2023年1月7日土曜日

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両はウクライナ戦にどんな活躍をするのか。保守整備のインフラ確保が課題になる

 ウクライナ軍はブラッドレイ歩兵戦車を有効に活用できそうですね。これが突破口になれば次は主力戦車の供与も視野に入ってくるのでしょうか。ロシア軍がどう対抗するのか、冷戦時からの戦術の有効性が試されそうです。Task and Purpose記事からです。

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25mm砲を発射するブラッドレー戦闘車両 (Staff Sgt. Charles Porter/U.S. Army).

 

国政府はウクライナにブラッドレイ戦闘車を提供すると発表した。ブラッドレー戦闘車は、ロシアやソ連時代の車両よりウクライナ軍の保護と機動性が高くなると、専門家は語っている。

 


 国防総省報道官パトリック・ライダー空軍准将は、木曜日にウクライナへの次回米軍援助にブラッドレイ戦闘車両が含まれると確認したが、それ以上の詳細は不明だ。

 ブラッドレは、ソ連時代のBMPやBTRの旧型など、ロシアの侵攻以前からウクライナ側が保有する戦闘車両のほとんどと比較し、重要な利点があると、ランド研究所で防衛政策を研究しているJ.D.ウィリアムズ退役海兵隊大佐は言う。

 ウィリアムズは、ブラッドレは無限軌道車両で、車輪付き車両より機動性があり、特にウクライナの冬から春にかけての泥だらけの時期に威力を発揮すると語った。

 ブラッドレ戦闘車両は光学系、射撃システム、通信などでも、ソ連時代装備より進んだ戦闘システムを持っているという。ブラッドレーは25mm砲とTOW対戦車ミサイルを装備し、BMPやBTRよりも生存率が高い装甲アップグレードがつく。

 BMP-1やBMP-2は装甲が薄く、部隊が出入りする後部ドアに外装燃料タンクがあるため、後方の待ち伏せに弱いという。

 

2021年2月21日、リトアニア第21ドラグーン大隊との合同訓練に参加し、ブラッドレ戦闘車の後部から下車する歩兵部隊。(Sgt. Alexandra Shea/U.S. Army)

 

 

第1騎兵師団を率い、イラク多国籍軍団を率いたピーター・キアレリ退役陸軍大将retired Army Gen. Peter Chiarelliは、「ロシアは、乗員の生存率を我々ほどに真剣に考えない」と述べた。

 例えば、ソ連時代ロシアの戦車は共に砲塔基部に最大20発の弾薬が入るオートローダーがつくが、戦車が攻撃を受ければ全てが爆発する可能性があるとキアレリは指摘する。その際、戦車砲塔は空中に放り出され、「ジャック・イン・ザ・ボックス効果 」と呼ばれる恐ろしい爆発が発生する。

 ブラッドレ戦闘車両が乗員と車内の兵士を守ることは、ウクライナ軍の規模や戦歴を考えれば、特に重要であるとキアレッリは指摘する。

「歩兵に多大な監視を提供する」とキアレッリは言う。「比較的安全な車両で、有利な位置へ移動できるのです。ウクライナ軍は、我々ほど多くの装備がないので、より多くの兵士を乗せることができると確信している」。

 イラク戦争でブラッドレ戦闘車両は都市環境で真価を証明した、と彼は言う。

 

2020年12月16日、シリア北東部でのM2ブラッドレー歩兵戦闘車 (Spc. Tarako Braswell/U.S. Army Reserve)

 

 

ブラッドレはソ連やロシア装備より火器管制システムが優れていることもあり、ウクライナ軍がロシア軍を攻撃した場合、現在のBMPよりブラッドレ戦闘車の方が役に立つだろうと、ワシントンDCのジェームスタウン財団シンクタンクで働く防衛アナリストのフリブ・パーフォノフHlib Parfonovは言う。

 パーフォノフによれば、ブラッドレを修理し、維持するスペアパーツがウクライナ側に十分あるかが最大の課題だという。

 ウクライナ軍は、アメリカのM113ギャバン、イギリスのFV103スパルタン、フランスのVABなど、戦闘車両をすでに受け取っているだけでなく、BMP-3など、ロシアから鹵獲した車両も使用している。

 「UAF(ウクライナ軍)の整備は地獄と紙一重だ」とパーフォノフは言い、各種車両を「動物園」のように抱えているため、スペアパーツ確保が難しいと付け加えた。

 しかし、元米陸軍ヨーロッパ司令官ベン・ホッジス退役中将 retired Army Lt. Gen. Ben Hodgesは、米国にはブラッドレ戦闘車数千台があるので、ウクライナ軍向けスペアパーツの確保は大きな課題ではないと指摘する。

 ホッジスは、「ポーランドやドイツ、スロバキアなどに持ち帰るのではなく、ウクライナ国内で各種車両を修理できるメンテナンス能力の確立が必要だ」と述べた。

 ホッジスは、民間企業がウクライナ郡の能力を向上させ、各種軍用車両など装備の修理を支援するか、米国同盟国がウクライナ整備士を訓練し、ウクライナ国内で作業を行えるようにすることを提案している。

 最終的には、ウクライナによるブラッドレ修理を支援する方が、旧ソビエトやロシア車両のスペアパーツを見つけるより簡単かもしれない、とキアレッリは言う。

 また、キアレッリは、ウクライナ軍のブラッドレイの運用訓練には数ヶ月ではなく数週間かかるとも語っている。高機動ロケット砲装備HIMARS(High Mobility Artillery Rocket Systems)のような新技術の使い方を素早く習得することにウクライナは非常に長けていることが証明ずみだ。

 ブラッドレ戦闘車について覚えておくべき重要なことは、搭載歩兵隊と一緒に働くことだ、とキアレッリは言う。

 「ウクライナ軍は、私が遠くから見た限りでは、都市部での装甲歩兵チームの重要性を理解している」とキアレッリは言う。「ブラッドレは歩兵隊の監視役となり、歩兵は市街地でブラッドレを近接防御する。市街地では、どちらか一方が欠けてもうまくいきません。歩兵と装甲兵のチームが非常に効果的なのです」。■

 

 

Here's how Ukraine could use the Bradley Fighting Vehicles it's getting from the US, experts say

Bradley Fighting Vehicles proved their worth in urban environments during the Iraq War.

BY JEFF SCHOGOL | PUBLISHED JAN 5, 2023 3:19 PM

 

 

Jeff Schogol

Jeff Schogol is the senior Pentagon reporter for Task & Purpose. He has covered the military for 15 years. You can email him at schogol@taskandpurpose.com, direct message @JeffSchogol on Twitter, or reach him on WhatsApp


日本周辺の海上安全保障の状況 1月4日以降 PLAN水上行動部隊の動き、空母山東など

 

PLAN巡洋艦CNSラサ Lhasa(102)、駆逐艦CNS開封 Kaifeng(124)、補給艦CNS太湖 Taihu(889)の進路。JSDF Photo.

民解放軍海軍(PLAN)の水上アクショングループと監視艦が、太平洋から東シナ海に戻った。

防衛省統合幕僚監部(JSO)の1月4日報道発表によると、月曜日午後11時に、PLAN艦3隻が与那国島の南東160km海域を北西に航行するのを発見した。与那国島は台湾東海岸から108キロ。画像と船体番号から、巡洋艦CNSラサLhasa(102)、駆逐艦CNS開封Kaifeng(124)、補給艦CNS太湖Taihu(889)と確認された。

発表によると、PLAN水上アクショングループは火曜日、与那国島と西表島間の海域を北東に航行するのを目撃され、その後、日本が領有し中国と台湾が主張する尖閣諸島の一部、魚釣島の西70km海域を北へ航行していた。

海上自衛隊の護衛艦「とね」(DE-234)、海上自衛隊鹿屋航空基地所属の第1航空団のP-1海上哨戒機、那覇航空基地所属の第5航空団のP-3CオライオンMPAがPLAN艦を監視した。

また、海上保安庁によると、同日午前4時頃、宮古島の東60キロ海域を北上するPLAN東調級監視船が目撃された。船体番号と画像から、CNS凱陽興 Kaiyangxing (796)であると確認された。発表によれば、PLAN艦艇はその後、宮古海峡を北上し、東シナ海に向かった。第5艦隊航空団の海上自衛隊P-3CオライオンがPLAN艦を追尾した。

一方、中国国防省は 14 日、空母 CNS山東 Shandong(17)から J-15 戦闘機が南シナ海で飛行作戦を行っている様子を映した ビデオを公開した。動画で、同国防省は空母が最近、南シナ海で戦闘訓練を行い、「J-15戦闘機多数が空母から発艦し、空中で激しく戦った」と述べるにとどめた。空母の飛行甲板では、アレスティングギアの故障に取り組む緊急対応訓練が同時に行われた」と同省は述べている。

日本では金曜日、浜田靖一防衛相が林芳正外相と、1月11日にワシントンDCで日米安全保障協議委員会(2+2)を開催すると発表した。ロイド・オースティン国防長官、アントニー・ブリンケン国務長官と会談する。また、浜田とオースティン両名は日米防衛大臣会合を開催する。

ホワイトハウスのニュースリリースによると、2つのイベントは1月13日にワシントンで行われるバイデン大統領と岸田文雄首相の会談の前に行われ、「朝鮮民主主義人民共和国の大量破壊兵器と弾道ミサイル計画、ロシアによるウクライナに対する残虐な戦争、台湾海峡の平和と安定維持など地域と世界の諸問題について話し合う」。

韓国では、韓国海軍(ROKN)が金曜日に、3艦隊の戦闘準備態勢の年次評価の一環として、水曜日に分隊レベルの訓練を実施したと発表した。韓国第 2 艦隊は、泰安半島の西 80 キロメートルの黄海海域で訓練を実施した。

訓練を実施した艦船は、駆逐艦「乙支文徳」 Eulji Mundeok(DDH-972)、フリゲート「京畿」Gyeonggi(FFG-812)、ミサイル哨戒艦「洪秀」Hong Siuk(PKG-723)、グムドクスリ級哨戒艦、およびAW-159 Wildcat ヘリコプター。訓練では、ヘリコプターの発着、戦術的な演習、対艦・対空艦砲撃が行われた。一方、第1艦隊と第3艦隊は、フリゲート艦の大邱Daegu(FFG-818)、東海Donghae(FFG-822)、光州Gwangju(FFG-817)、ミサイル哨戒艦の林炳瑞Lim Byeongrae(PKG-722)、金昌鶴(PKG-727)、李炳春Kim Changhak(PKG-733)とゴムドック級哨戒艦で東海と黄海で合同訓練を実施し、各艦は戦術操艦と砲撃訓練を行った。

オーストラリア国防総省は 1 日、ノルウェーのコングスベルグと、オーストラリア海軍のアンザック級フリゲート8隻とホバート級駆逐艦 3 隻でハープーンミサイルを代替する海軍打 撃ミサイル(NSM)の購入契約を締結し、2024年から同システムが運用を始めると発表した。NSMとオーストラリア陸軍の高機動砲ロケットシステム(HIMARS)システムの購入で、オーストラリア国防省は10億豪ドル(約677億円)を支出すると発表した。■

PLAN Surface Action Group Operating in East China Sea; Japan and U.S. to Hold Security Talks

By: Dzirhan Mahadzir

January 6, 2023 4:09 PM

https://news.usni.org/2023/01/06/plan-surface-action-group-operating-in-east-china-sea-japan-and-u-s-to-hold-security-talks

 


2023年の展望② ウクライナ戦の決定要因は弾薬数だ。西側防衛産業は増産が不可避となる

2023年の展望。ウクライナ戦は消耗戦へ。

西側兵器産業の増産は避けられない。

Image: Russian State Media.

クライナ戦争は、2カ月足らずで1周年を迎える。ウクライナ軍の戦果とウクライナ国民の総合的な回復力が予想を超えた事実で祝福されるべきだろう。ウクライナの決意は揺るぎないが、同時に、プーチンとモスクワのとりまきたちは、勝利にむけたコミットメントを倍加させているように映る。

 

 

 これはもはや消耗戦であり、人口や領土の面ではモスクワが有利に見えるものの、この戦争では人的要因と弾薬が決定的となる可能性がある。

 ウクライナ戦争は、戦争における人的要因の決定的な重要性を示している。独裁者の誇大妄想がいかに危険で破壊的であるか、特に長期にわたって権力を握ってきた者がいかに危険な存在かを明らかにしている。また、ロシア伝統の腐敗が、自国の軍事力について歪んだ情報評価を常に生み出し、プーチンに行き過ぎた行動を取らせている。

 何よりも、政治学の「現実主義」パラダイムに反し、故郷が攻撃され、同胞が殺害される事態に対し、動員された自由と愛国心のある人々が何を成し遂げられるかをウクライナは、再び示している。

 しかし、ウクライナ戦争は急速に数の戦争になりつつある。簡単に言えば、弾薬量の問題だ。これはロシア側にもウクライナ側にも当てはまる。ロシア自慢の弾薬は、NATOとの全面戦争に備え、ソ連時代に計画されたものだが今や恐ろしい速度で枯渇しつつある。夏の最盛期、ソ連の戦術書に従い大規模な砲撃で作戦を遂行したとき、ロシア軍は1日に約6万発、ときにはそれ以上の弾丸を発射していた。現在、ロシアは1日にせいぜい2万発、時にはそれ以下しか撃てず、その限られた量を維持するために備蓄から蔵出ししている。一方で、ロシアはイランや北朝鮮をはじめ、世界各地で軍需品の買い付けを行っている。

 さらに、ロシアがベラルーシから持ち込んだ弾薬の備蓄は、ほぼ使い尽くされたようで、モスクワにとって状況は厳しい。「ソ連流の戦争方式」を維持できる軍産複合体かが問われている。

 ロシアが新たな30万人規模の攻撃部隊を訓練する準備を進めている中で直面しているもう一つの問題は、新編成部隊が、昨年2月にウクライナで活動した部隊の質に及ばない可能性だ。ヴァレリー・ゲラシモフ将軍の改革が生み出したロシア軍は、ウクライナのような従来型の消耗戦にミスマッチであると判明している。2022年のキーウの戦い以来、ロシアが戦場に投入した部隊は、訓練も装備も不十分で、下士官も不足し、何よりも最も自慢のロシアの新兵器プラットフォームの配備ができない。プーチンの新部隊は、この戦争における第1軍、第2軍と同じ運命をたどるかもしれない。そうなれば、ウクライナが求めている戦略的突破口が現実のものになる。

 しかし、ウクライナ側もピンチだ。欧州供与の備蓄は底をつき、ほとんどの欧州政府はウクライナの武器弾薬を補う戦時生産にまだ移行していない。米国でさえも、優先順位をつける必要性を感じ始めている。例えば、155mm榴弾砲の弾薬で、米国は毎月約1万4000発を生産しているが、ウクライナの報告によると、1日平均約5000発を発射しているという。

 米国防総省は最近、春までに155mm砲弾を月産2万発に増産し、2025年に3倍とする計画を発表した。ウクライナ弾薬以上に重要な問題はない。ウクライナ軍が防衛を維持し、再攻撃と多くの国土の解放に向け勢いをつけるには、1日の使用量の2倍の備蓄が少なくとも必要だ。

 というわけで、今年の課題は単純明快だ。欧州各国政府は、ロシアの進出を阻止し続け、その後、ロシアを撃破して主導権を握り、国土のすべてを解放するねらいのウクライナのため、ウクライナのニーズに合わせて軍需品や装備品の生産を加速させる契約を交付し、資金を投入するかどうかの判断に迫られる。

 米国は軍需品生産を加速させているが、ワシントンには台湾などへの供給契約を含め、未達の兵器契約があるため、欧州各国への期待が高まる。つまり、ヨーロッパが負担しなければならない。

 ウクライナ紛争は、その結果が今後の欧州大陸の安全保障を変革させる戦争である。東側諸国だけでなく、すべての欧州の政府が、何が危機に瀕しているかを理解し、行動する時だ。これは、数のゲームなのだ。■

 

Numbers Game: 2023 Could Be a Decisive Year for Ukraine - 19FortyFive

ByAndrew A. Michta

 

Dr. Andrew A. Michta is Dean of the College of International and Security Studies at the George C. Marshall European Center for Security Studies in Garmisch, Germany and a Nonresident Senior Fellow at the Scowcroft Strategy Initiative in the Atlantic Council’s Scowcroft Center for Strategy and Security. Michta is also a 19FortyFive Contributing Editor. 

The opinions expressed here are those of the author and do not reflect the official policy or position of the George C. Marshall European Center for Security Studies, the U.S. Department of Defense, or the U.S. government. 



2023年1月6日金曜日

イランがドローン専用「空母」を建造中。制裁対象で使い道のない商船を改装。本格空母と程遠い戦力をいつまで嘲笑っていられるかは不明。

ウクライナ戦でイラン製ドローンがロシアを助けていることが判明しましたが、そのイランが今度は無人機運用に空母を稼働させようと民間商船を改装中だと判明しました。これがうまくいくのであれば、高価な通常型空母に手を出さなくても戦力を発揮できる装備が中進国に注目されそうですね。USNI News記事からです。

イランのソーシャルメディアに流れた11月の写真。シャヒード・マフダヴィがバンダルアバスで改装中。H I Sutton Photo Illustration

 

 

USNIニュースの寄稿者H I Suttonが先週公開した衛星写真とオープンソース写真によると、ペルシャ湾の入り口近くの乾ドックで、イラン海軍は元民間コンテナ船をドローン航空母艦に改造中で、同艦は2023年に進水するとサットンは記している。

 

 

イラン革命防衛隊海軍のシャヒード・マフダヴィShahid Mahdavi は、元イラン船籍のコンテナ船で、ホルムズ海峡近くのバンダルアッバースのIran Shipbuilding & Offshore Industries Complex Co (ISOICO) でヘリコプターと固定翼無人機を搭載する軍艦に改装中と、Sutton が月曜に公開しており、11月撮影の写真で、同船は、イラン革命防衛隊海軍IRGCN所属だと判明した。

 シャヒード・マフダヴィは、商船から軍艦へ改造を受けるため、 5 月から乾ドックに入っている。

 新しい写真では同船のデッキが取り除かれている。

 「この改造で、左舷に飛行甲板が追加される。右舷側にもオーバーハングが追加されるかどうかは、今のところ不明。

「上部構造が元のデッキにまたがっているということから、伝統的な空母のレイアウトは不可能であることを意味する。追加される飛行甲板の角度も伝統的なものではない。おそらくこれは、上部構造物の前方で左舷から右舷に横切る飛行甲板になるのだろう。

 

 

角度つき飛行甲板の建設を示唆するShahid Mahdaviのソーシャルメディア写真。H I Sutton Photo Illustration イランは、中東で相次ぐ商船攻撃の原因となった爆発物を搭載したドローン「シャヘド136」をはじめ、さまざまな空中ドローンを開発してきた

 

 民主主義防衛財団のイラン専門家、ベーナム・ベン・タレブルーBehnam Ben Talebluが火曜日にUSNIニュースに語ったところによると、今回の写真は、イランが現地報道で表明した船の用途と一致している。

 「イランメディアは、同船がめ無人機を格納し、長距離攻撃能力を実現すると伝えている」と、USNIニュースに語った。

 「世界は、イランが商船やタンカーを利用して、長距離攻撃能力を高めようとしていることに注目すべきだ」。

 アメリカの遠征海上基地モデルを参考に、イラン海軍とIRGCNは、国際制裁で使えなくなった商船を改造している。

 

イランのソーシャルメディアに出回った5月の画像。

 

商船の改造で最もよく知られているのは、イランの元石油化学タンカー、IRINS Makranだろう。

 昨年、Makranとイラン海軍のフリゲートIRINS Sahandは4ヶ月間大西洋に展開し、北はバルト海まで行き、ロシア海軍の観艦式にイランを代表して参加した。

 シャヒード・マフダヴィは、早ければ今年中に進水する可能性があるとサットンは書いている。2隻目のドローン空母「シャヒード・バゲリ」が、シャヒード・マフダヴィに加わる予定とある。■

 

Iran Building Drone Aircraft Carrier from Converted Merchant Ship, Photos Show - USNI News

By: Sam LaGrone

January 3, 2023 8:08 PM

 

 

Sam LaGrone

About Sam LaGrone

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy


2023年1月5日木曜日

米軍基地の電力供給を確保せよ----米陸軍がフロー電池の実用化に向けプロジェクトを始動

 こんな記事を見つけました。小型核融合の話もあり、ロッキードはエナジー分野にも相当の足場を築いているんですね。Popular Scienceからです。その通りの技術なら民生分野にも応用が期待されますね。




Wikipedia


  • 米陸軍は、コロラド州のフォート・カーソンで、ロッキード・マーティンのフロー電池を試験中

  • フロー電池は、長時間の大容量クリーンエナジー貯蔵につながる電解質貯蔵が特徴

  • 最大1メガワットを最大10時間供給できるGridStarフロー電池は、2024年に運用開始する




米陸軍はコロラド州フォート・カーソンで「フローバッテリー」の試験を開始した。この電池は、2つの化学成分を液体に溶かし、ポンプで送り込み電力供給するもので、成功すれば、米軍基地で長時間・大容量のエナジー貯蔵が実現する。



 ロッキード・マーチンとの提携により、建設工学研究所(CERL)オペレーショナル・エナジーの米陸軍技術者研究開発センターチームは昨年末、工学的電解質の電気化学特性が特徴の充電式レドックスフロー電池、GridStar Flowに取り組んでいる。

 「ロッキード・マーチンのフロー電池は、フォート・カーソンの基幹施設に、長時間かつグリッド規模のエナジー貯蔵を提供する」と、陸軍プログラムマネージャーのTom Deckeはニュースリリースで述べています。「これは重要なツールであり、将来の軍事基地に影響を与える可能性を持っています」。

 フォート・カーソンのフロー電池は、再生可能エナジーを使い、電解質で電池を充電します。フロー電池を完全に充電し、蓄積されたエナジーが必要になったとき、電解液はフロー電池を再通過し、最大1メガワットを最大10時間供給できる。


flow battery

フォート・カーソンにあるフローバッテリーの完成予想図。

U.S. Army/Lockheed Martin


 ロッキードの技術では、パワーモジュールを使い電気を化学エナジーに変換する。電解質はイオンを拾い、バッテリースタック内を流れる。電解液に蓄えられた電子が充電状態を増加させる。グリッドスターは、蓄電モジュールに正と負の電解質を保持し、充電から放電まで変化させる。

 陸軍次官補(施設・エナジー・環境担当)のポール・ファーナンは、送電網が停止した際に必要な電力を供給できるフロー電池の可能性をアピールしている。

 「基地外で何が起こっても、稼働を維持する必要があります。数時間だけでなく、数週間、数ヶ月間、送電網が停止しても、稼働し、任務の即応性を維持できます」。

 ロッキードによると、このシステムは、急性毒性や火災の危険性がなく、再現性のあるブロックで数百メガワットまで拡張できる設計という。また、フロー電池システムは、20年間使用できる設計だという。フォートカーソンのフロー電池が成功すれば、国防総省の各種施設のニーズに対応できる拡張性を有し、長期稼働が可能なフロー電池技術のスタート地点となる可能性がある。

 フォートカーソンのフロー電池は、2023年末に完成し、2024年に試運転を行う。陸軍の運用エナジーチームは、設置後に電池を試験・評価し、報告書を作成する。■


The Army Has a New Flow Battery. It Could Change Military Power.

The battery may bring long-duration, large-capacity energy storage to bases around the world.

BY TIM NEWCOMBPUBLISHED: JAN 4, 2023



TIM NEWCOMB

Tim Newcomb is a journalist based in the Pacific Northwest. He covers stadiums, sneakers, gear, infrastructure, and more for a variety of publications, including Popular Mechanics. His favorite interviews have included sit-downs with Roger Federer in Switzerland, Kobe Bryant in Los Angeles, and Tinker Hatfield in Portland.


2023年1月4日水曜日

米中軍用機の空中衝突寸前の事態は中国軍による米海軍撃破シミュレーションの一環だった

  

PLAN

 

中国海軍は南シナ海で米海軍艦艇への攻撃をシミュレーションしている

 

 

国海軍は、12月21日に南シナ海で米海軍機動部隊を攻撃するシミュレーションを行った。同日、J-11戦闘機が米空軍RC-135偵察機を、国防総省が「安全ではない作戦」と呼ぶ方法で迎撃した。昨日、ビデオが公開され、空母「山東」等の機材が関与する、南シナ海での中国の大規模演習の詳細が明らかになりつつある。

「同演習の一環として、山東の攻撃隊が米海軍の編隊を攻撃するシミュレーションを行った」と、アジアのある国の当局者がフィナンシャル・タイムズに明かしている。武装した人民解放軍海軍(PLAN)のJ-11BSHフランカー戦闘機がRC-135を迎撃したのはその最中のことだった。事件は国際空域で起こった。

 南シナ海では、台湾の南端からフィリピンのルソン島北端まで続く極めて戦略的なバシー海峡上空での給油活動も含め、航空・海軍の活動が活発であったことが明らかになっている。

 南シナ海での中国の激しい軍事活動は珍しくないが、今回の演習シナリオは特に米海軍艦艇をターゲットにしていたようで興味深い。

 同時に、米軍の偵察機や哨戒機も南シナ海、特にバシー海峡を定期的に訪れている。

Pentagon Releases Video Of Chinese J-11 Fighter Making ‘Unsafe Intercept’ On U.S. Jet

Chinese J-11 seen in USINDOPACOM’s footage. DoD

 

 実際、迎撃されたRC-135は、南シナ海の空と海域で展開される中国の軍事演習を監視していた可能性が高い。北京大学が主催するSCS Probing Initiativeでは、「米軍は毎日3~5回、南シナ海に出撃している 」と主張している。

 SCS Probing Initiativeによると、12月21日、米軍はクラーク基地と嘉手納基地からP-8A哨戒機3機、RC-135V偵察機1機、E-3G空中早期警戒管制機1機で南シナ海と台湾海峡南側上空で作戦行動をしていた。問題のRC-135Vは、J-11に迎撃された機体の可能性が非常に高い。

 一方、PLANの空母「山東」も、米海軍空母打撃群と同様に、この地域で演習を行っている。

 実際、南シナ海における米空母作戦は、近年強化されている。例えば2020年7月には、ニミッツ級空母2隻、USSニミッツとUSSロナルド・レーガンが、同地で6年ぶりに行われた両空母による演習に参加した。

 注目すべきは、12月21日現在、PLANの遼寧空母機動部隊も大規模演習を行っており、フィリピン海を航行中だ。空母と海域外での作戦がPLANの作戦コンセプトで中心になるにつれ、PLANが2つの場所で同時に大規模な空母作戦を実施できることは重要な意味がある。

 全体として、12月21日の出来事は、同地域で一般的になりつつある中国米国の活動パターンを反映している。

 北京は南シナ海の大部分を自国領土と主張し、同海域が領有権が争われる海域にする一因となっている。このような主張は、中国が物議を醸す人工島をこの地域に建設していることにより、一層強固になっている。前哨基地は軍事化され、国際的な大きな反対にもかかわらず、中国の領有権主張の戦略で一部となっている。戦略には、他国による漁場や資源へのアクセスを妨害するために使用される準軍事的な船舶も含まれる。

 

南シナ海のスプラトリー諸島のクアタロン礁に中国が建設した人工島(2022年10月25日撮影)。. Ezra Acayan/Getty Images

 

 さらに、バシー海峡は、特に中国の潜水艦にとって、南シナ海から東の広い太平洋に向かう重要な通路として機能する。南シナ海の北端にある海南島の広大な玉林海軍基地の弾道ミサイル潜水艦など、北京の戦略核戦力の一部として重要性を増している。

 一方、米軍には、この地域での中国の活動を監視するだけでなく、PLANの航空機や艦船の能力、戦術、技術、手順などを明らかにする情報収集が明確に求められている。もちろん、J-11が米国の戦略的偵察機材に接近し迎撃してきた場合も重要な情報が得られる。

 RC-135への迎撃や山東打撃群による米海軍への模擬攻撃の正確な位置は不明だが、これら含む事件の地政学的背景には、台湾問題が絡んでいる。

 中国指導部は台湾に対し攻撃的な姿勢を強めており、米国当局者も、北京が早晩、台湾を支配下に置く可能性があるとの懸念を公然と表明している。台湾を支援する米海軍作戦を頓挫させることが、PLANの成功の基本であることは明らかだ。 

 RC-135とJ-11の遭遇について、米軍報道官はロイターに対し、中国機が実際に偵察機から10フィート(約15メートル)以内に入ったが、機首からは20フィート(約15メートル)離れていたと確認した。米軍機が空中衝突を避けるため回避行動をとったのは、RC-135の機首から中国機が離れた位置にあったからだと伝えられている。

 元RC-135パイロットでThe War Zoneの寄稿者であるRobert S Hopkins IIIによると、今回公開されたビデオには、J-11がRC-135に極端に接近している様子や、あからさまに危険な行動をとっている様子は見られない。

 しかし、フランカーはRC-135に接近し、戦闘機を操縦するパイロットの目視による分離が妨げられた可能性があり、ビデオに映っていない出来事が何であったかは分からない。しかし、国防総省の説明では、回避操作が行われたという。

 しかし、国防総省は、今回のJ-11の行動が、中国軍機が示す南シナ海での「危険な行動」のパターンに合致していると明確に考えている。

 繰り返されている事態は、危険だとかプロらしくないとかいろいろ言われているが、中国軍機の各種行動を包含していることも明らかで、中には明らかにより危険な行動もある。

 7月、米統合参謀本部議長のマーク・ミリー大将は、中国が米軍機や同盟軍機への迎撃を積極的に行うようになっていると述べた。ロイド・オースティン米国防長官も中国の魏鳳和Wei Fenghe国防相との会談で、この問題への懸念を表明している。

 

 

ここ数カ月の中国機では、よりあからさまな威嚇が見える。オーストラリア国防総省によると、今年5月、南シナ海上空で中国のJ-16フランカー戦闘機が発射した対抗措置により、オーストラリアのP-8Aが被害を受けた事件も一例だという。

 この事件では、J-16がオーストラリアの哨戒機の横から前に切り込み、チャフを撒いたと言われている。チャフは通常、レーダーの目くらましや混乱に使われるが、エンジンに取り込まれると深刻な被害をもたらすと言われる。

 P-8の事故を受けて、中国国防省は「中国軍がとった対策は専門的で安全、合理的で合法的なもの」と表明した。

 北京は、米国とその同盟国の軍事活動を地域の平和への脅威とみなし、航行の自由パトロール(FONOP)を行う米海軍艦艇を鋭く非難している。一方、南シナ海の大部分と台湾に対する領有権の主張には揺るぎがない。

 今のところ、米インド太平洋軍は、12月21日の事件や中国の演習範囲について、詳細を明らかにしていないが、RC-135迎撃は、中国政府にも提起された。北京の国防省と在米中国大使館からはコメントが出ていない。

 同地域の地政学的状況がすぐ変わるわけではないため、PLANと米軍、同盟国が関わる事件がさらに発生する可能性が高いと思われる。

 12月21日に中国が南シナ海で行った大規模演習と、同時に行われたRC-135迎撃は、利害関係の強い遭遇で常に存在する、誤解による不用意な衝突の危険性を浮き彫りにしている。■

 

Mock Attack On U.S. Navy Vessels Underway During Chinese Fighter's 'Unsafe Intercept'

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED DEC 30, 2022 12:31 PM

THE WAR ZONE


与那国島にHIMARS、または12式対艦ミサイルを配備すべき----米現政権の及び腰を見かねて日本は独自に安全保障策を現実に移しつつある

 

このブログでは初めてですが、Weapons and Strategy に気になる記事がありましたのでご紹介します。趣旨は①海兵隊HIMARSを与那国島②配備スべきと主張したが、バイデン政権が反対している。②日本の12式対艦ミサイルでもHIMARSよりは劣るが効果はある ③日本は米国依存を脱し、自らの意思で安全保障の維持を模索している一方、米国は東シナ海の安全保障に消極的になる

Weapons and Strategy



那国島は琉球列島の一部で、台湾に近い小島だ。両筆者は『台湾侵攻を阻止せよ』の中で、与那国にHIMARSを配備する提案を出した。海兵隊が支持してくれたが、バイデン政権は、与那国へのHIMARS配備に反対している。そのため、海兵隊は当分の間、この構想から外れる。しかし、日本はこのゲームに参加したいと考え、中国が台湾を攻撃するだけでなく、防衛力の弱い琉球諸島を占領しようとする事態をますます懸念している。そうなれば、中国は重要な海上交通路を支配するだけでなく、沖縄での米空軍と海兵隊の作戦に立ち向かえる重要な戦略的優位性を得ることになる。



HIMARSは装輪車両がベースの高精度多連装ミサイルシステムで、撃ちながら移動できる。ウクライナ戦争でその有効性と致死性が証明されている。ロシアはHIMARSへの対抗に大きな苦慮しており、配備されたHINMARS発射装備をほとんど、あるいは全く攻撃できてしていないようだ。

 HIMARSは船舶を含む移動目標も攻撃できるため、台湾に侵攻する中国軍を撃破する上で重要な役割を果たす可能性がある。中国が成功するためには、大規模な水陸両用攻撃を行う必要がある。台湾は空軍と陸上防衛を展開し(HIMARSも発注済み)、HIMARSは中国軍の侵攻に大きな問題を提起することができます。

 日本はHIMARSを持っておらず、HIMARSロケット、特にATACMS(MGM-140)として知られる重要な長距離HIMARSロケットを扱う必要がある。問題は、ATACMSの生産が終了していることと、既存のATACMSが寿命延長プログラム中であることだ。

ATACMS


ATACMSの射程は190マイル。与那国は台湾から67マイルしか離れておらず、ATACMSは中国の水陸両用攻撃をノックアウトするのに最適な距離だ。

 米国は、ATACMSを長距離精密射撃(PrSM)と呼称する新型長距離ミサイルに置き換えようとしている。しかし、PrSMは2023年まで使用できず、完全に能力発揮するのは2025年になる。このため、有事には既存の在庫のギャップと、製品の置き換えのギャップという2つのギャップが控えている。

 日本は現在、与那国に防空設備を設置し、12式対艦ミサイルを配備する予定だ。同ミサイルは、艦艇地上双方から発射できる。射程距離もかなりある(185マイルまで延長可能)。液体燃料を使うが、キャニスターで発射されるため、迅速対応が可能だ。12式はHIMARS ATACMSには劣るが、与那国に必要な能力を与える。

12式対艦ミサイル


バイデン政権がなぜ海兵隊の勧告に反対し与那国にHIMARS部隊を置く構想を却下したのか、理由は明らかではない。バイデンが中国に甘い、また不可欠な戦争物資の台湾向け納入を遅らせているとの疑惑が高まっている。政権は今週、台湾への新たな武器売却を発表したが、その後、予期せぬ遅れがあると「発見」している。台湾向けの新型F-16戦闘機も遅れており、いつ台湾に届けられるのか、誰にもわからない状態だ。

 一方、日本は一生懸命ボールを拾っている。日本は初めて防衛費を大幅に増やし、台湾との政治接触を強め、中国を困らせている。



2018年3月、当時の明仁天皇皇后が、台湾に「手を振る」ため、初めて与那国を訪問された。お二人訪問は、日本政府に重要なシグナルとなった。日本が自国と国益を守るために、そして何よりも米国に依存せず行動を起こすには、4年の歳月と強大化し脅威となる中国が必要だった。明仁天皇は2019年4月、健康を害し退位した。現在89歳だが、与那国が守られるだけでなく、問題の多い地域における日本の防衛力強化につながることを喜ぶはずだ。

 これで、バイデン政権は、静かではないものの後退に映る政策をとることになる。これは台湾にとっても、日本にとっても、地域の安全保障にとっても悪いニュースとなる。■


Yonaguni and HIMARS

A Bridge too far for Biden?

Stephen Bryen

Dec 29, 2022

https://weapons.substack.com/p/yonaguni-and-himars?publication_id=1159397&post_id=93559040&isFreemail=true