2017年11月30日木曜日

B-21開発現況をRCO迅速装備整備室が説明

次期爆撃機の開発が順調に進んでいるようです。RCOが難易度が高い同事業をこなしているのはF-35の苦労を反面教師にしているのでしょうか。であればF-35のJPOよりもRCOの方が経歴に箔がつく? これはわかりませんが、有人操縦が選択式と言うのは無人運用が基本ということでしょう。形状こそB-2そっくりですが(想像図が正しいとは限りません)、おそらく2020年代初頭に姿を現す新型機がどんな形になるのか興味を惹かれますね。

B-21 Raider Headed Toward Critical Design Review, RCO Says

B-21レイダーは設計審査に向かうとRCOが発表

Aerospace Daily & Defense Report

Nov 28, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report
空軍の迅速装備整備室 Rapid Capabilities Office (RCO) は2003年4月の設立を経て現在は大幅拡充され、30事業300億ドル相当の装備開発を担当中だ。
  1. 目玉はノースロップ・グラマンB-21レイダー開発で業務のほぼ半分の規模だ。B-21
  2. 核運用可能で有人操縦が選択式のステルス爆撃機開発は2016年2月に始まり、重要な設計審査が来年に控えている。
  3. 11月28日にAssociation of Old Crows 総会でRCO室長ランドール・ウォルデン Randall Waldenは新型爆撃機を予定通りの費用かつ日程遅延を最小限で実現させるのがねらいと述べた。RCOは上層部の方針決定に直接アクセスできる組織のため目標の実現に最適とも述べた。
  4. RCO執行委員会にはペンタゴン調達トップのエレン・ロードEllen Lord や空軍長官ヘザー・ウィルソンHeather Wilson 、空軍参謀総長ディヴィッド・ゴールドフェイン大将 Gen. David Goldfeinも加わる。
  5. 「次世代ステルス爆撃機製造は簡単ではないが、各種指標を見れば事業の順調な推移状況が分かる」とウォルデンは述べた。「設計審査に焦点を合わせており、図面承認を受ければ機体製造に入る」
  6. RCO配属の220名は軍、文官、契約企業の混成で半数がB-21に従事中。上級職はペンタゴンに近いアナコスシア-ボイリング共用基地に本拠を構え、残りの8割はライトパターソンAFB(オハイオ州)に勤務する。オクラホマ州ティンカーAFBにも拠点があるとウォルデンの発表資料でわかった。
  7. B-21チームは基本構造の検討を2016年11月に終え、予備設計審査も今年早々に通過した。要求性能と基本設計は確定した。
  8. ウォルデンは100機生産が目標で就役開始を2020年代中ごろと確認している。
  9. B-21は空軍最大の開発事業で2022会計年度までに135億ドルが必要と空軍予算要求で判る。
  10. 同室の事業は大部分が極秘扱いでB-21も例外ではない。空軍が発表した情報はごくわずかで予算規模と想像図、サプライヤー一覧しかない。
  11. RCOの総事業規模は300億ドルで残る29事業に合計165億ドルを2018年から2022年の間に投入する。
  12. ウォルデンによればRCOはこれ以上の拡大は目指さず、現状のままで十分多忙だという。執行委員会がRCO事業を最終的に決めるが、「すべてを手掛けるつもりはない」と言う。
  13. ウォルデンは「迅速」調達には要求内容の事前決定、受注企業集団の決定、契約交付の一連の工程の短縮化が一番効果があるとする。B-21事業で敗れたボーイングは抗議したが、米会計検査院の最終裁定でボーイング首脳部も法廷闘争は断念した。
  14. ノースロップはレイダーの設計はフロリダ州メルボルンで行っており、機体組立てはカリフォーニア州パームデールになりそうだ。部品部材は全米各地で調達する。同機は空軍グローバル打撃軍団が運用中のボーイングB-1、B-52、ノースロップ・グラマンB-2に加わりその後交替するはずだ。グローバル打撃軍団は175機以上の最終調達を希望している。■

米イラン間の衝突回避に重要な役割をしていたRC-135V/W機


ISRの重要な機能がよくわかるお話ですね。こうした裏方がいて初めて外交も軍事行動も可能となるということですね。


Award Reveals USAF Rivet Joint Spied on Iranian Forces During 2016 Hostage Crisis

2016年の危機事件で米空軍リヴェットジョイントが重要な役目をしていた

Information from the Rivet Joint aircraft aided negotiations and helped avoid a more serious confrontation.

同機発信の情報で軍事衝突が回避できた


USAF
BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 27, 2017
2016年1月12日、米海軍水兵10名がイラン革命防衛隊(IRGC)にファルシ島で捕獲された。米兵には希望が見えなかった。だが翌日に米空軍のRC-135V/Wリヴェットジョイント情報収集機が近辺を周回飛行し、イラン側の通信内容を傍受し、解放交渉を守るつもりがあるのかに耳を傾けていた。
  1. 同機乗員(コールサイン・パイソン72)が最優秀偵察機乗員として2016年度ジェローム・オマリー将軍賞を2017年9月に受賞している。空軍協会が年次総会で同賞を授与している。受賞の個別具体的な理由はあいまいなままだったが、Omaha World-Herald紙が米空軍大佐ジョージ・レイノルズ(オファット基地第55飛行隊隊長)の推薦状を入手している。
  2. 「同機乗員は空軍隊員の鑑で連合軍部隊の戦闘を支援している」と一般的に説明していると同紙が伝えている。だがパイソン72の同日の出撃は通常内容どころではなく、敵部隊の監視にあたることの多い同機でも尋常でない内容だった。
  3. 監視装備を詰め込んだリベットジョイントは計17機ありイラク、シリアはじめ北朝鮮などを監視している。2016年に第55飛行隊の別のRC-135V/W(パイソン71)がやはりオマリー賞をイラク・ファルージャで対ISIS作戦で受賞している。同飛行隊は同型機すべての他、共に電子偵察用のRC-135Sコブラボール(3機)、RC-135Uコンバットセント(2機)を運用している。
View image on Twitter
Congratulations to the Crew of PYTHON 72 at @Offutt_AFB on winning the Gen. Jerome F. O'Malley Award today! #ASC17#AirForce
  1. 話しを元に戻すと、2016年1月12日、第五艦隊隷下の高速強襲ボート二隻がクウェートとバーレイン間の海峡を移動中に一隻が故障し漂流をはじめファルシ島近くでイラン領海に入り、IRGC部隊に包囲され身柄拘束された。
  2. 米海軍の事後調査でイラン軍の接近時点で乗員に手違いが数々あったことが露呈している。第五艦隊上層部にもリスク承知で同海峡通過を急がせた過失も見つかったが、国際法を破り何ら敵意を示さなかった米乗員を拘束したイランにも非難の矛先を向けている。
  3. 批判する向きには当時共和党大統領候補だったドナルド・トランプもあり、バラク・オバマ大統領を責めた。ジョン・ケリー国務長官がイランに強い立場を示さず、世界の面前でイランに侮辱されたとした。ケリー長官が乗員解放を実現したのは身柄拘束後15時間のことで米政府は同事件について公式謝罪は出していない。
  4. ただし、イランが乗員を捕獲してから第五艦隊司令官ケヴィン・ドネガン中将が海軍作戦部長や国務省と協議し「軍事対応を命令し」たとある。ここにパイソン72のミッションが入ってきた。
  5. 同機はアルウデイド基地(カタール)に前方配備中だった。その時点で空軍はアフガニスタン上空に飛ばし、タリバン他戦闘員等の通信傍受に充てる予定だった。
  6. だが2016年1月13日、ファルシ島事件の進展を受けて同機をペルシア湾に派遣する許可申請が基地から出た。米中央軍司令部が了承し、乗員19名が乗るRC-135V/Wを問題地区に飛ばした。機内には信号情報や言語の専門家がおり、イラン通信内容を傍受し捕虜関連情報の翻訳に待機した。.
  7. 海軍と空軍は通常からペルシア湾内の国際航路上を行き来し監視偵察活動をしているが、ファルシ島への接近は普段は行わない飛行だった。だが同機からの情報が貴重な内容になった。.
  8. 強力なデータリンク装置を搭載したリヴェットジョイントは新情報をペンタゴンの共用人員救難局 Joint Personnel Recovery Agency 並びに国務省へリアルタイム送信した。ケリー長官は一部を使いイランへの交渉で立場を強化したと伝えられている。
  9. もっと重要なのは水兵解放に合意した後で悪天候のためIRGCが解放地点を次々に変更したことだ。米側はこれに警戒し最悪の場合、罠ではないかと身構えた。パイソン72の言語専門家はイラン側に対決の意図はないと判断した。
  10. 水兵は安全かつ元気だったが、RC-135V/Wはそのまま同地に残り引き続きイランの動静を監視した。レイノルズ大佐によればIRGCの戦術面や標準行動で「前例のない量の」情報を収集てき、将来に向けて貴重な情報になったと述べている。
  11. 今回はパイソン72の尽力で危険な事態は回避できた。今後この事件でまだ語られていない細かい情報が出てくるかもしれない。
  12. War Zoneは情報の自由法を使い、乗員が海軍艦隊補給支援飛行隊58(VR-58)のC-40Aクリッパーが述べ10か国を移動する飛行で1月24日にまでに米本国に帰還させたことがわかった。
USN VIA FOIA
  1. このミッションは45時間で11の時間帯を通過した。ドネガン中将はここまで述べたが、国名は伏せている。
  2. 今後時間がたてば、米軍が当時どんな警戒態勢を取っていたかも明らかになるだろう。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2017年11月29日水曜日

C-2グレイハウンド事故の詳細、なぜか伝えられないパイロットの犠牲行為


日本国内には米軍機が事故を起こすとヒステリックに大騒ぎする向きがありますが、今回の事故では類まれなプロの腕が不時着水に示されたようですね。自らは犠牲になったのは残念ですが、搭乗者多数を無事脱出させたのはすごいとしかいいようがありません。

 

Navy Pilot Lost in C-2 Crash 'Flew the Hell Out of That Airplane'


File photo of Lt. Steven Combs, assigned to the Providers of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 30 (U.S. Navy photo/Released)
File photo of Lt. Steven Combs, assigned to the Providers of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 30 (U.S. Navy photo/Released)
Military.com | 28 Nov 2017 | by Hope Hodge Seck

週発生したC-2グレイハウンド事故で搭乗者を救おうとして自ら犠牲となった海軍大尉に勲章授与の動きがあると米海軍が伝えている。
機長スティーブン・コムズ大尉Lt. Steven Combsは他の2名と11月22日発生の事故で命を落とした。同機は岩国海兵隊航空基地から空母ロナルド・レーガンに向かっていた。
コムズは機体を不時着水させ、搭乗員4名と搭乗者7名が安全に機外脱出する可能性を最大にした。輸送機での不時着水は難易度が高い。当日の波高は12フィートだったと海軍航空隊報道官ロナルド・フランダース中佐が述べている。
「空母からあと数マイル地点で着水するとは予想外だったはずです」とフランダース中佐はMilitary.comに語っている。「コパイロットの言葉を借りると『(コムズは)すごい操縦をしてくれた』とのことです」
フランダース中佐はコムズに死後勲章授与の可能性があると述べた。
コムズは2011年任官し、第30艦隊補給飛行隊に2015年加わりロナルド・レーガンで分遣隊作戦士官補として勤務したと海軍は発表。1,200飛行時間で空母着艦100回を経験している。
海軍は生存者8名を沖縄南西海上で遭難直後に救難した。11月25日に海軍はコムズの他にマシュー・チアラストリ兵曹、ブライアン・グロッソ補給係見習が行方不明と発表。
墜落原因はエンジン故障と複数筋が述べているが調査は進行中だ。「何らかの機体異常のため空母へ到達できなかったようだ」とフランダース中佐が述べている。
25日土曜日にロナルド・レーガン艦上で三名の追悼式が開かれた。レーガンの航空部隊指揮官マイケル・ウォスジェ大佐がコムズに触れた。
「パイロット一名を失い第5空母航空隊に重くのしかかる。コムズ大尉は英雄としてこれからも追慕されるであろう」「本人とともに飛んだことを誇りに思う」と語ったと海軍広報資料が伝えている。
艦長バズ・ドネリー大佐も同時に3名を追悼した。「3名を一度に失い、USSロナルド・レーガン乗組員一同を代表し心からの祈りとお悔やみを遺族友人に伝えたい」
海軍は旧式化進むグレイハウンドの運航を停止した。同機は空母への人員物資輸送に使われている。
フランダースは現行のC-2A(R)は1980年代中頃から海軍で供用中で、比類ない安全記録があると述べている。死亡事故は1988年に飛行甲板でプロペラ回転に巻き込まれ一名が死亡した事案のみだ。「今回の事故はここ数十年で初めて」
グレイハウンド各機は2015年までに耐用年数延長策を終えているが、2020年代中頃にCMV-22オスプレイと交替する。■

イスラエルのアイアンドームに艦載版が登場


「次回の戦争」とかイスラエルの表現はリアルですね。ナチスばりにイスラエル壊滅を公式に発言するような国がすぐそばにあるためですね。ミサイル防衛として空軍、海軍、陸軍の垣根を壊す動きも注目です。それにしてもイスラエルの軍高官は異例に階級が低いですね。権限移譲が進んでいるのか、組織構造が違うのか。イスラエルには今後も注目したいと思います。


Israel declares operational capability for sea-based Iron Dome 

イスラエルが海上配備アイアンドームの実戦化を発表


IDF

TEL AVIV, Israel — イスラエル軍が艦載版アイアンドーム迎撃システムの初期作戦能力獲得を宣言した。11月27日に海上実弾試験で標的迎撃に成功した。
当日の成功の前にイスラエル空軍、海軍、民間企業が1年半もアイアンドームをINSラハヴ海防艦のアディール追尾誘導レーダーに統合する共同作業に従事していた。
「本日をもって公式にイスラエル防衛の新しい陣容が地中海に生まれた」と空軍防空部門司令官ズヴィカ・ハイモヴィッチ准将Brig. Gen. Zvika Haimovichが記者団に語った。
「艦載アイアンドーム、アディールレーダーおよび地上配備アイアンドーム部隊が完全に接続された。本日の実弾発射実験で優秀な性能が実証された」
アイアンドームは国営ラファエル社が開発し、2011年の配備以来1,700回以上の迎撃に成功している。艦載アイアンドームはC-ドームC-Domeの名称となる。
空軍関係者によれば艦載アイアンドームも空軍が運用する。地上配備アイアンドームで整備した運用ノウハウと技術があるためだ。「海軍用のアイアンドームは新規アイアンドーム部隊として扱う。陸上、海上の装備を統合し今後のエスカレーションや次回の戦争に備える」という。
海軍兵器部長ジヴ・バラク大佐Capt. Ziv Barakは2014年のガザ戦役の教訓から海上配備のアイアンドームが沿岸部や艦船さらに沖合エネルギー施設の防衛に必要と認識されたと語る。艦上配備と陸上配備の各装備の統合で北部国境から飛来する脅威対象に容易に対応できるようになると付け加えた。■

世界9か国の核兵器保有数は合計15,000発!


世界に核兵器が多数あるから自国も保有して何が悪いのかと北朝鮮は言うのでしょうが、首をかしげるのは韓国にも核兵器保有の意見が出ていることです。南北統一すれば北の核が手に入ると能天気な意見もあるようですが。ま、それはともかく核廃絶を主張し大統領になったばかりのオバマがなぜ平和賞を取れたんでしょうか。好き嫌いがはっきりしてすみません。ABC分析するまでもなく核兵器の大多数を米ロニ国が保有しているので廃絶するなら(無理と思います)米ロがまず核兵器が不要な世界を作って自ら核兵器を減らすのが筋ではないですか。


Here's how many nukes each nuclear country in the world has

核兵器保有国、核爆弾の合計数は?

14,955 nuclear weapons worldwide




  • 北朝鮮核兵器開発を止めるのがトランプ政権の優先事項だ
  • だがその他8カ国が合計15千発の核兵器を保有している


ドナルド・ドナルドは大統領に就任以来、北朝鮮核兵器に焦点をあてるものの金正恩に開発を止める気配はない。トランプは中国に圧力もかけて説得させようとしている。
だが米国含むその他合計8カ国が核兵器を長年整備しているのが現実だ。
第二次大戦で日本へ原子爆弾を投下したのが唯一の核兵器使用例だが戦後数年でロシアが核兵器開発を開始し、その後、英国、フランス、中国が追随した。
1960年代にはこのまま多数国が核兵器を保有すれば世界が安全でなくなるのは明らかになった。このため不拡散条約が1968年に生まれ、核兵器、核技術の普及拡散の防止を狙った。イスラエル、北朝鮮のように非加盟国もある。
条約はおおむね成功しているが、核兵器の実戦投入で可能性が消えないまま世界平和は脅かされたままだ。
では世界に何発の核兵器があるのか。どの国が保有しているのか。米科学者連盟のまとめを引用する。

北朝鮮:60発

  • 米国は北朝鮮の核兵器開発をやめさせようとしている。1994年にビル・クリントン大統領がまとめた合意枠組みは不発におわった。北朝鮮にだまされたのだ。
  • 平壌はNPTを2003年脱退し、三年後に初の核実験を実施した。以後、兵器開発を続けており、ブッシュ、オバマ、トランプ各政権の働き掛けも功を奏さず進展を遅らす兆候はない。
  • 北朝鮮は既に核兵器60発を保有しているとの推定がある。

イスラエル:80発

イスラエル政府は公式には核兵器保有を否定も肯定もしない態度をとる。だが同国の核兵器整備は公然の秘密だ。 

  • 1986年に核技術者Mordechai Vanunuが内部告発しイスラエルの核開発を明らかにした。イスラエルの秘密裏の核兵器開発を助けたのは米英両国である。

インド:130発

  • インドは隣国パキスタンと敵対している。緊張を高めているのは両国ともに核保有国のためだ。ただし、二十年にわたり両国は核の応酬に至るエスカレーションを避けている。
  • インドは2003年に先制不使用を宣言し、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を投入しないと表明した。中国にも同様の政策がある。
  • インドが核兵器開発に踏み切ったのは中国の侵攻を恐れた1960年代だった。米国が制裁措置を課したが、現在は解除している。

パキスタン:140発

  • インドの先制不使用宣言と逆にパキスタンは核の一次使用を放棄していない。
  • 1971年のインド-パキスタン戦争でインド核兵器の脅威を感じたパキスタン自国開発を急いだ。
  • 2014年に戦術核兵器の開発を開始し、小型化が進めば水上艦艇や潜水艦から運用が可能となり、従来型核兵器より簡単に使用できるようになる。
  • 報道ではパキスタンは核の三本柱の完成に近づいており、核ミサイルを陸海空から発射できるようになる。

英国:215発

  • その他核保有国と同様に英国も核兵器は防衛目的に必要と主張する。
  • 同国の核抑止力はトライデントでヴァンガード級潜水艦4隻にトライデントIID5ミサイル16発を搭載し、各ミサイルに核弾頭8発を装備している。
  • 2010年から15年にかけ弾頭数を40j発減らし120にしており、削減しながら最小限の核戦力は維持したいとする。

中国:270発
    • 中国初の核兵器は1964年に完成した。インド同様に非先制使用方針を述べているが、国際社会にはこれを疑わしく受け取る向きがある。
    • 中国は核弾頭数を機密情報としており正確な数は不明だ。NPT加盟国だが、近年一層野心的になっていることで周辺各国を懸念させている。
    • 例として2018年に中国は次世代大陸間弾道ミサイルを発表する予定で、弾頭10個を搭載し世界各地の攻撃能力があるといわれる。2016年には別の長距離ミサイルが発表され、グアム攻撃が可能と判明し米国防関連に衝撃が走った。

    フランス:300発

    • フランスの核開発開始は冷戦中でシャルル・ドゴール大統領は米・NATOと別個に自国防衛能力が必要と判断した。ドゴールが恐れたのはフランスがソ連他の攻撃を受けても誰も救援してくれない事態だった。
    • フランスの核兵器保有規模は世界三位だが、同国は化学兵器生物兵器は保有していないと述べている。NPT加盟国である。
    • 2008年にニコラス・サルコジ大統領が同国の核兵器は「特定目標を想定していない」と発言し、「生命保険だ」と述べた。サルコジは核兵器削減も発表し、「冷戦最盛期の保有量の半分」にすると述べている。

    米国:6,800発

    • 核時代の先陣を切ったのが米国で1942年にフランクリン・ロウズベルト大統領がマンハッタン計画を開始させたことだった。第二次大戦中に米国は広島・長崎への原爆投下で一般市民数万名を殺害し核技術への見方を永久に変えてしまった。
    • 米国はNPT加盟国だが先制不使用の宣言は拒んでいる。
    • 今年初めにジョー・バイデン前副大統領が米核戦力強化への支出を倍増すると発言。「他の核保有国が米国に先に使用する可能性があるなか、安全安心で確実な核武装で攻撃を抑止することが同盟国のためにも必要」と述べ、「このため核装備維持の予算とならび核装備体系近代化の予算を増やした」
    • 近代化で10年間で4,000億ドルが必要との報道がある。ロシアの核戦力拡充に歩調を合わせる狙いもある。
    • トランプもオバマの米核戦力再整備の訴えに同調していた。「近代化と抜本的な再生が必要だ」と述べ、選挙運動中は米核兵器増備を訴えたが、2017年10月には「全く不要」と発言した。

    ロシア: 7,000発

    • 旧ソ連の核兵器開発開始は1940年代で米マンハッタン計画を追随した。冷戦中に米国と軍拡競争を展開したが、旧ソ連圏の核兵器はロシアに返還され多くは解体された。だがロシアは今も膨大な核兵器を保有している。
    • ロシアは核兵器近代化に資金を投入しており、米国同様に核戦力拡充を目指している。オバマ政権はこの動きは世界規模の核軍縮の障害と批判した。「向こうが軍事力拡充を追い求めているので、期待するロシアとの進展が見られなくなった」とオバマはプーチンを批判した。
    • プーチンは10月に世界の核兵器削減の一助となりたいと発言しながら、他国の動きを見れば自国も開発を止めるわけにいかないとした。
    • ロシアは弾頭数こそ世界最大だが、威力が最大とは限らない。
    • 「ロシアは段階的に改良して核戦力を整備してきた」ため10年以上も改良を受けない兵器もあるとArms Control Wonk創設者ジェフリー・ルイスがBusiness Insiderに語っている。
    • 一方でルイスは「米核兵器はフェラーリみたいで美しく複雑で高性能です」と言い、ミニットマンIII型ICBMは登場から年数がたっているが「精巧な機構で驚くべき性能」だという。
    • 「ロシア核兵器は新型だが設計思想は『あと10年で新型ができるから今から超高性能にする必要なし』というものですよ」(ルイス)■

    中国経済が米国を追い抜く日は来ない



    今回も中国経済の虚像に挑戦する論調ですが、バランスシートの概念が分からないと理解が難しいかもしれません。一方で中国統計の疑わしさには言及していないので正しい(会計上の原則で)数字が出れば(誰にもわからないでしょう)さらに中国経済の本当の姿が露呈するはずです。経済を理解しないまま軍事力だけで大国だと言っているのが中国の現状ではないでしょうか。交渉もそれを背景にしていれば、すごいポーカープレイヤーだとなりますね。しかし中国国営企業の債務は政府を上回る規模とすざましいですね。21世紀の課題は中国をいかに「世界秩序」に組み入れるかでしょう。中国はその秩序に抵抗する勢力でこのままでは受け入れられない存在です。北朝鮮問題のように少しずつですが中国にも変化の兆候が見られ、かすかな希望を殺さないようにしたいものです。


    Is China's Economic Power a Paper Tiger?

    中国経済は張子の虎なのか

    中華人民共和国のGDP成長が米国より高いのは事実だが、問題は成長の中身だ。
    A painter contrasts the reddish-pink hue on a painting knife with China's 100 yuan banknote before he works on portraits for Chinese artist and film-maker Zhang Bingjian's "Hall of Fame" project in a studio in Shenzhen, south China's Guangdong province
    November 27, 2017

    1. オバマ政権時に中国の台頭に対し米国の退潮を問題提起があったが、トランプ政権下で人は変わっても同じ主張が出ている。両政権の政策の違いが議論の種だが事実の基本は明らかにしたい。最も重要な点は経済力で中国は米国と肩を並べる存在でなく、追いつく可能性もないことだ。

    GDPを過大評価していないか

    1. 奇異に思う向きもあろう。中国の国内総生産GDPは数十年にわたり高成長中だ。だが中国は経済が苦境にあることをいつ認めるのか。中国発表の2009年第二四半期のGDP成長率は7.9パーセントだったが世界最大の債務を抱えての高成長だ。経済実態は中国共産党の主張と反対だ。
    2. 人民共和国がGDP成長率で40年間にわたり米国より高かったのは事実だが、問題はその中身だ。中国人の可処分所得は(中国発表の数字で)国民一人当たりGDPの半分に満たない。可処分所得は年間支出金額だが一人当たりGDPは会計上の概念で実経済であまり意味がない。
    3. もっと意味がないのは購買力平価(PPP)によるGDPだ。PPPでは中国国内の物価すべてを米国とそのまま比較する必要があり、無意味な概念だ。この計算の根拠は「一物一価」だが、中国市場の閉鎖性でこの原則はかならずしも通用しない。またPPPは消費者の購買力であるが、中国の消費支出は中国GDPの半分に満たない。購買力調整したGDPは多数の国で通用しない尺度で中国も例外ではない。

    民間純資産

    1. 単純なGDPの方ならよさそうだが最重要指標とは言い難い。各国が国益のために使う資源が国民純資産であり、実際に金銭支出を伴うもので会計上の概念ではない。年間GDPは国富の蓄積につながるはずだ。だが中国ではGDPが資産形成と密接つながっていないのは驚くべきことではない。
    2. クレディスイスが2000年から各国の民間純資産を算定している。データは修正などあり一定しておらず、最新版も確定していると言い難いが、それでも二つの特徴がある。1)中国政府による統計の偏り以上に大きなものはない 2)中国の2012年以降の成果でこの傾向が顕著になっている の二点だ。
    3. 2000年から2012年の中国民間資産は4.66兆ドルから21.7兆ドルへ年間14パーセント近く増加した。同時期の米国は42.3兆ドルから67.5兆ドルへ増加した。米国の優位がさらに伸びたが、米経済の年間成長率は4パーセントにすぎない。中国はらくらくと実績で上回れたはずだ。
    4. ところが状況はその後急変している。2012年末から2017年央までの中国の民間資産は7.3兆ドル伸び、年間成長は9パーセントに達した。これに対し米民間資産は26兆ドル伸びた。米国の経済規模ははるかに大きく、さらに米経済の成長率が高くなってきた。その結果、2017年央の中国民間資産は29兆ドル、米国は93兆ドルになった。連邦準備制度はクレディスイス推計と同意見で米国の家計純資産は96兆ドルとしている。
    5. 端的に言えばGDPは経済実績の完璧な尺度ではなく、民間資産も同様だ。だが資産規模で米中間交渉が変わる。民間資産で64兆ドルもの差がある中では中国が米国を脅かすほどの経済になるとの主張の根拠が怪しい。中国経済の成長が米国を上回るとの主張も民間資産の差がこの4年半で18兆ドルも広がったことで疑わしい。民間資産で見る限り中国は米国からはるか後ろを追う存在だ。

    公共部門

    1. クレディスイスが中国を正しく把握していない可能性もある。そこで二つの疑問が生まれる。まず、米国の優位性が2012年から広がったのは米国の株式市場と不動産バブルが中国のバブルを上回る規模になったためなのか。そうだとしたらバブルが弾ければ差は縮まるのか。これはありうるが、実現しても大きな影響は生まない。民間資産がこれだけの規模になるとグローバル金融危機時でも米国は56兆ドルの差をつけており、これは2014年とほぼ同規模だった。
    2. 民間純資産を阻む制約は「民間」にある。各国の目指す目標に投入する国富の総額を意味し、ここに公共部門も入る。共産党はPRCの巨大銀行システムの債務情報を出そうとしない。米政府も公共部門の資産評価で疑わしいものがあるが、米連邦政府の債務と中国の国家資産はともに巨額で国富の格差を縮める要素だ。
    3. 国営企業資産に関する公式中国データはここ数年一貫性がある。2017年央の資産総額は145兆元(7.4兆ドル)で債務は95兆元(4.8兆ドル)以上だ。ただし国営企業には資産を過大評価し債務を過小表示する傾向がある。したがって先に示した数字は最大値と見るべきだ。
    4. その他の公的債務に中央政府地方政府の借入金がある。国営企業に比べれば小規模であるが、それでも2016年末で4.1兆ドルになった。中国政府発表の数字に変動がないことが信ぴょう性を逆に疑わせている。2017年3月末時点の国際決済銀行(BIS)の推計は1.1兆ドル多い5.3兆ドル(2017年央)だ。
    5. 企業部門に次ぐ大きな国家資産は土地だ。大量売りが入れば土地価格が下がるため広大な規模の不動産の価格鑑定は困難だ。PRCでは政府の役割がいびつなためさらに困難だ。土地売買収入は2016年末時点で3.7兆ドルだった。2017年はこれを上回るとみられるが売買は不安定だ。
    6. 土地価格が低すぎるため企業部門の負債規模も低くおさえられるのだろう。ただし公共部門資産の誤差で正味民間資産が6兆ドル上乗せされ、中国の2017年央の国富は35兆ドルになる。もう少し高いかもしれない。
    7. これに対し米国では連邦政府負債が最大で2017年央で19.8兆ドルだった。州地方政府債務が3兆ドルある。構造は単純で、資産問題だ。
    8. 連邦政府は全米土地の27パーセントを保有し、その他州地方政府が33%を保有する。土地評価は合計125兆ドルだ。連邦準備制度によれば米政府部門の非金融資産は2017年央で14兆ドルとで、その他州地方政府は10兆ドル相当なので米国の純国富は88兆ドル超となる。ただし国有建築物を売却すれば価格低下を招き資産規模も縮小する。
    9. 連邦準備制度の不動産データから計算すると政府部門資産は2017年央で9.1兆ドルになる。これで米公共部門の総勘定は13.6兆ドルの赤字となり、純国富は80兆ドルを下回る。公共部門まで含むと米中の国富の差は縮まるが、それでもまだ大きい。

    米国の選択肢

    1. 土地価格の算定は不正確だ。資産価格は簡単に富が変動することを意味する。クレディスイスの民間資産推計データでも修正が入る。だがクレディスイス、米財務省、連邦準備制度理事会、BIS、さらに中国政府から意味のあるデータがわかる。
    2. 米国は純国富で中国を45兆ドル上回り、差に縮まる様子は今のところない。民間資産だけ見ても差は縮まっていない。これはBISの債務情報によるものではなく、中国政府発表の数字を基にした計算によるものでもない。つまり中国のGDP高成長は意味のない数字だ。少なくとも2010年代初頭において。
    3. 米国が中国と東アジアで覇権を競う、またはグローバル規模で主導権を維持するのであれば、国富の格差は意味がない。資産面の優位性は圧倒的に米国にあり、今後もそのままだろう。■
    Derek M. Scissors is a resident scholar at the American Enterprise Institute, where he focuses on the Chinese and Indian economies and on U.S. economic relations with Asia. He is concurrently chief economist of the China Beige Book.