2020年3月10日火曜日

フォード級の後の米空母像を探る検討作業が始まった---超大型原子力空母か通常型軽空母か

軍は超大型原子力空母の次の姿を調査研究二案件で模索している。
 ともにさらに大型の原子力空母を求める声で共通している。だがペンタゴンがこれまでの流れを否定し、通常型で小型の「軽空母」へ向かう可能性もある。
2020年初頭に海軍は航空母艦の要求性能について正式検討を開始し、フォード級超大型空母5隻の後継艦の姿を模索しはじめた。フォードは就役ずみで、第五号最終建造艦の就役は2032年ごろになる。
これが「次世代空母2030タスクフォース」による検討で、これとつながるのが国防長官官房が行っている空母検討作業で、2020年夏にまとまる。海軍が内部検討結果を公表するかは不明だ。
双方の作業から海軍の長期建造計画、議会による歳出へ提言が行われ、今後の軍事力構造が形成される。
海軍の予算環境に不確実性が増しており、直近でも艦艇建造計画の最新版の発表を遅らせざるをえなかったほどだ。 
海軍の選択肢としては①単価130億ドルでフォード級建造を継続する ②新型艦を開発し、単価40億ドルとする ③アメリカ級強襲揚陸艦を追加建造し軽空母として配備する、の三つと言ってよい。
現有の超大型空母11隻で退役艦が発生しても後継艦建造しない選択肢もあるが、この可能性は最も低い。議会から空母12隻体制の堅持を求めらており、海軍は11隻運用での猶予を何度も要請している。
予算が伸び悩んでいるのも検討に影響を与えそうだ。現在の艦艇数294隻を2030年代のうちに355隻に拡大する構想に海軍が後ろ向きなのも当然と言える。
海軍上層部は艦隊規模拡大に巨額予算が必要なこと、無人艦艇技術が進展してることを指摘している。海軍の試算では有人艦艇60隻を追加すると2049年まで毎年250億ドルが必要となる。この金額は海軍のこれまでの支出規模のほぼ二倍に相当する。
小型無人艦艇は有人艦艇より安価だが現状の枠組みでは無人艦は「戦闘部隊」艦艇に計上できない。
「355隻体制が実現できるか。現状の財政状況から見れば305から310隻しか適正に人員配備、装備搭載、保守管理し、稼働させられない」とロバート・バーク大将(海軍作戦副部長)が2019年10月に述べていた。
予算面で悲観的な見方が続き、海軍の2021年度予算要求では戦闘艦艇建造は8隻予定と、これまでより減っている。
だが海軍長官代行トーマス・モドリーは小型有人無人艦艇を急いで調達し艦隊規模は435隻に拡大できると主張しており、さらに想定予算内で実現都まで言い切っている。モドリーの大胆な構想がいつ消えてもおかしくない。本人は代行で上院が次期長官を正式承認すれば退くからだ。
結果として海軍の第一線艦艇はより現実的に355隻未満となる可能性が高い。問題はこの中に空母が何隻となり、その戦力はどうなるかだ。
2065年ごろにニミッツ級、フォード級あわせて12隻を運用するためにはフォード級建造は10隻以上が必要というのが現在の計画だ。
ここに疑問をぶつけるのがマーク・エスパー国防長官だ。「ゼロか12隻かと二者択一議論になっている。まず、本当にそうだろうか。空母は極めて重要だ。米国の国力を示威する手段だ。抑止効果も高い。大きな戦力となる」
エスパー長官が言おうとしているのは、戦力編成に小型軽空母を加えることだ。海軍にはワスプ級、アメリカ級の強襲揚陸艦10隻があり、F-35Bを搭載し軽空母として機能している。
軽空母は確かに安価だが超大型空母の戦力には及ばない。小型空母で搭載できるF-35は多くても20機だろう。これに対して超大型空母では軽く40機搭載できる。
軽空母で一日に実施可能なソーティーは40どまりと海兵隊が試算している。新型フォード級超大型空母では160となる。.
原子力推進超大型空母なら通常型強襲揚陸艦で不可能な長期間運用が可能だし、電子戦機材や給油機も運用できるが、軽空母では大型機は搭載できない。
そうなると解決策として超大型空母は微減とし、強襲揚陸艦の建造を増やし、軽空母としてF-35搭載数を増やしながら運用する選択肢が浮上する。
「強襲揚陸艦で正規空母のかわりにならないが、工夫して補完的に使える」と海兵隊はまとめている。■

この記事は以下を再構成したものです

What Comes After the Nuclear-Powered Aircraft Carrier?

by David Axe 
March 7, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35Aircraft CarrierMilitaryTechnologyWorld

2020年3月8日日曜日

空中給油の民間企業委託を検討し始めた米空軍AMC

民間企業への防衛業務委託は別に新しいことではなく、中東で民間業者が輸送兵站や要人保護を実施していますが、航空業務でしかも重要な空中給油業務の民間委託は画期的です。しかも参入に期待する企業が多数があるというのも驚きですね。各国で防衛予算の確保が難しくなるとこういう民間参入の動きがこれから増えるかもしれません。でももとはと言えば、ボーイングKC-46がちっとも予定通りに就役してくれないからなのですけどね。
 

第385遠征航空機材整備中隊がKC-135ストラトタンカーの飛行後点検中。カタールのアルウデイド航空基地にて。2019年9月24日。 (Master Sgt. Russ Scalf/U.S. Air Force)


空軍は空中給油業務を民間公募すべきかで結論を今月末に出すと航空機動軍団(AMC)司令がDefnense Newsに明らかにした。
空軍は民間空中給油業者に給油業務を認めていいのかの評価作業が最終段階にあるとマリアン・ミラー大将が2月28日独占取材で述べた。
「民間に期待している。業務参入したい民間企業側も検討結果を重視している。3月中に結果が出る」「一部業者から結果発表がいつになるか聞かれた。こちらも待っているところだ」
検討結果から民間空中給油業者の投入が費用対効果で優れているのか、また契約の枠組みが決まる。ただし、民間業者機材は戦闘や海外運用に投入されず、あくまでも米本土での任務につくとミラー大将は述べ、AMCで手が回らない訓練、試験評価時の空中給油を担当するという。
AMC試算では年間需要は6千時間としているが、検討結果で変わる可能性がある。現在参入に関心を示すのは14社あるという。
「調査結果が肯定的になると期待している。要求水準が実現でき、提案内容を入手でき想定通りの手順で進めればよい。楽観視している」「現在のストレスや緊張が緩和できるはず」(ミラー大将)
空中給油業務の民間委託を議会に承認させるのは難易度が高い。とくに空軍が給油機現有勢力の削減を狙っている中では。空軍はKC-10(16機)、KC-135(13機)の退役を2021年度予算案で提示している。ただし、同内容は米輸送軍団が批判しており、23機を再就役させる予算を確保しようとしている。議員の中にも短期的にリスクが高くなるとの懸念もある。.
だがミラー大将の主張は民間空中給油業者を利用すれば柔軟度が増え、空軍機材への圧力が緩和され、空中給油へ高い需要が海外で生まれると発生するギャップが埋められるとする。
「現時点で実施困難なミッションを実現しつつ不足分を補える。現在は稼働率が問題になっている」と述べ、機材調達にも好影響が生まれるとする。空中給油機材が増え試験評価フライトに投入できれば、試験項目が迅速かつ効率よく埋まり、空軍もKC-135の飛行時間を消耗しなくてすむという。「選択肢が増えることがとても重要です」(ミラー大将)■

この記事は以下を再構成したものです。

US Air Force gets ready for decision on commercial aerial-refueling services

By: Valerie Insinna    

2020年3月7日土曜日

2020年米国防力の現状③ 米海軍

スパー国防長官の削減策が355隻規模の艦隊を必要とする海軍に影響を与えそうだ。
355隻体制の実現は易しい仕事ではない。だが海軍首脳部がこの規模を実現すると約束してから3年たつが行方は一層不明瞭になってきた。
昨年12月には事態はまだ順調に見えた。海軍と海兵隊は共同で初の「統合戦力構造評価」に着手するとの発表があった。トーマス・モドリー海軍長官代行は355隻規模実現を10年以内に達成すべしと目標設定した。だが数週間後に海軍作戦部長に就任したばかりのマイケル・ギルディー海軍大将から異例の発表があり、追加予算数十億ドルが必要とし、政権側が望む戦力増強がいかに常軌を逸しているかを示していた。
ペンタゴンの2021年度予算要求が先月に議会に回されたが、艦艇建造予算は40億ドル減額となり、当初の5か年計画から11隻減っている。造船産業を抱える国会議員はこれに動揺し、一斉に要求案を非難し始めた。
An unarmed Trident II missile launches from the USS Maine (SSBN 741) off the coast of San Diego, California, Feb. 12, 2020.
Navy / Mass Communication Specialist 2nd Class Thomas Gooley
さらに海軍海兵隊戦力評価が出るのが今春のいつか」に延期された。つまり評価内容は2021年度予算公聴会には間に合わないことになる。結果は2022年度予算編成に参考となりそうだ。「海軍は355隻規模の目標にとらわれつつ、予算削減の中で数勘定の方法論から自由になっていない」とCSISアナリストのマーク・キャンシアンとアダム・サクストンは指摘している。
ドナルド・トランプ政権では政府のあちこちに大変な事態が発生している。海軍では上院承認を受けた長官が不在のままだ。モドリーは2017年に海軍次官の承認を受けたが、11月に長官代行に任命されたのはリチャード・スペンサー前長官がネービーSEAL元隊員の恩赦を望むトランプ大統領の意向に応じず罷免されたためだ。
モドリーの次官としての最大の功績は海軍内部の教育体系の再整備だろう。その手始めが一年前に発表され、海軍の各種学校を「海軍総合大学」に再編し、中将を最高訓練責任者に任命し、民間出身者を「最高学習責任者」とした。後者がジョン・クローガーでリードカレッジ前総長だ。クローガーは1月に海軍の「三大知的課題」として将来の戦力構造の企画、変革に取り組む姿勢、艦艇の調達をあげていた。
モドリーは長官代行となり、毎週のように内部メモを発出し組織運営にあたっている。最初の12月6日付けでは三つの目標を掲げた。海軍の戦力構造、知的作業と倫理、さらにデジタル近代化である。その後追加しているのは予算と日程が想定を超えているUSSフォードについて「可能な限り早期に軍艦として準備させる」とし、太平洋諸国とのかかわりを強化し、海軍教育体系や情報管理に「予算満額」を手当てし、水兵の住宅問題を解決するとしていた。
An F/A-18F Super Hornet flies over the Indo-Pacific region on Jan. 29, 2020.
Navy / Lt. Alex Gramma
モドリーの1月15日付けメモでは355隻(以上)の艦艇整備案で通常の艦艇に加え無人潜水艦も含めるとした。現実の制約条件を見るとこの構想も変更を余儀なくされよう。
制約の一つにマーク・エスパー国防長官がロシアまたは中国との対決への準備に焦点をあてていることがある。モドリーもペンタゴンの将来戦構想で有望な新型兵装の開発に熱心で、次世代戦場通信ネットワークや極超音速ミサイルがある。だが米国の安全保障構想では海軍の役割として世界の海上交通路の守護にこれまで依存しており、同時に自然災害時の人道救難業務でも海軍に期待するところが大きい。だがエスパー長官のめざす大国間戦闘に向けた「無慈悲なまでの優先順位付け」でこうした従来型任務がどこまで削減縮小されるのだろうか。
その答えがまもなくわかりそうだ。海軍が355隻目標を実現するには無人装備まで勘定に入れる必要がある。エスパー長官は355隻構想を支持するとしながら、小型かつ「軽装備」の無人艦艇が今後増えると見ている。だが変化はそこにとどまらない。陸軍長官としてエスパーは250億ドル規模の予算を「夜間法廷」として知られる大胆な見直しで再編成した。これと同じボトムアップ手法をペンタゴンに持ち込み、「これまでで最大の国防改革を目指している」とヘリテージ財団のマッケンジー・イーグレンは見る。
Ships assigned to Destroyer Squadron (DESRON) 23 transit the Pacific Ocean, Jan. 22, 2020.
Navy / Mass Communication Specialist 3rd Class Erick A. Parsons
エスパー体制で精査が始まっており、海軍が2021年度予算要求を公表した翌週にモドリーから急きょ「最低でも400億ドルの予算節減策」を「今後六週間かけて」模索するとの発表が出ている。そのメモでは戦力戦略検討」とモドリー自身が呼び、現行の海軍予算が2,056億ドルの中で400億ドル節減を2022年から2026年にかけ実行するとあるが、艦艇建造にも影響が出そうだし、海軍の任務で重要度が低いあるいは効率が悪い分野が廃止になるかも知れない。
ただし、最終決定は議会にゆだねられる。エスパーやモドリーがめざす海軍建造計画や予算削減を議員がそのまま認めるだろうか。反撥を示すだろうか。 ■

この記事は以下を再構成したものです。

State of the Navy
 By Bradley Peniston

defenseone.com/feature/state-of-defense-2020/#navy

海自最新鋭潜水艦おうりゅうのリチウムイオン搭載に海外も注目


 

三菱重工神戸造船所で行われた潜水艦応龍の引き渡し式典。(Japan Maritime Self-Defense Force photo)


上自衛隊はリチウムイオン電池搭載の初の潜水艦、そうりゅう級11番艦おうりゅうを3月5日就役させ、呉の第一潜水艦隊群に編入する。

おうりゅうは三菱重工による同級6番目の艦で、川崎重工5隻建造ずみで最終12号艦を建造中だ。▶おうりゅうおよび最終号艦とうりゅうは以前の建造艦との変更点としてスターリングエンジンによる鉛電池充電方式に代えリチウムイオン電池(GSユアサ製)を搭載している。▶海上自衛隊潜水艦隊司令(当時)小林海将補は2017年におうりゅう、とうりゅうで搭載するのはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)電池と述べ、保守管理が楽になり潜航時の高速移動が長時間可能となったという。▶充電時間の短縮化と長寿命も特徴で、後者で供用中の電池交換回数が減る利点もあると紹介があった。▶ただし調達コストが高くなった。おうりゅうの契約金額608百万ドルに対し10号艦は488百万ドルだった。
 そうりゅう級は浮上時排水量2,900トン、潜航時4,200トンで最高速力が浮上時13ノット、潜航時20ノットだ。乗員65名、魚雷発射管6門で大型魚雷、ハープーン対艦ミサイル、機雷を30本まで搭載できる。▶そうりゅう級建造が終わると日本は後継艦29SSの建造に移る。■

この記事は以下から再構成しています。

Japan commissions its first submarine running on lithium-ion batteries


2020年3月6日金曜日

F-35は新型無人機XQ-58Aに勝てるのだろうか

国が西太平洋で中国と対決する日が来れば、最前線を飛ぶのは安価な無人航空装備になっているかもしれない。
ロッキード・マーティンF-35に未解決の課題3点がある。稼働率を高く維持したくても機体があまりにも複雑な構造なこと。航続距離が圧倒的に足りないし、運行経費が高い。これに対しクレイトス・ディフェンス&セキュリティのXQ-58Aヴァルキリーは実験段階の無人航空機(UAV)だが、F-35の任務の多くをこなしつつ、近代戦での残存性が優れている。
有人戦闘機は攻撃に脆弱
F-35では機体構造が複雑すぎ、信頼性が劣る結果が生じている。事業開始から26年が経過しているが米国防総省の運用テスト評価部長ロバート・ベーラーはF-35各型で信頼性が65%以上の機体はなく、故障が頻発し、修理に長時間が必要になていると指摘している。
二番目にF-35Aの作戦半径はおよそ675カイリ(1,250キロ)で中国がUAV、弾道ミサイル・巡航ミサイル多数を投入しているが、多くはこの半径を超えている。中国は第一列島線、第二列島線の米軍基地をミサイル、無人機で攻撃してくるだろう。
このためF-35が安全運行できるのは遠隔地の基地からで、空中給油機がないと戦闘に加われない。給油機にステルス性がないため、中国はこの撃破を目指した戦術や兵装を開発してきた。空中給油ができないとF-35は戦闘に加われない。
だが戦闘機で最大の問題は新型かつ安価な技術により戦闘機の任務を数分の一程度の予算で実現できるようになったことだ。XQ-58Aは滑走路以外の場所から運用でき、ステルス性があり(正しき体表面に塗布材料はつかない、有効半径は3,000カイリがあり、マッハ0.72で巡航し、270Kgの兵装搭載能力がある。
ステルスモードのF-35では小半径爆弾なら8発、空対空ミサイルは4本しか機内搭載できない。ロッキードは空対空ミサイル6発の搭載が可能となったと述べている。ロット13のF-35Aの機体単価は80百万ドルになるが、この数字は機材の最終価格ではない。テスト中にまだ多くの欠陥が見つかっており、解決が間に合わない。
F-35の耐用期間は8千時間といわれ、一時間あたり運行経費は2018年に44千ドル、2024年度に34千ドルに下がる。そうなるとF-35A一機の調達運用コストは352百万ドルから432百万ドルの間になる。これに対しクレイトスはヴァルキリーの販売価格を100機製造の場合で2百万ドルに設定している。また同機は自律飛行型であり、パイロット技能の維持に毎月飛行時間を計上する必要がない。
自律型ヴァルキリーでは人件費がさらに削減できる。整備陣および航空基地の経費や各専門職養成費用や退職金、健康保険料も不要だ。
この計算ではF-35一機の導入運用コストでX-58が300機調達できることになる。供用期間通じてヴァルキリー4機がF-35A1機の約四十分の一程度の費用ですむ。また航続距離の長さを生かしヴァルキリーはF-35では到達不可能な地点も標的にできる。
さらに重要な点としてヴァルキリーなら中国の偵察攻撃部隊に勝てる。F-35では無理だが、ヴァルキリーに固定運用基地は不要だ。クレイトスは標準貨物コンテナーでヴァルキリー運用を実証中だ。つまり発進するまでコンテナー内部に格納されたまま居場所を探知されない。この機能を使えば同機は平滑な場所ならどこからでも発進し、どの場所でも回収できる。また中国の攻撃兵器の有効射程外からも運用できる。 
XQ-58Aの性能はF-35の数分の一にeすぎなくても、2つの局面でうわまわる性能がある。航続距離と地上での残存性だ。F-35がいかに高性能でも航空基地を攻撃されれば残存が危うくなる。ヴァルキリーは地上で撃破を免れる可能性が高く、F-35の僚機となる日が遠からず将来に実現しそうで、F-35の後継機種とも組んで供用されそうだ。■
TX Hammes is a Distinguished Research Fellow at the USA’s National Defense University. The views expressed are his own and do not reflect the official policy or position of the National Defense University, the DoD, or the government. He is the author of Deglobalization and International Security
この記事は以下から再構成しています。
F-35 v Valkyrie: range, payload, cost and survivability
3 March 2020

2020年3月2日月曜日

米空軍がMQ-9リーパー調達を終了する背景

米空軍がMQ-9リーパー調達を突如終了し、新型無人機調達に切り替えか
これまでジェネラルアトミックスが米無人機生産の中心だったが、戦術面の現実の前にこれも変わりそうだ。

第432航空団所属のMQ-9 リーパーと運行に当たる隊員がネヴァダの夕日の中に立つ。432ND WING PUBLIC AFFAIRS—PUBLIC DOMAIN


空軍の2021年度予算要求でMQ-9リーパー無人機の最終購入24機が盛り込まれている。これまで生産はまだ5年は続くと見られており、363機のMQ-9調達になると予想されていた。突然の変更には深い意味がある。まず、メーカーのジェネラルアトミックスには急な話でありとても歓迎できない話だ。二番目に空軍もやっと無人戦闘航空機の残存性に優先順位を認めたということだ。超大国間の戦闘で無人機にも大きな役割を期待される。 

MQ-9の生産継続に黄色信号がついたのをAir Force Magazineが2020年2月26日に伝えており、ジェネラルアトミックス副社長クリス・パーソンが同社の状況に触れていた。

「突然の生産ライン閉鎖ですが次への展望がないまま、情報偵察部門にも混乱が生まれます。この影響はゆくゆく戦闘の第一線に現れますよ。この機体は訓練用じゃないんです....当社は納入の22ヶ月前からリードタイムの長い部品を手当してるんです....衛星受信機やエンジンとか....政府にも最適価格を提供してきたんです」

サプライチェーンに投資する中で突然はしごを外された格好...生産画境中止になればすぐ影響が出ますよ。雇用にも。解雇やレイオフとなれば新機種を生産しようとしても必要な技能職がすぐ見つからなくなります」

ジェネラルアトミクスにはとても郎報といえない。同社にはリーパー派生型のスカイガーディアン事業もあり、通常の航空交通の中を飛び、40時間連続飛行や高度50千フィートまでの運用性能がある。だが、リーパー生産ラインが閉鎖されれば空軍の遠隔操縦機調達での同社の独壇場も終わりを告げることになる。MQ-9は空軍の戦闘用無人機部隊で中心的存在だ。


GENERAL ATOMICS
スカイガーディアン


また同社はエル・ミラージュに巨大な新設備を完工したばかりだ。新施設には120千平方フィートの大格納庫があり、スカイガーディアン事業のために建設したといわれるが、それだけでは大きすぎる規模だ。


GOOGLE EARTH
ジェネラルアトミックスのエルミラージュ施設。2018年撮影。巨大施設が同社事業所の東端に建設された。
PHOTO © 2020 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION


スカイガーディアンを現時点で発注しているのは英国空軍とベルギーで、オーストラリア空軍も導入の意向ありといわれ、その他数カ国も関心を示している。
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MQ-9では米海軍が2020年度予算で海兵隊向けに2機調達したのがめだち、2021年度にも3機を導入する予定だった。

同時に空軍は委託業者によるオービット、つまり無人機による常時上空飛行の回数も減らす。無人機4機と運用チームによるオービットは現行の70が60に減らされる。


USAF
ジェネラルアトミックス保有の MQ-9が米空軍向け委託事業でポーランドのミロスラヴィエック 航空基地滑走路をタキシー中。2019年3月撮影。

米陸軍向けMQ-1Cグレイイーグルもプレデター・リーパーファミリーの一部で同じく生産が終わりに向かっている。陸軍の調達は2020年度でわずか9機、2021年度はゼロだ。

MQ-9は米国税関国境防備隊も使っており、ジェネラルアトミックスが同機につけたプレデターBの名称をそのまま使っている。NASAでは科学調査用途に二機を運用している。Air Force Magazineでは同社は小口需要にはスカイガーディアンに変更してもらい、1機種の生産に集中することで性能、価格面で効果が生まれると希望しているとのことだ。

今回の米空軍の動きの背景には互角の戦力を有する相手との戦いで機材には十分な残存性が必要と判断していることがある。MQ-9は高性能無人機で兵器「トラック」になるが、低速で、敵防空体制の前に脆弱と指摘されてきた。非国家勢力が相手の場合でも同様だ。

MQ-9に残存性をもっと与えようと空対空ミサイル、電子戦装備、対地攻撃手段まで搭載する案が検討されてきたが、これらを搭載したところで、大国同士の戦闘では同機の性能に限定がつく。 


読者の皆さんはもうご存知だろうが、空軍は自律性能に優れ、高速飛行しながら探知されにくい戦闘無人航空機(UCAVs)の調達を2000年代初期からめざしている。だがステルスUCAVの構想そのものが最初からなかったようにも見える。

構想が極秘のうちに結果を生んでいるのか、中途放棄されたのかは不明だが、いずれにせよ未だに姿を見せていないのは米国の安全保障に大きな影響が出ていることを意味する。


BOEING
ボーイングX-45Cが当初大いに期待されながら採用されなかったのは、別の極秘機の性能がさらに先を行っているため、あるいは空軍がそもそも開発を取り消したためか。

米国の敵陣営も技術開発を続けている。地政学の要因と戦闘の様相が変化していることから空軍もついに残存性が高い戦闘無人機の開発に乗り出すことにしたようだ。ジェネラルアトミックスもこの変化に気づいており、次世代機の開発に乗り出しているようだ。

「MQ-9が現時点の機材なら、次世代機はもっと厳しい空域でも生き残れる機体にないrますよ。まだ正式要求はでていませんが、当然でてくると予測して手をうつことになります」とパーソンも語る。

Air Force Magazineによればパーソンは新型機構想があるのか明白に述べていないが、同社のQ-11つまりプレデターC別名アベンジャーより新しい構想になると述べている。


GENERAL ATOMICS
プレデターA、B、Cの各型。それぞれ、プレデター、リーパー、アヴェンジャーの名称もつく。 

アヴェンジャーは2009年初飛行しており、機体サイズが大型化しながら低視認性(ステルス)も兼ねそなているが、大口顧客の関心を集めていない。数機がアフガニスタンやシリアに投入されている。その際の評価は不明だが、残存性の高さが有効に活用された作戦があったようだ。

Q-11の運用面は極秘情報扱いだ。一部機材が中央情報局関連で運用されているようだ。アヴェンジャーの性能でも優秀な装備を運用する互角戦力を持った超大国相手では不足するので、ジェネラルアトミックスはアヴェンジャーを大幅に超えた新型機を登場させるようだ。

他方で消耗品扱いを覚悟すれば安価に調達できそうだ。低価格には魅力があるが、それでもある程度残存性があるのなら有人機との共同作戦に投入できそうだ。有人機を高高度高速飛行可能で長距離をカバーする兵装とセンサーの「トラック」にする。同社が次回に提示する新型機がこのすきま解決手段となるかもしれない。



USAF
重武装したMQ-9 が海外で運用されている。

ジェネラルアトミックスは海軍向けのMQ-25空母運用空中給油機(CBARS) の受注を逃したが、これまでの主力製品の調達をDoDが中止すれば、再度この分野の事業を立て直す必要がが出てくる。遠隔操縦機による戦闘作戦は同社が作ったと言っても過言ではない。このまま競合他社を前にしながら同社が姿を消すとはとても思えない。ロッキード・マーティンクレイトス他はこの機会を逃さないだろう。そこで同社が建設したエル・ミラージュ施設で機密性の高い事業が展開されるのではないか。

空軍がリーパー調達を打ち切りたいとしても議会承認が必要な点が重要だ。MQ-9各機は今後数十年にわたり重要な任務につく。

いずれにせよ、空軍の遠隔操縦機の重要な機種で生産が終わるというのはステルス無人航空機ほか残存性が高い機材の調達に空軍が本腰となったことを意味するのだろう。


この記事は以下から再構成したものです。
Abrupt End Of Air Force MQ-9 Reaper Buys Points To New Focus On Survivable Drones
General Atomics has supplied the backbone of America's drone force for decades. Now that may be ending due to stark tactical realities. 
BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 27, 2020
THE WAR ZONE

第6世代戦闘機に必要な要素をここで整理してみましょう。

ソラハピ


第6世代機に期待される装備や性能について専門家の意見をまとめた記事のご紹介です。運用はどうなり、ステルスはどこまで必要となるのでしょうか。F-3の大型化への方向性はまちがっていませんね。ただし、当ブログオーナーの意見はB-21サイズの超大型「戦闘航空機」を予想するものです。


GOLOBAL WiFi

代の軍用機は「世代」で区別される。設計時期と応用技術が基準で、最新は「第5世代」戦闘機だ。米中露三カ国が開発中で、その後の機材となる第6世代機はどんな姿で、現行機とどこが違うのか。
まず、第5世代戦闘機の要素を見てみよう。ステルス、センサー、スーパークルーズだ。ステルスが必須要件で、機体形状でレーダー断面積を減らす。レーダー技術も進歩しており、ステルスに限界があるとなんども言われてきたが、多くは誇張であり、ステルスは電子戦、レーダーと並びジェット戦闘機の必要条件である。
第5世代機のセンサー類では高性能電子スキャンアレイ(AESA)レーダーや電子光学センサーで敵機の赤外線放射を遠距離から探知する。第4世代機でも同様の性能を搭載例があるが、第4世代機はこうしたセンサーの初期段階で搭載している。その他、センサー融合機能で、リアルタイム映像、拡張現実による目標捕捉、その他データがパイロットの目の前に現れる。特に重要なのが僚機、地上部隊あるいは海軍部隊のデータを取り込み戦闘に活用することだ。
そして第5世代戦闘機のエンジンではアフターバーナーを用いず超音速巡航し、これをスーパークルーズと呼ぶ。これにより任意の地点に迅速に移動でき、敵機に対し運動性で優位に立てるし、燃料も節約できる。第5世代機でもアフターバーナーはつくが、燃料を大量消費することもあり使用場面は限られる。
第6世代機は第5世代機の特徴を引き継ぐが、開発中の技術も採用する。そのため、就役するまでに新技術が実用化されると見込むが、予測はあくまでも現在開発中の技術内容を基礎とする。では第6世代機に採用される新技術を見てみよう。

レーザー兵器の搭載
レーザー兵器が短距離空対空戦を一変させるはずだ。現行の戦闘機は化学エナジーを使う20ミリから30ミリの機関銃を搭載している。第5世代機のF-35も機関銃を搭載するが、兵装、燃料、センサーはすべて機内に搭載するため弾倉サイズに厳しく制限される。F-35Aの4本銃身25ミリ砲は182発しか搭載していない。発射制御機能では機関砲の発射速度、精度、重力の影響すべてを考慮する必要がある。
レーザー兵器は機関銃から大きな進歩となる。必要なのはレーザーと機体エンジンで生まれる電力のみだ。エナジー貯蔵が必要だが理論上は発射回数は無限だ。さらにレーザーは秒速186千マイルで直進するので敵機命中が容易になる。レーザーは敵ミサイルからの防御手段にもなる。

航続距離を伸ばすため機体大型化は必至
現行の戦闘機の戦闘行動半径は670カイリ以下が多い。超大国間の戦闘へ回帰する中で長距離性能が痛感されている。広大な太平洋、東欧、ロシアを考慮すると戦術機が長距離を移動する機会がでる。事態を複雑にするのがロシア、中国ともに大量のミサイルで、西側の航空基地や早期警戒機を使用不能にしようと構えていることだ。
新鋭機ではステルス性能のため外部燃料タンクを搭載できない。第6世代機で戦闘行動半径を4割伸ばそうとすれば物理的に大型機にして燃料搭載量を増やすしかない。航続距離が伸びれば広範な空域に戦力分散でき、対応も柔軟に可能となる。

無人機編隊を同行させる
現在開発中の高性能亜音速無人機に危険任務を無人機に任せる選択肢をパイロットに生む。米空軍の「忠実なるウィングマン」構想では戦闘機は無人機小編隊と飛び、偵察、電子戦、攻撃、空対空戦までこなさせる。低価格かつ使い捨て無人機により空軍は機材数を増やしつつ上昇する一方の有人機コストに対応できる。
敵地侵攻任務につく第6世代機に無人機編隊が同行するはずだ。一部は敵の地対空レーダー探知、対放射線ミサイルによる撃破任務を割り振られる。あるいは意図的に滞空して敵レーダーの再起動を待つはずだ。その他の無人機は強力な妨害信号を発信したり、有人第6世代機に偽装する一方、空対空ミサイル搭載の無人機がおとりとなり敵機を有人戦闘機のしかける罠に誘うだろう。有人機の兵装搭載量の限界を補うため、精密誘導ミサイルや爆弾を搭載する無人機も配備されるはずだ。

人工知能がパイロットを助ける
自機、僚機、艦船、地上部隊、衛星、その他から流入する大量データへパイロットが対応しきれなくなる。将来においてもパイロットの処理能力が大幅に増える予測はない。パイロットは自機操縦に専念すべきで、AIがかわりにデータの洪水をさばき、優先順位つきでパイロットに表示してくれる。
第6世代機のAIは例えばロシアの「チーズボード」レーダーを探知し、次にとるべき行動メを提示する。一緒に飛ぶ無人機の燃料残、飛行距離、兵装類の状況も把握する。機体が損傷した場合は代替基地を表示し、必要な燃料と距離を算出する。また緊急度の低いデータは別のAIに割り振り、重要データのみパイロットのAIに集中させミッション達成を確実にする。
こうした次世代ジェット戦闘機に応用が期待される新技術により第6世代機が実現するはずだ。ここにない新技術も導入される。いずれにせよ次世代機は現行機材から大きく進歩し、かつてない威力を空軍部隊は発揮するだろう。■

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F-35s Are Old News: What Would a Sixth Generation Fighter Look Like?

September 14, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35Sixth-Generation FighterMilitaryLasersAI



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