2016年4月5日火曜日

★★F-22生産再開? 第六世代機開発より費用対効果が高いという説明は本当か



言うのは簡単ですが、いったん閉鎖した生産ラインの再開は大変でしょうね。しかし、これが可能なら本当はF-22が欲しかった日本もF-35を買わなくてもよかったはずで、これまでの議論と投資は何だったのかということになりかねません。したがってこの案が陽の目を見ることはないと思いますが、あらためてF-35だけでは効果のある作戦は実施できないことを各方面は認識すべきでしょう。メーカーのロッキードとしてはF-22に相当の自信を持っているということでしょうね。それにしても米国の読者は熱い、かつ厚い(マニアじゃなく専門家が真剣に反応しています)ですね。
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Here’s why the U.S. should restart the F-22 Raptor production line instead of developing a sixth generation fighter



少し手を入れればF-22ラプターは将来の敵戦闘機にも優位性を維持できる。
  1. 第六世代戦闘機の開発を米空軍の最優先事項にしていいのか。ロッキード・マーティンの伝説的なスカンクワークスを率いるロブ・ワイスにいわせればF-22およびF-35を定期改修していけば米側は中国やロシアの第五世代機へ優位を維持できる。
  2. ワイスはDefenseOne.com で現有の米第五世代機は敵側が開発中の機材へも十分優位だとし、F-22やF-35の後継機種は今すぐ必要ないとする。「これまで10年近く解析を続けてきましたが、明らかに第五世代機のF-22およびF-35の性能は優勢で第四世代機よりはるかに性能が高い。新型機を開発するよりもF-22、F-35の近代化を続ける方が効果的です」
  3. ペンタゴンは新型機を開発する代わり「真の意味で画期的な技術や性能の実現」に資金投入し第六世代機に搭載すればよい。第六世代機の開発は10年後に開始しても十分間に合うというのがワイスの意見だ。
  4. ただし米空軍はすでに究極の将来型戦闘機の調達に乗り出しており、ラプター後継機としていわゆる次世代航空優勢戦闘機 Next Generation Air Dominance (NGAD) 構想を打ち出している。
  5. だが新型戦闘機開発に20年以上かかることを考えると、F-22生産ライン再開のほうが費用対効果で優れる。
  6. ラプターを追加調達すればJSFもよりよく性能を発揮できるはずだ。米空軍もF-22のような航空優勢を確実にする戦闘機の支援があってこそF-35が適切に運用できると認めている。
  7. さらにラプター生産の再開で同機の弱点を解消できる。
  8. たとえば推力偏向(TV)機能は必ずしも必要ではない。実施すればステルス性で悪影響が出るからで、敵機撃墜を沈黙のまま実施する設定の同機には不要だ。また有視界距離での交戦ではTVを使って敵機を撃墜しようとすればラプターの運動エネルギーが喪失し脆弱性が増してしまう。
  9. 現在のF-22にヘルメット装着ディスプレイ(HMD)は採用されていないが、AIM-9Xミサイルと併用すればF-22は強力なドッグファイター機になる。HMDでパイロットは同ミサイルの全方位発射性能を活用できる。
  10. F-22の弱点を補強し、生産を再開すれば米空軍に最良の選択だとジェイミー・ハンター(Combat Aircraft Monthly編集長)も同誌の2015年12月号で述べている。ラプターをより強力に仕上げ、生産再開すれば最高の戦闘機になるという。実施すれば初期段階の費用超過と生産遅延の悪影響を回避し、必要な性能を迅速に実現できるとする。■

以下オリジナル記事への読者のコメント(抜粋)
  • F-22の生産再開と改修は良い案に聞こえるが、空軍は実施に向かわないだろう。
  • 同盟国に売却できるね、オーストラリアとカナダが筆頭かな。両国ともF-35じゃなくてF-22が必要だからね。F-35は無理やり買わされた格好だしね。オランダやデンマークもF-16後継機種として本当はF-35じゃなくてF-22が欲しかったんじゃないかな。日本もF-22が欲しくてたまらずついに同機のクローンを作っちゃたね。
  • USAFはF-Xが本命でF-22生産再開は考えないだろうが、大型案件がみんな遅れる傾向があるのでF-Xも予定通りの期日と予算での開発は無理だろうな。
  • たった5分間リサーチすればこの案が実現性ゼロでよくない内容だとわかるはず
  • F-22Aはステルス技術では旧式になっており、エンジン技術やエイビオニクスでも同様だ。(1980年代の技術) 空力性能は優秀だが、強力なVHFレーダーが出現してきたので、不利になりかねない。生産再開のコストと新型機開発費用を比較検証する必要があろう。
  • 比較の必要はない。F-22は当面の間は開発中の機種に対しても優勢を保つ。機体は古くなっても、米軍では最新機種としてあと10年は第一線に配備できる。F-15は40年運用し、スホイやミグ28は30年稼働している。:
F-22で何が問題なのか考えてみたら次の点に絞れた。
1. F-22の性能で誤解がある
2.同機のコストで誤解があるのはJSF支持勢力や報道機関が刷り込んだもの
3..酸素供給問題の真実が無視されており、改修後は全く事故が発生していないことに目をつむっている
4..第四世代機と交信ができないことを報道が取り上げ、問題だとしているが、実は第四世代機にステルス通信能力が欠如しているのであり、F-22の欠陥だと誤って伝わっている。
5. F-22改修で期待できる内容も全くの誤解があり、ステルス型妄評捕捉ポッドを追加搭載してもF-35含むいかなる機体より小さなレーダー断面積となる。
  • 優れた記事だが防衛産業各社はロビー活動で新型戦闘機の予算を確保してしまうのではないか。軍産複合体はしぶとい。
  • 生産再開の場合も新規生産開始と同じ程度の費用がかかる。90年代当時の生産技術はすでに追い越されており、かつ今や利用不可能だろう。
  • だからこそ生産終了の決断がまずかったのだ。-22も改修を前提に設計しえちたはずで、今のような小規模の配備では改修は高費用になってしまう。そこで生産ラインでその内容を盛り込めば一足飛びに有利になれる。またF-35で投入した技術を共有できるはずだ。
  • 日本や英国のような信頼できる同盟国限定で販売すればF-22の生産コストはほどほどの水準になり、米国も十分な機数のF-22を調達すれば防衛が安心になる。
  • F-22ファンには申し訳ないが、同機は米軍にはひどい機材だ。誤解ないようにお願いしたいが、同機は優れた選択肢だ。大きな問題はUSAFは同機にかかりきりになり、結果としてUSNとは別の道を歩んでしまい、米海軍には空母搭載用の航空優勢戦闘機を調達する予算もない。海軍には空母運用を想定して低速度で高性能を発揮できる機材が必要だがUSAFはこれは不要だ。ステルス機の問題は機材の改良発展ができないことで、F-15やF/A-18では機能の追加改良が進んでいる。F-22やF-35の機体に追加装備すればステルス性が犠牲になる。そのため価格超過で運用頻度が低くなる機体を途中でキャンセルしたのは正しい選択だが生産前に取り消しておくべきだった。その分の予算はF-15Eに回しておけばよかった。
  • 記事の出展は同機のメーカーからだろう。軍産複合体の典型だ。
  • F-22とF-35は合わせて2兆ドルほどの費用を食いつぶすぞ。同じ愚者が第六世代機を作るって、冗談はやめてくれ
  • 申し訳ないがUSAはF-22もF-35もこれ以上負担する余裕がないんだよ。どれだけ高給取りの雇用が生まれようが関係ない、F-35の実戦性能もF-22を小規模戦闘に投入するなんて無駄もいいところだ。F-22もタイフーンも冷戦時代の産物で各国空軍が見栄で導入しているに過ぎない。真の働き手はF-15、F-16,F-18でありMig-29、Su-27などだ。
  • F-35の開発が難航しているのでF-22を再度引っ張ってくるしかないだろう。時間の問題でしょう。
  • 75機のF-22追加生産は170億ドルになるはずだが第六世代機を開発すれば200億ドルでは済まない。
  • 75機追加生産で170億ドルですか....でも費用は輸出仕様をオーストラリアや日本へ売れば埋められるのでは。新規生産のF-22には最新のソフトウェアやMMDS、AIM-9Xを搭載し四五年あれば実現するのでは。第六世代機がいくら必要になるかわかりませんが、開発費用だけでF-22の290億ドルを超えるのは確実でしょう。さらに作戦に有効かを比較すれば、一方はすでに完成した機体ですが、他方はまだパワーポイントのプレゼンでしょう。
  • 議論の推移には関心がありますが、反対論は当初の生産終了都と同程度の益のない考えでしょう。この初期決定のため再開すれば190億ドルになってしまうのですよ。


F-35Aのアラスカ配備は2020年に。太平洋方面初のJSF運用基地へ。



Alaska Air Force Base To Get F-35s in 2020

Lara Seligman, Defense News6:16 p.m. EDT April 4, 2016
635953858122129770-12472469-10154691686728776-6993835935645338286-n.jpg(Photo: Airman 1st Class Justin Fuchs/US Air Force)
WASHINGTON — アラスカ州のイールソンEielson空軍基地が太平洋方面でF-35共用打撃戦闘機を運用する初の拠点になると米空軍が本日明らかにした。
  1. 同基地にF-35Aの飛行隊2つが配備され、すでに展開済みのF-16飛行隊に加わると空軍は4月4日に発表。JSF受入れに向けた基地改良工事は2017年に始まり、機体配備は2020年からとなる。
  2. イールソンは米本土外の太平洋方面で初めてのF-35作戦基地となる。空軍は外国基地含め拠点候補を複数検討してきたが、最終的にイールソンに落ち着いた。
  3. 決定に大きく響いたのは同基地が共用太平洋アラスカ演習施設 Joint Pacific Alaska Range Complex (JPARC) (空域面積168,400平方キロ)に近いことだ。
  4. エルメンドーフ-リチャードソン共用基地  Joint Base Elmendorf-Richardson にはF-22が配備されており、F-35の飛行隊二個の追加で空軍の太平洋方面での第五世代戦闘機の陣容は倍増すると空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将も指摘している。
  5. 「第五世代機部隊を海軍・海兵隊の機材、同盟各国のF-35部隊に統合すれば前例のない残存力とともに威力を備えた戦力が厳しい条件の中でも戦闘空域の常用把握をしつつ実現する。太平洋方面の空軍力に画期的な時代がやってくる」とウェルシュは声明で述べている。■

韓国>中古S-3ヴァイキング購入が他国向け販売の口火になると期待するロッキード・マーティン



韓国が導入を考えているのは米海軍が退役させた機体の再就役ですね。電子装備などは交換するとしても過酷な海上任務に長年投入されてきた機体の寿命がどのくらい残っているのかわかりません。安物買いの銭失いにならないことを祈るばかりです。
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FIDAE 2016: South Korea to pave way for further S-3 Viking sales

Gareth Jennings, Santiago - IHS Jane's Navy International
30 March 2016
  
Jamie Hunter

ロッキード・マーティンは韓国向けS-3ヴァイキング対潜哨戒機の売却が成立すれば少なくとも他3か国にも同型機の営業で道が開けると3月30日IHS Jane'sに述べた。
  1. チリのサンチアゴで開催されたFIDAE航空ショーにて同社の哨戒機事業担当役員クレイ・ファーンナウは韓国海軍向け同機売却の承認が数か月以内に下りるとみており、韓国以外にアジアで二か国(うちひとつはヴィエトナムだという)、南アメリカ一か国への売却に道が開くと語っている。
  2. 「他三カ国と商談中です。韓国案件が承認を受ければ、同機販売に弾みがつきます」と語り、同機に関心を示す各国が韓国の商談成立を待っていることを示した。
  3. 米海軍はS-3の運用を2009年に停止しているが、2013年に双発ターボファンの同機へ韓国が関心を示しその存在が再び脚光を集めた。韓国はP-3の補助として20機ほどの導入を検討している。
  4. 韓国国防調達庁(DAPA)は調達五か年計画でS-3を12機海軍へ導入する案を持ち、オプションで8機追加を想定している。。同案は国防省に提出され6月の承認を待つ。原案では韓国国内企業の参画を期待している。想定通りに進展すれば2018年に契約調印、初期作戦能力の確立を2020年と見ている。■


2016年4月4日月曜日

自衛艦三隻がフィリピン寄港中


フィリピン、ヴィエトナムとの防衛協力は目に見える形でここにきて強化されています。今回の自衛艦フィリピン寄港は通常の寄港の形をとっていますが、どんな意味を持ってくるのか注目ですね。中国が神経質な発言をすればそれ自体が抑止効果が出ていることの表れになりますね。例によって護衛艦などという用語はこのブログでは採用していません。念のため。
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Japanese Warships in Philippines Near Disputed Waterway

Agence France-Presse 1:32 p.m. EDT April 3, 2016
PHILIPPINES-JAPAN-US-DEFENCE-DIPLOMACY(Photo: Ted Aljibe/AFP via Getty Images)
SUBIC BAY FREEPORT ZONE, Philippines — 海上自衛隊の駆逐艦2隻と潜水艦一隻が4月3日フィリピンに寄港中。中国が一層強硬な姿勢を示し世界各地で懸念が広がる中、フィリピン政府は日本との連携強化で海上緊張が高まる中で打開策にしようとしている。
  1. 寄港したのは潜水艦おやしおと駆逐艦JSありあけ、JSせとぎりでスービック港に日曜日到着した。スービックは米海軍が運用していた港湾施設で、中国が占拠する環礁部分から200キロしか離れていない。
  2. 各艦は米比共同演習の前日というタイミングで到着している。演習はフィリピンが中国への抑止効果を期待する軍事同盟関係の象徴とフィリピンがとらえるものだ。
  3. 中国と軍事力で大きく劣るフィリピンは同盟国米日に自国の能力向上をこの数年頼っている。
  4. この二月には日本政府はフィリピンへの軍事装備供与で合意しており、対潜哨戒用の機材やレーダーがここに含まれそうだ。
Crew members of Japanese submarine Oyashio, left, work
おやしお乗組員が艦上で作業する中、駆逐艦JSありあけ (109) とせとぎり(156)が元米海軍基地のスービックに寄港している。April 3, 2016. (Photo: Ted Aljibe/AFP via Getty Images)
  1. 世界の原油輸送の三分の一が通過する南シナ海での緊張はここ数か月でさらに高まっているのは中国が環礁を人工島に変える工事を行い、軍事施設への転用を可能にしたことが大きい。
  2. フィリピン以外にヴィエトナム、ブルネイ、マレーシア、台湾が領有権で中国の主張と対立している。日本も東シナ海で無人島を巡り別の問題を抱えている。
  3. フィリピンは国連仲裁裁判所に対して中国の領有権主張が国際法に違犯していると提訴をしており、今年中に裁定が下ると期待している。■

★揚陸部隊編成を急ぐ日本とオーストラリアの運用思想は違うが、中国抑止力効果は共通



Japan, Australia Ramp Up Amphib Forces: Countering China

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on April 01, 2016 at 1:20 PM

WASHINGTON: 米国が太平洋で最も頼りにする同盟国たるオーストラリアと日本でそれぞれ揚陸作戦能力が整備中で、水陸両用車両、V-22、新型艦船を導入している。米海兵隊と比較すればずっと小規模とはいえ両国の部隊は米国を支援して域内の安定を図りつつ中国への抑止力として機能可能だ。ただしそれぞれ制約を乗り越えれば。日本は中国とのハイエンド戦を想定するが、その舞台はあくまでも日本近辺だ。オーストラリアはずっと広い範囲での作戦を想定するが、内容はハイエンドではない。
  1. 日本の軍事力に第二次大戦後初の渡洋運用が加わり、防御固い海浜へ直前上陸し島しょの占拠が可能となる。これだけでも日本帝国主義に辛酸をなめさせられた相手および日本国内の多数派たる平和主義者双方の神経を逆なでしそうだ。
  2. 日本は憲法第九条の解釈を見直し、「集団的自衛」行動を自国領土外でも実施できるようになった。にもかかわらず日本政府は新設揚陸連隊(ゆくゆく旅団規模に拡大する)は日本外延部の島しょ部分が侵略勢力(例 中国)に占拠された場合に実力で奪回するのが唯一の存在目的と説明している。そこで新設部隊をより広い範囲の太平洋で運用するよう二本を説得することが課題で、たとえば軍事的に脆弱なフィリピンの支援が想定される。
  3. 「揚陸部隊はわが国固有の領土の防衛を想定して発足しており、南シナ海は想定外だ」と強調するのは日本大使館付け防衛駐在官山本雅史一等陸佐で、戦略国際研究センター(CSIS)で南太平洋での運用可能性を聞かれて昨日こう答えていた。
  4. オーストラリアの直面する問題はこれと逆だ。同国は揚陸部隊を自国領土外での兵力投射のために整備中だ。1999年の東チモール平和維持活動で部隊派遣と補給活動が思うように維持できず揚陸作戦能力の拡充が必要との認識が政府に生まれた。
Australian MOD photoオーストラリアの揚陸艦キャンベラ
  1. 「率直に言って、当時は驚かされてしまいました」と安全保障問題の審議官を務めたアンドリュー・シアラーはCSISで語っている。「作戦全体はかろうじて維持されていたにすぎません」
  2. その後15年かけてオーストラリアが就役させた2隻のキャンベラ級強襲揚陸艦(各27千トン)は同国最大の海軍艦船でそれぞれ兵員1千名、ヘリコプター8機を搭載し、米海軍のLPD-17サンアントニオ級(25千トン、800名、ヘリ4機)の規模を上回る。これだけの規模の揚陸部隊運用能力を有する国はまれである。
  3. ただオーストリアは揚陸部隊の運用範囲を日本より広く想定しているとはいえ、問題は打撃力が足りないことだ。日本部隊の中核任務は沿海部を強襲し、領土を奪回することだが、オーストラリアではこれは想定外だ。
  4. 「発表されている目標はHADR(人道援助災害救難)、治安回復、不安定な環境と呼ぶ状態での上陸作戦です。ハイエンド能力が想定外とお気づきでしょう。つまり敵の防御を前にした上陸作戦は想定していません」とシアラーは述べた。高度作戦の実施はまだ長期的課題だというのだ。
  5. そうなると日本には自国外での作戦運用を求め、オーストラリアには全面戦に対応する能力の整備が必要だと説得する必要がある。ただし、ともにこれは長期的な課題であり、現時点では両国はまだ整備を開始したばかりだ。
  6. 「日本はオーストラリアより先行している」とシアラーは認めた。その直後に山本一佐は「日本の揚陸能力は整備開始したばかりだ」と述べている。
  7. 両国の揚陸作戦構想は異なるが、両国が訓練を共同実施すれば効果が生まれそうだ。援助物資の輸送、人質救出、敵の待つ海浜への突入など「基本戦術上の技能は共通だ」と山本一佐は指摘。揚陸舟艇の運用や通信手段の確立、車両の維持、隊員の技能向上を艦内でどう実行するか、などだという。
Navy photo西部方面隊の普通科連隊が揚陸作戦訓練に励む
  1. 両国は部隊編成に陸軍隊員を投入し、米国の海兵隊のような別組織は想定していない。(韓国は海兵隊を保有) 特に日本は迅速展開部隊として西部方面隊の陸上普通連隊を島しょ部に展開し、中国が上陸する前から守りを固めているが、この部隊を揚陸部隊に格上げし、中国が占拠した島しょ部の奪回を目指す。二番目の連隊は2018年に編成するが、原隊の所属は不明だ。最終的には揚陸旅団の編成とする。(迅速展開任務には別の部隊を投入する) 揚陸部隊にはV-22オスプレイ17機の他、水陸両用強襲車両52台が装備される。
  2. 揚陸作戦の支援にあたるのが4隻のヘリコプター母艦で、うち二隻は24千トンのいずも級だがオーストラリアのキャンベラ級とは構造が違う。他におおすみ級揚陸艦があるが収容能力は330名にとどまり、三隻投入してやっとキャンベラと同様の輸送能力しか実現できない。したがって日本の揚陸作戦で制約条件は兵員輸送力で、特に遠隔地作戦で何度も往復輸送するのでは役立たない。
The Marine Corps's current Amphibious Assault Vehicle, the 1970s-vintage AAV-7.日本は米海兵隊が運用中の揚陸強襲車両を導入する
  1. そうなれば中国は輸送艦を沈め自衛隊の上陸を阻止すればよい。「日本が危険地帯に近すぎるのが懸念材料」とアンドリュー・クレピネヴィッチは指摘する。本人は最近戦略予算評価センター理事長を退任したが、日本側関係者と多く対話を積んでいる。有事の際に島しょ部の防御を強化して中国を抑え込むことは実施可能だとし、中国漁船や海警の低レベル艦船の撃破は可能だが、いったん中国正規軍が交戦許可を得れば「一気に開戦となり日本には島しょ部の補強はきわめて困難となり、奪回は難しくなる」と発言。
  2. 日本の島しょ部の防衛策で優れた選択肢は長距離ミサイルだとクレピネヴィッチは指摘した。対空、対艦、あるいは中国軍が島しょ部に残っていれば対地ミサイルを使えばよいという。日本とオーストラリアの揚陸部隊は機動予備部隊として温存し、軍事的に脆弱なフィリピンのような同盟国を守ればよい。
  3. 前回に日本軍がフィリピンへ上陸したのは占拠のためだったので、このつらい記憶は両国にとって共通の中国対抗策とはいえ防衛協力を進める際に抵抗となるかもしれない。■


2016年4月3日日曜日

米空軍>ISIS空爆で大量消費した爆弾類の補充生産へ


空爆のピッチが相当の規模になっていることがうかがわれます。米軍は同盟国側に爆弾等を「リース」して要るとのことですが、そういえば過日スーダンの韓国軍へわが自衛隊が貸し出した弾薬類は帰ってきたのでしょうかね
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Air Force Moves to Replenish Bomb Stockpile Drained by ISIS Fight

POSTED BY: BRYANT JORDAN MARCH 25, 2016

A dozen 2,000-pound joint direct attack munitions sit inside a warehouse at Al Udeid Air Base, Qatar, Dec. 17. The bombs were built by hand by airmen from the 379th Expeditionary Maintenance Squadron’s Munitions Flight. The Munitions Flight has built nearly 4,000 bombs since July 2015. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. James Hodgman/Released)
2000ポンドの共用直接攻撃弾が並ぶカタールのアル・ウデイド空軍基地。昨年12月17日撮影。379遠征保守管理隊隊員が手作業で爆弾を組み立ている。同隊は2015年7月から4,000発近くを組み立てている (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. James Hodgman/Released)

空軍がISIS戦の空爆作戦による消費でミサイル爆弾類不足に苦しんでいるとの報道に対し空軍が事態は深刻ではないと反論している。
  1. 「作戦実施に必要な補給品で問題があるとは認識していない」とジェイ・レイモンド中将(参謀次長、作戦担当)が報道陣に語っている。「だが追加補給で将来の作戦実施に支障が生じないよう手を打っている」
  2. 昨年12月にレイモンドの上司参謀総長マーク・ウェルシュ大将がISIS空爆作戦でAGM-114ヘルファイヤーミサイルの在庫が減っていると発言して耳目を集めた。ヘルファイヤーは無人機が搭載しており、GPS誘導方式のJDAM共用直接攻撃弾も同様に補充が必要とのことだった。
  3. ISISを狙う空爆に米空軍が投下したミサイル爆弾類は延べ2万発を超えている。特にこの数か月で消費は増大しているといわれるが、スマート爆弾は142千発、ヘルファイヤーは2千3百発まだ在庫があるともいう。
  4. 「空爆回数だけで作戦規模を見るのはいかがなものか。空と陸上の作戦であり、空爆回数は増減する。月間の弾薬類消費が減っているのはラマディ奪還に成功したことが大きいしその他シリアやイラク北部でも状況が好転しているためだ。ということで空爆回数だけで判断しないでいただきたい」とレイモンド中将は述べた。
  5. 米軍は同時に有志連合軍の各国にもミサイル爆弾類を提供しており、将来米軍には同数の弾薬が戻ってくるやり方だとレイモンド中将は説明している。
  6. イラクで空爆に参加している有志連合国にはオーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、英国、ヨルダン、オランダがある。シリアでの作戦にはバーレーン、サウジアラビア、トルコ、アラブ首長国連邦が参戦している。
  7. レイモンド中将は空軍が追加発注する弾薬類の種類に言及せず、またどのメーカーに連絡しているかも明らかにしなかった。該当メーカー各社は「製造量を引き上げている」とだけ述べた。
  8. 該当メーカーとはレイセオン(マサチューセッツ州ウォルタム)およびロッキード・マーティン(メリーランド州べセスダ)だ。
  9. ISIS空爆作戦が2014年に開始されてからの空爆はおよそ87千ソーティー以上となっており、このうち過半数は米空軍が実施している。レイモンド中将は回数では11千回で米軍が三分の二を実施していると明らかにした。このところ空軍は連日25回の戦闘ミッションを実施中。■

2016年4月2日土曜日

★KC-46のテストで生産遅延につながりかねない問題が見つかる


KC-46はこれまでも開発が遅れており、契約を定額方式にしているため余分にかかるコストは全部ボーイングが負担しているはずです。今回の事案でさらに本生産移行が遅れれば一層の追加コストになるでしょうね。その場合、唯一米国以外で同機を調達する方針の日本が高い買い物をさせられることになるのではないでしょうか。今後も注視していく必要がありそうですね。
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Air Force: Boeing Tanker Issue Could Delay Production Decision

Lara Seligman, Defense News 12:08 p.m. EDT April 1, 2016
KC-46A AV8B Milestone C(Photo: John D. Parker/Boeing)
WASHINGTON —ボーイングのKC-46給油機が米空軍C-17への空中給油テストで燃料を移送できなくなる事態が発生し、生産開始が遅れるかもしれないと空軍は見ている。
  1. 給油ブームの軸荷重が想定より大きくなったためC-17へ燃料移送ができなくなったと空軍報道官ダリル・メイヤーが4月1日に発表した。ブームは伸縮式の硬式構造で操作員が伸ばして受け取り機についている給油口に差し込むもので空軍機材で広く使われている方式。
  2. ボーイングはすでに対策に取り組んでいるとメイヤーは述べた。ただし、米空軍はこれで5月に予定していた生産開始の決定「マイルストーンC」にどんな影響が出るか見極めたいとしている。
  3. 「マイルストーンC決定にどんな影響が出るか不明だが、問題はすでに把握済みで、大幅遅延になるとは思っていない」(マイヤー)
  4. すでにKC-46はF-16への給油に成功しているとマイヤーは述べている。また海軍のF/A-18と海兵隊のハリヤーでも成功している。この二機種にはホースアンドドローグ方式で対応したとマイヤーは説明。
  5. ボーイング広報のウィリアム・バークスデイルは改修の所要コストについて言及を避けたが、同社は「真剣に取り組んでいる」と以下述べた。
  6. 「当社は今回のような問題が開発期間中のテストで見つかること予測しており、ブームの反応を改良した場合のシステム変更を検討中だ。今後数週間で事業への影響がよりよく把握できると期待する。フライトテストは今後も淡々と進め、機体生産につなげ、空軍の期待に完全に答えていきたい」
  7. 空軍はKC-46を179機調達する予定で、旧式化が目立つ現有給油機と交代させる。KC-46の特徴はブーム方式とホースアンドドローグ方式を自由に切り替えてより多くの機材に迅速に給油を行うことができる。
  8. ボーイングは2017年8月までに完成形KC-46を18機納入する準備に入っている。■

2016年4月1日金曜日

★武居海上幕僚長に聞く Defense News インタビュー



どうして我が国の海軍部隊トップ本人の見解を米メディアを通じてしか知ることができないのかはなはだ疑問に思います。例によって国内向けには護衛艦としているところは駆逐艦と訳出していますのであしからず。

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Interview: Adm. Tomohisa Takei, Chief of Staff, Japanese Maritime Self-Defense Force
Christopher P. Cavas, Defense News9:43 a.m. EDT March 30, 2016

TAKEI, T Chief of Staff Japan JMSDF(Photo: Christopher P. Cavas/Staff)

日本は過去の教訓を心に軍事抑止力の行使に徹し、米軍を大々的に支援しながら軍事強硬策に訴えることを回避してきた。だが中国が尖閣諸島で、北朝鮮が絶えず神経を逆なでし、ロシアが再び自信をつけるなど近隣諸国からの危険が増大する中で日本の軍事力は明らかに警戒度を上げている。
特に海軍力の近代化は一貫して続いている。海上自衛隊(JMSDF)は24千トンの新型ヘリコプター搭載駆逐艦二隻を投入し、イージス弾道ミサイル防衛部隊の整備を続けている。そうりゅう級潜水艦には高性能の推進方式が搭載されて毎年一隻が建造されており、川崎重工のP-1は海上哨戒任務で旧式化してきたP-3Cオライオンに交代しつつある。
Defense Newsは海上幕僚長武居海将に2月に東京の防衛省で取材した。海将は一部英語で、その他は通訳者を介して話してくれた。
米海軍との関係をどう表現するか?
米海軍特に第七艦隊と海上自衛隊の関係は日米同盟の要であり、アジア太平洋地区の平和と安定の要でもある。米海軍と海上自衛隊の良好な関係が今後の海洋協力が今後の米国-日本-オーストラリア関係や米-日-印あるいは米-日-韓関係でも基礎となる。
そこで米海軍との関係を維持強化することが望ましい。昨年4月に日米間で防衛協力の合意内容が改正され、平時の協力関係ならびに抑止能力の向上が決まった。米軍との協力には米海兵隊も含むが海軍が中心で、日米同盟の中核として日本にはどうしても必要な要素で、これがあってこそ平和と安定がこの地域で実現する。JMSDFと米海軍の密接な協力関係は60年をかけて形成されてきた。
中国がこれまでより強圧的になっており、防空識別圏の設定や国際公海で人工島を形成している。中国の行動をどう見ているのか。
まず日中関係は日本の安全保障上も極めて重要な懸念となっている。中国は域内での大国であり域内の安全安定に責任を有している。中国のシーパワーは海上航行の安全に貢献できるはずで、中国はすでにアデン湾で重要な役割を演じているほか、地中海で重大な役割を果たしている。
一方で中国は軍事力を増強しており、海上あるいは空で東シナ海、南シナ海のように活動を活発化させている。これが近隣諸国の懸念になっている。そこで中国との関係は日本だけでなく域内の海上通行の安全保障の観点でみるべきだ。中国との防衛交換の継続は重要で、中国軍の透明性を引き上げ、想定外の事態の発生を回避予防する努力を続けなければならない。
中国は定期的に訪問しているのか。中国海軍司令官常勝利提督は訪日しているのか
この五年間は中国との防衛交流は行っていない。
常提督に会ったことがあるのか
会っている。東京で二回、北京でも2008年、2009年の防衛交換の席上で会った。それ以降は高レベルの人員交流は行っていない。
日本が行おうとしたのか、中国がしようとしたのか。
この問題はそれぞれの政府が決定する事項であり、独自に当方が決めることではない。
中国は沿岸警備隊を大幅に増強し、日本の海上保安庁は尖閣方面で中国側艦船に定例的に遭遇している。船体が白い警備艦が灰色の海軍艦艇に代わることが多い。海上自衛隊と海上保安庁の関係はどうなっているのか。
海上保安庁の任務は日本の領海内を巡視することにある。これに対し海上自衛隊はもし保安庁が対応できない場合にはこれを支援することが役目だ。海自と保安庁は協力しており、すべての点で連絡しあっている。海上保安庁のトップは同級生であり、ホットラインで連絡できる体制にある。
北の隣国ロシアは挑発行動に出ているのか。関係はどうなっているのか。
ロシアの戦闘能力は極東では海軍含めかつての全盛時より大幅縮小されている。とはいえ今でも大規模な戦闘能力があり、核兵器もある。ここ数年は軍の改革に取り掛かっており、各軍の統合運用も向上している。またジェット爆撃機が我が国領土付近を飛行しており、あらゆる点で軍事能力を向上させている。このためロシアの動向や活動には神経を払う必要がある。
だが同時にロシアは日本の安全保障に大きな影響を与え、重要なパートナーになるので、日本は引き続き防衛交流を続けていく必要がある。例として日本はロシア海軍と捜索救難演習SAREXを実施している。両国の意思疎通を維持するうえでこの演習は重要だ。
北朝鮮が日本の安定と平和にとって最大の脅威なのか。
大変良い質問だ。北朝鮮は国連安全保障理事会決議を拒絶し核実験とミサイル開発を続けている。これは北東アジア各国に深刻な脅威だ。北朝鮮は大量破壊兵器の拡散に関係している可能性がある。状況は深刻さをましており、この地域だけでなく世界全体でも脅威に写っている
この脅威に対応すべく、日本は米軍と密接な協力体制を維持している。直近の北朝鮮による核実験の際もイージス弾道ミサイル防衛(BMD)駆逐艦の投入を準備していた。韓国とは情報交換を改善、向上して一層効果的な対応ができるようにしたい。
イージスBMD艦は今後も拡充していくのか
する。現在イージス駆逐艦6隻があり、2隻をベイスライン9仕様で追加要求中だ。5年たつとBMD対応イージス艦が8隻になる。
イージスアショアには関心がないのか
陸上配備BMD装備は日本にとって検討課題だが海自はまずイージス駆逐艦の隻数を増やすことに集中する。
海自の戦力増強が続いている。いずも、かがの新型ヘリコプター搭載駆逐艦は偉容ある艦だ。その後に建造する艦の想定があるのか
かが、いずも級駆逐艦は艦体の大きさと形状のため航空運用能力も含め注目されがちだ。だが各艦の本当の作戦概念は違う。統合運用を基本にHADR(人道援助災害援助)のような活動を平時および緊急時に想定している。このため両艦には充実した医療設備がついている。二年前にかがよりやや小型のいせを大型台風の被害を受けたフィリピンに派遣しHADR活動に投入した。近い将来にかがも重要な任務に投入されるだろう。日本が軍事力を拡大しているように思われるかもしれないが、このことから海自が日本のみならず域内の海上安全保障環境に適合した形で整備をすすめていることがわかるはずだ。
同様のことが航空機についてもいえる。P-3C哨戒機はアデン湾周辺で海賊対策に投入されており、その活動実績の充実ぶりが他国から高く評価されている。P-1が後継機だが、世界各地で同様に重要な任務に投入されるだろう。
日本は本当の空母は建造しないのか
しない。
海賊対策で日本がインド洋西部で護衛部隊を派遣中とのことだが、その際に新作戦概念を試したり、乗組員や艦に経験を積ませたり、外洋での作戦を維持する機会に活用しているのではないか。それとも単に淡々と任務をこなしているだけなのか
インド太平洋は日本の平和と安全のため極めて重要な水域であり、2001年9月11日以降、日本は補給艦と駆逐艦を9年間継続して配備している。ソマリア沖のアデン湾にはこれとは別に海賊対策部隊を派遣している。これは日本政府が示すアジア太平洋地区での平和と安定への貢献という方向を象徴する存在だ。
派遣任務から学んだことは何か。数千マイルかなたの地点で艦船に補給を行い、定期的に交代させることは簡単に実施してきたのだろうか
海自はその出生から帝国海軍の伝統を引き継いでいる。外洋海軍たることも帝国海軍の伝統の一部だ。帝国海軍のDNAは生きている。
米海軍は航行の自由(FON)作戦を南シナ海他で実施中だ。ここに参加を求められている国もあると思うが現実にはまだ実現しいない。日本は将来はFONで米国に加わるのだろうか。
日本政府は米海軍による航行の自由作戦を支持するが日本の参加予定はない。しかしながら南シナ海と太平洋西部が開かれた海として安定していることは日本の国益にも関連する。日本政府は海のプレゼンスを維持する意向を持っており、関係各国との共同演習の実施で南シナ海を安全な通行路として使えるよう維持する。政府による指示の一つとしてますますこの重要性が増している。
By Christopher P. Cavas in Tokyo.



南シナ海>ウッデイ島へ対艦巡航ミサイルを配備し多のを正当化する中国



China Defends Deployment of Anti-Ship Missiles to South China Sea Island

March 30, 2016 6:37 PMUpdated: March 31, 2016 7:08 AM

A People's Liberation Army Y-62 missile launch on Woody Island that circulated on the Chinese language Internet last week via aviation site Alert5.
人民解放軍のY-62ミサイルがウッディ島から発射されたと中国語インターネットサイトAlert 5が先週伝えている

中国外務省は30日付の声明で南シナ海ウッディ島への対艦巡航ミサイル配備を正当化している。

  1. 「中国が防衛装備を自国領土内に配備するのは正当かつ妥当な行為」と外務省報道官洪磊は述べている。「いわゆる軍事化とは無関係だ」
  2. 複数西側報道機関が先週に中国がYJ-62巡航ミサイルをウッディ島から発射したとの中国インターネット記事を紹介していた。
  3. ウッディ島はヴィエトナム沖のパラセル諸島の一部で中国が1970年代から実効支配している。ここ数か月のうちに中国はこれまでより強力な軍事装備を搬入している。
  4. 2月には中国がHQ-9対空ミサイル部隊をウッディ島に配備したとの報道が入ってきた。米軍が航行の自由作戦(FON op)を付近のトライトン島で実施した直後のことだ。
  5. 今度は中国外務省が西沙諸島(パラセル諸島の中国名称)に軍事装備持ち込みを認め、自衛用のミサイルであり、主権の一部だと主張しているわけだ。
  6. 中国の動きを注視する専門家には今回のミサイル搬入は特に大きな驚きを呼んでいない。
  7. 「HQ-9配備の際はウッディ島への強力な装備で初の持ち込みで注目を集めたが、YJ-62は二番目で対艦攻撃能力は対空用HQ-9を補完する意味を持つ」とクリス・カールソン退役米海軍大佐・海軍関係アナリストはUSNI Newsに解説している。
  8. 開戦となれば、各島の固定装備はミサイルの格好の標的になるが、平時には近隣国や米軍作戦へにらみを効かせる効果があるとブライアン・クラーク(戦略予算評価センターCSBAの海軍アナリスト)はUSNI Newsに解説している。
  9. 「有事には各島の防御は困難だが平時には米軍作戦を制約する効果を生み、開戦となれば米軍部隊への奇襲攻撃が可能だろう」「もし米軍が(フィリピンの)パラワンに同様の装備を配備すれば、中国軍の作戦に同じ効果を加えることができる」
  10. そこでフィリピンに近いスプラトリー諸島の人工島へも攻撃兵器を配備するのではとの懸念がある。
  11. 「パラセル諸島はスプラトリーでの動きの予兆になりそうだ。中国政府はメッセージを送っているつもりで米政府が無視すればスプラトリーに装備を展開『せざるを得なくなる』というのだろう」とアンドリュー・エリクソン米海軍大学校中国海事研究所教授はUSNI Newsに30日語っている。
  12. これまで一年半にわたり中国はスプラトリー諸島の埋め立て工事を活発に行っており、軍用装備の配備が可能な施設の建設が進んでいる。■