2022年1月30日日曜日

空母運用中のF-35C機体表面の汚れが気になる。レーダー吸収塗装が厳しい環境で劣化しているのだろうか。ステルス性能に影響は出ていないか。

 

USN

 

(メディア関係者の皆さんへ。F35Cではありません)

 

初の艦上運用に投入されたF-35Cの機体表面に錆のような付着物が見られる。

 

海軍のF-35Cステルス戦闘機はUSSカール・ヴィンソン艦上からの水没事故もあり、注目を集めているが、初の海上作戦運用で著しい劣化摩耗が現れている。レーダー吸収剤を塗布した機体表面は以前から環境条件に弱いと指摘されていた。

 

F-35のレーダー吸収剤(RAM)の整備性は大幅に改良されたはずだが、F-35C初の作戦投入での直近の画像を見ると、厳しい海上環境での塗装整備が本当に軽易になっているのか疑問が生じる。

 

ペンタゴンの国防映像情報配信サービス(DVIDS)で公開された最近の写真では打撃戦闘機飛行隊147(VFA-147)「アーゴノーツ」がニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン(CVN-70)艦上で運用する機体で表面に劣化が進んでいることがわかる。写真は今月、同艦がフィリピン海を航行中に撮影されている。

 

空軍で供用中のF-35では見られない、表面に赤っぽい筋や汚れが海軍機の機体、主翼、尾翼に見られる。錆のようにも映る。

 

錆は機体の鉄、鋼で発生するが、複合材では起こらない。ただし、RAMは塩水に長く露出されると同様の現象があらわれる。F-35のRAM成分は極めて固く守られる秘密だが、主成分に鉄分がステルス技術初期から投入されていることが判明している。

 

U.S. NAVY

 

半年ほど海上展開したF-35Cが若干劣化しているのは間違いないが、赤茶色い汚れの原因は機体そのものに影響がなく、機体表皮の酸化もステルス性に大きな影響を与えない可能性がある。ただし、B-2やF-22など過去のステルス機で、低視認性処理が時間経過で劣化し、ある閾値に達するか、運用上の懸念から必要になった時点で、最適状態に戻すため補修が行われていることは注目に値する。

 

また、今回のF-35C型による初の空母運用展開の準備中に、ジェット機表皮の回復力が問題のひとつに挙げられていた。空母艦内でのステルス機の繊細な表皮の手入れは、陸上基地と同じだが、予備品や整備の専門家、専門工具が大量にない海上で重要な整備作業を行わなければならない場合は、より複雑な作業となる。さらに空母のスペースは限られるが、ステルス機整備には広い専用施設が必要となることが多い。

 

USN

 

また、空母艦上では機体の周囲を整備員等がたえず歩き回り、ジェット排気や海水噴霧を常に浴びる。さらに、作動油など油類があらゆるものに付着しがちだ。カール・ヴィンソン搭載のF-35Cは、こうした要因のいずれかが原因で劣化した可能性がある。

 

レーダー吸収材はF-35の生存性を高める一要素に過ぎず、複合材構造、特に前方から照射される火器管制レーダーを逸らすように調整されたエッジと放射状輪郭が慎重に配置されていることが別の要素だ。これらの特徴に加え、高度なセンサー、データ融合、ネットワーキング機能により飛躍的に向上した状況認識、電子戦、独自の戦術、最新の情報に基づき綿密に計画された任務プロファイルと組み合わせることで、同機は厳しい戦闘空域でも生き残ることができる。言い換えれば、RAMが多少劣化しても、脅威となるレーダーに完全に脆弱になるわけではない、ということだ。

 

米海軍はF-35Cのファクトシートで、同機は「従来の教訓と技術の突破口を組み合わせ、最も過酷な艦上条件でも、最小限のメンテナンスでステルス性を維持できる」と自慢している。

 

F-35Cの空母運用より前に、ロッキードは、600時間以上に相当する累積効果による「広範な損傷」の影響をモデルでシミュレートしたとする。また、レーダー断面積(RCS)の測定では、ステルス性が損なわれていないことが確認されたという。

 

2012年から海軍は艦上搭載のF-35向けの低視認性塗装とともに、専門設備なしで補修可能とするプロセスを開発していた。一方、米空軍のF-35A整備に関する説明では、高度かつ専門的な作業を労働集約的と強調することが多い。

 

空軍のF-35Aには、定期メンテナンスのためフライトラインで頻繁に取り外す・開けるパネルがあり、パネル固定用のファスナーも5,000以上に上る。「パネルの摩耗で、航空機のステルス性能を制限する可能性がある」と空軍は過去に述べており、同じことが空母上のF-35Cにも当てはまると思われる。

 

「F-35の表面に施されたレーダー吸収コーティングの保守整備は、細かい部分までマスキングし、薬品を適切に混ぜ、正確に塗布し、平滑化し、微小な欠陥も記録するなど、細部に非常にこだわり、時には退屈な仕事だ」と388整備飛行隊のフランシス・アネット上等兵曹は、空軍発表文で説明している。■

 

 

The F-35C's Radar-Absorbent Skin Is Looking Pretty Rough After Months At Sea

F-35Cs have become covered in rusty-looking deposits on their first operational carrier cruise.

BY THOMAS NEWDICK AND TYLER ROGOWAY JANUARY 29, 2022

https://www.thedrive.com/the-war-zone/44067/the-f-35cs-radar-absorbent-skin-is-looking-pretty-rough-after-months-at-sea




2022年1月29日土曜日

ウクライナ情勢 今週の気になるニュース(再出)

 

今週のウクライナ関連で気になるニュースをまとめました。



1月29日 ロシアが血液、医療品をウクライナ近辺に移動、戦闘開始に備える動きか

https://www.businessinsider.com/russia-moves-blood-to-ukraine-border-for-potential-invasion-report-2022-1


シアがウクライナ国境付近に血液医療補給品を移送したとロイターがが伝えている。専門家はウクライナ侵攻の準備ととらえ、軍事行動は数週間以内に始まると見ている。ロシアは10万名の部隊を国境付近に展開している。ホワイトハウス、ペンタゴンはこの報道に反応していない。



1月28日 トルーマン空母打撃群がNATO指揮下に入り、ロシアをけん制

NATO Command of USS Harry S. Truman Sends Signal to Russia, Says Secretary General Stoltenberg - USNI News

トルテンベルグNATO事務総長は加盟国が攻撃を受ければ、同盟が断固として防衛にあたるとハリー・S・トルーマンCSGがNATO指揮下に入ったことをロシアへの明白なメッセージだと公言した。また地上には40千名規模の即応部隊が待機しているとした。事務総長はスウェーデン、フィンランド両国よりの加盟申請があり次第「迅速に加入」可能と断言している。また、ウクライナ防衛のためカナダより装備品が送られており、ウクライナとcyber防衛に取り組んでいる現況にも触れた。ただ加盟国間でウクライナ情勢への対応で温度差があることは認めた。



1月26日 ロシア艦艇140隻がヨーロッパ、中東で大規模演習

140 Russian Navy Warships Drilling Across Europe, Middle East as Ukraine Tensions Simmer - USNI News


シア海軍がバルト海、黒海で演習を同時に展開し、北方艦隊がヨーロッパ方面に展開した。艦艇140隻に加え、航空機60が動員された。ウクライナ危機の中でヨーロッパ各国はこの動きに敏感に反応。アイルランドは以前の演習で実弾発射を同国沖合で展開されたこともあり、抗議の声を上げており、アイルランド漁船団は演習を妨害してやると意気軒高だ。一方、ロシア北方艦隊はバレンツ海に展開し、ノルウェー海軍が警戒を強めている。北方艦隊は別に北極海分遣隊も展開し、極地での作戦運用効果を試す。アラビア海には太平洋艦隊分遣隊が展開している。同分遣隊は地中海にその後移動する。



1月26日ペンタゴンのウクライナ向け軍事装備品支援2億ドルの中身https://www.defensenews.com/congress/2022/01/25/200m-in-javelins-other-anti-armor-systems-grenade-launchers-and-more-to-ukraine-dod/


れまで開示されていなかった米国によるウクライナ支援の中身が明らかになった。ジェベリン含む装甲車両攻撃装備、手りゅう弾発射装置、弾薬類に加え非殺傷兵器で、ウクライナ防衛の第一線に役立つ装備だ。在ウクライナ米大使館は合計79トンの装備品がキエフに到着しており、ジャベリン300基がここに含まれると明らかにした。今回の装備はクリスマス直前にバイデン大統領が承認したもので、米国のウクライナ支援は2014年以来の総額で27億ドルに上り、2021年だけでも6.5億ドルに上っている。



1月26日 ウクライナ予備部隊に配備されているのは第二次大戦前の機関銃

Needy Ukrainian Reserve Units Could Be Armed With Pre-World War II DP-27 Machine Guns


クライナ国土防衛部隊はこれまで十分に銃火器を配備されておらず、今回あわててDP-27軽機関銃の取り扱いを教習するビデオが出てきた。同機関銃は第二次大戦前の装備品だ。民間志願兵に同装備が配布されていることからウクライナが防衛体制強化に必死になっている状況がうかがえる。ただし、志願兵募集にも限界がある。DP-27はソ連時代1920年代の設計だが、ウクライナ教官は重要なのは銃の使い手の頭と腕だと自信を示しているが。




今週のウクライナ情勢で気になるニュース5点

今週のウクライナ関連で気になるニュースをまとめました。事態がどんどん展開しているので内容が古くなっている場合はご容赦ください。


1月29日 ロシアが血液、医療品をウクライナ近辺に移動、戦闘開始に備える動きか

https://www.businessinsider.com/russia-moves-blood-to-ukraine-border-for-potential-invasion-report-2022-1

シアがウクライナ国境付近に血液医療補給品を移送したとロイターがが伝えている。専門家はウクライナ侵攻の準備ととらえ、軍事行動は数週間以内に始まると見ている。ロシアは10万名の部隊を国境付近に展開している。ホワイトハウス、ペンタゴンはこの報道に反応していない。


1月28日 トルーマン空母打撃群がNATO指揮下に入り、ロシアをけん制

NATO Command of USS Harry S. Truman Sends Signal to Russia, Says Secretary General Stoltenberg - USNI News

トルテンベルグNATO事務総長は加盟国が攻撃を受ければ、同盟が断固として防衛にあたるとハリー・S・トルーマンCSGがNATO指揮下に入ったことをロシアへの明白なメッセージだと公言した。また地上には40千名規模の即応部隊が待機しているとした。事務総長はスウェーデン、フィンランド両国よりの加盟申請があり次第「迅速に加入」可能と断言している。また、ウクライナ防衛のためカナダより装備品が送られており、ウクライナとcyber防衛に取り組んでいる現況にも触れた。ただ加盟国間でウクライナ情勢への対応に温度差があることは認めた。


1月26日 ロシア艦艇140隻がヨーロッパ、中東で大規模演習

140 Russian Navy Warships Drilling Across Europe, Middle East as Ukraine Tensions Simmer - USNI News

シア海軍がバルト海、黒海で演習を同時に展開し、北方艦隊がヨーロッパ方面に展開した。艦艇140隻に加え、航空機60が動員された。ウクライナ危機の中でヨーロッパ各国はこの動きに敏感に反応。アイルランドは以前の演習で実弾発射を同国沖合で展開されたこともあり、抗議の声を上げており、アイルランド漁船団は演習を妨害してやると意気軒高だ。一方、ロシア北方艦隊はバレンツ海に展開し、ノルウェー海軍が警戒を強めている。北方艦隊は別に北極海分遣隊も展開し、極地での作戦運用効果を試す。アラビア海には太平洋艦隊分遣隊が展開している。同分遣隊は地中海にその後移動する。



1月26日ペンタゴンのウクライナ向け軍事装備品支援2億ドルの中身https://www.defensenews.com/congress/2022/01/25/200m-in-javelins-other-anti-armor-systems-grenade-launchers-and-more-to-ukraine-dod/

れまで開示されていなかった米国によるウクライナ支援の中身が明らかになった。ジェベリン含む装甲車両攻撃装備、手りゅう弾発射装置、弾薬類に加え非殺傷兵器で、ウクライナ防衛の第一線に役立つ装備だ。在ウクライナ米大使館は合計79トンの装備品がキエフに到着しており、ジャベリン300基がここに含まれると明らかにした。今回の装備はクリスマス直前にバイデン大統領が承認したもので、米国のウクライナ支援は2014年以来の総額で27億ドルに上り、2021年だけでも6.5億ドルに上っている。


1月26日 ウクライナ予備部隊に配備されているのは第二次大戦前の機関銃

Needy Ukrainian Reserve Units Could Be Armed With Pre-World War II DP-27 Machine Guns

クライナ国土防衛部隊はこれまで十分に銃火器を配備されておらず、今回あわててDP-27軽機関銃の取り扱いを教習するビデオが出てきた。同機関銃は第二次大戦前の装備品だ。民間志願兵に同装備が配布されていることからウクライナが防衛体制強化に必死になっている状況がうかがえる。ただし、志願兵募集にも限界がある。DP-27はソ連時代1920年代の設計だが、ウクライナ教官は重要なのは銃の使い手の頭と腕だと自信を示しているが。


米第六世代機はすでに完成している。驚くべき技術の新展開を大胆に予測する。

 


Air Force 6th-Gen Aircraft Now Airborne - Could be Massive War Technology Breakthrough


Raytheon



米国の新型第六世代機は長距離性能、高速飛行、自動誘導式兵器、新次元のステルス性能やAI連動センサーを搭載し、今後長く敵の追随を許さない機体になる。

 

 

空軍は第六世代機の飛行をすでに開始しており、大きな技術面の大きな突破口が開かれたようだ。

 

第六世代機は開発中で、保安上の理由か詳細情報は秘密のままだが、相当の新技術が盛り込まれた新型ステルス戦闘機が生まれているようだ。

 

開発陣は長年にわたり技術を模索し、第六世代戦闘機技術の試作や構想面に取り組んでおり、従来を上回るステルス機体構造、AIの導入、小型化に成功した長距離探知センサー、標的捕捉技術、さらにこれまでにない自律性能を有する無人機編隊の運用が実現する。

第六世代機が飛行を開始していることから事態を一変させるような基本性能も実現していると見ていい。

 

兵装開発、コンピュータ処理能力、推進系、燃料消費改善、ステルス機能で画期的な技術にペンタゴンや防衛産業界が引続き注視しているのは当然だろう。

 

6Gの機体

 

レイセオン・インテリジェンス&スペースRaytheon Intelligence & Space はじめ数社が軍と共同で第六世代機に求められる新次元性能の実現に取り組んでいる。

 

「当社は第四第五世代機向けにプロセッサーを供給しており、第六世代機に求められる内容を独自に理解できる点でユニークな存在です」(同社通信及び航空宇宙統制システムズ担当役員トメク・リスTomek Rys) リスはレイセオン主催の第六世代機ウェビナーでこう語っている。

 

Raytheon Next-Generation

 

レイセオン・インテリジェンス&スペースではデジタルエンジニアリングを応用し、次世代機で小規模な変化でコスト、工数、性能がどう変動するかを長期の視点で見ている。

Raytheon

 

多機能ハードウェア

 

そのレイセオンが取り組むコンセプトのひとつに「多機能ハードウェア」があり、従来は別個の複数機能をひとつのオペレーショナルシステムに統合することがある。これにより小型化、軽量化とともに消費電力も減らしながら、画期的な情報処理能力が実現する。

 

「多機能ハードウェアの時代に入りつつあると見ています。次世代戦術機では多機能技術とソフトウェアで変化していくミッションに対応していくはずです」とレイセオンの高度ミッションシステムズ担当役員のジェイソン・「テックス」・クラークJason “Tex” Clarkが述べている。

 

単一システムで多数の作戦機能が実行できればハードウェア設置面積が減るだけでなく、情報処理が大幅に加速化される。レイセオンでは機内コンピュータ処理能力を大幅に引き上げ、機体を同社の言い方で「空飛ぶデータセンター」に変えるとする。

 

「高性能かつ堅牢なプロセッサーで構成する機内コンピュータークラスターでデータセンターを空に設置することになるのです。各システムではリアルタイムでデータを情報に変換する人工知能を活用します。その結果、意思決定がより迅速になります」(リス)。

 

レイセオンが自社開発中のコンピュータ処理技術の新しい応用によるデータ統合、整理、分析は、新しいレーダー回避構造、コーティング材、高水準の熱信号低減など、現在開発中の次世代ステルス技術の基礎を幅広く形成するものだ。

 

6Gの AI 

 

技術革新のスピードを考えれば、一部はすでに実現しているかもしれない。新しい長距離、高速、飛行経路修正、あるいは自己誘導兵器と、新しいステルス属性やAI対応センサーを組み合わせれば、米国の第6世代機は今後数十年にわたり他の追随を許さない機体になってもおかしくない。海軍と空軍の開発者はこれまで長きにわたり「可能性の芸術」の境界を最大限に押し広げており、なんらかの大きな突破口を開いたのだろう。

 

近年、デジタル技術、兵器誘導技術、自律性、AIを活用した統合システム、ネットワーキングが進展していることを考えれば、あり得ない話ではない。

 

有望な新システムの成熟度を見て、新型機実現のる最適時期を見極める課題の難しさは、2016年の海軍大学校の論文 "The 6th-Generation Quandry" からわかるように、長年にわたって検討されてきた。

 

6Gの難局

 

同上論文では、第6世代の正式開発は真に画期的な進展が現れるまで延期し、その間に供用中でアップグレード可能な機材の発展型を追求する方が効果的になるのかとの命題を投げかけている。

 

この推定自体が数年前のものだが、空軍は新型機開発を進展させてよい答えを得たのだろうか?確かにそのように見える。

 

海軍大学校の2016年論文では、長期的に大きな可能性を示す「その時点での」最先端開発項目を挙げていた。

論文では、「空戦用に最適化された新型F-35」、今後登場するB-21、無人機を発進させるC-130「母船」、「兵器満載の重武装機」などが侵攻中の技術進歩を最適化する存在に挙げていた。

 

しかし、F-35近代化で長期計画が立てられていることを考えれば、こうした技術が消滅するとする推定は成り立たない。

 

ミッション・システム、エイビオニクス、AI を利用した標的捕捉と監視、そしてもちろん誘導兵器によって、近代化改修の重要要素多数が達成できることを考えると、ペンタゴンとロッキードの開発部門部門は、F-35が将来数十年にわたってソフトウェアのアップグレードやその他の技術的適応で、飛躍的レベルの性能を達成できると見ているのだろう。

 

F-35と第6世代戦闘機が、2080年代まで同時飛行する可能性があり、統合され接続されると多くが想像している。

 

6Gの AI が コンピュータ処理能力と合わさると

 

AIと高速コンピュータ処理の新しい応用は、目標捕捉、ドッグファイト、センサー統合に関して、航空戦闘の既存パラダイムの再構築につながる。

 

AIの応用で、技術進歩の枠組みが見えてくるとのコンセンサスが広く存在する。

 

Joint Air Power Competence Centerと呼ばれる16カ国のNATOのアナリスト組織が2017年論文で、AIがいつ、どのように人間の能力を追い越すかについて疑問を投げかけていた。

 

「ネットワーク環境における航空戦のコミュニケーション」の表題で同論文は、元米空軍の調達幹部ウィリアム・ローパーが、ペンタゴンで戦略戦力整備室長だったときの発言を引用して、「AIはヒトの能力を超えて進歩し、ヒトと相互作用する」と述べています。

 

「そのため、これから決定的に重要になるのは、膨大なデータから情報を作り出すことだ。そこで、データすべてを管理するために、人工知能や機械学習でサポートされた性能処理が必要になる」と、リスはコメントしている。

 

例えば、AIで強化されたアルゴリズムで、ミリ秒単位で膨大な戦闘情報を収集、分析、整理できる「スマートセンサー」が機体に組み込まれており、航空機のレーダー信号を増加させずに新しいセンシング技術を組み合わせている。

 

「第6世代機」に向け、ミッション・コンピュータと機内処理のインフラとアーキテクチャが重要になる。今日のミッション・コンピュータは、センサーからのデータにより戦場の状況を把握し、戦闘システムや兵器システムを制御して制空権を確保する。第6世代機のコンピュータ処理能力は、現在供用中の性能をはるかに超えるレベルに達するでしょう」とリスは述べた。

 

興味深いことに多機能ハードウェアとして新型高速スマートセンサーがステルス機体に搭載され、機体そのものに織り込まれる可能性がある。外部アンテナ、ポッドや機体形状に組み込めばレーダー探知性が高くなる。

 

「スマートセンサー、スマートアンテナアレイは状況に応じ対応可能年機体構造そのものに組み込む」とジェイン大学国際航空宇宙工学研究所が指摘している。

 

あわせて、センサー有効距離が大幅に伸び、データ共有と接続が長距離でも可能となれば、これまでにない利点が戦闘作戦で実現するが、同時に戦闘のネットワーク化がさらに必要となる課題にもなる。この現象は「組み込み式ISR」のクラスターを生むとJoint Air Power Competence Centerの上記論文はセキュリティ上のリスクとともに「極度の接続性」を警告していた。

 

センサー、兵装がともに有効距離を大きく伸ばし、AI関連機能を盛り込むことで、将来の戦闘は今より分散化し、直線的な部隊同士の対決は減ると見られる。この変化を後押しする新技術によりセンサーや情報ネットワークの重要性はさらに高まる。

 

こうした変化から「組み込みISR」と論文が提唱した構想が必要となる。ネットワークに依存した形の戦闘では標的捕捉で効果を上げ、探知から発射までの時間短縮、長距離攻撃が可能となる一方で、莫大な量の情報の海から重要な内容を取捨選択する機能がさらに重要となる。

 

 

「ネットワーク内全員がすべてを認知する必要はない。階層別構造になるが、バックアップを確保しておき、ネットワーク機能低下に備えるべきだ」(同上論文)

 

そこでAIが本領を発揮する。情報を整理し、そろえて、適切な形に整える機能により情報洪水を回避できるからだ。

 

膨大なISRデータを扱う課題には分散化、解析、整理統合が必要となる。ここでAIや高速処理がものをいう。高度アルゴリズムやリアルタイム解析を使い、コンピュータ処理で即座に重要情報を配信することで優先順位を示し、ヒトの決断を早める効果が大きくなる。

 

AIの助けを借りた戦場での決断にはリアルタイム解析の加速化もあり、決定者は本来なら入手不可能なデータの山から重要情報を把握できる。アルゴリズムで新規情報を統合すれば、収集したデータと比較検証が可能となり、ヒトの手を借りずに裏付けのある決定を下せる。決定的な価値は統合された解析内容が決定者に伝える速度だ。

 

「次世代多機能システムは従来と比べられないほどのデータ量を生成します。機体が搭載する多機能システムは、宇宙船や衛星、パイロットや無人ウィングマンなど、多用な発信源のデータと組み合わされ、非常に高密度のデータ環境を作り出す」とクラークは述べている。

 

「認知の負担」を軽減化するといわれるAIとヒト=マシン・インターフェイスにより、時間がかかりこれまで不可能といわれてきた情報解析が可能となり、ヒトの役割は指揮統制における意思決定に集中できる。

 

ヒトとマシン

 

このことから将来を予測する向きや兵装開発部門はヒトとマシンの属性を慎重にバランスよく組み合わせた最適化で双方の長所を活かしながら統合できると見ている。

 

「これまでドッグファイトが今後も必要なのかとの議論がありました。これはシステムが適切に攻勢されれば、ドッグファイトそのものが不要になるレベルに戦闘の様相が変わるとの翼があったためです。

 

「議論は今も続いており、今後もおわることはないでしょう。ただ、結局のところ元戦闘機乗りはドッグファイト機能をいざというときに備え温存したいと思っているでしょう」(クラーク)

 

ヒト=マシン混合体制があってこそ、第六世代機を「任意有人操縦」としたり、6世代機と運用する無人戦闘機にドッグファイトをさせる、あるいは危険な敵防空網への突入させる構想が生きてくる。

 

興味深いのは、AI応用の自律運用機の技術で実際にドッグファイトのシミュレーションしたところ、有人操縦に対し有利な結果が出ているとはいえ、航空戦でのヒトによる意思決定は正確に真似ることもマシンで完全に置き換えることもできないとの声が多いことだ。

 

米空軍では両者の統合をすでに試みており、実際に有人機とAI機能を搭載した無人機を同時に飛行させている。

 

この構想は「任意有人」機の開発者を勇気づけ、無人機を連携した形で、あるいは場合によっては有人機に代わり運用することにつながるとレイセオンは説明している。

 

「機体にはヒトが必要だが、敵の脅威が強い場合は例外だ。AIを投入しヒトからミッション内容を無人自律運用機に伝えればよい」(クラーク)

 

忠実なるウィングマン


ここから空軍の「忠実なるウィングマン」構想が急ピッチで進展しており今や実際に飛行を開始している背景がわかる。

 

F-35の多機能高性能データリンクMulti-Function Advanced Data Link (MADL)と同様に、第六世代機もなんらかの標的捕捉情報共有のため高度の通信能力を搭載している可能性もある。

 

この技術があれば、ビデオフィードの監視データは地上の指揮所を経由せずに、有人第6世代戦闘機のコックピットから即座に交換、整理、分析されるので、待ち時間が大幅に短縮される。この技術のカギはレーダーで、レイセオンは、データ処理の中核として探知から発射までの時間短縮という、重要課題の実現のため、同技術に注目している。

 

「将来の戦闘に投入される戦術機は率直に言って敵脅威を受けて、待ち時間を以下に短縮して作戦上のニーズに対応するかが求められる」(クラーク)

 

自動着陸技術

 

全く新しい形の高速、AI強化型コンピュータ処理能力により自律運用も強まるというのがレイセオン先端部門が描く第六世代機の作戦能力の中核だ。例としてF-35Bではパイロットの上空ホバリングと垂直降下をあらゆる海洋条件で難なく艦艇上空で実施可能とするソフトウェアが実用化ずみだ。

 

「自動降下技術のおかげで機体を着艦させる間、パイロットは手を触れなくてもいいのです。第六世代機について予言したいのは天候や地形に関係なく自動着陸を精密に行う能力ですね。

 

「自動着陸技術の進化とより精密な参照信号を組みわせることが現実になってきました」とレイセオン・インテリジェンス&スペースで国際営業を担当するマルセロ・カヴァルカンティMarcelo Cavalcantiがウェビナーで発言していた。

 

F-35Cでは「デルタフライトパス」の名称の高性能ソフトウェアを搭載しており、空母着艦のグライドパスに乗せ、飛行を安定させる機能があり、パイロットの負担を減らしている。

 

「空母運用の第六世代機に先立つ技術を実現している。この技術では各種GPSアルゴリズムを統合し、暗号化通信信号を用い、慣性航法センサーを使い、機体を空母の狭い一画に着陸させ、しかも何度でも同じ精度で繰り返し可能だ」とレイセオン・インテリジェンス&スペースで将来型航空機システム技術を担当するコン・ドハティが紹介している。■

 

Air Force 6th-Gen Aircraft Now Airborne - Could be Massive War Technology Breakthrough - Warrior Maven: Center for Military Modernization


New long-range, high-speed, self-guiding weapons, combined with new stealth attributes or AI enabled sensors could help a U.S. 6th-Gen platform achieve overmatch for decades

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

JAN 21, 2022


 

-- Kris Osborn is the President and Editor-in-Chief of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

KKris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven -the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.