2015年12月10日木曜日

★★活発なロシア艦隊の展開は長期間持続できないのではないか



ロシアから配信されるニュースはすべてクレムリンの手がかかっており、そのまま鵜呑みにできないものが多いのですが、確かに海軍関係のニュースが増えており、いままでにない画像が公表されていますね。しかし、それだけ配備が長くなればその代償も大きいはず、というのが西側アナリストの見方なのですね。

Latest Russian Navy Operational Surge Could be Unsustainable

December 9, 2015 1:49 PM • Updated: December 9, 2015 3:20 PM


ロシア海軍が従来ない規模で展開中だが、高い作戦テンポは長期間維持できないのではないか。

  1. TASS通信によれば世界各地に展開中のロシア艦船は70隻とロシア海軍ヴィクトル・コチェマゾフ少将(戦闘訓練部門トップ)が発言している。
  2. ロシア海軍は「各地で存在を誇示している」とし、「70隻ほどがほぼ常時世界各地の水域にあり、任務を遂行中」という。
  3. 「地中海水域に作戦部隊を配備しており、北方艦隊の所属艦艇は北極海東西部分にほぼ常駐している」とし「太平洋艦隊所属艦艇は通年でアデン湾に戦闘派遣中で、インド洋にも展開している」
  4. このような高いテンポでの艦艇展開はわずか数年前の実態とは様変わりだとエリック・ワーサイム(海軍アナリスト、 U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World編者)が8日にUSNI Newsに語っている。「本当ならこの数字はロシア艦隊にとって大きな変化だ」
  5. だがどれだけの期間にわたりロシア海軍はいまのペースを維持できるかは大きな疑問だという。
  6. 「これだけ展開すれば裏で大きな負担が発生しているはずだ。艦艇を多く動員すれば、経験値も得られるが、経費も膨れる。作戦テンポを速めれば修理点検も必要となり、結果として多額の予算が必要になる」
  7. 水上艦船、潜水艦合計280隻のロシア海軍は紙の上では米海軍の戦闘艦艇272隻に匹敵する規模だがロシア海軍で任務遂行が可能な艦船が何隻あるか不明であり、乗組員が完全に充足している隻数も不明だ。
  8. 物資補給や整備修理はこの20年間でかなり衰弱しており、ロシアの軍組織では共通の現象だが、特にロシア空軍が作戦実施の維持に苦慮しているといわれる。.
  9. またロシア水上艦の多数が冷戦期の艦で最新鋭とは程遠い。シリア向けの水上戦闘部隊はカリビルNK長距離ミサイルが搭載しておらず、カスピ海艦隊の海防艦から発射している。
  10. ロシア海軍にも建造中の新型艦があるが、建造に数々の難題があり、建造は予定通り進んでいない。
  11. このうちアドミラル・グリゴロヴィッチ級(プロジェクト11356)およびアドミラル・ゴルシコフ級(プロジェクト22350)の誘導ミサイルフリゲート艦では推進機関の確保が問題になっている。クリミヤ半島併合を受けて、ウクライナ(ソ連時代の海洋ガスタービン技術の中心地)はロシア向けガスタービン機関の供給を止めており、ロシア自身で有効な代替エンジンの確保しようとしているが目途がついていない。
  12. ロシア海軍で米海軍と同等水準なのは攻撃型潜水艦と誘導ミサイル潜水艦だ。
  13. 水上艦艇の多くがソ連崩壊後に放置されたが、原子力推進、通常型の潜水艦建造だけは続いていた。
  14. 米海軍上層部は潜水艦の話題になると話をしたがらないが、この数年間で何度となくロシアの潜水艦が世界各地で展開中とほのめかす発言をしている。
  15. ロシア軍は自らの運用についてはるかに透明度が低く、クレムリンの宣伝部門は成功事例は大げさに伝えるが、軍を取り巻く問題については極端に発言が少ない。
  16. アナリストの中には軍事力を誇示するロシアは潜在敵国をけん制し、防衛装備の発射を公開するのは装備品輸出先になる各国の注目を集めるものと見る向きがある。■


2015年12月9日水曜日

F-35>オランダの受け入れ準備態勢の現況


オランダ空軍の現状はなかなか知る機会がなく、以下の記事は参考になります。NATO内で規模が中途半端な各国は独自の空軍力保有より隣国との共同運用に移りつつあるようですね。それにしてもわが航空自衛隊も機種転換、訓練、保守管理について綿密な計画を着々と進行しているのでしょうか。

Netherlands Preparing For F-35 Introduction

F-35 buy will quicken evolution of Netherlands air force, says commander
Dec 8, 2015 Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology

With plans to purchase just 37 aircraft, the Netherlands fleet of F-35 Joint Strike Fighters (JSF) is likely to be one of the world’s smallest.
購入予定はわずか37機とオランダのF-35導入規模は世界最小になりそうだ。
だが同機導入がきっかけとなりオランダの空軍力は変貌し、さらに欧州他国との共同運用の構想を進めることになるだろう。 
  1. 「どんどん変わる環境に機敏に対応できる組織になる必要がある」とオランダ空軍(RNLAF)司令官アレクサンダー・シュニトガー大将Gen. Alexander SchnitgerがAviaion Weekに述べている。
  2. 同大将は技術開発の進展が速くなり、安全保障の環境にも変化が起きておいr、サイバー技術や情報科学の役割が増大していることで戦場の様相も一変しており、軍組織はこの変化に対応する必要があると説明した。
  3. F-35導入はこの進化の一部である。「事前かつ積極的に新しい課題に対応できる能力が空軍に必要だ」(シュニトガー)
  4. 考え方を変えないと、軍は「引き続きF-35をF-16の代替機として、爆弾を空から落とす役割しか考えなくなる。だが、F-35はそれ以上の仕事ができるのだ」
  5. ただし新型機の導入時期の環境は厳しい。F-35の調達コスト、維持コストは倹約を求める時代にそぐわない。世界経済危機の発生後、オランダ政府は大胆に国防予算を削減してきた。直近ではロシアの動きに直面し国防予算は増加傾向に転じている。
  6. オランダは2002年にJSF取り決めに著名し、85機導入でF-16の後継機にするとした。2009年にF-35Aを二機運用テスト評価用に発注した。ただし正式な購入の意思を示さなかった。2013年になって正式にF-35選定を発表した。だが、購入規模は大幅に縮小し、37機購入の予算しか計上していない。
  7. オランダ用機材はイタリアのカマリ最終組立点検施設で組み立てる。
  8. 点検、海外訓練用、国土防空用の機材を除くとRNLAFが実戦に派遣できるF-35はわずか4機しかない。さらにその稼働期間にも制約が加わるためNATO連合空軍作戦で一定の役割を期待されてきた同国空軍にとってこれも相当の変化となる。
  9. 「我が国の海外作戦運用能力に不足が発生するのは避けられない事実だ」とシュニトガーは認める。
  10. シュニトガーによれば37機というのは国務大臣間で受け入れられる最大数であるが、今後引き上げられるよう期待しているとのことだ。ただし短期的には悲観的だという。
  11. 現在飛行可能な2機はエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)にあり、米主導のJSF作戦テストチームに加わっている。
  12. RNLAFが想定するF-35の稼働開始は2019年早々で、エドワーズでオランダチームはテスト頻度を上げ、現有のF-16やKDC-10給油機との相互運用性を確認するほか、海軍艦艇や合同戦術航空管制官との運用もテストしている。
  13. F-16とF-35は「かなり前から一緒に行動している」とアルベール・デシュミット大佐(エドワーズ分遣隊他長)は述べた。テストの一部として第四世代、第五世代機がどこまで効果的に共同作戦できるかを確かめたという。
  14. 「機体間の情報交換は期待以上でした」(デシュミット)「F-35の性能により第四世代機の実効性があがるとわかりました。状況把握の程度が引き上げられるからです」
  15. 「ヨーロッパではこれから長期間にわたりこのような第四、第五世代機の混合に加え、第三世代機など消えつつある装備も一緒に運用することになるでしょう。それぞれの組合せで性能をフルに引き出したいですね」(デシュミット)
  16. シュニトガーによればオランダはF-35を「猛烈な勢いで」機種転換する必要があるという。なぜならオランダにはF-16とF-35を長期間にわたり並列運用する余裕がないためだ。一部のF-16は稼働時間が相当長くなっており、機体維持が困難になりつつある。
  17. 機種転換の進展ぶり次第だが、初期作戦能力の獲得は2020年に可能となるとシュニトガーは述べた。
  18. オランダ空軍は導入済みのF-35一機にRNLAF所属のダグラスKDC-10を付けて2016年夏にもオランダ本国に移動させる計画があり、F-35を配備する基地近隣の住民に同機の騒音に慣れてもらうのが趣旨だ。空軍はこの機会に騒音振動測定を行い、F-35を硬化格納庫から運用する際の参考にする。
  19. この機体はレーワルデン航空祭で国際展示し一般公開する予定だ。
  20. ボーイングの小口径爆弾をF-16に最近導入したRNLAFはF-35でも今後の搭載兵装の検討をしており、スタンドオフ空対地兵器の導入を長期的に検討している。
  21. だがシュニトガーによれば空軍は新型兵器が量産段階になるまで静観するという。「ヨーロッパとアメリカで進行中の案件があるとわかっており、可能なら全部採用したい」
  22. F-35調達で別の課題も浮上している。パイロット訓練で、F-35の性能を引き出すためにはRNLAFはパイロットと機体の比率を現行の1:1から2:1に引き上げる必要がある。だが現行予算では全員に戦闘可能な飛行時間を確保できない。
  23. そこで選択肢を検討中で、中にはシミュレーター訓練の多様や訓練機の飛行時間も参入したり、F-35訓練用のソフトウェアをもっと運用経費が安い機体にダウンロードすることもあるという。
  24. また米国で実施中の訓練方法(T-38タロンをユーロNATO合同ジェットパイロット訓練事業に投入)が第五世代機のパイロット養成にどこまで有効なのかを検討している。新型T-Xが利用可能になるのは2023年以降であることも考慮しなくてはいけない。
  25. 「パイロット訓練でシミュレーションは大きな役割を果たすことになるでしょう」とシュニトガーは言う。「戦闘機パイロットは実機操縦を好みシミュレータは嫌いますが、ここでも状況が変化しつつあり、理解させます」
  26. RNLAFのパイロット訓練生はレッチェ・ガラティーナ空軍基地(イタリア)で訓練を受ける。アレニア・アエルマッキM346を使い高等ジェット訓練を受け、来るべきF-35に備えている。
  27. オランダは他のヨーロッパ内F-35共同開発国と戦闘機用のウェポンスクール演習の開催を協議中だ。イタリアと関係が深いオランダはカマリの点検整備施設で重整備を行い、イタリア領空を訓練用に使用できる。
  28. 「ヨーロッパ内での共有、共同活用は極めて重要です」とシュニトガーは述べる。「二国間あるいは三国間で行えば効果は多国間で行うより大きくなります」
  29. 隣国のベルギーが重要な防衛協力国だと受け止められている。シュニトガーによればベルギーもF-35導入を決定すれば両国間の防衛協力関係はさらに拡大される。
  30. 「ベルギーにとっても最良の機種です。ベルギーの意思決定者間では同国の北部に位置する同盟国である我が国が両国空軍の統合運用案を持っていることは承知しているはずです」
  31. オランダ、ベルギー両国は二国間協定を協議中で、締結すれば両国の空軍部隊が国境をまたがって防空任務に就くことが可能となる。これで各国別の即応警戒態勢を緩めることが可能となる。早ければこれは2017年に実施される。■

2015年12月8日火曜日

★日本への追加空母配備案に重鎮マケイン議員も検討の価値ありと認める



CSBAが意外に大きな影響力を持っていることがわかります。追加配備するなら横須賀が最右翼というのが分析内容ですが、実現すれば大きく西太平洋の戦力配備の地図が変わりますね。当然、国内はもとより近隣国から相当の妨害が発生しそうですが。Hard Lookとは否定的ではなく綿密に調べる厳しい目を向けるという意味ですね。


McCain Taking ‘Hard Look’ at Forward Deploying Second U.S. Aircraft Carrier to Western Pacific

By: Sam LaGrone
December 7, 2015 12:12 PM

WASHINGTON, D.C. – 上院軍事委員会(SASC)は西太平洋に米空母二隻目を配備する案を「綿密に調べる」と同委員会委員長が述べた。
  1. 「海軍部隊が実効性を上げれる配置になっているか再検討すべきだ」とジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)が米海軍協会主催の国防フォーラム・ワシントンで聴衆の前で発言した。
  2. 「最近になり前方配備空母や揚陸強襲部隊、または大型戦闘艦の追加を提案する研究内容が発表されたが、詳しく検討すべき内容だ。提案の背景には海外プレゼンスを引き上げて、抑止力、即応力を引き上げたいとの考えがある」
  3. 西太平洋に二隻目の空母を配備する案は以前から提唱されており、先月公表された報告書が海軍・海兵隊のグローバルな責任能力の実施を制約してきた近年の条件を分析して、提言の中心として再浮上している。
  4. 作戦テンポが高くなっており海軍は空母各艦の整備点検が追いつかず空母が不足する事態が発生している。
  5. 「空母戦力の不足は2015年末にペルシア湾で、USSセオドア・ローズベルトが現地を去った後、USSハリー・S・トルーマンが到着するまで『空母ギャップ』が発生している。太平洋で同じ事態が2016年に発生するし、2021年にかけて両方の地点で交互に発生する見込みだ。これは同年にUSSジェラルド・R.・フォードが運用可能になるまでの事態である」と戦略予算評価センター(CSBA)報告書はまとめている。.
  6. 空母12隻体制の米海軍が西太平洋に二隻目の空母を配備すると同地域には1.4隻相当のプレゼンスを維持し、4か月間は2隻が運用可能となる。これは米西海岸までの往復移動が必要なくなるためだ。
  7. 前方配備の追加艦は米艦隊兵力適正規模即応案(OFRP)の対象外となり、現在前方配備中のUSSロナルド・レーガン(CVN-76)に加わる。
  8. 報告書の著者ブライアン・クラークによればレーガンが使用中の横須賀基地の施設は空母二番艦へも対応可能で現在配備中の空母航空隊は両艦で運用できるという。「迅速に実施に移すなら配備先として日本が最適だ」とクラークは述べる。
  9. マケイン議員とクラークはともに二番目の空母配備案の検討を求めているが、海軍は動いていない。
  10. 「二番艦を日本へ配備する話題はまったく存在していない」と海軍関係者がDefense Newsに先月述べている。
  11. 西太平洋にもう一隻空母を配備すべきかの話題とは別にマケイン議員は次世代空母ジェラルド・R・フォード級CVN-78)へ不満を再燃している。
  12. 「未成熟技術要素や同時並行開発、製造工程、信頼性テストデータの欠如が重要システムについてみられるなど問題が山積みだ」と指摘。
  13. 「とても受け入れられない事態であり、別の空母設計案の検討があってしかるべきだ。これは今年度の国防予算で現実オプションとして盛り込んである」■


2015年12月7日月曜日

オバマ大統領>テロ脅威は新しい局面に入った 12月6日全国演説





Obama warns of 'new phase' in terrorist attacks on U.S.

By Leo Shane III, Staff writer9:51 p.m. EST December 6, 2015
President Obama addresses the nation on terrorism and San Bernardino attacks(Photo: Saul Loeb / Getty Images)
カリフォーニア州で先週発生したイスラム国に啓発された大量殺りく事件を受けて、オバマ大統領は6日日曜日にイスラム国の組織撲滅を誓ったものの米国は「長期化し代償の多い地上戦に再び参入することはない」と言い切った。
  1. オバマ大統領が執務室から全国放送するのは珍しい事で、テロリストの脅威に晒された米国は「新局面に移行した」とし、米国から遠く離れた地の過激派集団が国内で襲撃事件を簡単に巻き起こせることに言及した。
  2. 「9/11のような多面的かつ複雑な攻撃の予防に成功する一方で、テロリスト集団はもっと単純化した暴力手段として無差別射撃のように我が国社会ではごく普通な事態を巻き起こす方向に転換している」と発言し、「フォートフッド基地で2009年に今年始めにはチャタヌーガで、そして今回サンバーナディーノで発生した」
  3. 警察は今回の犯人2名から押収した証拠でイスラム過激派・イスラム国とのつながりを発見しており、うちイスラム国は先月のパリ襲撃事件への関与を自ら認めている。
  4. オバマ大統領は犯人二人が米国に本拠を置くテロ集団の一員であるとの証拠はないとしながら、今回の乱射事件を「罪のない市民を殺人したテロ行為」と評した。
  5. 大統領は日曜日の全国向け演説を使ってイスラム国はじめとする勢力に対する軍事作戦を行っている国民に最新状況を伝えようとしたのであり、情報共有の強化、空爆の追加、さらに特殊部隊のイラク・シリアへの投入があり、一方でテロ攻撃への大統領の対応への批判派、議会筋を非難した。
  6. 「成功の条件に強い態度の口調は必要ないし、固有の価値観を放棄することも、恐怖におののくことも必要ない。これこそISILのような集団が望んでいることだ」
  7. オバマ大統領は議会が新規軍事力行使を対ISIL戦に認めなかったことを非難。戦闘は16ヶ月を経過している。ホワイトハウスは繰り返し議会に戦闘行為の適法性を認めるよう求めている。
  8. 「議会はアメリカ国民が一致団結し今回の戦闘に最大限の努力を捧げる用意があることを示す評決をすべきだと思う」
  9. 今回も大統領は大規模地上部隊を投入すべきとの意見を退けた。その根拠として友好的勢力の訓練や装備提供をイラク、シリアで継続することこそが唯一の長期的平和の実現方法だとする。
  10. 「相手方は戦場で我が方を撃破できないことを熟知しています」と大統領は発言。「ISIL戦闘分子はもとは米軍がイラクで対決した反乱勢力の一部です。しかし、もし我が方が外国領土を占領すれば内乱活動を何年にも渡り実施できると知っており、結果何千名もの我軍兵士の命を奪い、貴重な資源を空費させ、さらに我が国のプレセンスを理由に新たな戦闘員を勧誘できると知っているのです」
  11. ただしオバマ大統領は直近の襲撃事件を理由にイスラム教徒を国内外で排斥することのないよう注意した。
  12. 「イスラム系アメリカ人は友人であり、隣人であります。同僚であり、スポーツのひーろーでもあります。そして、そうです、軍服に身を包む男女であり、祖国を守るためなら命を捧げる覚悟のある人たちです。このことを忘れてはなりません」
  13. 議会はあと二週間で2015年の議事を終了する予定で、移民政策の一環として外国人への査証発給制限やその他の監視策に対応するとみられる。
  14. ホワイトハウスからイスラム国集団への軍事力行使の承認を求められている議会はすぐに対応をしないと見られる。オバマ政権は決意と集中力の象徴となる議会の行動を期待している。■


★韓国>KF-X悲願の国産戦闘機開発は来年も足踏み状態へ

韓国の国産戦闘機開発はかなり困難なようで、事業中止は避けられてたものの、この分では長い時間がかかりそうですね。

「aviation week network」の画像検索結果South Korea’s KF-X Still Treading Water

Dec 3, 2015 Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report

Artist's concept of KFX: KAI

BEIJING – 韓国の国産戦闘機開発事業KF-Xは来年も大きな進展はなさそうだが、事業中止だけは避けられた。

  1. 韓国国会は12月2日にKF-Xに670億ウォン(57.3百万ドル)の支出を認めたが、初期開発で最低限の予算にすぎない。KF-Xは双発でユーロファイター・タイフーンと同等の大きさの機体をめざす。開発にはロッキード・マーティンとインドネシア(開発分担20%)が控える。
  2. 韓国国防省は正式開発の開始を来年も期待できず財務当局に1,620億ウォンを要求していたが、今回国会が承認した水準まで査定されている。
  3. そもそも同事業には予算承認がまったく期待できない状態だった。9月には事業の推進に対する国会内反対意見が高まった。米側が機微技術の提供をしないと判明したためで、これまで韓国防衛事業庁(DAPA)が米側の協力を取り付けられと確約していたのに反する事態になった。
  4. 10月には国会の国防部会からDAPAがKF-Xに関し総合的かつ説得力のある報告が出ない場合、事業への支出そのものを中止すべきとの提言が出た。
  5. 同部会は最終的に予算手当てを推奨したが国会が同提言を承認しない可能性もあった。朴 槿惠大統領もDAPAに現状報告を求めた。大統領権限で事業中止を命じることもできたが、しなかった。DAPAは財務省を通じず、国会に当初の1,620億ウォン予算承認を求めたが、DAPA長官Chang Myoungjin はこの予算がつかないと事業は二三年遅れると発言していた。
  6. だが単年度予算が不十分となるとなぜ複数年度にまたがる遅延が発生するのか説明が足りなかった。国会議員Kim Seongchan がChang長官をこの点で質すと、個人の知見でそうなるはずと発言しただけと露呈した。
  7. DAPAは2012年以降、本格開発の開始を提案を毎年しているが、国会が繰り返し初期開発分の予算しか承認していない。
  8. KF-Xの初飛行は本格開発開始後7年後を見込んでいるのが韓国航空宇宙工業(KAI)の見解だ。同社は主契約企業になることが期待されている。本格生産の承認は開発開始後8年目というのが同社の目論見だ。
  9. KAIとインドネシア政府が先月締結した初期契約では国会内の抵抗は存在しない前提になっているが、肝心の技術移転で実現の途が見えない。
  10. 聨合通信社は米国防総省報道官が「米政府はロッキード・マーティンと協議中であり、同社と緊密に作業しKF-X事業の実現を確実にしていく」と発言していると報じた。■

2015年12月6日日曜日

アフガニスタン>F-16ブラックウィドウ部隊は常時近接航空支援を提供している

アフガニスタンでは米軍が何をしているのかほとんど知られていませんが、依然として空軍力が大きな存在になっているようです。F-16が使い勝手が良いようですね。

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Black Widows fight 24/7 air war in Afghanistan

By Jeff Schogol, Staff writer 11:39 a.m. EST December 5, 2015


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(Photo: Air Force)


国民の関心がイスラム国への戦闘に集まる中、米軍はアフガニスタンで依然として猛攻を実施している。

  1. 第421遠征戦闘機飛行隊所属のF-16がアフガニスタンで近接航空支援を米軍、アフガニスタン軍部隊に提供していると同隊指揮官マイケル・メイヤー中佐が述べている。
  2. ユタ州ヒル空軍基地から展開するF-16各機は毎日24時間空中にあり、地上の米軍・アフガニスタン軍に山の向こうに何があるかを知らせるとともにゲリラに空爆を与えているとメイヤー中佐がAir Force Timesに語っている。
  3. 先月は米軍・アフガニスタン軍の隊列が攻撃を受けてF-16が2機支援に呼ばれたという。
  4. 「地上部隊は優勢な火力を浴びていた。こちらの戦闘機隊はすばらしい仕事をしてくれた。単なる力の誇示からエスカレートして事態の修復に努め、爆撃し、敵を無力化した」
  5. アフガニスタンでの米軍の主な任務は訓練、助言、支援をアフガニスタン軍・警察部隊に提供することにある。ただし米軍が現地治安部隊と組んで現場に行くことはよくあるとメイヤー中佐は述べた。その場合は近接航空支援の必要があるという。
  6. 一方で米空軍のアフガニスタン任務にはテロ集団を標的とすることがあり、アルカイダは依然としてアフガニスタン国内のみならず米国にとっても脅威だとメイヤー中佐は述べたが、具体的な作戦については言及しなかった。「対テロ作戦に関与しており、今後も必要に応じてミッションを支援していくとだけ言っておきましょう」
  7. タリバンはじめ各反抗勢力に空軍部隊はないが、米軍機に対する脅威はありうると中佐は語った。
  8. 「対象空域は『脅威が存在しない環境』ではあるのですが、旧式な武器でもうまく命中すれば大きな問題となりますので、そん名事態の発生を防いています」
  9. 10月3日にはAC-130ガンシップの乗員から地対空ミサイルの発射を受けたと報告があった。在アフガニスタン米関係者はタリバンが携行型対空ミサイルを所持してるかは断言していない。.
  10. メイヤー中佐は配下のパイロットは「いつも警戒を怠っていない」と携行型ミサイルに注意していると述べた。「この種類の脅威について訓練をしており、準備は怠っていない」
  11. F-16パイロットにとって別の脅威はアフガニスタンの地形であり、悪天候下の条件では飛行が危険になるという。
  12. 「飛行実施では難易度が高い場所です」とし、「山地は見る分にはきれいですが、パイロットは肝を冷やす場合があります」
  13. 同飛行隊のルーツが第二次大戦までさかのぼり、当時はP-61ブラックウィドウを運用していた。初の夜間専用戦闘機だ。
  14. 「初のブラックウィドウ飛行隊として大きな誇りがあります。当地でもこれを守り、24/7で常時飛行しています。夜間飛行も頻度が高く、昼間と同様の仕事をしています。他機種が天候条件で飛行できなくても、当飛行隊は空にあり、必要な任務を遂行する力を発揮しています」■


オーストラリア次期潜水艦選定 三カ国提案そろい2016年に諮問結果が政府へ



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Submarine Bids Now in, Australian Panel Begins Evaluation

By Nigel Pittaway 2:59 p.m. EST December 5, 2015


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(Photo: Japanese Maritime Self Defense Force)

MELBOURNE, Australia — オーストラリアがめざす総額500億オーストラリアドル(364億ドル)の次期潜水艦整備事業に三カ国より最終提案書がそろったことで、専門家諮問委員会が評価作業を開始し、来年にもその結果を政府へ提出し選定が行われることになった。
  1. オーストラリアは最大12隻の通常型大型潜水艦をProject Sea 1000事業として調達する。オーストラリア政府はDCNS(フランス)、TKMS(ドイツ)、日本政府を競争評価手順(CEP)の対象に選定している。
  2. 「CEP作業は2月に開始され、三カ国は国防省と密接に作業しており、これまでの努力と資源投入は十分に評価に値する。そのおかげでこの段階に達した」と国防相マリーズ・ペインDefence Minister Sen. Marise Payne が声明文を発表。
  3. 「潜水艦は国防省装備の中でもっとも複雑、機微かつ高価な性能を発揮するもので、選定過程は公平かつ重要な作業だ」
  4. 提案各国は次期潜水艦建造の方針案を三通り提出する。つまりそれぞれの本国における完全建造、初期艦のみ本国でその後葉オーストラリアで建造する折衷案、さらにオーストラリア国内で全艦建造する案だ。
  5. DCNSはバラキューダ級原子力潜水艦を通常型に変更する案を提案している。同社はフランス=オーストラリア政府間合意に基づく内容も盛り込み11月27日に最終提案を提出している。
  6. TKMSはHDWタイプ216潜水艦を原型とした案を提案しているが、オーストラリアの要求水準に合わせるためには大幅に艦を拡大する必要がある。同社オーストラリア法人の会長ジョン・ホワイトTKMS Australia Chairman John White は「エンデバー」の名称を1770年オーストラリア東海岸に上陸したジェイムズ・クック艦長の艦名にちなんでつけたと発表。
  7. 日本政府は三菱重工業および川崎重工業と連携しオーストリア国防省調達部門である装備調達維持管理部と直接連絡している。日本は海上自衛隊のそうりゅう級を原型に提案をまとめた。
  8. CEPには国防関連アナリストや業界も多大な関心を寄せているが「美人コンテスト」だとする向きもある。
  9. オーストラリア国防産業団体をまとめるグレアム・ダンクGraeme DunkはCEPで生まれる情報は入札過程で得られる情報に比して信頼度が低いと警鐘を鳴らしている。「国防省専門家のほうがはるかによい評価をすることに疑いがないが、結果が解釈により影響をうけることは大いにありうる」
  10. 「端的に言って、提案内容の選定は詳細情報の不足とあいまって政府が一方的に選定することになるのではないか」
  11. ただしペイン国防相は方針案に固辞しており、政府はCEPを通じて選定を進めるという。
  12. 「CEPの目的は政府による選定結果を各国に伝え、次期潜水艦を実現することにある。各提案国の能力を比較評価し、費用日程面をどのように実現できるかを見極めることができる」
  13. 「事業の性質上、最終選定の対象国とは密接に作業して次期潜水艦を完成させる必要がある。国防省と相手国にとっては多大な労力を投入せざるを得ない」
  14. 「選定が完了しだい、開発期間を3年ほど見込み、次期潜水艦の性能水準と価格を決定する」
  15. オーストラリアの国防科学主任アレックス・ゼリンスキーAlex Zelinskyによればこのほど日本とオーストラリアが水中流体研究で共同研究協定を締結したという。
  16. この合意内容は両国による国防共同研究の第一弾でオーストラリア国防科学技術部と日本の防衛装備庁が研究にあたる
  17. 「水中流体学の理解は今後の防衛には重要で、協力作業により技術開発が大いに恩恵を受けることになる」(ザリンスキー)
  18. 「今回の研究は次期潜水艦の選定とは直接関連がないが、研究成果はオーストラリア海軍の事業に広く応用されるだろう」■

2015年12月1日火曜日

オーストラリア新型潜水艦建造>フランスDCNSが最終提案書を提出


日本に傾いていたアボットさんの退場でチャンスが増えたと見るフランスが動いたようです。なにしろ舌先三寸で商売を勝ち残ってきた相手なので、国内の選挙しか頭にないオーストラリア政治家なら簡単に傾きそうで心配です。逆に日本側提案がどこまで技術的に優れていても政治的に美味しい内容がなければ採択されないことになりそうですね。そうなると日本側も技術以外の要素を真剣に考えないと商戦には残れないことになりませんね。

DCNS Submits Final Bid in Australian Sub Program

By Pierre Tran12:14 p.m. EST November 30, 2015
635844807305069940-DFN-France-barracuda2.png(Photo: DCNS)
PARIS — フランス艦艇建造企業DCNSは最終提案書を先週提出し、攻撃型潜水艦12隻までの調達を目指すオーストラリアのSea 1000 次世代潜水艦事業に入札し、500億オーストラリアドル(361億ドル)相当と言われる同事業に正式に参加したと同社広報が発表した。
「提案書は11月27日に提出した」と広報は述べた。DCNSの提案内容にはフランス国防省の調達部門が支援を与えている。
「提出した提案書には政府間取り決めとしてフランス国防省装備総局 Direction Générale de l’Armement (DGA)からオーストラリア政府国防省宛合意内容および提出内容の詳細記述が含まれる」.
「予定通りの提出ができ、オーストラリア政府による審査が開始されたことで一つの山を超えた」と同社は述べている。
DCNSはティッセンクルップ・マリン・システムズおよび日本の三菱重工業川崎重工業共同提案と競合する形になっている。
DCNSは同社のショートフィン・バラキューダブロック1Aディーゼル電気推進潜水艦をバラクーダ級(シュフラン級)原子力攻撃潜水艦の設計をもとに提出した。採択されれば同社は2,900名の現地雇用創出を保障しているが、オーストラリアからは地元雇用の拡大が強く求められている。
ティッセンクルップも新規雇用創出を謳っており、「2千から3千名分の雇用が生まれる」とハンス・クリストフ・アツポディエン同社工業部門担当の役員(海軍艦艇担当)がロイター通信に語っている。
DCNSはオーストラリア、フランス双方と緊密な関係にあることを強調しており、契約受注した際はこれをてこにさらに良い結果を出すとしている。
「オーストラリアとフランスは政治、作戦遂行、工業の各場面で特別な関係を共有しており、これを基礎にさらに新しい協力関係が生まれ21世紀の新しい課題に応えられる」とDCNS会長エルベ・ジローHervé Guillou が11月17日にオーストラリア潜水艦協会の会合で語っている。
「我が社提案の内容はオーストラリアとのチームワークおよび信頼醸成につきる。次世代潜水艦でオーストラリアが必要とする性能をだれが責任をもって実現するのか、双方でどう協同作業を進めるのかがないようだ。業界とオーストラリア国防省の間で、各企業のかきね、国の境界線を超えたチーム作りが肝要だ」■


ボーイングがC-17生産を終了しました





Boeing Ends C-17 Production in California

Nov 30, 2015 Guy Norris | AviationWeek.com

カタール首長国空軍向けのC-17最終号機がロングビーチ(カリフォーニア州)から移動飛行に入るところ。 Greg Norris/AW&ST

LOS ANGELES – ボーイングはC-17生産を終了し、ロングビーチでの航空機生産70年の歴史に幕が下りた。最終号機はカタール空軍向け納入に備え、同社のサンアントニオ事業所へ11月29日出発した。

最終号機はカタール向け4機の一部で別に一機は完成したものの買い手がない状態でテキサスで保存される。C-17の生産は279機で終了している。このうち、試作機、構造試験用機材、未納入の5機等を除くとボーイングは271機を販売しており、うち223機が米空軍向けだった。

カタール仕様のC-17 はボーイングが販売先未定のまま製造した10機「White Tales]の一部。残る機材では一機がカナダへ、またアラブ首長国連邦が追加で2機を受領し合計8機の部隊とする。さらにオーストラリアも2機を追加し、最終8機目を9月に受領している。その他の発注元には英国、クウェート、ならびに12ヶ国からなる戦略輸送能力コンソーシアム(NATO)がある。

ボーイングは引き続き同機を運用する各国向けの支援、保守管理、性能改修業務をC-17グローブマスターIII国際維持管理事業 Globemaster III Integrated Sustainment Program (GISP) として提供するが、生産にあたってきたロングビーチ工場の今後の活用方針は未定だ。ボーイングF/A-18やロッキード・マーティンのF-35の大部分がカリフォーニア州で生産されているとはいえ、C-17が同州内で量産された最後の固定翼機となっている。そのため、最終納入をもって70年に渡るロングビーチでの完成機生産の歴史に幕が降ろされたとともに、カリフォーニア州内での固定翼機の完全生産の一世紀に渡る歴史も同時に終わったことになる。■