中国の主張を認めていない。
  6. 「中国の動きは域内各国の団結を招き、各国から米国へアジア太平洋での役割増大を求める声が大きくなっている。期待に答えていきたい」(カーター長官)
  7. Teal Group のアナリスト、リチャード・アブラフィア Richard Aboulafia は軍事装備の購入には政治が大きな役割を果たすと指摘。「装備調達は政治関係を反映し、中国製品をあえて購入する向きは極めて少ない」と指摘。
  8. モスクワの戦略技術研究センターの中国専門家ワシリー・カシン Vasiliy Kashin も同じ意見だ。「ロシアの得意客には中国に対立する国もあるのでロシアと中国の間に軍事製品の競争は存在しない」
  9. その例がベトナムでペンタゴンは同国は軍事装備の9割をロシアから購入していると見る。
  10. わずか数年前まではベトナムは中国製装備の導入に積極的と見られていた。だが、2014年ベトナム水域内で中国が石油掘削を開始したことからベトナムは急速に米国との軍事産業のつながりを強化していった。.
  11. それでも中国にはまだ輸出先が残っているとカシンは指摘し、数は少ないが輸出成約もあるが「ロシアにとって重要とはいえない仕向け先」だと、ミャンマーがFC-1戦闘機(パキスタンと共同開発したJF-17戦闘機と同型)の導入の意向を示したことを例示している。
  12. また中国はJF-17をブルガリアへMiG-21代替機として売り込もうとしており、成約すればロシアの独壇場だった市場に殴りこみをかけることになる。
  13. ただ中国にとってもう一つ障害になるのは自国の航空宇宙産業の特性だとアブラフィアは指摘する。
  14. 「中国の航空宇宙産業では中国経済全体との比較で大きな違いが目立ちます。経済全体では改革が進みましたが、航空宇宙産業は国営企業の旧態依然とした体質が残っています」
  15. この点で中国にインドと共通する。インドもロシアの伝統的な顧客で中国製装備の購入はないとみられる。
  16. ただしアブラフィアによればインドは改革に乗り出しており、悪名高いほど対応が遅いヒンドゥスタン・エアロノーティクスを使わずに対応ができる可能性が出てきたという。「中国も同様で、国政企業の改革は長期に渡るプロセスになるでしょう」
  17. カシンからは中国の技術課題として高性能国産エンジン問題が指摘された。一定の進歩があるものの、国産エンジンで十分な競争力を有するものはまだないという。
  18. 「このことからロシアは重要な仕向地を守ることが可能だということです。ただし、ロシアが中国の輸出を妨害することはありません。なぜなら両国関係の悪化につながるからです」(カシン)■