2024年6月3日月曜日

米海軍のめざすコンステレーション級フリゲート艦建造が難関に直面している。LCSの失敗などもあったが、米海軍は学べない組織になっているのか。

 


いいことづくめで構想し、契約交付に続き、実際の作業が始まると色々要求が出てきて変更となり、最終設計が固まらない中で試行として建造を進めるというのは米海軍がLCSで学んだ痛い経験のはずなのですが、フリゲート艦建造でも同じ轍を踏んでいるのはどういうことでしょう。そもそもフリゲート艦建造が必要となったのはLCSが期待外れだったこともありますが、アーレイ・バーク級駆逐艦でなくても用が済む任務に投入できる艦艇を配備して、アーレイ・バーク級の負担を軽減することが主眼点だったはず。であれば、要求性能も思い切って絞り込めたはずなのですが、フタを開けると駆逐艦並の艦容になってしまいました。これではヨーロッパ設計の元の設計は不要ですね。さらに建造面でも遅れがすでに予想されているとは。日本のフリゲート艦建造は順調に進んでいますが、いっそのことライセンス建造で日本から設計を売り込んではいかがでしょうか。とはいえ、これも一旦米海軍の手に鳴ると、色々改修され原型を留めない形になりそうですね。



The U.S. Government Accountability Office says that "unplanned weight growth" and design instability have been major factors in the huge delays with the Constellation class, and that the ship's top speed could take a hit as a result.

USN

海軍の新コンステレーション級フリゲート艦は混乱している

FREMMを原型とする基本設計への変更が止まらないことが大幅な遅れの原因となっており、「予定外の重量増加」でさらなる遅延につながりかねない

海軍が調達を目指すコンステレーション級フリゲート艦の建造は、予想外の総重量の増加のために遅延する可能性がある。海軍と造船会社フィンカンチエリ・マリネット・マリーンは、原型とした伊仏向けFREMM(Fregata Europea Multi-Missione)と比較して艦の構成が大きく変更された場合の影響に取り組み続けている。コンステレーションを既存のフリゲート艦をベースにする目的は、コスト、納期、リスクを削減することだったが、現実にはより大きく、より重く、予定より何年も遅れている。

重量増加、設計の不安定さ、コンステレーション級フリゲートに関するその他の問題についての新たな詳細は、議会の監視機関政府説明責任局(GAO)が昨日発表した報告書に記載がある。先週、海軍はフィンカンティエリ・マリネット・マリーンに10億4000万ドル強の新たな契約を結び、さらに2隻のフリゲート艦を発注したところだ。海軍は現在6隻のコンステレーションを発注中で、その1隻が建造中である。

同時に海軍は、コンステレーション級フリゲート艦USSコンステレーションの初号艦引き渡しが2029年になる可能性があることを確認している。これは、フィンカンティエリ・マリネット・マリーンがフリゲート艦の最初の契約を受けてから約9年後、建造開始から約7年後のことでもある。

A rendering of the future first-in-class USS <em>Constellation</em>. <em>Fincantieri</em>

A rendering of the future first-in-class USS Constellation. Fincantieri

コンステレーション級一号艦の現状に関するデータとして、「海軍は、2023年9月時点で、その時点で35.5%完成させる予定だったが、3.6%しか完了していない」とGAOは報告した。

GAOによると、「フリゲート引き渡しの新日程を評価する上で複雑な要因は、造船所が2023年10月にフリゲート設計の予定外の重量増加を報告したことである。「海軍は、構造、配管、換気、およびその他のシステムに関連する情報のギャップを含む、船舶設計の不完全な要素を承認することを決定し、海軍の要件を満たすために外国の設計を適応させることを過小評価し、この重量増加を推進している」。

ここで注目すべきは、2021年までに、コンステレーション級の設計は、原型FREMMと比較して、24フィート長く、3.5フィート強広くなることが明らかになっていたことだ。加えて海軍は当時、コンステレーション級の排水量は「余裕と将来の成長のために"約500トン増加すると述べていた。

An infographic from circa 2021 already showing significant differences between the <em>Constellation</em> class and its parent FREMM design. <em>USN via CRS</em>

An infographic from circa 2021 already showing significant differences between the Constellation class and its parent FREMM design. USN via CRS


GAOが今回公表した計画外の重量増が、海軍が以前に述べた重量マージンの増加の範囲内かは不明であり、本誌は海軍水上システム本部(NAVSEA)に詳細を照会中だ。

ともあれ、GAO報告書によれば、「重量増加を解決することは、現在進行中の造船所の設計活動に新たな次元を加えることになり、今でさえスケジュールに難があるため、予測可能性をさらに低下させる」。「海軍は2024年4月に、艦設計に影響を与える重量増加を解決するために、他の可能性のある方法の一つとして、フリゲートの速度要件の削減を検討していることを開示した」。

現在までのところ、海軍はコンステレーション級に対する速度要件を開示していないが、少なくとも26ノットの巡航速度を期待されていると伝えられている。フィンカンティエリによれば、イタリアのベルガミーニ級FREMMの「最大連続速度」と同じで、27ノットを超えるという。空母打撃群に追従するため、少なくとも30ノット前後の速度が必要だ。。

The Italian Navy's <em>Carlo Bergamini</em>. <em>Fabius1975/wikicommons</em>

The Italian Navy's Carlo Bergamini. Fabius1975/wikicommons

本誌はまた、重量増加の問題を解決・軽減するため検討中の他の選択肢の詳細について、NAVSEAに問い合わせている。

USSコンステレーションの建造は、少なくとも昨年時点では、最終設計が決まらないまま進められていた。

GAOによると、「設計の安定性は、特に最終的なシステム設計の理解を支援するために組み込まれた信頼できるベンダー提供の情報を使い、3Dモデルで基本的かつ機能的な設計が完了した時点で達成される」。しかし、「海軍は2022年8月に不完全な機能設計のままフリゲート建造を開始しており、船舶設計での慣行に反している」。


A graphical representation of assessed 3D modeling progress on the Constellation class design as of October 2023. <em>GAO</em>

A graphical representation of assessed 3D modeling progress on the Constellation class design as of October 2023. GAO

GAOによると、作業開始から1年後の2023年8月時点で、コンステレーションの機能設計と3Dモデルは、それぞれ92パーセントと84パーセント完成していたと評価されている。

GAO's assessment of progress in finalizing the<em> Constellation</em> class' core design and the associated 3D model since August 2022. <em>GAO</em>

GAO's assessment of progress in finalizing the Constellation class' core design and the associated 3D model since August 2022. GAO

USNI Newsによると、コンステレーションとFREMMの設計の共通性は、15%にまで低下している可能性があるという。GAOによると、これにはディーゼル電気とガスタービンを組み合わせた推進システムと関連する機械制御システムの大幅な変更が含まれており、「造船会社によると、コストが増加し、統合リスクが発生した」のだという。

加えて、「海軍は、(米国固有の新任務)システムに対応し、海軍の居住性と生存性要件を満たすために、親船型の設計を変更した。また、「海軍は、(米国固有の新しい)ミッション・システムに対応し、海軍が求める居住性と生存性での要件を満たすため、原設計を適合させた」とGAO報告書は指摘している。本誌では、今年初めに、Mk 41垂直発射システム(VLS)装備のサイズにまつわる疑問を中心に、コンステレーション級に期待される能力について深く掘り下げた。

GAOは、「計画外の重量増加は、短期的(すなわち、艦隊への引き渡し時)に、また長期的には想定される数十年の耐用期間に初期能力を変更・改善しようとする際に、艦の能力を損なう可能性がある」と警告している。

成長のための余裕を持たせることは非常に重要である。この先コンステレーションに、指向性エナジー兵器やその他の兵器、その他の能力を統合する話はすでに出ている。そうでなければ、耐用年数にわたって艦船を運用し続けることは、経済的にはるかに困難になる。

GAOはまた、海軍の沿海域戦闘艦(LCS)プログラムに関する過去の経験も挙げている。LCSの両サブクラスの初期建造は、一般にコンカレンシーとして知られるプロセスとして、確固とした設計なしに意図的に開始された。その結果、インディペンデンス級とフリーダム級の最初の2隻は、その後の艦船とは大幅に異なる設計となった。USSフリーダム(LCS-1)、USSインディペンデンス(LCS-2)、USSコロナド(LCS-4)はすべて退役した。その中で最も古いフリーダムは、13年しか供用されなかった。海軍は現在、両サブクラスのLCSを今後数年でさらに退役させる方向で動いている。

海軍がコンステレーション級フリゲート艦の取得を決定したことは、LCSで期待に応えることができなかったことへの大きな反撃とみなされている。すでに述べたように、FFG(X)プログラムとして当初知られていたものの中核要件である、確立ずみの生産中の親設計を使用することは、コスト増加やその他の技術的・スケジュール的リスクを抑制するのに役立つはずであった。

GAOの新しい報告書が発表される前から、コンステレーション級フリゲート艦の開発・建造の進捗状況やその欠如に対する批判が高まる中、海軍は責任の大部分を造船所の労働力問題に押し付けている。コンステレーション級の生産を支援するため別の造船所を導入する話もある。

「コンステレーション級)フリゲート艦の場合、率直に言って、ウィスコンシン州での採用と維持の問題だ」と、カルロス・デル・トロ海軍長官は、今月初めの上院軍事委員会公聴会で語った。

しかし、同委員会の共和党筆頭であるミシシッピ州選出のロジャー・ウィッカー上院議員は、同じ公聴会の冒頭発言で、異議を唱えていた。

「コンステレーション級フリゲート艦の建造は3年遅れ、引き渡しには10年近くかかるだろう。海軍が要件を安定させられないことが主な原因だ。要件の70%近くは、海軍が契約を結んでから変更されている。「このため、今日の結果は驚くことではない。これは業界の問題ではない。上級幹部がプログラムを管理できなかったということだ。これは不正行為であり、時間と資源のひどい浪費だ」。ウィッカー上院議員のコメントは、GAOの報告内容と一致している。

海軍がフィンカンチエリ・マリネット・マリーンとともに、コンステレーション級の重量やその他設計要素を最終的にいつ安定させることができるのか、また、その結果、艦の最高速度が低下するのかどうか等非常に多くのことが未知数のままだ。■


Navy's New Constellation Class Frigate Is A Mess | The War Zone

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAY 30, 2024 9:14 PM EDT

SEANEWS & FEATURES


ゼレンスキー大統領がシンガポールを電撃訪問し、アジア各国へ支援を要請しつつ、和平交渉を妨害する中国を非難した

 


ゼレンスキー大統領がシンガポールで開催中のシャングリラ対話に突如登場し、中国への厳しいコメントとともにアジア各国のウクライナ支援を訴えました。Breaking Defense が早速伝えています。

Key Speakers at the IISS Shangri-La Dialogue Asia Security Summit

Volodymyr Zelenskiy, Ukraine’s president, departs the IISS Shangri-La Dialogue in Singapore, on Sunday, June 2, 2024.(Ore Huiying/Bloomberg via Getty Images)

シャングリラ対話の会場でウクライナ大統領は、「独立した大国の中国が、プーチン(ロシア大統領)の手先になっているのは残念だ」と述べた

ャングリ・ラ・ダイアログにて。ウクライナの大統領はだれも予想していなかった形でシンガポールへ訪問し、米国防長官と会談した。

「我々にはアジア諸国の支援が必要だ。それは非常に必要なことだ」と、ヴォロディミル・ゼレンスキーは今日、シャングリラ対話での記者会見で述べた。「アジア諸国多数がウクライナを武器で支援していないことは承知している。我々は各国に圧力をかけたこともなければ、要求したこともない。我々は常に、何よりもまず、政治的な支援、国民、民間人、子供たちへの支援を求めている」。

ゼレンスキーは冒頭の演説で、「あなた方の地域、指導者、国々が、あなた方の国民が(このような)世界情勢に関与できるよう、こちら側に参加してください」と呼びかけた。「私たちは、あなたがサミットを支持し、スイスに出席してくれることを心から期待しています」。

2週間後にスイスで開催される平和会議は、スイス連邦政府が組織したもので、ゼレンスキーによれば、70カ国以上の国家元首を含む100カ国以上の代表が参加する。しかし、中国は出席を拒否しており、ウクライナ大統領は、北京がロシアの要請で出席を妨害するために積極的に動いていると述べた。

「今日......残念ながら、遺憾なことに、ロシアはこの地域で中国の影響力を利用し、中国の外交官を使い、(平和)サミットを妨害するためあらゆる手段を講じている。「中国のような大きく、独立した、強力な国が、プーチン(ロシア大統領)の道具になっていることは残念だ」。

ジョー・バイデン米大統領がサミットに出席するかは今のところ不明だが、米政府高官は出席を表明している、とゼレンスキーは述べ、長年にわたる米国の支援と、戦争に関連した中国の行動との間に鋭いコントラストを描いた。

特にゼレンスキーは、昨年習近平国家主席と会談した際、習近平は中国が紛争を傍観すると約束したと述べ、中国を批判した。ウクライナの大統領は、中国発の致死的援助がロシアの手に渡っていることを示唆したが、中国を正式に非難するまでには至らなかった。

ゼレンスキーの演説後、国防総省はロイド・オースティン米国防長官との会談録を発表し、オースティンは会談で「ウクライナの自由を守るため、50カ国以上の連合による強力な支援を維持する米国のコミットメントを再確認した」と述べた。

ハリコフでの戦闘で、ウクライナがロシア領内の目標に発砲することを認めたバイデンの最近の決定について2人が話し合ったかどうか尋ねられた際、ゼレンスキーは、この変更を歓迎する意向を示したが、「それで十分か?いいえ」と述べた。

ロシアは自国領内からウクライナを攻撃しているため、ウクライナはそれらの標的を攻撃できない限り、効果的な防衛ができない、と彼は主張した。■

In surprise Singapore visit, Zelenksyy accuses China of disrupting peace talks, asks for Asian support - Breaking Defense

By   COLIN CLARK and LEE FERRAN

on June 02, 2024 at 7:53 AM


日本の次期イージス・システム搭載大型艦ASEVにロールスロイスMT30ガスタービンエンジンの採用が決定

 ASEV rendering

ASEV rendering. Lockheed Martin image.




日本のイージスシステム搭載艦(ASEV)の動力源として、ロールスロイスが世界初のツインMT30搭載ハイブリッド電気機械推進システムを供給することが決まった


ロールスロイスプレスリリースより


MT30 GTのユニークな出力密度により海上自衛隊の駆逐艦が求める最高速度の要件を満たす。

 最新世代の舶用ガスタービン技術の利点としては、従来型エンジンと比較して艦上でのメンテナンス作業が大幅に減り、乗組員数の削減が容易となる。

 「海上自衛隊艦艇にMT30がこれまでも採用されており、日本との長きにわたる良好な関係をさらに強化することになります。

 「ロールス・ロイスは、海軍推進技術の最前線に立ち続け、日本の駆逐艦計画に世界初のツインMT30ハイブリッド配置を提供できることを誇りに思います。

 「MT30は、FFMフリゲートを含む、世界で最も先進的なプラットフォーム多数に動力を供給しています。その動力と推進力により、造船会社やシステム設計者は、新たなオプションや選択肢、将来性を備えた能力を得ることができます。私たちは、日本との関係を継続し、MT30の世界的な普及を期待しています」。(サム・キャメロン、ロールス・ロイス防衛担当上級副社長)

 川崎重工KHIが、MT30を "コンパクト・パッケージ・エンジン筐体"とに組み立てて、試験を行い、推進システム全体の試験も実施する。   MT30は、実用化済み舶用ガスタービンの中で世界で最も出力密度が高く、最小限のスペースで高出力を実現しながら、将来の運航出力需要にも対応する。MT30は、機械式、ハイブリッド式、一体型電気式など、考えられるすべての推進配置で稼働しており、また用途に応じてウォータージェット、可変ピッチプロペラ、固定ピッチプロペラに動力を供給するために選択されている。

 同じ地域で、MT30は韓国の大邱級、蔚山級フリゲート艦、オーストラリアのハンター級フリゲート艦にも採用されており、その恩恵は米国の太平洋地域でも活用されている。ロールスロイスの目標は、今後10年以内に、MT30が環太平洋地域で主流となることで、MT30の継続的な性能のみならず、その成功を可能にした強力な協力体制と経験の証でもある、と同社は見解を発表している。■


Rolls Royce MT30 selected to power Japan’s ASEV - Naval News


Naval News Staff  31 May 2024





2024年6月2日日曜日

SNCは "ドゥームズデイ・プレーン"後継機SAOCを "完全デジタル"開発で進める。E-4の4機体制に対し、SAOCは10機程度になる予想も。大韓航空から購入予定の747-8は5機の契約だ。

 

知名度の低かったSNCが製造元のボーイングに勝った理由がデータ所有権だったとは驚きですが、SNCには知見を持った有力企業がチームとして加わり、E-4後継機の改修に自信を示しています。さらに、現在は4機のE-4部隊ですが、後継機SAOCが10機近くになるとの情報も入り、現在大韓航空から747-8を5機調達する契約のSNCが更に機材調達に走る可能性も出てきました。Breaking Defense記事からのご紹介です。

E-4B training sortie

595th Aircraft Maintenance Squadron maintainers prepare the E-4B for flight as a visiting documentary production team loads onto the Nightwatch to film a local training sortie and air refueling mission from Offutt Air Force Base, Neb., May 15, 2024. (US Air Force photo)


SNCは、「契約のもとで生産するすべてが空軍のデータになることを保証する」と語った

ーイング747ジャンボジェットを核戦争にも耐えられる軍用機に改造する、シエラネバダ・コーポレーション(SNC)の大仕事は容易ではない。

先月末、空軍のサバイバル・エアボーン・オペレーション・センター(SAOC)契約を獲得したSNCは、同機の「デジタル・ツイン」を作る。

SNCの航空戦略計画・プログラム担当副社長ブレイディ・ホーボルトは、本誌との最近のインタビューで、「当社は、完全なデジタル・プログラムに取り組んでいる。「デジタルモデルを作り上げるだけでなく、同機のデジタルツインにする」。

老朽化した空軍のE-4Bナイトウォッチに代わるSAOCプログラムでは、国防長官を輸送する以外に、移動式核指揮統制前哨基地としても機能するため、「ドゥームズデイ・プレーン(終末の日の飛行機)」と呼ばれている。SNCは大韓航空から747-8を5機取得する契約を結んでおり、作業はまもなく開始される見込みだ。

新造機材でない場合、重要な飛行制御装置やOEMの知的財産であるソフトウェアなどには一切触れないようにしたいため、改造には異なるアプローチを取ることになる。SNCの解決策は、「ボーイングが長い間作り続けてきた本当に素晴らしい航空機と、SAOCプログラムで行われるミッション・システムの改造とを、言うなれば分離するために、非常に軽いタッチを加える」というものだと彼は述べた。

そのプロセスの一環として、コンピュータ化モデルを構築するデジタルスキャンなどのステップとして、機体を広範囲にわたって計測することになる。ハウボルトは、SNCが747の完全な再現を目指しているわけではないことを明らかにしたが、空軍に納品する改造プロセス全体を通じて「デジタル・スレッド」となる、と述べた。

ハウボルトによれば、作業はすべてデイトン国際空港で行われ、SNCは格納庫を開設するために多額の投資を行っており、最終的には他社向けプログラムも格納する予定だという。SNCは、130億ドル規模のSAOCの受注を得たことで、コロラド州デンバーとテキサス州ダラスでも成長を続けている、とハウボルトは語った。

しかし、先週明らかになった同社の "ビッグ6 "のチームメイトを含め、他の企業も関与する: コリンズ・エアロスペースFSIディフェンスGEエアロスペースグリーンポイント・テクノロジーズロッキード・マーチン・スカンク・ワークスロールス・ロイスだ。

「各社の有する知識で当社に深みがない部分を補うため、意図的に防衛産業全体の志を同じくする専門家と提携しました」とハウボルトは述べ、チームメイトと3年以上にわたって関わってきたと付け加えた。

ハウボルトによれば、SNCは現在、「最初の成果物を米国政府に提出」しており、プログラムのベースラインを確立へ向けた作業を開始した。同社は現在、「今後数年にわたって」開発される予備設計と重要設計のレビューをサポートするため人員を増強中で、その後機体の改造に至る。

エイビエーション・ウィーク誌によると、SAOCの最終的な機体数は8機から10機になる可能性があるという。ハウボルトは、最終的な規模はまだ検討中であるが、SNCはエンジニアリングと製造開発段階をサポートするのに必要な航空機を取得しており、必要な機数の機材を購入する準備ができていると述べた。

SNCがSAOCでボーイングに勝利したのは、ボーイングが空軍との間でデータ権利をめぐって意見の相違があったことが一因であると伝えられている。この契約に対するSNCの売り込みについて尋ねられたハウボルトは、同社が「重要なのは航空機の将来的な維持と改造をサポートするためのデータ権だと空軍は非常に早い段階から認識していた」と述べ、「当社は契約のもとで生産するすべてが空軍のデータになると保証した」と語った。

だからといって、SNCが他人の知的財産を手放せるわけではない、とハウボルトは強調する。「とはいえ、この契約で生成される大量のデジタルデータは、このウェポンシステムのライフサイクル全体を通じての維持・修正で、何十年にもわたり米空軍に大きな価値を与えることは間違いない」。

これまでに製造された旅客機の中でも最大級の機材を軍事化するということは、SNCにとって想定外の事態に遭遇する可能性があることを意味し、ハウボルトは予期せぬ場所に隔壁があることを発見した例を挙げている。それでも同氏は、小型ジェット機ではスペース、重量、パワーに関する余裕が少ないため、747の巨大さが相対的な利点になり得ると述べた。

独自の要件を持つ固定価格プログラムである一方、ボーイングがVC-25Bエアフォース・ワンの後継機(アメリカ大統領を輸送するために2機の747-8iを改造する)で大きな苦戦を強いられたことは、SAOCでも同様の作業を想定するSNCにとって、教訓になるかもしれない。ボーイングの苦境について直接コメントすることなく、SNCは早い段階からリスクの軽減対策を講じてきたとハウボルトは述べた。

「どんな大規模なプログラムでも、課題がないわけではありません。困難がないとは言いません。「しかし、当社は準備ができており、SAOCでは他のプロジェクトのように課題が顕在化しないよう、顧客と非常に積極的にコミュニケーションをとっています」。■

SNC plans 'fully digital' development for Air Force’s 'Doomsday plane' replacement - Breaking Defense

By   MICHAEL MARROW

on May 28, 2024 at 1:51 PM


航空母艦に未来はあるのか:空母は巨額投資に値するのか?ホームズ教授が見解を展開。


かつての戦艦と同じように今日の空母は時代遅れの装備となってしまうのか、ホームズ教授が歴史を振り返りながら、航空母艦の未来を展望しましたのでお読みください。The National Interestに掲載されたエッセイです。

 

 



空母の役割は、敵戦艦の偵察から、打撃力と地政学的手段へ進化した。しかし、空母も戦艦と同じように時代遅れになるかもしれない。


-歴史的に海上での支配に不可欠だった空母は、今や対アクセス兵器の大きな脅威に直面しており、将来の戦闘での有効性に疑問が投げかけられている。

-フォード級に代表される原子力空母は、そのコストと脆弱性から戦力の実行可能性が低いと批評家は主張する。

-無人機、電子戦、長距離ミサイルなどの技術革新により空母の能力が向上する可能性があるが、それが証明されるまでは、海軍の最高主力艦としての空母の地位は不確かなままだ。


現代における空母:進化か陳腐化か?


 空母はどこへ行くのか?第一次第二次大戦間期の初期、海軍司令官たちは、空母を戦艦部隊の補助的存在とみなしていた。「艦隊の目」としての空母は、偵察機を発進させ、敵艦隊を遠くから探ったり、司令官が戦術的優位を得るために艦隊を再配置するのを助けたり、敵に向けた砲撃の精度を高めるために砲弾の落下を観測した。

 海軍航空の成熟につれ、空母を戦闘艦として再利用することが可能になった。新しい航空技術と兵器技術によって、フラットトップの航空兵装は主戦力となり、空母はこれまで考えられなかった距離を、わずかな精度で強襲できるようになった。そのため、空母機動部隊は「騎兵隊」モードで行動し、敵海域に進出し敵の海軍基地や兵站を急襲した後、水平線の彼方に素早く退却できるようになった。1942年初頭、米太平洋艦隊の空母がマーシャル諸島に殴り込み、陸軍航空隊の爆撃機を東京爆撃に送り込んだヒット・アンド・ラン作戦は、空母が海の騎兵隊として行動した典型的な例だ。核の時代が来ると、フラットトップは、敵対者に対して一時的に襲撃艦としての役割を再び果たした。

 あるいは、超強力な空母は、「海の支配」のための戦いで先頭に立てる。この場合の空母は主力艦であり、攻撃力と防御力を誇る艦船であり、他国の主力艦を凌駕する。海軍史家アルフレッド・セイヤー・マハンは、ライバル艦隊を打ち負かし海上支配を実現した海上部隊は「威圧的な力」を発揮すると主張した。敵の海上部隊はせいぜい迷惑をかける程度だ。友軍の海上使用を効果的に妨害できない。

 海上支配を確保することは、外洋戦闘部隊の第1の任務である。伝統的にそれは、主力艦が担う仕事である。

 そして、「洋上の飛行場」の任務がある。海上支配をめぐる争いの勝者は、経済的打撃を与えるため敵の海外貿易を停止させたり、港に停泊中の敵艦隊を封鎖したり、敵の守備を手薄にするために新たな遠征戦域を開設したり、あるいは最も重要なこととして、陸上で戦う部隊に後方支援や火力支援を提供したりと、指導者の命じるままに行動することができる。結局のところ、人々は陸地に住んでいるのだから、戦争の勝敗はそこで決まる。空母は、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ペルシャ湾での歴史的な各任務をこなし、米陸軍と海兵隊が地上戦で勝利するのを助けてきた。これは比較的静的な任務であり、航空機が支援を提供できる範囲にあるように、フラットトップが作戦の近辺に留まることを要求する。欠点は、多かれ少なかれ静止していることで、空母の所在が予測可能になり、攻撃にさらされることだ。

 空母が洋上飛行場として機能するためには、部隊の防御が強固でなければならない。

 最後に、「地政学上のチェスの駒」としての機能がある。空母部隊を地図上で動かすことは、意図や政治的決意を伝え、敵になりそうなものを落胆させ、友好国や同盟国、協力国を安心させ、第三者を大義に勧誘するための古くからの方法である。空母は、比類なき外交政策の道具なのだ。

 さて、空母に未来はあるのかと問う空母批評家たちは、たいてい米海軍の原子力スーパーキャリアを指している。最新の原子力空母USSジェラルド・R・フォードには、税金約130億ドルを投入した。これは船体だけの価格だ。飛行機、弾薬、貯蔵品の装備には、さらに多額の費用がかかる。

 フラットトップは、これらのモードのいくつかで良いサービスを提供するかもしれない。外国の海軍や政府が自国の空母艦隊を切望する主な理由である、地政学的なチェスの駒であることは間違いない。人道支援や災害救援から、競合する海路でのプレゼンス確保まで、平時の各種任務をこなす。長距離無人航空機を装備すれば、戦闘中に偵察や指揮統制の任務を遂行することもできる。しかし、陸上から作戦を展開する対空・ミサイル部隊、ミサイルを搭載した潜水艦や近海を徘徊する水上哨戒艇によって補完された海軍を相手に、スーパーキャリアが戦闘能力を維持できるか疑問視すべき十分な根拠がある。

 言い換えれば、最も遭遇する可能性のある作戦・戦術状況では、その見通しは疑わしい。

 ほとんどの重要な戦場は、対接近兵器の届く範囲にある。シーパワーはもはや海軍だけのものではない。海軍、海兵隊、陸軍、空軍、ロケット部隊、さらに沿岸警備隊や海上民兵もある。もし、空母が、そして、主要な水上戦闘艦や水陸両用輸送艦も同様であることを再度指摘しておく価値があるが、敵の海岸線から「兵器交戦区域」内で活動できないと、戦術的・作戦的目標を達成できない可能性が高い。

 空母は宝の持ち腐れなのだ。

 もし空母がその戦闘機能を果たせないのであれば、それが海洋覇権をめぐる一騎打ちであれ、敵の支配する海域への急襲であれ、陸上作戦への航空支援であれ、米国の議員や有権者からの支持は低下していくだろう。マハンと同時代人であり、時折瓜二つになるジュリアン・S・コルベットがその理由を説明している。コルベットは"艦隊の憲法"を見直し、海軍を3機能に大別した。ひとつは、大海戦で他の大艦隊と決闘する屈強な戦艦である。装甲ドレッドノートは、コルベットやマハンの時代の主力艦であった。

 第二に、外洋海軍は「巡洋艦」部隊を運用するとコルベットは断言する。巡洋艦は小型かつ軽武装の軍艦であり、主力艦と対照的に安価である。巡洋艦は大量に建造できる。巡洋艦は主力艦と違い、重要な海路を取り締まるために散らばり、敵対的な商船や海軍の往来を阻止する一方で、友好的な通商を保護する。そして、コルベットは、海上支配を行使することこそが海軍の存在意義であると付け加えている。艦隊決戦は、本当に重要なことの前哨戦にすぎない。

要するに、戦闘艦隊は、海軍戦略の真の実行者である巡洋艦部隊の守護者にすぎない。重要な海域を支配しているのだ。

 そして3つ目は、コルベットが "戦隊"と呼ぶ、沿岸海域で管理業務を行うさらに小型の短距離艦艇である。コルベットが生きていた時代には、特に海雷や魚雷といった当時の最新兵器が、手の届くところに来た敵の戦闘艦隊に対する打撃力を与えていた。潜水艦や水上哨戒機が戦艦や巡洋艦に不利な状況を与えることもあった。戦隊と、他方の巡洋艦や主力艦隊との間には、一種の共生関係がある。戦隊は沿岸海域で扇状に展開し、陸上火力と連携して沿岸を守る。効果的な戦隊戦は、公海を移動する主力戦力を解放し、海上支配を獲得し行使する助けとなる。

 ここに問題がある。アメリカが空母艦隊に投資するのは、空母を米海軍の最高級の戦闘艦であり、惜しみない出費に値すると見なしているからだ。中国やロシアのような同列の海軍が争う水路を捜索するなど、海戦においてフラットトップが重要な役割を果たすことを期待しているのだ。台湾をめぐる戦いの渦中でアクセス拒否部隊が、米空母部隊を遠ざければ、一般市民や選挙で選ばれた議員は、途方もない値段に見合う価値が空母にあるのかどうか、正当な疑問を抱くだろう。

 その出費に尻込みするかもしれない。

 事実上、技術、戦術、作戦の進歩は、原子力空母を主力艦の地位から降格させている。乱暴に言えば、空母は今や、コルベットが書いた巡洋艦クラスに属するのかもしれない。コストと投資対効果のミスマッチは大変なものだ。偵察船、指揮統制船、ショー・ザ・フラッグが任務の艦には、ROIはないだろう。

 主戦闘に参加しない補助艦艇に誰が130億ドルも払うだろうか?

 空母を苦しめる状況への打開策はあるだろうか?可能性はある。米国海軍は厄介な瞬間に立たされているような気がする。新技術はやがて実を結び始めるかもしれないが、それがいつ実現するかはまだ不透明だ。選択も重要だ。海軍首脳は、目的を達成するために適切なシステムを選択する必要があり、また、海上で違いを生み出すのに十分な量の新技術に資金を提供するよう議会を説得しなければならない。艦艇乗組員は、新しいハードウェアとソフトウェアを戦術的・作戦的に有利に使うことを学ぶ必要がある。例えば、指向性エナジー防衛、電子戦、空母航空団の到達範囲を広げる効果がある無人タンカー、長距離でより高速な対艦ミサイルが飛躍的な進歩を遂げている。このような技術革新は、空母の防御を強化すると同時に、空母をより頑丈で、より命中率の高い攻撃プラットフォームとする可能性がある。

 空母はこれまでにも破滅の予測を覆してきた。

 それでも、変動要因は山ほどある。もし、画期的な防御・攻撃技術が実現すれば、空母は主力艦、強襲揚陸艦、洋上飛行場としての機能を再開できるだろう。そうでないと、空母の未来は暗い。■


About the Author: Dr. James Holmes, U.S. Naval War College 

Dr. James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Distinguished Fellow at the Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare, Marine Corps University. The views voiced here are his alone.


The Future of Aircraft Carriers: Are They Still Worth the Investment? | The National Interest

by James Holmes

May 31, 2024  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryU.S. NavyNavyAircraft CarrierDefenseChinaRussia


2024年6月1日土曜日

すでに引き渡しが始まったとする国防総省肝いりの大量無人装備導入計画レプリケーターとは一体何なのか


大量の無人装備で中国軍に対抗するレプリケーター構想がすでに動き出しているとペンタゴンが発表していますが、全くの新規装備ではなく、既存のシステムが納品されたことを指しているようです。よくわかりmせん。Breaking Defense記事からご紹介しましょう。

最初のレプリケーター・システムが引き渡しずみと国防副長官が発表


プリケーター・システムの戦闘部隊への引き渡しが今月初めから始まった。これは、戦闘部隊中心のイノベーションが可能であるだけでなく、実際に成果を生み出していることを示している」と国防副長官は声明で述べた。


キャスリーン・ヒックス国防副長官Deputy Secretary of Defense Kathleen Hicksが本日発表したところによると、国防総省のレプリケーター・イニシアチブの下で取得された無人システムは、「今月初め」に戦闘部隊に引き渡された。▼ただし、ヒックス副長官の声明では、どのようなシステムが、何台、どこに配備されたのかについての詳細は明らかにされていない。▼納入は、「戦闘部隊中心の革新が可能であるだけでなく、実際に成果を上げていることを示している」とヒックスは語った。▼「システムを納入している間にも、エンド・ツー・エンドの能力開発プロセスは続いている。民間企業とともに、また議会の支援を受けて、レプリケーター・イニシアチブは、より迅速かつ大規模に能力を提供すると同時に、リスクを軽減し、軍全体のシステム上の障壁を緩和している」。▼どのようなシステムがどこに配備されたのか、詳細を尋ねられたエリック・パホン報道官は、「現時点では、保安上の理由から、具体的なスケジュールやシステム、納入場所についてはあかせません。議会には進捗状況について十分な情報を提供し続ける」と述べた。


リプリケーターがなぜすでに契約済みのシステムを入手できたのか、その答えとなりうるのは、問題のシステムがエアロビロンメントのスイッチブレード600という滞空弾であり、リプリケーターのもとで現在までに調達が確認されている唯一のシステムである場合だ。▼注目すべきは、陸軍はすでに昨年10月にスイッチブレード600の調達を発注しており、リプリケーター・チームが単にスピードアップのためにそれに便乗した可能性があることだ。▼エアロビロンメントによると、スイッチブレード600の航続距離はおよそ25マイル、駐機時間は40分で、インド太平洋の悪名高い「距離の暴君」には理想的ではないが、中国軍相手のアイランド・ホッピング・シナリオでは役に立つ可能性がある。▼ヒックスは2023年8月にリプリケータ構想を発表した際、2年以内に何千もの「攻撃可能な自律システム」(無人の水上艦船やうろつく無人偵察機など)を製造することで、中国の軍事的質量に対抗する手段のひとつになると宣伝した。▼しかし、同省が2024年度に約5億ドルの資金を確保し、25年度にも同額の資金を要求しているにもかかわらず、具体的な内容はほとんど伏せられたままだ。■


First Replicator systems delivered to users, Hicks says - Breaking Defense

By   AARON MEHTA

on May 23, 2024 at 3:25 PM