2020年2月12日水曜日

戦略爆撃機の復興、注目を集める大型機材の動向は

戦略爆撃機というかサイズに余裕がある機材はステルス性能でも有利です。さらに近い将来には戦闘機と爆撃機の境が消え、多数の無人機を統制氏運用しながら敵戦闘機を遠距離から排除する戦闘航空機に進化するというのが当方の予見なのですが、どうなりますかね。


戦略爆撃機の復興
米中露三カ国が爆撃機の効用を再認識

ェリー・スカッツの著書Bombersの最後にこんな表記があった。「爆撃機の将来は明るくない...」
 それは同書が出た1991年には正しい表現だった。冷戦終結が視野に入り戦略爆撃機は削減の一途だった。米議会はB-2ステルス爆撃機の生産を当初の132機から20機に削減し、その10年近く前に英国は最後のヴァルカン戦略爆撃機を退役させていた。
 防空体制の向上の前に低速のB-52と超音速機のB-1ランサーやTu-160はともに生存のチャンスは減る一方で、調達・維持費用は高止まりだった。将来は第4世代多任務機のF-15Eのように機敏さと柔軟さを兼ね備えた機体で精密兵器多数を搭載するのが主流になると見られていた。
 だが2020年に入り、戦略爆撃機が一大カムバックを遂げている。米空軍はB-21レイダーステルス爆撃機を100機超調達すべく生産開始する。66機残るB-52は改修し2040年代まで供用する。
 ロシアも冷戦時の機体を改修し、これまでになく頻繁に長距離パトロール飛行を行っている。中国は古参兵のH-6の新型を今も生産中で、新型H-20ステルス爆撃機を2020年に公開すると見られる。
 背景には超大国間競合の再開がある。特に米中がアジア太平洋地区でしのぎを削っている。広大な同地区は戦術機では限界があり、戦略爆撃機に長距離ミッションを行わせるのが得策だ。さらに陸上配備ミサイルが前方基地、空母双方に脅威となっている。中国、ロシア、イランはそれぞれ大型巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルの整備を進めている。有事には米軍航空基地や海上の艦艇に大量のミサイルが発射されよう。
弾道ミサイル攻撃で短距離戦術機が何機生き残れるか見えてこない。駐機中のステルス戦闘機の撃破は実に容易だ。
 そうなると、米本土やディェゴガルシア、グアム、ハワイの各地に配備する戦略爆撃機は比較的安全ながら世界各地を攻撃する能力を有する装備だ。中国、ロシアともに中距離、長距離弾道ミサイルで各地を攻撃できるが、ICBMは核弾頭しかないし、前者は数が少ない。
 核心は爆撃機の航続距離より搭載兵装にある。米、中、露各国はもともと爆弾投下用に開発された1950年代開発の機材をいまも運用するが、爆弾投下は今の情勢では自殺行為とされる。
 ただし、今は長距離巡航ミサイルを搭載し、数百マイル先からの発射が任務で、AGM-158 JASSMステルス巡航ミサイル(射程230から575マイル)、ロシアのKh-101(1,800から2,700マイル)、中国のCJ-20(推定900から1,200マイル)がある。それぞれ射程はS-400地対空ミサイルの有効射程240マイルを優に超えた地点で発射できる。
「ミサイルトラック」というと大量の燃料と兵装を搭載した大型機を思い浮かべるが、737旅客機を改装した機材で十分なのだ。実際に米海軍がP-8ポセイドン哨戒機に爆撃機並の兵装運用能力を実現しようとしている。
 スタンドオフ爆撃機でも、敵迎撃機が超長距離対空ミサイルを搭載すればやはり脆弱となる。ロシアのR-37や中国のPL-15がある。ただし、米空軍は自衛用レーザー砲の導入で長距離攻撃に対応するとしている。
 またスタンドオフ攻撃にも短所がある。長距離巡航ミサイルは非常に高価で、JASSMは一発百万ドルといわれ、有事になれば米軍は在庫を使い切ってしまう恐れがある。
 さらに巡航ミサイルが標的に到達するのに一時間ないし2時間かかり、防御側に準備の時間が生まれる。人員は退避壕に隠れ、防空体制は待機するだろう。
 そこで、奇襲攻撃で強力な火力を加えるには、これと別のはるかに高額な対応方法がある。長距離ステルス爆撃機だ。
 ステルス爆撃機なら警戒されずに敵の国家首脳部、指揮統制司令所、核や化学兵器施設、通信中継地点を攻撃できる。航空基地や海軍基地の機能を低下させ、弾薬庫や防空レーダー基地も排除できる。
 B-2スピリットは三十年にわたり世界唯一の実用長距離爆撃機であり続けている。2020年代中に米空軍は最低でも100機のB-21レイダーのテスト、調達を行う予定で、更に大型の機材を求める声もある。
 他方で中国はH-20ステルス爆撃機をまもなく公開すると見られる。同機はB-2に似た外見となるはずだ。
 米中両国がステルス爆撃機の調達を急ぐのは前線後方に機材を配備できるからで、太平洋の広大さを考えると防空体制をかいくぐり、経済性の高い短距離射程兵装を大量投下できる性能に魅力がある。
 ロシアにもPAK-DAステルス爆撃機開発構想があり、2020年代中に初飛行の予定だが、同機の実現に相当の予算を負担できるのかが今後試されよう。
 現実には第二次大戦終結後、戦略爆撃機が軍事大国相手の実戦に投入された事例は皆無だ。冷戦時に開発の米戦略爆撃機では一発も実戦投下していない機種が大半だ。ロシアのベア爆撃機は1956年に配備開始となり2016年まで実戦投入は一回もなかった。それでも大型機には視覚的な威圧効果がある。
 米国はB-52、B-2で朝鮮半島上空の飛行を行い、北朝鮮に圧力をかけている。ロシアはブラックジャック爆撃機をヴェネズエラに、ベアを英国やアラスカの沖合に飛ばしNATOを挑発している。中国はH-6を台湾周回飛行させている。
 米国も大型爆撃機を低じん度戦役のアフガニスタン、イラク、シリアに投入している。ISISの様な敵にには高高度対空ミサイル装備がないのでB-1、B-52は上空はるか上を飛行し、地上部隊が捕捉した標的に安価なJDAM誘導爆弾を投下した。燃料兵装を満載した爆撃機一機で戦闘機な数回ソーティ分をこなし、戦場上空を数時間滞空できる。
 こうした事情から中国、ロシア、米国が冷戦時の爆撃機を未だに温存している理由がわかるし、新型ステルス爆撃機開発に多大な予算を投入している理由も明白だ。超大国間の死闘に新型機材が投入される日が来ないことを祈るばかりだ。■

この記事は以下を参考にしました。

The Strategic Bomber is Making a Come Back

From America to Russia and China—the bomber is making a comeback. 
February 8, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: B-1BombersCold WarU.S. Air ForceH-6


2020年2月10日月曜日

主張:米航空宇宙戦力があればイランとの開戦でも有利に作戦展開可能

何度も当ブログに登場しているデプチュラ中将(退役)(現ミッチェル研究所所長)の寄稿文です。砂漠の嵐作戦の成功を体験しているだけに、その後アフガニスタン、イラク戦での地上作戦を見て、憤懣やるかたないのかもしれません。イランと開戦になる場合ではこれを避けなければならないと筆をとったようです。米国の航空宇宙戦力がここまで威力を発揮でき、ロシアや中国が干渉しなければ確かにこの成果は実現できそうですが、現実にはイランを内部崩壊させるほうが戦略としては賢明なのではと思います。


砂漠の嵐作戦でクウェートの石油油田が燃える上空を飛ぶF-16A, F-15CF-15Eの各機。2020年1月17日は砂漠の嵐作戦から29周年目となった。近代戦の転回点となったのが砂漠の嵐作戦であった。


国とイラン間で敵意が高まる中、米国の権益を危険かつ不確実な世界で守るため軍事装備への資金投入の必要が高まっている。とくに第5世代機のF-22、F-35、今後登場するB-21爆撃機が中心だ。各機は米国に異次元の優位性を与え、兵力投射を容易に実現させてくれる存在だ。


イラン軍の戦力から作戦環境で困難な事態が生まれる。イランに軍事大国と直接対決で勝利した事例はないものの、各種装備に資金を投入し、有事の際には敵に相当の損傷を与える覚悟だ。中距離弾道ミサイルの整備も進めており、巡航ミサイル、遠隔操縦機、通常型戦闘機材に加え、サイバー戦の準備もある。イランは防衛面でも地対空ミサイルの更新など着実に戦力整備しており、軍事作戦の鍵を握る指揮統制施設、核研究施設やミサイル発射指揮所を分散させている。


イランと開戦になった場合の状況を明確にしておこう。米国はアフガニスタンやイラクで戦略を誤り戦闘が19年の長きにわたり展開した。数十万規模の地上部隊を派遣し、数年間も占領し、国家再建とゲリラ掃討作戦を展開した戦略はイランにはあてはまらない。むしろ1991年の砂漠の嵐作戦をモデルにすべきであろう。航空戦力を投入して43日間で集結した。うち地上部隊によるクウェート奪回に要したのは4日間にすぎなかったが、イランの場合はこの地上作戦は不要だ。米地上部隊の展開の必要はない。中東に駐留する米地上部隊がイランに侵攻すれば不要な「終わりなき戦争」になってしまう。迅速に求められる効果を実現することが目標だろう。


米国の安全保障政策では戦争といえば大量の地上部隊を展開するものという既成概念があり、これを捨てる必要がある。現在の航空宇宙兵力を適正に投入し、サイバー作戦の支援があればイランは経済、軍事両面で崩壊し、核開発も止めることができ、域内での影響力も消せる。イランで重要な石油精製能力、石油運搬ネットワークや配電網を短期間で使用不能にできれば、地上部隊のイラン展開は不要だ。


ただし、イランには大量のミサイルを周辺国に発射する能力がある。また領空の防空体制も充実しており、標的地点は国内に分散している。このため作戦遂行は容易ではない。米軍の目標はイランの周辺国への影響を消すことであり、軍事施設の中でも最も危険な箇所を攻撃することだろう。このため相当の情報収集が必要で、イランの標的地点に関しリアルタイムで情報を修正し決定することになる。なかんずく、攻撃部隊は強力な防空体制の中で生き残り、多数の標的地点を攻撃する必要がある。この最後の点が重要で、イランの戦略が周辺国へ被害を与えることを中心にしているためだ。


この要求を満たせるのは第5世代軍用機、および搭載する高性能兵装だ。F-22、F-35、B-21の各機はセンサー・シュート機能で精密度が上がっている。単なる新型機ではない。その中核はセンサー、処理機能、データ融合機能にあり、作戦環境をリアルタイムで示し、求められる効果を確実に実現しつつ自機を脅威から防御できる。各機の有するマルチドメインチーム効果を活かし、他の機材と組み、高度な連携で戦力増強効果が生まれる。低視認性ステルス設計と電子戦能力で敵防空網の脅威から守ってくれる。


各機で特筆すべきは機能すべてを機体に統合していることだ。高度なまでの効果を単独で実現するという設計思想だ。ステルス・電子戦双方の技術により強力な防空体制でも任務成功の確率は高い。情報収集センサーと処理能力からリアルタイムで状況認識が可能となり、任務達成はさらに確実となる。標的が移動式の場合にこうした機能は重要だ。


各機は他装備と安全なデータリンクでチームを組む。相手は機体、艦艇、衛星、地上車両でもよい。非ステルス機は最新の防空体制下では長く生き残れない。スタンドオフ兵器で防空体制外から攻撃するとしても防空網に突入した機体の協力がなければ機能しない。


こうした第5世代機によるあらたな作戦を求める声が大きいが、政策決定層はこうした機材の数が圧倒的に足りない現実で苦労することになる。F-22は187機調達で終了し、要求数の半分しかない。F-35の量産実現は遅れ、B-21の実戦化は2020年代後半だ。B-2は初期の第5世代機で、ステルス性能、長距離性能、大量ペイロードが有効だが、20機足らずしかない。


解決策は明らかだ。F-22とB-2の生産ラインは閉鎖されており、F-35が現在生産中でB-21生産は2020年代中頃だ。各機の生産は優先事項扱いとし、十分な機数の確保が求められる。F-35の機体価格が最新契約では80百万ドル未満まで下がっており、同機生産を戦力確保の視点で進めるべきだ。B-21の詳細は極秘で不明だが、開発段階はうまく進展していることが判明している。


結論を述べれば、現有の航空宇宙戦力から他国では不可能な選択肢が米国に生まれており、安全保障上の課題に対応可能だ。イランのような危険状態が展開すれば、残された選択はその時点で投入可能な装備の性能に依存する。我が方に非対称的な軍事優位性があるだけに準備は周到に行うべきだろう。現代の状況は複雑であり、効果を上げるのにも時間がかかる。F-35やB-21を増強する決定があれば米国は今後も安全保障面で安泰となる。■


David Deptula, a member of the Breaking Defense Board of Contributors and retired Air Force Lt. General with over 3,000 flying hours, planned the Desert Storm air campaign, orchestrated air operations over Iraq and Afghanistan, and is dean of the AFA’s Mitchell Institute for Aerospace Power Studies.


この記事は以下を参考にしました

War With Iran Could Be Sharp & Short With Fifth Gen Aircraft: Deptula

on January 23, 2020 at 12:40 PM


2020年2月9日日曜日

なぜソウルは原子力潜水艦取得に前向きなのか。不可解な南朝鮮の動き


なぜ原子力潜水艦なのか。そもそも何を狙っているのか、国家としての格を見せびらかすためとは思えませんが、韓国海軍の考え方がどうにも理解できません。国産開発するにしても知見のない中で運用まで進め安定戦力になるまで20年はかかるでしょう。同国の技術運用の実績を見ると、事故やインシデントの発生は避けられないでしょうね。なお、今回は英語表記にならって北朝鮮、南朝鮮との表現にさせていただいています。他意はありあませんが、波紋を呼びそうです。実はそれもこのブログの狙いです。文化の鎖国状況を打破したいのですがね。
朝鮮のような国が隣にあると、色々準備すべきものがある。強力な陸軍空軍とか、強力な爆弾とかミサイル防衛とか。
 だが敵国まで首都から30マイルの国に大洋を横断できる原子力潜水艦は不要のはずだ。
 にもかかわらず南朝鮮は原子力潜水艦導入を検討している。南朝鮮海軍は原子力潜水艦導入の検討チームが稼働していると認めている。現段階は概念研究段階の模様だ。「専用チームができたからと言って今すぐ導入するわけではないし、なにも決まっていない」と海軍関係者は言う。「情報収集に努めている」
 原子力潜水艦導入は以前にも話題になっていた。2003年に構想が報道機関に漏れ、検討が棚上げになった。同国の聯合通信は2017年に国防省が研究を民間機関に委託し、軍もその必要を認めたと伝えている。
 一方で南朝鮮は通常型潜水艦建造を実施している。2018年に3,700トン型KSS-IIIの初号艦が進水している。初の国産建造艦で巡航ミサイル、弾道ミサイルを搭載する予定だ。 「3千トン型の張保皐Chang Bo Go-III級を原子力推進に改造するとの観測がある」と聯合通信は伝えている。
 にもかかわらず疑問は残る。南朝鮮が原子力潜水艦を必要とする理由は何なのか。威信を示すことなのか。
 有事となれば南朝鮮最大の脅威は北朝鮮の核兵器なのか、弾道ミサイルなのか、大量の戦車部隊や特殊部隊なのか。あるいはソウルを「火の海」に変える大量の火砲やロケット弾なのか。いずれも原子力潜水艦で食い止めることはできない。
 だが南朝鮮は原子力潜水艦を抑止手段と見ているようだ。原子力潜水艦は数ヶ月も潜航したままで、報復ミサイル攻撃を加えられる。もっと重要なのは南朝鮮が指揮統制できることで、米国に依存しなくてもよい。
 とはいえ抑止効果に原子力潜水艦がなぜ必要なのか。イスラエルには通常動力のドルフイン級潜水艦があり、核巡航ミサイルを搭載しているといわれる。紅海から東地中海までイランを狙えるが、南朝鮮でも通常型潜水艦で日本海から平壌を攻撃できる。
 だが疑問は次の点に落ち着く。強力な米韓の軍事マシンでも、米国の圧倒的核兵器でも北朝鮮を食い止められないなら、南朝鮮の原子力潜水艦1隻で抑止につながるのだろうか。
 北朝鮮が南朝鮮の宿敵とはいえ、それ以外にも敵国は存在する。日本との緊張がここ数年は高いままだ。南朝鮮の潜水艦が搭載する弾道ミサイルが日本に照準を合わせる可能性がある。あるいは日本経済を支える海上交通路を襲撃することもあろう。
 日本との軍事衝突の可能性は低いが、ミサイルを搭載した南朝鮮の原子力潜水艦が北朝鮮ではなく日本を敵国扱いする可能性はある。■


この記事は以下を参考にしました。

South Korea Is Once Again Thinking About Getting Nuclear Submarines

South Korea is studying whether to buy nuclear-powered submarines.
Key Point: Is this a good idea? 
February 8, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SubmarinesMilitaryTechnologyWorldNuclear Submarines

P-8にLRASM搭載進める米海軍は各種装備に攻撃力増強で中国海軍に対抗する


軍事力増強を自慢する中国ですが、米国は一層効果的な対抗手段の整備に向かっており、さらに高価な装備開発に向かわざるを得なくなります。これはソ連末期の状態と瓜二つで、さらにここに新型ウィルス問題で経済不況は避けられず、中国の現体制の終焉は意外に早くやってくるのかもしれません。



水艦、情報収集機、水上艦艇が戦力増強の対象となっているのは中国の精密スタンドオフ兵器で米艦隊が動きを阻まれる事態を米海軍が恐れている証拠だ。
まずP-8対潜哨戒機に長距離対艦ミサイル(LRASM)を搭載する。海軍で働き者のP-8には魚雷、ハープーンミサイル、SLAM対地攻撃弾が搭載ずみだが、LRASMさらに共用直接攻撃弾JDAM、小口径爆弾他が加わり、長距離地点から攻撃力が増強される。
LRASMは1千ポンド弾頭を搭載し、ステルス性能を発揮し敵ミサイル防衛網を突破する精密攻撃手段だ。従来のスタンドオフ対地攻撃ミサイル射程拡大型 (SLAM-ER)では135カイリ、ハープーンは70カイリだが、LRASAMの射程は公称200マイルだが実際はもっと長いと言われる。
LRASMはリンクを介して無人機、有人機と標的を把握し破壊する機能がある。空中発射式モデルは空軍のB-1、海軍のF/A-18での覇者テストに成功している。主契約企業ロッキード・マーティンでは海軍の巡洋艦、駆逐艦の垂直ミサイル発射装置からLRASM試射にも成功している。
ただし、P-8への搭載改修の完了は2026年以降となる。とはいえ、この動きは米軍の中で中国海軍への警戒感が高まり、米軍部隊が対象地域に近づけなくなる事態を恐れている証拠と言える。また在日米軍やグアムの基地防衛が困難になっている事態も反映している。
LRASM事業主管ウィル・ハーグリーヴス大佐はP-8への搭載時期を明言していないが、既存機材にミッションを追加する方法を模索しているとし、「機材統合で柔軟性を発揮することが費用対効果を高くし目標を達成する方法」と述べている。
中国の新型055型駆逐艦はVLSを112セル搭載し、従来の052D型の64セルから大きく威力が増えている。
新型駆逐艦で「中国の長距離攻撃能力は飛躍的に伸びる」とのレポートがあり、「055型1号艦の就役が2020年1月にあったが、ドレッドノート(1906年)、ビスマルク(1939年)の登場に匹敵する意義がある。歴史の上では両艦の登場で海軍戦略は大きく変わった。055型でも同じ効果が生まれるかもしれない」
こうした変化を背景に、米海軍も攻撃型潜水艦、対艦ミサイルの整備をここ数十年で始めて真剣に進めているというわけだ。旧式になったハープーンの新型導入もそのひとつだ。
2018年末に海軍はハープーン対艦ミサイルのロサンジェルス級潜水艦再搭載に向けボーイングと交渉に入った。これまで潜水艦には静かに沿海部に接近して情報収集あるいはトマホーク対地攻撃ミサイルを発射する任務をイラク、アフガニスタン、シリアで与えてきたのに対し大きな変化となる。
海軍では水上艦艇にも長距離ミサイル搭載を検討している。水上打開司令官トーマス・ロウデン中将は水平線超えミサイルを艦艇搭載すれば攻撃力が充実し、中国の急速な海軍兵力整備に対抗できると述べている。既存の攻撃手段に対し改良型対艦、対空、対潜兵器の新規調達を進めるとし、ハープーン、海軍攻撃ミサイル、長距離対艦ミサイルに言及した。■
この記事は以下を参考にしました

Eying China, Navy Refits P-8 Plane For Deeper Strike

on February 04, 2020 at 12:40 PM

2020年2月2日日曜日

主張 武漢コロナウィルスは中国共産党体制崩壊の始まりになる

ベルリッツ
保守派論客ウォルフビッツ氏の論考です。今回の事案が自然に発生したわけではないようです。ウィルス発生源はそのうち明らかになるでしょう。その際に中国の異常さが露呈するはずです。日本ではまだ冷静に考える余裕がないのか、お得意の報道しない自由なのか、人民解放軍関連の関与を伝えていません。これが中国現体制の終わりの始まりなのか、歴史が証明してくれるでしょう今から思えばチェルノブイリがソ連体制の終焉に繋がりましたよね。こういう意見は日本では黙殺されるでしょうね。それだけに読者とシェアしたいと思います。



ロナウィルス発症例が急増中だ。死亡者は少なくとも80名に達し、発症は十数カ国に広がっている。中国湖北省Hubei provinceがウィルス流行の出発点で封鎖状態に置かれ、都市部はあたかも終末を思わせ往来する車両、歩行者もない。コロナウィルスに毒性はあるが、事態を悪化させているのは中国の共産体制である。
 コロナウィルスの流行を止めるのは難しい。2003年のSARSでは800名が死亡したが、コロナウィルスでは本人が発症に気づかないうちに伝染している。医療関係者から「無症状の歩く肺炎」との発言も出ている。医療機関は大混乱し、中国の医療機関には大量の患者を収容できない。健常者も罹患の可能性がある。ロンドンのインペリアルカレッジの公衆衛生専門家ニール・ファーガソンは患者数を10万名と推定している。
 だが忘れてならないのは中国政府の責任だ。米国や連合国で100年前にあった戦時中検閲制度で「スペイン風邪」が各国にひろがり、米国内でも70万名が死亡した。コロナウィルスが同様の伝染力を有していれば、中国政府が初期段階で情報統制した責任は重い。コロナウィルス事例で政府の無能ぶり、不誠実さが浮き彫りになった。また危機の規模を偽ったり隠蔽する動きが見られた。
中国当局は必至にソーシャルメディアを統制し、危機の実態は政府発表より深刻との情報が伝わるのを遮断しようとしている。中国国内の投稿サイトWeiboで即座に削除された映像では病院内を歩く女性が廊下に放置された死体を指差していた。別の映像では若い男性が武漢で「真実を話す」と述べ病院内の混乱状態を伝えようとして警察に逮捕される恐れを覚悟の上で、やはり死体の放置状態を伝えている。削除は時間の問題だろう。 
 中国の防止策は不十分かつ時期を逸した。湖北省省長自身がその典型で省内のマスク製造規模を誤って発言している。まず108億個と述べ、その後18億に訂正し、さらにわずか108万と、武漢人口の1割にも満たないと明らかにした。省長自身が政府の無能ぶりの象徴となり、大衆の怒りの対象になった。
 武漢には中国で最先端のウィルス研究施設、武漢ウィルス研究所があり、中国軍向けの極秘研究を行っている。今回の新型コロナウィルスが同研究所から漏れたのは十分予測可能だ。
 もし事実なら、ソ連時代の1979年にスヴェルドロフスクで発生した炭疽菌アウトブレイク事例が想起される。ソ連の生物兵器開発施設から炭素菌が流出し、少なくとも64名が死亡した。だがソ連当局は事件を隠蔽し、露呈したのは1992年に自身もスヴェルドロフスクで党主席だったボリス・イェルツィン大統領(当時)が認めたためだった。ハーヴァード大のマシュー・メセルソン以下の西側専門家は罹患患者や医療従事者への聞き取り調査を許されたが、施設の換気設備のフィルター交換を怠ったため菌が外部へ流出したとの結論で、風により各方面に流れ発症に至った。このような状態では当局が真実を頑なに認めない姿勢を強める反面、大量発生への対応では透明性が一層必要となる。
 武漢には大量発生の公表二日前時点で世界最大規模のクイズ大会に4万家族が集まっていた。武漢の封鎖が5百万人が武漢から外部へ移動していた。当局はその後封鎖措置を56百万人規模にまで拡大したが、その前に数百万人が旧暦正月で各地に移動している。終末から中国は野生動物取引を一時停止させたが、コロナウィルスが動物から人体に伝染したあとの話だ。
 中国共産党体制では事大主義、隠匿体質、情報統制が必要とされる。コロナウィルスとの戦いでは全てでこの反対が必要となる。コロナウィルスを実態よりはるかに規模の大きい災禍にしたのは中国共産体制かもしれない。■

This article by Paul Wolfowitz first appeared at AEI.

今回の記事は以下を翻訳したものです

China's Chernobyl? Communism Is the Reason Coronavirus Is So Dangerous

China’s communist system requires sycophancy, opaqueness, and an absence of information. Combatting coronavirus requires the opposite.
世界最高権威フランス有機認証機関、ヨーロッパ統合有機認証機関のオーガニック認定。NATURAL ORCHESTRAの最高品質「オーガニックホホバオイル」

February 1, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusWuhan CoronavirusCommunismBig Government
ジャラハニー



B-21の新たな想像図公表。そこからわかることは....

米空軍がB-21のリアルな想像図を新たに公開しました。それだけ実機の開発が進んでいるということでしょう。予定では来年末に初号機が初飛行と、これまでにない開発ペースです。B-21についてはもともとLRS-Bと言われていましたので今後別用途の機体への進化が期待されること(空対空任務への投入もあり?)と、無人運行が基本と言われるなかどんなアルゴリズムを搭載しているのかが興味を感じるところです。

たに公開された構想図からB-21の空気取入口等ステルス性能につながる構造や機体サイズがわかる。

米空軍が開発を急ぐ極秘B-21レイダー爆撃機では情報が極めて少ない中、ノースロップ・グラマンが契約交付された2015年以来公開されたのは想像図一枚しかのみという状況が続いていた。

2020年1月31日、空軍はノースロップ・グラマンとともにB-21予想図3枚を公開した。それぞれサウスダコタ州エルスワース空軍基地、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地、テキサス州ダイエス空軍基地の格納庫写真に機体構想図を取り入れたものだ。2019年3月に空軍はレイダー実戦部隊をエルスワースから配備開始すると発表し、B-2、B-1超音速爆撃機をそれぞれ運用中のホワイトマン、ダイエス両基地にはB-21がその後配備される。

今回発表された想像図は次の三点。

USAF
USAF

USAF
想像図では詳細面が不明だが、B-2がB-21に大きく影響を与えているのがわかる。

B-21の空気取入口はエンジンナセルと一体化された画期的なデザインだ。ボーイングのMQ-25スティングレイ給油無人機もなめらかな形状の空気取入口だが、B-21と比べ直線的だ。

空気取入口の形状は大きな課題で、機体内に搭載する大型エンジンに空気取り入れをいかになめらかにするかが問題だった。今回明らかになったB-21の開発事情ではノースロップ・グラマンがこの解決に苦労したとあり、驚かされる。ただし、結果としてレーダー探知性をさらに下げる効果も生んだ。

USAF
B-2の空気取入口形状に注目。B-21想像図と簡単に比較できる。

今回発表の想像図からB-21とB-2の違いが浮上している。B-21の前縁部のチャイン線の構造はより複雑で、前縁部と機体をつなぐラインはB-2より急角度がついており、B-2の機首は鳥の嘴状だがこれが見当たらない。すべてステルス性能の向上を狙ったものだ。

想像図からB-21の降着装置と格納扉の配置はB-2に似ているが扉部分にギザギザの角度がついているのがわかる。B-2は台形形状だった。機首降着装置はB-2と似ているが扉はやはりギザギザ状になっている。


USAF
B-2スピリットの側面を見ると、主降着装置扉が台形形状になっているのがわかる。


また重要な点がある。B-21の主降着装置は二輪構造で、B-2は四輪だった。これはレイダーの総重量、機体サイズともにスピリットより小さいためだろう。

B-21の後縁部はダイヤモンド状でB-2ののこぎり状形状と異なるが、今回の公表図でははっきりしない。B-2では低高度侵入任務が新たに設定されたため設計変更となり高い経費で今の形状に落ち着いた経緯がある。B-21は後縁部設計でB-2より高高度性能が向上するはずだ。


airCloset

USAF
B-21構想図ではダイヤモンド形状の後縁部がわかる. 
DMM FX



B-21については不明点が多い。実機の公開時期も不明のままだ。空軍はB-21一号機の初飛行に2021年末を想定しているが、日程変更の可能性はある。エドワーズ空軍基地でテストがはじまれば、実機の姿を目にすることができるはずだ。

B-21構想図発表から数年が経過し、新型爆撃機の姿がわずかだが判明した。■


この記事は以下を参考にしました。

Here's Our Analysis Of The Air Force's New B-21 Stealth Bomber Renderings
Although limited in detail, the new concept art offers new insights into the B-21's inlets, other stealthy features, and overall size.
BY JOSEPH TREVITHICK AND TYLER ROGOWAYJANUARY 31, 2020


2020年1月31日金曜日

事業名称はF-X、今年中に海外共同開発国を決定したいとする防衛省



 あれ、NGFという名称は何だったのでしょうか。F-Xといういつもどおりの名称になったのでしょうか。それはともあれ、構想では一カ国を想定しているようで、これを米国と読むのが普通でしょう。スコーピオンはすでに多国間協力事業の様相を呈していますので。この件については読者の皆さんのご懸念のとおり、日本が主導権を握るのが条件となります。米国でも第6世代機の開発が簡単に進まない中で日本のF-Xにがぜん注目が集まるだけに事業体制の構築と実現で日本のイニシアチブが試されそうですね。

開発を進めるF-X戦闘機の構想イメージを公表し、「社会の関心を高める」狙いがあると防衛省は述べている。 Source: Japanese Ministry of Defense

本の防衛省(MoD)は今年末までに次世代戦闘機での共同開発の海外パートナーとの「枠組み」を作成する。 .
MoDは事業の公式名称は「F-X」であるとし、あらたな「構想イメージ」を提示している。同機は航空自衛隊で供用中のF-2戦闘機と2030年代に交代する想定だ。
新型戦闘機の姿を初めて公式に公開すされた。
「航空自衛隊のF-2は2035年頃に用途廃止となる」「F-X開発を急ぎ、試作一号機はF-2退役の開始前に完成させたい」とMoD広報官は述べ、「協力相手の模索は今後も続ける。協力体制の枠組みを決め、12月までに提携先を見つけて2021年度予算案に計上したい」という。
広報官は枠組みの中身を詳しく述べていない。ただし、構想では海外産業協力国を一カ国特定しF-X開発での役割を定めることになりそうだ。
また広報官はF-X開発予算は2020年度で280億円程度になると述べており、この内約6割の169億円を「F-X関連研究」に投じるという。つまり、残る111億円が「日本主導の開発体制の構想設計」に使われる。
広報官は事業の公式名称が2019年12月に将来型戦闘機からF-Xに変更されたと述べている。この変更が今回の構想イメージの公表につながった。■

この記事は以下を参考にしました。

Japan prepares F-X partnership framework

Jon Grevatt - Jane's Defence Industry
30 January 2020