2020年10月6日火曜日

M2ブラッドレイの武装強化 50mm砲とブッシュマスター砲で最強の歩兵戦闘車両になる

 https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2011%3Anewsml_GM1E79119LA01&share=true


 

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両は二回の湾岸戦争を通じ性能改修されてきたが、米陸軍は今後も供用可能と見ている。

 

ノースロップ・グラマンはM2用にXM913 50mm砲を納入しているが、米陸軍ではブラッドレイ主砲に別の選択肢も検討中だ。

 

Janesは同社に同火砲の技術成熟化契約が交付され、8月末に

 XM913 砲4門が納入され、10月中に7門が納入されると伝えた。同社は10門の追加発注を期待している。

 

「50mm砲とブッシュマスターチェーンガンの組み合わせで信頼度高い有効射程が生まれ、同等戦力を有する敵部隊にスタンドオフ距離から攻撃を加えるチャンスが増える」とノースロップ・グラマン広報がJanesに語っていた。

 

 

陸軍は新型50mm砲の試験を昨年から開始した。同砲は次世代戦闘車両(NGCV)へ搭載をめざし、ノースロップ・グラマンは2019年のブッシュマスターユーザー会議で実弾発射実演を行い、陸軍装甲車両への搭載可能性を誇示した。

 

ブッシュマスターチェインガンはロケット弾、砲弾、迫撃砲弾への対抗手段(C-RAM) さらに無人機対抗手段 (C-UAV) としての有効性を試験中だ。もともとは拡大地域防御生存性統合実証(EAPS ID)の一環で開発され、その後遠距離移動目標の追尾能力を干渉レーダー、火器管制コンピューターと無線発信機受信機を使い、発射後修正弾として利用可能かテスト中だ。

 

陸軍はノースロップ・グラマンと共同で同砲のNGCV搭載をめざす一方で、供用中兵装でも発射速度、有効射程を改良する。

 

NGCVでは速力、とり回し性能、遠征戦闘投入の重視で決まっており、敵の火砲発射前に撃破する能力が求められる。

 

XM913砲は二種類の発射弾を使う。ひとつがXM1204高性能爆発性空中炸裂弾軌跡付High Explosive Airburst with Trace(HEAB-T)、そしてXM1203安定板つき装甲貫通弾軌跡付Armour-Piercing Fin-Stabilized Discarding Sabot with Trace(APFSKS-T)で、同砲は陸軍が目指す高威力高精度中口径砲Advanced Lethality and Accuracy System for Medium Caliber(ALAS-MC) の中心となるとJanesが報じている。

 

ALAS-MCでは機動性を発揮しながら命中精度を上げるのが目標で有効射程も従来より伸びる。

 

「性能向上で砲操作の幅が広がり、砲撃は従来の三倍のペースで実施できる」と米陸軍戦闘能力開発本部で高性能装備品部門のケヴィン・フィッツパトリックが語る。

 

ALAS-MCには供用中装備品を上回る性能と威力の高性能中口径兵器装備品になるとの期待がある。さらに長射程を生かしスタンドオフ攻撃を現状を上回る精度で実施できるようになる。

 

「ALAS-MC開発でもう一つ鍵となるのが将来のシステム拡張を見越した開発モデルを使用していることで、今後登場する新技術にも呼応し多彩なミッションをこなせる」とフィッツパトリックは述べている。

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Check Out the Bradley Fighting Vehicle's New 50mm Gun

October 3, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: XM913U.S. ArmyMilitaryDefenseWarXM913 50mm Cannon

The weapon is massive and can shoot even more powerful ammunition.

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This first appeared earlier and is being republished due to reader interest.

Image: Reuters


2020年10月5日月曜日

空母搭載のうわさがある瀋陽J-31(FC-31)はF-35の性能にどこまで肉薄しているのだろうか。

 

国の第五世代戦闘機J-31の写真がソーシャルメディア上でFC-31として紹介されているが、同機はエイビオニクスで性能向上策を受けているとサウスチャイナモーニングポストが伝えている。▼ソーシャルメディア微博weiboの写真ではFC-31シロハヤブサ戦闘機のテスト飛行の様子が映っていた。これをつたえたNewsweekは中国が技術改良を施したと報じている。▼「以前の試作型では速度調整装置が機首についていたが、今回はそれが見当たらない。このことは同機にエイビオニクスが搭載されているのではないかとサウスチャイナモーニングポストはみている。同紙によればFC-31のコックピットキャノピーはJ-20と同様の形状で、風抵抗も改良されている」とNewsweek記事にある。 

 

同機の海軍仕様が空母へ搭載されるとの説がある。J-31はF-35に対抗する機材なのは間違いない。外観はF-35の「パクリ」のステルス形状で、エイビオニクス、センサー、兵装、エンジンはいずれも外部の目には見えにくい。▼興味をひかれるのはF-35との類似性は偶然の産物ではないことだ。米議会の2014年度米中経済安全保障検討では2010年度の国防科学委員会報告を引用し、中国はサイバー諜報活動でF-35含む米国製武器の詳細情報を盗んだとしている。▼中国メディアも両機種の類似性に気付いており、中国政府が発行する人民日報もF-35とJ-21が似ていると2013年に報じていた。記事では「両機種ともDSI空気取り入れ口を採用している」とあった。唯一違うのは米側にはF-35B短距離離陸垂直着陸型があること、ならびにJ-31は双発エンジンだがF-35は単発だと同記事にあった。▼外観は著しく似ているが、同機がF-35に相当する性能を有しているのか確証はない。▼J-31が米国の設計技術を盗用していてもF-35の性能には及ばない。J-31は盗作であり、いかなる盗作の例にもれず、原型を超えることはない。

 

 

とはいえ、センサーのあるいはエイビオニクスが伝えられるように改良されていれば話は変わる。F-35の優位性は相当ののりしろがあり、「空飛ぶコンピューター」に高解像度長距離センサーを搭載し、見つかる前に敵を探知できる。▼中国がAI分野で進歩しているとはいえ、J-31にも同等の「センサー融合」機能があり、同様の兵装射程があり、操縦性が同じ保証はない。▼とはいえ、同機が海上運用されれば脅威が一気に引きあがる。▼J-31の性能、兵装運用能力、速力や攻撃力がF-35並みなら、米F-35Bならびに艦上搭載型F-35Cの優位性を中国は消せるはずだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです

 

Why China's J-31 Stealth Fighter Is No F-35

October 4, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-35MilitaryJ-31StealthChina

by Kris Osborn


Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University. This first appeared earlier and is being republished due to reader interest.

Image: Reuters.


韓国初の国産戦闘機KF-Xの実現への前途は多難な様子

 国初の国産戦闘機の開発が進展を見せているが、事業は海外投資先との交渉が難航しており、財務面で危機に瀕している。韓国は初期費用の約2割にあたる15億ドルをインドネシアに負担させる段取りをつけていたが、インドネシアは8月時点で4.2億ドル分が未払いで、再交渉に進展の兆しがない。インドネシアは2割を負担し試作機一機を韓国の技術とともに入手する条件だった。

 

インドネシアとの交渉はまだ決着がつかないが、インドネシアの不満はつぎの二点に集約される。輸出ラインセンスを巡る意見の対立およびインドネシア側技術員が中核部分への立ち入りを禁止されていることだ。前者はまだ単純に思える。両国の間で基本所有権の所在をはっきりさせればよい。だが韓国国防筋がThe Korea Timesに語ったように両国間の協力関係に進展がないのが現状だ。

 

韓国の防衛産業大手韓国航空宇宙工業(KAI)が今年初めに公開した画像ではKF-X試作型の一号機は組立最終段階に入っている。KF-Xは単座双発の4.5世代戦闘機でF-16コンセプトを下敷きに空力性能を改善し、ハードポイントを増やし、ステルス機能を一部で採用し、国産AESAレーダーを搭載する。ord label

KF-Xの初期生産機は兵装を外部搭載するが、その後の生産分からは内部兵装庫に長距離空対空ミサイルを搭載し、韓国のLIG Nex1が同ミサイルを開発中だ。量産仕様一号機は2021年1月に完成し、量産は2028年に開始し、2032年までに最大120機を生産する。

 

韓国の大胆な計画通りに進展すればKF-Xは韓国空軍の旧式機材F-5EおよびF-4ファントムIIの後継機種となるほか、一部のF-16とも交代する。

KF-X初期機材で研究開発生産費用は70億ドルに達し、さらに160億ドルで量産機を生産すると機体単価は約1.3億ドルになる。

 

KF-Xは物資面でも財務面でも韓国に重荷になっており、AESAレーダーのような高額装備品を輸入すれば安価に実現できたはずだ。

 

予想外の未払い分の出現で韓国が今後10年で120機生産する目標を変更するかに注目が集まる。韓国は自国で不足分を負担できるが、KF-X事業は最初から投資回収は想定しておらず、費用節減は最重要項目ではない。韓国は同等の性能を有する機材を安価に輸入できたはずだ。逆に韓国の目標は国産戦闘機の開発で長期にわたる戦闘機輸出で投資を回収することにある。インドネシアが撤退すれば事業進展に悪影響が出るものの、アジア太平洋地区で主要防衛装備輸出国の座を狙う韓国の構想そのものが無効になるわけではない。■

この記事は以下を再構成したものです

South Korea's KF-X Stealth Fighter Program Is Running Into Problems

October 3, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: South KoreaROKKF-X ProjectMilitaryKF-XStealth

by Mark Episkopos

Mark Episkopos is a frequent contributor to The National Interest and a PhD student in History at American University.


2020年10月4日日曜日

大統領感染発表の直前に発進したE-6TACAMO機の太平洋大西洋上空飛行に関連はなかった

 Navy Boeing E-6B Mercury.

第一戦略飛行団のボーイングE-6Bマーキュリーは任務集団114.2としてティンカー空軍基地(オクラホマ)に配備されている。, コロラド州上空。 Aug. 23, 2019. (U.S. Air Force/Greg L. Davis)



戦略軍が10月2日金曜日早朝に米海軍のE-6Bマーキュリー「ルッキンググラス」核兵器指揮統制機少なくとも二機が発進したのはドナルド・トランプ大統領のCOVID-19感染結果と無関係の「偶然」のなりゆきだったと国防総省が発表した。「E-6Bが警戒態勢に入ったとの報道があったが、STRATCOMはE-6B各機は事前計画ミッションで展開中と確認してきた。大統領の発表とのタイミングは純然たる偶然の一致」と発表文にある。「DoDの警戒レベルに変更はなく、軍は国家防衛に待機中」とし、「国家指揮統制構造に影響は出ていない」。


「審判の日」機と呼ばれるE-4Bナイトウォッチは空中から核兵器投入の命令を出す機材だが、E-6Bの役目は国防総省内の国家統帥権限保有者と核潜水艦、爆撃機、ミサイルの各部隊の通信を中継することにある。


10月2日早朝に機体スポッターのひとりがE-6二機が米大陸両岸付近に滞空中なのを見つけたが、直後に大統領が夫人とともにコロナウィルス陽性だとツイッターで発表した。このツイートが出ると数千名ユーザーが関心を示した。


さらにE-6のフライトと大統領による発表を関連付けて伝える記事が出たが、専門家から同機は定期的に滞空しており飛行追跡サイトで確認できるとただちにこの見方を否定した。


「E-6の飛行は極通常のもの。勘繰りはすべきではない。別にメッセージを出しているわけではない」とMITの政治学教授で核兵器に詳しいヴィピン・ナランがツイートした。「核兵器運用の指揮統制についていえば、大統領が機能不全となった場合に心配なのは通信ではなく指揮命令系統だ。事態はまだそこまでになっていない」


「E-6B TACAMOがADS-B を使う追跡サイトに表示されるのは普通のことだ。常時表示されている」とThe War Zoneのタイラー・ロゴウェイがツイートしている。「E-6の動向に何ら異常なものはない」とオープン・ソースのアナリスト、ステファン・ワトキンスもツイートした。


最近は別の機体スポッターも空中司令部機のフライト回数が急増していることに気付いており、ツイッターでも今秋に入りこうした機材の運用をSTRATCOMが増やしているとの指摘がある。


これに対し戦略軍も10月1日にツイッターに各種機材の写真を掲載し、世界各地で部隊展開の機動性を試す演習を連続実施中と伝えた。


「米国民の皆さんが眠りにつく中でも指揮統制機材や戦略爆撃機は世界各地でミッションを展開し、我が国の即応体制、統合運用体制の有効性を試しているのです」とある。


ペンタゴンからは海外出張中のマーク・エスパー国防長官が早期帰国する予定はないとも発表。国防総省高官はフォックスニューズに「警戒態勢に変化はない。大統領は最高司令官として機能している」と述べた。



この記事は以下を再構成したものですトランプ大統領のツイートに百万単位のいいねがついていますが、多くは早期の回復を祈る善良なもののでしょう。一方で最高司令官の不在を中国やロシアが好機ととらえないように戦略軍が警戒態勢を上げるのは容易に想像できます。


Launch of E-6 Nuclear Command Plane Not Tied to Trump's COVID-19 Diagnosis: Pentagon

2 Oct 2020

Military.com | By Richard Sisk and Oriana Pawlyk


No, the US military did not mobilize its 'doomsday planes' in response to Trump's COVID-19 diagnosis



2020年10月3日土曜日

令和3年度防衛予算要求をDefense Newsはこう伝えています。

  

The Japan Maritime Self-Defense Force's helicopter carrier Kaga, right, and the Izumo are seen in Yokohama, south of Tokyo. (Yoshitaka Sugawara/Kyodo News via AP)

 

本の防衛予算はここ数年の傾向を受け次年度も増額され、中国の装備近代化とあわせ核兵器を保有する北朝鮮のミサイル開発をにらむ。

 

防衛省の次年度予算要求は550億ドル規模で、増額要求は8年連続の前年比8パーセント増で記録更新の規模となる。

 

義偉政権で初の防衛予算となる。前任の安倍晋三を継承し、防衛分野で日本の国際関与を強化する。

 

予算要求にロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機の追加調達があるのは想定どおりだ。防衛省は3.1億ドルでF-35Aを4機、2.5億ドルでF-35Bを2機調達したいとする。

 

日本はF-35Aを105機、F-35Bを42機調達する予定で、米国を除き最大のF-35運用国になる。F-35Bはヘリコプター駆逐艦いずもに搭載するため、2.2億ドルで、排気熱に耐える飛行甲板の強化と、前部構造の改修を進める。

 

The Japan Air Self-Defense Force's F-35A jets prepare to land at Misawa Air Base in Misawa, northern Japan, on Aug. 1, 2019. (Kyodo News via AP)The Japan Air Self-Defense Force's F-35A jets prepare to land at Misawa Air Base in Misawa, northern Japan, on Aug. 1, 2019. (Kyodo News via AP)

 

例年同様に防空ミサイル防衛能力の整備予算が盛り込んだ。3.7億ドルでペイトリオット高性能版-3のミサイル部分強化型を追加調達する。日本は地上配備イージスアショアの整備を白紙撤回したばかりで現在は別の選択肢を模索している。

 

予算要求では国内防衛産業向けに調達・研究両面で事業が想定され、6.44億ドルで川崎P-1対潜哨戒機3機、4.88億ドルでC-2輸送機を同社から2機調達する。

 

陸上自衛隊関連では1.8億ドルで16式車輪走行軌道戦闘車両25台を調達する。海上自衛隊は9.4億ドルでフリゲート艦2隻、6.5億ドルで新型攻撃型潜水艦一号艦を建造する。

 

次世代ステルス戦闘機の研究開発も5.6億ドルに増やし、別に1.1億ドルでレーダー、ミッションシステム統合などサブシステム開発を進める。

 

極超音速ミサイル開発に2.2億ドルを計上し、C-2原型の長距離スタンドオフ電子戦機材を1.4億ドルで開発す機内装備の調達に67百万ドルを要求。

 

宇宙サイバー空間部隊の研究運用、電子戦部隊新設にも予算を配分する。電子戦部隊は陸上自衛隊朝霞駐屯地に配備し、その他駐屯地にも2022年3月までに要員を配備完了する。沖縄含む南西部に重点をおき中国の海空での活動をにらむ。

 

こうした部隊は通信やGPS機能の妨害を狙う電磁攻撃の阻止が狙いだ。防衛省は66百万ドルでRC-2偵察機を調達し、2.18億ドルで敵無人機等による電磁攻撃の監視装備で研究を進める。

 

日本は宇宙作戦隊を航空自衛隊内部に今年5月に創設し、2023年から本格運用する。同隊は敵攻撃やデブリから日本の衛星群を守る監視活動が任務だ。同時に衛星の航法通信機能を地上各部隊に活用させる。監視衛星の設計打ち上げや米国との共通装備調達に6.8億ドルを要求した。

 

予算要求は財務省が査定中で、次年度予算は年末に発表の運びだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Japan reveals record-high budget request eyeing hypersonic tech, F-35s and more

By: Mike Yeo

Mari Yamaguchi of The Associated Press contributed to this report.


LEO衛星で全世界をカバーし、敵標的情報を「光速」で戦場に送る米陸軍の迅速攻撃構想

"Attacking at Speed": Army Project Convergence & Breakthrough Lightning-Fast War


甲戦闘車両がアリゾナの「直撃火力」ミッションで敵戦車を標的にする。車内には標的の照準情報が上空を飛ぶ無人機、ミニ無人機、ヘリコプターから無線で入るが、まず標的の詳細情報は高速移動する低高度衛星を運用するワシントン州から入ってきた。


陸軍のプロジェクト・コンヴァージェンス2020は実弾発射を伴う実験でアリゾナ砂漠で展開し、高性能衛星の力を借りて標的を迅速に探知しデータを転送し迅速な攻撃力を発揮するクロスドメイン攻撃の新しい形を試す。


小型高速の新世代低軌道(LEO)衛星はワシントン州のルイス・マッコード共用機地から運用されており、標的情報をリアルタイムでアリゾナ州ユマの演習実証地に送ってきた。かつてない高速長距離標的捕捉技術が現実のものとなった。


「ここで目にしたのはLEO衛星からの情報提供の第一段階だ。ワシントン州を経由して地上統制ステーションに送信された。地上ステーションがデータを中継した」と陸軍の戦闘能力開発本部を統括するジョン・ジョージ少将が現地で語った。


演習ではLEOと中高度地球周回軌道衛星の新技術を活用し、地球静止軌道(GEO)衛星の能力の上を行く「網目」ネットワークの増強を目指した。


「これまではGEOを活用してきた。LEO衛星だと衛星通信につきものの遅延を大幅に減らせる。かわりにデータスループットが増加する。戦術情報をより多くの地点で得られる利点がある」と専門家が語っている。


目標捕捉の迅速化技術がプロジェクトコンヴァージェンス2020で使われているが、その背景に陸軍は敵軍の捕捉及び交戦で「スピード」を重視しており、現行より相当加速しようとしている。ネットワーク対応衛星から無人機へ、ミニ無人機へ、さらに地上の攻撃手段へFIRESTROMの呼称のAIがデータを送ると陸軍の通常戦の在り方そのものが一変する。今回の演習に応用された技術はセンサーから発射兵器までの調整最適化を最小20秒で完了するが、これまでは20分が常識だった戦場の在り方が大きく変わる。


「宇宙配備センサーの情報を地上や空中に送るのは簡単かつ超高速で実施できそうだったが、実際は複雑な構成となり作動させるため何週間もコーディング作業が必要だった」と陸軍将来装備本部のロス・コフマン准将(次世代戦闘車両機能横断チーム長)が今回の演習場で語っている。


高速ネットワークのLEOの整備を陸軍、ペンタゴンが急いでおり、今後合計4,500基まで増強の予定がある。今まで約600基が配備されており、今後は毎月60基増やす。


「GEO利用が普通だった。それをMEOさらにLEOの利用まで広げてきたが、まだまだ発展途中だ。来年の演習までに北米地域は24時間週7日連続カバーでき、実証を続ける。4,500基すべての配備に二三年かかるが、ゆくゆく全世界をLEOでカバーする」と陸軍技術将校が語っている。


LEO衛星の利用はペンタゴンの目指す宇宙空間の活用方針に合致したものだ。宇宙装備の回復力と生存力を高い接続性とともに両立させる。LEO衛星の「ネットワーク化」で情報共有しながら対象地をきめ細かくカバーするのが宇宙の「ノード」で、ここから標的データを転送し連続追尾を実現する。


LEO衛星システムでは一部衛星が敵の攻撃で機能喪失しても機能を維持するねらいもある。このため冗長性が重要だ。有事には衛星ネットワークは敵の攻撃や妨害があってもミッション実施機能を維持する。

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「LEOにより回復力が実現し、ネットワーク維持も可能です。同じ通信内容が複数経路を通過するパス多様性を確保できるからです。これを使い戦術ネットワークを形成します」と上記陸軍技術将校は語る。


プロジェクトコンヴァージェンスの衛星ネットワークは今後も続く陸軍合同装備投入シークエンスの一部だ。コフマン准将の説明では宇宙空間や宇宙配備のセンサーは敵標的の侵入段階に活用される。次に来るのが分解段階で航空機により敵の長距離火砲を破壊し、最終段階が「活用」段階で地上軍が敵を攻撃した、というのが今回の演習の内容だった。■


この記事は以下を再構成したものです。


Army Seeks Thousands of High-Speed, Low Earth Orbit Satellites For Ground Attack

Kris Osborn

2020年9月29日


-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

 

Army Tests Breakthrough Cloud-Enabled War at "Speed of Fires"

The Army Secretary described it as “making decisions at the speed of fires"

 

2020年10月1日木曜日

無人機を母機とする小型無人機スパローホークを発表したジェネラルアトミックス

 

ェネラルアトミックスの新型無人機は別の無人機を母機から発進回収される。 

米無人機製造分野で大きな存在感を誇るジェネラルアトミックスが開発中案件として新型無人機構想を発表した。同機はスパローホークスと呼ばれこれまでにない特徴を有する。

 

同社によればスパローホークは小型無人航空装備で「空中発射回収技術の実証機」として母機となる大型無人機ないし別機種から運用する。

 

小型無人機は母機の機能を拡張する役目を果たすと同社広報資料にある。ジェネラルアトミックス社長のデイヴィッド・アレクサンダーは「スパローホークによりMQ-9が搭載するセンサーの能力が拡大され、省人化を進めながらISR有効範囲が広がる】と説明。

 

同機はまだ量産に入っていないが、折り畳み式主翼で機体全体は180度回転し飛行中の空力学的効果を狙う。

 

 

ジェネラルアトミックス説明ではスパローホークはグレムリン事業で製造するとある。これはDARPAの極秘事業で「UAV複数を既存の爆撃機や輸送機から発進させるねらいがある。母機は戦闘機や小型の機体でも対応可能とし、敵防空網の外から発進させる。

 

DARPAの説明では「グレムリンはミッションを完了すると、C-130が空中で回収し基地に戻る。基地で要員は24時間以内に次のミッションへ送り出す」とある。

 

安価な小型消耗品扱いの戦闘機が登場すればその利点は明らかだ。保守点検費用以外に航空要員の生命の危険を減らすメリットには大きなものがある。

 

ジェネラルアトミックスはリーパー、プレデターのメーカーとして有名だ。両機は米国の海外戦闘ミッションで不可欠な存在だ。だが、両機は長年供用されており、そろそろ後継機種が必要となってきた。

 

ジェネラルアトミックスが公開したのはスパローホーク以外にもあり、同社発表の想像図を見るとこの無人機はステルス全翼機のようで同社には初の試みとなる。同社によればこの無人機の特徴は長時間滞空性能だという。

 

無人機の老舗ジェネラルアトミックスはステルス無人機、無人機を母機とする無人機のほかにも隠し玉があるように見える。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

Sparrowhawk: This Drone Can Be Launched from the Air and Recovered by a Mothership

 

September 30, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: DroneMilitaryTechnologyGeneral AtomicsWar

by Caleb LarsonCaleb Larson is a defense writer with the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

Image: General Atomic


2020年9月30日水曜日

将来の戦闘で給油機をどうするかが課題。KC-46の武装化それとも大型戦闘機、あるいは小型無人給油機?

  

KC-46A

Credit: Boeing/Paul Weatherman

 

型の長距離戦闘機、ボーイングKC-46給油機の武装型、さらに無人小型ステルス給油機...これが米空軍上層部が検討中の内容と空軍次官補ウィル・ローパーが9月23日に明らかにした。

ローパーは調達、技術、兵站を担当し、新任の航空機動軍団司令ジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将とKC-46の動向に注視していると述べた。トラブル続きの同機では空軍とボーイングが遠隔視覚システム2.0のアップグレードの完成に努力している。 

KC-46で問題解決すれば次の給油機に注力できるとローパーは述べ、実際の給油能力と現場が求める給油能力の差を解消したいとする。航空優勢が確保できない環境ではKC-46のような機体は大型すぎ、防御力も低いため脆弱性が隠しきれない。 

そこで生存性の高い機体で厳しい空域でも給油を提供できる機体がヴァン・オヴォスト大将との協議の焦点だったとローパーは紹介している。

「空軍の次の戦略課題は給油機を敵戦闘機から守る方法で、敵は給油機を撃墜すれば戦闘機、爆撃機多数を撃墜するのと同じ効果があるとわかっている」

ローパーは敵攻撃にさらされる給油機を一つのアーキテクチャアと考え、各種の選択肢を検討する。

そのひとつに給油機への依存を減らすことがあり、新型戦闘機の搭載燃料を増加させればよい。

「現行の戦闘機のサイズで今後の対応は難しい。さらにすべてがデジタルエンジニアリングになる中で将来の戦闘機の姿を想像すれば大型化が自然に出てくる」

もう一つの選択肢がKC-46の生存性を高めることで、これが可能なら前方進出が可能となる。 

「KC-46が大型機なので各種センサーや兵装を主翼下に搭載する余裕がある」「高価値機材の防御に戦闘機の哨戒飛行をあてられるのならこんなことはしない」(ローパー)

今後に向け別の形の給油機も必要だという。二つ選択が可能だ。ひとつはKC-46を上回るサイズの機体で搭載燃料をふやすことだが、実際は敵の手が届かない地点に留まることになる。もうひとつは小型無人ステルス「マイクロ給油機」で敵防空空域の内部に進出することだという。

「敵戦力が強い空域で航空戦力を展開するためには燃料を戦略的に理解する必要がある」とローパーは述べている。■

 

この記事は以下を再構成しました。

USAF Discussing Larger Fighters, Weaponized KC-46, Roper Says

Steve Trimble September 23, 2020