2015年8月6日木曜日

中東>シリア作戦で新局面に入った米軍の作戦状況


シリアでの状況が大きく変わりそうですね。米国が支援する「穏健な」反乱勢力がどこまで有効なのか試されますが。地上では現地部隊に戦わせ、米軍は航空支援を行い、もって米地上部隊の派兵を回避するというのが現政権の考え方ですが、有効であることを祈るばかりです。

U.S. expands potential targets in Syria

By Andrew Tilghman, Staff writer4:49 p.m. EDT August 3, 2015
Possible syria operations(Photo: MC3 Anna Van Nuys/Navy)
米軍はシリア国内の爆撃を拡大し、アルカイダと連携するアル・ヌスラほか アサド政権支持派も攻撃対象に含めるとペンタゴンが発表した。
  1. 拡大は米国公約の穏健派シリア反乱勢力支援の一環で、米国は穏健派に訓練、機材供与を行っており、訓練を受けた穏健派がシリアの戦闘区域に復帰している。
  2. 「これらの一派は米国と共同し、米国の訓練を受けており、米国は防御的支援を提供する」とペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐が3日明らかにした。
  3. シリア空爆を米国が開始して一年、米軍は初めて地上に友軍を得た。新シリア軍New Syrian Forces の名称でおよそ60名がIS戦闘分子との戦いに入ると期待されている。米軍は近接空中支援で新シリア軍の攻勢を助ける。
  4. シリア内戦は複雑な様相を示し、アメリカの支援を受けた反乱分子が他集団の攻撃を受ける可能性は高い。とくに アル・ヌスラあるいはアサド政権が危惧される。もしこの事態が発生すれば、米軍は「防御的火力支援」を提供すると約束しているとデイヴィスは言う。
  5. 「防御的目的に限り、米軍は対象を他の脅威から守ります」とし、「集団間の抗争状態は承知しており、必要な手段で該当部隊が目的を実行できるよう手配します」
  6. 新方針が先週金曜日に早速試された。新シリア軍がアルヌスラ戦線と思われる集団から攻撃を浴びたのだ。NSFは米軍への連絡手段で空爆を要請した。承認され、実施されたとデイヴィスは言う。
  7. 空爆は何ヶ月も米国がシリア反乱勢力に必要な火力で支援できるのかあいまいな形で終わっていた。ペンタゴントップからは反乱勢力の支援に前向きな姿勢が出ていたが、実施方法や近接航空支援の可否は明白にしていなかった。
  8. 新方針で米軍、有志連合軍はシリア大統領バシャ・アル・アサドに近い軍事勢力への対決が可能となる。米国はアサド政権に対し米軍の同盟勢力を攻撃した場合は爆撃を辞さないと警告している。
  9. ただし米軍指導層はアサド政権と直接対立は避けたいと考えている。なぜならシリア政府は有効な防空システムを維持しており、米軍機にも脅威となるためだ。
  10. 「アサド政権と交戦しているわけではありません。またアサド側に戦いを挑発するものでもない」(デイヴィス大佐)
  11. ホワイトハウスもアサド政権が邪魔しないことを希望するが、シリア政府と正式な合意がないこととも明らかにした。「合意とは考えていません」とホワイトハウス報道官ジョシュ・アーネストが記者団に3日語っている。「昨年秋にアサド政権にこちらの対ISIL作戦を邪魔しないよう警告してある」
  12. 「平行してISIL戦に訓練し装備を与えた反乱戦闘員にも警告した」とアーネスト報道官は説明。「今のところアサド政権は米国の警告に従っており、今後もそうさせる」
  13. シリア反乱軍に航空支援を提供するというミッションの拡大は米国・有志連合が隣接するトルコで作戦を拡大するのと軌を一つにしている。トルコは7月にインジルリク空軍基地から有人、無人軍用機の運用を認めた。これにより米軍機はシリア領空にこれまで早く、簡単に侵入できる。
  14. 新シリア軍はまだ規模が小さいが、米軍関係者はトルコ、ヨルダン、サウジアラビア、カタールの施設を活用して5,000名以上の養成を目指す。.
  15. ペンタゴンは既存反乱勢力のうち、数千名がこの訓練・供与事業の対象になると見ているが、そのうち多くは過激派集団との関係があったことで対象にならなかった背景がある。■

2015年8月5日水曜日

★★海上自衛隊>大胆な戦略方針転換の理由は中国



日本国内ではなかなか聞こえてこない海上自衛隊のトップの発言を米国経由で聞くというのは倒錯していると言わざるを得ません。内容自体はごく健全なものですが、このまま日本で(日本語で)発言すると問題が起こるのでしょうか。とすれば国内の言論空間にゆがみがあるということですね。日本の国益をどう捉えるかという問題ですが、思考がどこまで広がっているのかというもんだなのでしょうね。

Japan Looks South: China’s Rise Drives New Strategy

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on August 03, 2015 at 2:41 PM

WASHINGTON: 海上自衛隊トップが講演すれば話題は日本防衛についてだろうと予測するのが普通だろう。だが武居智久海上幕僚長が10ヶ月で三度目の訪米となった今回のワシントン講演で日本が戦略的視野を広げていることを示したのには、いささか驚かされた。日本がインド洋までを視野に入れ、南シナ海に特に関心を示す背景にはもちろん中国の存在がある。
  1. 日本を先に訪問していたアンドリュー・クレピネヴィックの発言を引用すると「脅威の高まりと米国への信頼のゆらぎがあいまって、また憲法第9条の再解釈により日本では安全保障への考え方が広がり、戦略的になった」のだ。
  2. 日本の新思考で特筆すべきことは何か。カーネギー平和財団の講演で武居海上幕僚長は北朝鮮、尖閣諸島、ロシアについて言及していない。幕僚長は「太平洋」とも言わず、より広範な「インド・太平洋」の語句を使っている。
  3. 東北アジアについて論じるかわりに、幕僚長はソマリアであいかわらず混乱が続いていること、イエメンの不安地度から依然アデン湾での海賊活動に現象の兆しがないこと、海上自衛隊が護衛艦艇と哨戒機を派遣していることを紹介した。また「ある国」が「不安と不信」を南シナ海で発生させていると、日本人らしからぬ強い語調で中国について話している。
  4. 「中国はスプラトリー諸島のサンゴ礁を急速に埋め立てており、各国の反対を無視している」と武居幕僚長は述べ、人工島が軍事基地として供用されるとの見解で「南シナ海全体が中国の軍事影響下に置かれる」とした。
  5. 「南シナ海はインド太平洋の経済の重心だ。シーレーンが各所に伸びており、『開かれて自由な航行』にとって南シナ海は死活的に重要な存在」と述べた。
  6. 島嶼国家である日本で戦略的に事実を認識するのは大きな一歩だ。これまで日本は憲法第9条を厳格に解釈し、戦争を放棄してきた。前の大戦の惨禍、とくに原子爆弾二発による破壊を受けて、日本の自衛隊はもっとも狭義の自国防衛に徹してきた。とくに北海道の防衛に主眼をおいたのはソ連侵攻を恐れての事だった。しかし、現在の総理大臣安倍晋三は第9条の解釈を改め「集団的安全保障」に道を開く法改正を物議を醸し出しつつ推進中だ。その狙いは日本が他国と共同して域内の脅威に対抗することにある。
  7. 「集団的自衛権が政治問題になっています。国内議論は集団的安全保障を巡って大きく意見がわかれています。民主党中心の野党は安倍を止めないと日本が戦争に巻き込まれる、果ては徴兵制につながると主張しています」と語るのは戦略国際研究所で日本専門家のニコラス・スゼチェイル Nicholas Szecheiyl だ。「ただしこれは情報がどれだけ共有されているかの問題だと見ています」とし、新法は日本をこれまで以上に他国と共同作戦できるようにするもの、単に米軍だけが想定ではない、とし、日米と東南アジア各国で「共通作戦構造」を中国の南シナ海進出に対抗するために発足させると見ている。
  8. これまでも日本艦艇を南シナ海で巡視させる案が出ているが、米第7艦隊司令官ロバート・トーマス中将自らが海上自衛隊が地域内の「安定化勢力」になると公言している。
  9. しかし中国は日本のいかなる行動に反対している。「中国は数カ月前に米海軍のプレゼンスが南シナ海にあっても共存できるが、日本は同地域に関係がないと表明している」とヘリテージ財団の中国専門家ディーン・チェンが解説している。
  10. 日本は南シナ海およびインド洋で防衛関係を構築中で、これは民主党時代からの継続。オーストラリアとは2007年に防衛協力協定を正式に締結しており、インドとも同様に2008年にしている。(チェンはこの協定にほとんど関心が集まっていないと指摘) 両国と日本は軍事演習を実施している。武居海将は西太平洋海軍シンポジウムをインド洋海軍シンポジウムと連携する提案を正式に表明している。
  11. 武居幕僚長は武器輸出が解禁され新しい協力の可能性が生まれたと強調している。フィリピンとベトナムに日本は巡視艇を供与しているが、両国とも中国と領有権をめぐり対立する最前線の国
  12. では日本自身の防衛装備はどうするのか。「今日の自衛隊は相当の実力をもっています」とチェンは見る。とくに海上自衛隊について「英海軍より規模、実力ともに大きく、例外は弾道ミサイル潜水艦だけだ」という。(英国は核兵器を保有しているが、日本は理解出来る理由のため整備していない)
  13. さらに武居海将は力強く発言している。「今や海自は質量ともに米海軍につぐ存在だ」
  14. だからといって日本が米国抜きで仕事ができるわけではない。「米軍のプレゼンスは現在も今後もインド太平洋地区での平和と安定のため必要だ」と海将は発言。どのようなプレゼンスをどうやって維持するかは米国が真剣に議論すべきことだ。■


2015年8月4日火曜日

★F-35は最後の有人戦闘機になるのか


同じロッキードのF-104も最後の有人戦闘機と言われていましたが、(こんなことを言っていたのは日本だけ?) どうもF-35が最後の有人機になる可能性は低いようです。

F-35 Lightning II - last of the manned fighters?

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
27 July 2015

(US Air Force)

米海兵隊はロッキード・マーティンF-35ライトニングII供用打撃戦闘機(JSF)の初期作戦能力獲得を7月末までに宣言する見込みだが、次の有人戦闘機があるのか、いいかえればJSFが最後の有人戦闘機になるかと多くの筋が問いかけている。
  1. 軍事航空にはこれまでも誤った予測があり、従来どおりの概念としての戦闘機は消滅すると何回も言われてきた。ヴォートF-8クルセイダーが1950年代中頃に開発され付けられたニックネームは「最後のガンファイター」で、以後の戦闘機はミサイルのみ搭載すると見られていた。
  2. 英国は更に先を行き、1957年の国防白書は大胆にも有人戦闘機は今後地対空ミサイルに置き換えると主張していた。これは全く誤った見解で代償は英国国防宇宙航空産業の衰退と高くついた。.
  3. 最近も今年4月に米海軍長官レイ・メイバスがF-35が「打撃戦闘機として海軍省が調達する最後の有人戦闘機になるのはほぼ確実」と発言している。
  4. 有人戦闘機が終焉を迎えるといわれてきたのは空対空、地対空ミサイルの開発が根拠だったが、今日では無人機技術が進展し、戦闘機パイロットの仕事を奪いかねない勢いだ。.
  5. 名称こそ無人航空機(UAVs)、無人航空システムズ、遠隔操縦航空機、遠隔操縦機システムズ、あるいは単にドローンといろいろあるが、無人機は戦場に初めて登場した1980年代から指数関数的に増加している。
  6. 無人機の先陣を切ったのはイスラエル国防軍で敵防空網を無力化する手段としてUAVを地対空ミサイルの前に飛ばせ有人戦闘機にミサイル陣地の場所を教える方法が生まれた。近年のUAVは情報収集・監視・偵察(ISR)用途でアフガニスタン、イラク、リピア、シリアで運用され、今後も別の国が加わるだろう。ISRに加え、攻撃力も付与され、用途はひろがり、性能も向上している。.
  7. 無人機の支持派は有人機と比較すれば、人的被害ゼロ、また開発、調達、運用、支援の各コストが低減できると主張している
  8. 確かにコックピットから地上基地に操縦を移せば、操縦パイロットを危険から解放することはできるが、それでも操作員に被害が出ないとは言い切れない。UAVパイロットが高レベルの精神病に罹患するとの報道はあり、「遠隔操作」戦争に長い期間さらされると、勤務時間内は戦闘員殺りくをし、帰宅すれば平常の家庭生活に戻るパターンを繰り返すうちに精神に異常をきたす例が報告されている。戦闘機パイロットは確かにもっと厳しい身体的危険にさらされるが、配備基地では同輩や仲間が支援する構造になっており、これは無人機操作員にはないぜいたくだ。
  9. また政治上の見地からはパイロットがコックピットで危険状態にさらされる方が望ましいといえる。UAVを投入すると大きな論争が発生する。その理由として運用国には全く危険がない状態なので投入の閾値が下がるという主張がある。反対派には無人機も有人機の交戦規則 (RoE) に従う点で違いはなく(各国の空軍では同じなのだが、CIAのような秘密組織が同じRoEを適用しているかは不明) 無人機の使用が「フェアでない」から道義にかなわないというのだ。有人機が同じミッションを実施しても哲学的な考察の余地はない。
  10. 有人機無人機で開発・調達・運用・支援の各コストを比較するとUAVの発達はF-35の開発時期と重なっているのが有人機にとっては不運としかいいようがない。F-35は国防産業で浪費と無駄の象徴とされている。
  11. 1.5兆ドルをF-35に投じることで(同機は歴史上最も効果な国防事業となった)UAVのほうが安上がりでコスト効果が高い解決方法だと言うのは実に易しいことだ。だがそんな比較は誤解の元となる。つまり比較自体がおかしいということだ。
  12. F-35は敵防空体制の中ですべての形式の戦闘を実施する設計で、UAVはISRや軽攻撃を比較的脅威度の少ない空域で実施する前提だ。無人機の妨害は極めて簡単にできる。たしかに次世代の無人機として敵防空体制の下でも作戦飛行できる構想が完成にちかづいており、米国の無人艦載監視偵察攻撃機(UCLASS)や英仏共同開発の次世代戦闘航空機システム(FCAS)さらにヨーロッパ共同開発のnEUROnがあるが、やはり他のUAVと同じ政治課題からは免れ得ない。
  13. また「無人」ということばも誤解を与えかねない。パイロットがいないのではなく地上に移動させただけだ。皮肉なことに今日の無人機の運用には有人機よりも多くの人員が必要だ。グリペン戦闘機の例ではパイロット一名でミッションを実施するが、無人機リーパーには二名が機体を空域に投入し、その後ミッション部分は別の二名あるいは三名のチーム(米国内)に任せて、再び最初のチームが機体回収にあたるので、5名が関与する。両機種にはほぼ同様のレベルのインフラ施設が必要であり、有人サポート体制が必要なので、UAVが宣伝するような人員減・支出減が本当に実現するのか判断できない。これはすくなくとも近い将来まで同じだ。
  14. メイバス長官がF-35が海軍最後の有人戦闘機になると発言しているが、ペンタゴンはすでにJSFの後継機種開発を始めている。ただし、無人機ではない。
  15. 米空軍及び海軍は第六世代戦闘機と呼称する新型機の開発を開始しており、次世代戦術航空機Next Generation Tactical Aircraft (Next Gen TACAIR) と呼んでいる。事業開始は2013年で、Next Gen TACAIRは国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)が主導し、次世代の制空戦闘システム・機材の開発を目指している。
  16. ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社が第六世代戦闘機の競合に参加する意向を示しており、ボーイング、ロッキードは概念図を示しているが、ともに有人機だ。まだ概念段階だが、第五世代機と同様の特徴があるといわれる。ただし推進力、機体構造、エイビオニクスで未来的な進歩がある。F-35が最後の有人戦闘機になるのかという点について各第六世代機は選択的に有人になるといわれているので完全に無人機にはならない。
  17. 選択的に有人機になると完全な有人機あるいは無人機よりも利点があり、今後の戦闘機設計でひとつの道を示しているようだ。選択的有人操縦型にすれば両方の良い点をとり、無人機のクルーのリスクを減らす一方で有人機ならではの柔軟性と能力発揮を実現できる。
  18. Next Gen TACAIRの情報要求では選択的有人操縦型機を求めており、将来の高速航空機の方向性がひとつ打ち出されている。Next Gen TACAIRの初期作戦能力獲得時期は2030年ごろとされ、就役する新型機はF-35と並行して相当期間にわたり運用され、そのあとの機種に役目を譲るとしても戦闘機パイロットの役目がなくなる事態はまだ終わらない。■


★情報戦>スカッドミサイル発射の警報はツイッターから入手していた



詳細はわかりませんが、ソーシャルメディア全体からキーワードを抽出し、位置情報と組み合わせて特定のイベントの開始を事前に把握する仕組みがすでに稼働中だとうかがえます。当然NSAが大きく関係しているのでしょうね。みなさんもフェイスブックやツイッターの利用には注意が必要ですね。

New Intel Era: Tweet Alerts DIA To SCUD Launch, Not Spy Sats

By COLIN CLARK on July 31, 2015 at 1:11 PM
PENTAGON CITY: ソーシャルメディアは国際問題や安全保障にも影響を与えている。アラブの春はチュニジアで若者が焼身自殺したことが共有されて蜂起につながった。
だがソーシャルメディアが武器発見に有望なツールだとは考えもしないだろう。なんといってもスパイ衛星(DSPやSBIRS)があり、ミサイル発射の兆候に目を光らせており、レーダー衛星や各種航空機のAWACSやJSTARSが空と地上を見張っているのだ。
だが国防情報局のトップは情報関連の契約企業の聴衆に対し、イエメンのフーシ派が6月にスカッド・ミサイルをサウジアラビアを狙って発射したとの情報は宇宙配備赤外線システム(SBIRS)や旧式化しつつも信頼性の高いDSP衛星群が出所ではないと明らかにしている。
Lt. Gen. Vincent Stewart DIA
「最初の警告はハッシュタグ・SCUD・発射」のつぶやきが出たことで、それだけではミサイル発射場所は特定できなかったが、海兵隊中将ヴィンセント・スチュワート Lt. Gen. Vincent Stewart はその情報が元で衛星群、無人機他のアセットを動員し、発見に至ったことを明らかにした。「これが探索を開始した経緯だ」という。
中将はDIAがその他好ましくないことも発見したという。詳細は触れなかったが、DIAのネットワークを対諜報活動専門家が探ろうとしたという。
その他にも懸念事項があるという。局内の異動が少ないこと、年間5%しか局員が入れ替わっていない、分析が硬直化しており、とくにキューバ関連でその傾向が強いとし、世界の変化に対応していないことを指摘した。中将は分析官はしかるべき資格を取るべきとし、居心地が悪く感じるものはCIA他情報機関へ転籍すべきとまで言い放った。中将はCIAをくりかえしからかい、事情を知る聴衆の失笑を買っていたのは両機関が内輪で予算や人員をめぐり争奪戦をしているためだ。■


2015年8月3日月曜日

最大の防衛企業ロッキード・マーティンCEOに聞く


たしかヒューソンCEOはロッキードに技術畑で入社して上り上がった叩き上げですね。以下インタビューでは微妙な問題も出ていますが、さすがにうまく切り盛りしています。米国のジャーナリズムのきびしい問いかけ方法を日本も学ぶ必要があるのではないでしょうか。ブログ主としてはCFR(コンパクト核融合炉技術)はどうなったのかと聞きたくなるところですが。

Interview: Lockheed Martin's Marillyn Hewson

By Andrew Clevenger, Vago Muradian and Aaron Mehta 6:42 p.m. EDT July 27, 2015
hewson(Photo: Staff)
PARIS and WASHINGTON — 今年もロッキード・マーティンはDefense News恒例の100大国防企業のトップになり、ヘリコプター大手のシコルスキーの吸収合併で更に業績を拡大する勢いだ。会長、社長兼CEOのマリリン・ヒューソンは同社を2013年から率いており、ペンタゴンとの関係改善、社内企業文化の再強化、さらに今後の同社の戦略的位置づけの定義を図ってきた。インタビューは7月27日に行った。
シコルスキー買収の理由は。ロッキード・マーティンのビジネス戦略全体で変化が生まれつつあるのか。
シコルスキー買収は当社のビジネス拡大戦略の一環。当社の航空宇宙国防製品・技術の品揃えが広がり、国際的にも訴求力のあるヘリコプター・ソリューションを提供できる。商用ヘリコプターでも新しい可能性が出てくる。シコルスキーが今後もDoD(国防総省)向けに素晴らしい製品を供給し続けるためにも今回の決定が最善だと確信しており、以前より広範な経営資源を投入し安定性をますのでそのまま事業を継続していた場合よりも優れた業績を示せるはずだ。
シコルスキー買収でロッキードはヘリコプターおよびヘリコプター向け電子装備でトップメーカーに踊り出るが、一方で垂直統合が強まり、DoDが一次契約企業同士の合併を嫌う中で懸念も増える。DoDが今回の買収をどう考えていると思うか。
実はシコルスキーとロッキード・マーティンは競争の激しい市場で共同で事業を展開している。シコルスキーが加わることでロッキード・マーティンの製品群がヘリコプター部門の競争状態を減らす作用はない。なぜなら当社は今のところヘリコプターの設計製造に携わっていないからだ。今回の取引は相互補完的で垂直、水平いずれでも懸念を生じさせない。政府審査には堂々と対応するつもりだ。
合併案公表前にDoDとは話をしたのか。あるいは今からだったら承認をどう説得するか
当社では事業上で大きな変化がある際に発表しているが、今回も同様に当社の顧客には事前にニュースを伝えている。審査手続では必要な情報は提供する。今回の取引で競争状態が減少するとは思わず、逆にコストや技術革新でDoDの顧客にも良い影響が出ると自信を持っている。
IT部門、サイバー事業部門を売却する理由は何か。拡大する一方の事業だと見る向きが多いのに。
当社のITおよび技術サービシズ事業は世界クラスの性能を実現しており、業績は極めて良好だ。ただし、市場動向と顧客の優先事項が変化していることから、これらの事業がもっと大きな成果を発揮し、より成功をおさめることはロッキード・マーティンから離れても可能と判断した。民間向けサイバー部門事業が戦略的見直しの対象となり、政府向けサイバーセキュリティー事業は引き続きロッキード・マーティンの中にとどまる。
国防支出が最低水準になれば、市場の成長率はどうなるか。また2015年から2020年までに業績をどう拡大していくのか。
まず本当に底を打ったのか確信が持てない。今年の夏は予算案をめぐり熱い議論が戦わされるだろう。そのため行方を注視している。大統領の予算案が想定の予算上限を上回っていたことに救いを感じるが、世界規模の安全保障の課題が山積しているとの認識で、わが国の国防装備を近代化する必要がある中、強制予算削減で想定したキャップを上回る支出が必要だと一部議員は見ている。これ自体は勇気づけられる話だが、一気にそこまでいかないことも明らかで、さらに国防以外の分野でキャップ以上の支出が必要との政府の考えもある。したがって当面は静観したい。
今後の見通しとなると、特定の事業で成長を期待するのか、それとも複数の成長事業があるのか。
持続でき利益をもたらす成長を心がけている。そのため企業全体の成長が必要だ。国際市場に注力している。国際売上20%という目標は達成済みだ。さらに今後数年以内に25%になると見ている。ここは成長が見込める分野で同時に米国内でも国防予算が増加に転じると見ている。その場合、当社は最強の品揃えがあり、強い立場になる。
当社の最大の難関はもちろんF-35であり、当社の製品群で大きな位置を占める存在だが、順調に推移している。F-35をまとめ買いしたいとの顧客の声明を聞いているだろう。同機事業の安定度と成長可能性はその他ミサイル防衛、C-130Jに代表される航空機動性とともに当社の広範な製品群を構成する。市場の中での当社の立ち位置は良好で国内外で需要は伸びると見ている。
2017年めどに自社株式を買戻すといっているが、アナリスト多数がこの案を支持していない。効果があると信じているのか。
今後三年間を見越して当社のキャッシュ活用を考えると150億ドル相当の運用資金を想定し、株主には配当および買戻しの形で還元してきたい。直近の12年間で当社は配当を二桁成長させてきたのはご存知の通り。株式の再購入へ続く道だった。総発行株数を300百万株に減らすというのは自然な選択だ。ここまでは普通の選択だが、だからといって事業の成長発展に必要なキャッシュを減らすわけではない。資本財その他に必要なキャッシュは維持する。
社員やR&D活動、事業投資が維持できなくなるという意見にどう反応するか。また手持ち資本をどの分野に投資するのか
当社の戦略は強力だと確信している。株主には現金還元の形で約束を果たしていくが、同時に当社の事業への投資も継続する。それは研究開発部門だ。今後も投資をしていく。資本財の投資もあり、実験施設も新規開設しており、施設も拡張している。今後も変わらない。過剰設備と考える部分ではリストラも行っている。事業体制をそもそもの事業の目的に応じて整理するのは極めて自然な行為だ。また成長とともに雇用も同様に拡大していくべきだ。企業を成長させるのが大切で、顧客に喜ばれ、従業員にも良い対応が、株主にも良い結果を生むと思う。
ペンタゴンはシリコンバレーの各企業に寄り添うようだ。これで事業に対する考え方が変化するだろうか。また新規企業、イノベーション企業の役割をどう見るか。
国防産業なかんずく当社はイノベーターとして知られている。当社の生命線は技術開発だ。今後もイノベーション実現につながる投資を続ける。当社の第5世代戦闘機は最も洗練されて他に類のない存在だ。当社の衛星、宇宙機の能力をみてほしい。オライオンは外宇宙探索のすぐれた手段となる。
いいたいことは製品群を全体で見てほしいということだ。現時点の製品群の維持につながる投資をしているとともに長期にわたり製品への投資もしていることで顧客が求める内容を提供できる。当社もシリコンバレーを利用するが、民間会社なら普通にしていることだ。そのため現地にも進出しているし、世界中に進出している。
新技術向け投資はどうなのか
特定の機能性能のため各種の調達をしている。パロアルトにある当社の技術センターは相当高度な拠点だ。事業投資も活発に行っている。当社の試験設備を見てもらえば、5大事業分野でそれぞれ新技術を重視していることがわかるはず。同時に現行製品群についても改良や性能向上を図っている。C-130がその例で、初号機は1954年に引き渡したものだ。今はC-130Jに大量の受注があり世界各地から発注が相次いでいる。米国政府も複数年度調達をする。宇宙探査事業もあり、衛星もある。ミサイル技術では有効に資金を活用していると思う。共同事業の相手に投資することもある。企業買収はあり得る。市場にある技術を活用することができるし、社内開発もできる。
社内資源を機動的に使うため何を考えているのか、また現在は機動的に動いていると言えるか。考慮すべき要素があるか。
それは間違いない。コア技能を持つものを周辺事業に従事させる。最近の企業買収事案を見てもらえれば、サイバーセキュリティーではIndustrial Defenderを吸収しており、同社はこの分野で専門技術があり、制御機器の製造もしている。そこに当社のITサイバーセキュリティ部門を合同させてソリューションの幅を広げている。更に防衛部門や情報処理部門とも合同させることで当社の強みを実現している。従業員は112千名で、すべての分野を網羅している。技術的な解決策が必要なら、社内全体から最適な技術者を抽出できる。
社内の価値観をどう導いているのか。大企業でありながら機敏な行動を引き出し、顧客目線に立たせるため何を実施しているのか。
企業としてお客様が当社にとって中心の存在と考える。顧客に焦点を当てる。当社の仕事は顧客に価値を提供することだ。そのため顧客を思って動くことが従業員にも良い結果となるし、株主他にとっても同様だ。これが基本だ。その他、全社的に顧客に中心を合わせる社内文化を染み込ませている。なんといっても最高の優先順位がお客様だ。耳を傾け、何が欲しいのかを理解する。そのニーズにはちゃんと反応しなくてはいけない。それには行動をもってその実現にあたる。これは社内に浸透していると思う。
社内でも仕事の進め方に変化が生まれる。顧客中心の価値観になれば正しい方向に仕事が進むはずだ。問題は迅速さをもってよしとするにしてもイノベーションの風土が生まれていなければならない。なぜなら、イノベーションこそ当社の生命線であるからだ。イノベーションは顧客に提供する価値につながる。すべて顧客につながるのだ。またイノベーションを培う社内文化を形成するためには社員がベストを尽くせる環境を整備し、社員が自分の考えに耳を傾けてもらっていると感じられるようにすることだ。そうすれば社員が共同して最高の発想を前に進められる。また社員の側には採択の期待が増えるだろう。そのインプットから最高の発想が実現に向かう。
LRS-B受注に気をもんでいることと思う。業界には結果次第でまたM&Aが増えるとの見方があるが、今後の見通しにも影響が出るか、つまり受注成功、失敗で状況がかわるか。また昨今のM&Aの状況についても聞きたい。
当社はボーイングと組み、LRS-B受注を目指している。米空軍向け案件では最重要事業だ。空軍にとっても重要な投資分野である。ボーイングと共同事業を組めて光栄に感じている。両社とも相当の経験があり、社内の能力を引き出し、最良の結果になると確信している。
契約の成否による業界への影響だが、これは正直言って当方の頭のなかでは重要な事項ではない。当社には強力で広い範囲の製品群がある。たしかにLRS-Bは重要な事業だが、その他に重要事業は多くあり、LRS-Bは仮に受注に失敗しても業績に大きな影響を与えない。とはいえ、提携先とともに受注獲得を目指している。成長機会を追求し他社から抜け出る事を考えないといけない。
ペンタゴンからはIRAD(自社資金による研究開発)を求める声がある。支出資金は返金するという。このやり方に意見はあるか。逆にペンタゴンへの注文はないか
ケンドール副長官はBetter Buying Power 3.0で見落としている点が多いと思う。ただケンドールは聞く耳を持っており、業界とは透明性をもってどうやって進めていくかを考えているのも事実だ。実施の方法を詳細に考えていると思う。この点、業界は開かれた議論をしている。対話の結果、ケンドールは部下に課題処理を命じている。これは非常に前向きかつ傾聴していることの意味は大きい。議論もどうやって実現するかに焦点があっている。.
ケンドールが望んでいる内容、なぜこの話題に真剣になっているかがわかってきた。企業は長期的視野に焦点をあわせるべきで研究開発に投資をしてもらいたいのだろう。ただ投資しても結果がすぐに出ないこともある。そうなると追加投資が必要だ。技術がものになるまでは試行錯誤を繰り返すこともある。ケンドールが望むように業界にルールを押し付けるのは時期尚早だと思う。業界はケンドールに耳を傾け一緒に作業して悪い方向に向かわないようにしたい。
強制予算削減策について。業界は2015年下半期でこれをどう終わらせるつもりなのか。放っておくと大変なことになる。(継続決議が出るかもしれない)強制削減が復活しないとも限らない。業界として議員連にどう伝えるのか
自分自身も含め業界は毎日メッセージを伝えているつもり。また当社の顧客(米軍)も同様だ。メッセージは同じで顧客に話すのか、業界に話すのか、だ。顧客それぞれがきびしい安全保障の課題に直面する中で予算がなく装備近代化ができず、紛争を解決できていない。これは米国の安全保障上看過できない事態だ。強制削減措置は一律カットにつながり、戦略目標の軽重と無関係だ。なんといっても国民の保護がつとめであり、同盟国や友好国と一緒に悪者に対処しなければならない。そのための投入資源がないと、どこかを切らないといけない。即応体制を犠牲にするか、近代化をがまんすることになる。ただし近代化を先送りしたり、技術投資を怠れば取り返しの付かないギャップが生まれてしまう。
防衛産業にも影響が出る。そもそも顧客はどこから技術を入手するのだろうか。またどこで生産をさせるのだろうか。答えはみな業界だ。生産しなければ性能も手に入らない。これは国家にとって不幸だ。技術力を持った人材が減れば、技術開発やイノベーションも衰退し、軍事優越性の維持が困難になる。だからこそ国民の保護のためにも業界は最高の能力を維持するべきだ。
同時に議員の間にはこんなことを言っている向きがある。「業界に強制削減必要ない。ロッキードを見ろ、株を買い戻しているぞ」
ではこう言いたい。企業は自社を運営し業務上財務上の目標を達成する。事業をつくっていかねばならない。ビジネスの基盤に似合ったサイズビジネスにしないとコストは上昇しつづけ、システムは予算環境厳しい中で顧客に高嶺の花になり手が出なくなる。ウォール・ストリートからの資金流入を惹きつけられる仕事をしないと、研究開発に投じる資金が足りなくなり、結果として顧客、わが国に最良の性能を有する装備を提供できなくなる。そこで業界トップの我々の仕事は企業の成長を持続させ利益が出る形に維持することであり、投資家の資金をひきつけることであり、これで顧客に当社の有する最高の性能を有する解決策を提供できることになる。立法府も各社に同じことを期待しているはずで、企業運営で付加価値を実現することだ。■

2015年8月2日日曜日

★米海兵隊F-35Bで初期作戦能力獲得宣言



いろいろ問題がついてまわるF-35ですが、IOC獲得だけは予定の時間をぎりぎりで達成したようです。ただし、IOCでありフル性能が実現するのはまだまだ先のようですし、まだまだ今後が難航しそうな同機のことですからどうなりますやら。岩国に真っ先に配備されるのはいいのですが、また反対運動が出てくるんでしょうか。心配です。

U.S. Marines Declare First F-35B Squadron Operational

Jul 31, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report
計画から遅れること5年、予算も数十億ドル超過し、計画中断の試みを断ち切り、F-35B共用打撃戦闘機がついに米海兵隊で供用を開始する。
  1. 7月31日に12カ国のトップを切り海兵隊は短距離陸垂直着陸型のF-35Bの初期作戦能力(IOC)獲得を宣言した。
  2. 第121海兵隊戦闘攻撃飛行隊 (VMFA-121)は駐屯地ユマ(アリゾナ州)がIOCを5日間にわたる作戦即応度観閲(ORI)を7月17日に受けた。
  3. 「VMFA-121にはブロック2B仕様の10機が配備され、運用展開の準備が完了した」と海兵隊司令官ジョセフ・ダンフォード大将が発表した。「近接航空支援、攻撃・防空空中戦闘、迎撃、強襲支援、武装偵察を海兵隊陸上部隊とともに実施することが可能だ」
  4. F-35支持派にとって今回の達成は戦術航空の新時代の幕を開くものとされ、単発ステルス機が今後各国で投入されることを期待するものだ。通常離着陸用のA型が需要が一番高く、1,763機を導入する予定の米空軍も2016年12月にIOCを宣言する予定だ。同盟国ではイタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ、カナダ、トルコ、オーストラリア、イスラエル、日本、韓国が運用する。C型は米海軍専用の機材で発着艦時を考慮して主翼が大型化している。海軍のIOCは2019年2月の予定。
  5. VMFA-121配備の10機が今回のIOCで作戦可能となった。同隊は以前はF-18ホーネットを飛ばしていた。
  6. 今回のIOCはロッキード・マーティンの2BソフトウェアのためIOCも限定つきとなる。AIM-120空対空ミサイル、500ポンドレーザー誘導爆弾、2,000ポンド共用直接攻撃弾の利用が可能となる。ただしソフトウェアの制約で各装備は機内兵装庫からの運用に制限される。今後のソフトウェアの改訂で外部搭載が可能になる。
  7. ただし、海兵隊航空副司令官ジョン・デイヴィス中将は同機はF-18ホーネットやAV-8Bハリヤーより強力だと力説する。今回のソフトウェアは近接航空支援や航空阻止ミッションの「基礎」部分をサポートするほか、防空網の「限定的」制圧に有効だという。
  8. 海兵隊はハリヤーを2026年に退役させ、ホーネットは2030年まで使用すると海兵隊報道官ポール・グリーンバーグ少佐は説明。F-35Bを配備する第二の非応対はVMA-211(ハリヤーを稼働中)で2016年になる。その後VMFA-122(現在ホーネットを配備)が2018年に機種転換する。
  9. 完全作戦能力 (FOC) の獲得は 2017年度第四四半期でその時点で2001年10月にはじまった機体の開発期間も終わりを迎えているはずだ。そして海兵隊に念願の3Fソフトウェアが届き、より多くの兵装の利用が可能となるほか、電子攻撃能力も使えるようになる。
  10. デイヴィス中将によれば最初の飛行隊で懸念しているのはミッション能力の引き上げだという。VMFA-121の各機は当初およそ60%のミッション実施が可能だという。いかにも低い数字のようだが、作戦投入開始時の想定水準はそんな程度だという。というのも各機はロッキード・マーティンのフォートワース工場で比較的初期に完成した機体であるのも理由のひとつだ。差新の生産機の標準に合わせるため各機には改修が多数必要となる。開発と生産を並列して進めたためで、同機に懐疑的な向きは早くからこの欠陥を指摘していた。
  11. デイヴィス中将の考える最終目標は80%のミッション実施率で、開発完了までにこの水準になると見ている。だがこの引き上げを左右するのがスペア部品だ。部品の在庫があるかどうかで機体の保守点検時間や飛行の可否が影響を受ける。
  12. もうひとつ制約になりそうなのが2Bソフトウェア搭載の機体では多機能高性能データリンクMultifunction Advanced Data Link (MADL)が利用できないことだ。MADLは空中、地上でのパイロットの状況把握データを秘匿共有する能力がある。4機編隊で運用するとMADLは2機の間でしか利用できない。対策として海兵隊は2機ずつを旧式のLink 16データリンクで結ぶことにしている。
  13. 問題はLink 16が秘匿性にかけることで、発信すれば敵も探知することが可能でF-35の位置がばれてしまうことだ。MADLは特殊波形と指向性アンテナを使い、ステルス性を損なうことなくデータを伝えるので翼整備された防空空域に突入する同機を助ける。
  14. F-35関係者はソフトウェアパッチで4機編隊でのデータリンクの実効性を引き上げようとテストしてきた。だが現時点で期待されるデータ融合機能は機能しない。それでもIOC宣言をしたのはホーネット、ハリヤー各機をなるべく早く退役させるためだ。
  15. 既存各機にはステルス性がなく、ロッキード・マーティンが称する「センサー融合」つまり統合視覚画像を新型ヘルメットに写すこともできない。
  16. しかしF-35反対派には既存機種メーターの強力なロビーストがあり、F-35の価格が高騰していることを問題視しているが、同機はステルスの代償として武装搭載量、機動性の双方を犠牲にしていると主張。これに対しデイヴィスは新技術のもたらす効果は計り知れないと反論する。
  17. 海兵隊はペンタゴンの歴史上もっとも高価な戦闘機ともっとも高価な回転翼機V-22をともに運用することになる。
  18. F-35Bの最新価格は単価100.5百万ドルで、昨年秋にロッキード・マーティンに交付された契約によるものだ。F-35Cは製造規模が小さいこともあり、111.1百万ドルになっている。ともにフライアウェイ価格で開発費用は反映していない。
  19. 価格と技術課題からF-35は一度ならずとも打ち切りの危機に直面した。その後ペンタゴンが開発体制を再構築し、B型を優先し、技術的に一番困難な同機をまず実現することにした。このため米空軍向け機体の稼動が遅れた。またテスト結果が芳しくなく、当時の国防長官ロバート・ゲイツが2011年にB型を「保護観察対象」にしている。結果が改善し今回のIOCにつながったわけであ。
  20. 昨年のロイヤルインターナショナルエアタトゥー、ファーンボロの両航空ショーにF-35Bは展示sれなかった。F-35Aのエンジン事故で機体全部が飛行停止になったためだ。エンジン火災の原因は第三段ローターにあったが、すでに改良が完成済み機体と新規生産分に施されている。B型は来年のエアタトゥーに出展され、その後ファーンボロでも公開される予定だ。
  21. 海兵隊は420機のF-35を調達する予定で、うち353機がB型で小型強襲艦での運用を想定し、大型空母運用型のC型は67機だ。
  22. VMFA-121は2017年に岩国海兵隊航空基地に移動し、常駐する。■


2015年7月31日金曜日

オーストラリア向けEA-18Gは米海軍仕様とひと味ちがう機体になった


オーストラリア向けのグラウラーは米海軍仕様とは微妙に異なっているようですね。ただし、空対空ミサイルを搭載するというのはどんなもんでしょう。機数に限りがあるため出来るだけの機能を一機でこなせるようにしたいというのがオーストラリアの用兵思想なのでしょうか。もし日本も同機を導入したら同じ発想になるのでしょうか。NIFC-CAがまた出てきますが、米軍との親和性ではオーストラリアが一歩先を行くようですね。ゆくゆくは日米豪でネットワークを構築すると見ていますが。

U.S. Navy Lessons from Libya Informed Australian EA-18G Growler Modifications

By: Sam LaGrone
July 30, 2015 4:25 PM
The Royal Australian Air Force's first EA-18G Growler during its first flight on July 13. Boeing Photo
オーストラリア空軍向けEA-18Gグラウラーの1号機が7月13日に初飛行した。T. Boeing Photo

ST. LOUIS, MO.— 米海軍はリビア攻撃の教訓をオーストラリア向けボーイングEA-18Gグラウラー電子攻撃機に伝えたと米海軍関係者とオーストラリア空軍(RAAF)関係者が報道陣に語っている。
  1. 「リビアで最大の教訓は電子光学ポッドがグラウラーに必要だとわかったことです」と語るのはRAAF前参謀長ジェフ・ブラウン中将 Air Marshall Geoff Brown だ。「電子発信音をとらえ所在がわかったあとで標的を見ることができますから」
  2. レイセオン製ATFLR(前方監視赤外線)ポッドを加え、グラウラーは目標の状況を更に高いレベルで把握できることになった。
  3. グラウラーの電子攻撃の基本は敵防空体制を電子的に探知し、利用不可能にすることだが、現行の米海軍仕様グラウラーにはFLIRポッドはついておらず、スーパーホーネットの有する視覚鋭敏さに劣る。
  4. 2011年のオデッセイの夜明け作戦ではグラウラー5機の一個飛行隊がリビア上空の航空戦を支援したが、電子的に探知したあとの目標確認ではFLIRを搭載した他機に頼っていた。ドナルド・ガディス少将Rear Adm. Donald Gaddis(米海軍の戦術機事業主管)が報道陣に対しボーイング社内で開かれた式典会場で解説している。.
  5. EA-18GのパッシブALQ-210レーダー探知機とアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)を使い、MIDSとLink 16経由で「他機に目標の軌跡を伝えた」(ガディス少将)「ポッドを搭載すると他の装備が積めなくなりますが、ATFLIRを搭載した別の機からのデータリンクが不要となり、自分で確認できるようになります」
  6. ただし米海軍が導入済みEA-18Gにポッドを搭載する改修をするのか、新規生産機から標準装備にするのかは不明だ。
  7. FLIR以外にRAAF向けグラウラーにはAIM-9X空対空ミサイルが搭載される。
  8. RAAFのグラウラー調達は航空関係で特に米国製装備を導入するオーストラリアの傾向のひとつだ。
  9. グラウラーは総額22億ドルの事業だが、オーストラリアは別にボーイングP-8Aポセイドン海上領域状況認識・対潜哨戒機、ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン海洋情報収集監視偵察無人機(UAV)、ロッキード・グラマンF-35ライトニングII供用打撃戦闘機を導入する。さらにボーイングE-7Aウェッジテール空中早期警戒統制機が導入済みだ。
  10. 各機はRAAFがめざすネットワーク化航空戦構想プラン・ジェリコの実現の基礎となる。
  11. このうちグラウラーとF-35Cには米海軍の海軍統合火器管制防空 (NIFC-CA) で中心的なノードの役割を期待され、RAAFが機材を導入するのは米戦闘ネット網に組み込まれることになるのだろう。
  12. 「米国側とはいつも協力分野を検討してきました」とブラウン中将はUSNI Newsの取材に答えている。プラン・ジェリコがNIFC-CAのよなネットワーク構想で協調型交戦能力 (CEC) を目指すのかというのが問だった。「米海軍、米空軍とは切れ目なく相互運用をめざしています」
  13. ボーイング上層部はUSNI Newsに対してF/A-18E/Fスーパーホーネットとグラウラー生産ラインを2010年代末まで維持するためには米海軍向けスーパーホーネット追加発注12機の議会承認が必要、また国際市場向けには50ないし70機の販売成約が条件との発言があった。
  14. 数ヶ月以内にデンマークが同機24ないし36機の調達を決定すると見られ、同規模の調達を中東某国が検討中とボーイング関係者は明かし、ただし国名は話さなかった。USNI Newsはクウェートであると理解している。■

2015年7月30日木曜日

★★レーザー革命がやってくる DE兵器の実用度が急速に向上か



指向性エネルギー兵器特にレーザーで何らかの進展が生まれつつあるのか複数のサイトで取り上げられています。今のところ将来を見通した観測記事の域を脱していませんが、技術の成熟化が着々と進んでいることが伺われます。この話題は今後も追っていきます。

The Laser Revolution: This Time It May Be Real

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 28, 2015 at 5:54 PM

US Navy photo
米海軍のLsWS(レーザーウェポンシステム)はUSSポンセに搭載されペルシア湾に展開中
TYSON’S CORNER: 新しいレーザー技術なら中国式の大量攻撃への対応手段として有望だ。ただし、レーザーではこの数十年、期待ばかり先行してきた。レーガン時代のスターウォーズ計画から航空機搭載レーザー(2011年計画中止)まであった中で推進派は懐疑的に感じる向き、特に議会筋を納得させる必要がある。ただし、今回は事情がちがうようだ。
  1. 議会指向性エネルギー議員会 Congressional Directed Energy Caucus の副会長ジム・ランジェヴィン下院議員 Rep. Jim Langevin は「議会内で指向性エネルギーへの態度はまだら模様だが、技術が成熟化しつつあり支持が強まっている」
  2. 「これまで指向性エネルギーは過剰宣伝され実態が追いついてなかった。多分これが一番の阻害要因だろう」
  3. 米国が指向性エネルギー兵器に費やした予算は1960年から累計で60億ドルを超す。「ただし最近まで成果があまりに貧弱だった」とダグ・ランボーン下院議員 Rep. Doug Lamborn もランジェヴィン議員の同僚として発言している。ただし現在は「興奮を呼ぶほどの移行期にあり、COCOM(戦闘部隊司令官)の要求水準にもうすこしで到達する所まで来た」
  4. 「指向性エネルギー兵器への関心を喚起するのは大変だが、議会内では超党派的な支持がある一方、反対意見もある。予算をめぐる競争は大変だ」とランボーン議員は述べている。
  5. 国防総省の指向性エネルギー関連の支出実績は年間3億ドルほどだが、すべて研究開発向けである。「拡大すると約束できないが、縮小はないだろう」とフランク・ケンドール副長官(調達、技術開発、兵站担当)は語っている。
  6. ケンドールの履歴を見ればどこまで開発が進んでいるのか、いないのかがわかる。ケンドールは指向性エネルギーにかれこれ40年間携わっており、最初は陸軍の防空部隊で若い大尉の時で、有望なこの新分野で論文を書いている。レーガン時代の戦略防衛構想、空中発射レーザー事業に関与してきたが、今回いよいよレーザーが現実の手段になろうとしている。
  7. ただし簡単ではない。「DE(指向性エネルギー)は1976年にもうすぐ実用化と言われた。1986年でも同じだったので、今や用心深くなっている。ただし、注目すべきブレイクスルーが本当に発生している」とトレイ・オバリング中将(退役)retired Lt. Gen. Trey Obering が発言している。
  8. オベリングは現在はブーズ・アレン・ハミルトンにいるが、以前はミサイル防衛庁長官で空中発射レーザー事業(ABL)の末期を見ている。ABLが失敗したのは戦術面を犠牲にしてまで技術の完成を目指したためだという。「実施可能かという点が支配し、何ができるのか、作戦上稼働するかは二の次だった」という
  9. それに対して今の技術は実験室レベルを脱し作戦レベルになってきたとオベリングは指摘する。とくに海軍の30キロワット級レーザーがUSSポンセに搭載された事例に言及している。「技術が完成するまで待つのではなく、今利用可能な手段を軍に取り入れ、フィードバックから第一線部隊がこの新兵器を話題にしています」 この方法で技術成熟化が進む中で「第一線部隊は受領して違和感なく感じている」という。
  10. このような現実的かつ経験を増やす形のテスト使用が議会内に着実に支持派を生んでいる。「米海軍がUSSポンセで行っている内容についてはよく言及しています。R&Dというだけでなく一部作戦レベルにあると見ています」(ランジェヴィン議員)
  11. 海軍の30キロワット級レーザーは現時点で米軍で唯一の作戦用レーザーだ。(目標照射用の非致死性レーザーは普及している) だがそれ以外の兵器も準備が進んでいる
  12. 空軍特殊作戦軍団は高出力レーザーをAC-130ガンシップの次期モデルに搭載しようとしている。「ブロック60にレーザーを搭載するのは10年後になるでしょうが、ブロック60自体はあと数年登場します」とAFSOC司令官ブラッド・ハイトホールド中将 Lt. Gen. Brad Heithold は語っている
  13. 空軍研究所は中規模出力レーザーの実用化を企画中だ。中規模といってもミサイルを破壊したりセンサーを利用不可能にできるが、航空機撃墜は不可能だ。これを戦闘機に搭載可能なポッドに収めようとしている。この実証を2020年までに実施するとAFRL司令官トム・マシエロ少将 Maj. Gen. Tom Masiello が発言している。ただし実戦化の日程は公表していない。
  14. 海軍は100から150キロワット級レーザーの海上公試を2018年までに実施する予定で、ポンセに搭載したレーザーより一気に3倍の強度を狙う。さらに2018年度予算に盛り込む。レイ・メイバス海軍長官の肝いりでできた海軍指向性エネルギー運営グループから提案書が出ている他、作業も開始されている。
  15. このように海軍は試作品を迅速に実戦部隊の要求に合わせようとしている。
  16. 第一線部隊司令官がレーザーに求める内容は今日では大きく異る様相を示している。
  17. 「ミサイル防衛庁に初めて足を踏み入れた2001年当時、実戦部隊はミサイル防衛を真剣に捉えていなかった」とオベリングは回想する。「これから登場するミサイル防衛手段としてイージスなどのモデルをつくろうとしたが、COCOMの側に関心が全く見られなかった。つまりまるっきり信じていなかったのだ。これが今は180度変わりましたね」
  18. 違いを生んでいるのは脅威対象だ。1991年に米軍は精密兵器体系でどんな仕事ができるかを世界に示した。それを一番注目していたのは中国だ。「それ以来、相手方も精密兵器を装備した場合の想定を恐れてきた」とケンドールは言う。
  19. 中国は高精度のミサイルに多大な投資をしているとケンドールは言うがロシア、イラン、北朝鮮もそれぞれ整備している。また非国家勢力が精密誘導ロケットや迫撃砲弾と既成品のカメラを無人機に積んで強力な効果を生む手段を作るかもしれない。
  20. 「現実に直面している問題は指向性エネルギーシステムズがずっと前に想定していたそのもので、特に精密誘導ミサイル、巡航ミサイル、弾道ミサイルです」とケンドールは言う。「今こそこの技術が重要な意味を帯びているわけです」
  21. だが作業を妥当な長さの時間の間に完成させられるだろうか。
  22. 「指向性エネルギーの開発ロードマップでは各種技術を応用して効果実証をあと5年で実施できることになっています」とケンドールは報道陣に語っている。「順調なペースではないでしょうか」
  23. 「現時点で達成できた成果をお知らせすることもできるのですが、まだリスクが多いのが現実です。複数の技術アプローチを取る理由はリスクですが、一歩踏み出さねば、結局どこにも到達できませんからね」■


2015年7月29日水曜日

★V-22オスプレイのグローバル運用で体制づくりが急務、用途追加の開発状況



オスプレイが実は世界各国も採用する想定ではなかったというのがひとつの驚きですが、日本の採用決定がグローバル化にはずみをつけているようですね。また空中給油やF-35Bジェットエンジン運搬など新しい役割も開発が進んでいるようです。調布の事故で便乗してオスプレイ反対を主張する向きがありましたが現実世界は着々と進んでいるんですね。

The Next Phase for the V-22 Osprey: Build Global Support Like C-17

By ROBBIN LAIRD on July 27, 2015 at 2:19 PM
V-22オスプレイは9月で実用化8年目を迎える。オスプレイの投入により強襲作戦は兵力の投入・撤収・交戦で新しい時代に入った。
  1. そして同機の展開は新しい段階に入る。オスプレイを同盟国は購入するだろうか、その場合に世界規模で機体支援が十分に実施できるだろうか。同盟国も加え海兵隊、空軍、そしてまもなく米海軍も飛ばす同機の効果を増進することは可能だろうか。
  2. 日本、イスラエル以外の同盟国数ヶ国が同期調達に前向きであるが、課題の解決も必要となる。もともと同機は世界各国の運用は想定しておらず、部品供給など世界規模の調達も想定外で、世界規模での高度の支援も考えていなかった。
  3. 大胆に言わせてもらえれば、現時点の機体サポート体制は需要の高まりに対応できない。オスプレイ整備にあたる方面への取材では補給支援面の不足が第一線で痛感されているとわかったし、運用面で不確かな点があることもわかった。各国の潜在需要が国防総省の計画時の予想をはるかに上回っているためだ。
  4. 「V-22部隊の任務、運用地点が前例のない形で拡大している一方、海外のオスプレイ取得が増えつつある中、世界規模のサプライチェーンを発展させ革命的な軍事技術に歩調を合わせなければならない」とジョージ・トラウトマン少将(退役)retired Lt. Gen. George Trautman前海兵隊航空副司令官は言う。
  5. 世界規模での調達システムは構築可能だ。ボーイングはC-17で実績がある。同機の部品は共通化され、世界各地の同社拠点が支援している。これにより同盟各国は同機を調達しつつ、米空軍と完全に共通化して運用できる。
  6. 同様にオスプレイでも世界各地での運用に新方式を採用する必要があるが、これが実現しないと大きな失敗になり、戦略空輸能力への影響は必至だ。
  7. そこで日本へのオスプレイ売却がグローバル化の大きなきっかけになると期待される。日本でのオスプレイ運用は高ストレス環境下となる。米軍のCV-22、MV-22と並んで日本のV-22は共通の補給体制から通常より相当高い頻度で補充支援を受けるだろう。
  8. 補給頻度の需要が変動し、かつ米軍オスプレイは域内各地で運用するため、部品在庫は地域全体で想定しておくことが合理的かつオスプレイのグローバル展開で大きな一歩となる。
  9. 需要はオスプレイが追加能力を得れば更に高まる。ひとつにはF-35Bの海上支援任務がある。USSワスプでの海上公試が5月にあったが、オスプレイはF-35B用エンジンを艦上輸送する能力を実証した。F-35Bを運用する同盟各国もオスプレイによる支援に期待するはずだ。
  10. この能力開発は軍から正式に要求があったものではない。業界が自主財源で利用可能性を実現させたものだ。「プラット&ホイットニーがV-22を利用する可能性に着目したわけです」と同社は説明する。
  11. 海兵隊はプラットのコネチカット工場へオスプレイを飛ばし、P&W技術陣がオスプレイの正確な寸法を測り、乗員と運搬方法を検討した。機体のドアからエンジンモジュールを積み込み・積み降ろす方法の確立が鍵だった。
  12. ショーン・スタックリー Sean Stackley 海軍次官補(研究開発・調達)がエンジン補給方法で解決策を求めていた。業界は8ヶ月で方法を考案し、次に海兵隊がJSF開発室と共同でラピッドプロトタイプ方式で作成した。
  13. オスプレイは多用途任務機になる可能性があり、空中給油もそのひとつだ。海兵隊はオスプレイに給油機任務を与え、F-35Bやハリヤーの支援を行わせようとしている。海兵隊は揚陸強襲艦での運用を想定。
  14. 空中給油任務は大型空母でも投入の可能性がある。ベル=ボーイングはすでにその準備を始めている。.ボーイングのオスプレイ生産施設(フィラデルフィア)を訪問すると空中給油能力の実現方法の説明があった。ボーイングは3D仮想現実シミュレーションで機内の給油システムの開発を行っている。
  15. つまり要求性能から初期設計と詳細設計ができることを意味する。実験設備を続けて使うことで「工程内」で試作装置の評価が完結して、これまでのように何年もかけずに数ヶ月で正しく機能する装備が実現するわけだ。
  16. V-22を運用する米軍各部隊および同盟国が同機を世界各地で維持することがオスプレイのグローバル運用の次の段階につながる点で重要だ。■