2015年10月8日木曜日

シリア>ロシアのミサイル攻撃への米側反応①


ロシアによる巡航ミサイル攻撃の実施には今後も多くの評論分析が出てくると思いますが、まず以下の記事をご紹介します。若干感情的になっている感じもしますが、今後も関連記事で意味のあるものを随時ご紹介してきます。

Experts: Russian navy missile strikes were 'bravado'

By Andrew Tilghman, Staff writer3:44 p.m. EDT October 7, 2015
Russian missile launch(Photo: Screen image via YouTube)
ロシアがシリア国内の目標を1,000マイル以上離れた地点から攻撃したが、艦載長距離巡航ミサイルの投入は軍事的に米国を愚弄する行いだと米専門家は見る。
  1. 「虚勢を見せつける行為です。見えを張っているのです」と話すのはクリストファー・ハーマー退役海軍士官で戦争研究所(ワシントン)で海軍アナリストをしている。
  2. ロシアは26発のミサイル攻撃をシリア反乱勢力に加え、武力投射として初の試みとして艦載超音速「クルブ」ミサイルを投入した。これは米国製トマホークとほぼ同様の性能で「空母キラー」の名前で呼ばれる。
  3. ロシア軍はシリア国内で前方配備中の航空機を使えば同じ目標を簡単に攻撃できたはずだ。.だが今回の攻撃はロシアが初めて海軍の艦対地長距離ミサイルを使ったことに意味があるとハーマーは見る。
  4. 「これまでもロシアが紙の上では戦力を有していることが判明していました。実際に戦闘に投入して威力を示すのは全く違う話です」(ハーマー)
  5. ペンタゴン報道官ジェフ・デイビス海軍大佐からは7日にロシアから米側上層部へはミサイル攻撃の事前連絡はなかったと明らかにした。攻撃対象の反乱勢力はシリア大統領バシャアル・アサドに対抗して戦っており、ロシアはアサドを同盟と捉えている。
  6. 今回の攻撃はロシア海軍の能力を示したばかりか反米同盟関係が中等に生まれつつあることも如実に示している。
  7. ミサイルの飛行経路はイラン、イラクの北部空域を通過し、両国政府にはあらかじめ防空対応は不要との了解を得ていた可能性が高い。
  8. 「またもやイラン・イラク同盟がロシアとつるむ状況を目の前にしました」と語るのはスティーブン・ブランク(アメリカン外交協議会でロシア専門家)だ。「連中は合衆国が中東で行うこと全てに反対の立場です」
  9. 米軍機はシリア上空を毎日飛行しており、ISに対する空爆を実施しているが、ロシアの空爆が9月26日に始まると米軍の作戦にも影響がでできた。米ロは現在のところ意思疎通の手段を有しておらず、空域での衝突回避の手段がなく、偶発事故や武力衝突のリスク低減で手段がない。
  10. 「わが方は航空機の投入数を減らさざるを得なかった」とデイビス報道官は述べた。「安全な飛行を確保する対策を取っている」.
  11. 国防長官アシュ・カーターはロシアが弱体化するアサド政権のテコ入れで軍事行動を展開することに反対と発言している。「わがほうは戦略面で協力する準備ができていない。戦略はロシアにより悲劇的に狂ってきた」と訪問先のローマで7日に述べている。
  12. ただし長官は基本レベルでの調整については可能性を残している。「今後も基本的な技術協議を続け、わが方のパイロットがシリア上空で事故を回避できるようにする」とし、「チャンネルは開けておく。なぜならこれは安全保障の問題であり、パイロットの安全の問題だからだ」
  13. そこで今回のロシア海軍による攻撃はロシアのシリア作戦が一段階拡大していることを示しているとブランクは指摘する。
  14. ロシア軍用機はシリア国内の空爆を開始したが、米国の抗議は無視した形だ。ロシアは同時にロシア兵から「義勇部隊」を募り、シリアの地上戦に投入する構えを示した。
  15. 「これはロシアに武力投射能力があることを示すものです」(ブランク)「尊大さと自己顕示が多大に見られます。プーチンが横柄になっているのでしょう。『お前たちは弱いがこっちは強いぞ。こんなこと朝めし前に実行できるが、お前たちには止められないぞ』ってね」■

シリア>ロシア海軍がカスピ海から巡航ミサイル攻撃を実施


先にお伝えした東地中海に展開中のロシア黒海艦体は旧式艦だらけですが、今回はあえてカスピ海から遠距離攻撃を実施したロシアの狙いはずばり力の誇示でしょう。どれだけの効果があったのかは不明ですが、今後も継続使用すれば相当の効果を上げてくるでしょうね。巡航ミサイル技術でも相当の追い上げが出ていることの証拠で、ますますペンタゴンは三番目の相殺を技術開発面で進めていくのではないでしょうか。

Russian Warships Launch Missiles into Syria: Report

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 7, 2015

(Photo RT / YouTube / Russian Defence Ministry)
ロシア海軍艦艇から20発以上の巡航ミサイルがシリア国内に向け発射された
ロシア海軍艦艇4隻がカスピ海から26発の巡航ミサイルをISIS関連とみられる11箇所の目標に発射した。ロシア報道機関RTが10月7日報道している。
ロシア国防相セルゲイ・ショイグが「誘導データによればすべての目標の破壊に成功している。民間人の被害は発生していない」と発言しているという。
報道で言及された艦船はゲパード級フリゲート艦ダゲスタン、ブヤンM級海防艦グラド・スヴィヤツク、ウグリッチ、ヴェリキ・ウスチュグの各艦。それぞれカリブル-NKの発射装置を搭載し、最大1,550マイル(2,500キロメートル)までを射程に収める。
ミサイルはラッカ、イドリブ、アレッポ各地方のISIS目標に命中したと言われる。
この攻撃任務はシリア国内を飛行するロシア軍機から容易に行えたはずなのに、あえて巡航ミサイルによる攻撃にしたことはおそらくロシア海軍の実力を示威することが目的だったのではないか。しかも実施には小型艦を用いている。■


2015年10月7日水曜日

シリア情勢>ロシア海軍が東地中海に展開中


シリアをめぐるロシアの動きに西側は神経を尖らせています。ウクライナ情勢が落ち着いてきたことからロシアにも余裕が生まれているのでしょうか。しかし目的も目標も違う軍事勢力が同じ場所で軍事行動を取ることで不要の緊張が事故をきっかけに発生しないとも限りません。今後も事態の進展を見ていく必要がありますね。

Russian Warships in Eastern Mediterranean to Protect Russian Strike Fighters in Syria

By: Sam LaGrone
October 5, 2015 11:48 AM

Russian cruiser Moscow.
ロシア巡洋艦モスクワ

黒海に本拠をおくロシア水上艦艇グループが東地中海に演習名目で進出しており、同地でロシア空軍機の支援に入った。シリア国内の空爆を継続するのが目的だとロシア国内報道が伝えている。

  1. この三週間で戦闘艦数隻がロシア黒海部隊の本拠地セパストポリを出港し、クリミヤ半島から地中海に対艦、対潜演習を行うとして移動している。”
  2. ロシア国防省(MoD)は演習とシリア国内でのロシア軍増強に関連はないとするが、独立系ロシア国内の報道機関インタFAX-AVNはロシア軍関係筋を引用し演習の目的はラタキア近郊の空軍基地の防空能力をテストすること」と伝えている。
  3. 別の報道でDaily Mailが「海軍任務部隊の艦船はミサイル巡洋艦モスクワが先導して東地中海でラタキア近郊の空軍基地の防空体制を強固にするべく行動を実施中である」と伝えている。
  4. 国家統制を受けたロシア報道ではロシア海軍艦艇4隻が水上戦と対潜戦の演習を行ったと月曜日に伝えている。
  5. 誘導ミサイル巡洋艦モスクワは黒海艦隊の旗艦で、クリバク級誘導ミサイルフリゲート艦ラドニ、ピティヴィ、カシン級フリゲート艦スメティルヴィとともに砲撃演習を実施したと黒海艦隊が国営通信スプートニクを通じて発表している。
  6. 水上艦以外にロシア海軍は観測船および数隻の揚陸艦を展開している。
  7. 過去四週間でロシアはこっそりと空軍機材をシリア国内に移動させており、表向きはイスラム国を目標にするとしているが、ロシアの同盟国たるシリアのバシャ・アル-アサドの政権維持を助け、自らの中等における発言力を増やすのが真の目的である可能性が高い。
  8. ロシアは空爆作戦を先週開始しているが、ISISの目標以外にFSA(自由シリア軍)も攻撃対象にしているとの報道が相次いでいる。
Russian Sukhoi Su-24 Fencer operating from the Latakia Air Base in Syria.
ロシアのスホイSu-24フェンサーはシリア国内ラタキア空軍基地から作戦行動中

  1. 今回動員された海軍艦艇による防空体制でロシア軍には米主導の有志連合軍がシリア西部で軍事行動を取っても防備体制を確保したと言える。
  2. ロシア海軍の存在は有志連合側には警告となるかもしれないが、1980年代のロシア艦艇の兵装及びセンサーの有効性は未知だ。
  3. 冷戦終結後のロシア水上艦艇部隊はソ連崩壊後の軍組織でもっとも放置されており、装備の近代化の試みも数回挫折している。■

★9月習近平訪米は中身なし オバマ政権の弱体化がひどい



オバマにはきつい見方ですが、米国では賛成する向きが強いのでしょうね。オバマ政権の8年間は安全保障ではいいことは少なく、その分中国が台頭してきましたから。ところで習近平の訪米で何が生まれたのでしょうかね。ローマ法王の訪米を何とかして変更したかった北京の予想通り、習訪米は地味で目立つことが少ない、中国人としては不満遣る方ない展開になったのではないでしょうか。

Summits Over Substance: Obama Yields To Chinese President Xi

By DEAN CHENG on September 23, 2015 at 2:44 PM
ワシントンでは習近平主席の公式訪問を控え準備に忙しいが、中国による行動が緊張を高めている事実を米国は伝える緊急性がある。だがそこまで率直に話すつもりがないオバマ政権は弱体化をさらけ出し、主体的に課題解決をめざす様子はない。この数週間で露呈した現象を考察してみよう。
  1. 中国官憲が米国籍ビジネスウーマンをスパイ容疑で逮捕し、身柄を今後6ヶ月に渡り拘束しそうだ。「複数の米政府高官」から米国が中国によるサイバー諜報活動に制裁を検討中と判明したが結局実施に踏み切らなかったのと好対照だ。
  2. 事案 米偵察機に向け中国戦闘機2機編隊が迎撃に向かった。偵察機は当時公海上空を飛行中。同様の事件は以前にも発生している。中国戦闘機がバレルロール飛行で米軍機と空中衝突一歩前まで行った例や米艦船の手前で停船し衝突しそうになった中国軍艦もある。対照的に米政権は中国が建造中の人工島から12カイリ地点には立ち入っていないとしぶしぶ認めている。
  3. 事案 中国は軍事作戦の範囲を大きく拡大中でロシアと初の合同海軍演習を地中海で行ったばかりか、アリューシャン沖まで任務部隊を航行させた。リムパック演習に正式に参加しながら2014年に中国はスパイ艦を派遣しているが、次回も招待されているが逆に中国は自国演習へ米国のアクセスを認める兆候はない。
  4. 事案 中国の国防支出は2015年は10%増加している。今月初めの軍事パレードで30万人削減の発表があったが、全体の軍事予算の削減に繋がっていない。むしろ海軍、空軍、第二砲兵隊、宇宙軍の予算増に振り向ける。一方で米国は引き続き予算削減の下で全体の削減額の半分を国防分野に期待する。中国の軍事演習が拡大する一方で、米艦船は係留されたまま、パイロットは飛行時間を減らしている。
  5. 中国は米国の決意を試しているのか、アメリカの指導力を低く見ているのか、どちらにせよ結果は同じだ。中国は自国の望む方向で米国に対処できるが、米国は同じことができない。中国の力強さと対照的に米国の無気力さを見せつけられる西太平洋地区の米側同盟各国は米国への信認を低下させる結果になる。米国が航行の自由原則を堅持し中国の主張を受け付けないとしても、意図的に中国を敵に回さないのであれば、米国の約束は信頼を失う。首脳会談させ無事に終われば良いと考え、自国民が逮捕されても対応せず中国のサイバー活動への抗議にも反応がないままにしておくのであれば、中国の領海領有権の主張に異議を唱える意図があるのか疑わしく思われても仕方ない。
  6. さらに危険なのは何をしてもオバマ政権から処罰をうけることはないと習主席を誤解させることだ。オバマ政権の残り任期16ヶ月はそうかもしれないが、後を引き継ぐ政権はそうは行かないだろう。民主党、共和党問わず次期大統領がオバマ大統領と同様に中国の主張に理解を示すとは考えにくい。
  7. ひとつだけ例を挙げると台湾海峡問題がある。この7年間は静かだが、再度熱い地点にもどるかもしれない。 台湾の総統選挙は2016年で独立を主張する政党が政権を握ることになりそうだ。米国が台湾を見捨てればアジア全体から信用を失うし、悪影響が欧州・中東に及びかねない。.
  8. オバマ大統領は歴史の表舞台からほどなく消えるが習主席は残る。中国の政治形態の特徴で大きな変動が発生しないまま習は2017年の党大会で再選される。現時点の中国共産党政治局常務委員は大部分が引退する予定なので、あらたな顔ぶれに囲まれるだろう。そうなると習の影響力は遥かに大きくなり、政治局では第一期5年間で得た経験が以後の政策決定に大きく影響してくるだろう。
  9. 中身より体裁を重視することでオバマ大統領は米中間の意見の相違、誤解を生む要因を作り出し、アメリカの意図を中国が誤って解釈する事態を生もうとしている。■


LRS-B契約交付先の発表は間もなく?



USAF in ‘Final Closing Phase’ of Bomber Contract

By Lara Seligman5:54 p.m. EDT October 6, 2015

635797311321575465-DFN-bomber-avenger(Photo: US Navy concept/Wikimedia)
WASHINGTON — 米空軍は次世代爆撃機の契約交付先選定の最終段階に入っており、結果発表は間近に迫っている。
「最終選定の段階にあり、順調に進んでいるので、結果はまもなくわかります」とウィリアム・ラプランテ空軍次官補がDefense One主催のイベント会場で述べている。
仮に空軍が一年間におよぶ削減措置延長を受けても、長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約交付は予定通り実施すると同次官補は発言。
業界は息を飲んで相当遅れた契約先発表結果を待っている。ペンタゴンはまず今年夏に結果を発表する予定だったが、それが初秋になった。直近ではある空軍関係者があと数ヶ月だと見ている。
ペンタゴンはノースロップ・グラマン案、ボーイング=ロッキード・マーティン案のいずれを選択すべきかを検討中だ。
ペンタゴンはマクダネル・ダグラス/ジェネラル・ダイナミクスのA-12アヴェンジャーII事案からの教訓を得ていると現在の調達トップ、フランク・ケンドール副長官は言う。同機は全天候艦載ステルス爆撃機として海軍、海兵隊向けに計画されたもので、費用超過と遅延を理由に1991年に計画が打ち切られた。
A-12は「ブラック」つまり極秘開発計画が失敗した例だとケンドールは見る。ペンタゴンが「事業段取りで失敗」したためだという。契約受注2社は開発を目的にチームを組み、製造契約であらためて競争するはずだった。同時に両社とも最先端機に必要な技術開発に懸命だった。
A-12の失敗で固定価格開発契約方式が封じられたとケンドールは解説する。
そこでペンタゴンはLRS-BがA-12の轍を踏まないよう、成熟技術を多様することで新規開発の途を選択肢なかった。ただし、同事業は設計、テストの点では既存事業より先を言っている。空軍は両陣営による試作機を受領している。■

2015年10月6日火曜日

★★C-17後の軍用輸送機の展望はこうだ






なるほどC-17がなくなるとA400M以外に選択肢がなくなるわけですね。そうなるとわが方のC-2では開発遅れや機体強度不足による貨物搭載量の低下が恨めしいですね。もしC-2Bとでも言うべき強化改良型が生まれれば、今後30年に渡り生産が続けられるのではないでしょうか。米国としてもC-2の存在に注目しているのでは。

Opinion: After the C-17, A Tier Of Choices

Oct 5, 2015 Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology

数カ月するとボーイングはC-17輸送機の最終号機を納入する。同機事業で特筆すべきは同機が全く新しい需要を作り出し、戦略輸送機の輸出が実現したことだ。
  1. 英空軍(RAF)がC-17を四機受領したのは2001年だったが、それ以前に米国以外で西側製軍事輸送機を導入した国はあったがショート・ベルファーストが機体サイズの上限だった。例外的にソ連製輸送機を導入したインドやリビアがあったが「友好」価格での調達であり、大型輸送機といえば米空軍あるいはソ連軍だけが運用していた。それ以外の各国はC-130あるいは小型ターボプロップ機を使っていた。
  2. ただしRAFのC-17導入から二年たつとNATO加盟7カ国がエアバスA400Mを立ち上げた。C-17の貨物搭載量に及ばないが、戦略的な飛行距離を実現する。また日本も旧式C-1の後継機種としてずっと大型の川崎重工C-2の導入を決めた。C-2は来年から就役する予定で、日本は44機を調達する。同機はA400Mとほぼ同じサイズで同様に戦略級航続距離を有する。
  3. だが驚くべきことはRAF向けC-17販売に続き、ボーイングが47機を輸出したことだ。その背景には同社がC-17を訴求力のある価格で強力な顧客支援体制とともに提示したことがある。
  4. こうして軍用輸送機の市場が出現したことの意味は大きい。米、ロを除く輸送機市場の総需要はずっと年間10億ドル未満で受注の多くがロッキード・マーティンC-130Jで構成されていた。しかし、今年は60億ドル規模になり、納入機数も5年間確実に増えている。
  5. 2013年9月にボーイングは通算223号のC-17を米空軍向け最終号機として納入し、生産ラインは2015年で閉鎖すると発表している。その時点で22機の生産予定があり、うち13機は買い手がついていなかった。その後、この13機は1機除き購入先を確保した。直近ではカタールが当初の購入規模4機を倍増する発注をパリ航空ショー会場で表明した。
  6. C-17生産ライン閉鎖の決定はつらいものだっただろう。ひとつには市場が急拡大しており、同機でも受注追加が期待されていた。戦略級軍用輸送機の導入予定がある数か国のうち、サウジアラビアは10機ないし15機を買うと見られていた。一時はアルジェリアも同機を真剣に検討しているとの噂さえあった。.
  7. また現行ユーザーにも追加購入の兆候があった。8月にはインド空軍がC-17を3機追加導入すると述べたが、その時点で残った機体は一機だけだった。ただ米空軍や海外運用国の要求により、使用済み機体の再販売は認められない。つまり、ボーイングが仮に生産ラインを半年ほど維持しても数機しか売りさばけなかったのではないか。
  1. だがライン閉鎖を後押しした要因は他にもある。ボーイングはロングビーチ工場を閉鎖することができ、同地の資産価値は相当ある。またC-17最終号機はかつては航空業界の中心だったカリフォーニア州で生産される最後のジェット機にもなる。
  2. もう一つの問題はA400Mだ。エアバスは同機の海外営業に精を出しているが、お膝元の二国ドイツとスペインが運用中の26機を再販売しようとしている。販売価格は相当低くなるはずで、それだけボーイングの立場が困難になる。
  3. そもそもボーイングがライン閉鎖を決めた最大の理由は米国内でこれ以上の受注が望めないためだった。当初は米空軍の追加発注までのつなぎとして海外向けに販売し、C-17Bの提案までしていた。だが米空軍は220機のC-17と51機のエンジン換装C-5M体制を今後25年ないし30年維持するとしている。確かに海外販売は順調だが、ライン維持には規模が足りず、もっても1年ないし3年維持できるかどうかだった。
  4. C-17後の国際軍用輸送機市場は分化するだろう。戦術輸送機の候補としてエアバスC-295、アレニアC-27Jがある。戦域レベルの輸送機にはC-130Jならびにエンブラエルの新型KC-390があり、後者は2018年末に就役する。ただし戦略級輸送機を求める向きにはA400Mしかない。ただし、川崎重工がC-2輸出に踏み切れば話は変わる。
  5. もし戦争あるいは緊急事態が発生すれば、米空軍には戦略輸送能力の拡大が必要になるが、代替機開発の予算も時間的余裕もないので、A400Mを買わざるを得ないというバツの悪い立場に追いやられるかもしれない。■

F-15>EW装備の近代化で残存性向上をめざす


F-15も息の長い機体になりそうです。機齢50年を超える機体になった場合、構造的に大丈夫なのでしょうか。電子戦装備は防御性を重視した内容のようですが、ステルス性に関心を奪われるあまり攻撃能力が減少してしまうF-35を補完する機体として運用する構想のようですね。

Boeing, BAE Will Develop EW Suite For F-15

By Lara Seligman2:54 p.m. EDT October 1, 2015
WASHINGTON — 米空軍はボーイングを主契約企業に選定し、新型完全デジタル方式の電子戦装備をF-15に搭載する。BAEシステムズが開発にあたる。
ボーイングが10月1日発表した声明文ではEPAWSS(イーグル・パッシブ・アクティブ警戒残存システム)により脅威対象に対応してF-15乗員を守ることをめざす。空軍保有のF-15CおよびF-15E合計400機に搭載し、旧式化した戦術電子戦装備(1980年代より使用)を置き換える。
EPAWSS事業は40億ドル規模。
「今日そして明日の戦闘には最新のジャミング、目標捕捉、赤外線探知、高性能のおとり能力が必要」とマイク・ギボンズ(グローバルストライクF-15担当副社長)は声明文で語る。「EPAWSSでF-15は2040年代の先まで有効性を維持できる」
ボーイングはBAEシステムズをEPAWSS開発担当企業に選定した。BAEシステムズが10月1日に発表した声明文ではEPAWSSを高性能電子戦能力を実現し、F-15の「拡大成長可能性」を開くものと表現。同システムにより機体の防御能力が格段に向上し、高性能電子対抗手段、レーダー警報、チャフとフレアの能力アップで実現する。
「完全デジタル化で空軍は次世代電子戦能力をF-15CおよびF-15Eに搭載し、現在および将来の脅威対象に有効に対応できる」とブライアン・ウォルターズ(BAEシステムズの電子戦ソリューションズ部長)■

米大統領選挙候補の国防観を見る①


来年の大統領選挙まで一年ちょっとになりました。二大政党では指名争いをめぐり、はげしい争いのようですが、国防分野ではどんな主張が出ているのかのぞいてみましょう。両極端な主張の反面、不思議に一致している点もあるようです。これまでの選挙なら大風呂敷を広げていても大丈夫だったのでしょうが、財源が実現の決め手であり、今の段階では各候補は好き勝手に主張しているようっです。その中でまともな内容がカーリー・フィオリーナ候補(元ヒューレット・パッカード会長兼CEO)から出ているようです。

Fiorina’s Plans Require DoD Spending Boost Of $100B

By MARK CANCIANon October 02, 2015 at 2:53 PM

Carly Fiorina at CSIS
Carly Fiorina, 2016 presidential candidate.
大統領予備選が近づいてきた。政治日程で一番馬鹿げた行事だといえる。各候補とも支持基盤拡大に公約の大盤振る舞いだが、国防関係でもドナルド・トランプ含む各候補が国家安全保障を都合よく現実から遊離した形で口にしているのが実態だ。
にもかかわらず候補者ごとに方法論の違いが浮き彫りになりつつある。では各候補の言い分から将来の国防予算や装備計画にどんな影響が出るだろうか。
まず各候補で立場が相当異なっており、共和党は大幅予算増を主張するが、上院でただ一人社会主義を主張するバーニー・サンダースはその逆で大幅予算削減を唱えている。
共和党は全員が国防予算増額で強力な国防基盤の構築を主張。国防体制再構築のため予算削減を逆に変え「地球最強の軍事力」の実現を求める。だが具体論はほとんどない。たとえば前フロリダ州知事のブッシュはISIS対決策を詳細に説明するが、予算上の裏付けや具体策は殆ど無い状態である。前オハイオ州知事ジョン・ケイシックは自らを「安上がりのタカ派」と呼び、自らが支持した1986年のゴールドウォーター=ニコルス法案でペンタゴンを合理化したと自慢する。その反面、海軍の空母は現行の10隻を15隻体制に増強する主張だが、整備には巨額出費が必要となる。概して共和党員に海軍支持の傾向が強いのは現行の海軍力が弱体すぎると見ているからだ。
HP前CEOのカーリー・フィオリーナが一番具体的に提案しており、一等賞といえる。提案では陸軍は50旅団体制、海軍は300ないし350隻体制、海兵隊は36個戦闘大隊とし、核三本柱それぞれを近代化すると直近の共和党大統領候補者討論会で主張している。直接の引用ではないが、ヘリテージ財団が原案のようだ。同財団は米国の優位性が減少している中、この規模の兵力があれば大規模戦闘2個の同時実施は可能だという。
フィオリーナ提案には現状の予算ならびに規模をめぐる論争を大幅に変える可能性がある。財政的に実施は十分可能だ。現在の国防支出はGDP比で3.5%相当だが、冷戦時の1980年代の5ないし6%や1950年代の8ないし9%より相当低くい。また提案内容は世論の変化とも方向性があっており、昨年までの軍事規模が「巨大すぎる」との多数回答が「弱体すぎる」に変化しているのだ。フィオリーナ提案で支出すると冷戦終結後に米国が維持してきた軍事優越性を再構築し、中国の軍事的台頭にも対応しつつ、ロシアの強行策や冷徹なISISにも立ち向かえる。
ただし問題はこの支出をどうまかなうかだ。フィオリーナ構想を試算すると現政権による2016年度国防予算(1,350億ドル)に最低でも1,000億ドルの追加支出が必要だ。これは共和党自らが求めて発効した2011年予算管理法による赤字削減努力を破棄することになる。
左翼にはこれと真逆の動きがある。バーニー・サンダース上院議員は社会主義を信奉し自らを赤字削減のタカ派と称するが、その削減対象の大部分は軍関係であるのは驚くに当たらない。国防関連のどこを削減するのかと問われて、「冷戦時代の兵器体系」(このことば自体が賞味期限の切れた表現だ)として核兵器や空母を例とした。また国防での能率改善や同盟各国にもっと負担を押し付けると主張。サンダース議員の主張では国防関連で良いことがないが、一部詳細な意見になっていることは認めざるをえない。主張にはとっぴなところはないものの、一環して大幅軍事削減を唱えている。実現すれば大きな変化が調達や戦略案で出現するだろう。
  • 核兵器では、どれだけ量が必要なのかが議論の中心だった。現在は大型予算対策の対象だ。その中でも一番お金がかかるのがオハイオ級弾道ミサイル潜水艦の後継問題であるが、左翼・右翼ともにこれを支持している。なぜなら三本柱の中で一番残存性が高いからだ。
  • 空母は冷戦時代の兵器体系ではないが、一番高価であり最も強力な存在だ。海軍の兵力編成は空母中心に考えられており、空母が議論を呼ぶのは単価120億ドルの値札が理由だ。危機対応時に極めて有益であり、地域内紛争にも対応できる。ただし、中国やロシアを相手とした場合に残存できるかが問われ始めている。
  • 行政の効率追求は解決策にはならない。効率性の概念は無駄と同様に見る人で異なり、軍人の給与に上限を設けていいのか。民間流に効率を追求して空っぽの組織にならないか。真の意味の効率性はコストを削減するが、結果まで減らすことはないのだが実例は少ない。基地閉鎖は専門家多くが賛成する極めてまれな例だ。
  • 同盟各国に負担を求めるのはすでに米国政策の目標になっている。9.11以前のアメリカはNATO支出の半分を負担していたが、現在は75%になっている。
前国務長官ヒラリー・クリントンは慎重に中道の立場をとっており、自らの立場を明らかにするよりも誤ちを避ける方法を支持率トップ候補者として模索している。一部の政策案は共和党から借用し『プーチンに対抗する」「中国に責任ある対応を求める」「最先端装備を軍に配備する」などがその例。自身のウェブサイトでただひとつ具体的な説明をしているのはアメリカについてでなくイスラエルであることが興味深い。アイアンドーム・ミサイル防衛システムを支持している。報道ではクリントンはオバマより厳しい立場を取るという。ペンタゴン予算や事業についての立場は不明だがおそらく戦略や投入財源などでオバマと同様になんとか切り抜けようというのだろう。ただし現在の財政状況から見て実施可能なのかは議論のまとになろう。統合参謀本部は現行の大統領予算は国家安全保障・軍事戦略の上からは最低限に過ぎないと語気を強めている。民主党で急速に支持を伸ばすサンダースはクリントンを左寄りに動かそうとしており、今後クリントンの戦略方針や財政裏付けで一貫性が消える可能性がある。
著者マーク・カンシアンはオバマ政権の予算管理局で国防予算専門家を務め、現在は戦略国際研究センターで国防アナリスト。


★ロッキード>ファイバーレーザー生産ライン稼働へ レーザー兵器で大きな進展



最近レーザー関連の話題が多いのですが、やはり大きな進展があったのですね。技術優位性をてこに国防力の維持を図る第三相殺戦略でもレーザー兵器は大きな意味を持ってきます。当然神経をいらだたせるのは数で勝負の中国ですから技術習得に必死になっているでしょう。あるいはレーザー兵器そのものを利用不可能にする国際的運動を起こしかねませんね。戦争法案などと大衆を惑わす言葉のテクニックもありますので気を許すことはできません。

Lockheed Launches Laser Production Line; Bets On Fiber Tech

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 05, 2015 at 5:11 PM

A target truck disabled by Lockheed's ATHENA laserロッキードのATHENAレーザー実験の標的にされたピックアップトラック
CRYSTAL CITY: 世界最大の防衛企業が実戦用レーザー兵器の実用化に向けて大きく前進する。ロッキード・マーティンは光ファイバーモジュールの生産を数週間で開始する。モジュールの組み合わせで各種兵器が完成する。生産は米陸軍向け60キロワット級ロケット弾迎撃用システム試作品から始まる。だが規模・出力の拡大は容易で同社は将来は沿岸戦闘艦、AC-130ガンシップ、F-15さらにF-35への搭載を想定している。
  1. 「生産施設をテストし、拡張に備えます」とロッキードで業務開発にあたるレイン・マキニーは記者に語っている。「これはテスト生産施設で、最適化の試験設備で、効率化の追求であり、迅速な対応を試す場所です。もし、緊急需要が生まれた場合を想定してですね」「投資規模は申し上げられませんが、社内でも非常に大きな存在であることは確かですね」
  2. 狙いは生産量よりも出力増だ。ファイバーレーザーとは小型モジュール多数を使い低出力レーザー多数を生み出す技術だ。レーザーを光ファイバーケーブルを通過させ「スペクトラム光線集合」ユニットに導き数十数百の低出力レザー光線を一本の強力なレーザーに集約する。出力を上げるにはモジュール数を増やせば良い。ただし電源と冷却を考慮する必要はあるが、一個一個のモジュールは小型で冷却は単一で大きなレーザー発生装置より簡単に行える。これまでのレーザーでは過熱現象が問題であった。過熱によりレーザー光線が歪むためだ。
  3. 「当社の60kW仕様は簡単に100 kW以上に拡大できる設計です。単にファイバーの数を増やせば良いのですが、今のところ発注元は60しか注文していませんので」とロッキード上席研究員ロブ・アフザルは述べる。「設計上は有利です。レーザー本数を10、20、50、100と自由に変更できますから」
  4. モジュール多数によるレーザー光線は、単一集中発生器に比べてレーザーの質でも安定するとマキニーは強調する。仮にモジュール数個が作動しなくても出力低下は数%にとどまるが、集中装置だと兵器としては作動不能となる。
  5. ファイバーレーザーは製造が従来型より容易だ。古典的なレーザーには「クリーンルームとPhD科学者が寄り添い作動テストすること」が必要だったとアフザルは言う。「各ユニットは単独設計で単品生産してシステムに組んでいました」
  6. 「これに対してファイバーの生産は電子産業の現場に近い。生産現場も密閉されていません。技術者がシステムを組みますが、博士号は要りません。生産量も増減が自由です」
  7. 名前の由来になっているファイバーだが民生用光ファイバーと同じ種類である。つまりロッキードは民間技術の成果と効率性を利用できる。中核部品は民生仕様をそのまま使える。
  8. ただし民生用ファイバーレーザーでいいというわけではないとアフザルは念を押した。米海軍の試験レーザー装置がペルシア湾に配備されているが、装置は既存部品を使い30キロワットを実現した。中身は商用ファイバーレーザー6本でそれぞれ同じ標的を照射するが、6本は一本に集約されないので効果が限定的だ。有効射程を伸ばし出力を上げるにはレーザー集約が不可欠だが、そのためには商用レーザーの仕様では不十分だとアフザルは述べた。.
  9. まず商用レーザーでは軍用のような重量軽減・出力増の想定がない。このためロッキードはモジュールそのものを社内開発せざるを得なかった。その鍵は効率だ。効率を高くするためには入力を減らし、冷却も簡単にする必要がある。システムも小さくなる。
  10. これまでのレーザーの効率は10パーセント程度だった。つまり100キロワットなら光線は10 kWで残りの90 kWは排熱になる。最新技術ではこれを35パーセントに引き上げることで 35 kW相当の光線を得る。だがロッキードは40パーセントにできるという。たかが40パーセントというかも知れないが皆さんの乗る自動車でも15から30パーセントしか利用していない。
  11. 「この技術には興奮を呼ぶものがあります」とアフザルは同社のファイバー・レーザーを語る。レーザー兵器を実用化する長年の夢が実現しようとしているのだ。このため同社は生産施設への投資を進めていると言う。現時点の目標は「単に科学技術の成果としてではなく、当社が生産し、納入し、実現できる能力を有することを示したい」のだという。■


2015年10月5日月曜日

シリア>米ロで「衝突回避」の話し合い ただし結論出ず


ロシアの軍事行動に米側はイライラしているようですが、さらにロシアからロシア作戦空域からの米軍撤退を求めてきており米側が呆れているのが現時点の状況のようです。情報の伝え方が違うので米側、ロシア側の発表をよく吟味して聞かないと実態が見えてきませんね。

Russia, US Open Deconfliction Talks

By Aaron Mehta4:29 p.m. EDT October 1, 2015
http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/warfare/2015/10/01/russia-us-open-deconfliction-talks/73160726/
WASHINGTON — ロシア軍用機がシリア空爆を開始した翌日に米軍はロシア軍と航空作戦での衝突回避策で協議を始めたが、解決策がいつできあがるのか、そもそも結論が出るのか不明だ。.
  1. ペンタゴン報道官ピーター・クックは10月1日に両軍代表が一時間ほど事故防止策を協議したと発表したが、米主導の対ISIS作戦で空域が混み合う中でロシアが作戦のピッチを上げている。
  2. 国防次官補代理(国際安全保障問題担当)エリッサ・スロトキンがロシア側と安全な飛行の確保策で意見を交換している。
  3. クック報道官はロシアからの提案の詳細を話していないが、米側としては国際的な飛行安全規則を乗員が順守すること、プロらしく交信を打倒な範囲かつ積極的に使い、不必要な対立を招くような行為は回避することを期待しているという。
  4. 「その一つの手段が緊急時には国際周波数を使うことだが、どの言語を使うべきか」が検討課題のひとつとクックは紹介。
  5. ジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)(上院軍事委員会委員長)は話し合い自体をロシアの行動を受けて行い「惨めな弁解で弱々しく反応したもの」とこけおろしている。
  6. 「このことから疑念が生まれる。われわれはロシアの航空作戦との『衝突回避』を求めているのだろうか。ロシアは米国が訓練した反乱勢力を狙い撃ちしているのだ。われわれが『衝突回避』しようというのはロシアの航空作戦で罪のない民間人、女こどもの命が奪われることなのだろうか。ロシアの航空作戦と『衝突回避』することでアサド政権を温存させて、内戦を長引かせることにならないか」とマケイン議員は声明文を発表した。”
  7. 「『衝突回避』とはオーウェル式婉曲表現であり、現政権はロシアのシリアでの役割拡大を受け入れてしまったのだ。その結果としてアサドは政権の座にとどまり、シリア国民を残酷に処分しつづけることになる」
  8. 協議が行われたのはロシアが空爆開始して24時間以上後のことで、有志連合軍機がロシア軍機の飛ぶ空域に入る可能性が出現している。
  9. 双方の作戦が続くとその可能性も高くなっている。そのため時間が大きな要素だが、次回の話し合いは未定だ。
  10. クック報道官は数日以内に次回が実現する「可能性」があると認めたが、今のところ予定はない。
  11. スロトキン次官補代理は今回の協議は前日にアシュ・カーター国防長官が懸念を示したロシア空爆地点問題を取り上げたためと説明している。ペンタゴンによればロシア空爆はISISが実効支配していない地点を対象にしている。
  12. クック報道官もカーター長官による前日の声明文と同様にロシアはISIS支配地区を空爆すべきだと主張したが、ロシア空爆の対象人物や目標そのものの詳細を述べることは一切拒否した。■

2015年10月2日金曜日

★F-35>航空優勢を今後30年確保できる優秀な機体だと太鼓判を押すペンタゴン



すごい、ここまでの自信があるとは。しかしソフトウェア改修だけでトップクラスの性能を確保できるのでしょうかね。機体構造など物理的な条件から30年間もトップを維持できるのか疑問です。またその機体構造の特徴から搭載できる火力が制限されてしまうので、今後も重装備の攻撃用機体として今一番使い勝手の良いF-15EやF/A-18E/Fは重要な存在では。そうなるとF-35は切り込み部隊というところなのではないでしょうか。

 Pentagon Sees F-35 Having Air Superiority For 30 Years

Sep 23, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report
F-35: Lockheed Martin
FORT WORTH —ロッキード・マーティンのF-35共用打撃戦闘機は中国、ロシアはじめ各国も新技術を導入してきても、航空優勢を今後20年ないし30年にわたり維持できると開発関係者が主張している。、
7月にはF-16との模擬空中戦に敗れたとリークがあったが、今回のクリストファー・ボグデン中将発言ははかつてない大胆なものだ。「比較対象が存在しない。この機は世界中のいかなる機体に勝てる。今日明日どころか20年、30年先でも変わらない」
F-35が想定する敵機としてロシアの第五世代機スホイT-50( PAK FA)と対戦したらどうなるかとの質問にボグデン中将はJSFが「ドッグファイトに優れている。9Gで機体を引き、旋回できる。だがもともとドッグファイト用の設計ではない。2機が有視界範囲で交戦すればF-35は交戦地点に到達する前からいろいろ優れた特徴を発揮できる。敵機の素性はずっと前から把握できるはずで、敵がこちらを認識するより前になる。ドッグファイトはすぐ終わるだろう。もしドッグファイトになればの話だが」
ボグデン発言と平行してペンタゴンの調達トップ、フランク・ケンドールが初のノルウェー向けF-35Aの除幕式で発言している。古典的なドッグファイトは「もう時代遅れ」だという。「現在開発中のいかなる戦闘機もこの機体に勝てないと見ている」
ではF-35の戦闘優位性をどう維持していくのか。性能改修の継続実施が鍵で次に登場する予定のブロック4が大きな節目だ。当初は二回予定だった改修は4回になっており、第一回目は2019年に実施する。改修内容は固まっていないが、「数ヶ月で」最終案が出るとケンドール副長官は述べた。
「ブロック4では実現したい内容が多々あり、複雑になる。開発パートナー各国からは特定の武装の搭載希望があり、電子戦能力でも増強の希望があるなど内容は多様だ。各内容の実現にむて努力中だ。 ブロック4は数回に分けて実施し、もっとも効率のよい効果的な方法を探っていく」■



防衛省>そうりゅう級潜水艦のオーストラリア国内建造を認める提案書を作成中


Japan prepares 'Australia-build' programme for Future Submarines

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
30 September 2015

防衛省(MoD)はオーストラリア政府向け潜水艦建造案を準備中で、オーストラリア海軍(RAN)から選定されればそうりゅう級潜水艦のオーストラリア国内建造を認めるとMoD広報がIHS Jane’sに10月1日に確認している。
同広報官によればオーストラリア国内建造案はMoDが準備中の3案の一つで、2016年に契約先をオーストラリア政府が絞り込むという。
10月1日にMoD広報官は「オーストラリア政府は①オーストラリア国内建造、②日本国内建造 ③オーストラリアと日本で建造分担 の三案を検討するよう求めている」と語った。■


F-15は新型EW装備で2040年代以降も運用可能へ


F-15も息の長い機体になりそうです。機齢50年を超える機体になった場合、構造的に大丈夫なのでしょうか。電子戦装備は防御性を重視した内容のようですが、ステルス性に関心を奪われるあまり攻撃能力が減少してしまうF-35を補完する機体として運用する構想のようですね。

Boeing, BAE Will Develop EW Suite For F-15

By Lara Seligman2:54 p.m. EDT October 1, 2015
WASHINGTON — 米空軍はボーイングを主契約企業に選定し、新型完全デジタル方式の電子戦装備をF-15に搭載する。BAEシステムズが開発にあたる。
ボーイングが10月1日発表した声明文ではEPAWSS(イーグル・パッシブ・アクティブ警戒残存システム)により脅威対象に対応してF-15乗員を守ることをめざす。空軍保有のF-15CおよびF-15E合計400機に搭載し、旧式化した戦術電子戦装備(1980年代より使用)を置き換える。
EPAWSS事業は40億ドル規模。
「今日そして明日の戦闘には最新のジャミング、目標捕捉、赤外線探知、高性能のおとり能力が必要」とマイク・ギボンズ(グローバルストライクF-15担当副社長)は声明文で語る。「EPAWSSでF-15は2040年代の先まで有効性を維持できる」
ボーイングはBAEシステムズをEPAWSS開発担当企業に選定した。BAEシステムズが10月1日に発表した声明文ではEPAWSSを高性能電子戦能力を実現し、F-15の「拡大成長可能性」を開くものと表現。同システムにより機体の防御能力が格段に向上し、高性能電子対抗手段、レーダー警報、チャフとフレアの能力アップで実現する。
「完全デジタル化で空軍は次世代電子戦能力をF-15CおよびF-15Eに搭載し、現在および将来の脅威対象に有効に対応できる」とブライアン・ウォルターズ(BAEシステムズの電子戦ソリューションズ部長)■

中国>大連で建造中なのは空母なのか




Satellite Images May Show China’s First Domestic Aircraft Carrier

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 1, 2015
http://defensetech.org/2015/10/01/satellite-images-may-show-chinas-first-domestic-aircraft-carrier/
Airbus Defence and Space imagery shows the unidentified Dalian hull progressing through construction. (Image courtesy CNES | Airbus DS | IHS)
(上 エアバスディフェンスアンドスペースイミジェリが発表した大連で建造中の正体不明の船体の様子)
民間衛星写真で中国初の国産空母の建造状況が判明した。
エアバスディフェンスが9月22日に撮影し、IHSジェーンズが10月1日に発表したもので、建造場所は大連だという。
同じ造船所の乾ドックが遼寧(CV-16)の改修作業にも使われている。遼寧はソ連時代のクズネツォフ級空母で中国がウクライナから購入している。
船体の存在は3月10日撮影の衛星写真で初めて明らかになっていたが、「建造が相当進んでいる」とIHSジェーンズは説明している。
「上部構造の完成度が低いため、大連で建造中の艦が『001A』と呼ばれる初の空母なのか断言できないが、仮に001Aでないとすれば、新型揚陸強襲艦あるいはヘリコプター空母の可能性も出てくる。建造の進捗が比較的遅いことから商船ではなく軍艦であることがわかる」
中国海軍艦艇数隻がアラスカ沖に初めて出没している。これは北京で大規模軍事パレードを実施したのと同じ州のことで、抗日戦争勝利70周年を祝いながら中国が世界規模での軍事大国になろうと目論んでいることをあらためて明らかにした。
ペンタゴンは中国戦闘機が「危険な」接近飛行を米軍情報収集機に対してアジア太平洋地区で行った事を認めている。これはJH-7戦闘爆撃機(NATOコードはフラウンダー)の2機編隊でRC-135から500フィート以内を黄海上空で飛行している。■