2017年6月4日日曜日

ISIS「首都」の攻略作戦はまもなく開始される模様


ISIS作戦が順調に進展しているようでそれはそれでいいのですが、この勢力はむしろ地下に潜り脆弱な周辺国の治安を脅かすのではないでしょうか。まるで無法集団のようですが、それこそ自称イスラム国の本質であり、イスラム教を冒とくしているといわれれば何も反論できないでしょう。二度と立ち上がれないように徹底的に粉砕すべきですが、テロとの戦いはこれからも続くでしょう。

 

syriaAFP

PENTAGON OFFICIAL: The assault on the ISIS capital will 'begin in the coming days' ペンタゴン関係者:ISIS首都強襲作戦は「数日以内に開始」


長く待ち望まれていた米支援のシリア勢力によるイスラム国の首都ラッカ解放作戦の開始が数日以内に近づいてきたとペンタゴン関係者がワシントン・エクザミナーに伝えている。
  1. 関係者は匿名を条件に「連中はラッカで全滅する。数日以内に強襲作戦が始まるのではないか」と語った。
  2. ペンタゴンは作戦開始日を公式に発表していないものの、部隊はすべて位置についており、シリア民主軍SDFの手に小火器が渡されており、一般市民はラッカから退去し攻撃に巻き込まれないよう告知されている。
  3. 「SDFはラッカ周囲を包囲しており、北と東方面から各3キロ、西から10キロ地点に位置している」とバグダッドで米軍報道官ライアン・ディロン大佐は述べている。
  4. 「シリア民主軍にはラッカ市民をまず退避させるよう命令が出ている」とディロン大佐は報道陣に伝えた。200千名もの住民がすでに市街に脱出し、難民キャンプ等に避難している。
  5. 米側はシリア武装勢力に小火器、弾薬の配給も始めたが、対戦車砲は非対象だ。
  6. ディロン大佐によれば武器配布は慎重に行われており、攻撃対象に応じた装備に限定している。シリア勢力に渡した装備類のリストはトルコも共有しており、NATO加盟国のトルコは米側がクルド陣勢力に武装装備を渡したことに神経を尖らせている。クルド人はトルコではテロリスト扱いだ。
  7. 米主導の連合軍はここにきて空爆も強めており、ISIS戦闘員の拠点を対象にその他建設装備、火砲、指揮命令拠点を対象に60回近く攻撃しているとディロン大佐は述べている。
  8. モスルに残るISIS戦闘員は1,000名を切っており、占拠しているのは6平方マイルほどになっているが、包囲されており脱出経路はない。
  9. 同市中心部には一般市民80千から150千名が閉じ込められており、イラク軍は熾烈な市街戦を覚悟しているようだ。
  10. モスル市民には自動車や二輪車の運転を差し控えるよう告げられている。自動車爆弾犯と間違えられない工夫で、ISISはこの戦術をもっぱら使っている。■
Read the original article on Washington Examiner. Copyright 2017. Follow Washington Examiner on Twitter. 

2017年6月3日土曜日

★航自パイロット2名がルーク基地F-35養成課程を修了!




以下米空軍第944戦闘機隊のホームページ記事からの紹介です。航空自衛隊ということばも米空軍では親しみを持って発音されている様子がうかがえます。
Members from the 944th Operations Group Detachment 2 “Ninjas” and Japan Air Self-Defense Force, pose for a photo May 18 after the graduating JASDF F-35 pilot’s final flight here at Luke Air Force Base, Ariz. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Louis Vega Jr.)

Members from the 944th Operations Group Detachment 2 “Ninjas” and Japan Air Self-Defense Force, pose for a photo May 18 after the graduating JASDF F-35 pilot’s final flight here at Luke Air Force Base, Ariz. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Louis Vega Jr.)

 

JASDF pilots graduate Luke’s F-35 program

By Tech. Sgt. Louis Vega Jr., 944th Fighter Wing Public Affairs / Published May 31, 2017

LUKE AIR FORCE BASE, Ariz. -- 5月20日、当基地で航空自衛隊パイロット二名が養成課程を修了し日本初のF-35パイロットとなった。

  1. 航空自衛隊、944戦闘機隊、ロッキード・マーティンが協力して今回の結果達成が実現した。
  2. 「チームとしてゼロからここまで細かく作り上げた。今回のパイロット2名が当地で学んだことを持ち帰り、日本での導入を効果的に進めるよう祈念する」と944FW司令官カート・ガレゴス大佐が祝辞を述べた。
  3. パイロット二名は日本初のF-35A部隊に配属され防衛能力の増強の一助となる。
  4. 養成課程は約7か月で詳しい座学の他、シミュレーター訓練でF-35の細部に詳しくなってから実機操縦に入り空対空戦、対地攻撃も経験した。
  5. 修了式は簡素に944作戦群第二分遣隊が執り行った。
  6. 「航空自衛隊初のF-35パイロットが課程修了したのは日本のF-35運用で大きな一歩だ。当第二分遣隊「ニンジャズ」にも同様に意義深い」と944FW Det.2指揮官ショーン・ホラハン中佐が述べている。「養成課程の立ち上げにはすべての面で集中し、座学、機体整備、飛行運用まですべてを網羅した。その結果、本日航空自衛隊パイロット2名が課程を修了し、人口126百万人の同国初の第五世代戦闘機操縦パイロットになった。誇りをもって両名を友と呼びたい」
  7. 課程修了は予定より二週間早まった。優秀な整備により教官パイロットが訓練を順調に進められたためだ。
  8. 944FWは今後三組の航空自衛隊F-35パイロットを養成する。海外軍事販売事業FMSではF-35整備員の養成もロッキード・マーティン協力により実施する。
  9. 「世界規模の戦略的意義を兼ね備えた事業に参画出来て名誉に思う。来年にも引き続き航空自衛隊パイロット養成をし、その後韓国の友人を迎える」(ホラハン中佐)
  10. ルーク基地には6個飛行隊144機のF-35が配備される予定でFMSによるパイロット養成を日本以外にイスラエル、韓国さらに共同開発国のオーストラリア、イタリア、ノルウェー、トルコ、オランダ、デンマーク、カナダ向けに行う。■

歴史のIF(3)冷戦初期の米空軍はソ連をこのように核攻撃するつもりだった


歴史のIF(3)です。まだICBMが戦力になっていなかった1950年代-1960年代初頭は有人爆撃機が飛び回るという構想だったのでしょう。米空軍も被害は覚悟でソ連空軍力をまず除去するつもりだったようですね。ただし放射性降下物の被害などは考慮外だったらしく壮大な破壊絵図を想定していたはずです。

This Was America's Secret Cold War Strategy to Nuke Russia Back to the Stone Age 冷戦時の核戦争計画はロシアを石器時代に戻す構想だった


May 30, 2017

  1. 冷戦が核戦争になっていたら米国とソ連両国は完全に廃墟になっていたはずだ。
  2. ロシアのどの都市が破壊対象だったのか、その理由がわかってきた。米政府が1950年代の戦略空軍(SAC)による目標リストを開示しており、それによると米国には爆撃機、ミサイルで共産圏全般を核攻撃する意図があったのがわかる。
  3. 「SACはソ連圏で東ドイツから中国まで都市1,200か所を目標とし、優先順位も決めていた」とNGO団体国家安全保障アーカイブが解説している。同団体は機密解除文書の開示を請求した。「モスクワ、レニングラードが優先目標第一位第二位だった。モスクワには179か所の指定爆撃地点(DGZ)があり、レニングラードは145か所で、「人口密集地」の標的も含まれていた」
  4. ただし攻撃案は過剰爆撃や恐怖をあおる爆撃ではなかった。少なくとも理論上は。核の狂気の裏には一定の方法論があった。SACの設定した優先順位はソ連空軍力の破壊が第一で、ソ連爆撃機(ICBMがまだ未整備の1960年代のこと)が米本土、欧州の攻撃に出撃できなくする狙いがあった。空軍基地1,100か所が優先攻撃目標となり、Tu-16爆撃機基地が最上位だった。ソ連空軍力を破壊した後はソ連産業基盤が次の攻撃目標だった。
  5. また一般国民も標的だった。SAC標的リストでは1956年版でまた1959年度核兵器攻撃案で意図的に人口密集地を入れている。
  6. SAC戦争案では「系統だった破壊をソ連圏の大都市工業地帯に想定し、北京、モスクワ、レニングラード、東ベルリン、ワルシャワを筆頭に都市圏を狙うとしていた」と同団体研究員が解説している。「意図的に大都市圏を標的にすることは今日の国際規範に合わない」
  7. 文書は800ページにわたり標的リストをABC順に乗せている。SAC立案部門は1959年にB-52、B-47合計2,130機を動員するほか、RB-47偵察機、F-101戦闘機を援護に充てる想定だった。さらに核弾頭付きの巡航ミサイル、爆撃機発射ミサイルが376発あり、一部だが初期の大陸間弾道ミサイルもあった。1959年ではミサイルの命中率は有人爆撃機より劣るとし(ICBMが開発中のため)、あくまでも爆撃機が攻撃の中心だった。
  8. SACはソ連空軍力を早期に排除する方針で水爆投下は空中ではなく地上で爆発させていただろう。空中爆発の方が熱、放射線の被害は大きくなるが、最大限の爆発効果でソ連空軍の壊滅が重要とされた。その場合、予想外の副次効果は避けられなかったはずだ。「地上爆発で生じる放射線効果や降下物で友軍や同盟国にも影響が及ぶため反対する意見も考慮されたものの、空軍力による勝利を求める動きがすべてに優先していた」とSAC自身が研究内容で認めている。
  9. ただしSACはソ連空軍力を極めて広範囲にとらえており、指揮命令所の他産業中心地もソ連空軍作戦を支えるとして含めていた。そのため軍事司令部、航空機ミサイル工場、核兵器研究所や石油精製所がすべて網羅されていた。
  10. 核時代の空軍力とはいえSAC戦略は第二次大戦中のドイツ、日本爆撃作戦に通じるものがあった。ソ連空軍や関連産業施設の攻撃構想はB-17やB-29の作戦同様で、当時のSAC上層部は戦中の関係者が多く、司令官カーティス・リメイもその一人だった)長期戦を覚悟する傾向が見られ、まるでソ連は初期攻撃を受けても爆撃機、核兵器の生産を大量に続けけられると見ているようだった。ミサイルがあまりにも信頼性が低く、頼れるのは有人爆撃機機だけとの考え方はあたかも今日の無人機対有人機論争を思い起こさせる。
  11. SAC攻撃構想は道理にかなっていたのだろうか。答えを知る必要が生まれなかったのは人類全体にとって幸運なことと言わざるを得ない。■
Michael Peck, a frequent contributor to the National Interest, is a defense and historical writer based in Oregon. His work has appeared in Foreign Policy, WarIsBoring and many other fine publications. He can be found on Twitter and Facebook.
This first appeared in December 2015.

2017年6月2日金曜日

5月31日、新型空母フォードを米海軍が受領


米海軍としてはやれやれというところでしょう。発電容量を大幅増加させているのは将来のレーザー等新兵器を見越しているのでしょう。フォード級は三隻の予定ですが、途中でニミッツ級と交代していきます。なお、三号艦はエンタープライズとなります。

Sailors man the rails as the Gerald R. Ford returns to Norfolk on April 14, 2017, after conducting builder’s sea trials. The first-of-class ship is the first new U.S. aircraft carrier design in 40 years. Mass Communication 3rd Class Matthew R. Fairchild/NavySailors man the rails as the Gerald R. Ford returns to Norfolk on April 14, 2017, after conducting builder’s sea trials. The first-of-class ship is the first new U.S. aircraft carrier design in 40 years. Mass Communication 3rd Class Matthew R. Fairchild/Navy

At Long Last, Supercarrier Gerald R. Ford Delivered to the Navy ついにスーパー空母ジェラルド・R・フォードが海軍に引き渡された

POSTED BY: HOPE HODGE SECK JUNE 1, 2017


  1. 建造に8年かかり、三隻建造する新型空母の一番艦が海軍に引き渡された。ジェラルド・R・フォードがハンティントン・インガルス工業から5月31日夜に納入され、今年夏の就航に一歩近づいた。
  2. 「大きな意味のある夜になった。ジェラルド・フォードにはほぼ10年間かかりきりだったので」とトム・ムーア中将(海軍海上システムズ本部司令官)が戦略国際研究所に集まった聴衆に6月1日に語っている。「受領前公試は大変うまく行った。海軍は昨夜フォードを受領した」
  3. フォードはニミッツ級10隻に続く新型空母でニミッツ級最終艦ジョージ・H・W・ブッシュは2009年に就航していた。フォード級はニミッツ級とほぼ同じ大きさだが、小型艦橋、エレベーター数削減などの工夫で搭載機数が増えている。
  4. 新技術も数々導入されており、電磁式航空機発進システムEMALSや高性能拘束ギアがテストの遅れや予算超過で話題となっていた。
  5. フォードは2014年引き渡しの当初予定が2016年に変更されていた。だがその後さらに日程は先送りされたのはテストの遅れとともにペンタゴンの兵器試験部門が新技術の成熟度が低いと懸念を表明したためだ。
  6. 新技術でとくにEMALSカタパルトが再びニュースの話題になったのはドナルド・トランプ大統領がTime誌インタビューで新技術は高価格すぎかつうまく作動しないので旧式装備に戻すべきと発言したためだ。
  7. 海軍関係者は二号艦以降で電磁式を蒸気式に戻す予定はないと発言しているが、退任近づく海軍長官レイ・メイバスは昨年末に新技術導入を急ぎすぎたと報道陣に語っていた。「新技術の搭載はもっと時間をかけるべきだった。もともとは当時の国防長官ドナルド・ラムズフェルドが2002年に下した決定だ。この新技術は三隻の新型空母に搭載されるが実効性は未証明のままだった」
  8. 「フォードが艦隊編入されれば威力を証明するはず。しかし如何せん時間がかかりすぎたのは全く新規の技術だからで一番艦に搭載すべきではなかった」(メイバス長官)
  9. このため建造費用が105億ドルから130億ドルに急増している。だがフォード級は艦隊に新戦力となる。
  10. 海軍関係者によればフォードは航空機発艦回数を三分の一増加させ艦内の発電容量は三倍に増えるという。
  11. 海軍は原子炉を50年間燃料交換不要にするつもりだったがこの技術の費用が高すぎるとわかったとムーア中将は明らかにした。それでもフォードは次回燃料交換は2040年まで不要となるという。
  12. 正式就役前に、フォードは来月「試運転」して乗員の習熟度を上げる。さらに入港時に海軍は追加作業を仕上げながら不具合点をつぶす。フォードは2020年に作戦可能となる。
  13. 二号艦ジョン・F・ケネディは建造が最終段階にあり、2020年に引き渡し予定だ。■

以下は米海軍による公式発表です
WASHINGTON (NNS) -- The Navy accepted delivery of the future USS Gerald R. Ford (CVN 78) aircraft carrier in Newport News, Virginia, May 31.

Delivery followed the ship's successful completion of acceptance trials May 26.

"Congratulations to everyone who has helped bring CVN 78 to this historic milestone," said Rear Adm. Brian Antonio, program executive officer for aircraft carriers. "Over the last several years, thousands of people have had a hand in delivering Ford to the Navy -- designing, building and testing the Navy's newest, most capable, most advanced warship. Without a doubt, we would not be here without the hard work and dedication of those from the program office, our engineering teams and those who performed and oversaw construction of this incredible warship. It is because of them that Ford performed so well during acceptance trials, as noted by the Navy's Board of Inspection and Survey."

"Well done to our shipbuilding partners, Ford's crew and everyone who supported them," said Vice Adm. Tom Moore, commander, Naval Sea Systems Command, who also embarked for acceptance trials.

Ford is the lead ship of its class and the first new-design aircraft carrier delivered to the Navy since USS Nimitz (CVN 68) in 1975. It is also the first aircraft carrier to join the fleet since USS George H. W. Bush (CVN 77) delivered in 2009. The future USS Gerald R. Ford honors the 38th president of the United States and pays tribute to his lifetime of service to the nation in the Navy and in the U.S. government.

The next generation of aircraft carrier, the Gerald R. Ford class delivers unprecedented flexibility to the fleet. Due to a larger flight deck, the ability to host more aircraft, additional weapons and aviation fuel storage, and the Electromagnetic Aircraft Launch System and Advanced Arresting Gear, Ford will be able to increase sortie rates by one-third when compared to the Nimitz class. Further, the Navy's newest aircraft carrier generates three times the amount of electricity as previous classes and is designed to rapidly add capabilities as new systems become available over the course of its projected 50-year service life.

Ford will be commissioned into the fleet this summer, formally placing the ship into active service. Following this, there will be a "shakedown" period where the ship will conduct several at-sea events to provide longer underway periods for the ship's crew to operate and train on ship's systems. In addition, planned deferred work will be performed, and any deficiencies identified during trials will be addressed during in-port periods.

Ford is expected to be operational in 2020 following achievement of initial operational capability.



For more news from Naval Sea Systems Command, visit www.navy.mil/local/navsea/.

★どうなるA-10の行方、大幅改修か、新型機投入か



米空軍は近い将来は第二次大戦後一貫して米空軍が享受してきた航空優勢は確保できない想定のようです。しかしCAS機材に航空優勢任務まで期待できないので、結局任務に特化した機材を複数準備するしかないのですね。この点で単一機能しか果たせない機種は整理するとした以前の空軍の考え方は根本的に間違っていることになります。(ただしA-10退役案は本心ではなかったと今頃になって弁明しているようですが) A-29などターボプロップ機はOA-Xという別のCAS構想なのでA-10とそのまま比較するのが間違っています。そうなると既存A-10の供用期間延長を図るか、新たに生産するしかないと思うのですが。F-35がCAS任務でA-10に匹敵する性能を出せないと空軍もあきらめているのでしょうかね。



Air Force Advances Future Plans for the A-10

A-10の今後の活用案の検討が進む

Visit Warrior Kris Osborn, SCOUT WARRIOR
Yesterday at 11:15 AM

http://www.scout.com/military/warrior/story/1661272-air-force-to-build-new-a-10-attack-aircraft


米空軍の進めるA-10後継機戦略からは新型機が生まれる可能性、既存機種の改修、さらにA-10改修の可能性も生まれそうだ。
  1. 空軍は「A-10」相当の機体に必要となる速度、威力、耐久性等の性能検討を開始し、米軍地上部隊に効果的な近接航空支援を提供する手段を引き続き実現しようとしている。
  2. 空軍は「要求性能原案」を作成中で、エイビオニクス、技術、兵装、装甲、技術冗長性がどこまで必要かを検討しているとScout Warriorに伝えている。
  3. A-10の中核技術や戦闘能力の多くはそのままとし、さらに伸ばすものもあると関係者は述べる。
  4. A-10ウォートホグはISIS相手にすぐれた攻撃性能を示しており、空軍が同機の退役を先延ばししたこともあり、空軍は長期視点からA-10と同様の機体の実現に本腰を入れている。
  5. ペンタゴン上層部から最短でも2022年までA-10を供用すると発表があったことを受け、空軍とDoDはA-10は当初想定より長期にわたり実戦投入可能とみている。
  6. グローバルな脅威内容を意識し、空軍がA-10を温存するのは理にかなっている。ISIS攻撃では原油輸送車列他の攻撃に威力を発揮しているが、それ以外に多彩な兵装を運用でき、レーザー誘導爆弾や精密兵器も含まれる。
  7. 30mm機関砲、チタン製装甲板、近接航空支援用に冗長性をもたせたA-10は機械化部隊の撃退にも有効だ。A-10には広範な種類のシナリオで他機でまねができないすきま任務をこなす能力がある。戦闘員鎮圧から地上部隊支援、大規模戦での火力提供、防護、地上部隊支援までだ。
  8. 空軍関係者はScount Warriorに対して現時点で三つのアプローチを明らかにした。一つが現行A-10の大規模性能改修と供用期間延長で、その他既存機種を調達する、全く新規の機体を近接航空支援用に開発することだという。
  9. 「要求性能原案をまとめているところです。完成すれば現状と比較し、A-10を継続使用した場合との比較、別機材で交替させた場合の比較、と検討を進めていきます」とジェイムズ・ホームズ中将(空軍参謀次長、戦略構想機体性能とりまとめ責任者)が昨年に報道陣に語っていた。
  10. ホームズ中将は空軍全体として長期間ハイエンド戦闘の際に「航空優勢」を確立、維持、保持する方策を模索していると述べている。近接航空支援用の後継機でもこの課題は無視できないという。
  11. そのため、空軍は近接航空支援機の「適正度」を図るため既存機種と新規開発機との間の違いも含め多方面からの検討を重視するはずだ。
  12. ホームズ中将は選定では機体価格と並び維持費用が極めて大きな要素になると述べている。
  13. 既存機種で検討対象に入っているのはレイセオンのT-XやエンブラエルA-29スーパーツカーノなどがある。
  14. 予算手当できれば空軍には大きな意味が生まれる。前空軍参謀総長のマーク・ウェルシュ大将はA-10退役案があったが空軍は実はそのまま退役させることは望んでいなかったと述べている。A-10退役案は純粋に予算が理由だったと空軍上層部は一貫して説明していた。ウェルシュ大将は「退役させたくない機種だ」と昨年3月に議会で発言していた。
  15. 空軍上層部からは多用途F-35が近接航空支援任務を引き継げるはずと述べていた。センサー技術と25mm銃と操縦性を武器にF-35が任務を実施できないはずはない。だが同時にA-10が他に比類のない戦場での実績を示しているからこそ何十年にわたり温存されているとの見方は全員が一致したところだ。■

米海軍:中国は次回リムパックも招へい対象


中国が来年どうなっているかもわかりませんが、招へいには素直に応じるでしょう。ただし、その際は前回、海上自衛隊にあからさまな無礼を働いたことを再発させないようシーマンシップを発揮してもらいたいものです。それができなければやはり中国は異質な存在のままになるでしょう。

China among invitees to major US exercise 

米大規模海軍演習に中国も招へい対象

 By: Christopher P. Cavas, May 29, 2017 (Photo Credit: MC3 David Cox/U.S. Navy)

WASHINGTON — 米国が来年主催する環太平洋合同演習(リムパック)に中国が再度招へいされると米海軍が5月29日認めた。
  1. 「リムパック2016の参加26カ国はすべてリムパック2018に招かれる」と米第三艦隊(サンディエゴ)の広報官ライアン・ぺリー中佐は述べている。
  2. ペンタゴンは6月にサンディエゴで開かれる準備会合に中国も招くとライアン中佐は確認し、議会が定めた軍組織間、海軍間の中国との付き合い方のガイドラインを遵守していると述べている。準備会合はその後も二回予定され、中国招へいは都度承認が必要になるとライアン中佐は付け加えた。
  3. リムパックは隔年開催の世界最大の海軍演習の触れ込みでハワイ真珠湾を中心に展開される。米太平洋艦隊が主催し第三艦隊がホストとなり会期は数週間にわたり、海上での各種シナリオ演習の前に社交、競技イベントもある。
  4. 2016年に参加したのはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、コロンビア、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェイ、中国、ペルー、韓国、フィリピン、シンガポール、タイ、トンガ、英国の各国が米国に加わっている。第三艦隊によれば水上艦45隻、潜水艦5隻、航空機200、25千名が参加した。
  5. 中国が招へいに応じれば2018年は中国人民解放軍海軍(PLAN)がリムパックに三回連続参加することになる。2016年にはPLAN艦艇5隻が参加した。駆逐艦、フリゲート艦、潜水艦救難艦、測量艦、病院艦各一だ。2014年には参加した4隻とは別に情報収集艦が演習に付きまとっていたが同艦はリムパックに正式に参加した艦ではなかった。
  6. ロシアはリムパック参加は2012年の一回にとどまっている。ロシアはその後招へい対象から外されており、情報収集艦と駆逐艦が2014年、2016年それぞれ演習を監視していた。
  7. 2018年演習の正式日程は今後の準備会合で決まるとペリー中佐は説明。
  8. 2018年演習ではチリが脚光を集めるとペリー中佐は解説。チリが各国混成群の指揮官を初めて務めるためだという。
  9. 米中関係はここにきて一歩前進一歩後退の様相を呈しているが米国は北朝鮮の核ミサイル脅威の抑え込みで米国が中国の支援に期待している。5月24日には米駆逐艦デューイが南シナ海ミスチーフ礁付近を航行し中国の神経を逆なでしている。その後、中国機が米哨戒偵察機に危険なほど接近する事案が少なくとも二回発生している。■

2017年6月1日木曜日

★民間コンソーシアム、ストラトローンチの巨大打ち上げ母機がロールアウト!




これはすごい。宇宙打ち上げビジネスが一変しそうな構想が現実になりつつあります。今回はロールアウトですが、初飛行の姿を見たいものです。コンセプトをどんどん発展させていったのですね。これだけの偉容を実現させたのが民間というのもアメリカの強みですね。おそらく途中で挫折しかねない事態が何度もあったはずですが、乗り切ったのは強い意志とリーダーシップの産物ですね。完成したら使おうとする軍やほかの民間企業はその意味で起業家精神は希薄ですね。(この記事はターミナル1-2共通です)

Stratolaunch rollout

Stratolaunch's Massive Mothership Rolls Out Of Its Nest For The First Time

ストラトローンチの巨大母機がロールアウトし初公開

This is the largest aircraft ever built in terms of wingspan, even larger than the "Spruce Goose."

翼端幅で世界最大の機体に

 BY TYLER ROGOWAYMAY 31, 2017

  1. 10年の開発を経て、ストラトローンチStratolaunchの巨大な母機がモハーベ航空宇宙港の格納庫で公開された。予想通り、同機の大きさと形状は圧倒的だ。翼幅385フィートは世界最大で、これまで最大だったヒューズH-4飛行艇別名「スプルース・グース」をしのぐ。最大搭載時に機体重量はなんと1.3百万ポンドになる。動力はプラット&ホイットニーPW4056六基で747-400のエンジンと同じだが推力合計340千ポンドに及ぶ。
  2. ストラトローンチが驚異の技術を誕生させたのは疑う余地がない。
STRATOLAUNCH

  1. 同社は同機の性能を以下説明している。
ストラトローンチの再利用可能で空中発射を可能とする解決策により空港から離陸して宇宙打ち上げが可能となります。ストラトローンチ機は通常の滑走路から離陸し、悪天候を避け、航空機で混雑する空域や海上交通路を回避できます。ストラトローンチの空中発射方式で高費用になる打ち上げ順延や中止はなくなります。
STRATOLAUNCH
  1. X-プライズ受賞をきっかけにマイクロソフト共同創設者で宇宙事業の構想を持つポール・アレン、航空宇宙設計で名高いバート・ルータンがコンソーシアムを組み低地球周回軌道の利用方法が革命的に変わろうとしている。そこにスケイルド・コンポジット社が加わり、かつてルータンが所有していた同社は航空宇宙の設計製造で革新的な企業だ。(現在はノースロップグラマン傘下)さらにイーロン・マスクのスペースX、および元NASA長官マイク・グリフェンも加わり夢の構想が実際に飛行することになった。スペースXのように一度加わったもののその後離反するものもあらわれたが、ポール・アレンがしっかりと方針を貫き、各社を率いてきた。
STRATOLAUNCH
  1. ストラトローンチ母機の右側胴体にコックピットがあり、左胴体にはフライトデータシステム各種とペイロード制御を収める。同機は大型第二段目ロケット一基あるいは小型二段目複数を運用可能で後者は一回に複数の宇宙機を異なる軌道に送ることができる。世界各地の滑走路が利用でき、輸送コストを大幅に下げることでロケット費用も下がり、打ち上げ手順が大幅に早まる。
  2. ストラトローンチの強みは母機と子機の組み合わせコンセプトで航空機自体を従来の第一段目ロケットの役割とし、二段目とペイロードを運んで軌道に送る点だ。概念自体は以前からあり軍民双方でこの考え方を検討していた。オービタル・サイエンシズはL1011機にスターゲイザーの名称を付けペガサスロケット打ち上げを実施している。ストラトローンチとの違いは母機とペイロードの規模で、オービタルサイエンシズは豊富な知見を持ちコンソーシアムに2012年加入している。
D. MILLER/WIKICOMMONS
ヴァージン・ギャラクティックのホワイトナイトIIもスケイルド・コンポジットの母機設計の一環だ。
  1. ストラトローンチの外観からホワイトナイトを思い起こす向きもあろう。同機はX-プライズ受賞につながり後継のホワイトナイトIIがヴァージンギャラクティックのスペースシップ・トゥーを抱えて離陸している。実は両方ともスケイルド・コンポジットが設計しており、ルーツはルータンの設計案にある。両機とも宇宙飛行の実施方法のコンセプトを共有しており、母機で重い打ち上げ対象を抱えて離陸してからロケット点火で宇宙機を発進させる。

NASA
ペガサスロケットを搭載して離陸するスターゲイザー
  1. この構想は軍事利用にも道を開きそうだ。ペンタゴンは二段式ロケット機で小型ペイロードを軌道運用する案やその他機密のシステム複数を検討しており、航空機を第一段ロケットの代わりに運用する構想を開発中だ。中国がAN-225ムリヤを取得したのも同様の構想を進めているためとみられる。
  2. ストラトローンチが成功すればまずペンタゴンが顧客になりそうだ。費用が下がり、打ち上げリスクが減れば偵察通信衛星運用に朗報となる。さらに衛星多数を異なる軌道に迅速に打ち上げできれば敵の対衛星攻撃に対する抗じん性が増す。また母機から米国の対衛星兵器を運用することも可能で、敵衛星を軌道上でジャミング、目くらまし、乗っ取り、あるいは破壊も可能となる。
STRATOLAUNCH
  1. 米空軍がストラトローンチを調達して専用に使うのも可能だ。空軍は迅速かつ安価に低地球周回軌道に打ち上げする能力を求めている。今日では攻撃に時間が大きな要素になっている。世界各地を分単位で攻撃する能力だ。ストラトローンチに準軌道ミサイルを搭載し世界を飛行させ、迅速な敵攻撃の構想もある。ストラトローンチのような既成装備を調達すればペンタゴンも開発費用数十億ドル、開発期間を節約できる。
  2. ストラトローンチの初飛行は今年後半でアレンたちは2010年代末までにストラトローンチは運用可能になるとみている。■

KC-46開発がここまで遅れている理由と米空軍の対応


なぜKC-46開発は遅れに遅れているのでしょうか。今後どう解決していくのでしょうか。KC-Xとして始まった同機の調達は米空軍の目指す空中給油機体系の一手段にすぎないようです。

Will the KC-46 face another schedule delay? The Air Force will find out in June KC-46は追加遅延を乗り越えられるのか。米空軍は6月に実態を調査する

By: Valerie Insinna, May 30, 2017 (Photo Credit: The Boeing Co.)

WASHINGTON — 米空軍は6月にKC-46空中給油機開発が再度遅延するか見極めると議会に伝えている。
  1. メーカーのボーイングは日程遅延のリスク評価中で、空軍の調達業務トップの ダーリーン・コステロ、アーノルド・バンチ中将両名に六月第一週に内容を開示すると同社が伝えてきたとバンチ中将は下院軍事小委員会に紹介した。
  2. バンチ中将から報道陣に日程上の遅れを生みそうなリスクへの懸念が表明されており、2018年10月までに必要な機数がそろうのかもそのひとつだという。ボーイングはその時期までに第一陣18機を納入する義務があり、空中給油用ポッドも同時に引き渡す。日程上では一年ほど遅延している。今年8月に予定されていたFAA認証も2018年末に先送りされた。
  3. 「ボーイング製のサブシステム各種やハードウェア生産はFAA(連邦航空局)承認がまだおりずフライトテストの遅れにつながっている」とバンチ中将は議会証言した。「テスト日程が予定通り進んでいない原因にはテスト機材が設計変更で改修をうけていることもある。ボーイングは数か月相当も予定から遅れており、生産型一号機の引渡しは2017年9月12日以降になる」
  4. 今年3月に政府会計検査院(GAO)が同機事業がさらに遅れる危険に注意喚起し、テスト日程に全く余裕がなく、テストで不具合が見つかっても再実施できないことを理由に挙げた。
  5. 今年9月にはボーイングは毎月3機を納入する必要が生まれるが、現在の本格生産でもこれは無理なペースだとGAOは指摘。GAO報告書の発表時点で12機の進捗は7割程度だったが、厳しいテストの実施が控えている。
  6. GAOによれば9月納入を実現するため毎月テスト項目を1,713点ずつ実施する必要があるが、平均で毎月800点達成にとどまっているのが2016年3月から2017年1月の実績からわかる。2016年10月だけ2,240点を達成している。
  7. ここまで日程を守るのが困難になっているが、空軍は引き続き同事業に力を入れており、予定通りKC-46Aを179機を2028会計年度までに調達する予定。2018年度予算要求では93.8百万ドルで技術生産開発(EMD)フェーズを続け、26億ドルを2018年1月に15機用に計上している。
  8. バンチ証言ではKC-46Aの179機はKC-10、KC-135部隊の半分と交代するだけと認めた。そこでKC-135の改修をさらに進め、KC-46に続く後継機二機種KC-YおよびKC-Z開発に「十分な予算手当」があれば空軍の要求にこたえられると述べている。■
とここまでなのですが、開発を遅らせている原因はこの記事では触れていませんので、やはりDefense Newsの3月の記事 「一年以上遅れているKC46-A開発さらに遅れる可能性」
Two major challenges stand in the way. First, Boeing may not be able to conduct an electromagnetic effects test scheduled for May 2017. The test, which is held at a specialized facility, will evaluate whether the KC-46 creates any electromagnetic interference. However, because the Federal Aviation Administration has yet to approve the aircraft’s aerial refueling pod design, the Air Force will have to decide whether to test the aircraft and pods separately or risk pushing the test to a later date.
ひとつが電磁障害に耐えられるかのテストでもうひとつが空中給油用ポッドで、これもFAAの認可を得るために必要なのですね。ポッドは空軍以外の機材への給油用なのでしょう。システムがややこしくなりそれだけ性能の実証が大変なのでしょう。そもそもエアバスを原型にしたKC-30案がそのまま採択されていればここまでの遅延はなかったかもしれません。(これは仮定で誰にもわからないのですが)



米GMDがミサイル迎撃に成功した意味、MDAの中長期ミサイル防衛構想


技術はどんどん進んでいきます。北朝鮮が飛翔制御変更なミサイルを開発したと自称していますが、米側と同等のセンサー網を運用していないため、制御の有効性は疑問です。しかし米側も今後真剣な対応を迫られるのは間違いありませんが、技術が必ず解決策を出してくるはずです。今は北朝鮮ですが中国やロシアのミサイルへの対応もそのうち道が開けるでしょう。

Army photo

アラスカのミサイルサイロに搬入される地上配備迎撃ミサイル。

 

GMD Missile Defense Hits ICBM Target, Finally

GMDミサイル防衛が迎撃実験についに成功

 By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 30, 2017 at 5:45 PM

WASHINGTON: 北朝鮮の最新のミサイル発射から二日目に米国が本土ミサイル防衛の効果を初めて確認することに成功した。コードネームFTG-15とされた本日のテストではこれも初めて「ICBM級」の標的が投入されたとミサイル防衛庁(MDA)が発表した。地上配備中間段階防衛構想(GMD)には会計検査院(GAO)調べで2002年以来1,230億ドルの巨費が投じられており、今回で1999年以来の迎撃テストは18回中9回成功とちょうど50パーセントとなった。
  1. 「本日の成功で命中=撃破方式の本土ミサイル迎撃に懐疑的な向きも反論が難しくなりました」と戦略国際研究所のミサイル防衛部門長トーマス・カレイコが指摘する「本土ミサイル防衛体制に重要な日となり金正恩には悪い日になりました」
  2. どこまで悪い意味があったのだろうか。命中率50パーセントを現実の作戦で考えると、批判派の憂慮する科学者連盟がテストが非現実的で簡単なものだったと指摘するが、現在36基運用中の地上配備迎撃ミサイル(GBI)のうち18発が敵ICBMを迎撃することになる。少なくとも近未来で北朝鮮やイランには十分だと言える。ただし米政府はこの「限定的」ミサイル防衛体制ではミサイル多数を発射してくる中国やロシア相手には不十分だと認めている。
  3. MDAは今年末までにGBIを44基に増設するが、「二発発射して一発命中」では割りが悪い。このためMDAは複数目標撃破迎撃体Multi-Object Kill Vehicle (MOKV)の開発を急いでおり、迎撃ミサイルをいわば精密発射弾に変え、一発のGBIから複数弾頭を発射し目標多数に対応させる。供用開始を2030年目標だったが、MOKVは2025年に運用開始できそうだ。予算要求は2018年度に259百万ドルで、MDA総予算79億ドルの一部となっている。
MDA Photo
空中発射レーザー母機は2012年にモスボール保存となった。
  1. 長期展望ではMDAはレーザーに注目しており、2018年度予算要求で54百万ドルでR&Dを進める。半導体レーザーは電気だけを使い電源があれば何回も発射できる。軍の一部ではレーザーを実地試験しているが射程は短距離で想定は無人機やロケット弾の撃破だ。MDAはもっと難しい標的をはるかに遠距離から狙う構想で、開発中止となった空中発射レーザー構想を復活させようとしている。前回は改装747機に毒性の強い化学レーザーを満載していたが、今回は半導体レーザーを無人機に搭載する。敵発射地点近くに無人機を周回飛行させミサイルが発射されれば即座に撃破する。このいわゆる「発射直後迎撃」構想では敵ミサイルを一番脆弱な段階で攻撃し、弾頭を発射直後の上昇段階のミサイルものとも迎撃する。
  2. これに対して本日テストされたGMDは大気圏外攻撃弾Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) を飛んでくる弾頭部に宇宙で衝突させる方式だ。精密に衝突させ爆発物は使用しない。衝突すれば相手は粉砕される。だが目標に命中させるため地球規模の高性能センサー群の海上配備Xバンドレーダー(SBX)などからデータを指揮統制戦闘管理通信Command, Control, Battle Management and Communication (C2BMC)システムに投入し迎撃体へ指示を出す。
  3. この「命中=破壊」方式の迎撃は技術上は大きな課題でアイゼンハワー大統領が「弾丸を弾丸で撃ち落とす」と評したのは有名だが、現在では低高度はペイトリオットで、中高度はTHAADがあり、さらに高高度にGBIと当たり前に装備されている。本日のテストは満点ではなかったが、この技術の有効性を支持する向きには有利な結果を生んだ。■