2019年3月7日木曜日

北朝鮮に米空母撃沈は可能? 答えはYES


North Korea vs. a U.S. Navy Aircraft Carrier (Who Wins?)

北朝鮮が米海軍空母に挑めばどうなるか
You might be suprised.  驚きの結末になる
March 6, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaMilitaryNavyAircraft Carrier

朝鮮軍に米海軍空母撃沈は可能か。可能だが空母のタイプによるし、米海軍司令官の空母配置場所や北朝鮮軍が戦術上の利点を活用できるかにもよるし、戦闘で幸運に恵まれるのがどちらかでも変わる。運とは実に簡単に相手を替え一旦手を離れても戻ることが戦闘では往々にしてある。米空母が水中、空中から攻撃にさらされるか疑問だが戦闘で絶対にない、とか必ずこうなると断言するのは愚者のみであり、劣勢な勢力が強力な相手に逆に勝つこともよくある。
これを前提に可能性を見てみよう。.
まず、予備知識だ。DPRK海軍が水上艦を沈める能力があることは判明している。まさしく2010年にこれが発生し、潜水艦が韓国海防艦ROKS天安を撃沈した。同艦は単独行動しており空母や揚陸部隊の場合とは違い護衛艦と同等の対潜装備がなかったのは事実だ。だが天安事件は一つの根拠となり、水中戦では旧式ディーゼル潜水艦で鈍足でも静かに敵に接近し攻撃撃破が可能だ。韓国海軍艦艇が新型で乗員に高度能力があってもこれだったので米海軍で同じ事が起こってもおかしくない。
弱小海軍が潜水艦で強力な敵に対決した事例は多い。1982年に英海軍任務部隊がフォークランド諸島防御にあたる中で英国の対潜装備全部をもってしてもアルゼンチンの209型ディーゼル電気推進潜水艦ARAサンルイ一隻を掃討できなかった。アルゼンチン艦長は艦を海底に安置し捜索を逃れたとのことである。推進を止めれば機械音が消え同艦は探知されなかった。第二次大戦中の戦術が洗練され弱小国でもNATO加盟国の高度の対潜能力の裏をかいたわけだ。
2006年の例もある。中国の039型宋級ディーゼル潜水艦がUSSキティホーク空母打撃群の防御陣を突破し空母から5カイリ地点に浮上した。空母群は対潜警戒態勢をとっていなかったが、米海軍が潜水艦接近を探知できなかったことが警戒を呼んだ。対潜戦は簡単ではないが米海軍は冷戦後に腕を磨いていないことが問題だ。その時点で海軍上層部は「抜本的にこれまでとちがう海軍部隊」に変革する決意をいだき、水中戦の遅れを取り戻そうとした。
各評論家がこのときの潜水艦を「ステルス」と表現したことに興味を感じる。ステルスの語には魅了するものがあり多用の傾向があるが、そもそも潜水艦はすべてステルスだ。ステルスでない潜水艦は海底に眠る残骸だけだ。DPRK潜水艦は撃破されずにその利点を活用できる有利な状況をつくろうとするはずだ。たしかに米空母は強力な装甲や攻撃力があり推進派はそこを強調するが、沈めることは決して困難ではない。ほぼ一世紀に渡り、装甲艦といえども空中から、水上で、あるいは水中から攻撃を受け沈没する事例はたくさん見てきた。米海軍は対艦攻撃能力を75年にわたり磨いており現在はさらに精密攻撃手段も実用化されている。DPRK海軍を相手に傲慢な態度を取る根拠はない。
二番目に、相手にする空母部隊のタイプ次第でDPRK海軍の勝ち目は変わる。空母打撃戦闘群の中心は原子力空母(CVN)で揚陸部隊の強襲揚陸艦(LHD、LHA)と全く違う。CVNも“amphibs”のワスプもF-35のような高性能機材を搭載するが大型CVNは一通り揃えた機材構成の航空戦力を誇り、支援機も運用する。またカタパルトもあり機材を発進させる。LHDやLHAはCVNの半分程度の艦体でカタパルトをもたず、ヘリコプターとF-35を運用するが作戦半径は正規空母より短い。
揚陸部隊は北朝鮮航空部隊にとって相手にしやすい存在になり、ロケット砲兵隊や海軍部隊も空母より楽に対応できる。米海軍は朝鮮沿岸地方の戦況が落ち着くまで揚陸部隊を前面に出さないはずだ。揚陸部隊が海岸線に接近するのは空爆やミサイル攻撃で対艦兵器の脅威を一掃してからのことになる。これで揚陸部隊の防御力でも対応可能となる。つまり米海軍が部隊をどこに配備するか、作戦手順をどう編成するかで空母が北朝鮮空軍、水上艦、潜水艦、対艦ミサイルの脅威にさらされるかが変わる。
米国では北朝鮮の偵察能力は初歩的だと見る傾向がある。海域は相当広く、空母打撃群も小さな存在になる。だがその探知は決して難しくないし、外海で捕捉・交戦も同様だ。中国人民解放軍海軍がこの事実を1995年96年の台湾海峡危機で発見した。ビル・クリントン大統領が空母群二個を総統選挙を控える台湾付近に展開させ中国の軍事行動を抑止した。中国は西太平洋を遊弋する米海軍部隊に照準をあわせられず探知もできなかったことに表面上なっているが、北朝鮮が当時より進んだ効果を実現できない理由はない。すくなくともDPRK軍にはPLAから提供された情報がある。中国としては1995-96年の借りを代理勢力で返したいと思うだろう。
だが三番目に戦略面の大家から警句が鳴らされており、クラウゼビッツは運と不確実さが戦いの環境を形作ると述べ、最高にまで賢明な軍指揮官でさえ全てを思いのままにできないとしている。エドワード・ルトワークは平時なら合理的な費用効果の比較で行動するものの戦闘部隊は「皮肉な逆転現象」を有事に体験する、つまり戦場では運不運が逆転するということだ。ともすればこの事実を無視したり幸福感で無理な見方におちいりがちだが突如不利な状況や敗北を喫することがあるということだ。
ルトワークの言う「逆説論理」は戦略面で例外を認めず、米海軍航空部隊でも同様だ。従って北朝鮮相手の海軍戦略の枠組みは自信をもって準備し、過剰な自信は慎むべきだ。■

James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and is coauthor of Red Star over the Pacific (second edition forthcoming 2018). The views voiced here are his alone.

Su-35はどうやってF-22の探知追尾に成功したのか----ステルス技術は万能ではない

ステルスの過信が危険であることを物語るエピソードであり、技術進歩が現在のステルス機を一気に陳腐化させる危険性を示しています。対抗措置が出ればその対抗....と終わりはないようです。

How did a Russian Su-35 Fighter Track a "Stealth" F-22 Raptor?

Or is this fake news?  ロシアのSu-35がF-22ラプターを追尾できたのはなぜか。それともフェイクニュースだったのか
March 4, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22MilitaryTechnologySu-57RussiaStealth

シアのスホイSu-35Sのパイロットと自称するものが投稿した写真に米空軍F-22AラプターがフランカーE搭載のOLS-35電子光学赤外線方式捜索追尾装置にその姿を捉えられている。
投稿写真の真贋は定かではない。ただし笑ってばかりいられない。写真撮影の意味を理解しないと判断が下せない。
近接距離ならラプターがSu-35の電子光学赤外線センサーにその姿を捉えられることは可能で、今回がまさしくその例なのかもしれない。(画像が本物だとして)民生用電子光学赤外線装置をFLIRシステムズが市販しているがこれでもF-22を近距離なら捉えることができる。2010年のファンボロー航空ショーで実証済みだ。F-22は遠距離なら赤外線探査装置を逃れる設計だが接近距離では話が違う。
近い距離からだとラプターも他の機種同様に赤外線センサーで探知できる。2009年の演習ではラプターがフランスのラファールの電子光学赤外線センサーにその姿を捉えられている。また2012年のレッドフラッグ演習がアラスカで開かれたがドイツ空軍のユーロファイター・タイフーンがおよそ20カイリ地点からラプターをEuroFIRST PIRATE赤外線探知装置で追尾した。
ロシアのOLS-35はPIRATEほどの性能はないがそれなりの性能のセンサーである。スホイによれば同装置は目標四機を同時に50キロ範囲(27カイリ)で探知でき90キロ(49カイリ)にわたり追尾可能という。精度が高い範囲はアスペクトアングルにより変わり、その他大気の状況によっても変わる。同装置にはレーザーもつき、20キロ以内で標的の距離を正確に測定できる。.
究極的には長波赤外線捜索追尾でステルス機も相当の距離唐揚tんち出来る。これがF-22にとって最大の脅威となる。米海軍のIRSTポッドのブロックIIでは高速度データネットワーク機能と高性能センサー融合を組み合わせてずば抜けた長距離ステルス対応能力が実現している。「個別の実験内容や脅威想定についてお話できないがIRSTは長距離ステルス対抗技術をめざしています」と海軍航空システムズ本部(NAVAIR)のデイヴィッド・キンドリー大佐が説明する。大佐はF/A-18およびEA-18G統括室主幹だ。
問題の本質は大気中を移動する機体が熱を発生することだ。「敵機がこちらに向かってくるとして低レーダー断面積の機体としましょう。それでも発熱は免れません」とボーイングでF/A-18E/FおよびEA-18Gを担当するボブ・コメゲイが語る。「これで敵がステルス機を開発しても対応可能です。Xバンドの有効範囲を外れて移動してもこちらは対抗が可能です」
従来は赤外線では距離データが得られず武器を有効に作動させられかったが、データネットワーク機能とコンピュータにより一変した。「単機のIRSTでビームを出してホットスポットと方角がわかるが距離は不明だ。これでは武器を有効に使えない。しかし2機のビームが二本あれば交差点で武器利用に十分な精度の演算が可能で対象を追尾できる。そのため戦闘には敵のレーダー探知範囲に入る前に敵を探知追尾できる」(コメゲイ)
赤外線がステルス機の脅威となる点を考慮の上、ペンタゴンは今後登場する機体の要求性能をまとめる必要がありそうだ。■

Image: Creative Commons.

2019年3月6日水曜日

★インドが旧型MiG-21でF-16に対抗させた理由とは

Why Did India Send Old MiG-21s To Take on Pakistan's F-16s?

インドはなぜ旧式MiG-21でパキスタンのF-16に対応させたのか
New Delhi claims they aren't that old after all.実は旧型機ではないとインドは説明
March 5, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: Mig-21MilitaryTechnologyWorldF-16


ンド空軍がMiG-21戦闘機をより新しいパキスタンF-16に対応させた決断を正当化している。
2019年2月26日、インド編隊はインド-パキスタンの事実上の国境線を越境し戦闘員訓練キャンプとインドが主張するバラコット付近を爆撃した。
その後数日間にわたり空中戦が続き、2月27日にはパキスタンF-16他の編隊が管理境界線を越えインド軍を攻撃してきたとインドは主張。
インドのMiG-21他戦闘機部隊がパキスタン機を迎撃しF-16の一機を撃墜し、パイロットを死亡させたとインド政府は発表。パキスタン政府によればMiG-21を2機撃墜したが、インドは撃墜は一機と説明した。
パキスタン軍はMiG-21パイロットのアビナンダン・ヴァルタムラン中佐を捕獲し二日間勾留した後でインドへ身柄を引き渡した。
インド空軍のMiG-21は性能改修を受けているものの30年以上供用されている。撃墜されたパキスタンのF-16はブロック52Dといわれ、2005年に米国に発注した機材だった。
「MiG-21を供用中なので投入するのはあたりまえ」とインド空軍司令BS・ダノア元帥が記者質問に答えた。
インドのMiG-21は1990年代に改装を受けた「バイソン」仕様で西側エイビオニクスを搭載しレーダー換装とレーダー警戒受信機を備え近代的兵装の運用を可能としている。「兵装を改善し、空対空ミッションの性能が上がっている」(ダノア元帥)
だが今回インドがMiG-21を投入した理由は同型多数がインド空軍で供用中だからだ。
「MiG-21で2月27日に撃墜された機体はインド8機編隊の一部でスホイSu-30の4機、ミラージュ2000の2機でパキスタン24機との交戦に向かったもので、パキスタンはF-16を8機、ミラージュIII4機、JF-17サンダー4機を送り込んできた」とDavid CenciottiがThe Aviationistで述べる。
インドはロシア製旧型機材の更新に長年取り組んでいる。2018年時点でインド空軍には1960年代製造の旧型MiG-21が244機、若干新しい程度のMiG-27が84機残っていた。
MiG-21は事故率が高く、計874機がインドで供用されたが490機が墜落し、パイロット200名が死亡している。
インド政府は予算180億ドルで新型戦闘機115機を製造し旧型MiGと交代させたいとする。新型機はヨーロッパ製機材のジャグア、ミラージュ2000、ラファール、MiG-29、Su-30、国産テジャスの各型と併用する予定でロッキード・マーティンはインドを「世界最大の各種戦闘機が共存する環境」と呼ぶ。
この115機には改良型F-16(ロッキードが「F-21」と呼ぶ)、ボーイングのF/A-18E/F、ラファール、ユーロファイター・タイフーン、グリペンE、MiG-35、Su-35が候補となる。インド企業がライセンス生産する。
ロシアはインドで供用中のSu-30の改良型を売り込みたく、Su-35の採用を期待している。
インド側の調達手続きが複雑なため空軍は今後長きにわたり新型機と旧型機を同時運用することになりそうだ。
多様な機材の混合部隊が実戦で真価を発揮できないわけではない。旧型MiG-21でも正しく運用すれば威力を発揮する。
新型機や高性能兵装が必ず勝利する保証はない。考慮すべき要因としてパイロット技量、支援機や地上の支援がまずあげられる。
だがなかんんずくRoE交戦規則が重要で、発砲前に視界内で敵の確認が求められれば戦闘機は接近せざるを得ずMiG-21の餌食になることはありうる。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels   War Fix , War Is Boring  and Machete Squad .

Image: Creative Commons.

新型機登場 ボーイングが有人機と共同運用が前提のATSをオーストラリア開発機として発表

なるほど今回発表の無人機では機体性能はともかく、オーストラリアで設計開発し民生モデルで今後グローバル営業して言うことに意味があるようです。ISRやEW任務以外にどこまでミッションが広がるのか、機体に拡張性がどのくらいあるのかに関心が行きがちですが、もっとビジネスモデルに注目しないといけませんね。
Aviation Week & Space Technology

Boeing Unveils 'Loyal Wingman' UAV Developed In Australia

ボーイングが「忠実なるウィングマン」UAVをオーストラリアで発表
Feb 26, 2019Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
UAVs



ーイングがはじめてグローバル市場売り込みを狙う機材の国外開発に踏み切った。オーストラリアで技術開発した空軍力合同化システムAirpower Teaming System (ATS) は一見戦闘機のような形状の無人機で有人戦闘機や偵察機と一緒に運用する構想だ。
実寸大のモックアップATSがオーストラリア国際航空ショーで発表された。機体はボーイングオートノマスシステムズとファントムワークスのオーストラリア事業所が開発したもので実証機は来年に初飛行の予定。
ボーイングが自社開発した形だがオーストラリア空軍(RAAF)の予算も使っており、現地サプライヤーも参加しているATSはオーストラリアで生産し世界各国に売り込む構想だ。
ATSの狙いは有人機を補完しつつ費用は数分の一兎する経済性で将来の脅威に対抗することにある。だが海外開発のため米国仕様専用とせずに各国のニーズに柔軟対応することもできる。
実証機は「忠実なるウィングマン」高機能開発事業Loyal Wingman Advanced Development Programとして40百万豪ドル(28.5百万ドル)を4年間にわたりオーストラリア政府から得ており、ボーイングも62百万豪ドルを研究開発に投入している。
全長38フィートの機体はステルスを意識し、ラムダ型式の主翼、尖った空気取り入れ口、バタフライ状の尾翼があり、民生ターボファンエンジンを搭載する。型式は不明だが小型ビジネスジェット用のエンジンだろう。ATSは単独でも有人機と連携しても運用可能で人工知能で安全な距離を維持できる。
性能データは少ない。航続距離は2,000カイリで一緒に飛ぶ他の機材に追随出来る速力があり、オーストラリア空軍にはF/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘機、EA-18Gグラウラー電子攻撃機、早期警戒機E-7Aウェッジテイル、P-8Aポセイドン哨戒機と全てボーイング製機材だ。
同無人機は低コスト、モジュラー構造で柔軟対応が可能で各種ミッション用に簡単に調整できる「スナップオン、スナップオフ」式のペイロードを特徴とするとボーイングオートノマスシステムズ副社長クリスティン・ロバートソンが説明している。まず情報収集監視偵察任務と電子戦任務を想定した機材とするという。
ATS設計のもととなったのは品質と数量のバランス、急速に変化する脅威への対応、有人機の高価格が各国の国防予算で圧力となっている顧客との話し合いだったという。「世界市場を見ると少ない費用で多くの性能を求めるのが普通です」(ロバートソン)
「世界各国は戦力効果の最大化と拡大を目指しています。自律運用装備と関連技術で一気に低価格と品質が実現し既存機材を補完する手段が実現します」とロバートソンは述べた。ボーイングは低コストの機体、装備を有人機と組ませて運用すると大きな優位性が生まれるとATSの利点を強調する。
UAV
ボーイングは2月27日、オーストラリア国際航空ショーでATSの実寸大模型を公開した。Credit: Boeing


「世界各国を見回して見ると民生製品と同じ方法での対応が必要とわかりました。オーストラリアとの連携に注目し、結果としてユニークな手法が実現したと思います』(ロバートソン)
ATSはオートノマスシステムズの商品の一部で同様にボーイング傘下のインスティチュの小型戦術無人機、リクイドロボティクスのウェイブグライダー無人海面機、ボーイング自体のエコーヴォイジャー大型潜航艇も他にある。さらにX-37B再使用可能宇宙機もあり、ファントムエキスプレス再使用可能打ち上げ機はDARPA向けに製造が進んでいる。ボーイングではQF-16標的機を米空軍向けに改装しMQ-25艦載無人給油機を米海軍向けに開発中だ。
ファントムワークスも類似機材の製造を手がけており、26.5フィート全長のX-45A無人戦闘航空機を2002年にDARPA・米空軍向けに飛行させており、制空任務の自律運航を実証している。さらに全翼機形状のX-45C/X-46Aがその後DARPA・米海軍向けに企画されたが2007年に中止となった。ボーイングは自社費用でファントム・レイ実証機を完成し2011年に初飛行させた。
ATSはこうした機材との類似性もある。またマクダネル・ダグラス提案の共用打撃戦闘機案にも似ているが、ボーイングは偶然の一致としている。技術関連はすべてオーストラリアで進められ、現在の形状に決まる前に案複数を検討したという。
「グローバルに対応する事が重要なのです。世界各地の知見を応用して自律運用装備が実現します』とロバートソンは述べ、「オーストラリアと組んでボーイングのATS設計を主導し、現地産業界の支援を受けました」という。サプライヤーにはBAEシステムズ・オーストラリアフェラエンジニアリングRUAGオーストラリアがある。
米国外ではオーストラリア事業がボーイングで最大規模で同国内の航空機製造関連企業大手の殆どを手中に入れている。旧国営航空機製造工場やホーカー・デ・ハビランドなどだ。「ボーイングで米国以外で新製品を開発するのは初めてのこと」とファントムワークスインターナショナル役員のシェーン・アーノットも認める。
ウェッジテイル早期警戒統制機はボーイング737を原型にRAAFと共同開発したものでその後韓国やトルコにも販路を広げ、英国も導入を有望視されている。共用直接攻撃爆弾の翼部分もボーイングがオーストラリア国防科学技術開発機構と共同開発したものだ。
「ATSは初めての新規設計開発案件」とアーノットは述べ、「なぜオーストラリアなのかですが、その一部にオーストラリア空軍との提携関係があります。また同国に当社がこれまで行った投資もあり、イノベーション熱が高まっている同国の状況も重要な要素です」という


Boeing ATS

アーノットはRAAFのジェリコプランに触れている。高度技術かつ急展開する外的脅威からオーストラリア防衛を図る構想だ。「ジェリコでは組織の変革を前提としておりATSもその一部になります」(アーノット) 構想の中心は「人が機械を操作して他の人と協力する体制から人と機械が協同作業する環境に変えること」とRAAFは述べている。
アーノットはオーストラリアの国防産業力整備計画にも触れており、オーストラリアの国防ニーズに産業界が対応可能にするのが目的だ。ここに国防輸出戦略が絡み、国内防衛需要だけでは維持できない産業力の活用を促す。その中に官民連携で輸出成約をめざすこともあり、国際競争力を強化しながら国内の防衛ニーズに応えることも目指す。ATSはこの中で技術革新を目指すニーズに答えながら政府が求める産業力強化にもつながる存在だ。
仮想戦闘実験室を使い、オーストラ要ら、英国、米国の軍と共同作業するなかでボーイングには「空中海洋両面で今後の大きな課題」が見え始めたとアーノットは認める。「将来の脅威が開発サイクルで意識されています」という。これから出てくる要求を待つのではなく、ATSのように開発の加速化により将来の脅威に今から対応するのだ。「RAAFやその他顧客から受けた刺激にボーイングは大きな関心を有しており一緒に実現に向かっていきます」(アーノット)
「オーストラリアとは経済的なR&Dを進める貴重な機会となりました」とロバートソンも言う。「量と質のバランス、低価格でより多くの性能を実現し、高度の脅威環境に対応することを自律機能で実現することにグローバル市場での将来が開けます」
面積は大きいが人口が少ないオーストラリアには広大な空域が広がりRAAFや各国は「飛行テストで試行錯誤しすばやく結果を学ぶ」機会がATS試作機で協同運用構想を試す中で生まれるとアーノットは見ている。「早く信頼しながら製品化を進められる利点が生まれます。自律運用性能が重要です」
「RAAFにとっては技術革新の機会となり単なる新型機ではありません」(アーノット)実験の機会でありオーストラリアには有人無人機の同時稼働の経験となる。「導入前に試すことになりますが意味のある機会となるでしょう。当社には次の目標があり、各国のニーズを満足できる製品に仕上げることです」
ATS試作機はオーストラリア国内で飛行し、有人機との同時運用で無人機と組ませる効果を実証すべく各種有人機を投入する。
「同じ基地から運用し他の機材の迷惑にならない速度で飛びます」とロバートソンは述べる。自律運用性能は「どの機材と組ませるかで変わります」とロバートソンは説明。「その一部に人が絡み、地上からの操作や随行機からの指示がでてきます。自律性とはアクションを前提とした知性と定義しています」
協同体制はテスト段階にとどまらない。「民生需要でもビジネスモデルにつながります」とロバートソンは見ている。「需要の兆しは世界各地に見つかります」とし、ATSを民間向けにオーストラリアで開発すれば米国が適用する武器輸出制限に抵触するリスクを回避できる。「柔軟対応で仕向地ごとに販売できればグローバル規模で成功できるはずです」(ロバートソン)
技術開発をオーストラリア現地で進めることでサプライヤーも大部分を現地化となっています」とアーノットは説明。「開かれた対応をしており、設計開発はグローバル企業としての当社の経験を利用しています。輸出面の要求内容についてはかねてから詳しいですから今後につながる事業の管理を正しく進められます」
ATS開発を国外で民生事業として行うことでボーイングには輸出案件で柔軟性を発揮できることになり、仕向地向け特化や「各国の事情に対応することが業績拡大につながることの実証」になるとロバートソンは見ている。「グローバル企業として当社は国造りの重要性は十分認識しています」という。
民生製品式のアプローチと現地プレゼンスを組み合わせることはオーストラリアに限定されたことではなく、その他製品も海外で完成させ輸出につなげることができるはずとロバートソンは先を見ている。「民生商品と同じアプローチを取り、ボーイングとして各国でこのモデルを使えばグローバルで規模拡大が可能です」ATSはボーイングとして初のグローバル開発の軍事装備品になりそうだ。■

Editor’s note: This article was updated to clarify the funding for the Loyal Wingman Advanced Development Program.

2019年3月5日火曜日

ニュージーランドにC-2売り込みを狙う川崎重工

日本製装備はみんなそうですが実績がないため躊躇される傾向がありますが、思い出してもらいたいのは日本製の乗用車だって最初はそうですよね。防衛装備品の輸出を真剣に狙うのなら多少の失敗にめげず、地道な活動を展開するしかありません。川崎重工は立派な会社ですがマーケティングでは知見の豊かな別会社と組んだほうがいいのではないでしょうか。


Japan pitches C-2 for New Zealand transport fleet 
日本がニュージーランドにC-2輸送機売り込みをねらう


By: Nigel Pittaway 


川崎重工はC-2をニュージーランド次期輸送機事業で採用を目指す。(Nigel Pittaway/Staff)

崎重工業がC-2輸送機をニュージーランドの次期輸送機に売り込みをめざしている。同社関係者が2月26日に確認した。
ニュージーランドは現有のロッキード・マーティンC-130Hハーキュリーズとボーイング757-200Cの後継機を次期航空機動能力FAMCとして戦略、戦術両面の輸送機として二機種または一機種の導入をめざしている。
2019年アヴァロン航空ショー会場で川崎重工業KHIはニュージーランド空軍とここ数年にわたり次期輸送機の要求性能を協議していることを認めた。
「C-2のマーケティング活動は始まったばかりですが、今後短くても10年は生産する予定です」(同社関係者)
ショーでは航空自衛隊第三輸送航空隊のC-2一機が地上展示されているが、ニュージーランドには2017年に実機が飛来している。
C-2は航空自衛隊仕様で戦略、戦術両用の輸送ニーズに応える機体で、既存の川崎C-1の後継機を目指した。これまで量産型7機と試験機2機が納入されており、最終的には20機から30機が引き渡される。航空自衛隊には2017年3月に就役しており、7号機の引き渡しが最近あったと同社は述べている。
同社関係者はC-2販売で「他数カ国」と商談をしているとするが国名は明かさなかった。また輸出承認では防衛省、経済産業省とも協議しているという。■

ではC-2の売り込み対象国はどこでしょうか。大胆に推理すれば①C-17導入国を除き、 ②A400Mも同様 ③戦略輸送能力を必要としている国 では。①にはインド、オーストラリア、カナダ、英国、カタール、アラブ首長国連邦、クウェートがあり、②はドイツ、フランス、英国、スペイン、トルコ、ベルギー、ルクセンブルグ、南アフリカ、マレーシア の各国です。これ以外で③となるとニュージーランドは当然ですがその他としてサウジアラビア、イスラエル、シンガポール、インドネシア、ブラジルが考えられますね。推理が正しいかは時間が教えてくれるでしょう。

マレーシア空軍がA400M運用実績をオーストラリア航空ショーで披露

航空ショーは同時に機材売り込みの機会でもあり、この記事の言わんとしているのはエアバスがニュージーランドへの売り込みを図っていることです。実は川崎重工もC-2売り込みをねらっており、二機種が激突ですね。ただし、運行実績をこうやって自慢することでエアバスは採用を期待しているのでしょうが川崎重工はどう切り込むのでしょうか。C-2の記事はこの後お伝えします。


Malaysian pilot details A400M missions, midair refueling experience

マレーシア軍パイロットが空中給油含むA400M運用の詳細を語る

By: Mike Yeo    2 days ago

マレーシアの A400M (Airbus Defence and Space)


レーシアがエアバスA400M軍用輸送機の運用体験をDefense Newsに伝えてきた。インドネシア地震での災害救難任務では不完全な滑走路で運用に成功し、戦闘機向けの空中給油能力の認証も得たという。
アヴァロン航空ショー(オーストラリア)の会場で王立マレーシア空軍(RMAF)所属のA400Mが地上展示されている。A400Mパイロットのハサン少佐は20年にわたる空軍勤務で各種機材を操縦してきたがA400Mが「今まで最高の機材」という。
救難ミッションでA400Mは小型機で対応不可能な量の貨物を運び、大型機では運航不可能な滑走路での離着陸をこなし22トンの重機を運搬した他、救援物資21トンを搭載したという。
ハサン少佐は被災地に近いパルの滑走路は通常は70トン未満の機体でないと運用できないが、地震の被害を受けさらに制約が厳しくなったと指摘。A400Mは貨物搭載時に120トン近くになりインドネシア当局は同空港での運用に懸念を示したという。
しかしRMAFはA400Mの12輪の降着装置の間に貨物を適正配置すればタイヤも厳しい条件にも耐える仕様になっており、滑走路舗装区分36版でもA400Mなら対応可能と示し、当局にA400M運航を認めさせた。舗装区分番号とは国際民間航空機関の標準で滑走路、誘導路、エプロン・ランプの強度を示す

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Went flying on board this at #AvalonAirshow2019 today. Good fun! Thanks .@AirbusDefence and .@airforcenextgen!

ハサン少佐からはA400Mによる空中給油の説明もあった。RMAFは2018年5月より給油実証をボーイングF/A-18Dホーネット、スホイSu-30MKMやBAEシステムズのホーク練習機との間ではじめた。
実証には各種装置を使い、飛行条件も変えて行ったが、NATO標準の空中給油手順実施が認証されたとハサン少佐は言いロシア製機材がA400Mとは互換性がないとの噂を一蹴した。
Embedded video
Short video clip from today's .@AirbusDefence media flight on board the .@airforcenextgen #a400m at #AvalonAirshow2019

マレーシアはA400M一機をF/A-18D編隊と北部オーストラリアに昨年8月に派遣し国際空中戦闘演習ピッチブラックに参加させた。演習では空中給油も行ったという。
マレーシアはA400M4機を運用中で所属する第22飛行隊は首都クアラルンプールにあるスバン空港に展開している。エアバスはA400Mのニュージーランドへの売り込みを図っており、ロッキード・マーティンC-130Hハーキュリーズ、ボーイング757の両輸送機の更新機材としての採用を期待する。今年後半に同国は機種選定の予定。■