2019年12月10日火曜日

Su-57にNATOが与えたコードネーム「フェロン」の意味は?

NATO Code Name “FELON”: Russian Su-57 Gets Its Reporting Name, And It Couldn’t Be Better.NATOコードネーム「フェロン」となったロシアのSu-57にぴったりだ




MAKS 2019の最終日にはボグダンの操縦するSu-57がアフターバーナー全開で離陸を大観衆の前で見せた。 (All photos: Tom Demerly/TheAviationist)

 

まるでトム・クランシーの小説から借用したようなやばい名称がロシアのステルス戦闘機についた。


故トム・クランシーの筋書きみたいな展開で故人もあの世で微笑んでいるかもしれない。最新のロシア第5世代「ステルス」戦闘機スホイSu-57にNATOが呼称を制定した。「フェロン」という。(フェロンとは重罪犯人の意味)
NATOでは英単語を使ってロシア軍用機を特定する名称を使っている。兵装システム、艦船、地上車両にも名称をつけている。コードネームともばれ通信のほか航空ファン含む一般でも使われているのが現状だ。
MAKS 2019ではSu-57「フェロン」が珍しい編隊飛行を披露した。

NATOは一定のルールを使っている。まず、「F」つまり軍用通話用アルファベット「フォックストロット」ではじまるのは戦闘機だ。MiG-25じゃ「フォックスバット」、Su-27は「フランカー」という具合だ。また派生型に枝番のアルファベットがつく。
Su-35の新型は原型Su-27を抜本的に改良しており、「フランカー-E」と呼ぶ。トム・クランシーの「レッド・オクトーバーを追え」ではロシアの長距離哨戒機を「ベア・フォックストロット」と記していたのを覚えているだろう。これはツポレフTu-95の「ベア-F」という機体だ。

スホイSu-57 “FELON” がMAKS 2019の大観衆の前でロシアのテストパイロットでロシア連邦英雄の称号を持つセルゲイ・ボグダンの操縦で離陸している。

公式にはNATOは「NATO航空機ミサイル名称規則」1.1で定義している。
「航空機コードネームはASIC(航空宇宙共同作戦協議会、2005年にASCC航空標準化調整委員会に改称。メンバーはオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、米国、英国)が選定するが、ミサイル名称(あわせてレーダー等の装備も)は別の組織が名称を与える。ただし、コードネームは全部NATOが一元管理する」
更にコードネームには細則がある。
「固定翼機では任務の種別に応じたコードレターをつける。プロペラ機は短音節(例 「ベア」)とし、ジェットは長音節(例 「バックファイヤ」)とし、ヘリコプターや誘導ミサイルもこれにならうが単語長はとくに定義していない」

興味をそそられるのはロシア側、とくに航空機スポッターはNATOコードネームを使わない傾向があることだ。MAKS2019航空ショーに行ったが、ロシア側の専門家、写真家、ファンはおしなべてSu-57のことを生産前名称で呼んでおり、「パークファー」と発音していた。また「す~フィフティセブン」とスホイの「Su」をそう呼んでいた。

一体誰が「フェロン」の名称を思いついたのかわからないが、NATOもSu-57にすごい名称をつけたものだ。数年たてば西側の機体スポッターもスホイSu-57「フェロン」の実機を見て興奮する日が来るのだろうか。■

2019年12月9日月曜日

対地攻撃能力を高めるF-35ブロック4改修 SDB IIとは





Fire! The Latest Weapons Additions to the F-35 Are Pretty Amazing

Why all the add ons? 
November 29, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35MilitaryTechnologyWorldStealth
F-35はこれからのハイテク戦に対応すべく精密対地攻撃能力を高め近接航空支援任務をこなすべく機関銃や新型レーザー誘導爆弾を運用する。GAU-22 25mm機関銃システム、小口径爆弾II、GBU-38/54といった装備が今年末に追加地上・飛行テストを受ける。
こうした装備が既存の空対空、空対地装備に追加される。生産中の機体はペイブウェイIV、GBU-12、GBU-49レーザー誘導爆弾が利用できる仕様だという。
米空軍のブロック4機体ではソフトウェア開発と新装備の搭載が鍵となる。このうちソフトウェア改修で多用途戦闘機に新しい攻撃ミッション水準が実現する。ブロック4仕様でGBU-53小口径爆弾、GBU-54レーザー誘導方式供用直接攻撃弾の運用が可能となる。
銃身4本の25mm銃は発射速度が高く、敵に銃弾を浴びせ標的を迅速に制圧できる。毎分3,300発の発射が可能と メーカーのジェネラルダイナミクスは説明。
ブロック4は長期に渡る実施を想定し、ペンタゴンはC2D2つまり継続性能開発・配備と呼んでいる。この構想では多用途戦闘機は新型装備やステルス素材、センサーや誘導技術等が利用可能となり次第導入していく。
空軍は技術の進展をにらみソフトェア改修を加速化しようとしている。性能向上の予定を数年おきに想定するのではなくF-35では技術が登場すればすぐ取り入れる短期対応が必要と見ている。
小口径爆弾(SDB) IIとは
SDB IIはブロック4の中心とされ、全天候下で対応可能な新型投下兵器として40マイル以上の射程で移動標的ならすべて攻撃可能だ。メーカーはレイセオン
同兵器はすでに運用投下試験を終えており、機体搭載に向かっていると同社は説明。
GPSとレーザーを併用した誘導方式の兵器には共用直接攻撃弾(JDAM)が前からあるが、固定標的の攻撃を想定したものだ。
空軍で供用中のレーザー誘導爆弾にはGBU-54があるが、SDB IIでは有効射程が伸びること、全天候対応可能なことが特徴。さらにSDB IIには2方式ののデータリンクがあり、標的の変更や調整が飛翔中に可能だ。これはレイセオンがWarrior Mavenに説明した内容だ。
SDB IIの中核技術が「トライモード」シーカーで直撃させるため、ミリ波レーダー誘導、非冷却式赤外線誘導、セミアクティブレーザーの各技術を駆使している。
レイセオンによればトライモード方式シーカーにより誘導範囲と標的選択の幅が広がったという。ミリ波レーダーにより全天候下での航法が可能となり、その他誘導方式が不調の場合も十分に性能を発揮できる。
赤外線画像誘導により熱を発する標的に向けコースを保つ。セミアクティブレーザー技術により標的を正確に攻撃できるが、空中あるいは地上からのレーザー照射が必要だ。
またSBD IIでは飛翔中に標的追尾が可能となっった。これにはLink 16、UHF双方のデータリンクを利用する。
レイセオンは「ミリ波レーダーを最初に起動する。その後データリンクで照準をあわせシーカーに対象を伝える。次にIR(赤外線)を起動し熱追尾技術を利用する」と以前説明していた。
SBD IIは重量が208ポンドしかなく、その他空中投下爆弾の大部分より軽量のため、F-35の機内兵装庫に8発を搭載できる。機内だけに搭載した場合は機体はステルス特性を維持できる。
SDB IIでは105ポンドが爆弾性弾頭で「ブラストグラッグ」と「プラズマジェット」の応用で敵装甲を貫通するとレイセオンは説明。
SDB IIでは標的の把握も可能で、つまり車列中の戦車のみを狙うようプログラムできる。戦車、ボートや車輪付き標的が識別可能という。
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Kris Osborn, Managing Editor of WARRIORMAVEN (CLICK HERE) can be reached at krisosborn.ko@gmail.com. This piece was originally featured in August 2019 and is being republished due to reader's interest.

2019年12月7日土曜日

F-3はこんな機体になる。F-35と併用する近未来の日本の航空戦力の姿とは

ご注意 今回の記事には新しい情報は少ないです。時間の無い方はとばしてください。それはともかく、F-3がF-2後継機というのは無理があるきがします。かといってF-15、F-2の代わりをつとめるためには派生型の開発もすすめるのでしょうか。一機種で全部のミッションをこなせるのでしょうか。予算が厳しく機種の統合がこれから進むと思いますので、多任務をこなせるだけの機体システムの余裕が最初からほしいところです。機体重量が20トンというのが本当なら相当の大型機になりますね。小型軽量の「格闘」戦闘機という概念はもはや死につつあるようです。F-15JSIはそれまでのつなぎなのでしょうか。

Why Is Japan Buying F-3 Fighters Instead of the Stealth F-35 日本がステルスF-35ではなくF-3戦闘機調達に動くのはなぜ

They've got a plan.ちゃんと計画している。
December 6, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarJapan
Key Point: The F-3 is a better fit for the Japanese domestic aerospace market. F-3は日本の航空宇宙マーケットに適化した機種になる。
本は2019年2月にステルス戦闘機の開発方針を一歩進めた。これに先立ち、F-35を100機超米国より導入する決定もしており、2018年にはX-2ステルス戦闘機試作型の事業を中止している。

防衛省の発表では新型機開発に乗り出すとし、現在のところ新型機の名称は次期戦闘機あるいはF-3として中期防衛計画に記載があり、自衛隊装備の近代化努力の一環として今後10年かけ整備するとある。

中期防に新型戦闘機が追加されたことに驚いたが想定外というわけでもない。日本は周辺地域の安全保障環境悪化を受けて防衛費を大幅増加させる動きを示しているからだ。

だがF-3とはどんな機体になるのか。

防衛省によればF-3は現行の三菱F-2の後継機となる。F-2は米F-16を発展させた単発軽量戦術戦闘機で日本発の技術を追加している。

同機は21世紀初頭では最先端機の位置づけで、AESAレーダーや複合材を採用しレーダー断面積の最小化を狙っていた。また主翼の拡大で対艦ミサイル搭載も可能となった。F-2は2011年に生産終了しており、2030年代に用途廃止となる。

だがF-3はF-2と相当異なる機体になりそうだ。日本が構想するステルス戦闘機の二案はともに双発機となっている。

これには訳がある。双発機は信頼性が高く長距離哨戒飛行で有利だ。F-15Jも双発機だがF-2同様に供用期間に終わりが来る。新型機は両機種の後継機になりうる。

では単発機のF-35はどうか。F-2後継機ならF-35が理屈にあうはずだ。
百機超のF-35を日本が導入するが老朽化著しいF-4EJの退役の穴を埋めるものと説明がある。導入は日本の防空で即応体制の整備につながる。日本としてはX-2の開発終了を待つ余裕がないということだろう。

空母化するいずも級に搭載するF-35Bの導入は前方基地や劣悪環境の航空基地からの運用も視野に入れている。日本は遠隔島しょ部の航空拠点での作戦が可能となる。F-3ではこれは務まらない。

そのかわりF-3には大型機内兵装庫がつき、F-35(F-2より搭載量が少ない)以上の攻撃力が実現する。F-2には複座型もあるが、F-35には複座型はなく、F-3でも攻撃ミッション用に複座型が生まれるはずだし、今後登場する戦闘無人機編隊の「母機」になる可能性もある。

同時にF-3は日本の航空宇宙技術力維持の手段にもなる。F-2でF-16を原型とする決定が国内で議論の種となったのは米国からの技術移転が少ないためだった。そこで防衛省はF-3調達で国内産業界への効果を重視する。F-35生産で日本は一部作業にしか従事していないのと対照的となる。

とはいえF-3は今後長年に渡り自衛隊の重要装備となる。同機は中国の急速な空軍力増強に対応しながら十分な機数の調達が可能となる機体価格を実現スル必要もある。あるいは輸出市場で競争力を発揮するかもしれない。反対に失敗すれば日本国内の戦闘機開発は挫折する。■
Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues. This article was first featured earlier in 2019 and is being republished due to reader's interest.

2019年12月4日水曜日

次期戦闘機開発で日本がテンペスト事業に加わる可能性はあるのか。日本がめざす機体は超大型戦闘機になるのに

Aviation Week & Space Technology

Japan Could Pick And Choose Components From Tempest

日本がテンペスト開発に加わる可能性

Nov 29, 2019Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

本は2030年代を視野にした次期戦闘機を国際協力で実現したいとしながら、開発の主導権は握っていきたいと言ってきた。ただし同国の戦闘機開発の知見は限られたものにすぎない。想定する機体は西側各国の機材より相当大型になる。米国からの共同開発の提案はない。

そうなると選択肢は国産開発しかないが、海外からの技術支援はありうる。

日本の参加を促す英国

とはいえ日本が英国のテンペスト開発事業に参画する可能性は残されている。テンペストには英空軍、BAEシステムズロールスロイスMBDAが加わり、日本他が加わる余地は残っていると英国防省で戦闘航空機開発を統括するダニエル・ストー空軍准将は語る。

ストーの示すモデルでは日本も自国用戦闘機の大きさを選択する柔軟度が残る。この手法だと日本は開発の主導権を確保しつつ開発費用の切り下げ効果を装備共有で実現できる。

日本は2018年に自国による戦闘機開発を公言しており、テンペストあるいは仏独共同開発の将来型戦闘航空機(FCAS)事業に参加しにくいように見える。だがテンペストと日本のめざす次期戦闘機に共通項があれば、日本も事業の主導権を握ったままの開発と言い張れるはずだ。

BAEシステムズはテンペストを東京で11月開催された防衛装備展示会で大々的に売出していた。FCAS陣営からはコンセプトの展示はなかった。展示会でストーは柔軟な開発協力体制を披露したが、日本側関係者はテンペストへの参加に論評を避けていた。

11月1日付けのフィナンシャルタイムズ取材で河野太郎防衛相は欧州で進む開発事業への参加について否定的なようで、日本としてはあらゆる可能性を希求しつつ米軍との共同作戦体制を維持していくと語っていた。ストー准将はこの点に触れ、米国との共同作業は英国にとっても高い優先事項だと強調した。

日本に残されているその他の国際協力には国産開発に外国企業の技術支援を得ることがある。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業を支援し、KF-Xの実現をめざし、BAEはトルコ航空宇宙工業とTF-Xの開発を同様に進めている。

ロッキード・マーティン、ボーイング、あるいはノースロップ・グラマンとの共同作業で日本は米軍による日本防衛負担の一部を精算できる。だが技術支援経費として米国が得られる金額はわずかなものにすぎず、さらに次期戦闘機の前に日本はロッキード・マーティンF-35ライトニング147機の導入を決めている。

防衛省は次期戦闘機開発を令和2年度開始事業として予算要求している。ただし直ちに本格開発が始まるのか、小規模で次第に本格化していくのか方向性がはっきりしない。

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BAEシステムズが DSEI Japanで展示したテンペストの模型. Credit: Bradley Perrett/AW&ST

 

これまで日本政府は遅くとも2024年3月までに開発を開始するとしていたが、三菱重工業始め日本企業側からは早期の開発開始を求める声が高い。各社ともF-2で培った技術の若手技術陣向け継承を期待している。英国はテンペストの本格開発開始は2025年以降とするが、部隊供用開始の目標2035年は日本と共通する。他方でFCASは2040年の就役を目標とする。スウェーデンとイタリアはテンペストの初期開発研究段階に加わる意向を示している。スペインはFCASに加わる決定を下している。今回提示の協力事業の構想だとこれまでの標準形態にかわるものとなる。パートナー国どうしで交渉に数年かけて各国に撮って受け入れられる設計に落ち着くというのがこれまでの形態とストーは解説。ただ最初から合意を目指さない形態で時間も予算も節約できるとし、自国向けの設計部分は自己負担とすることになるという。

 

日本が考える次期戦闘機はここまで大きな機体となる

防衛省の研究では非常に大型の戦闘機として空虚重量が20トンという数字が出ており、これはロッキード・マーティンF-22を上回る規模だ。航続距離の長さと機内兵装庫の大きさが鍵だという。

西側が供用中の最大の戦闘機でもこの3分の2程度しかないが、ストー准将はテンペストの大型版も決して不可能ではないとする。2018年にファンボロ国際航空ショーで展示されたモックアップはF-22より大きかった。

ただし、英国はじめ欧州各国が求めるサイズはこれより小さい。とはいえ今回の協力形態なら日本は自由に機体を構成でき、エンジン、兵装、ソフトウェア、エイビオニクスを各国と共有できる。ソフトウェアのアーキテクチャは最初からオープンで各種プログラムが簡単に搭載できる。

テンペスト開発陣は搭載システムや性能の選択を検討しつつ、搭載する兵装や同時運用する無人機も検討する。

テンペストでは機内発電容量も相当必要になるとストーは述べ、兵装庫はペイロードベイとなり、追加燃料を搭載すれば航続距離も伸びるし、偵察装備の搭載もありうるという。

 

財務当局の思惑

日本の財務省が次期次期戦闘機開発に民間資金活用を主張しているのは、民間意欲を契約企業に享受させて開発失敗を回避したいためだ。契約企業各社は戦闘機開発で実用化した技術を民生用途に転用して利益を確保できるというのが財務省の説明だ。財務省は大きな影響力を有するとは言え、最終決定を下す省庁ではない。

「過去事例から次期戦闘機でも予算超過や日程遅延の危険は十分あるのはあきらか。とはいえ民間部門に恩恵が生まれるのも確実だ」と財務省は10月の財政諮問委員会で述べていた。「官民共同で資金その他を投入し万全の体制を構築したい」

三菱重工がF-2開発で実用化した技術をボーイング787の外側ウィングボックスの開発製造に導入した事例を取り上げ、財務省は参加企業は次期戦闘機開発で生まれる技術を民生事業に応用するチャンスに恵まれるはず、だから同事業に参加すべきなのだという。■


2019年12月2日月曜日

イランはF-14運用維持のためあらゆる手段で部品を入手している。米軍もF-14の存在を軽視していない。


イランと開戦となったら

イラン軍のF-14を米軍が恐れる理由


Why the U.S. Military Fears Facing Iran's F-14 Tomcats in War


Warrior Maven2019年12月1日
"To Join Warrior Maven Gold AI & CyberWar Circle CLICK HERE"
Warrior Maven Video Above: Army 4-Star Details Robotic Attacks to "Breach Complex Enemy Object."
By David Axe, The National Interest

ランプ大統領がイラン核合意から一方的に脱退する決定を下して以来、ペルシア湾岸地域の緊張は高まったままだ。
2019年夏の民間商船攻撃はイラン勢力に夜犯行と米軍は断定し、米海軍はUSSエイブラハム・リンカン打撃群を同地域に派遣した。米空軍はB-52、F-22、F-35を展開した。
開戦となれば、米軍は湾岸上空の確保のためイラン空軍を撃滅するはずだ。イランイスラム共和国空軍(IRIAF)の常設部隊およびイラン革命防衛隊の空軍部隊はあわせて700機程度の機材を運用している。
米軍が最初に排除をねらうのはIRIAFが保有する1970年代製造のグラマンF-14だ。2019年時点でイランはF-14トムキャットを24機程度運用中とFlight Globalはまとめている。イランはイスラム革命前に79機を米国から調達している。
米海軍ではトムキャットは2006年に全機退役しているが、後続距離が長く強力なレーダーを搭載した同機は現在も強力な戦闘機である。このため、米国はイランのF-14を供用できないよう長年に渡り画策してきた。
イランイラク戦争が1988年に終結した時点でイランにはF-14が68機残っていた。米国に夜制裁措置によりイランは同機の補修部品を調達できなくなった。
そこでイランは自国内完結型を目指し、以前なら海外企業頼みだった部品供給の国内調達に切り替えた。
イランには豊富な石油資源があるがそれ以外にも農業、鉄鋼生産、発電、民間航空で自国だけで完結する仕組みを紫美した。
それでもイラン国内企業でトムキャット用の特殊部品すべての生産は無理だ。そこで闇市場に目を向け大金を払い、F-14用部品の密輸を始めた。
米当局は1998年の時点でこうした密貿易の存在に気づき、輸出管理法違反でF-14のTF-30エンジン用部品をオランダ経由で運び込もうとした動きを摘発した事例もある。
その後も逮捕事案が続いた。カリフォーニアのマルティコア社は税関当局調査で226万ドルを仲介業者に1995年から支払っていた事実が摘発された。部品の大半はシンガポール経由で運ばれた。連邦政府は同社に部品販売した18社も捜査対象とした。2003年9月にはおとり捜査でイラン国籍一名を逮捕している。
米当局がF-14用部品密輸を摘発しているが、イランは入手をあきらめていない。マルティコアが入手した部品を国防総省の余剰部品管理部門に照会したところ、軍から流出していたと判明した。
米海軍がF-14を用途廃止した2006年になると部品戦争はさらに激化し、元米海軍所属のF-14が4機カリフォーニアで当局により押収された。うち3機は博物館展示用、残り一機は軍をテーマとしたテレビ番組JAGでの使用用だったが、各機から有益な部品がただしく取り外されておらずイランの手に渡る恐れがあるというのが当局の説明だった。
ペンタゴンがあまりにもF-14部品の管理でずさんだと議会が怒り狂い、2008年にはトムキャット部品のイラン引き渡しをすべて禁止する法案が成立している。
.退役後のF-14およそ150機が解体処分されている。一部の旧型F-14は「非軍事化」したあとで全国の博物館で展示されている。しかし、有名なアリゾナの航空機の「墓場」には一機もない。
それでもトムキャット部品取引は今も地下で続いており、世界各地で使える部品はないか探し回る怪しげな企業がある。2016年にはF-14が2機もテキサスの私有地に残っているのが見つかった。調べたところ2機とも1980年代末に政府が民間業者に処分を依頼した機体だった。
.これを見つけた本人もこれだけ長く米政府の管理を逃れた機体がそのまま残っていたことに驚きつつ、イランがこの機種に強い関心を示すのと関連があるのではと疑っている。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2019年11月30日土曜日

防衛省がイージス・アショア用レーダーをロッキードに発注

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries
Credit: Lockheed MartinADVERTISEMENT

コメント 設置予定地への説明の不手際から不信感を持たれているイージス・アショアですが弾道ミサイル、巡航ミサイル防衛の整備のためにも「迷惑施設」ではないとの認識を現地の皆さんには持ってもらいたいものです。とはいえ、MDの整備を快く思わない外国勢力に同調する国内勢力も反対運動を展開してくるはずなので防衛省の力が試されますね。

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries

Japan’s defense ministry has awarded a contract for the delivery of two SSR antenna sets for two planned land-based Aegis Ashore ballistic missile defense systems.
防衛省がイージス・アショア基地2か所用のSSRアンテナを発注。

November 27, 2019
衛省はロッキード・マーティンに半導体レーダー(SSR)2基の製造納入を発注した。陸上配備のイージス・アショア施設用で現地設置は2020年代中頃になると同社は11月20日発表。
SSRは米政府制式名称AN/SPY-7(V)1でイージス・アショアシステムの一部となり、「高性能弾道ミサイルを探知、追尾、交戦」する「頼りになる装備」が日本に生まれるとし、従来のSPY-1の数倍の探知距離と感度で、標的多数に同時対応可能な実証ずみ装備と同社は説明。
日本はレイセオンのSPY-6レーダーと比較の上、SSRを2018年7月に採択した。SSRのライフサイクルコストの低さに加え総合的に性能が高いことが決め手となったと防衛省は説明していたが、別の理由があったのではないか。
日本がSSR採択に動いたのはSPY-6の輸出が2024年から2025年になりそうで、SSRのほうが早く入手できるというのも一つの理由だろう。
日本はイージス・アショア2箇所を2023年までに稼働開始したいとしており、今年7月30日の防衛省広報資料では契約調印から稼働開始まで6年間としていた。つまり現状では2024年から2025年に先送りとなる。
SSRの基礎技術はロッキード・マーティンが開発中の長距離識別レーダー(LRDR)と共通で、これは米本土を弾道ミサイル脅威から守る構想の地上配備中間段階ミサイル防衛(GMD)での使用を想定している。
イージス・アショアはSM-3ブロックIIA・ブロックIB迎撃ミサイルの他、SM-6対ミサイル迎撃弾も運用可能だ。設置箇所は秋田、山口の両県となる。
日本のイージス・アショアは海上自衛隊の艦船用現行装備と完全互換性を有するとロッキードは説明している。「脅威環境の進展と対応し、イージス・アショアジャパンは共通ソースライブラリ(CSL)で他のイージス装備と共通のソフトウェア・アップデートを続けていく」という。日本の最新型駆逐艦はイージスベイスラインJ7戦闘システムを搭載しており、これは米海軍のベイスライン9/BMD5.1仕様のイージス戦闘システムと同等の内容だ。
ロッキード・マーティンから今回の契約金額の説明、納入日程の説明がない。SSRシステムの調達、設置コストは23億ドル程度で、30年にわたる保守管理は41.8億ドル程度と防衛省は伝えている。■