2019年2月6日水曜日

次回トランプ金会談で韓国の行方が決まる 日本も安閑としていられない交渉の鍵は在韓米軍の行方だ

A Strategic Disaster Looms at the 2nd Trump-Kim Summit

第二回トランプ金首脳会談が戦略的失敗に終わる可能性

President Donald Trump meets with North Korean leader Kim Jong Un on Sentosa Island, Tuesday, June 12, 2018, in Singapore.
JANUARY 30, 2019

年1月始め、韓国はマイク・ポンペイオ国務長官の発言に震撼した。平壌は祝杯をあげただろうが、長官はフォックニュースで米国本土の安全が最優先であり、このため米国は北朝鮮非核化をめざすと語ったのだ。長官が否定しなかった想定が危険をはらむ。トランプ政権が北朝鮮との交渉を優先し韓国との同盟関係を取引材料にするのではないか。 

米政府が米国の安全を第一に置くのは当然であり、そうしなければ無責任のそしりを逃れない。遠隔地で戦火が開くのを阻止することが本国の安全にどうつながっているかを米国民は理解していない。指導層が認識すべきは朝鮮半島や北東アジアの有事で米本土の安全や経済活動にどんな影響が生まれるかだ。仮に北朝鮮が米本土を狙うミサイルを廃止しても、在韓米軍を撤退させればアメリカに害が返ってくる。地域内の武力衝突の可能性が高まり米国民や同盟国が血と富を犠牲にすることになる。

ドナルド・トランプと金正恩は今月末に二回目の直接会談に臨む。首脳会談でトランプ政権にとって最大の外交成果が生まれる可能性もあるが、米国と韓国にとり戦略的失敗の序曲となる可能性もある。
.会談が近づく中、米韓両国の同盟関係を破綻させかねない3つの問題を克服し、両国の安全保障で破滅的影響が出ないよう努力すべきだ。まず、在韓米軍の経費負担で韓国が拒否していること、二番目にホワイトハウスが米本土防衛を最優先しているが韓国にどんな意味があるのか、三番目にトランプが同盟関係を軽視していることだ。

韓国は金正恩が北朝鮮ICBM開発終了の見返りに在韓米軍の撤退をトランプに求めるのではと懸念している。金正恩は韓国が米軍経費負担に合意していない状況を知っており、韓国のために米軍を危険に犯す必要はないと主張してくるのではないか。

仮にそんな合意が生まれれば、トランプではなく金正恩が史上最大の取引成約者となり、核武装した北、世界第四位規模の軍組織と南の吸収合併を当然視するイデオロギー存続を米大統領に認めさせたことになる。トランプは韓国と北東アジアを喪失した大統領として記憶されるだろう。

金正恩にとって在韓米軍は大きな脅威であり、核兵器を米国に向けているのはそのせいだ。だが在韓米軍の存在は北朝鮮の南進を阻止する抑止力だ。米軍が去れば金正恩には分割統治戦略を実現する好機が生まれ、韓国併合に向かうだろう。米軍が朝鮮半島を去れば武力衝突の発生は必至だ。

だがトランプが最大の外交上の成果を手に入れたようにまず映るはずだ。ワシントンは行き詰まった韓国との在韓米軍経費負担交渉の継続は断念し、米韓関係は最低水準にまで下がる。米側は「心理マジノ線」と呼ばれる年間一兆ウォン(12億ドル)の負担水準の突破を韓国に求めているが、韓国政府は承服できないとしている。金正恩はここでナポレオンの法則を使うだろう。「敵が過ちを冒している際には決して手を出してはならない」

もちろんこうした意見衝突を超えた意味が同盟関係にある。ただいトランプは同盟関係を軽視してやまず先回のシンガポール会談では韓国から米軍を呼び戻したいとさえ発言している。シリアやアフガニスタンでも同様の発言があり、実際に両国から部隊撤退を命じているので今回も大統領の発言内容を真剣に受け止めるべきだろう。
負担分担を巡る堂々巡りに北朝鮮のICBM戦力解体が加われば大統領は撤退を命じてしまうかも知れない。金正恩が自国ICBMと核弾頭を中国に譲渡する可能性が浮上している。

トランプがそんな提案を目の前にしたら可能性はふたつだ。まず受け入れれば朝鮮は米防衛線の外側とした1950年の過ち以上の規模で戦略的誤謬となる。1950年にはそれを聞いて金日成が南侵攻を開始した。

二番目は金正恩と全力で対決した指導者としてトランプが歴史本に名を刻むことだ。金正恩がICBMを断念すると認めるとすれば実はICBM戦力を大規模に保有していないためであり、金王朝でも最高水準の交渉戦術を使ってい代償なしで結果を得ることになる。トランプに本国防衛へ集中させながら韓国を放棄させれば朝鮮半島内の戦闘をまきおこさせることになる。

米軍が半島から本国に戻れば金正恩は安全を感じ満足するだろうか。2018年4月の板門店宣言およびシンガポール首脳会談声明の双方で朝鮮半島全土の非核化が金正恩の目的と述べている。この意味を理解するためには米国は1991年以来朝鮮半島内に戦術核兵器を持ち込んでいない事実を理解する必要がある。ただし金正恩は在韓米軍の存在、戦略装備の展開、抑止力の拡大は韓国を「核化」するのと同じと考えているのである。金正恩が「非核化」を口にする際は「在韓米軍」のことを指す。

金正恩は米国と自国の関係改善への前向きな姿勢も話題にしている。また米国の「敵対政策」の終了も口にしている。だが北朝鮮指導者の真意はここでも米軍部隊の撤退なのだ。

同様に金正恩が安全保障上の保証を求めていることに混乱する向きがある。金正恩の視点では公式文書や署名は保証として不十分である。そこで物理的な保証を求め、ここでも米軍撤退を意味し、同盟関係の終了、抑止力整備の中止、韓国と日本への核の傘提供の終了を求めている。

米本土への脅威を除去すべく「大安売り」すれば米国の対北朝鮮取引も不成功に終わる。トランプにとって唯一の実質的な勝利は南北統一朝鮮国家の出現まで朝鮮半島での戦闘事態勃発を防止することだ。非核化と米国本土や同盟各国への脅威を除去するには他に手段がない。■

David Maxwell, a 30-year veteran of the United States Army and retired Special Forces colonel, is a senior fellow at the Foundation for Defense of Democracies.

2019年2月5日火曜日

ドイツ次期戦闘機選定でF-35が落選、ロッキードにはショックか

Germany drops F-35 from fighter tender; Boeing F/A-18 and Eurofighter to battle on ドイツが戦闘機選定でF-35を外し、ボーイングF/A-18とユーロファイターの一騎打ちに


イツはトーネード後継機にユーロファイターあるいはF/A-18のいずれかを候補とし、ロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機は選択肢に入れないことにすると国防省筋が1月31日明らかにした。
同省はボーイングエアバス双方から詳細情報を入手後に機種選定するが、条件は米国の核兵器を運用能力があることで、ドイツのNATOにおける責務を果たすことだ。
決定の工程表は不明だが米政府による核兵器運搬能力を両機種で認証する時間が必要となる。ドイツはトーネードを85機運用中だが核兵器運用機は一部だ。
ドイツ空軍では最も初期に導入したユーロファイター33機の老朽化でも対応を迫られており、性能向上型の新型ユーロファイターに置き換える。エアバスには30億ユーロ(34億ドル)相当の商機となる。
ボーイングはF/A-18の売り込みに際して同機の稼働率の高さ、比較的低コストな運用、強力な電子戦能力を強調している。
今回のドイツ決定はロッキードには手痛い結果となり、F-35ではベルギーと並び新規販売を皮算用していた。
.昨年ドイツ空軍参謀総長はF-35を強く推して更迭されている。
エアバスはユーロファイター機材更新案を歓迎しており、トーネード後継機でも同社製品の選定でリスクが最小限になると述べている。
ロッキードからはまだドイツ政府の決定は正式に伝えられていないとし、F-35が性能面で最高かつライフサイクルコストが最小になるとし、長期的に見た産業経済面の効果も強調する。
ボーイングおよび在ドイツ米大使館は論評を避けている。
.国防相ウルスラ・フォン・デアライエンは当初2018年末の選定としていたが、国防省で外部コンサルタントの登用他でスキャンダルが発生し混迷している。
軍事筋ではトーネードの就役開始が1983年で整備費用が高騰しており後継機種が早急に必要との意見が共通している。詳しい筋によれば同機を2030年まで運用すれば80億ユーロが必要という。
機種選定に近い筋からは国防省は米国製機材のいずれかとユーロファイターの同時採用を模索中との指摘が昨年出ていた。ユーロファイターはエアバス以外に英BAEシステムズ、伊レオナルド SpAも生産に加わる。だがドイツは一機種に絞るようだ。

ドイツに一番近いフランスはF-35を採用すれば2040年を目標に仏独共同開発をめざす新型戦闘機開発構想が実現しにくくなると警告していた。■

2019年2月4日月曜日

今年は日英が戦略的同盟関係を模索する年になるか

日本国民の関心は周囲の近海に偏りがちで思考がグローバルにひろがりにくいのはなぜでしょうか。その点で安倍外交が国民の先を走れば走るほど国民に違和感が残りそうです。そもそもホルムズ海峡の危機は日本にとって「周辺事態」ではないとどうして言えるのでしょうか。国境線しか頭にない方には利益線は受け入れられないでしょう。日英接近はその意味で思考を試す機会になりそうです。英国原稿なのでdefenceになっています。思えば英語もこれまで米語中心ですが、そろそろ多様性に目を開いていいのではないでしょうか。

Is increased UK-Japan defence cooperation leading to a new strategic alliance? 日英の防衛協力強化は新たな戦略同盟関係につながるか

Rob Clark
January 30, 2019

At a time of reduced certainty surrounding the security of both the UK and in particular Japan, these two island states are looking at increased military cooperation in order to maximise their respective capabilities. 安全保障環境で不確実性が増す中で共に島しょ国家の両国が防衛面の協力関係を強化して能力を最大限に引き出そうとしている。

年は日英両国にとっては安全保障防衛関係で良い結果を生むべく課題にとりくむ年になる。
安倍晋三首相の1月訪英で両国関係が改めて注目された。これまでの一年半では2+2含む大臣級会合に加えメイ首相の2017年訪日もあったが今回の首脳会談で防衛関係のさらなる強化を目指した。特にサイバー、対テロ、英海軍と海上自衛隊の交流強化をめざし海軍間の関係強化を強調したのには理由がある。
HMS Albion proves big in Japan on landmark visit to Tokyo
東京へ寄港したHMSアルビオン

安倍訪英中にHMSモントローズの日本寄港予定の発表があり、過去12ヶ月で英艦艇の日本回航は4隻となる。違法な瀬取りによる北朝鮮への石油その他禁制物資の受け渡しを国連安全保障理事会決議2375号に基づき取り締まる任務もこなすが、両国海軍は昨年も共同演習を展開しており、HMSアーガイルの他、HMSサザランド、アルビオンが自衛隊艦艇に加わり、国際法に則った地域秩序の維持が日英両国の国益に叶うことを示した。
英国の視点でみると東南アジア新興国へのアクセス維持、国際通商航路をインド太平洋で維持することがEU脱退後の英経済の成長に不可欠である。日本の視点では米国との同盟関係がギクシャクする中で中核的権益の確保のためにも別の方法も模索したいところだ。従来の安全保障の枠組みを多様化させるのは米国の現政権と中国の軍事的台頭の2つが背景にある。
第二次大戦終結後の日本の安全は日米安全保障条約(1951年)で米国が模索し、1960年の日米相互協力安全保障条約では条約の終了を想定しておらず軋轢も増えている。2016年に共和党候補になったトランプが大統領当選の暁には米国による日本防衛の責任を見直すと発言し、日本の核武装さえ容認した。こうした可能性は幸いにも実現していないが、トランプは安全保障では日本に有利と見ており、日本では日本の弱点を不安視する声が強まっている。
トランプ率いる米国の修正主義で改めて弱点が浮き上がり、さらに中国が強気に出る傾向が強まるなかで日本は三方面で打開策を模索している。まず、いずも級ヘリコプター空母を限定的とはいえ航空母艦に改装することがあり、F-35十数機を搭載する。日本は100機超を80億ドルから130億ドルで米国から導入する。
HMSサザーランドがJSときわから洋上補給を受ける

ステルス戦闘機導入ができたのは防衛費の増額で2019年から2024年にかけ1,880億ポンドを支出するのが第二の方策だ。防衛予算が国会を通過したのは中国の海軍空軍の活発な動きへの対応が念頭にあるためだ。とくに東シナ海の尖閣諸島方面が懸念対象だ。
三番目があらたな提携先を模索し、米国との同盟関係の脆弱性を担保したいとする。このため安倍はロンドンに赴き、メイは東京を訪れ、その他高級大臣訪問が続いた。
英国はEU離脱に備える中でヨーロッパの安全は比較的恵まれていると見ており、英国はスエズ以東に目を向け、急拡大するグローバル市場としてマレーシア、ヴィエトナム、香港、インドネシア、シンガポール、インドとの提携を強め、オーストラリア、ニュージランド、インド、日本との既存防衛関係を強化すべきである。
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英フリゲート艦が海自艦船と太平洋を航行している

日本の自衛隊との共同作戦体制を強化し英国は自国権益に不可欠な通商と資本移動の自由の維持ならびにグローバル規模で法の支配による秩序維持につながる関係の構築をめざしている。
これまで18ヶ月の努力を元に戦略的な同盟関係が日英両国で生まれれば双方にとって有益な成果を今後期待できるはずだ。■

2019年2月3日日曜日

中国がDF-26を初めて発射テストしたが、空母にどこまでの脅威になるのか

Report: China Tests DF-26 "Carrier-Killer" Missile (Should the Navy Be Worried?) 中国が「空母キラー」DF-26ミサイルをテスト発射したが米海軍の心配の種となるのか

The test proved the DF-26 can strike moving targets thousands of miles away, Chinese media claimed. 中国メディアは数千マイル先の移動目標を狙う能力がDF-26にあると伝えているが....
January 30, 2019   Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-26DF-21DASBMMissilesNavyU.S. Navy


DF-26弾道対艦ミサイルを北西部に移動させたとの発表から数週間で中国ロケット軍が数発を試射したと国営通信が伝えている。
報道では数千マイル先を移動中の標的も十分狙う性能が実証されたとする。理論上はDF-26で米海軍空母やグアム島の基地を狙える。
専門家には同ミサイルの命中精度に疑問の声があるが、米軍はDF-26をにらみ対抗装備を導入ずみで、さらに高性能のミサイル防衛も開発中だ。
人民解放軍ロケット軍の実弾ミサイル発射演習は中国北西部のどこかで実施されDF-26の2発を発射したと環球時報が1月24日に伝えている。.
PLAがDF-26十数発を中国内陸部に移動させたのは1月初めに米海軍艦艇がパラセル諸島に接近したことをうけてで、パラセル諸島近くを「航行の自由作戦」でUSSマクキャンベルが姿を現していた。
マクキャンベルはSM-6ミサイル運用が可能で理論上はDF-26を初期加速段階で迎撃し最終段階でも迎撃できる射程130マイルを誇る。
SM-6は米海軍巡洋艦駆逐艦に配備され2015年から三年連続で迎撃テストに成功している。
DF-26発射装置を内モンゴルに移動させるとパラセル諸島からはおよそ2千マイル離れるが中国は打ち上げ直後の同ミサイルの防御を念頭においているようだ。「移動式ミサイルを内陸奥地から発射すれば迎撃はそれだけ困難になる」と環球時報は軍事専門家の発言として伝えている。
発射直後でのDF-26迎撃は不可能としても2千マイル先の艦艇に命中させる精度があるか不明だ。「DF-26の命中精度は不明だが誤差150ないし450メートルとの観測がある」と戦略国際研究所は述べている。
だが2019年1月末の試射は懐疑派の見解があやまりだったと示している。
DF-26には制御面が4点あり「超越した制御性能で弾頭を低速移動中の空母に誘導できる」と環球時報はPLA元関係者の発言を伝えている。
目標に向け制御すべくDF-26にはレーダーがつくが同時にデータを外部からも受信すると環球時報が伝える。「情報ネットワークと接続させ衛星、地上及び海上レーダー更にミサイル自体のレーダーで飛翔を制御しつつ弾頭を誘導する」のだという。
DF-26の命中精度を疑う声もあるが、ペンタゴンは座して待っているわけではない。2018年時点でイージス駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛能力を付与したのは38隻でSM-2、SM-3、SM-6を搭載している。2019年には41隻にする。
米海軍はSM-3のミサイル迎撃能力の向上策としてICBMの最高飛翔点や中間段階での迎撃も可能にする予定だ。
.米ミサイル防衛庁からはSM-3ブロックIIAでICBM迎撃を2020年にテストすると発表があった。SM-3で中間段階ICBMの迎撃に成功すれば、DF-26も中間飛翔段階で迎撃できるはずだ。
だが米国による中間段階ミサイル迎撃能力に懐疑的になる理由がある。SM-3は2002年以来のテスト42回で9回も迎撃失敗している。またテストの多くが現実より甘い条件だったり、中間飛翔段階ではなかった。
2017年5月に米陸軍の地上配備中間飛翔段階防衛の迎撃ロケットがICBMに類似した標的を太平洋上空60マイルで迎撃に成功した。だがこのテストもペンタゴンの宣伝するような現実的な条件では行われていない。
憂慮する科学者連盟のローラ・グレゴがテスト内容を検討したが標的ロケットは実際のICBMよりかなり低速だったという。
陸軍の中間段階防衛構想も現実には機能しない可能性がある。海軍のSM-3も同様だろう。ただし米艦船は無防備になるわけではない。最後の数秒間で飛来するミサイルを狙う可能性は残されている。
これだとギリギリの対応だ。迎撃が失敗すれば米艦艇は目標を外すよう祈るしかない。いずれにせよ中国が1月に行ったDF-26テストでは標的を外すリスクそのものを最小にするねらいがあった。■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

2019年2月2日土曜日

★★ペンタゴンがF-35性能に厳しい評価を下している F-35Bは大幅に耐用年数が短いと判明

The Pentagon's newest assessment of the F-35 is in, and it's not good ペンタゴンによるF-35最新評価は芳しくない内容
Jared Keller,


A formation of F-35A Lightning IIs, from the 388th and 419th Fighter Wings, fly over the Utah Test and Training Range as part of a combat power exercise on Nov. 19, 2018.ユタテスト訓練場上空を388戦闘飛行隊、419戦闘飛行隊所属の機体が飛ぶ。2018年11月19日の戦闘力実証演習にて。U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee


  • 国防総省によるF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の評価内容をBloomberg Newsが入手。予算大幅超過しながらトラブル続きとの評価を大幅に変える内容ではない。
  • 評価で取り上げた問題には耐用年数が予想より短くなること、対地攻撃精度が低いことなどが含まれる。
  • 国長官代行は同機に対して厳しい目を向けている
突出するほど高額でありながら信頼性が低迷するF-35共用打撃戦闘機は予想以上の失望対象だとの国防総省評価内容をBloomberg Newsが入手した。
2018年作成のペンタゴン内運用テスト評価部門の報告書を公表にさきがけBloombergが入手したもので信頼性問題のため耐用年数が大幅に短くなる等を指摘し、既存機体の訓練や戦闘任務で「改善の方向は見えない」としつつ今後も問題が残ったままの機体になる危険に触れている。
Bloomberg記事は以下のポイントを伝えている。
  • F-35Bの耐用期間は「最低2,100時間」とこれまでの説明の8千時間から大幅に短くなる
  • 「信頼性と整備性は想定の8割で未達」とあり、訓練等に利用できる機体は少なく、稼働状況が悪い
  • サイバーセキュリティ・テストで露呈した弱点が「未だに解決されておらず」サイバー攻撃の高まりのなか懸念される。
  • 空軍の兵装テストで対地攻撃を試みたが精度は「不合格」で1月はじめにF-35Aが地上標的5点を同時攻撃するビデオを何者かが意図的にリークした背景がわかる。
前日に国防長官代行パトリック・シャナハンがF-35には「もっと高い性能発揮の可能性がある」と同機の弱点を厳しく批判する場面があった。
「納税者に対して見合った装備なのか疑う見方をしている」とシャナハンは1月29日述べ、「F-35にはもっと高い性能を示してもらいたい」
これに対してロッキード・マーティンのCEOは反論として投資機関向け電話説明で「F-15を発注してもF-35の導入機数を犠牲にすることはない」と述べたとワシントン・ポストが伝えている。「ペンタゴン上層部からこのことは直接聞いた。よってこの件について心配はない」
F-35事業は55年間供用想定で総額1.5兆ドルとなり、機体単価は2020年までに80百万ドルになる見込み。■
Read the original article on Task & Purpose. Copyright 2019. Follow Task & Purpose on Twitter.
こういう記事をご紹介するので当方はF-35に批判的とされるのでしょうね。しかし、本家本元のペンタゴンでこういう評価が出ているのは事実。情報が開かれている米国ではやはり納税者の視点が怖いのでしょうね。

2019年2月1日金曜日

ヴァージニア級最新艦の特徴とは、着実な技術進歩が戦略思考の先見性を実現する



Meet the Navy's Deadliest 'Stealth' Submarine to Ever Sail 最高レベルの戦力となった「ステルス」潜水艦が就航



USSサウスダコタの命名式が2018年10月14日にジェネラル・ダイナミクスのエレクトリックボート事業部のあるコネチカット州グロートンで行われた。
米海軍で「静粛化」装備、新兵装、次世代ソナー、高性能海中戦技術を搭載して新型潜水艦部隊が導入されつつある。今後は大規模対地攻撃、特殊部隊の「極秘投入」、偵察監視活動を探知されずに実施できる。
USSサウスダコタは最新のヴァージニア級攻撃潜水艦で2019年に公試を行い就航する。
「ヴァージニア級第5ブロック艦では設計変更が最初から盛り込まれています」と海軍海洋システムズ本部報道官ウィリアム・カウチがWarrior Mavenに説明してくれた。
改良点の多くは試作段階でテスト中だがUSSサウスダコタが就役するまでに制式化される。
同艦に盛り込む技術は関係者が「建造史上最も静か」と呼び2020年代初め稼働を目指す。
保安上の理由で技術内容は不明だが、関係者の話を総合する機関室の静粛化、新型大型垂直アレイ、追加「静粛化」塗料を船体に施したこと等のようだ。
米潜水艦部隊は「音響超越性」で敵の支配海域で探知されずに攻撃ミッションあるいは探知できる。しかも敵能力を超えた距離からこれができる。現在の海中戦闘戦略構想は技術進歩に助けられ攻撃型潜水艦で偵察行動を極秘に行う装備が実現している。
攻撃型潜水艦に海中偵察任務を攻撃任務より重視する傾向の源が1997年に国家研究評議会が発表した「2035年の潜水艦像」に見られるのは興味深い。
「情報収集:戦術情報や国家情報収集を長期間継続する事で秘密裏の監視活動が戦闘開始前、開始後に必要だ」とあり、すでに戦略思考が生まれており、裏付けとなる技術の実現を待っていたことがわかる。
「極秘投入」も同論文が提唱しており、探知性が大幅に減るのを前提としていた。潜水艦で敵沿岸に近づき監視活動、偵察あるいは攻撃をしたり、『秘密裏に」部隊を投入できる。
「陸上部隊を各種編成、規模、戦力の組み合わせでこっそり投入する有利なタイミングを決定し、必要に応じ現地で監視偵察が可能となる」と同論文は指摘していた。
USSサウスダコタに採用された新型塗装の技術情報は当然ながらお伝えできない。これまでゴムタイヤでソナー音を吸収すると言われてきた。またプロペラは低速でも十分な推力を実現しながらカビテーション発生を最小限にし、特徴のある音響効果を水中で産まない工夫がされている。
音響センサー技術で海底地形を把握し、敵艦の速力距離を測定し、接近する敵兵器を探知する。レーダーで返ってくる電磁信号を使い状況を把握するのと似ている。海中音響技術は「パッシブ」が大半であり、入ってくる音を聞くことで把握を目指しながら自分の居場所をわざわざ教える信号は送らない。
海中での高速の高周波双方向通信は困難だが潜水艦では極低周波で海中の各深度でも交信可能と海軍技術開発部門の経験者がWarrior Mavenに数年前に語ってくれた。
戦闘力の大幅向上
ブロックVのヴァージニア級攻撃潜水艦では84フィートを挿入し攻撃力の大幅増加をめざす。
ヴァージニア・ペイロードモジュール(VPM)は2020年代までに実用化し、トマホークミサイルをこれまでの12発から40発に増加させる。
VPM搭載艦は84フィートの追加部分を挿入しヴァージニアペイロードチューブ四門(VPTs)で各7発のトマホークを運用し、合計で40発発射できる。
VPMではトマホーク以外に新型ペイロード、新型ミサイル、あるいは大型無人水中機を運用できると海軍は説明。
VPMを搭載する理由は明白だ。2020年代に入ると四隻残るオハイオ級誘導ミサイル潜水艦が退役をはじめ各154発のトマホーク発射能力が姿を消すからだ。
2002年から2008年にかけ米海軍はオハイオ級ミサイル原潜の初期建造艦を通常型ミサイル運用専用とした。USSオハイオ、ミシガン、フロリダ、ジョージアの各艦だ。SSGNとしてG(誘導ミサイル)を加えた呼称とした。
新造艦で新技術が導入されるが就役済み艦でも応用されそうだ。
「新装備は今後建造する艦に導入されますが、既存艦にも後付装備されるでしょう」(カウチ)■


Kris Osborn of Warrior Maven previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and an-air military specialist at national TV networks. He has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

ブロック建造方式で基本設計をの艦を長期間建造しながら技術の進歩を取り入れ戦力を順次拡大する米国のアプローチは調達数がそもそも多いから可能なのですが、初期建造艦と後期艦で能力が大幅に異なるのが特徴です。逆に言えば最初の設計から拡張性を前提にしているのでしょう。アーレイ・バーク級は70隻以上、ヴァージニア級は40隻あまりの建造ですからね。日本ではそうりゅう級12隻というのが最多でしょうか。米海軍ではそれだけにスタート時の設計が重要で今後出てくるFFG-X等の姿が注目されます。

2019年1月31日木曜日

新型機登場 ロシア大型UCAV? オホートニク

Russia's Next Deadly Weapon: A Stealth, Jet-Powered Robot Warplane ロシアの次世代兵器か、ステルスロボット軍用機登場

Okhotnik-B could see squadron service.オホートニク-Bは実戦配備の可能性が高い

January 28, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaMilitaryTechnologyWorldStealthDrone

シアがステルスロボット軍用機を開発中だ。クレムリンはこれまで殺人無人機は配備していなかったが今回は実用に耐える第一線機材になりそうだ。
オホートニク-B Okhotnik-B 無人機の不明瞭な画像が2019年1月23日に航空関連ウェブサイトに現れた。写真では約50フィート幅の無人航空機がロシア南部ノボシビリスクの滑走路に移動する姿が写っている。
機体は全翼機で米空軍のB-2ステルス爆撃機に通じるものがあるが、オホートニク-B(ロシア語で狩人)は理論上は敵防空網を突破し兵装を投下する機能がある。
オホートニクは中国の天鷹 Tian Ying 無人機、米空軍のRQ-170偵察無人機、米海軍の試作UAV X-47B、ボーイングのX-45C実証機と同等の機体だ。
このオホートニクがロシア空軍に配備される可能性は高いとロシア軍事航空関連に詳しいトム・クーパーが語る。「ロシア軍にはUAV関連事業が複数あり、今回の機体登場は至って正常な進展だ」
クーパーはさらにオホートニクはロシアが「これまでの開発の流れの一貫にすぎない」と表現。
ただし毎回こうではない。2007年に軍用機メーカーのミコヤン・グレヴィッチからスカット Skat UAV試作機がオホートニク同様に全翼機ステルス機の触れ込みで登場した。だがロシア経済の不振で国防費が伸びず、スカットは行き場を失った。10年かかったがロシア政府の予算がやっと増え、シリアでの手痛い経験からUAVが実戦配備されるめどが見えてきた。
クレムリンは無人機事業を大幅拡大中とロシア軍に詳しいサミュエル・ベネディクトが報道記事で語っている。.
2018年12月中旬に「ロシア国防省から無人機分野で重要発表が出た」とベネディクトは述べている。「シリア介入を2015年に開始した時点でロシアには中核となる戦闘能力が欠如していた。つまり識別後直ちに攻撃する能力でこれこそ各国の無人戦闘機材の中心性能だ」
「ロシアはシリアでこれを強く意識したが情報収集監視偵察(ISR)用の無人機はあっても攻撃は有人機や砲兵隊が行っていた。そのため攻撃用UAV各種を取り揃えようと必死なのです」
「ロシア政府公式発表や軍幹部も無人機が軍で必要だ、戦闘に必須だと述べています。最近もプーチン大統領が2019年の軍で重要な分野に無人ロボット装備の開発を特に言及しています」
オホートニク以外にロシア無人機には米軍のリーパーに似た存在のフォルポスト Forpost 中距離無人機があり、「ないのは12時間から24時間飛べる偵察UAVだけです」とクーパーも言う。「過去三年間のシリアでもこの機種は登場していません」
クレムリンは長距離ISRも開発中だが、アルティス Altius で苦労している。「生産が遅れ、必要な中核技術、ハイテク部品が足りず数カ年分遅れているのです」とベネディクトは解説する。
だがオホートニクはうまくいくかも知れない。2019年は「ロシア国防部門にとって恵みの年となり短期間でも『飛躍』となり同機が飛行し、攻撃テストするかも知れません」とベネディクトは見る。
「同機が配備されれば最大かつ最高速のロシアUAVになりますがテスト評価が未完成で設計性能の時速620マイルと重量20トンは未確認、ということは空力性能、電子ハイテク機能など多くが未解決ということです」
第一線で機能するためにオホートニクには小型精密誘導爆弾も必要とクーパーは指摘するがロシアはこの分野で世界水準から遅れている。
オホートニクの実戦配備には相当の年数がかかりそうだが、ロシア側要員は準備できているとクーパーは指摘する。「UAVパイロット、地上要員の第一陣は四年間の訓練を終えており、小型UAVならシリアでたくさんの経験を積んでいます」■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.
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