2023年8月4日金曜日

2023年夏段階で空中発射レーザー兵器はどこまで現実に近づいているのか。

 


光速での航空戦、敵戦車に穴を開ける、光学センサーと致死兵器で敵戦闘機をピンポイント攻撃する.....これらはすべて、F-35、F-22、F-16、F-15、さらに貨物機から発射されるレーザー兵器に期待される重要効果だ



軍の艦船、地上施設、その他のプラットフォームなら、十分なスペース、重量、電力があり、効果的な時間、十分な威力でレーザーをパワーアップできる。何よりも、遠征用の電力は、高出力のレーザー兵器をサポートし、維持するのに十分な電力密度で、十分に小さい形態で必要とされる。同時に、熱管理もレーザー兵器で非常に重要だ。なぜなら、レーザー兵器は非常に高レベルの熱を発生させる可能性があり、プラットフォーム上の電子機器の一部を不安定にする可能性があるからだ。

 これらの課題を考慮し、空軍は戦闘機用レーザー兵器の開発を迅速かつインパクトのある形で進めており、その実現はそう遠くないと推定されている。地上テストは大きな可能性を示しており、海軍は現在、駆逐艦でレーザー運用を開始し、陸軍はストライカー車両からレーザーを発射し、F-35やF-22が高出力の精密レーザー兵器で飛行する日もそう遠くはないだろう。

 ここ数年で、空軍もレーザー兵器の空中発射テストを実施している。例えば、ロッキード・マーティンは、昨年の『The Drive』レポートによれば、次世代戦闘環境のためのレーザー・アドバンスメントと呼ばれるLANCE空中発射レーザー・システムを納入している。


AFRLの地上試験と航空試験 

米空軍は、レーザー兵器の急速な出現に対応するため、戦闘戦略、戦術、作戦コンセプトを改良している。レーザー兵器は、現代戦の状況を一変させ、戦闘機による攻撃の可能性を大幅拡大する期待がある技術である。

 モバイルパワーシステムやその他の不可欠な技術が急速に進化し続ける中、同軍は今後数年のうちに航空機や戦闘機から発射されるレーザーの運用を開始する予定だ。レーザー兵器は、光速で標的を焼却するため、より精度の高い攻撃になるだけでなく、脅威に応じ、完全破壊、部分的な損傷、あるいはさらに小さく、より慎重な衝撃など、望ましい効果を達成するため規模を変えたり、調整できる。

 この取り組みを率いる空軍研究本部(AFRL)は、レーザー兵器の開発に長年取り組んできた。すでにいくつかの地上発射実験を実施し、空中発射の実証実験も進めている。

AFRLの過去の報告書では、戦闘機用レーザーポッドを地上からテスト発射し、空中統合を見越した取り組みについて述べている。地上試験に続き、AFRLが議論しているのは、空中発射レーザー兵器が小型でより高速な戦闘機から発射できるよう小型化される前に、まずC-130貨物機のような大型航空機から発射されるかもしれないということである。

 

 近年検討されたAFRLの2つの主要プログラムには、自己保護高エネルギー・レーザー・デモンストレーター(SHIELD)と呼ばれる空対空兵器プログラムと、地上発射型デモンストレーター・レーザー兵器システムがある。AFRLはロッキードと共同でSHIELDを開発し、今後数年以内に運用可能なレーザーを開発する予定である。

 固体レーザー兵器は純粋に電気に依存し、他のレーザーのように特定の化学物質を利用する必要はない。基本的には、ターゲットを使用不能にしたり、必要であれば、とてつもない熱で焼却できる。


レーザーがもたらす新たな戦闘の可能性

レーザー兵器の出現により、戦闘機パイロットは、一度に複数標的を攻撃したり、迅速に照準を合わせ直す能力など、新たな戦術的可能性に備えている、とAFRL論文が説明している。F-35のような戦闘機は、飛行機やドローンのような敵のターゲットに対し空対空攻撃を同時に仕掛けることができるが、レーザーを発射する準備をしているパイロットは、複数のターゲットを同時に攻撃する能力をさらに高めることになる。

 これはとりわけ、戦闘機が敵機複数に遭遇する可能性のある、よりリスクの高いシナリオでの接近戦を可能にする。おそらく最大の意義は、レーザー兵器が完全に拡張可能であることだ。AFRLによれば、拡張性は多くの場合、複数のビームを組み合わせたり、1つに統合することで達成される。

 レーザーのような攻撃オプションは、標的を破壊するのではなく、劣化させる能力をパイロットに与えるかもしれない。この可能性は、空対空ミサイルや空対地ミサイル、爆弾のような通常兵器にはないものだ。例えば、航空機は、民間人が近くにいる場合、人を殺すことなく、飛行機、車両、敵の固定設備などの敵の資産を無力化したいと思うかもしれない。


小型化されたモバイル電源

開発者が電力貯蔵、搭載電力システム、戦闘機、および貨物機向け装備の小型化を進めるにつれて、機体に大量の重量を追加することなく「ディープ・マガジン」が動作することが増えていく。これにより、燃料効率、速度、操縦性が向上するなど、多くの明確な利点がもたらされる。持ち運び可能なレーザー兵器があれば、戦闘機が大量の重い爆弾やミサイルを積んで移動する必要がなくなり、空対空戦の機動性が向上し、任務時間が延長される。

 軽量化された航空機は、当然ながら、燃料補給の頻度が減るため、新たな標的を探すための「滞空」時間が長くなる。「ロジスティクス・フットプリント」を減らし運用することができるため、レーザー武装の戦闘機は再武装の必要なく長時間運用でき、ミッションを延長する新たな手段が生まれる。

 AFRL報告書によれば、「30kWのレーザーシステムの場合、バッテリーは300ポンドのオーダーで、1立方メートルの半分の容積に収まる」。

 これらのことは、パイロットや地上兵器のオペレーターが、より長く、より速いミッションに備え、スケーラブルな攻撃を仕掛ける能力に備えるために、新しい戦術や作戦コンセプトを採用する必要があることを意味する。AFRL開発者は、レーザーの出力は2色のファイバーアンプを使用して増加すると説明している。


レーザーの課題

AFRLの情報によれば、このような既知の利点とともに、レーザー兵器開発は、これらの兵器が運用状態に近づくにつれて、多くの実質的なハードルにも直面している。レーザー兵器は戦争用にさらに頑丈にする必要があるだけでなく、様々な "ビーム制御 "を統合して精度を最適化し、"航空機械的ジッター "の影響を排除する必要がある。

「飛行中の振動が誘発する航空機械的ジッターの中で、正確な照準、追跡、ポインティングを可能にするように、ビーム制御システムは十分に進歩しなければならない」とAFR論文は述べている。

 システムの「重量と熱」が適切に管理されれば、レーザーの衝撃によるビームの減衰や分散はかなり減る。

 「高速空気力学的流れは、空気光学的障害を避けるため緩和されなければならない。「効果的な熱管理システムは、従来の液体冷却ループ、あるいは二相冷却(熱を固体に伝えて溶かし、その結果生じる液体を冷却する)によって、発射速度を劇的に向上させることができる」。

 防衛用レーザー兵器は、米軍にも大きな可能性をもたらす。レーザーはセンサー機能も果たすことができるため、敵のミサイルを捕捉し撃ち落とすことができるかもしれない。光速で移動する「迎撃ミサイル」として作動し、対艦ミサイルや空対空ミサイル、さらにはICBMのような宇宙ベース兵器まで含む敵の攻撃を素早く破壊する方法を提供できるかもしれない。レーザーは発射コストが極めて低く、高価な迎撃ミサイルと比較して、襲来する攻撃に対して同等の効果を発揮する可能性があるからだ。■


Warfare at the Speed of Light .. Air Launched Lasers Will Soon Arm F-35s & F-22s - Warrior Maven: Center for Military Modernization

By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization


Kris Osborn is the Military Affairs Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


ウクライナのモスクワ攻撃から台湾も学ぶ点は多い。侵略者に相応の代償を負担させる実力をもってこそ、抑止力が働く。

 


T-80 Tank Destroyed in Ukraine. Image Credit: Creative Commons.

T-80 Tank Destroyed in Ukraine


ウクライナで起きたことはウクライナに留まらない。ウラジーミル・プーチン大統領は、この教訓をますます学んでいる。


ウクライナ戦争激化でモスクワは脅威にさらされる




朝早く、ウクライナの無人機がロシア占領下のクリミア半島とモスクワを標的にしたとされ、モスクワの国際空港のひとつが一時閉鎖に追い込まれた。

 プーチンの核兵器による威嚇があっても、米国はウクライナを拘束したり、戦争をウクライナ領土に限定したりすべきではない。侵略者の本土を危険にさらすことは、将来の戦争に対する最高の抑止力となる。実際、エジプトのアンワル・サダト大統領がこのことを認識して初めて、エジプトとイスラエルの真の和平が可能になった。

 ウクライナをけん制するバイデン政権の努力は、プーチンが戦争はうまくいかないと結論付けるのを防ぐことにしかならない。

 別の言い方をしよう: もしヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、過去1年半にバイデン大統領やジェイク・サリバン国家安全保障顧問の助言を受けていたなら、キーウにはロシアの国旗が掲げられ、バルト三国はともかくカザフスタン北部はロシアの支配下に置かれ、ゼレンスキー自身はロンドンに亡命し、ポロニウム入り茶を待っていただろう。

 ロシアの侵攻は、第二次世界大戦後の自由主義秩序がいかに脆弱であるかを示すと同時に、ロシア・イラン・中国という枢軸が自由世界にもたらす危険性を示している。もしプーチンのウクライナ電撃作戦が成功していたら、習近平国家主席は台湾侵攻を加速させていただろう。台湾は、共産中国のプロパガンダはさておき、歴史的にも法的にも中国本土に属さない国である。


学ぶべき教訓 

習近平がウクライナでのプーチンの失敗から教訓を学ぶように、台湾もウクライナの行動を踏まえ戦略の調整が待ったなしだ。

 中国が侵攻してきた場合、台湾国内で戦うだけでは通用しない。特に、最初に台湾の島々を中国がサラミスライスして、アメリカに台湾の領土的妥協と平和の幻想を交換するように動けば、台北はアメリカを当てにできなくなる。結局のところ、ワシントンの多くの人々が台湾防衛の公約を受け入れている台湾関係法は、台湾の領土の多くを除外している。

 むしろ、台湾が学ぶべき教訓は、抑止力と、北京が仕掛ける戦争を中国本土に持ち込む能力の両方を反映しなければならない。

 第一に、台湾が独自の核抑止力を必要としているという事実から逃れることはできない。ロナルド・レーガン大統領は正しいことを行ったが2つの最大の戦略的誤りは、台湾の核保有を阻止したことと、レバノンの戦火から逃れたことである。

 第二に、台湾は、アイゼンハワー時代の台湾海峡危機の焦点であったケモイのような沖合の島々から、中国本土に砲火を浴びせる準備をしなければならない。弁護士で学者のゴードン・チャンの指摘は正しい。中国が台湾を征服しようとすれば、台湾人は中国の三峡ダムを破壊し、中国本土の数千万人を殺す可能性がある。非核抑止の根本は、このメッセージを定期的に、複数チャンネルを通じて北京に伝えることだろう。

 ワシントンとしては、バイデンやサリバンがゼレンスキーをけん制するように、台湾の手をけん制するようなことはしないことを明確にすべきである。

 第三に、ウクライナが現在、ドーリットル空襲に相当する作戦でモスクワとクリミアを脅しているように、中国が台湾を侵略するようなことがあれば、台湾も北京と上海を攻撃する計画を立てるべきだ。台湾の無人偵察機が中国の首都と商業の中心地の上空を通過しても、習近平は現在のプーチンのように威勢を張るかもしれない。しかし、侵略が簡単なことではなく、また侵略者に影響がないことを早い段階から示せば、習近平の報復の脅威を上回るだろう。

 確かに、ルールに基づく秩序は緊張状態にあるが、その崩壊は避けられないものではない。ロシアが征服戦争を追求し、中国がサバゲーを繰り広げる中、21世紀の抑止力を更新することが極めて重要である。モスクワだけでなく、北京も被害者からの報復を受けやすくすることが重要だ。■


Drone Attack on Moscow: Putin's Ukraine War Is Coming Back to Haunt Him - 19FortyFive

By

Michael Rubin


Author Expertise 

Now a 19FortyFive Contributing Editor, Dr. Michael Rubin is a Senior Fe has llow at the American Enterprise Institute (AEI). Dr. Rubin is the author, coauthor, and coeditor of several books exploring diplomacy, Iranian history, Arab culture, Kurdish studies, and Shi’ite politics, including “Seven Pillars: What Really Causes Instability in the Middle East?” (AEI Press, 2019); “Kurdistan Rising” (AEI Press, 2016); “Dancing with the Devil: The Perils of Engaging Rogue Regimes” (Encounter Books, 2014); and “Eternal Iran: Continuity and Chaos” (Palgrave, 2005).


2023年8月3日木曜日

ウクライナ向けF-16パイロット訓練が西ヨーロッパで進展中。機体供与へ前進。ただし、F-16とともにウクライナに必要なのはミサイル防衛体制の充実だ。

F-16訓練にデンマーク、オランダ両国が協力している

クライナのパイロットは、F-16の到着を前に訓練と準備を続けつつ、ロシアの空軍と地上部隊への攻撃実施に大きく近づいている。ここ数週間、国防総省はF-16の納入を支援することで、ウクライナの対ロシア戦争を支援すると決定した。ウクライナ軍パイロットの訓練と準備は、ヨーロッパの米同盟国とともに行われている。

「F-16訓練連合の共同リーダーであるデンマークとオランダから話を聞いた」。国防総省によれば、ロイド・オースティン国防長官は記者団に対し、「訓練計画について前進を続け、非常に熱心なウクライナ軍パイロットたちが第4世代の航空機の操縦を学ぶのを支援している」と語った。

制空権を決定的に確立できない限り、F-16は期待されるような絶大な効果をもたらさないかもしれない。ロシアがハイテクを駆使した高度な防空網を広範に張り巡らせ、それを維持しているからだ。

ロシアは第4世代第5世代の機体を何百機も持っている。ロシアと1対1、あるいは2対1で戦おうとすれば、大量の機体が必要になる。パイロットの訓練に何年もかかるし、メンテナンスや維持にも何年もかかる。

確かに、国防総省とウクライナを支援する同盟国は、長期的視点で取り組んでいるように見える。国防総省はウクライナのため兵器生産を長期間維持する契約メカニズムを構築している。

その答えは、F-16のレーダー、センサー、照準、兵器システムの射程距離、忠実度、精度などに左右される可能性が高い。Globalfirepower.comによれば、ウクライナの69機に対し、ロシアは773機の戦闘機を保有している。しかし、不思議なことに、ロシアはウクライナのどの重要地域でも、制空権を獲得できていない。どういうわけか、ウクライナ軍はロシアの航空攻撃をほぼ無力化するために、決意、戦術、空と地上兵器の混合を結集することができた。

ミリー統合参謀本部議長は、この空の膠着状態を認識し、航空機少数よりも、地上の防御や兵器、装甲複合兵器の機動作戦の方が、ロシア軍陣地に対し大きな影響を与える可能性が高いと説明している。現在のところ、ウクライナ軍が空域に影響を与える最善の方法は、地対空防空システムだとミリーは言う。

「空を制圧するには2つの方法がある。空から空へ、あるいは地上から空へ。ウクライナで最善の方法は、防空システムによる地対空攻撃だ。ロシアの近接航空支援や攻撃ヘリ支援から攻撃部隊を守るためであり、ロシアは防空システムを持っているからだ」とミルレーは語った。

ロシア空軍に対抗するウクライナ

ウクライナがロシア軍の侵攻に耐え、成功しようとしても、ロシアが実際に航空優勢であれば、間違いなく不可能となる。ウクライナは西側諸国から防空ミサイルを供与されており、ミリーが指摘するように、極めて効果的な防空効果を発揮しているようだ。

国防総省高官が紛争に関する報告書についてブリーフィングしたところによると、ロシアが「リスク回避的」に見える要因のひとつとして、ウクライナが防空体制を敷いている脅威の高い地域での作戦にパイロットが消極的であることがある。おそらく、ウクライナの防空は非常に効果的であるか、少なくともかなり脅威的であるため、ロシア航空機の大規模な編隊は攻撃をためらっているのだろう。その理由として考えられるのは、ロシアが200マイルから300マイルも飛ぶ長距離の地上発射ロケットでウクライナの標的や民間人居住区を破壊してきたことだ。以前のウクライナ側は空でロケット弾を狙うことができなかったため、この阻止に苦労していた。

しかし、HIMARSとGMLRS長距離地上ロケットの登場で、ウクライナ側はロシア国内の奥深くにあるロシアのミサイル・ロケット発射地域を攻撃できるようになった。

米国防総省の当局者はまた、少なくともこれまでのところ、ロシアは航空機の一部しか使用していないと述べている。しかし、ロシアの航空部隊の完全な運用範囲は、773機のうち数百機が戦闘準備が不満足で、近代化もされておらず、運用されていない可能性があるため、判断は難しい。

ロシアはSu-30やSu-35だけでなく、アップグレードされた第4世代のSu-35も運用している。Su-34とSu-35はどちらも、2014年時点で「戦闘機」として挙げられている。Su-34は長距離攻撃能力を持つ「戦闘爆撃機」、Su-35はマルチロール重戦闘機とされる。

対照的にウクライナは、1974年に登場したとされるSu-24など、1970年代や1980年代のソ連製戦闘機を主に運用している。しかし、機体が古いからといって、戦闘機の能力が低いとは限らない。

例えばアメリカは、1980年代のF-15やF/A-18戦闘機を、新型エイビオニクス、照準技術、センサー、武器で大幅にアップグレードしている。ウクライナ側はもちろん、西側諸国から効果的な防空ミサイルの提供を受けており、すでに冷戦時代のソ連製SAMシステム(最新は1986年のSA-15ガントレット)を運用している。これら数十年前のシステムは、どれほど整備され、アップグレードされてきたのだろうか。

しかし、ウクライナの空をで守るには、地対空ミサイルシステムを大量導入する必要はない。ジョン・カービー元国防総省報道官は1年前、少数の防空システムでほぼ「ウクライナ全土」を守ることができると記者団に語っている。■

Ukrainian Pilots To Train on F-16s In Europe, Prepare for Massive Air Attack - Warrior Maven: Center for Military Modernization

By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization

Kris Osborn is the President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


 

B-21レイダーに初の「パワーオン」。今年末といわれる初飛行に一歩近づいた。(7月27日)

 xpand Photo

U.S. Air Force 


ノースロップ・グラマンの7月27日発表によると、B-21レイダーは初の「パワーオン」テストを実施し、2023年末に予定されている初飛行にまた一歩近づいた。同社は低速初期生産(LRIP)契約を年内に受け取る見込みだ。



ースロップの第2四半期決算説明会で、キャシー・ウォーデンKathy WardenCEOは、固定価格契約にインフレが影響するため、LRIP段階では機密性の高いB-21の利益は期待していないと述べた。しかし同CEOは、インフレを緩和するために6000万ドルを空軍から受け取ると報告した。

 ウォーデンは、この進展を「生産移行における初飛行達成のためのキャンペーンにおける重要なマイルストーン」と呼び「我々は、今四半期に飛行試験1号機への通電に成功した」と述べた。

 デビッド・ケファーDavid KefferCFOは、「今年中の初飛行に向け、順調に進んでいます。繰り返しになりますが、タイミングはイベントやデータ次第です。初飛行後に最初のLRIP契約が締結されることを期待しています」。

 彼の発言からは、契約が初飛行を条件としているかは明らかではなかった。

 ケファーは、同社は引き続きプログラムの効率化を追求し、LRIP契約のタイミングは、「プログラムの効率化の継続的な進展と、最初のLRIP契約のロットおよびそれ以降の理解によって決定される」と述べた。ウォーデンは、「デジタル・スレッド」手法により、生産の一部で15%の効率改善が見られたと付け加えた。

 B-21のLRIPフェーズでノースロップは「ブレーク・イーブン」を達成できるか尋ねられたウォーデンは「LRIP契約からマージンを得る予定はない」と答えた。

 「インフレの影響を考慮すれば、B-21関連でリスク要因はまだある」とウォーデンは付け加えた。「インフレの影響により、国防総省がB-21のLRIP調達に6000万ドルを割り当てたという通知を受けました。しかし、これが適用されるのは1会計年度のみであり、2023年度関連であることに留意してほしい。私たちは、マクロ経済の混乱による影響に対処するため、政府と緊密に協力していきます」。

 ノースロップのB-21契約は2015年に締結され、エンジニアリングと製造開発はコスト・プラスの取り決めとなっているが、ノースロップは航空機の最初のロットについては固定価格とする取り決めに同意した。ウォーデンによると、EMDが終了し、LRIP契約がまだ交付されていないため、現時点ではB-2の財務的バックログはほぼないという。

 ノースロップと空軍は2022年12月にB-21をロールアウトした。ノースロップ関係者は、B-21がエンジン・ランとタクシー・テストのため工場外に出るので、極秘の機体を公開する時が来たと述べた。しかし、それ以来7ヶ月間にわたり、ノースロップのカリフォールニア州パームデールの施設から爆撃機が現れたという報告はない。

 B-2爆撃機は1988年に同じ工場からロールアウトし、9ヵ月後まで飛行しなかった。当時の初飛行はパームデールからカリフォーニア州エドワーズ空軍基地近くまでであった。

 空軍関係者は、B-21の初飛行は準備が整い次第実施するため、事前に発表されることはないだろうと述べているが、同関係者はまた、屋外試験のテンポが増すと、初飛行が間近に迫っていることを示すだろうとも述べている。

 2021年初頭には、B-21の初飛行は2022年半ばと予測されていた。2022年5月、そのスケジュールは2023年に延期され、2023年3月、フランク・ケンドール空軍長官は、初飛行は「数カ月」ずれ込んだが、それでも2024年以前に行われると述べた。■


Successful B-21 Test Moves Bomber Closer to First Flight, Still on Track for 2023

July 27, 2023 | By John A. Tirpak


2023年8月2日水曜日

日英伊共同開発のGCAP(テンペスト、F-3、?)の現状を英国はこう見ている

 


GCAP Waveform PRESS

Promotional art for GCAP from electronics firm ELT. (Courtesy ELT)


「F-35、NGAD、独仏協力さらに我々のプログラムと、競争力のあるソリューションを開発できること自体がこちら側の集団的対応の豊かさの現れだ」

国国防省のフューチャー・コンバット・エアー担当ディレクターは、グローバル・コンバット・エアー・プログラム(GCAP)における今後のパートナーシップに「ユニークな機会」を見ている。

 リチャード・バーソンは7月12日、ロンドンで開催されたグローバル・エア・チーフス会議(Global Air Chiefs Conference)で、GCAPは当面、現在の加盟国の手に委ねられると明言した。しかし、現在参加国に次世代原子力潜水艦能力を提供することに重点を置いている豪英米(AUKUS)戦略同盟がGCAPに影響を与える可能性があるかどうか尋ねられ、バーソンはその可能性を示唆した。

 「戦闘機とGCAPが発展していく興味深い未来があると思う。AUKUSは素晴らしい基盤になる。当方が焦点を当てているものとは異なる領域だが、各国はパートナーシップを拡大する機会を検討している」。

 米国が独自の開発努力を進めていることを考えれば、これは英国防省がオーストラリアを将来の潜在的パートナーとして見ていることを示唆しているように思える。AUKUSと、もう一つの太平洋諸国である日本がプログラムに参加していることを考えれば、これは一定の意味を持つだろう。

 しかし、フルタイムのパートナーを加える代わりに、米国が主導する次世代航空優勢(NGAD)やフランス/ドイツ/スペインのSCAFを含む他の第6世代空戦の取り組みと緊密に協力する何らかの合意が見出される可能性があるとバーソンは述べた。

 GCAP加盟3カ国は、米国やNATOを通じた欧州大西洋全域との「相互運用性と統合」努力の重要性を強調し続けているとバーソンは述べ、「GCAPの中核的パートナーから始めて勢いをつけるが、より広範な提携の機会があるのは確かだ」と指摘した。

 NGADやSCAFとの関係についてベルソンは、「F-35であれ、NGADであれ、仏独協力であれ、当方のプログラムであれ、競争力のあるソリューションになりそうなものを開発できるのが、集団的対応の豊かさだと思う」と答えた。

「フランク・ケンドール米空軍長官などが公の場で述べたことから、NGADのアプローチを大まかに把握している。明らかに非常にエキサイティングなプログラムだ。戦闘航空能力に投資している国々のグループ全体で当方がすべきことは、補完性と差別化を最大限に活用し、敵の心に不確実性のレベルを導入できるように、より深い会話をすることだと思う」。

 バーソンはまた、2022年12月にGCAPを開発する共同宣言が署名されて以来、各国の軍事要件チームがプロジェクトの将来について話し合うために集められ、技術者たちが解決策について協力していることを説明した。

「ユーロ大西洋とインド太平洋の違いにもかかわらず、脅威には大きな一致がある。この技術の拡散は、大西洋と太平洋にまたがり、私たちすべてに関係してくる。将来の戦闘航空システムを設計する方法には、課題と機会がある。拡散し、複雑で統合された防空システムという点で、我々が直面している脅威には密接な連携がある。

「インド太平洋における戦術的脅威の種類や射程距離や距離の種類は異なります。しかし、三カ国をまとめる中で、軍事能力要件がいかに補完的であるかを確認するのは興味深いことでした。いまや各国間に大きな隔たりはないと見ています」。

 バーソンはGCAP機体開発の「挑戦的で野心的なスケジュール」と呼ばれるものに伴うリスクから逃げなかった。このジェット機は、ライバルのSCAFより5年早い2035年の就役を目指している。

 「これは、信じられないようなペースだ」と言う。しかし、別々のジェット機計画がどのように互いに学び合えるかという点に話を戻すと、バーソンは以下指摘した。

 「英国の2035年との日付は、私たちの既存の能力と脅威環境を理解し、新しい能力を導入開始する必要がある時期で決定されます。教訓のひとつは、早くやろうとしないほうがいいということです。

「漸進的な能力向上を導入し、新世代能力を導入できるよう、かなり長い期間を確保しようとしている。これは重要な教訓だ。

「一方で、我々は世代間投資として既存のタイフーンのアップグレードに投資しており、2035年までに戦闘航空システムにもより広範に投資していく」とし、その前に「補助的」あるいは自律型共同プラットフォーム(ACP)が就航する可能性を示唆した。■


UK official sees 'unique' partnership chances for next-gen fighter - Breaking Defense


By   ANDREW WHITE

on July 14, 2023 at 7:09 PM


誰も気づいていない脅威 中国の巨大クルーズ船は強襲揚陸艦に変身する。最新のクルーズ客船は10万トン超に大型化しており、高速ボート多数を備えている。

 


World's Largest Cruise Ship Docks In Southampton


クルーズ客船なのか水陸両用強襲輸送艦なのか?よくわからない...GETTY IMAGES


一昔前まで旅客船は兵員輸送船、攻撃輸送船、補助巡洋艦、さらに通商襲撃船となる軍事資産と考えられていた。1950年代から1960年代に揚陸強襲艦が就航すると、客船の軍事的有用性は消滅した。だが長く軍事資産として忘れ去られていた存在の客船が水陸両用攻撃シナリオで役に立つところまで静かに進化してきた。



 中国が客船の大量建造を始めた。民生と軍事の融合を掲げる軍部は、巨大な民生用船舶を超大型の安全保障問題に変貌させたいと切望している。

 90年代半ばからの旅客クルーズの世界的なルネッサンスにより、客船は、認識されていないとはいえ、軍事的な関連性を新たに持つに至った。過去数十年にわたり、急増する顧客の需要にコスト効率よく応えようとする競争は、巨大で複雑な船を産んだ。高速で堅牢、大量発電が可能なこれらの船舶に搭載されたテクノロジーは、一般が認識するよりずっと幅広い軍事的意義を与えている。

 これまでのクルーズ客船は予備兵員輸送船として、フォークランド諸島のような危機時のポイント・ツー・ポイントの兵員輸送程度にしか使えなかった。

 だが今日のテクノロジーにより、客船が揚陸攻撃プラットフォームとして機能する可能性が出てきた。クルーズ船技術は、軍事的に適切であるため多くの改造を必要としないところまで進化している。この種の客船は、膨大な兵力を目標に投入できる。中国の将来の客船隊がインド太平洋の各所で戦略的「クーデター」を引き起こす可能性を持つ。

 西側諸国がこの事態を自ら招いた。技術の進歩、規制の惰性、想像力の欠如が、急速に進化するデュアルユースプラットフォームの軍事的可能性の理解を制限してきた。西側諸国の長年の運用規範に逆らう中国の意欲を理解しない政策立案者と、最低コストの造船業者を求めるクルーズ業界の欲望が相まり、インド太平洋全域に新たな、そして理解不足のまま揚陸作戦の挑戦が生まれる危険性がある。


クルーズ客船は揚陸強襲揚陸艦になる

現代のクルーズ客船の軍事的意義は、各客船が搭載する救命ボートを利用し、多数を迅速に上陸できる事実にある。

 現在のクルーズ客船は、高性能で近代的な救命艇を使用し、1回で最大8000人を上陸させることができる。たとえ後方支援や支援体制が整っていなくても、数千人の兵力を奇襲上陸させれば、太平洋の多くの離島や戦略的に有用な島々の防衛を圧倒する。これらの船があれば、中国は一瞬にして「地上の事実」を変えることができる。

 台湾などでさえ、このような攻撃を跳ね返すのに苦労するだろう。中国軍が整備された港湾に足場を築いた瞬間、中国は徴用した民間フェリー船団を使って、宿営地に物資や資源を注ぎ込むだろう。

 大人数を上陸させる能力もさることながら、現代のクルーズ船は巨大で速く、沈めるのが難しい。客船1隻あたりの効率を最大限に高めよるクルーズ業界の努力の結果、クルーズ船の排水量は2009年以降2倍以上に増加しており、大型化が横ばいになる兆しはない。2024年、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのアイコン・オブ・ザ・シーズはフィンランドの造船所を離れる。全長約1,200フィート、総トン数25万トン超の同船はアメリカの最新空母ジェラルド・R・フォードよりも大きく、3隻建造される。

 クルーズ船産業は第二次世界大戦後50年にわたり停滞していた。しかし、ここ数十年に、クルーズ船の排水量の爆発的な伸びは、港湾インフラから海事規制まで、あらゆるものを凌駕している。クルーズ船の増加率は指数関数的だ。1939年から1972年の間、87,673トンのRMSクイーン・エリザベスが世界最大の客船だった。1996年に101,353トンのカーニバル・デスティニーに抜かれたものの、両船も巨大なアイコン・オブ・ザ・シーズの半分以下の大きさしかない。

 クルーズ船の大型化につれて、救命技術、つまり揚陸攻撃に役立たせる道具も進歩している。RMSクイーン・エリザベスの姉妹船RMSクイーン・メリーが1970年代初頭に就航を終了したが、同船は乗客145人を乗せ、約6ノットで推進できる22隻のオープン救命艇に頼っていた。現在、アイコン・オブ・ザ・シーズには17隻のメガサイズの密閉式救命ボートが搭載され、それぞれ最大450人を9~10ノットで岸まで運ぶ。この救命ボートは搭載速度も速い。それぞれの救命艇は747ジャンボジェット機より多い人を乗せるが、テストでは乗客はわずか5分21秒で乗り込めた。

 民間向けの最新型「救命艇」は通常、現行の救命規則が定める最低限の要件を満たしている。しかし、新型の救命艇には十分な柔軟性があり、より速く、より二重用途に適した艇を作ることができる。

 軍事的な影響がなくても、救命艇は進化している。クルーズ船の大型化に伴い、港湾インフラは追いつくのに苦労している。大型クルーズ船は桟橋に直接係留できないことが多く、停泊しなければならない。このインフラ不足を克服するため、クルーズ船は救命艇を「テンダーボート」に改造し、乗客を上陸させている。これらの「兼用」テンダーボートは、一般的に、救命艇よりエンジン性能が高く高速だ。ファスマーのSEL-T 15.5救命艇・テンダーのハイブリッド艇は、11ノットで230人を乗船させる。パルフィンガーマリーンの双胴船CTL 57は、220人を比較的スピーディかつ快適に上陸させることができる。

 これは氷山の一角にすぎない。実用的で沈没しにくい救命艇を強化するのは簡単で、軍事化も可能だ。速度の向上、生存性の向上、あるいは着水機能の向上は、中国の能力の範囲内だ。

 実際、現代の救命艇は、軍用上陸用舟艇の性能に匹敵し、それを凌ぐところまで来ている。アメリカのワスプ級大型強襲揚陸艦は1990年代に就役したが、上陸用舟艇は60年代初頭の遺物だ。

 ワスプ級強襲揚陸艦はそれぞれ、最大12隻の中型揚陸艇(LCM-8)または大型LCU1600実用揚陸艇2隻を搭載する。LCU1600は、約11ノットで兵員を岸に押し上げるが最大400人の兵員しか運べない。小型のLCM-8は、約150人の兵員を乗せた場合、最高速度は9ノットしか出せない。

 これら旧式の上陸用舟艇は、大型装備を上陸させることができるかもしれないが、中国が必要とするのが、大きな突撃波を1回で上陸させ、適度に整備された港に入れることだけなら、近代的なクルーズ船のテンダーや救命艇の方が、より多くの兵員を目標地点に迅速に運ぶことができる。兵員を最も迅速に上陸させることができるのは、ヘリコプターとエアクッション式のLCAC上陸用舟艇だけだ。


中国は近代的な客船の量産を目指している:

軍事化された客船に備える時間がない。

中国初の国産クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」(Ada Modu)(総トン数13万5,500トン)は現在、海上公試中だ。中国は待ってはいない。142,000トンの2隻目のクルーズ船を建造中で、2025年には就航すると観測されている。

 西側諸国は皆、中国にクルーズ船を建造してもらおうと列をなすだろう。中国の造船部門への国家補助金を考えれば、中国はクルーズ船建造プロジェクトを、ヨーロッパで建造された同規模の客船の5分の1の価格で引き受けたと言われている。

 アドラ・マジック・シティ」は、314人乗りの救命ボートを20隻搭載する。もし中国が同船を軍事利用すると決めれば、6000人以上の兵員を一度に上陸させられる。巡航船は、中国が民間と軍事の有機的な水陸両用能力の多様な宝箱を完全に統合するために必要な、最終的な作戦上の断片の一部を提供する。

 中国客船が太平洋に広がっていく可能性が高い今、中国艦隊に新たに加わるこれらの客船の軍事的有用性を認識し、客船の軍事化を制限する行動をとるべき時が来た。今後、水陸両用攻撃演習に使用される中国の民間船舶は、正式な軍用船舶として識別され、国際民間通商から永久に排除すべきだ。

 現代のクルーズ船を見過ごすことはできない。こうした現代の攻撃型輸送船は、安全保障に重大かつ過小評価された課題を突きつけている。中国は、軍事的機能を追加したり、搭載されている救命ボートに説明のつかない「改良」を加えたり、あるいは巨大な発電能力を秘密裏に活用しようとすることで、これらの民間船舶を容易に「軍事化」できる。もし中国がこれらの民間資産を攻撃的な軍事能力に向け始めたら、発見した瞬間に公に反撃しなければならない。■


China’s New Cruise Ships Are An Overlooked Amphibious Assault Challenge

Craig HooperSenior Contributor

Jul 20, 2023,03:48pm EDT

https://www.forbes.com/sites/craighooper/2023/07/20/chinas-new-cruise-ships-are-an-overlooked-amphibious-assault-challenge/?ss=aerospace-defense&sh=d29b6965a791


2023年8月1日火曜日

主張 米国の対中戦略に日本の力は欠かせない存在だ

 National Interestはどうしちゃったんでしょう。最近はめぼしい論文が減っているようです。今回は日米関係で正論を展開していあmすが、筆者はなんと現役学部生とのことで驚きです。日本にここまで正論を展開できる学部生が何人いるのかわかりませんが、優秀な方であることは確かなようですね。


アメリカの対中戦略に力を与える日本


日米同盟は太平洋の地政学的秩序の礎であり、両国は二国間関係の強化に取り組みその地位を維持するべき時に来た



年12月、岸田文雄首相は国家安全保障会議(NSS)を発表し、2027年までに防衛費をGDPの2%まで増やし、日本を世界第3位の軍事大国とすると約束した。多くの論者は、これを中国の侵略やロシアのウクライナ侵攻への動きと見ているが、日本が意図的かつ積極的にインド太平洋地域の新たなビジョンを打ち出そうとしていることをNSSが示している。「主要な国際的アクターとして、日本は同盟国や志を同じくする国々と協力し、特にインド太平洋地域における国際関係の新たなバランスを達成する」。


この目標を追求するため、日本は韓国との貿易紛争を終結させ、防衛関係を正常化させる新しい外交姿勢を実施した。さらに、NSSは米国との協力強化を求めている:「日本は、戦略レベルにおける二国間の協調を確保しつつ、外交、防衛、経済を含むあらゆる分野において日米同盟を強化するため、米国と協調して取り組む」。


要するに、NSSは、日本がアジアで積極的なプレーヤーになることを目指し、米国との協力強化が両国の繁栄を維持する鍵であると強調している。


日本が防衛支出を増やし、防衛協力を積極的に行えば、アメリカの戦略に大きな恩恵となる。戦略国際問題研究所が最近行ったウォーゲームによれば、日本に関する楽観的なシナリオの変更はすべて、台湾防衛の成功に向けた「大きな変化」をもたらす。その結果、同論文は米国の指導者たちに「日本との軍事的・外交的関係を深めることを優先する」よう勧告した。特に、日米両軍の作戦上の連携は、「日本軍との経験を持つ参加者」から特に重要視された。しかし、日米間の戦略的協力の強化は、軍事分野に限定されるべきではない。日本は、アメリカの広範な戦略目標を達成する上で重要な役割を果たせるのだ


バイデン政権下で、中国の一帯一路構想(BRI)に対抗するアメリカの構想がG7に提案されたが、軌道に乗らなかった。この失敗の一因となった問題のひとつは、あるアナリストによれば、「政策戦略や提供メカニズムに対する理解が乏しい」ことだ。つまり、アメリカの対応は資金不足だけでなく、約束したプロジェクトを実際に実現できない支離滅裂な組織構造やビジョンにも苦しめられているのだ。


一方、日本には開発資金を提供し、外交政策目標を推進するシステムがすでにある。外務省の下部組織で政府開発援助(ODA)を代表し資金支出する国際協力機構(JICA)である。1974年に設立されたもので、中国のBRIにインスピレーションを与えたことは間違いない。開発プロジェクトに資金を提供するだけでなく、海外に人材を派遣し、開発途上国で人材を育成する。1954年以来、海外に派遣された専門家は延べ197,000人、受け入れた研修生は649,000人にのぼる。現在のアメリカの政治的現実や、ウクライナ戦争のためにヨーロッパが「壮大な新しいプロジェクト」を作る意欲に欠けているのを考えれば、新しいシステムをゼロから作るより、確立ずみの日本のシステムと協調する方が賢明だ。


アメリカの戦略のもうひとつの柱は、CHIPS法やBuild America, Buy America法といった産業政策指向の法案の成立が示すように、産業基盤の再構築だ。この課題の重要な部分は、産業部門の人材の質と量を向上させることである。製造業では人材不足が続いており、この傾向が続けば、2030年までに200万人の未就職者が発生する予想がある。バイ・アメリカン法により、特に建設業界で重要商品の国内サプライヤーを見つけるのが苦しくなっている。業界関係者によれば、ドッククレーン、トラック、ボートリフト、および同様の機器では国内メーカーが存在しないという。さらに、最近アリゾナ州に建設された台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)のチップ工場は、莫大な建設費(台湾の10倍)と有資格者不足のため、「...TSMCや台湾にはほとんど利益をもたらしていない」という。


一方、日本はこれらの分野で強力な製造基盤を持つが、デザインの才能に欠け、新規企業の年間平均参入率は経済協力開発機構(OECD)で最下位である。アメリカのベンチャー・キャピタルのエコシステムが依然として世界最大で、チップ・デザインの人材需要の43%を占めているのを考えれば、人材交流や企業協力を進めるのが両国にとり最善の利益となるだろう。


すでにこれは主要産業で起こっている:日本を半導体産業の最先端に戻すべく設立された日本のラピダスは、米ハイテク大手IBMと提携し、IBMの2nmチップ設計を製造している。しかし、焦点は専門化(アメリカがチップ設計を提供し、日本が製造する)だけであってはならない。例えば、ジョー・バイデン大統領は、バイ・アメリカ法の修正案を通過させるだろう。修正案では、日本企業がエンジニアをアメリカに派遣する(その機器を製造するためのベストプラクティスを現在の企業に教える)か、アメリカに合弁会社を設立する(その機器を製造する)ことと引き換えに、アメリカが現在製造できない機器の一時的な免除を認めている。


後者は、はるかに友好的ではない条件ではあるが、以前にも行われたことがある。1980年代にトヨタがアメリカの自動車市場に急速に拡大した後、議会は日本政府との間で輸出自主規制を実施し、アメリカへの自動車輸出をアメリカ市場の22%に制限した。この措置は、日本への輸入関税の脅威が迫っていたことに加え、トヨタが米国で自動車を生産するため米国の自動車製造大手ジェネラルモーターズ(GM)と合弁会社を設立することを促し、ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング設立につながった。その目的は、トヨタがアメリカで工場運営を学ぶ一方、GMがトヨタ生産方式を導入し品質を高める方法を学ぶことだった。このベンチャー事業は、両社にとって非常に有益だと証明された: ホワイトハウスの自動車タスクフォースによれば、GMの調達・生産システムは「世界トップクラスであり、日本の自動車メーカーのシステムと同程度に効率的」だという。もし、GM側の自暴自棄とトヨタ側の強要がミックスされた結果でこの結果が得られたのであれば、アメリカと日本の利害が明確に一致している今日、さらなる高みに到達するだろう。


文化的なレベルでは、アメリカのアナリストが日本側アナリストと対中対応で真剣に協力すれば、より効果的な中国戦略をもたらすだろう。日米は激動の歴史を共有しているため、日本の外交官は、中国が大国として台頭した結果生じた問題に関して、先手を打っていた。昨年初め、元駐米日本大使の佐々江賢一郎は、『エコノミスト』誌で次のように述べている:「私たちは米国に警告した。これは日中間の小さな区分けされた問題ではなく、この地域で大国が成長する兆しなのだ」。残念ながら当時、この警告は耳に入らなかった。東京大学のある中国専門家は、同じ記事でこう嘆いている:「15年前、私が(欧米の同僚に)中国のマイナス面を話すと、右翼的で中国嫌いの日本人学者として扱われたものだ」。


これは変えなければならない。理想を言えば、アメリカは日本を理解し、中国と協力するため、中国とほぼ同数の人員を割くべきである。日米同盟は現在の太平洋における地政学的秩序の礎石であり、その地位を維持するために両国は二国間関係の強化に取り組むべき時なのだ。■



How Japan Can Power America’s China Strategy | The National Interest

July 27, 2023  Topic: Japan 

Siddhartha Kazi is an undergraduate student studying Industrial Engineering at Texas A&M University.

Image: Shutterstock.