2020年5月11日月曜日

F-3は第6世代戦闘機としてこんな機体になる。

本は国産設計で三菱F-3制空ステルス戦闘機の開発に乗り出した。

F-3の性能要求内容は2020年度予算に盛り込まれておらず、正式な開発は2021年に始まり、2030年に初飛行させる予定だ。

このためF-3がF-2戦闘機に交代するのは2030年代中ごろから末にかけてとなろう。

日本のテレビ番組で高推力XF 9-1ターボファンエンジン、アクティブ電子スキャンアレイレーダーがともにF-3用に開発中として2018年3月に紹介されていた。番組では開発費を5兆円と紹介していた。機体単価は200億円にのぼる。

ステルス戦闘機をめぐる日本政府の漂流

2016年に日本は技術面で大きな一歩となる高性能技術実証機(ATD)X-2心神を飛行させた。2007年に開発を始めたATDは3費用.5億ドルで、革新的なセラミックーシリコン複合材を機体に採用し、推力偏向式ターボファンでずば抜けた機体操縦性とスーパークルーズの実現をめざした。レーダー断面積は「コガネムシ」程度だったといわれる。

だがATDは技術実証機であり、量産用戦闘機の試作型ではなかった。日本政府は同機の開発を終了し、海外メーカーに情報開示を求めた。

F-22の機体にF-35の高性能エイビオニクスを搭載するロッキード・マーティンのハイブリッド案は政府に魅力的に写った。だが機体単価が215百万ドルになる予測が出た。ノースロップ・グラマン(YF-23「ブラック・ウィドウ」ステルス戦闘機を開発した)、BAe (テンペストステルス戦闘機を開発中)にも日本政府は接触した。

だがいずれも第5世代戦闘機に近く、日本がめざす第6世代機になりえなかった。

高度技術を応用する軍用航空産業では一回中断したり、技術者の退社、工場の閉鎖、技術の陳腐化が重なれば再開は困難となる。今、開発開始しないと日本は開発能力を失い、米国企業に大きく依存する体制を打破する望みが消える。

F-35対F-3

日本がF-35A、F-35Bライトニングの105機追加調達を発表し、F-3実現の道が絶たれたと感じたアナリストが多かった。また国内組立より米国から直接買い付けたほうが安価になるため一部機材は輸入に切り替えられた。

ただし、F-35はF-22のような制空戦闘機というより空対空性能もある攻撃機の性格が強い。

JASDFの主ミッションは防空だ。2018年にJASDFはロシア、中国の軍用機の接近に対応し戦闘機を一日三回発進させた。PLA空軍はJASDFに6対1の機材数優勢を誇る。最新鋭戦闘機のJ-11DやJ-20は日本の質的優位性を危うくする高性能機だ。

防空戦闘機で望ましい性能は長距離・長時間飛行、接近してくる機体が兵装を発射する前に交戦する高速飛行、視界内ドッグファイトで敵を上回る操縦性が必要だ。供用して40年のF-15JイーグルがこれらすべてでF-35を上回る。

とはいえF-35のステルス性能と強力なネットワークセンサーはF-15を上回る残存性が生む。日本はステルスと空対空戦の双方を実現する機体を求めている。

Jane’sが日本側にF-3に必要な性能で優先事項を尋ねると、「将来の航空優勢確立に必要な性能」をまず上げた。その他として、アップグレードの実施可能性、国産技術の応用、価格をとりあげた。

日本は海外輸出によるコスト削減を狙う可能性もある。軍事装備輸出は2014年に解禁ずみだ。ただし、日本製軍用ハードウェアは高価格のため成約が難しい。ステルス戦闘機は需要が高く、調達が困難になっており、輸出できたのはF-35のみだ。

F-3 はどんな機体になるのか

F-3は双発で機内兵装庫に6発を搭載する。外形スケッチが複数あるが実現の保証はない。

日本がF-3搭載を目指す技術に関する情報がある。

XF-9-1低バイパスターボファンエンジンのテストが2019年に始まった。IHIが開発した。報道では乾燥推力が11-12トン、アフターバーナー使用時は15-16.5トンだ。また1,800度の高熱に耐える。F-22のF119ターボファンではドライ推力13トン、アフターバーナー使用時は17.5トンだ。XF-9はF-119より0.5メートル短く30センチ細く空間を機内兵装搭載に使える。

防衛省は3次元推力偏向ノズルを研究中でエンジン推力を最大20度まで全方向に向ける。日本はレーダー断面積でF-3をF-22やSu-35を凌ぐ高機動戦闘機とし、ミサイルからの退避行動や視野内戦闘で高い操縦性を実現したいのだろう。

各XF-9エンジンに180キロワットとの並外れた発電容量があるので、指向性エナジー兵器のレーザーやマイクロウェーブ兵器を稼働し、敵の弾道ミサイルの回路部を焼き切るのだろう。

またF-3機体表面を「コンフォーマル」レーダーアンテナにするスマートスキンセンサーの複合材で、電磁ESMセンサーのテストもおこなっており、敵探知以外に無線周波数の発信を最小限にする自機防御技術の研究をしている。

コックピットではヘッドアップディスプレイを廃止しF-35と同様のヘルメット搭載ディスプレイとし、液晶画面を組み合わせる。マン-マシンインターフェースで人工知能も開発中で、データを最適化しパイロットの負担を軽減する。

日本は高速データリンクも研究も中で、標的情報を友軍機と共有する。数で優勢な敵への対応を念頭とし、中国のJ-20ステルス戦闘機や今後登場するH-20ステルス爆撃機へ対抗する。

X-2で実証済みでF-3に搭載される技術にEMPに強い光ファイバーによるフライ・バイ・ワイヤ、「自己修復機能型」フライトシステムで機体の損傷を自動修復する機能がある。

防衛省はロッキード、ボーイング、BAeといった海外企業に技術移転や支援をもとめ、事業の実現での負担を軽減したいとする。ただし、国内企業が主導権を握るのが条件だ。

だが、新技術の搭載、機体統合は容易ではない。またコスト目標を実現しながら連続生産するのも容易ではない。例えば米F-35では各技術の搭載統合が困難で、コスト上昇と遅延が何回にわたり発生した。新技術が同時開発中だったのも大きい。日本の技術陣はこうした課題を念頭に15年で開発を完了させる課題を展開することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。
May 6, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanF-22F-3F-35MilitaryTechnologyStealth


2020年5月10日日曜日

コロナウィルス後のPRC② 中国の危険性を世界が認識するのが遅すぎた

中国の危険性、中国共産党の危険性への認識が世界が広まっている中、いまだにこの見方を否定する勢力が残っているのも事実です。また、すぐヘイトだ、人種差別だと騒ぎ立てる勢力があるのはいかがなものでしょうか。今回のウィルス騒動で中共が悪の根源なのは明らかです。世界は黙っていないでしょう。
国の目標は米国の国力を減退させるだけでなく、米国主導の国際秩序に代わり共産主義に基づくグローバル統治モデルの樹立にある。

外交政策は自国社会や国際政治のありかたといった観点に基礎を置くものだが、過去に縛られがちだ。▶歴史からの学びに意義はあるものの、条件が変化すれば過去は参考にならなくなる。▶冷戦期の米外交政策は共産主義を世界に拡散するソ連政府像に支配されていた。▶ソ連は米国と協調せず、競合相手であり、そのためソ連の封じ込めが必要だった。▶米国の政策決定層はこの方向を米国社会が完全支持すると見ていた。

だが冷戦の対立構造が終わると安全保障担当補佐官、国務長官を歴任したヘンリー・キッシンジャーのような戦略思考家でさえ共産中国を無害な相手と誤解し、米国にとって「責任感ある相手」とか戦略提携国とさえ見て、中国の発展を好意的に捉えていた。

中国は単なるライバルではない。強敵である。▶目指す目標は米国の弱体化だけではなく米国に代わり、また米国が作ってきた自由な国際秩序に代わり、共産党の価値観に根付くグローバル統治態勢を樹立することにある。

PRCのほうがソ連より危険だ。▶それは中国が予測困難でありながら強力だからだ。▶急速に伸長する国力とイデオロギーが合体した上に強硬な指導者習近平がある。▶習は極端な野望と自らの権力基盤の保全に偏執する人物だ。▶ソ連より予測が難しい敵が中国だ。 

米国との競争に疲弊したUSSRの過ちを中国が学習しているため、中国はソ連より強敵だ。▶中国は極度の適応力がある敵だ。適応力が優れているため、中国は敵というより協力国とみなされてきた。▶中国は協力国として重要視され、西側の経済エコシステムに組み入れられ、繁栄の享受を許されてきた。▶中国の急成長が可能となったのは自国の努力もあるが、米国の政府、産業界、金融市場、高等教育機関があったからだ。
.
米政府、産業界、知識層には今でも中国をパートナーととらえ、米中関係を「正常」状態に戻す期待が残っている。▶コロナウィルス後も米エリート層と中国実業界の密接な関係は変わりがなく、トランプが大統領の座から降りればすべて正常に戻ると考えているようだ。

だがそんな望みも中国が繰り広げる地球大プロパガンダ活動により砕かれている。中国は工作活動でソ連でも実現できなかった形で米国社会へ侵入し弱体化をはかり、機会をうかがっている。そのひとつがUsenetで、GPS情報を盗み、キャッシュを埋め込んでいる。

中国共産党の特徴をもとに中国の行動様式、戦略目標を見ると、今後中国の国力が弱体化する兆候は見えないが、経済面で力の源泉を遮断すれば変化が生じそうである。▶習近平の権力基盤を崩し退陣させればよい。

中国を変化が容易に発生する国と見るのは誤りだ。▶中国は国際機関に自国の価値観を持ち込んでおり、一帯一路も経済の外観をかぶっているだけだ。

米国は攻撃を受けたり大きな危機の発生後に、脅威が判明した場合に競合国家からの脅威に最も激しく反応する。▶ただし今回はこれが見当たらない。▶歴史を見れば真珠湾、チェコの蜂起、ベルリン危機後の米国の対応は十分なものであった。▶冷戦により高レベルの脅威が判明してもトルーマン政権の脅威対応は不十分で、ソ連の強権外交に対抗できなかった。それでも同政権が米国や同盟国のために戦略的な基盤を形作ったことは評価せねばならない。

中国との対決には脅威認識など過去を想起させる要素がある一方、米国社会の多数が中国を脅威と認めていないため、状況は冷戦時より悪いといえる。▶これは経済界のみならず安全保障分野でも見られる傾向で、米国の反応を鈍くさせる原因にもなっている。▶米政府関係者や経済界のトップに中国の脅威を過小視する傾向がある背景にはPRCによる精力的な工作活動がある。脅威と捉える傾向を最小限にさせながら必要な対応策へ集中できなくしている。▶こうした特殊な動きのため必要な対応が米国で遅れがちで危険を生んでいる。▶中国に効果を生む対応を開始する前にこちらは戦略面、道徳面で明瞭さを確立すべきだろう。■

この記事は以下を再構成したものです。


May 2, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusGreat Power CompetitionRise Of ChinaTrade War

Bradley A. Thayer is Professor of Political Science at the University of Texas San Antonio and is the co-author of How China Sees the World: Han-Centrism and the Balance of Power in International Politics. Lianchao Han is vice president of Citizen Power Initiatives for China. After the Tiananmen Square Massacre in 1989, Dr. Han was one of the founders of the Independent Federation of Chinese Students and Scholars. He worked in the U.S. Senate for 12 years, as legislative counsel and policy director for three Senators. @thayerhan1.


This article by Bradley A. Thayer and Lianchao Han first appeared in Real Clear Defense on April 30, 2020.

自衛隊がUFO対応方針を定めると中国が恐れる事態が生まれる理由とは



国防総省がUFO映像三点を機密解除し、各界が反応したが、日本の反応に最も驚かされた。河野太郎防衛相は4月28日記者会見で自衛隊(JSDF)にUFO遭遇時の対処方針がないため、今回の情報開示を受け準備すると述べた。

河野は自衛隊パイロットにUFO遭遇事件は発生していないと前置きしたが、実に妙な発言だ。各国の軍パイロットでUFO目撃はごく普通のことで、自衛隊の活動ぶりからすれば任務中あるいは訓練中に遭遇事案が発生していておかしくない。大臣発言をめぐり、日本国内のUFO研究団体は自衛隊パイロットが目撃を報告しても上官が取り合わないとコメントしている。

大臣から米国がUFO映像を公開した意図と背景を聴取したいとの発言もあった。DoD公式発表では映像公開は情報隠蔽の疑いを晴らし、同時に米極秘装備の映像と無関係と判明したためとある。ただし、映像公開にあたり追加説明がごくわずかなのは飛行物体の正体が依然不明であるためだ。河野大臣発言は自衛隊による対応方針を定めるにあたり追加情報を米国に要請しているのだろう。

自衛隊が対応方針整備を急ぐ背景に差し迫った理由がある。中国が新型装備の開発をすすめており、自衛隊機が遭遇する可能性が増えてきた。UFO映像撮影の標準手順が決まれば、これを使い中国機の情報収集もはかどる。また情報整理を迅速に行えれば、未確認飛行物体の正体も判明しやすくなる。

最新技術によるUFO映像の撮影と解析ははるかに向上している。このため映像が処理分析できる可能性が高くなった。これまでのUFO記録は手持ちカメラによる撮影やパイロット目撃談が多かった。最近の機体には手振れ補正の高性能カメラが標的捕捉ポッドにつき、視認映像、熱感知赤外線、通常の赤外線映像で記録可能だ。このポッドで追尾しつつレーザー距離計でUFOの正確な飛行形態が把握できる。今回公開のDoD映像もこうした装備で撮影されている。自衛隊では標的捕捉ポッドは米軍並みに使われていないが、十分な数のポッドが調達されている。


そうなると自衛隊がUFO対処方針を整備すれば有益な効果が生まれそうだ。センサー技術の進歩でUFO映像も正しく分析処理できるようになっており、情報の価値が生まれる。今回の決定は遅きに失したかもしれないが、河野大臣は今回の映像開示を利用し一気に情報収集活動を強化し、自衛隊の動きを明かにする効果を生んだ。■

この記事は以下を再構成したものです。


May 9, 2020  Topic: Security  Blog Brand: Techland  Tags: JapanUFOAliens

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.

2020年5月9日土曜日

速報 陸自向けV-22が日本へ到着

陸自向けV-22の初号機が日本に到着しました。

米国防総省の広報ウェブサイトDVIDSが写真入りで伝えています。



V-22 Arrives in Iwakuni

IWAKUNI, YAMAGUCHI, JAPAN

05.08.2020

Photo by Cpl. Lauren Brune 

Marine Corps Air Station Iwakuni  



陸上自衛隊向けV-22オスプレイが海兵隊岩国航空基地に2020年5月8日到着した。陸揚げされたV-22はJGSDF向けの初の機材。(U.S. Marine Corps photo by Cpl. Lauren Brune)


2020年5月7日木曜日

武漢ウィルス後のPRC① 中共を危険な存在と認識しないことが脅威

中国の危険性、中国共産党の危険性への認識が世界が広まっているとはいえ、いまだにこの見方を否定する勢力が残っているのも事実です。また、すぐヘイトだ、人種差別だと騒ぎ立てて本質から目をそらさせる勢力があるのはいかがなものでしょうか。今回のウィルス騒動で中共が悪の根源であるというのは明らかです。
国の目標は米国の国力を減退させるにとどまらず、米国主導の国際秩序に代わり共産主義に基づくグローバル統治モデルの樹立にある。

外交政策は自国社会や国際政治のありかたといった観点に基礎を置くものだが、過去に縛られがちだ。▶歴史からの学びに意義はあるものの、条件が変化すれば過去は参考にならなくなる。▶冷戦期の米外交政策は共産主義を世界に拡散するソ連政府像に支配されていた。▶ソ連は米国と協調せず、競合相手であり、そのためソ連の封じ込めが必要だった。▶米国の政策決定層はこの方向を米国社会が完全支持すると見ていた。

だが冷戦の対立構造が終わると安全保障担当補佐官、国務長官を歴任したヘンリー・キッシンジャーのような戦略思考家でさえ共産中国を無害な相手と誤解し、米国にとって「責任感ある相手」とか戦略提携国とさえ見て、中国の発展を好意的に捉えていた。

中国は単なるライバルではない。強敵である。▶目指す目標は米国の弱体化だけではなく米国に代わり、また米国が作ってきた自由な国際秩序に代わり、共産党の価値観に根付くグローバル統治態勢を樹立することにある。

PRCのほうがソ連より危険だ。▶それは中国が予測困難でありながら強力だからだ。▶急速に伸長する国力とイデオロギーが合体した上に強硬な指導者習近平がある。▶習は極端な野望と自らの権力基盤の保全に偏執する人物だ。▶ソ連より予測が難しい敵が中国だ。 

米国との競争に疲弊したUSSRの過ちを中国が学習しているため、中国はソ連より強敵だ。▶中国は極度の適応力がある敵だ。適応力が優れているため、中国は敵というより協力国とみなされてきた。▶中国は協力国として重要視され、西側の経済エコシステムに組み入れられ、繁栄の享受を許されてきた。▶中国の急成長が可能となったのは自国の努力もあるが、米国の政府、産業界、金融市場、高等教育機関があったからだ。
.
米政府、産業界、知識層には今でも中国をパートナーととらえ、米中関係を「正常」状態に戻す期待が残っている。▶コロナウィルス後も米エリート層と中国実業界の密接な関係は変わりがなく、トランプが大統領の座から降りればすべて正常に戻ると考えているようだ。

だがそんな望みも中国が繰り広げる地球大プロパガンダ活動により砕かれている。中国は工作活動でソ連でも実現できなかった形で米国社会へ侵入し弱体化をはかり、機会をうかがっている。そのひとつがUsenetで、GPS情報を盗み、キャッシュを埋め込んでいる。

中国共産党の特徴をもとに中国の行動様式、戦略目標を見ると、今後中国の国力が弱体化する兆候は見えないが、経済面で力の源泉を遮断すれば変化が生じそうである。また習近平の権力基盤を崩し退陣させればよい。

中国を変化が容易な国と見るのは誤りだ。▶中国は国際機関に自国の価値観を持ち込んでおり、一帯一路も経済の外観をかぶせているだけだ。

米国は攻撃を受けたり大きな危機の発生後に、脅威が判明した場合に競合国家からの脅威に最も激しく反応する。▶ただし今回はこれが見当たらない。▶歴史を見れば真珠湾、チェコの蜂起、ベルリン危機後の米国の対応は十分なものであった。▶冷戦により高レベルの脅威が判明してもトルーマン政権の脅威対応は不十分で、ソ連の強権外交に対抗できなかった。それでも同政権が米国や同盟国のために戦略的な基盤を形作ったことは評価せねばならない。

中国との対決には脅威認識など過去を想起させる要素がある一方、米国社会の多数が中国を脅威と認めていないため、状況は冷戦時より悪いといえる。▶これは経済界のみならず安全保障分野でも見られる傾向で、米国の反応を鈍くさせる原因にもなっている。▶米政府関係者や経済界のトップに中国の脅威を過小視する傾向がある背景にはPRCによる精力的な工作活動がある。脅威と捉える傾向を最小限にさせながら必要な対応策へ集中できなくしている。▶こうした特殊な動きのため必要な対応が米国で遅れがちで危険を生んでいる。▶中国に効果を生む対応を開始する前にこちらは戦略面、道徳面で明瞭さを確立すべきだろう。■

この記事は以下を再構成したものです


May 2, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusGreat Power CompetitionRise Of ChinaTrade War

Bradley A. Thayer is Professor of Political Science at the University of Texas San Antonio and is the co-author of How China Sees the World: Han-Centrism and the Balance of Power in International Politics. Lianchao Han is vice president of Citizen Power Initiatives for China. After the Tiananmen Square Massacre in 1989, Dr. Han was one of the founders of the Independent Federation of Chinese Students and Scholars. He worked in the U.S. Senate for 12 years, as legislative counsel and policy director for three Senators. @thayerhan1.


This article by Bradley A. Thayer and Lianchao Han first appeared in Real Clear Defense on April 30, 2020.

2020年5月6日水曜日

ボーイングの忠実なるウィングマンが完成、UACVの様相を変える存在になる




ステルス性能を有する航空戦力チーミングシステム無人機は交換式機首に各種ペイロードを搭載し現場で簡単に交換できる。

れはボーイングのみならず無人航空戦闘全体で大きな一歩となる。無人チーミング機の先行生産3機が完成し、航空戦力チーミングシステム(ATS)と呼ぶ全体システムの中心要素となる。War Zoneは少数の報道機関とATS関係者と懇談し、同システムについて公式発表前に学ぶことができた。

ATSは有人機と同時投入され「忠実なるウィングマン」が驚くほどの低費用で実現する。有人機より大幅に低費用で戦術機の機材数を大幅に増やす効果も期待させる。また全く異なる戦術を実現させる可能性を秘める。有人機の生存性も高める。

ボーイングは人工知能(AI)と自律運行技術の組み合わせが革命的性能のカギと見ており、有人機の戦力を大きく拡張する効果が生まれるという。今回の無人機は遠隔操縦ではない。ポイントアンドクリックで指示を与える。AIにより飛行制御の大部分を自動化して操作員の注意を戦術面に集中させる。操作員は付近を飛ぶ機体に搭乗し、航空戦の様相が一変する。

ボーイング・オーストラリアとオーストラリア空軍(RAAF)の共同作業は早いペースで進展中だ。事業開始発表からわずか14ヶ月でボーイング・オーストラリアは縮小モデルによるソフトウェア、作動原理のテスト実施にこぎつけた。

今回の事業は設計製造がオーストラリア国内で完結する点でも特徴的だ。つまり米国内事業ではないが、成果は米国含む同盟国多数の航空戦に大きな変化をもたらしそうだ。

背景
今回の説明はジェラド・ヘイズ(自律航空技術部長)、シェーン・アーノット博士(航空戦力チーミングシステム部長)の2名が行い、両名は丁寧に対応してくれた。内容には興奮させるものがあった。

同事業は自律運行無人戦闘航空機で新次元を開く歴史的かつ前例のない動きの一部で、米国外での新型機開発はボーイングにも初事例だ。

ボーイング・オーストラリアが製造中の3機は試作機ではなく、自動化製造工程から生まれた実用機材と同様に作動する機体だ。この製造工程自体も量産工程の実証機能を兼ねる。

この3機で実証しながら全体システムの妥当性も検討する。システムは機材以外にユーザーコマンドインターフェイス、モジュラーセンサー装備、整備方法、データリンク、ソフトウェアで構成する。

ボーイングはATSの基本テスト以外も行うため3機を製造した。各機は航空戦への影響も試される。成功すれば生産仕様機材に応用され運用にも反映される。つまり各機で性能実証とともに運動性能を試す。

開発の大部分は仮想空間で行われており、パイロットとの相互連絡、コマンドへのフィードバックや作動状況も精緻な仮想モデルで実証した。

この「デジタルツイン」コンセプトで仮想モデルと関連システムによりテスト、開発、訓練のすべてを実機を使わず可能にした。時間経費を大幅に節約し、ボーイングはATSのデジタルツインで実機完成を加速化する並行開発を実施した。また縮小モデルを飛行させ、テストとリスク低減を実現しつつ実機生産を並行実施できた。

現状通りなら実機の初飛行は2021年2月になる。残る2機も加わりテストは加速する。予定通りならボーイングは革新的な新型機を2年たらずで飛行させることになる。これ自体が驚くべき達成だ。

機首が特徴
ATSの機首はミッションに応じた交換式だ。この部分は8.5フィートの長さで9,000立方インチの空間に各種装備を搭載できる。交換式ペイロードによる任務対応は無人戦闘航空機(UCAVs)のトレンドとなり、同じ機体を各種任務に投入するのが普通となろう。

センサーやペイロードを交換式にすれば多数の機材でそれぞれミッション対応が可能となる。敵戦闘機の排除なら、1機に赤外線捜索追尾装置をつけ、2機にレーダーを、他機に通信ゲイトウェイを、残る各機に電子戦ペイロードや防御用レーザーを搭載すれば良い。このように状況に応じた編成が可能となれば敵に最大の圧力を与えつつ、専用の無人機を都度導入する必要がなくなり費用対効果で有利となる。ボーイングがモジュラー式機首を採用したのはこうした変化を見越したためだろう。

オープンアーキテクチャの採用は各社また各国で独自のミッション用ペイロードを機首に搭載するためだ。統合型エレクトロニクス装置をで既存装備との共存をはかると輸出の際に困難な課題で高価になる。輸出を最初から想定しているATSではペイロード交換式による解決策を模索している。

経済性を重視
事業の大目標は低価格化だ。空軍部隊が機体を一定数購入して戦闘効果を実現する構想だ。喪失しても戦術機材や戦力に大きな損失とならない。ボーイングATSチームは具体的数字を示さなかったが、USAFがテスト中のクレイトスのヴァルキリーに十分対抗できるとの発言があった。

また目標を「損耗受け入れ可能」(場合により処分覚悟)とし、機体価格は2百万ドルとトマホーク巡航ミサイル並にする。同機を投入する環境がハイリスクであることを考慮すれば、戦闘中喪失を最初から織り込む意義がわかる。性能とコストのバランスを考慮している。

このバランスがATS設計に影響を与えた。機体は低視認性(ステルス)を意識しているが、性能とコストを秤にかけステルス水準を決めた。全翼機形状にしなかった理由を問われて、ATSチームは全翼機は製造コストが上がる、また操縦特性を簡素化しつつ強力な動翼4つを使う、そのうち「テイルロン」は大型でYF-23と類似していると回答した。

主翼は大型複合材2枚だけで構成し、787で実用化された高性能技術を応用した。残る部分も高度複合材でコスト削減と製造工程の短縮化を図りながら耐腐食性と軽量化を実現した。

BOEING
ATSは F-15 Strike Eagle派生型と同時に飛行する。 


ボーイングは画期的な戦力拡大手段として世界中の空軍部隊が導入できる価格の機体にしたいとする。RAAFのみを顧客に想定せず、ペンタゴンの導入も期待する。同社はATSが空軍の要求内容にどこまで合致するか米空軍へ説明しているという。クレイトスのヴァルキリーがDoDで注目を集めているのを意識し、ボーイング・オーストラリアとRAAFはXQ-58を共同開発中のクレイトスと空軍研究本部(AFRL)のチーム以上の技術成熟度、柔軟性、価格水準を実現しようというのだろう。

ただワイルドカードは別の機材が開発中の場合で、ロッキード・マーティンノースロップ・グラマンも新型機を開発中かもしれない。

ボーイングからATSは既存のボーイング機材との統合運用は不可能と発言が出た。統合化作業は相当の経費あるいは大幅なハードウェア変更が必要になる。ボーイング以外の機材を稼働中の各国に輸出する想定で、障壁を予め排除しておく意図からだろう。

戦闘機以外と機材と組む
ATSは戦闘機部隊支援だけが目標ではない。ボーイングはATS編隊を給油機や海洋哨戒機、早期警戒機に随行させる想定だ。この三型式の機材整備を進めるオーストラリアには納得の行く想定だろう。

最重要ながら最も脆弱な機材の援護ミッションが実現すれば有人戦闘機は前方作戦に専念できる。

画面が大型化したとはいえ戦闘機コックピットからではATSの性能をフル活用できないと考えボーイングは大型機にATS操作員を搭乗させ大画面でATS編隊の制御を細かく行う構想だ。戦闘機一機で3ないし4機の無人機の制御が可能とボーイングは説明しており、E-7ウェッジテイル早期警戒機のような機材なら数倍の機数を一度に統制できる。

有人機による統制なしで無人戦闘航空機(UCAV)として運用する可能性を尋ねたが、チームは回答を避け、あくまでも忠実なるウィングマンとしての投入が中心だと述べた。

背後に規制と役所仕事があるのだろう。AI搭載の高性能航空戦闘無人機の輸出でも同様だ。今後実証が進めばハリウッド映画がイメージを作った信頼度への疑問も減るだろう。ということで当面はATSは自由に運用できない。

未解明の要素
ボーイングは忠実なるウィングマンについて情報開示する姿勢を強くしているが、疑問も多々残る。運動性能、航続距離、G耐性、離着陸性能、稼働期間はどうなのか。もっと重要な疑問はペイロードだ。機首が交換式なのはいいが、どんな兵装や装備を搭載するのか。空中給油に対応するのか。さらに同機が将来投入されるミッションでどこまでの効果を発揮するのだろうか。

こうした疑問が残るが、ボーイングには大きな成果となり、高性能無人機技術での主導的立場を実証した形だ。同社には米海軍向けMQ-25スティングレイ艦載給油機があるが、全く異なるATSを世界の軍用機市場に投入できればボーイングが将来の航空戦で中心となる可能性が出てきた。■

この記事は以下を再構成したものです。


BY TYLER ROGOWAYMAY 4, 2020

パンデミック中だからこそ中国の動向は要注意:台湾海峡をめぐる米中の動き


ーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSバリー(DDG-52)が4月24日今月2回目の台湾海峡通航を実行した。中国は同地区での海軍活動を活発化している。

バリーは4月10日にも台湾海峡を通過航行し、同日に中国は夜間軍事演習を展開していたとワシントンDCに本拠を置くジェームズタウン財団の中国ウォッチャー、ジョン・ドッツォンが指摘。

中国が同地区で軍事活動を強化しているのは「台湾総統選挙で蔡英文が再選され中国メディアが強い論評を展開するのと呼応」(ドッツォン)。

バリー航行の同日に中国は075型揚陸艦2号艦を進水させた。
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中国の揚陸作戦は台湾に焦点をあて、人民解放軍(PLA)海軍、海兵隊は海上からのミサイル発射能力を向上させているとペンタゴンは昨年5月に指摘していた。

ただし同報告では中国には台湾海峡を横断し台湾へ揚陸作戦を実施する能力はないとしていた。揚陸部隊装備では075型より小型の揚陸艦が大半だ。

071型揚陸輸送ドック型艦艇は排水量19,855トンの推定で、米海軍のサンアントニオ級揚陸輸送ドック艦は25,900トンだ。

昨年9月25日、中国は075型揚陸強襲艦の1号艦を進水し、排水量は30千から40千トンの推定。米海軍のアメリカ級、ワスプ級強襲揚陸艦は各41千トン、45千トンで、議会調査局は075型3隻が建造中と推測している。

「071型、075型ともに大型艦で台湾相手の揚陸作戦で重宝されるはずだが、中国のねらいは別にあるとみる向きもある」と調査局は指摘。

中国は揚陸艦艇を充実し平時の人道救難活動、非戦闘住民避難活動や海賊対策に投入する可能性もあるが、同時に南シナ海、東シナ海での領海主張の一部に使いそうだ。■

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USS Barry Transits Taiwan Strait

April 24, 2020 6:20 PM