2016年1月5日火曜日

展望:サウジアラビとイランの対立は中東の危機につながるのか


外交関係の断絶は戦争をするという意思表示で新年早々騒がしいことになってきました。原油価格の低下で一番苦しいのは大盤振る舞いの国家財政を維持してきたサウジアラビアであり、制裁解除で今年にも実現するというイラン原油の参入はこれ以上の価格低下を好まない同国にとっては見たくない事態なのでしょう。手を出すことはお互いに自生するのではないかと思いますが、原油価格は今のところ最低値に近い水準で張り付いたままで国際社会もこれで即座に需給が逼迫するとは見ていない証拠ですね。スンニ派シーア派といいいますが、サウジ、イラン両国でも両派は交じり合って暮らしているので簡単に区分できるものでもないと思いますが。

Analysis: Saudi Arabia, Iran and Middle East Brinksmanship

By: Cmdr. Daniel Dolan, USN (Retired)
January 4, 2016 1:16 PM • Updated: January 4, 2016 1:55 PM
Iran-SaudiArabia

この週末にサウジアラビアが著名な宗教指導者ニムル・アルニムルを処刑したことでイランはじめ世界各地のシーア派宗徒がサウジアラビアへ怒りをぶつけていることほどイスラム教宗派間の共存が難しいことを改めて示すものはない。

  1. アルニマル師はサウジアラビアのシーア少数派でサウジ現体制へ歯に衣着せぬ批判を繰り替えしていた。政権に暴力で手向かうよう扇動した罪で処刑された。

  1. 他の46名とともに断頭一斉処刑を行われたのは、急進思想タクフィンが理由で訴追されたもののはシーア派スンニ派双方にあった。イラン政府は以前からサウジ政府に著名な師の処刑は深刻な結果をもたらすと再考を求めていたが、警告を振りきった形のサウジが予定通り処刑をとりおこなったことで即座に反応が発生した。

  1. 在テヘランのサウジアラビア大使館が怒り狂う群衆に放火されたのは処刑数時間後のことで、4日には両国間の関係が険悪になり、双方が外交団の国外移動を求めている。シーア派が主流のイラク政府もサウジとの関係断絶をほのめかしている。

  1. 外交団追放および武力による脅かしは冷戦時の米ソを想起させる動きで、イスラム教の二大宗派間の不和は冷戦に匹敵する。スンニとシーア双方の教義上の対立はイスラムの価値観の根源から発生している。その両宗派の宗主たる存在がサウジアラビアとイランだ。両派の対立が代理戦争をレバノン、イエメン、シリア、イラクの各地で発生させている。

  1. 各地の紛争はもっと大規模で悲惨な結果をもたらす二大国間の戦闘を回避する役割もある。冷戦と同様に一つひとつの行動とその対応には思想上の意味があり、冷戦同様に偶発事故がエスカレートする危険がある。

  1. このような比較対照は世界各地で注視しているだろうが、興味をそそられるのは米政権が両派の対立から落ち穂拾いする可能性があることで、これは軽視できないし、無視するべきでもない。

  1. 米国の政策上の権益を考慮してジョン・ケリー国務長官はダーシュ(ISISI)のイラク・シリア内勢力との戦闘にサウジとイランが集中するよう求めている。先週もシーア派のイラク軍がダーシュが占拠していたラマディを奪還したが西側ではシーア派が中心のイラク陸軍がスンニ派が多数のラマディを解放するか関心を呼んでいた。ラマディでシーア派のイラク正規軍は外国軍隊以上に歓迎されない。穏健なスンニ派部隊を求める動きが出ている。ラマディを引き続き保持し再建できるか深刻な課題だ。

  1. スンニ派部隊に治安維持にあたらせラマディ再建を助けることが米政府の目下の課題だ。地域内の大国間でこれ以上の大規模対立が生まれればこの課題の実現は難しくなるはずだが、本当にそうなるだろうか。

  1. サウジアラビアの宿敵への制裁措置と軍事攻撃の警告が解除となりつつある中で、力のバランスが移動しつつある。サウジアラビアは明白なメッセージを送っているのであり、自国権益はあくまでも守るが、イランの警告や西側友邦国の外交上の求めには動じないというのだ。今回の断頭処刑で交渉が有利になるのか、世界各地のイスラム教徒に自国の教義上の優位性を訴えることになれば最良の結果となる。

  1. 逆にサウジがイランとの直接対決に踏み出せば最悪だ。歴史を見れば、相手方の国力増進を見て今こそ開戦すべきだと考える例が存在している。日本帝国が開戦を決意したのは1941年12月のことで、当時の日本は米国の造船台に新造艦多数があるのを知り回避できない戦争ならこれ以上敵国が強大になる前にたたくべきだと考えたのである。

  1. イランが段階的に核開発事業を解体していることで核兵器生産の発生を大幅に遅らせている。さらに世界各国の銀行が凍結イラン資金を解除すればイランの通常兵器購入に結びつくのは必至だ。サウジアラビアはこの状況を開戦時期ととらえているのだろうか。専門家の大部分はサウジアラビアとイランのエスカレーションは起こりえないと見ている。そうであれば安心だが、西側各国はこの地域で発生した直近の大国間戦争を覚えているはずだ。イラン・イラク戦争(1980年)とイラクのクウェート侵攻(1990年)で世界は驚かされた。

  1. サウジアラビアがアルニムル師を断頭処刑した動機がなんであれ、一つ確かなのはただでさえ不安定な地域で炎がかきたてられたことだ。これ以上燃え上がらないよう祈るばかりだ。■

原注 ドーラン中佐は戦略戦争論を海軍大学校の遠隔教育で教えるととtもにメイン大学で歴史学の非常勤教授を務める。EP-3E特殊用途機の飛行士官を以前勤めており、USNI NewsおよびProceedings誌にたびたび寄稿している。


★今年注目の軍事航空宇宙技術はこれだ



Defense & Space Technologies To Watch In 2016

Dec 25, 2015
Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology


AD16DEFTECHS-1_BlighterSurveillanceSystems_0.jpg

1) 無人機対策

小型無人機(UAS)への対応は軍および関連政府機関にとって大きな懸念事項だ。展開中の部隊や重要なインフラ施設が「空飛ぶIED(即席爆発装置)」に狙われては大変だ。米陸軍は2015年末に利用可能な対抗手段を試している。重量20ポンド未満の垂直離着陸(VTOL)型UASで、どこでも運用可能だ。英国の中小企業三社(Blighter Surveillance Systems, Chess Dynamics, Enterprise Control Systems)がレーダー探知、追跡機能、無線交信ジャミングを統合して搭載した。だが大手のイスラエル航空宇宙工業ロッキード・マーティンセレックスESの各社もUAS対抗手段の提供に加わろうとしている。
Photo: Blighter Surveillance Systems


AD16DEFTECHS-2_USNavy.jpg

2) 指向性エネルギー兵器.

高エネルギーレーザーが大きく進歩してきたが、まだ指向性エネルギー兵器として実戦配備されていない。これは2016年の課題だ。30-KW級の実証レーザー兵器はすでにUSSポンセに搭載されペルシア湾に配備されている。またノースロップ・グラマンは100ないし150-kW級実証装置を地上に組み立てて、早ければ2018年の駆逐艦搭載を狙う。米陸軍はトラック搭載の60-kW級ロッキード・マーティン製ファイバーレーザー兵器のテストを2017年に予定。これに対して米空軍は2016年にShield事業としてレーザー機体防御ポッドを戦闘機に搭載して試す。これが2020年代に最初の攻撃用手段として特殊作戦用のガンシップに搭載される見込み。
Photo: U.S. Navy


AD16DEFTECHS-3_USArmy.jpg

3) 低視認性環境での安全運行

2つの戦役の経験からヘリコプターの低視認環境での安全運行へ改良が進んできた。低視認環境(DVE)は夜間以外にローターが巻き起こす砂埃、雪片で発生する。米陸軍の特殊作戦用ボーイングMH-47GとシコルスキーMH-60Mに2019年までに94-GHzレーダー装置と透視センサー(シエラネヴァダCorp開発)を搭載する。また正規部隊ではボーイングAH-64EとシコルスキーUH-60Mに前方監視型DVEシステムを2019年末から搭載する。ヨーロッパではエアバスが Sferion DVEシステムのテストをしている。これはレーザーセンサーで障害物を警告するものでNH90ヘリコプターに搭載した。イタリアは同じNH90にセレックスES製レーザー衝突回避システムを搭載した。
Photo: U.S. Army


AD16DEFTECHS-4_DARPA.jpg
4) 有人機無人機をチームで運用
無人機はパイロットを省人化するよりも有人機との組み合わせで運用する方向に向かっている。DarpaのAtlas事業では既存の機種でもロボット副操縦士を投入しパイロットの必要人数を削減できないか目指している。ロボットキットは各機体で移動可能で機種の違いに対応できる。2016年にはオーロラフライトサイエンシズ Aurora Flight Sciences とシコルスキーがUH-60で実証を行う。空軍研究所のロイヤルウィングマンLoyal Wingman 実証では有人戦闘機にUAVのセンサー、ジャマー、兵装を外部から運用する。
Photo:Darpa


AD16DEFTECHS-5_LockheedMartin.jpg

5) 輸送機の運航効率アップ

予算が厳しいため各部隊のエネルギー消費に関心が高まっており、とくに兵站ミッションで輸送機・給油機が多量の燃料を消費していることがクローズアップされている。ロッキード・マーティンは燃料消費を下げるウィングレットや揚力分散制御や燃料タンクの目減り減少策をC-130Jで実施する試験飛行の契約交付を受けた。ああせてC-17では効力を最小限にする微小偏向板も試す。ボーイングはフラップの後縁改良をKC-135で実証する。ヨーロッパではアレニア・アエルマッキがC-27Jにウィングレットをつけて燃料消費を減らしている。エアバスディフェンスアンドスペースもC295小型輸送機にウィングレットを装着し最適形状を探る。
Photo:Lockheed Martin


AD16DEFTECHS-6_DARPA.jpg

6) 補給兵站の自動化

無人貨物機がアフガニスタンで効果を実証したが、正式な調達はまだない。2016年には別の方法が試行される。DarpaのAres事業でロッキード・マーティンとパイアセッキエアクラフトがダクトファン双発のVTOL式でて有効積載3,000-lb.の無人機を飛ばす。取り外し可能なモジュールに貨物を載せる、負傷者を搬送する、他のミッションが可能で搬送後、帰還する。シコルスキーはUH-60Aブラックホークを任意有人操縦機に改造し、無人状態でも貨物輸送を行わせる。ロッキード、シコルスキー両者は任意有人操縦ヘリコプターで無人地上走行車の搬送をテスト中。
Photo: Darpa


AD16DEFTECHS-7_EuropeanSpaceAgency.jpg

7) 宇宙レーザー通信.


帯域が窮屈になっていること、スペクトルを巡る競争が激化していることでレーザー通信方式が注目を集めている。ドイツのTesatは広帯域光学リンクをヨーロッパデータ中継衛星に供給しており、ジェネラルアトミックスとともに2016年から2017年にかけてレーザー通信がMQ-9リーパーUAVに静止衛星経由で実用に耐えるかを検証する。これ以外にもレーザー宇宙通信の企画が進んでいる。レーザーライトコミュニケーションズLaser Light Communications は中高度軌道の衛星多数を配備し大容量遠距離レーザーリンク網を各地の光ファイバー通信網と接続する構想を持つ。ブリッジサットBridgeSat  は広帯域光学リンクを開発し低高度軌道を周回中の衛星各種のデータ需要が高まるのに対応する。
Photo: European Space Agency


AD16DEFTECHS-8_DARPA.jpg

8) 小型UAVの集団運用

多数の自律飛行小型無人機で敵の制圧が低コストで可能かのテストを海軍研究所が2016年に実施される。 Locust(Low-Cost UAV Swarming Technlolgy)の名称で30機のレイセオン製カヨーテ使い捨て無人機をフロリダ沖の船上から30秒以内に一斉発進させる。DarpaのグレムリンGremlins 事業では2016年から小型回収可能UAV多数を輸送機から放出する。監視装置あるいは非運動性ペイロードを搭載し、分散型操縦統制により飛行するUAV各機は敵防空網を飽和制圧してから母機に戻り再利用可能となる。
Photo: Darpa


AD16DEFTECHS-9_NovaWurks.jpg

9) 軌道上で衛星をブロック建造

小型衛星の性能は高まっているとはいえ、需要家は更なるコストダウンを求めている。解決方法のひとつがノヴァワークス NovaWurksからDarpaに提案された。同社の構想は「超小型衛星」’satlets’を大量生産してモジュラー方式で各種サイズの衛星に仕上げる。極小衛星のうちHiSat 型は電力供給、制御、感知他の業務を組み合わせて高価な既存衛星と同様の機能を実現する。HiSat はファルコン9に混載され2016年に打ち上げ予定。さらに多くの試験衛星が2017年にかけて打ち上げられる。ノヴァワークスはカナダの新興企業ノーススタースペースデータ向けに極小衛星でデブリ追跡衛星40機を地球周回中に形成する。最終的には軌道上でロボットによる衛星組み立ても視野に入れる。
Photo: NovaWurks



AD16DEFTECHS-10_LogoisTechnologies.jpg

10) 広範囲地上監視センサーの初導入はリオ・オリンピック

イラク、アフガニスタンの広大な地域で地上の動きを常時監視する目的で米国が開発した広範囲運動監視画像技術で輸出の可能性が出てきた。最初にリオデジャネイロの2016年夏季オリンピックで空中からの保安監視に投入されそうだ。ロゴステクノロジーズLogos Technologies はシメラ Simera 広範囲センサーをブラジル政府向きに開発し都市大の地域全体の空中監視に使う。ハリス Harris は政府および民間向けに自社のCorvyusEye昼光広範囲画像システムの利用を働きかけている。同システムは米空軍のMQ-9リーパー向けに開発されたゴーゴンステアセンサーGorgon Stareを流用している。
Photo: Logois Technologies


AD16DEFTECHS-11_CellaPower.jpg

11) 固体水素燃料電池

バッテリー容量が小型電動航空機で制約条件になっている。水素燃料電池は大幅に容量を増やすが、広く普及しないのは重量、安全性、補給支援で欠点があるためだ。そこで英国の新興企業セラエナジー Cella Energy は固体水素式燃料電池をイスラエル航空宇宙工業のバードアイ BirdEye小型UAV向けに開発した。固体燃料ペレット多数を100C (212F)以上に加熱すると水素を放出し燃料電池に供給する。このシステムは加圧式水素タンクが不要で軽量化できかつ固体方式なので、取り扱い安全でリチウムイオン電池に比べて3倍のエネルギー貯蔵量がある一方で高温による金属部分の溶融リスクもない。
Photo:Cella Power





AD16DEFTECHS-12_Insitu.jpg

12) 滑走路不要のUAV

UAVでカタパルト発進で網や懸垂ワイヤーで回収する機種は滑走路を必要としない方式だ。だがUAVの活用範囲が広がり、遠隔地やアクセス困難地区や狭い場所での運用が科学研究のみならず保安部門で高まると、移動式の施設そのものが負担になる場面が生じる。ScanEagleを開発したインシテュ Insitu はUAVを別のUAVから発進、回収する方法を試行中で、母機は垂直離着陸型の多ローター機になる。オーロラフライトサイエンシズが開発したサイドアーム Sidearm はクレーンのような形状で1,000-lb.級のUAVを飛行中に回収したり、発進させることが可能。Darpaが実寸大の公試を行う。
Photo: Insitu

AD16DEFTECHS-13_USAirForce.jpg

13) 衝突防止技術

統合空中衝突回避装置Integrated Collision Avoidance System (ICAS)は米空軍が正式に作動評価をF-16で2016年3月から4月の何処かで行う予定だ。開発したのは空軍研究所とロッキード・マーティンで、ICASは既存の自動地上衝突回避装置 (Auto-GCAS)に新規開発の自動空中衝突回避装置 (Auto-ACAS)を組み合わせている。課題は2つの装置を統合し一方の危険を回避することでもう一方の危険に直面することを回避することだ。例として空中衝突を自動回避した機体が地上に激突することを防ぐ。ICASの初期テストは2015年に終了している。
Photo: U.S. Air Force


AD16DEFTECHS-14_NASA-JPL.jpg

14) 火星の大気中で飛行する

NASAの次期火星探検車は2020年打ち上げ予定で、航空機一機を火星に搬入する。ジェット推進研究所(JPL)とNASAは小型自律型航空機を火星の大気中で飛行させる案を検討中で探検車の目とする。JPLは1-kgの同軸ローター方式ミニヘリコプターを2016年に火星を想定した条件で飛行させる。NASAアームストロングセンターは翼幅2フィートの全翼機の落下テストを実施する。これは探検車を運搬する貨物庫から放出され、翼を拡げてから地表を滑空する構想。NASAラングレーセンターはローター複数を配置した全翼機のテストをしている。垂直離着陸し、水平飛行させ探検車の探知範囲を広げる。
Photo: NASA/JPL


AD16DEFTECHS-15_USNavy.jpg

15) Uclass

画期的な出来事になった無人戦闘航空機の空母からの離発艦は2014年に達成され、2015年は給油機への接近、自動給油を実施した。2016年に米海軍がついに無人空母運用空中偵察攻撃機(Uclass)の競争入札に踏み切ると見られる。Uclassはノースロップ・グラマンの全翼機形状のX-47Bとは異なる外観になりそうだが、X-47Bが実証機としては高い性能を示したことは性能要求に反映されるだろう。X-47Bは2機あるが、今後の飛行予定は未定。
Photo: U.S. Navy


2016年1月4日月曜日

★ロケット軍創設、中国の軍拡の背景に潜む考え方とは

h

面子がすべてだ、強国だからこそ強力な軍備が必要だとどんどん先を目指す中国はやはり異様な国です。国際社会で孤立化する可能性に気づいていないのでしょうか。かつてのソ連は軍拡の挙句に崩壊しましたが、今回は米国の優位性が危うくなっており、中国はソ連の轍を踏まないでしょうから西側も中国の暴走を止める別の方法が必要です。そこで第三の相殺戦略が効力を発揮するかがこれから数年間おおきな話題になるでしょう。なお、記事が引用している教授は相当過激な主張も展開している人らしく要注意です。

China Restructures Military As Xi Eyes 'Strong Army'

Agence France-Presse12:16 p.m. EST January 2, 2016

SHANGHAI — 中国が軍組織改組で新たに三つの部隊を加えると発表し、習金平主席は「強力な軍隊をめざす中国の夢を実現する重要政策決定」と評していると国営通信が伝えた。
  1. 新組織発表の前に中国政府は空母二号艦が建造中と認めている。
  2. 中国は共産党による人民解放軍(PLA)の掌握をさらに強化する方策を実施すると11月に発表していた。
  3. 今回の発表では戦略ミサイルを取り扱う軍組織の新設が含まれている。この「ロケット軍」以外に地上部隊の総司令部組織、戦闘部隊の支援組織を国営新華社が伝えている。
  4. 習主席は共産党トップであるとともに軍の最高司令官もつとめ、先に中国軍を三十万人削減し2百万人体制とし戦闘部隊の効率化を追求すると発表した。
  5. 中央軍事委員会から1日に発表された方針では2020年までに軍の近代化を完了すべく兵員数を削減し、残る軍組織構成員の質を高めるとしている。
  6. 論調が右寄りなことで知られる環球時報は軍事力拡大の必要条件を列挙し、米国の存在をその理由としている。
  7. 「中国が米国に軍事力で差をつけられれば、中国の国際社会での地位が脅かされ各国も中国への接し方を変える」と2日付の社説で述べている。「軍が強力であってこそ、中国の政治影響力は拡大し、説得力を有する」
  8. 中国軍は日本、フィリピンと東シナ海、南シナ海で深刻な緊張関係にあり、偶発事件が軍事衝突に発展する恐れを生んでいる。
  9. 一方、新設のロケット軍の任務は通常、核双方の運用で抑止力とともに攻撃力を確保する。習主席は新組織発足の式典でこう述べたという。
  10. だが中国国防省報道官は核兵器運用方針で変更はないと説明。「中国の核兵器方針と核戦略は首尾一貫しており、いかなる変更もない」 また同報道官は新組織は第二砲兵軍を引き継ぐものと発表。
  11. 9月の軍事パレードで中国は「空母キラー」として陸上配備のDF-21D中距離弾道弾を公表し、最終誘導装置で移動目標へ有効な攻撃手段となるとしている。
  12. 中国問題の専門家は今回の動きは軍の近代化の一環と見る。「長い間中国には国外に権益を有さず、人民解放軍内部で海軍、空軍、誘導ミサイル軍は陸軍より低い地位に甘んじてきた。欧米の大国に追いつくため中国は装備近代化を急ぎ、軍の戦闘能力を引き上げる必要を感じている」(上海政法学院 Shanghai University of Political Science and Law の教授倪乐雄Ni Lexiong)■


2016年1月3日日曜日

2016年の展望② カーター国防長官 ISIS、ロシア、中国、技術戦略、人的資源


国防総省が技術産業政策の旗振り役を臆することなく公言しているのは皆さんもご承知のとおりです。もっとも緊密な同盟国で韓国と言っているのは何かの間違いかもしれませんが、サイバー分野でのと理解すればいいのかもしれません。


 Carter: US, Allies Will Deliver 'A Lasting Defeat' to ISIL

By Ash Carter 4:45 p.m. EST December 14, 2015
635854492234336673-DFN-OUTLOOK-2016-Carter.jpg(Photo: Staff illustration)
国防長官たる小職の責務は米軍の準備体制を怠ることなく、戦闘に臨めるように維持することに加え我が国の各制度が将来も十分効力を発揮できるよう整備することにある。我が国の各部隊は世界のいかなる国よりも優秀で、小職の後を継ぐ将来の長官職各位も同じく感想を持てるように全力をあげているところだ。現時点で我が国は複雑な課題に直面しているが、この観点で体制を整えることが至上課題である。
  1. 今年早々に下した決断により対ISIL作戦は大きく加速している。特殊作戦実施能力をイラク、シリアで整備したし、空爆作戦を強化し、現地の有能かつ戦意高い地上部隊と共同作戦に取り組んでおり、各方面からISILの各拠点を同時に攻撃中だ。パリで発生したテロ襲撃事件を受けて、同盟国ドイツ、英国、フランスが有志連合軍に部隊を追加投入し、40か国に上る各国の貢献はさらに強力になった。我々が一丸となり完全な敗北においやるべき悪の存在がISILだ。
  2. 一方ロシア、中国が新たな課題をつきつけている。NATO加盟国と対応指針を書き換え、ロシアの強権的な動きに効果的かつバランスが取れた対応が可能になった。想定するのはハイブリッド戦から核攻撃一歩手前までの事態だが、同時にロシアにはドアをあけており、米国やヨーロッパと共通の課題に取り組む正しい道に戻ることを期待している。サイバーセキュリティにはこれまでより高い優先順位をつけ、国内ネットワーク保護とともに英国、イスラエル、韓国といったもっとも緊密な同盟国と共同歩調をとっている。アジア太平洋では南シナ海で前例のない土地造成を中国が進行していることを受けて。これまで同地域の安定は米軍事力がかなめであり、各国が成長し繁栄してきた背景に域内同盟各国や協調国への支援を強化中で、域内安定が高まるよう期待する。同地域へ今後も資源投入を拡大する。
  3. 現下の各課題があるからといって将来の機会に目をつぶることは許されない。健全な国防戦略には空間と時間の両面で認識が必要だ。このため我が国の技術上の優位性は来世紀にも維持する必要があり、利用可能な最良の人材を確保していく必要もある。
  4. 一世代前の重要技術といえば大部分はアメリカ発でさらにいうと国防総省が源だった。技術基盤は今日では民間商用に比重を移し競争は世界規模になっている。新しい状況においてアメリカ民間の発明者、科学者、技術者との提携を強化し、従来の国防産業基盤に加え未経験の業界も試さねばならない。このため新技術の中心地たるシリコンバレーやボストンとペンタゴンとの橋つなぎに努めており、サイバー防衛、ビッグデータ解析やバイオ科学分野を重視している。目標は本土防衛であり、国民防護のために科学技術の進展が必要だ。
  5. 軍組織にとって技術が極めて重要であることに変わりないが、なんといっても我が国の優位性は国民そのものだ。将来の軍部隊に新世代から有能な人材の確保につとめるとともに政府と民間企業をともすれば切り離そうとする要素を解消しようとしている。このこともあって軍組織、職位の女性への完全開放を最近発表したのである。わが軍部隊は全員志願制であり優秀な人材の募集とともにつなぎ留め今後も軍の組織上の重要課題だ。有能な若い男女には軍での勤務が見返りが一番高い名誉ある仕事だと認識してもらいたい。
  6. 2016年に下す決断は国防総省と同盟各国に長期的な影響を与える重要なものになるだろう。複数年度予算措置で合意が生まれたことで議会に柔軟対応を期待している。同盟各国も一層積極的に対応して世界秩序の防衛で責務を果たしてもらいたい。産業界にはこの国を強国として存続させる方法をともに考えてもらいたい。米国を強くするのは戦略、技術、人材であり、米軍部隊は世界各地でこの地位が来年もその後も続くように日夜努力している。
Carter is US defense secretary.

2016年1月2日土曜日

一か月で10名殺害 ISIS指導層を狙い撃ちする空爆作戦の成否は?



新年から重い話題ですが、避けて通れません。イスラム国(徴税までして行政システムが動いているので国であるといってよいと思います)への空爆は効果を上げつつあるようです。ただし指導部を狙い撃ちしてもきりがないと思うのですが、組織崩壊を狙うとしても効果はどうなのでしょう。とまれ、無人機を使った作戦は情報戦の様相を示しているようです。



Coalition Sees Success in Targeting ISIL leaders

By Joe Gould7:29 a.m. EST December 30, 2015

635587456789655731-bilde(Photo: General Atomics Aeronautical Systems)
NEW YORK — 有志連合軍による空爆でイスラム国関連の指導層10名が殺害された。先月のパリ襲撃事件に関与する数名も含まれていると連合軍報道官が12月29日に発表。
  1. 「過去一か月でISIL指導層10名の殺害に成功しており、対外襲撃計画に関与していたもの含め、一部はパリ襲撃に関連していた」と米陸軍スティーヴ・ウォーレン大佐が発表している。「戦闘員を勧誘し、米国や同盟国大将の攻撃をたくらむISIL指導部の狩りは今後も続ける。」
  2. ウォーレンは空爆の詳細をほとんど明かしていないが、実施の大部分がプレデターはじめとする無人航空機によるもので、イスラム国指導部を狙う空爆の続行で地上戦でこの数か月戦況が好転していると述べた。
  3. 「どんな組織でも最高位あるいは中間の管理機能が低下すれば求心力も低下するはずだ。また指導部が不在では指揮統制の実施が困難になるはずだ」
  4. 12月28日現在で米軍及び有志連合軍は合計9,220回の空爆を実施し、うちイラクが6,082回、シリアが3,138回だったとペンタゴンが発表している。中心は米軍で、計7,143回を実施した。
  5. 殺害された10名にはチャラフェ・アル・ムアダンがおり、パリ襲撃犯の主導者アブデルハミド・アバウドと直接つながる人物だとウォーレンは解説した。アル・ムアダンは12月24日シリア国内で殺害されたが、西側諸国へ追加攻撃を計画していたという。
  6. アブドル・カダ・ハキムはイスラム国の「対外作戦推進役」だったが12月26日にモスルで殺害されている。ウォーレン大佐は経験豊かな戦闘員であり、偽造の専門家でもあり、「パリ襲撃の実行犯とつながっていた」とし「この人物の死でヨーロッパとの重要な連絡役が不在となった」
  7. 空爆対象は中間レベルの工作員が多いが、一部は「対外作戦」に関与した嫌疑があり、その一人シリア在住のバングラデシュ人シフル・スジャンはシリア・ラッカ近郊で殺害されたが、「ハッキング、対監視技術、兵器開発」にあたっていた。
  8. 「蛇の頭をたたいているが、まだ毒牙は残っており、これを片付ける必要がある。戦闘は激化するだろう」(ウォーレン大佐)■


2016年1月1日金曜日

米英仏が合同空軍演習を実施、その結果から浮かび上がった教訓は何か



12月に米英仏三カ国の最新鋭機が米本土で合同空軍演習を行いました。相互運用の実相がわかる内容ですね。ここにF-35が加わりデータ融合の効果を確認できるのはちょっと先になりそうです。日本は米国と演習を実施していますが、日韓米でこのような演習をする日が来るのか年末には若干期待させられました。

前空軍参謀総長「バズ」・モスレーが言ったように「米空軍が飛行できない場所は世界に存在しない」はずだったが、タリバンのようなローエンドの敵を相手に15年に及ぶ戦いに従事している間に中国やロシアはハイエンドの防空体制を構築してきた。その結果、米軍は技術面、訓練で危険なほどの萎縮し兵力投射に困難をきたすほどになっている。シリアでロシアが航空部隊を配備し、防空体制も整備したことで高水準の防空圏への対応は将来の可能性から現実の問題に変化したといえる。
  1. そこで米空軍、英空軍、フランス空軍が三カ国演習をラングレー空軍基地で展開した。目標は一度失った戦闘技量を回復し、新しい戦術を体得し、作戦運用の新構想をすすめて、21世紀の航空戦闘の変容に対応することである。
  2. 演習中に空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が報道陣向けに発言した内容が現実世界と今回の演習が密接に関連しているのを示している。「相互運用能力を高めながら狭い空域で友軍同士の衝突を避けることは重要だ」「今回の演習では中東で使っているのと同じ通信方法で相互運用と衝突回避を狙った」
  3. 同時に三カ国の空軍部隊は21世紀にふさわしい標準作戦をつくろうとしている。そこでは第五世代戦闘機のF-22やF-35が従来型各機を助け、攻撃能力、残存性、効果を上げることができる。F-22はタイフーンと一緒に飛んだことがあるが、ラファールとの共同飛行は初めての出来事だ。
  4. 航空戦闘軍団司令官ホーク・カーライル大将は「今回の演習では個々の部分の合計よりも全体効果がずっと上回っており、効力の高い部隊を形成できた」と発言。
Air Force photoAllied generals answer questions during the trilateral wargame. L-R: Gen. Hawk Carlisle (USAF), Gen. Antoine Creux (France), Gen. Mark Welsh (USAF), Air Chief Marshall Sir Andrew Pulford (RAF), & Gen. Frank Gorenc.
  1. 報道陣への対応の席上で空軍上層部から脅威環境の変化について説明があった。ウェルシュ、カーライル、欧州駐留米空軍のフランク・ゴレンク中将、英空軍参謀総長サー・アンドリュー・プルフォード大将、アントアン・クルーフランス空軍監察長官が同じ席上にそろった。
  2. 「今回の演習では敵機と敵ミサイル、地対空ミサイル、電子戦をそれぞれ進歩中の敵の脅威として重視した」とカーライル大将が述べた。
  3. そういった脅威内容への対応としてカーライルは「リンクと通信で情報を伝達し、三機種で種類が違うエイビオニクスやセンサーを搭載していますが、それぞれ戦闘に加わり、ミッションの切り替えで、空対空から空対地のように、戦闘状況に応じた役割を果たせるかを見ることとしました」と説明。
  4. これまでと状況がちがうのはAWACsの役割だ。演習が12年前に開催されていたらAWACSは戦闘機部隊とハブアンドスポーク構造で運用されていただろう。つまりAWACSが中央になり、目標データや警報を周囲の戦闘機に送っていただろう。だが第五世代戦闘機のF-22や今後加わるF-35にはセンサー、データ融合、通信能力が搭載されており、自ら情報発信ができるので中央配置のハブアンドスポーク構造から分散構造のネットワークになる。攻撃段階の各機がこれまでより動的に目標を捕捉し、各機がAWACSへ送る情報はAWACSが発信する命令に活用されるだろう。
  5. 「今回の演習の狙いは合同軍を最少共通項で構成するのではなく航空優勢を実現する戦闘部隊としてもっと高い次元で効果を発揮できる部隊をつくることです」とカーライル大将は説明。「パイロットたちは共同作戦のこつをまなび、進歩する能力がないと強力な敵防空網では成功はおぼつかないと体感しました」
  6. 英空軍トップはパイロット技量の重要性を強調した。サー・アンドリュー・プルフォードは英空軍がタイフーン飛行隊2個、F-35飛行隊1個を追加したと発表。これからは難易度が低い航空作戦環境はもはや存在しなくなる中で適正技能の確保に問題意識をもっているという。
Wikimedia CommonsA Royal Air Force Typhoon intercepts a Russia Bear bomber
  1. タイフーンは第五世代機ではないが、実に強力な戦闘力があり、英空軍によるISIS攻撃の中心になっている。タイフーンにトーネードを組み合わせて運用している。
  2. 「タイフーンの近代化改修が進行中です」とポール・ゴッドフレイ大佐(英空軍ロッシマス基地司令)が述べた。「とくに電子戦が大きく改良され、センサーや統合が進歩し、マンマシンインターフェースの改良でコックピットは第五世代機との共同運用を意識した機能を持ちました」
  3. ある英軍パイロットがうまくいいあらわしている。「一番多くの情報を収集し、処理し、活用することが一番早くできれば情報戦で勝利をおさめ、最終的に戦闘でも勝利できる。第五世代機があれば一瞬のうちにデータを第四世代機と共有できるので、タイフーンは高性能な戦闘機に変身できる」
US Navy photoFrench Rafales aboard the USS Truman

  1. これに対してラファールは今回の演習に参加した機種で最古参だ。同機はアフリカ、中東、アフガニスタンで実戦投入されており、フランス軍が合同作戦、遠征作戦を実施する際の有効な手段だ。同機の戦闘システムも順次改良されており、フランス海軍がまず同機を稼働して15年が経過している。.
  2. 「2004年まではわずか10機しか運用していなかった」とマリー・アストリ・ヴェルニエが2014年取材時に回想している。当時はダッソー・アヴィアションの国防サポート部門長だった。現在のラファールは四つの「トランシェ」があり、各型で各種改良が加えられている。このうち最新のスタンダールF3R型が2018年に引き渡される。
  3. 現時点の最新型F3は最初のF1と共通点は少ない。「F1仕様をF3に変える改修作業には時間がかかりました」と述べたのはフランス国防省でラファール事業を担当したセバアスティエン・ファーブル海軍大佐だ。改修点が合計1,000の大台を超えたが、うち60パーセントは技術改良関連で、残りは装備と支援ツール関連だという。
RAF PhotoRoyal Air Force C-17
  1. 英仏両軍にとってラングレー基地までの移動自体が遠征空軍部隊の演習になった。大西洋を横断して訓練を行うことは通常の業務になっている。
  2. これだけの規模の演習になると支援体制の手配も大変だが、英空軍、フランス空軍ともに米空軍主催の演習へはレッドフラッグ演習など参加経験が豊富で新しいことではない。ただ今回違いが生まれたのは両国空軍が合同運用したことだ。フランス側の人員110名(戦闘機、KC-135給油機乗員除く)はいったんフランスから英国へ仏軍機で移動してから英軍C-17とKC-30Aヴォイジャー(A330MRTTの英軍仕様)に同乗して大西洋を越えた。
  3. 今回の演習で最高の賛辞は英空軍トップから出ている。「大事なのは三カ国空軍部隊がひとつになり作戦を実施したこと。三カ国がこれまで実施してきた実績の上で今後も一緒に作戦できると示せた。その場所がイラクだろうとシリアだろうと関係なく、米本土東海岸の当地で行ったことが重要で三カ国部隊が一つのチームとして共通目的で行動できたことの意味は大きい」とブルフォードが述べている。■


2015年12月30日水曜日

2015年の当ブログ記事への人気度不人気度から見えてくる傾向 今年もお世話になりました。


今年も本日一日になりました。いろいろな出来事があり退屈することはなかったのですが、時間の経過が加速化していると感じるのは当方だけでしょうか。

さていつもお世話になっている皆さんが当方のつたない記事にどう反応されたかを以下リストアップしましたので暇つぶしにでもご覧いただければ幸いです。なお、データは12月30日現在のものです。

まず今年注目をあびた記事を上位から見ていきましょう。

第一位 航空自衛隊>F-35導入しても戦闘機不足は避けられない見通し(6月)

第二位 今年の軍事航空はこうなる 注目すべき機体・動向をご紹介(1月)

第三位 米空軍の主力機が大型機に統一される日が来る?:Battleplane,CBSA, F-X, John Stillion, LRSB (4月)

第四位 川崎P-1の国際デビューと現地での反応をご紹介しましょう:エアタトゥー, 川崎P-1(7月)

第五位 ステルス機に有効な空対空ミサイルの新誘導方式を日本が開発中:TRDI技術研究本部, ミサイル誘導方式, 対ステルス機戦闘技術 (9月)

第六位 AC-130の最新J型に105ミリ砲をまず搭載、レーザー兵器は後日装備:105 mm cannon、米空軍特殊作戦軍団, Gunship、AC-130(2月)

第七位 米空軍の考える近接航空支援の新しい姿とは:A-10, CAS, F-35A, USAF (4月)

第八位 ズムワルト級駆逐艦でレイルガン搭載の可能性が出てきました:DDG-1000, railgun, USN, Zumwalt Class(2月)

第九位 ファイターギャップを埋める役割が期待されるF-15:F-15C, F-22, F-35, USAF(9月)

第十位 潜水艦ステルス性が危い: 対抗策は新しい発想による戦術と技術の利用だ新技術, 潜水艦, 潜水艦探知技術(2月)

番外 LRS-BあらためB-3はこんな機体になるC2, C5ISR, LRS-B>B-3 (5月)


皆さんのご関心領域がこのトップクラス記事から見えてきますね。まず有人戦闘機関連ですね。一方で大型機にも一定のご関心があることがわかります。ズムワルト級と潜水艦の記事も上位に入りましたが、海軍作戦というよりも指向性エネルギー兵器やステルスなどの技術にご関心が集まっていることと解釈します。この中では今年はLRS-Bの機種選定が大きな出来事だったと思いますが、なかなかB-3の呼称に切り替わっていませんね。またシンクタンクCBSAからは空軍戦力を担うのは大型機バトルプレーンになるとのご宣託がでましたが、今後もこの会社には注目すべきだと思います。レーザーやレイルガンについては来年も進展があるでしょう。ISR関連の記事が入っていませんが、今後もとりあげていきます。


次に関心を集められなかった記事は下から以下の通りです。(この二か月間の記事は除外しています)

第一位 シリア>米ロで「衝突回避」の話し合い ただし結論出ずシリア空爆作戦, マケイン上院議員, ロシア(10月)
第二位 米大統領選挙候補の国防観を見る① (10月)

第三位 対ISIS作戦にトルコ基地が果たす役割は大きいISIS作戦, トルコ (9月)

第四位 PLAN>ロシアと日本海沿岸で揚陸演習を実施PLAN, ロシア海軍,日本海, 揚陸作戦 (8月)

第五位 ブラックホーク他の換装エンジン開発競合始まる 規模は拡大するかAH-64, Reengine, UH-60, 回転翼機’10月)

第六位 中東>シリア作戦で新局面に入った米軍の作戦状況ISIS, シリア, トルコ・インジルリク空軍基地(8月)

第七位 F-35:2Bソフトウェア完成遅れるが海兵隊はIOCに向け努力中C, F-35, JPO, Lt Gen Bogden(3月)

第八位 朝鮮半島緊張>B-2をグアムへ展開させる米空軍(8月)

第九位 黒海>ウクライナも参加して海軍演習Sea Breeze開幕、ロシアの動きはNATO, ウクライナ, ロシア, 黒海、USN(9月)

第十位 速報>シリアにロシアが軍用機28機を展開中と判明(9月)

番外 ホルムズ海峡・拿捕事件>商船解放、米海軍護衛体制は解除(5月)


傾向としては中東へのご関心が決して高くないこと、時事ネタにはあまり食指を動かされないということでしょうか。

全体として読者の皆さんのご関心領域が見えてきました。今年の記事は合計311件、今年出稿の記事へのアクセス数は141,417回、昨年までの記事も含めた年間訪問者数は約461千回、開設以来の総訪問者数は2,049千回と2百万の大台に乗りました。

来年もよろしくお願いします。ではよいお年をお迎えください。管理者敬白


★F-35>2015年の納入実績は合計45機に終わる



自画自賛で締めくくりとしたロッキード・マーティンですが未だに第一線に配備可能な機体は一機もない状態が続いています。巨大プロジェクトすぎてつぶせない、と腫れ物に触る状態になっていくのではないですかね。データ融合という機能を早く見たいものです。一方で日本で組み立て作業が始まっていますが国内でこっそりとしか報道されていないのはどういうことなのでしょうか。

Lockheed Martin Delivers 45 F-35s in 2015

By Lara Seligman 3:11 p.m. EST December 21, 2015

Checkered Flag 16-1
(Photo: Senior Airman Solomon Cook / US Air Force)

WASHINGTON —2015年のロッキード・マーティンは米国他各国向けにF-35を合計45機納入し、年間目標を達成した。
  1. 「これまでで最大の機数のF-35を納入したことは当社の事業が軌道に乗り、安定していることの現れです」とロレイン・マーティン(ロッキード・マーティン、F-35事業管理者)が声明文で述べている。「45機納入を達成した政府・産業界のチームワークに謝意を送りたい」
  2. 45機のうちF-35Aは米空軍向け26機、ノルウェー空軍(2機)、イタリア空軍(1機)、F-35Bが米海兵隊向け8機で米海軍向けF-35Cが8機あった。
  3. F-35の年間生産数は昨年比で25%増加していると共同事業管理室がまとめている。同室室長クリス・ボグデン中将はロッキードは更に増産し、今後数年間にわたりペンタゴン向けだけで毎年120機を生産すると発言している。
  4. 増産はさらにつづき、2019年末時点でJPO試算では世界中で493機が第一線に配備されているはずだという。現在は126機。今後四年間でJPOは世界17箇所に同機が配備され、そのうち半数以上が米国外だという。
  5. これまでのロッキードの納入合計は154機だという。
  6. 「機体生産の目標達成は大事な一歩で事業が増産に向かおうとしているあらわれです」とボグデン中将は述べた。「世界各地で事業に関わる数千人もの関係者は今回の目標達成を誇りにしてよい」■