2010年7月2日金曜日

各国別の要因に振り回される戦闘機商戦

Further Twists Emerge In Fighter Competitions 

aviationweek.com Jun 30, 2010


アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッパ各国の次期 戦闘機選定では政治敵理由や選定手続き上で変動が続いているためアメリカとヨーロッパの戦闘機メーカーは対応を迫られている。
  1. その例が日本。ボーイング、ロッキード・マー ティン、ユーロファイター各社はF-4EJ 後継機調達の提案公募発表を待っている。しかし、政権交代につながった政治混乱、、普天間基地問題等に関心が集中しており、次期戦闘機の選択は来年あるい はもっと後にならないと開始されない可能性があるとボーイング防衛部門の国際ビジネス開発担当副社長マーク・クロネンバーグは見ている。
  2. 来年は韓国の戦闘機調達も開始になる。ボーイン グの見方はF-15サイレントイーグルが最有力候補になる可能性ありとしている。ユーロファイター共同開発諸国も韓国では40機から60機の需要を見込ん でいる。であればユーロファイターにも十分勝算ありと見る。
  3. ブラジルのF-X2選定は混迷が続いており、 ボーイングF/A-18E/F、サーブ・グリペン、ダッソー・ラファールが競り合っている。ブラジルは国政選挙を10月に控えており、それまではアクショ ンは考えにくいと欧州の産業筋は見ている。
  4. ただし、ブラジル空軍の評価作業は完了してお り、国防省は選挙前に選定結果を公表する可能性があるという。
  5. 同国産業界には選挙後に新政権発足すれば一度決 定した選定が仕切りなおしになるとの観測があるがそれではあまりにも高価な選択になると懐疑的な見方もある。   
  6. スイスの戦闘機選択でも変化が出てきた。同国政 府は昨年に機種選択は2010年に先送りにする決定をしたが、ここにいたり選定そのものが前に進まないのではという疑問が出ている。スイス国防省は予算を 他の優先事項に支出すると公言しているからだ。
  7. スイス政府が機種選択に動くのは9月だろうと産 業界は見ている。その際に、現有のF-5後継に加えてF/A-18 の一部後継を求める内容に変更となる可能性はある。
  8. ボーイングミリタリーエアクラフト社長クリス・ チャドウィックは「スイスは国民投票を実施するのではないかと思います。その後要求内容は改定され当社にも再度参加する機会が生まれるでしょう」と語る。                  
  9. ロッキード・マーティンF-35 共用打撃戦闘機の導入を希望する各国には同機のコスト上昇と日程の遅れで不確実性が増大している。その反面、ボーイングは自社製品をF-35 導入が固まっていた各国に売り込む可能性があると見る。
  10. 顧客の実情に応じF/A-18E/F あるいはF-15 の使い分けて経済性とリスク低減策を提案したいと同社は見ている。
  11. その反面、中東は暑い商戦の舞台になっている。 ダッソーはアラブ首長国連邦での商談成立をめざし、オマーンでのユーロファイター・タイフーン採用交渉も進展している。ボーイングはカタールとクウェート に F/A-18E/F採用を働きかけているがライバルはここでもタイフーンになりそうだ。■



.

2010年6月30日水曜日

スホーイT-50飛行テスト状況をプーチン首相が視察

Sukhoi T-50 Prototype Demonstrated For Putin

                    aviationweek.com Jun 29, 2010

ロシア初の「低視認性」航空機をウラジミール・ プーチン首相が視察した。モスクワ郊外のジューコフスキー飛行テストセンターでスホーイの試作機T-50のコックピットまで同首相は乗り込んだ。
  1. T-50はロシア空軍のPAK FA開発計画に より開発中の多用途戦闘機でSu-27フランカーの後継機種となる。1月29日初飛行以来、米側関係者によると同機のこれまでの飛行回数は16回。初期段 階の開発は2012年に完了の予定。
  2. スホーイの予測では全世界で今後40年の市場規 模は1,000機程度。プーチン首相によると同機の価格はF-22の三分の一。また、米議会により海外販売が禁止されたF-22と違ってスホーイは最初か ら輸出を念頭に設計されている。
  3. インドは同機開発にすでに「参加」しており、複 座型に関心を示している。
  4. T-50試作一号機はレーダーを搭載していないと推測されるが、機種と後尾に合計2基の固定アク ティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載し、前後各120度の探査範囲を確保する設計だ。
  5. 搭載エンジンはNPOサターン117S二基で、 これはフランカー各型で採用されたAL-31Fエンジンを改良したものだ。■

同機の行方には注視が必要です。いわばチープな ステルス機として今後多くの新興国が採用すれば、西側にとって厄介な存在になりかねませんし、F-22/F-35 の配備数は少数にとどまり、数では優位性が確保できる可能性が少ないためです。

2010年6月29日火曜日

次期哨戒機P-8A開発の近況

Second P-8A Moves To Pax River Testing Site

aviationweek.com Jun 23, 2010
  1. ボーイングは次期洋上哨戒機P-8Aの二号機を パタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)に移動させた。また、三号機の完成もまもなくだ。飛行テストはこの三機で実施する。
  2. 二号機はT-2と呼称され基礎的なミッションシ ステムが搭載されている。初飛行は6月8日に実施されたばかり。パタクセントリバー基地への移動は6月19日に完了した。
  3. 三号機T-3の飛行テスト開始は本年第三四半期 の予定。兵装の認証を得ることが大きな目的だ。P-8Aは魚雷に加えボーイング製のスタンドオフ陸上攻撃ミサイルを搭載する。
  4. ボーイングは同機開発の進捗を良好と見ており、 2013年の初期作戦能力(IOC)獲得目標は達成可能としている。IOCまでに合計6機の購入が必要で、T-4 から6の三機は乗員訓練に使用される。
  5. その一方で海軍はP-8A の性能向上型(Increment 2)の2016年配備をめざし、企画案を完成させつつある。改良の中心は潜水艦探知に向けた機体の音響特性の向上だ。輸出についてはオーストラリアがイン ドにつぐ第二の導入国になる可能性があり、現在両国間で協議中。その次の改良(Increment 3)は2019年となる。
  6. 米国とインドは来月に最終設計審査を予定してい る。インド向け改良型の生産開始は2012年に予定され、米国向けの機体と一部が異なっており、磁気異常探知機、洋上捜査レーダーの追加装備で360度探 知が可能、および空中捜索能力の追加が主な点。■

2010年6月27日日曜日

F/A-18E/Fの調達は当分継続される

 Boeing Eyes F/A-18E/F Long-Term Production
aviationweek.com Jun 24, 2010                                                   
  1. ボーイングはF/A-18E/F スーパーホーネットの生産ラインを2020年まで稼動させる見込み。
  2. を4年間で124機調達する現行計画だが、変更 はありうると同社は見ている。複数年度調達方法で年間5億ドルが節約できるという。
  3. 平行してボーイングは米海軍または海外購入者向 けの将来の性能向上需要に向けた技術の開発を進めている。海外市場での性能向上型機種へ関心は高く、例としてインド空軍はGEの改良型F414エンジンで 20%の推力増加画可能となることに関心を示している。
  4. 一方、米海軍の目下の関心は追加兵装システムの 統合、センサー統合能力の向上および追加電子装備にある。
  5. これに対応してボーイングは新型9x11インチ のディスプレー(三次元表示にも対応)の導入改修を進めているが、実証飛行を来年に開始して顧客の関心度を探り、求められる性能を確認する予定だ。
  6. その結果で予算がつけば性能向上型は4年で実用 化される。
  7. 新型ディスプレーに対応した新設計のHUDヘッドアップディスプレーも導入されるが、パイロットにはセンサーを利用して各種情報を 統合する余裕が生まれるはずだ。
  8. なお、予備用の3.5x3.5インチがあわせて 準備される。
  9. そのほかの改善点としては赤外線探知追跡センサーが外部燃料タンクの前面に2016年までに取り付けられる。
  10. そのほか海軍が導入を予定しているのが、新型 IFF(敵味方識別装置)、データリンク能力向上、目標補足情報の共有能力で、電子攻撃の脅威に対抗する手段となる。これ以外に戦闘管理能力の向上、電子 戦統制能力、自機防衛装置として開発が遅れている360度対応ミサイル接近警告機能がある。ただ、後者についてはレーダーまたは赤外線技術のどちらを採用 するかが未定だ。■

2010年6月24日木曜日

空軍のABL開発状況、海軍もレーザー兵器実験へ

Airborne Laser Demonstrating Increased Range
aviationweek.com Jun 22, 2010    

  1. ボーイング747-400を改造した空中レー ザー(ABL)テスト機は高出力化学レーザーの発射射程が従来の3倍から4倍に延びていることがボーイングにより判明した。
  2. 同機は毎月2回の飛行をしており、そのうち一回 は実際にレーザーを発射し、実際の標的を使用することもあると、ボーイング・ネットワーク・スペースシステムズ社長のロジャー・クローンが明らかにした。 同機のレーザー照射撃墜実験は2月に始めて成功しており、引き続き今年中の実施が予定されている。現在の重点はレーザーシステムの性能向上にあり、単に射 程距離だけでなく、照射角度の改善も視野に入っている。
  3. ABLについては有効射程が 短すぎ、747をあらかじめ脅威の所在地近くに配備する必要があるとしてペンタゴンから批判があった。
  4. テスト機の予算手当ては来年も継続される。ミサ イル防衛庁(MDA)は数週間のうちに今後のテスト内容を決める。
  5. クローン社長によるとボーイングはMDAとテス ト機に固体レーザー装置の追加搭載の可能性を協議している。747機内には既存の化学レーザー装置に追加搭載するスペースは十分ある。
  6. 一方、海軍は自由電子レーザー開発でレイセオン とボーイングのいずれかを採択する予定を来月に控える。海軍の計画では採択後15ヶ月で設計審査を完了し、次の段階は100キロワット級のレーザー実証実 験をしたあと、第三段階で海上公試に移る。■
コメント ミサイル防衛では技術の進展が早いのと、技術手段が多様になったほうが選択の幅も広がることもあり、レーザー開発状況には日本も注視しておくべきでしょうね

2010年6月19日土曜日

次期大統領ヘリ選定は仕切りなおしに

Presidential Helo Competition Complicated
aviationweek.com Jun 14, 2010
  1. 大統領専用ヘリコプター調達が仕切りなおしとな る中、複雑なメーカー間の関係はより大きな防衛産業メーカーの動向をそのまま反映する形になってきた。
  2. ボーイングは6月8日にアグスタウェストランド よりAW101ヘリコプターの知的財産、技術データおよび製造権を完全に買い取るとの発表をし、今後は同機は完全にボーイングの製品となると付け加えた。
  3. アグスタウェストランドはこの取引で相当の額の 収入を得ることになる。同社にとっては大西洋の両岸でビジネスを展開する重荷がなくなることで安堵できるが、今後はボーイングがこのリスクを負うことにな る。
  4. その逆のことがボーイングにあてはまる。ボーイングはCH-47チヌークの知的財産権をアグスタウェストランドに販売し、同社がイ タリア向けの製造販売を行う。その他世界各地では両者はAW-101とCH-47で競合関係にある。なお、アグスタウェストランドはベルテクストロンの BA609ティルトローター開発で小規模の出資をしていることから、ここでもボーイングとのつながりがある。
  5. 次期大統領専用ヘリコプターVXX計画に話を戻 すと、ボーイングはベルヘリコプターと共同でV-22オスプレーを提案している。
  6. 一方、アグスタウェストランドが以前に提携して いたロッキード・マーティンは提携を解消し、新たにシコルスキーと組みS-92を候補機として売り込む構えだ。
  7. シコルスキーもボーイングも生産分担の話には入 らないだろう。ボーイングによるとAW101の生産場所は未定とのこと。
  8. 「国産品採用」の声がワシントンで高まってお り、今後の企業連合の決定にも影響を及ぼすだろう。アグスタウェストランドが第一回目の入札で苦労したのが純粋な米国企業とみなされなかった点だ。そこで AW101をボーイングに引き渡せば、その点はクリアできる。なぜかボーイングも「アメリカ製品採用」キャンペーンをしているなか、逆にボーイング101 がどれだけアメリカ製品と呼べるのかを証明する立場になっている。ヨーロッパ製の部品もあるためだ。
  9. 一方海軍も代替選択検討仕様(AOA)の作成に 苦労しており、VXX落札の行方が大きく変わることもありうる。最大で20機程度を調達する同計画の結末には予算総額数十億ドルがかかっており結論は簡単 には出ないと見られる。VH-71の7機がパタクセントリバー海軍航空基地で保管されているが、ボーイング101が採用されるとテスト用に使用される可能 性がある。ボーイングからすると20億ドルを費やして失敗に終わった一回目の機材を使うのはいかがなものかと声を上げそうなものだが、同社がいまや同機の 権利を有しており、小規模の改修でVXXの仕様書に対応が可能だ。AOAの内容が未定の現在では同社は考えられる対応の準備をしていると見られる。
  10. AOAでどのような調達方法が決まるかにせよ、 現政権がヘリ調達を管理できる規模に分解しようとしているのは明らかだ。
  11. 次期大統領専用ヘリが想定するのは一機種から二 形式を作ることで、ひとつは「完全装備の大統領用」タイプでもうひとつは「軽量、機能重視のC4I(指揮、管制、通信、コンピュータ、情報)機能重視」タ イプでVIP仕様にも転用できるものだ。あるいは異なる二機種の採用になるかもしれない。
  12. この点で海軍は極度に慎重な姿勢で、AOA完成 まではいかなる情報の提供も拒否している。現時点では各仕様の費用試算は時期尚早と海軍は6月8日に声明を出している。
  13. この姿勢の裏には現実を無視したホワイトハウス 発の要求事項に振り回された挙句海軍が2007年に批判の対象となったことがあるのだろう。

2010年6月17日木曜日

米海軍新世代空母に搭載される新技術


Carrier Launch System Passes Initial Tests
aviationweek.com June 4, 2010
  1. 全電動カタパルトのテストがレイクハースト海軍航空基地(ニュー ジャージー州)で成功したことで、新型空母USSジェラルド・フォード(CVN-78)の建造関係者は安堵しているはずだ。海軍は伝統的な蒸気カタパルト に決別する賭けをしている。
  2. 電磁誘導式航空機射出システム(Emals)の開発が遅れていたことで同空母の建造には黄色信号がついてい た。蒸気式カタパルトに復帰するには遅すぎた。フォード級空母は発電配電システムがニミッツ級より強力でEmals搭載を念頭においている。このため艦内 では暖房、厨房、ポンプはじめ延長10キロメートルの蒸気配管を全廃している。
  3. 予算115億ドルの同空母の就役は予算上の理由で二回に わたり遅れている。そこで予定通りにEmalsが進展してきたことと建造日程が合致してきたのだが海軍は同システムの開発を注視している。
  4. レ イクハーストのEmalsは陸上配備で荷重なしの高速度テストを4月に開始しており、バラストを乗せた状態で50ノットから180ノットに加速していく。 主契約事業者はジェネラルアトミックスで、試作品が同社工場で加速試験を受けており、6,800回のライフサイクルに耐えれるかを点検中だ。これまでのと ころ航空機、兵装、脱出シートに深刻なサージ電流による電磁干渉の兆候は見つかっていない。レイクハーストでは最初の航空機発進テストを年末に実施予定 だ。
  5. 2011年5月にフォード向けのEmals部品の第一陣が造船所に到着する予定。特に関心が集まるのは発電装置合計12基で、各 80千ポンドの重量ではずみ車でエネルギーを保存、提供する設計である。この製作日程に余裕がない。
  6. Emalsは蒸気カタパルトより柔 軟性が高い運用が可能だ。F-35C共用打撃戦闘機にはF/A-18E/Fよりも大きな発進エネルギーが必要で、EmalsはF-35Cを完全装備のまま 発進させることができる。
  7. 逆にEmalsの設定を蒸気カタパルトよりも低くすることも可能で無人機のような軽量機の発進にも対応でき る。
  8. フォード級空母には新型の高性能着艦装置もあり、これもジェネラルアトミックス社製品であり、従来の油圧式装置に置き換わる。この 装置はニミッツ級にも搭載可能だ。
  9. フォード級空母から共用精密誘導着艦システム(Jpals)も導入する。フォード級二番艦CVN- 79には自動着艦機能も搭載される。
  10. Jpalsの導入が急がれるのは現有のレーダーが2020年以降はサポートをうけられなくなるた め。またレーダー断面積が小さいF-35Cの運用にも対応できる。Jpals搭載はF-35Cの部隊の配備と同時期になる。
  11. Jpals の第一段階性能は高度200フィートまでの降下を視程0.5マイルで実現することだが、自動着陸には十分な精度で無人機ノースロップ・グラマンX-47B の運用で実証が進んでいる。
  12. その精度の鍵となるのが艦と連動したGPSで受信機を二期利用し、艦の位置を正確に測定し、速度、縦揺れ、 横揺れ、進路を把握する。この位置差を利用した技術でJpalsは航空機の正確な位置情報を提供する。データリンクにより自動着艦誘導を送信するものだ。


2010年6月5日土曜日

政治の混乱に左右されてはいけない日本の防衛体制

Japanese Defenses Battered By Political Storm
aviationweek.com June 4, 2010

  1. 日本は総理大臣をひとり失ったかもしれないが、代わりに政治の劇場効果で高い評価を受けることができる。
  2. 「誰 かが面子を失う必要があったのです」と日本の防衛問題を専門とする米国アナリストは見る。「鳩山首相は世論と反対の方向に進む必要に迫られ、米国と同じ方 向に進んだことで結局辞任を迫られたのです」
  3. 鳩山首相はミサイル防衛能力の増強策としてF-22および長距離ミサイルを搭載した性能向 上型のF-15の追加配備が沖縄に必要と理解するに至った。
  4. 「あわせて同首相が海兵隊の駐留を認めたのは朝鮮半島及び中国の問題に加 え、日本単独では必要な水準の防衛ができないための決断です」と米空軍高官は語る。
  5. 今や鳩山氏は過去のものとなり、民主党は新 しい指導者により強力なリーダーシップを模索しているが、米国の専門家は鳩山辞任が長期的視点では両国関係の改善につながると見ている。
  6. 「自 民党が政権を回復するとみる向きはありません。なぜなら自民党が未来を志向しているとは見られていないからです」と日本在住のアナリストは語る。「日米対 話は実り多いものになるでしょう。そして同盟関係は元の姿に戻ります。これで日本政府の思考停止状態はおわって防衛問題に明確な思考が出てくることを期待 したいですね」
  7. 「CXに注目すべきです」と上記アナリストは続ける。日本が開発中の長距離軍用輸送機については「今まで動きがありませ んが日本政府が同機の開発に力を入れる可能性があります」
  8. 日本の防衛支出では2005年から09年にかけて巡航ミサイルおよび短距離弾 道ミサイルに対する防衛能力の向上も目標のひとつであった。ただし、昨年の衆議院選挙後にこの方向の努力が停滞している。
  9. 「防 衛力を縮小する圧力がありますが、日本はミサイル防衛に多大の関心を持ち、政治的に利用することができるでしょう」と上記アナリストは見る。「ペイトリ オットミサイルの性能向上が必要なのは日本には簡単に理解できるはずです。戦闘機に長距離ミサイルを搭載してパトロールさせることは理解しにくいでしょう ね」そこで、考えられるのは高度防衛能力の獲得方法として米国製センサーおよび武器装備品を日本国内で共同生産させる選択だ。
  10. 航空自衛 隊はF-15Jの長距離レーダー性能改修を120機を対象に行う方針だ。改修でレーダー有効距離は50マイルから150マイルに拡大する。また、敵の短距 離弾道ミサイルを発射直後の加速段階で迎撃する空中発射長距離ミサイルの取得もめざしている。アルゴリズムの改修でこのミサイルで降下段階の敵ミサイルの 迎撃も可能となる見込みだ。この応用として低高度周回衛星の迎撃にも道が拓ける。また、海上自衛隊のイージス・ミサイル防衛の補完にもつながるはずだ。■

● コメント 興奮しやすい日本のマスコミですが、冷徹な安全保障への視点が不足しがちです。その裏には日常から安全保障から見た世界情勢への視点、進歩 する防衛装備の技術動向、力による解決をめざす日本以外の諸国の思考方法に親しんでおくことなのですが、みずから視点を閉ざしていては自分に都合のよい ニュースしか咀嚼できなくなりますね。横須賀の空母ジョージ・ワシントン視察に招かれて、「あの大きな船はなんという名前ですか」と聞いてホストの米海軍を驚かせた記者がいたということ です。

X-51Aスクラムジェット初飛行に成功

X-51A Team Eyes Results Of Scramjet Flight
aviationweek.com Jun 1, 2010

  1. X-51Aウェイブライダーが空気取り入れ式スクラムジェットエンジンとしては最長時間の飛 行を達成した。同機の開発チームは極超音速機開発の継続予算の承認を期待している。
  2. X-51Aは5月26日太平洋上空でスクラム ジェットの点火に成功し加速に入った。ただしエンジンの燃焼は200秒にとどまり、計画上の300秒には届かなかった。マッハ5に達したが、計画ではマッ ハ6を目指していた。その後減速を開始すると遠隔測定データが消え、飛行は終了し、機体は破壊された。以上は米空軍研究所(AFRL)のチャールス・ブリ ンク開発主査による発表。
  3. 同主査によると今回の飛行実験は95%成功したという。加速が遅れ、燃焼時間が短くなった原因はまだ不明。 実験機はまだ3機残っているが、次回の飛行実験の日程は未定。今回の飛行実験で予算を大部分使ってしまったのがその理由だという。今回の成功結果で予算が 計上され、来年の飛行再開に関係者は期待を寄せている。
  4. 高度50千フィート速度マッハ0.8で母機B-52から投下されて飛行が開始 された。機体はきれいに分離されブースターに予定通り点火成功し、マッハ4.8に加速したところで、巡航部分が分離され、予定通りのロール飛行を実施し た。
  5. マッハ4.7に到達した時点でエチレンがスクラムジェットを点火したあと、JP-7炭化水素燃料に切り替わった。X- 51Aはその後加速を続けたが、予定よりもその伸びは遅く、当初想定の0.22gではなく0.15gにとどまった。
  6. マッ ハ5近辺で減速を開始。遠隔測定データが消えた段階で、実験スタッフは機体を破壊して飛行終了することを決定。
  7. 今 回の飛行は炭化水素燃料による初のスクラムジェット運転となった。燃料は実際はエンジンの冷却に使用されて、超音速飛行で使われたのはエンジンの熱そのも のである。今回の飛行で実証された熱均衡状態によりエンジンは燃料がある限り作動を続けることが実証された。
  8. NASA のスクラムジェット機X-43Aはマッハ9.7を2004年に達成しているが、同機は水素燃料で銅製ヒートシンク付エンジンはわずか10秒作動させて溶解 している。
  9. X-51Aのエンジンメーカー、プラットアンドホイットニー・ロケットダインはエンジンの作動結果は 成功と見ている。エチレン点火からJP-7への切り替え、その後JP-7だけを燃料して200秒の連続運転ができたからだ。機体が破壊された段階で燃料は 残量があった。
  10. 飛行制御プログラムも完璧な作動を示したが、機体は全方位で不安定な状態で、今後の解決が期待さ れる。可能性としてはアクチュエーターの不良か、機体表面のシール、あるいは低マッハ速度でのドラッグの計算エラーがある。
  11. 次 の段階に移れるかは予算確保次第だ。今回の初回飛行がおおむね成功したので二号機のテストも道が開けた。ボーイングがソフトウェア改修を提案しており、位 置情報による誘導飛行の実証を目指している。成功すると、この技術を長距離攻撃ミサイルに応用することが可能となる。■

2010年5月27日木曜日

沖縄の基地問題は解決しているとアメリカはとっくに見ています

Okinawa Decision Has Missile Defense Element
aviationweek.com May 25, 2010

  1. 選挙公約を撤回した鳩山首相は結果として巡航ミサイルおよび戦術弾道ミサイルに対する防衛体制を強化 したことになる。
  2. Su-27MKK攻撃戦闘機部隊を整備した中国は巡航ミサ イル発射能力は日本にとって脅威である。北朝鮮の核搭載弾道ミサイルはずっと大きな脅威であり、同国政府の予測不可能な行動と武力行使の意思がその背景に ある。韓国艦艇の撃沈もこの一端だ。
  3. 沖縄に配備されている米空軍のF-15Cが搭載しているのは旧式のAESA(アクティブ電子スキャンアレイ) レーダーだ。レイセオン製の新型AESAで はこれまでの探知距離50マイルが150マイルになり、小型目標の捕捉も可能となりAIM-120C-6あるいはAIM-120D発達型中距離空対空ミサ イル(Amraam) で対応が可能だ。
  4. 米側の防衛関係者が本誌に語ったところではAESA搭載の戦闘機部隊を今後拡充し沖縄の対ミサイル防衛力を拡充する方針で あるという。沖縄配備のF-15部隊はアラスカで巡航ミサイル迎撃訓練を実施ししている。
  5. 最新動向として防空任務を担う州軍航空隊とレイ セオンとの間で空中発射新型ミサイル「ネットワーク中心空中発射防衛要素」(NCADE)を対弾道ミサイル防衛に 使用する検討がなされている。Aim-120Amraamミサイルの筐体を利用し有効 射程距離を拡大して弾道ミサイル防衛に用いる計画だ。
  6. 州軍はゴールデンイーグルF-15C部隊の性能向上を4月から順次開始している。
  7. ま たF-22にもAESAが搭載 されており現有220機のF-15EにもAPG-82(V)4 レーダーが、また州軍のF-15にはAPG-63(V)3 レーダーが装備されている。
  8. 米側高官は公には発言していないが、鳩山首相が前言を撤回して沖縄の米軍配備を認めたことは同首相が米軍の 持つ抑止力効果を正しく認識している表れと見ている。■
●日本国内というか連立内閣の騒ぎとは別に国際政治ははるかに冷酷であり現実的です。いったい安全保障とは何かという疑問に結局今の内閣は答えを出せずに終わる気がするのですが。

2010年5月9日日曜日

レーザー光線でUAVに電力を提供する技術

Laser Power Beaming Aimed At UAVs
aviationweek.com May 8, 2010

  1. 宇 宙エレベータ向けに動力の光線供給技術を開発する会社が同じ技術を無人機に応用できないか検討している。
  2. レーザーモーティブ LaserMotive は 動力の光線供給で電動力UAVの飛行時間が延長できると見ている。
  3. シアトルに本社を構える同社はUAVメーカー数社と協議をしており、 実際の試作機は18ヶ月で完成するという。
  4. 実証機は小型無人ヘリコプターで同社がNASAから90万ドルの賞金を得た宇宙エレベーター 競技大会の技術を応用するという。競技では長さ1キロメートルのケーブルを登るロボットに動力を供給するのに成功している。
  5. システムの 中核は赤外線に近い波長のレーザーダイオードから動力をビーム指向装置に提供し飛行中のUAVを追跡し、機体の太陽電池にビームを照射するもの。レーザー 光線は電力に変換され、バッテリー充電に使われ飛行時間が延長される。
  6. 同社は次の用途を想定している。高高度で静止待機する飛行船への レーザー動力供給で無限に近い飛行が可能だ。また、航空機の場合はビーム施設に戻り動力を補給することで長時間飛行が可能だ。これをUAVに応用すれば、 前線をパトロールして動力補給に戻る運用が考えられる。ビーム施設そのものにも移動性を与えることができる。
  7. UAV用の直流1kWの動 力供給にはビームは2kWとなり、レーザーダイオードに4kWのインプットが必要なのが現在の技術水準だ。これが小型車両であれば100から200ワット あれば十分だという。ただし、キロワットレベルの送電にはビームの安全措置が特に必要だ。 
  8. 同社は他の応用として地上配備センサーや遠 隔地の通信中継施設向けの動力供給を想定している。また災害救助にも応用できるという。■
すごい。これが実用化されれば電気飛行機という形態が普通の概念になりますね。

ご参考 同社のウェブサイト  http://lasermotive.com/

2010年5月3日月曜日

第六世代戦闘機の構想を練るACC戦闘航空軍団

ACC Looks At Possibilities For Future Weapons
aviationweekcom Apr 30, 2010
  1. 第五世代戦闘機の性能向上計画、ならびに新しく登場する第六世代戦闘機の初期企画 内容から見ると、広範囲の光学・電子監視能力、非爆発性兵器の搭載ならびに敵のネットワーク解析能力が検討されているようである。
  2. その 基礎となるのは通信能力であり、敵のネットワーク攻撃にも耐えるものとなろう。
  3. 第五世代でステルス性と超音速巡航を実現した。これに続 く第六世代機では有人飛行はオプションの一つとなりステルス性はあるものの超音速飛行は前提としない機体設計となり、高性能の電子戦闘装備とISR能力を 実現することになりそうだ。
  4. 「第六世代戦闘機企画室を創設し、盛り込むべき性能を確認していきます」(トム・アンダーソン空軍少将 戦 闘航空軍団(ACC))「生存性を高めるためにスピード、ステルス性あるいは両方を組み合わせて実現すべきか。価格も重要な要素で一機5億ドルでは多数の配備は不 可能ですね。今年から開始すれば2030年には第六世代戦闘機が実用化できるでしょう。有人操縦はオプションとなるでしょう。」
  5. 新型機 は通信リンクされて所在は相互に認識され、敵の脅威の所在はどの時点でも共有できる。この高度なリンクは共用空中階層ネットワーク Joint Aerial Layered Network (JLAN)と呼ばれ、戦闘地帯の宇宙、上空、地上をそれぞれ階層として把握できる。低迎撃・発見可能性 low probability of intercept or detection [LPI/LPD]の第一波の中心となり、情報を友軍に伝え継続攻撃部隊やステルス性のない電子妨害機を支援する。
  6. このため装備品も革 新的な設計となる。例としてLPI信号をリンク16で波形に変換して友軍に広く伝える装置がある。この伝達はステルス性を犠牲にせず、デジタル信号として 瞬時に情報を利用することが可能となる。
  7. 電子攻撃、ネットワーク侵入、高出力マイクロウェーブ(HPM)パルスを発射する兵器も開発さ れる。
  8. 「現在開発中なのは対電子装置HPM発達型ミサイル counter-electronics HPM ­advanced missile projectでおそらく三年以内に実証計画から移行できるでしょう」(デイブ・ゴールドファイン准将 戦闘航空軍団航空宇宙作戦部長)
  9. ACC関係者はHPMおよびレーザー兵器の研究が最終的には重要と考える。これまで20年間にわたり研究機関及び民間企業がそれぞれの装置の小型化と 兵器への応用に取り組んでいるが、今後一層の進展が期待される。例えば海兵隊はトラック搭載の基地防衛用HPMをアフガニスタンに投入する予定だ。
  10. 一 方、第六世代の無人機のヒントは示されていない。
  11. 「次世代の遠隔操縦航空機 RPAs は一種の標準型となり、モジュラー化により各種 ミッションに対応することになるでしょう。マシン間の通信と自動化意思決定による支援が鍵となり、通信そのものは指揮命令に関するものに限られるでしょ う。また自動化が進めばRPA運用で人手がかかる作業も軽減されます」(アンダーソン少将)
  12. アクティブ電子スキャンアレイ(AESA) レーダーの性能向上で各機は指向エネルギー兵器に転用可能となる。
  13. 第五世代及び第六世代航空機はISR、電子攻撃、通常攻撃に加え AWACSとしても運用されるだろう。
  14. 「砂漠の嵐作戦の初日(1991年1月16日)では通常爆弾を搭載したF-16に 乗っていました。10年たってコソボではレーザー誘導爆弾を搭載し、データが全部コックピットに流れきました。今後は以前とは比べ物にならない能力が手に 入ります。」(ゴールドファイン准将)
  15. にもかかわらずアフガニスタン、中東、南西アジアでの作戦環境のニーズは極めて平凡なものだ。
  16. F- 22が投入されたのは乾燥、高温、砂塵の環境で同機が長期の運用が可能かを確認するためであった。
  17. 皮肉にも中東の三大問題はメンテナン ス性、支援性および部品共用性である。F-22で得られた教訓はF-35共用打撃戦闘機に応用されている。
  18. 次世代機は追加的に性能を向 上して良くアプローチをとるだろう。
  19. ただし現在進行中のアフガニスタン作戦で使用されている兵装、センサー類はかならずしも高性能のものではない。
  20. た とえば、陸上部隊は手榴弾レベルの爆発力を持つ爆弾を利用したがる。これは住宅内の一室だけを破壊するレベルでその後の情報活動に利用するためである。
  21. そ こで空中投下兵器は小型の重量250ポンド以下となり、その分搭載数が増える。あるいは同数の爆弾を搭載してもペイロード重量が減るので、無人機の飛行性 能が向上することになる。
  22. 「MQ-9リーパー後継機の性能諸元づくりをしています。マスタースケジュールどおりなら納入は2020年に なります。モジュラー化、長時間運用、低価格の他に民間航空宇宙で開発された技術も導入し、悪天候でも運用可能で2万から3万フィートの中高度で運用しま す。兵装に加えセンサーを搭載して外部からモニター可能です。ステルス性は低価格は両立しないので、むずかしいですね」(ゴールドファイン准将)
  23. 現 在進行中の低密度紛争の中から高性能の無人機が今後の大規模戦闘にどう活用されるかを推察できる。
  24. ACC関係者はイ スラエルによるシリア攻撃(2007年)、ロシアによるグルジア攻撃(2008年)から多くを学んでいる。グルジアの防空網は統合されていなかったが、ロシアも電子戦の用 意をせず、事前分析をせず発進させていた。またイスラエルが通信及び軍用ネットワーク網に対して電子攻撃を準備しているとの動きがある。
  25. 「わ が方のネットワークが攻撃を受けた場合も戦闘継続ができるように努力しているところです。戦闘区域内で連絡手段がなくなったら重要な情報をどう伝えたら良 いでしょうか。現在、司令官レベルで集中して取り組んでいるプロジェクトが複数あります。その中には最高位将官また国防長官レベル用に敵の攻撃を受けてい る状況でも利用できる通信手段があります。このため通信手段の確保とともに迅速なデータリンクの復元、盗聴されない通信の回復が必要です。その他にも変化 していく戦況の中で目標にあわせリアルタイムで意思決定していくことも重要な要素です。」(アンダーソン少将)
●日本ではま だ第五世代も実用化していませんが、早くも第六世代ですか。これからすると無人機中心で非超音速、指向性エネルギー、通信能力がキーワードとなりそうです ね。F-22は配備記数が圧倒的に不足なので、虎の子となり、F-15を改装して護衛に回らせ2030年まで第一線に使おうというのが米空軍の構想なの で、第六世代配備開始がちょうどそれに符合しますね。

インドがC-17導入へ

Indian C-17 Deal with U.S. Advances
aviationweek.com Apr 26, 2010

  1. 米国安全保障協力局は議会 に対しボーイングC-17グローブマスターII合計10機のインド空軍向け海外軍事販売(FMS)の可能性を正式に通達した。
  2. インド国 防省から米政府にC-17をFMS方式で取得希望する内容の要望書が先に出されており、ボーイングにとっては同機の海外販売はアラブ首長国連邦向け6機に 続くものとなる。
  3. 議会向け説明では販売額を58億ドルとしており、保守サービス等も含む見積としては最高額となった。
  4. 同 価格には乗員およびメンテナンス要員の訓練、訓練機材、予備部品、地上支援装備、技術援助、エンジニアリングサービス費用が含まれる。
  5. イ ンドの現有軍用輸送機はロシア製IL-76(40機)およびAN-32(100機程度)であり、別途ロッキード・マーティンC130 Jを6機発注済で、2011年に納入予定。
  6. 160,000ポンド(約73トン)の搭載能力を有するC-17は7,600フィート(約 2,300メートル)の滑走路から運用可能で2,400海里(約4,400キロメートル)の航続距離がある。C-17導入でインドの軍用輸送は大幅に近代 化される。
  7. インドがボーイングP-8I長距離洋上監視・対潜哨戒機の購入を決定して以来米印間の防衛パートナー関係は急速に進 展している。

2010年4月27日火曜日

X-37B打ち上げに成功

U.S. Air Force X-37B Launched
aviationweek.com Apr 24, 2010

  1. 4月22日ケープカナベラル空軍基地から X-37B実験宇宙機が打ち上げられ初のテスト飛行に入った。
  2. 当初はNASA所管だったX-37はその後国防高等研究プロジェクト庁に 移管され、さらに空軍高速能力開発室Air Force Rapid Capabilities Officeが現在は担当している。
  3. X-37B の自重は11,000ポンド(約5トン)でアトラスV501により東武標準時午後7時52分に打ち上げられた。打ち上げ後20分で分離に成功している。 X-37Bのペイロード、実験内容、軌道飛行中の運用についてはいずれも非公開情報となっている。
  4. 無人運用での地上帰還を予定している が、今後の課題は地上回収後にどれだけ早く次回の打ち上げに移れるかで、その間の準備期間の短縮にかかっている。
  5. スペースシャトルは水 素酸素の燃料電池を使用するが、X-37Bはガリウム砒素の太陽電池とリチウムイオン電池を使用する。設計上は最長270日軌道上に留まることが可能。起 動離脱および滑走路への帰還を自動的に行う。
  6. 製作したのはボーイングのファンタムワークスで全長8.9メートル、全高2.9メートル、 翼幅4.5メートルである。
  7. 着陸場所はヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォルニア州)の予定で、エドワーズ空軍基地が予備となる。今回 の結果次第で空軍は二号機を2011年に飛行させる予定。

2010年4月18日日曜日

F-35開発・導入で圧力をかけるイタリア

Italy, Netherlands See JSF Plans In Flux
aviationweek.com Apr 16, 2010
  1. イ タリアがF-35統合打撃戦闘機(JSF)開発で以前より高い共同作業分担率を要求してきたことで、ペンタゴンの頭痛の種が増えた格好だ。
  2. イ タリア政府はF-35関連業務作業分量を増やせと要求しており、北部カメリ空軍基地近郊のJSF最終組立工場建設を一時差し止めとしており、同国の負担 分に対して見返りが少ないことを理由としている。あわせて技術移転協定にも不満を持っており、その改訂を期待している。
  3. JSF 開発に対するイタリアの感情は複雑だ。電子装備メーカーは特に不満が高いが、機体構造メーカーは相応の作業量を確保している。アレニア・エアロノーティク スは主翼等の生産に加え、初期生産分の組立も担当する。エンジンメーカーのアヴィオも同社の作業量には 概ね満足しており、ブラットアンドホイットニーF135とGE/ロールスロイスF136の双方に参画している。
  4. 最終組立工場の建設差し 止めはアメリカとの交渉力強化が目的だが、2014年の稼働開始という当初の予定の実現が危ぶまれる。同工場ではオランダ向けF-35の組み立ても予定されて いる。
  5. 同機の最新単価の正確な金額は公表されていないが、2010年価格で93百万ドルから112百万ドルと4月1日付のペ ンタゴン報告書が提示している。これ以前は59百万ドルだった。ただし、見積価格は再度検証中でこれ以上に上昇する可能性がある。
  6. JSF 導入を希望する各国にとっては価格上昇は不安感を高める可能性があるが、今のところ、同機導入を断念する国はまだない。それでも 動揺は広がっている。ノルウェーは導入方針に変更ないとしているが、生産が安定し、コストが低下した際に導入すると明記している。同国の当初の 導入案は2014年開始としていた。オランダも同機導入の見通しがはっきりするには6月まで待つ必要ありと判断している。同月にペンタゴンで作業が完了す るとともにオランダ総選挙で新政権が誕生する見込み。
  7. JSFの飛行テストそのものは勢いがついてきた。ロッキード・マーティンは実戦用 のアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)・電子戦装備・通信/航法/敵味方識別装置を搭載した機体の飛行テストを開始した。同機の運用するソフトウェアは ブロック0.5である。
  8. イタリアに話を戻すと、コスト問題は、今後各国が生産型の購入契約締結に臨む際に大き な関心となると見ている。ただしイタリア空軍はすでに影響を受けている。F-35開発の動向を見ながら既存機種の退役予定を先送りしている。
  9. イ タリアがアメリカとの議題にしているのが、欧州各国のJSF用に同国内工場を利用することをアメリカに認めさせることだ。今のところアメリカはこの提案に 乗り気ではないが、認められなければ全体の計画の見直しもありとしている。
  10. イタリアの既支出額は初期段階で10百万ドル、さらにシステ ム開発と実証期間中で10億ドルの支出を公約している。さらに900百万ドルを量産・供用期間中の支援費用として拠出する用意があるとしている。それ以外 に173億ドルを合計130機のF-35調達・兵站費用に計上している。
  11. ただしイタリア の財政難で国防支出にも制約が出ている。現在の案ではF-35の導入数は131機で、このうち22機は短距離離陸・垂直着陸のB型が22機が海軍向けで 109機が通常型のA型で空軍用だ。イタリア国防省にとってF-35導入は最優先事項であることに変更はない。■

● コメント 131機の導入で総額270億ドルですか。一機2億ドル相当ですが、この根拠は以前の機体単価のはずなので、実際はこの二倍近くになる可能性が あるわけです。これだけの財政規模となるとおいそれと支払いが出来る国はなくなりますので、事実上F-35国際開発・調達が不可能となるのではないでしょ うか。それだけに日本がこの段階で手をあげることが期待されるのでしょうが、この機体には食指を動かさない方が賢明ではないでしょうか。では、F-4の後 継機種、さらにF-15の次期機種をどうするのだ、と真剣に考えなければなりませんね。その際は拡大する近隣諸国の防衛装備、日本自身の財政能力も勘案し ながら、情報を収集・分析してしっかりした戦略を立てるのでしょう。関係各位の努力もさることながら、納税者たる国民も真剣に考えるべき問題ではないで しょうか。

2010年4月11日日曜日

米空軍が構想する新型再利用打ち上げ機

U.S.A.F Plans Reusable Booster Demonstrators
aviationweek.com Apr 10, 2010

  1. 米空軍は再利用可能ブースターシステム Reusable Booster System (RBS)の技術熟成を目的に実証機複数の製作を計画中。RBSは これまでの発達型使い捨て打ち上げ機 Evolved Expendable Launch Vehicle (EELV)ファミリーを代替して2025 年以降に実用化の予定。
  2. 実証機の一号はRBS パスファインダー Pathfinderの名称で空軍研究所(AFRL)が 2013年に打ち上げ予定で一段目ブースターを打ち上げ地点の滑走路に着陸させる技術の評価を行う。
  3. RBSは一段目を再利用可能と し、それ以外の上位構造は使い捨てだが新設計となる。詳細計画は空軍宇宙軍団に来月に提出される。
  4. 計画ではRBSを二種類想定。 中規模重量物の打ち上げ用の一段目再利用可能打ち上げ機と再利用ブースターを二段もつ打ち上げ機で重量物運搬ならびに将来の発展を想定する。RBSの投入 は2025年とし、EELVの退役は2030年までに完了する。
  5. RBSの実用化で打ち上げ費用は年間8回打ち上げで50%削減が可能と 期待される。ブースターのエンジンは10回連続使用可能だ。エンジンは交換して機体構造は100回のフライトに耐えられる。
  6. 打ち上げ基地への帰還用にはロケットバック技術がもっとも有望と判明しており、無動力の滑空帰還ならびにタービン動力によるジェットバック方法が研究されているが、 ロケットバック(マッハ5ないし7)は滑空帰還(マッハ3.5)より高速で上部構造を小型化する必要がある。
  7. ただしロケットバック運用 には迎え角と横滑りの微妙な組み合わせが必要となり、風洞実験では空力特性の再現が不可能と判明したため実証機を製作することになった。
  8. パ スファインダーは実機の縮小版として全長15フィートで、気象観測ロケットあるいは航空機から打ち上げられる。試験飛行は三回で各回違うロケットバック方 法が試される。実証試験には各1.5百万ドル上限の予算で三チームまでが参加し、最終的に優秀なチームがパスファインダー製作契約として28.5百万ドル を交付される。
  9. 一方、それより大きい(50から50フィート)のRBX実証機が実用上の再利用ブースターに近い形で2016年ないし17 年に登場し、技術力を6段階に引き上げることをめざす。この結果でRBS調達計画の開始を決定する参るストーンBの判断が下る。
  10. バス ファインダーもRBXも 既存ロケットエンジンを使用するが、並行して炭化水素ブースト計画 Hydrocarbon Boost で液体酸素・ケロシンエンジンを開発しRBSの 運用動力として実用可能かを検証する。空軍はNASAと大型の炭化水素エンジンを共同開発する協議を開始している。■
●これは大いに期待できる技術ですね。今後の動向には注意したいと思います。

2010年4月8日木曜日

中国がインドをサイバー攻撃した模様

Chinese Cyber-Attacks On India Suspected
aviationweek.com Apr 7, 2010
  1. カナダの the Shadowserver Foundation and Information Warfare Monitor所属のサイバー保安専門家によると中国がインドに対してサイバー攻撃をかけた疑いがあるという。
  2. 4月6日公表された報告 書“Shadows in the Cloud - Investigating Cyber Espionage 2.0”によると「シャドウネットワーク」と呼ばれる組織のハッカー集団がインドのミサイル計画、部隊配備状況、軍事訓練施設の各極秘ファイルを盗むこと に成功したという。
  3. インドのみならず、ダライラマ、国連も攻撃の対象となったと報告している。
  4. インド国防関係のコン ピュータならびに同国シンクタンク企業のコンピュータも攻撃を受け、漏洩された文書ファイルにはペチョラ地対空ミサイル、アイアンドーム移動型ミサイル防 衛システム、陸軍の砲兵隊用プロジェクト・シャクティ指揮統制システムが含まれる。
  5. ネットワーク戦に関連した文書も漏洩し、ネットワー ク上のデータを監視分析する情報活動および技術の運用計画案も漏洩した。
  6. 今回の調査には融合分析として技術的な質問法、データ分析、現 場調査としてシャドウグループのサイバー諜報ネットの存在が明らかになった。
  7. 対象の文書はインド政府の所有物であるがインド政府のコン ピュータから直接漏洩したのか、別のコンピュータにコピーされて漏洩したのかは明白ではないと、同報告書は示している。
  8. また同報告書で は個人から組織にいたるまで保安手段の実行がお粗末なことが指摘されており、サイバー空間の軍事利用が急速に進む中であらためてサイバー戦に対抗し勝利す るための方法論の確立が必要としている。この種の軍拡が進むと同時に犯罪、諜報活動が拡大する可能性が増える。

2010年4月2日金曜日

お知らせ

4月になりました。

ターミナル1に 民間航空輸送量の堅実な増加でまもなく不況前水準に回復、ボーイング787静止試験完了 の2本をアップロードしました。

ぜひ読者の皆様のコメントも随時お寄せください。





2010年3月31日水曜日

米海軍の無人機計画で進展

U.S. Navy Seeks ISR, Strike UAVs
aviationweek.com Mar 29, 2010

  1. 米海軍の求めに応じ、主要メーカーが5月までに空母搭 載型ステルス無人攻撃・偵察機として有人機と一体運用が出来かつ2018年までの空母配備が可能な機体の情報を提案することになっている。
  2. こ の無人型空母運用空中偵察攻撃機(Uclass)に関する情報要求では無人運用が可能な機体を4から6機編成でCVN-68ニミッツ級あるいはCVN- 78ジェラルド・フォード級原子力空母から運用できるものと士、空母あるいは陸上から飛行管制を受けるものと想定している。また、空中給油を海軍式に加え て空軍の給油方式にも対応するものとしている。
  3. 空中給油なしで同機は11時間から14時間の飛行が可能で、その場合も「適正な」予備燃 料を残すものとする。搭載兵装には「高破壊力精密兵器により敵目標の制圧、破壊、欺瞞あるいは影響力行使が可能なもの」が想定されている。発表された構想 図ではノースロップ・グラマンのX-47B無人戦闘航空機システム(UCAS)との類似性が認められる。あるいはボーイングのファンタム・レイやジェネラ ルアトミックスのアヴェンジャーにも似ている。
  4. 今回の情報提供要求に先駆け海軍の無人航空機開発責任者ウィリアム・シャノン少将が本誌 開催の国防技術カンファレンスで2月17日に海軍新型無人機開発の次の段階には予算20億ドルを2013年から投入すると発言していた。
  5. 席 上でシャノン少将は今回の情報要求はノースロップ・グラマンX-47Bの開発延長を自動的に認めるものではないと強調しているが、同機はエドワーズ空軍基 地で高速タクシーテストを開始しようとしている。
  6. X-47Bは無尾翼ステルス機の空母運用を実証するために製作された。一方、 Uclassは同機の構想をさらに進めて情報収集、偵察監視に加えて攻撃能力を与えるものだ。X-47Bの初飛行は今年夏の予定で、2011年には空母着 艦テストが予定されている。

2010年3月21日日曜日

KC-X EADSの考え方


EADS Takes Wait-And-See Approach On KC-X
aviationweek.com Mar 19, 2010
  1. 米空軍向け次期空中給油機KC-Xをめぐり、EADSは契約受注にむけた活動をまだ断念しておらず、米政府の対応を待っている格好だ。
  2. 提案企画の締め切りが現状どおりとすると、また提案仕様書の表現ぶりがこのままであると、EADSは入札断念の可能性がある。ただし、条件に変更があれば同社は入札参加の道を排除しない。要は米政府が競争入札を実施するつもりがあるのかどうかだという。ペンタゴン はEADS-ノースロップ・グラマン連合はKC-X入札に関心を有していると認めている。
  3. EADSのCEOルイ・ガロワは同社単独によ る入札参加あるいは他社と連携しての入札参加になるのかは言明を避けた。同社の戦略は米国防市場に参入をめざすことであり、そのためには同社の他部門の成 長を妨げることも辞さない構えだ。
  4. KC-X以外に同社は米陸軍向け装甲空中偵察ヘリ構想にEC165およびUH-72ラコタ軽量多用途 ヘリの改造型を提案している。
  5. あわせて米空軍の弾道ミサイル配備支援用にNH90ヘリおよびEC725ヘリを提案している。ただし、次 期大統領専用ヘリの選定には参画しない予定。機材の販売以外に同社としては支援業務を拡充する考えだ。■
●なんとなく、KC-X仕様書がボーイング案に有利に鳴っていることから、しらけた雰囲気が感じられますが、KC-Xがだめならヘリコプターだ、となりふりかまわず商談を勧めようとするあたり、さすがたくましい会社ですね。逆に言えば、それだけボーイングが米国内で強力な立場にあるわけですが。

2010年3月15日月曜日

F-35は今世紀最大の失敗プロジェクトになるのではないか

Carter Confirms JSF Unit Price Nearly Doubled
aviationweek.com Mar 12, 2010

  1. ロッ キード・マーティン-35共用打撃戦闘機(JSF)の一機あたり価格が大幅に上昇し、50百万ドルから95百万ドルになっているとアシュトン・カーター国 防次官補(調達担当)が11日に議会で証言した。
  2. この価格は現在のドル価格では112百万ドル相当となる。
  3. 最初の開 発費用見積は2001年に2002会計年度のドル価格で作成されており、ロッキードはこれにより契約を受けた。当時の契約総額は500億ドル相当。カー ル・レヴィン上院議員(民主 ミシガン州)は上院軍事委員会委員長としてロッキード・マーティンは非現実的な低価格を意図的に提示して開発計画に着手した のではないかと問いただし、ボーイングとの競作に勝利してから予算超過を繰り返していると指摘。これに対し、カーター次官補は「その繰り返しが存在してい る」と認めている。
  4. 平均単価の算定には開発計画全体予算が反映されており、開発、調達、配備の費用が含まれている。大幅な予算超過によ り米空軍には予算超過額の上限を超えた「重大な」契約逸脱の場合には「数日以内に」議会にその旨を通知する義務があることになる。
  5. 上記 単価は米空軍、海軍、海兵隊全体で2,443機を導入する計画を反映している。
  6. あわせて、開発の遅れが延べ13ヶ月相当になっており、 米空軍は同機の初期作戦能力(IOC)獲得予定を変更しており、現在は2016年としている。先週はこれが2015年と発表していた。カーター次官補の JSF開発関連の覚書では運用テストの終了を2016年4月としており、空軍にさらに計画を再考するよう求めている。海軍もIOC獲得を2016年として いるが、海兵隊のみ依然として2012年に実現としている。
  7. 価格上昇の要因には2006年の海兵隊仕様の短距離離陸・垂直着陸型の重量 軽減策があり、これで開発が送れ、投入人員数を増加し、管理費も上昇させる一方、機体の共用性を損ない、生産機数を減らし、原材料特にチタンの価格上昇を 招き、主要部品メーカーにおいて費用上昇となったとカーターは分析している。
  8. それでもペンタゴンは同機導入を積極的に進める姿勢だ。マ イケル・ドンレー空軍長官もF-35に代わる選択肢はない、と先週に言い切っている。
  9. 上院でカーターは昨年11月からJSF開 発の統括を担当してきたが、その時点で予算超過は上院の求める注意水準にぎりぎりだったと発言。さらに開発のてこ入れとして28億ドルの追加予算があり、 生産ペースの低下もあり、テスト用機材の増加に加えソフトウェア用テスト施設も増強されている。すでに開発担当責任者の海兵隊少将は更迭されており、現在 は大将クラスのポストに格上げされている。

●何度も当ブログで言っているようにF-35は日本にとって導入の価値の ない選択です。対岸の火事と見ていられるのか、気がつくと日本も開発費用の相当部分を負担することになるのか、今後の政策選択ではどれだけ正確な情報が得 られるのか、どれだけ日本の利益が考慮されるのか、質が試されることになります。T-50の初飛行が報じられる中、F-22の生産施設保全の検討も行われれば、日本としても以前の価格に上乗せしてもF-22の確保に動くほうが賢明では。

2010年3月14日日曜日

T-50(ロシア第五世代戦闘機)の開発状況

More Sukhoi T-50s To Fly In Next 12 Months
aviationweek.com Mar 12, 2010

  1. スホーイはT-50試作機 を新たに3機追加し、今後一年間かけて飛行テストを実施する。ロシアの第五世代戦闘機開発の計画が同国高官から漏れ伝わってきた。
  2. プー チン首相がT-50の静止試験用機体とコックピットのシミュレーターを視察した。
  3. プーチン首相とスホーイのトップ・ミハイル・ポゴシヤ ンの一致した見方はT-50の配備開始を2015年とするもの。一方、プーチン首相は同機の配備前には合計2,000時間の飛行テストが必要と見ている。
  4. そ こでスホーイは急いでテスト用機材を増強しようとしている。
  5. スホーイによると二号機のテスト合流は今年中、三号機四号機は2011年と なる。
  6. スホーイ開発陣はT-50の開発期間の短縮を専用のシステム統合手段により実現しようとしている。従来の開発では操縦系統の チェック用、エイビオニクスの試験用にそれぞれ別の機体を使用していた。
  7. これがT-50 ではT-50-KNSと呼称される地上確認 用の機材を準備しているようだ。
  8. スホーイのコムソモルスク工場内で同機を使い、生産工程の新技術を実証している模様。飛行テスト用T- 50-1試作機ではこの恩恵を受け、飛行三回目で24度の迎え角飛行が実現できたという。
  9. T-50担当主任技術者アレクサンダー・ダビ デンコによると同機の外表面のおよそ7割が複合材料で構成され手いるという。
  10. 操縦席ではスマート・デジタルシステムによりパイロットの 作業量が軽減されているという。
  11. 同機のデジタル飛行制御システムはSu-27よりも3割軽量化されており、故障あるいは戦闘時に損傷が あっても復旧が可能という。
  12. 4月には飛行テストはモスクワ近郊のグロモフ飛行テスト研究施設に移動する予定という。
  13. ロ シア空軍が2008年からこれまでの放置から再拡張に入った中、同機の開発はスホーイが今後の空軍の要求水準に応える能力があることを証明するものとなる。
  14. ロシア国 防計画によると2020年までに合計1,500機の作戦用航空機、ヘリコプターならびに200基の防空ミサイルの導入をめざすことになっている。このうち 航空機の8割が新型機となる。
  15. ロシア航空宇宙産業の課題としてプーチン首相は従来から政府から多大の支援を受けていることからいまや効 率を改善すべきときと見ている。特に、納期の遵守と性能価格比の向上を求めている。
  16. さらに同首相は次世代戦略機 PAK DAに加えて次世 代対空ミサイルシステムの開発が視野に入っていると強調している。

2010年3月7日日曜日

ボーイングのUAVファンタム・レイの開発状況


Boeing Bullish On Phantom Ray
aviationweek.com Mar 2, 2010

  1. ボーイングはファンタム・レイ実証機のタクシーテストを7 月に開始する。これは当初の計画よりわずかに遅れるものの同社は同機の初飛行は12月の目標のままだ。
  2. ファンタム・レイとは計画中止と なった無人機X-45Cを継承・復活させたもの。同社ファンタム・ワークスが予算を全額負担し、ボーイング社内の無人戦闘航空機開発技術を強化し、今後予 定されるペンタゴンの調達に備えることが目的。同社が想定する将来のプロジェクトには空軍の無人機MQ-X、同じく空軍の長距離打撃機、海軍の将来型攻撃 機F/A-XXがある。
  3. ファンタム・レイの当初の目標は耐空性能を実証した後、第二段階に入り飛行性能の限界を試すことで、さらに自動 空中給油実験も想定されている他、電子戦の試験も予定されている。
  4. 全翼機形状でステルス性の同機の動力はジェネラルエレクトリックF- 404-GE-102D一基でペイロード4,500ポンドで無給油で1,000海里飛行する設計だ。
  5. 排気システムのステルス性確保がタ クシーテスト開始が遅れた原因といわれるが、このデータはボーイングとジェネラルエレクトリックで共用されており、エンジンはセントルイスに持ち帰り、改 修の後、ファンタム・レイに再度搭載される。
  6. ボーイングがファンタム・レイ開発を進めている間に、同社とロッキード・マーティ ンが2008年締結した共同開発合意は失速気味だ。両社はB-2とX-47を持つノースロップ・グラマンに対抗しようとした。
  7. その時点 ではロッキード・マーティンとボーイングはノースロップ・グラマンやジェネラルアトミックスの無人機先行メーカーに大きく遅れていると思われていたが、 ロッキードは機密解除になったRQ-170の存在が明らかになったことで、同社も無人機開発の実力を涵養したことが判明した。そしてボーイングはファンタ ム・レイの飛行テストをめざしているわけだ。
  8. ボーイングは次世代爆撃機開発の主契約社となることをめざしている。
●日本ではphantomをファントムと表記することが多いのですが、当ブログでは原語発音に近づけてファンタムとしています。それはいいのですが、UAVは加速的に発達していきますね。日本の遅れがそれだけ目立つのですが、どうなっているのでしょう。

2010年3月6日土曜日

KC-Xに767案を再度提案するボーイング

Boeing Selects 767 for USAF KC-X Tanker Bid
aviationweek.com Mar 4, 2010

  1. ボーイングは次世代空中給油機として767を基にした案を米空軍KC-X競争提案に採用し、新型の給油 ブームと787の操縦席計器を応用する内容を提案する。
  2. 同社は本日767を基にする、と発表したものの、767のどの形式が基本となる のかは明らかにしなかった。同社発表の想像図は-200型のようだ。
  3. これまでのKC-X提案とは離脱して、ボーイングはエアバス A330 よりも75%大きい新設計の操縦席ディスプレイを提案している。ノースロップ・グラマンーEADSはA330を原型とした案を提案している。
  4. 2008 年2月にいったん決定となったのはノースロップ・グラマン/EADSがオーストラリア用に開発したA330 案であったが、空軍の選定で決定が取り消しとなり、再度仕切りなおしとなって今日に至っている。
  5. またボーイングの新設計空中給油ブーム はフライバイワイヤー操作で給油性能が向上していると、ボーイングは発表している。このブームはKC-10 のブームと形状が似ている。この変更はあきらかに毎分1,200ガロンの給油能力の要求にこたえるもので、KC-135のブームよりも伸縮性があるようだ が、正確な性能水準は同社から発表されていない。
  6. 主翼全長は767-200よりも大幅に延長されている模様で、主翼フラッター問題がイ タリア向けのKC-767 出発生したことへの回答と見られる。
  7. これまでのボーイングの提案内容は一部から「フランケンタンカー」と称 されるほど既存民間機から各部品を持ち寄って構成されていたが、米空軍からはこの考え方はリスクが高いと懸念されていた。
  8. ボーイングの 防衛宇宙安全保障製品部門のデニス・ムイレンバーグ社長はKC-X仕様書の合計327項目全部を満足できると発言している。
  9. ノースロッ プ・グラマン/EADSの関係者はまだ発言していないが、同連合が競争提案に再度参加するのか、撤退するかが焦点となる。現在のKC-X仕様書では小型機材 に有利と見ている。
●二転三転している内に時間が空費されたKC-X競作ですが、流れはボーイングに傾いてきました。ただし、ノースロップ連合が参加しないと競争にならなくなってしまいますね。それにしてもボーイングは商売が先行した会社になって来ました。もともと767ベースのKC-Xのリース方式による採用を米空軍は決めていたので、振り出しに戻るような話ですね。ボーイングの提案内容を紹介するサイトは次のリンクでご覧ください。

http://www.unitedstatestanker.com/splash/Launch

2010年3月2日火曜日

さらに遅れるF-35の実用化

USAF Slips JSF Operational Debut
aviationweek.com Mar 1, 2010
 
  1. 空軍長官マイケル・ドンリーはロッキード・マーティンの共用打撃戦闘機(JSF)の初期作戦能力 (IOC)獲得は当初予定から遅れ2015年になる見通しと2月25日に発言した。
  2. 一方、海軍関係者は海軍用機体のIOC獲得予定 2014年にこだわっている様子はない。
  3. ドンリー発言はラリー・キッセル下院議員(民主 ノースキャロライナ)からの議会公聴会の質問 に対するもの。同議員は空軍がいつになったら同機を「戦力化できるのか」と聞いていた。
  4. ドンリー長官のスポークスマン、ジェフリー・グ レン中佐も長官発言でIOC時期が公式に変更になる点を確認した。
  5. これでおよそ2年間の遅れとなる。わずか一週間前にはウィリアム・フ レイザー大将(空中戦闘軍団司令官)が同機のIOC予定を再評価すると発言しており、ブロックIIIのソフトウェア搭載の機体でIOC獲得を希望すると 言っていた。海兵隊は性能が劣るブロックIIソフトウェア機体で2012年に運用を開始する。
  6. 2011年予算案ではJSFの飛行テスト 終了は2014年秋となっており、テスト報告書は翌年にならないと出ない。
  7. 今回の予定変更は空軍側が機体と同機のソフトウェア双方のテ スト完了前には作戦能力を認めたくない姿勢の現われだ。機体生産は予定通り進展しているが、ソフトウェア開発が遅れているのが現状だ。
  8. 一 方、海軍は機体数が一定に達し、性能が確認されればIOC獲得とみなす方針。
  9. 総額471億ドルの同機開発予算に追加された28億ドルの うち5億ドル相当がソフトウェア用に確保されており、テスト用のプログラム作成等に使われる。
  10. 開発の強化策として新たにテスト用機材3 機が追加されるが、これが却って同機開発の芳しくない進捗を改めて明らかにしている。また、艦載型1機の追加も以前から承認されており、これで追加は合計 4機になる。飛行テストには合計19機が想定されている。
 
●かねてからJSFには懐疑的なこのブ ログのエディターですが、この記事があらためて同機に対する見方を強化しています。開発には各国も係わっているので、進捗には多大の関心を持っているは ず。ここで日本がFXとして同機獲得に今から名乗りをあげれば、コスト上昇が続くはずの同機開発でまってましたとばかりの歓迎を受けることになるのでしょ うね。
 

2010年2月20日土曜日

進化するプレデター無人機

Predator C Set For Testing At Edwards
aviationweek.com Feb 19, 2010

  1. ジェネラル・アトミックス-エアロノーティカルシステムズはFAAより同社開発のステルス・ターボファンエンジン搭載の無人機プレデターC アヴェンジャーの飛行テスト開始許可が出ることを機体している。飛行テストはエドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)で実施の予定。
  2. V字型尾翼と後退角付き主翼の同機は昨年4月に初飛行に成功しているが、同社は三ヶ月間の予定でテストを開始する意向。
  3. 今 までの同機の飛行テストは比較的制限された飛行区域に限定されており、同社のモハーベ砂漠試験施設付近のみとなっている。エドワーズ空軍基地に移動されれ ば飛行テストの高度も速度も制限がなくなる。アヴェンジャーの運用高度限界は6万フィートで、プラットアンドホイットニーカナダ製PW545Bエンジンに より最高速度は400ノットを僅かに上回る程度だという。二号機は今年後半に完成すると言う。
  4. プレデターAを改修した米陸軍向けMQ-1C スカイウォリアーは今月初旬にヘルファイアP+ミサイルの実弾発射テストを完了している。このミサイルは無人機用にロッキード・マーティンが開発したもので360度で目標補足できる。
  5. まもなくグレイイーグルと改称される予定のMQ-1Cは陸軍の長距離多用途無人機構想で開発されたもの。新編成の即応能力部隊(QRC)でイラクとアフガニスタンにおいて先行使用されている。
  6. ガー ディアンUAVの税関国境警備隊(CBP)の洋上運用テストがカリフォルニア州ポイントマグー海軍航空基地で実施中であったが、2月11日に完璧な8時間 連続飛行の成功で完了している。機体下にAPS-134シーヴュー監視レーダーを搭載しているのが特徴の洋上飛行タイプは麻薬取引取締用に投入される。

2010年2月14日日曜日

センサーの性能向上で無人機の可能性は広がる

General Atomics Chief Forsees Advances In UAS
aviationweek.com Feb 12, 2010

  1. 技術革新で無人航空機(UAS)の状況把握能力は5年のうちに大幅に向上すると無人機業界をリードするジェネラルアトミックスの会長兼CEOのニール・ブルーは考えている。
  2. ブルーは通信リンクあるいは「帯域幅ダウン」が高解像度の広範囲状況把握機能の制約条件となっているという。これに加えて飛行中の複数の機体から送信されるデータの統合処理能力の機内搭載も必要だという。「キャッシュした情報からデータを統合すると非常に正確かつ高精度の目標所在地の情報が得られます」とブルーは本誌取材で語った。
  3. もうひとつの課題は敵側による通信ネットワークへの侵入をどうやって防止するかである。「帯域幅ダウンを非常に高くすれば探知不能隣結果として暗号化も不要となります」という。「この技術はすでに利用可能で超広帯域の波形各種を使えます。その中のひとつが当社がチャイナレイクで実証していますし、これをオーストラリアが現在実験中で国防総省も関心を示すのではないでしょうか」
  4. 一方で国防高度研究プロジェクト庁(DARPA)は1.8ギガピクセル級のセンサーを試験中で、これによりジェネラル・アトミックス製の プレデターなら最高65機から同時にダウンリンクが可能で、単機で特定人物あるいは車両を都市規模の範囲の区内で追尾することも可能だ。自律型リアルタイ ム・ユビキタス地上監視画像システム(ARGUS-IS)の作動実証が昨年の6月から11月の間に実施されている。BAEシステムズはARGUS-ISの性能向上作業に取り掛かっており、今年内に実施予定のDARPAによる飛行実証の最終段階に間に合わせようとしている。

● 漠とした話ですが、要は皆さんがお使いの携帯やデジカメの進化をはるかに超えた軍用のセンサー類の開発が進行中ということですね。無人機の発展性はま すます拡大するでしょう。先回お伝えしたような空中レーザーといい、戦闘のイメージを大幅に変える可能性がそこまで来ているということですね。それにつけ てもわが国が無人機開発、運用に大幅に遅れているのはどういうことでしょう。米海軍では海軍パイロット(Aviators)が無人機に反発しているとのこ とですが、日本でも同じメンタリティがあるのでしょうか。事業仕分けなどといわず、無人機開発予算を大幅にふやすべきでは。


2010年2月13日土曜日

ABLが飛行中ミサイルを連続破壊に成功



ABL Shoots Down Target, Engages Second
aviationweek.com Feb 12, 2010
  1. ミサイル防衛庁(MDA)の空中レーザー(ABL)が照射した化学レーザーが加速上昇中の弾道ミサイルを撃墜して高出力レーザーの有効性を証明した。
  2. 今回のテストは液体燃料弾道ミサイル一発およびテリア・ブラック・ブラント2発を対象としていた。このうちテリアは厳密には弾道ミサイルではないが、固体燃料弾道ミサイルの加速段階の想定として投入されている。この段階でABLが交戦する構想。また費用を節減できる。
  3. 実 験は2月11日実施され、747-400Fを改装したABL搭載機が単独で加速中のミサイルを追尾した。同ミサイルは移動海上艦艇から太平洋標準時午後8 時44分に発射後、数秒で捕捉している。システム内の低出力レーザーが大気中のゆがみを補正したあと、メガワット級の高出力レーザーを目標に照射した。 「上昇中の目標を加熱し構造上重大な故障を引き起こした」とMDA関係者が説明。交戦は全体で2分間で終了したという。
  4. その一時間後にMDAは二番目の実験を実施。テリア・ブラック・ブラントミサイルへのレーザー照射は破壊前に停止された。MDAは今回の実証実験はすべての点で成功だったとしながらも、なぜ完全な破壊まで照射を続けなかったのかについては言及を避けている。
  5. 二回のレーザー照射の途中でABL機は着陸せず、化学物質の再充填は行われていない。
  6. 今回の実験は三回目の空中交戦試験で固体燃料目標の捕捉は二回目。一回目は2月3日で目標破壊に成功していたらしい。ただし、MDAがその事実を今になってはじめて明らかにした理由は不明。
  7. ABLの作動原理はレーザーを目標ミサイルの外皮に照射して内部に不良を発生させ飛行中に破壊すること。
  8. 今 回の実験の実施場所はポイントマグー(カリフォルニア州)沖合の兵装試射場海域で、成功したことでABL計画が大きく前進した。ボーイングが主契約社とな り開発にはこれまで数多くの技術的な困難が立ちふさがり、予算も超過していたが、ペンタゴンの化学レーザー開発の中心的存在となっていた。昨年春の段階で 40億ドルが投入されている。MDAは2011年予算で990億ドルを要求して指向性エネルギー兵器体系の開発を目指しており、このうちABLではテスト の継続しながら将来の応用展開もめざしたいとしている。
  9. 今回のテストがMDAがABLシステムを主管する最後となる。次回の飛行テストからはペンタゴンの国防研究技術開発担当がレーザー関連開発を担当する。
  10. ボー イングは今回の成功について「レーザー兵器が飛行中の弾道ミサイルを捕捉破壊したのは初めてのことで、ミサイルの上昇段階でシステムが有効なことが確認で きた。ALTB(ABL母機)は過去最大規模のエネルギー主力でレーザーを照射したことで世界最強の移動レーザー装置となった」と発表している。
  11. 高出力化学レーザーはノースロップ・グラマンが製作しており、ロッキード・マーティンがレーザー制御・発射管制システムを納入している。
  12. このシステムを追加生産する予定はない。ABLでは国防総省の関心は固体レーザーに移っている。それでもMDAは今回のABL運用で得られた経験を元に将来の実戦対応システム開発の可能性を閉ざしていない。
(写真提供MDA)

大きく前進したことは喜ばしいことですが、実際に運用するとなるとABL母機を水平線の向こうに待機させながら、UAV搭載のセンサー、軌道上の衛星で目 標を捕捉、データを中継してABLからレーザーを照射するのでしょうが、当然敵方も警戒しているでしょうから、F-22によるABL母機の警護が必要で しょうね。かなり大掛かりな話になりそうですが、ミサイルを発射する側にしてみれば発射後数分で虎の子の弾道ミサイルが消えてしまえば元も子もなくなります。システムの信頼性も向上すればまさに夢の兵器となりそうな予感も。ABL開発に神経を尖らせているのは中国、北朝鮮が筆頭でしょうね。オバマ政権もABLには冷淡であると伝えられますが、かような国からのメッセージ にも注意が必要です。

2010年2月11日木曜日

B-2 英空軍も飛行訓練を受ける

British Pilots Train On Upgraded B-2s
aviationweek.com
Feb 8, 2010
  1. ホ ワイトマン空軍基地(モンタナ州); 米空軍の装備の中でも最大級に貴重なもののひとつ、B-2スピリットステルス爆撃機は現在も性能改良がすすんでおり、同盟国にもその利用が許されている。 英空軍との間で長く続いている人員交換計画の一環としてB-2もその対象となったのは2004年のことであった。この決定は当時のブッシュ大統領がブレア 首相に当てて送った電子メールで下されたもの。英空軍の最初のパイロットが同機をオーストラリアに着陸させた。同計画による三番目の英空軍パイロットが訓 練を完了したところだ。
  2. これ以外の米英交換計画と異なるのは、B-2では数ヶ月をホワイトマン空軍基地に滞在することだ。これにより同機の有資格パイロット合計80名の勢力が常時維持されることになる。
  3. ホ ワイトマン空軍基地は米国中央部にあるが、実は最前線基地である。同機運用を常時即応体制に維持していることは昨年10月の核戦力運用即応体制査察 (NORI)でも確認された。同査察で不合格となった同基地内のB-2の機数は非公開情報だが、NORIの期間中に配備中のB-2の大部分が離陸できたと している。
  4. B- 2部隊の全容を逐次理解することは困難がつきまとう。テールナンバー82-1068のB-2 は装備改良の試験機として利用されており、エドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)に配備されている。常時二機はメーカーのノースロップ・グラマンのパー ムデール工場にあり、そのほかにも最低二機はホワイトマン基地でメンテナンス作業を受けている。同機をステルス母機に変えるレーダー・通信機器の改修が実 施されつつあり、ボーイングの30,000ポンド級大型貫通爆弾(MOP)の搭載作業も進行中だ。さらにボーイング、ロッキード・マーティン、セイセオン 共同開発の小口径爆弾II型も完成次第同機に搭載される予定。
  5. 将来の運用では各種兵装を同時に搭載し、たとえばバンカーバスターとともに小口径爆弾100発を搭載することが考えられ、同機は真の意味でハンターキラーとなるだろう。
  • 同じ同盟国でも米英間のつながりははるかに密度の濃いものになっているようです。それにしてもB-2という高価なウェポンシステムは今後長期間に使って初めて投資効果が出てくるように設計されているようですね。運用法も大きく変わりそうです。

2010年2月6日土曜日

DARPAプロジェクトの最新動向

Darpa Eyes SM-3 For Hypersonic Strike
aviationweek.com Feb 4, 2010

  1. 国防高度研究プロジェクト庁(DARPA)は2011年度予算要求にアークライトArcLight 長距離高速攻撃兵器開発の飛行テストを盛り込もうとしている。アークライトはレイセオンのSM-3弾道弾迎撃ミサイルが原型。
  2. SM-3ブロックIIのブースターと超音速滑空部分で構成するアークライトのペイロードは100から200ポンドで飛行距離は2,000海里を越える。性能ではマーク41垂直発進システムと同等規模。
  3. 2010年度予算では新素材の利用可能性について予算2百万ドルを投入している。2011年度予算では5百万ドルで中核技術開発と概念開発を開始する。
  4. DARPA全体の予算は2011年度に31億ドルを要求しており、このうち3億ドルが高度航空宇宙システム関連となっている。
  5. そのほかに67.6百万ドルで長距離対艦ミサイル(LRASM)開発があり、発射テストが開始される。主契約社はロッキード・マーティンで、ラムジェットを主動力とした高速ミサイルと低速低高度ステルスミサイルの双方を開発する。
  6. 60百万ドルがヴァルチャアVulture長期飛行可能太陽電池動力成層圏無人監視機の縮小規模実証機に、43.4百万ドルをアイシスIsisレーダー搭載無人成層圏飛行船の縮小規模実証機製作に投入する。
  7. さらに35百万ドルをターボジェット・スクラムジェットのコンバインドサイクルエンジン地上テスト予算として計上し将来の極超音速機用に開発する。
  8. 2011年度からスタートする新規開発案件には7百万ドルで再利用可能宇宙機の概念開発があり、DARPAによれば民間企業による開発向け助成になるかもしれないという。
  9. 5.1百万ドルが無人機対抗措置に使われ、小型低速低高度飛行の敵無人機の発見技術を開発する。
  10. DARPAの既存プロジェクトで次年度予算増額となるのは垂直離着陸変形陸上車両(12.1百万ドル)、多用途回転翼機実証機(11.8百万ドル)、編隊飛行中の空気効力低減対策用飛行テスト(1.3百万ドル)がある。

うーん、いつもDARPAのプロジェクト内容を聞くと想像が難しいものがありますね。このうち実現するものとしないものがあるのでしょうが。金額も結構小ぶりなのは厳しい財政事情もあるのでしょうが、結構このくらいの金額で開発ができるのだなあということなのでしょうか。

2010年1月29日金曜日

ロシア第五世代戦闘機が初飛行に成功


Sukhoi's PAK FA fighter completes first flight 
29/01/10,Flightglobal.com

    1. スホーイの第五世代戦闘機プロトタイプPAK FAが本日午前47分間の初飛行に成功した。 テスト飛行はコムソモリスクで行われ、テストパイロットはセルゲイ・ボグダンで、スホーイによると「大変良い結果」だったという。 「飛行中に同機の操作性、エンジン性能、主要システムの作動状況の初期評価を行いました。」(ボグダン) 飛行中に同機の降着装置の格納、引き下げが実施された。
    2. PAK FAのエンジンはNPOサターン「117型」が二基でスホーイSu-35とSu-27Mに搭載の117Sエンジンの改良型だ。機内の統合飛行制御システムでエンジン他機内の主要システムを制御する。
    3.  スホーイによると同機には複合材料が使われている他、より進んだ空力学技術によりエンジンの排気特徴を減らしておリ、「前例のない小さな レーダー断面積を実現し」ているという。その他、より進んだフェイズドアレイレーダーを搭載している。昨年のモスクワMAKSエアショーにおいてティコミ ロフNIIPが同機用に開発したアクティブ電子スキャンアレイレーダーを展示していた。
    4. PAK FAに第四世代戦闘機部隊を加え、ロシア空軍は次の10年間の対応力を備えることになる。
    5. PAK FAの飛行試験は2012年まで続き、その後ロシア空軍は同プロジェクトの成否を決定する。同機の量産型はT-50と呼称される見込み。
    6. あるいは同機の設計を元にロシア・インド共同開発の第五世代戦闘機に発展する可能性がある。

    2010年1月24日日曜日

    電子戦装備の開発が進展しています

     戦闘機の話題になると急にアクセスが増えていますが、地味ながら電子戦の話題です。無人機と電子戦は日本がこれから力を入れなければならない分野ですね。


    Electronic Warfare Evolves
    aviationweek.com Jan 22, 2010
    1. 電子戦の重点は防御ではなく攻撃に移るだろう。電子パルス、相手方の情報を混乱させるデータ・ストリーム、アルゴリズムが次世代ジャマーNext-Generation Jammer (NGJ)に搭載されるだろう。
    2. 米海軍へのNGJの配備は2018年の予定。
    3. EP-3Eの後継となるEP-X情報収集機の最終仕様案、設計案は未定だ。
    4. EP-Xは敵の信号を探る目であり耳となってNGJで撹乱、操作を行う構想だ。敵の信号発信源を正確に捉えることが鍵となる。
    5. EA-18GグラウラーがNGJ搭載の主力となる。次に海兵隊のF-35に装備されるだろう。空軍のF-35Aがこれに続き同時並行で大型高速の無人機への搭載が実現するはずだ。
    6. JSFの開発当初から電子戦に応用する構想があるが、電子装備向けの補助電源の確保が課題だ。
    7. 海軍の視点は地対空ミサイルが高性能になるほど発信する波形が複雑になることから低出力ジャミングにより敵の防空システムに攻撃を加え対応能力を低下させることであり、要は敵のネットワークを使えなくさせることだ。
    8. そこで海軍の優先事項は既存のALQ-99ジャマーポッドの性能を向上してNGJの能力をEA-18Gに搭載することであり、F-35Aに搭 載することだ。空軍はかねてからスタンドオフ能力を求めており、B-52を電子戦に応用する構想があったが現在は継続していない。そこで空軍もNGJに関 心を寄せており、空軍が求める周波数帯が微妙に違っていることもあるが、基本設計は空軍機にも搭載可能なものだ。
    9. レイセオンによると空軍から2012年締切で情報の提供が求められてきたと言う。同社の通信・電子攻撃・偵察監視ポッドを発展させる構想のようだ。
    10. 要求されるジャミング有効距離は秘匿情報だが情報を総合すると水平線の湾曲を考慮するとざっと200マイルというところだろう。B-52利用 案はこれよりも大きな距離を想定していたが、現有のEA-6Bプラウラーの有効距離よりも長い。同機の電子支援でF-117を運行していたが、ジャミング は80マイルしかなく、ステルス機はセルビアで1999年に撃墜されている。(機体残骸はその後ロシアへ移送された) EA-6のジャミング性能はあらか じめ伝えられていたが作戦立案時に考慮されていなかったのだ。
    11. 専用UAVの開発が秘密裏に進んでいることは業界では公然の事実であり、空軍はすでにレイセオン製小型空中発射おとりジャマーMALD-Jへ相当の予算を使っている。敵領空上で短距離からの電子戦ミッションを実施するのに無人機の方が適している。
    12. F-35をEF-35に改造するコンセプトもあるが、ステルス性を犠牲にしないためにも搭載するハードウェアは相当奇抜な形状になると思われる。
    13. RAT(ラムエアタービン)で電源が確保できればグラウラー用のポッド設計の制約条件がなくなる。同じようにF-35にも応用が可能となる。
    14. RATをウェポンベイに搭載する案もあるが、本来は電子戦装備を格納するスペースだ。
    15. ただし、NGJには機関砲搭載スペースで十分だ。そこでロッキード・マーティンはF-35用のNGJ案を検討中。同機の機種左側の機関砲ブリスターにNGJ開口部をつける。

    2010年1月22日金曜日

    JSF開発の遅れを深刻視しない米空軍




    USAF Chief Downplays JSF Testing Delay
    aviationweek.com Jan 21, 2010
    1. F-35のテストが遅れていることで同機の単価上昇が避けられなくなるが、空軍参謀長ノートン・シュワーツ大将は「影響はあくまでも短期間のもの」と見ている。
    2. 同大将は大幅な価格上昇があってもナン-マカーディ法の報告義務条項に違反することはないと語った。同条項によれば一定の価格上昇が発生すると ペンタゴンは代替選択枝の検討が必要となり、同時に議会に対し費用あるいは日程の大幅な変更が発生した原因について報告しなくてはならない。
    3. また、同大将は遅れといっても「複数年」の規模ではなく、必要なものであったという。政府関係者の中には同機のテスト完了は最高で30ヶ月も予 定より遅れるとの見方がある。現在の見通しではテスト終了は2014年の予定。シュワーツ大将は具体的な遅延の規模の言及は拒んだが、本年2月1日に公表 されれう2011年度予算案で明らかにすると語った。
    4. 開発と生産を同時並行させる度合いを減らし、テスト期間を延長し、テスト機材を増強すると同大将は以前に発表している。この結果、量産への移行はより現実的になるというのが考え方だ。
    5. F-35開発は「F-22の同時期と比較するとはるかに進んでいる」と同大将は表現する。両機種ともロッキード・マーティンが主契約社。
    6. JSFの共同開発パートナー各国に加え購入希望各国も開発計画の進展に「関心を有している」ことを同大将は認める。同機以外の選択枝も検討している国もあり、開発が遅れるとそれだけF-35導入の可能性が減ることになる。
    7. ただし、最初の訓練部隊の初期作戦能力獲得時期は予定通りだと同大将は語った。
    8. 全体の遅れにより空軍はF-16から運用の重複なく、旧式機からステルス機に完全な引継ぎができると同大将は発言。 
     
    コメント F-35は時限爆弾だと当方は見ますが、いかがでしょうか。ましてやわが国が手を上げれ ば待ってましたとばかりに費用負担を押し付けられるのは明らかですね。そもそも開発がこれからまだ5年もかかるとは。同機には手を出さないのが賢明では。少数機導入の選択肢もあるはずですが、この機体に日の丸をつけたところを見るのは勘弁願いたいですね。

    2010年1月18日月曜日

    サイレントイーグルの初飛行に備え販路拡大を狙うボーイング

    Boeing Looks To First Silent Eagle Flight
    aviationweek.com Jan 16, 2010


    1. ボーイングの簡易ステルス機F-15サイレントイーグル試作機のレーダー断面積(RCS)試験が完了し、同社は最初の導入国は韓国になると期待している。
    2. 韓国のF-X3契約で60機の需要があり、韓国国会で完全ステルス機の導入に慎重な姿勢が出ていることを受けて同社は自信を強めている。同機の新型一体型燃料タンクは国際開発の予定だが、提携先は未定。
    3. ボーイングが狙うのはF-15を運用中の各国。ロッキード・マーティンのF-35に関心をもつ各国にも有望な選択肢となる。サイレントイーグルのステルス性はJSFより劣るが、国防予算に制約のある各国には選択の巾が広がる。
    4. 航空作戦の初期段階においてサイレントイーグルの一体型燃料タンク内部に空対空あるいは空対地兵装を装備させれば、正面RCSを減少できる。敵の脅威を一層すれば数時間でより多くの兵装を搭載して制圧作戦を開始することができると言うのが同社の構想。
    5. 空 軍からボーイングに貸出されたテスト機F-15E1のRCSテストは同社セントルイスの無響室内で昨年8月から9月に行われた。各種の表面塗装材料から絞 り込んだ塗装が機体に施された。テストの結果は期待にそったものだったという。ただし、同社は塗装の種類およびRCS値を公表していない。
    6. テスト機の尾翼は標準形の垂直取付であり、同社が昨年に発表した15度の角度つきの尾翼ではない。新型尾翼によるRCSへの影響は数値理論上求めると同社は言う。
    7. 初飛行は7月末としている。当初は2010年第一四半期が予定だったが、同機を購入する可能性のある各国からの事前設計作業への要望を反映すべく遅らせたという。
    8. 初飛行後は発達型中距離空対空ミサイル(AMRAAM)を一体型タンク内に装着し、7月末から8月に高度2マンフィート速度マッハ0.6で初の試射をする。
    9. 一方でボーイングは輸出許可を申請中で裁定は今春に下ると見込む。
    10. 同社の販売見込みは合計190機規模だが、イスラエルがF-35 に熱心で、サイレントイーグル構想には乗り気でないのが気になる点だ。
    11. 韓国は2011年に新型戦闘機の仕様書を提示すると予想。サウジアラビアも初期型F-15合計80機の更新を検討するとボーイングは見ている。シンガポールも導入の可能性がある。
    12. ボーイングの試算ではサイレントイーグル単価を1億ドル。

    2010年1月17日日曜日

    中国のJ-10戦闘機は海外に販路を広げるか

    Chinese Chengdu J-10 Emerges
    aviationweek.com Jan 14, 2010


    1. 1998 年の初飛行以来秘密のベールに包まれていたChengdu 成都航空機のJ-10多任務戦闘機が世界市場に参入してくる。源をたどると60年代までさかのぼり人民解放軍空軍(PLAAF)に配属されて5年のJ- 10はおおよそロッキード・マーティンF-16ブロック60と同程度の性能で価格は半分なので急速にその存在を高めるだろう。
    2. 150機がPLAAFに配備されているとみられるが、この数は300機になるかもしれない。その根拠は中国がロシアから購入したといわれるサリュートAL-31FNエンジン(推力12.7トン)が300から400基であるため。パキスタンがJ-10の最初の導入国になる。
    3. パ キスタン報道では合計36機を14億ドルで購入するという。単価は40百万ドルになり、UAEが購入したF-16ブロック 60(AN/APG-80アクティブフェイズドアレイレーダー装備)は約80百万ドルだった。ただし、パキスタンの購入価格に予備部品、支援、訓練が含ま れているかは不明。
    4. パキスタンの購入機数は150機程度になる可能性がある。その他イラン、ミャンマー、フィリピンがJ-10に関心をもっていると の報道がある。
    5. 中国はJ-10 の性能諸元を公表していないが、同国国内の報道を総合すると以下のようである。全長16.43メートル 翼端長8.78あるいは9.75メートル 最大離 陸重量19,227キログラム 最大武器搭載量7,000キログラム 戦闘行動半径1,100キロメートル 最高速度マッハ2 機体限度9G
    6. 同機開発にはロシア、イスラエルの支援があったこと、さらにサリュートエンジンに依存しているにもかかわらず、中国はJ-10 を純国産戦闘機としている。昨秋のPLAAF設立60周年記念式典でJ-10が曲技飛行を展示し、同機の複座型の原型機および実寸大モックアップが国立航 空博物館で公開された。
    7. 価格以外の魅力は同機が搭載する新型の電子・兵装システム。J-10Bとしてインターネット上で写真 が流出した最新型では超音速空気取り入れ口がどことなく共用打撃戦闘機に類似している。機首には再設計され赤外線捜索・追尾システムが装備されており、電子スキャンアレイレーダーが搭載されているようだ。これが正しいと中国のレーダー技術も相当進歩してきたことになるし、J-10 も西側・ロシアの第四世代戦闘機に肩を並べることになる。コックピットには多機能ディスプレイが3面とヘッドアップディスプレイがついている。
    8. 武 装取り付け点は合計11あり、うち機体に5点ある。主要対空兵装はLuoyang洛陽PL-12アクティブレーダー誘導空対空ミサイル(AAM)で有効 射程は70キロメートル。主翼と機体に装着され合計8初のPL-12を搭載できる。短距離空対空ミサイルにはPL-8(イスラエル製パイソン-3のコ ピー)および同ミサイルの性能向上型PL-9がある。今後はヘルメット装着ディスプレイと第五世代のAAMが導入される。
    9. 同機が海外市場で成功するかは信頼度の高い高性能ターボファンエンジンが国産化出来るかにかかっている。国内のライバルメーカーShenyang瀋陽がWS-10Aターボファンエンジンを80年代から開発しており、推力は13.2トンだが、ロシア筋は開発は難航していると見ている。
    10. Chengdu は別により高性能のHuashan華山ターボファンエンジンの開発を進めており、開発には90年代後半に入手したトゥマンスキR-79ターボファン(中止 になったヤコブレフYak-141超音速垂直・短距離離陸戦闘機用)の技術データが元になっていると見られている。にもかかわらず、ロシアによると中国か らより強力なサリュートAL-31FN(推力13.5から15トンクラス)への関心が示されているという。
    11. Chengduは空母搭載型J-10の開発を開始する動きを示している。前述のPLAAF式典では地上テスト結果からJ-10が空母からも運用可能と関係者が認めたという。

    2010年1月16日土曜日

    イスラエル空軍 KC-707空中給油機を増強する理由



    Israel Bolsters KC-707 Refueling Fleet
    aviationweek.com Jan 14, 2010

    1. イスラエル空軍はイランとの戦闘行為の可能性が高まる中、KC-707給油機部隊に8号機を追加し、仮にイラン核施設を攻撃する事になった場合の攻撃能力を引き上げた。
    2. イスラエル航空宇宙工業(IAI)が23百万ドルでボーイング707改装契約を2008年に受注したのは同国の長距離攻撃能力増強を目指す戦略的な決定だった。
    3. 「我が空軍のミッションは長距離化が進み燃料がもっと必要です」とイスラエル空軍第120「国際」飛行隊司令アミール中佐(イスラエルでは保安上の理由から本人の姓は公表しない)が本誌に語った。具体的な攻撃想定の論評を避けながら、同中佐は「これで命令が下り次第短時間でいかなる遠隔地でもすべての任務が実施できるようになりました」と加えた。
    4. イスラエル空軍はイラン核施設攻撃を想定し、準備している。そのため空軍は空中給油訓練を常時行っているのだ。
    5. イスラエルは長距離攻撃能力を備えるF-15I、F-16Iを導入しており、F-15飛行隊のふたつが地上攻撃ミッションを実行可能。アミール中佐は「空中給油でどの航空機にもより多くの弾薬を運ぶことができます」とする。
    6. イラン核施設は広く分散した上で地下深くに設置されている。イスラエルはイラクのオシラク原子炉をF-16の8機編隊に各2基の爆弾を装 備してこれを破壊した実績がある。イラン攻撃ではバンカーバスターが必要でありより多くの機体を投入することになる。イランまでの距離を勘案するとミッ ション時間も大幅に伸びる。このため途中で空中給油が必要だ。
    7. 2008年6月にイスラエルは地中海上空で大規模演習を実施し、イラン攻撃のリハーサルと見られていた。その際にKC-707がF-15・F-16部隊に空中給油している。
    8. 予算制約によりイスラエルはボーイング707を使用しているが、一番新しい機体でも36年、古い機体では飛行年数50年が経過している。「現有機体を少なくともあと10年は使う必要があります」とアミール中佐は話す。
    9. そこで2004年に飛行寿命延長を開始し、IAIが主契約社となり、アナログ計器を換装し新型通信機器を取り付けている。さらにイスラエル製の給油ブームは米空軍KC-135のブームに換装された。
    10. その作業を完了した一号機は2009年11月にイスラエル空軍に引渡されたが、新装備の作動不良に遭遇したことで計画が遅れた。同機はネバティム空軍基地で試験中で空軍内で不良を解決しようとしている。
    11. イスラエル空軍が空中給油の運用を開始したのは比較的遅く、KC-707の2機でF-15の8機編隊がパレスチナ解放戦線の司令部があったチュニスを2000キロメートルかけて空爆した1985年のことであった。以来、イスラエル空軍ではKC-707を安全空域以外に敵空域内でも運用する作戦構想である。ただし、KC-707に防御装置が装備されているのかは明らかでない。
    12. イスラエルのKC-707には独自装備として当初客室だった区画に30千ポンドの追加燃料タンクが取り付けられている。内部タンクの 160千ポンドも合わせると合計190千ポンドを給油できる。また、給油機仕様から人員輸送仕様に短時間に変更できるのも特徴。その他給油ブームは3D画 面を見ながら操作できる。
    13. アミール中佐は航空作戦の詳細を語らなかったが、司令室に大量のシャンパンがあったのは同隊の任務成功の回数が相当な規模であることを物語っていた。






    2010年1月13日水曜日

    インド空軍の給油機選定で一波乱



    Indian Refuelers Cancellation Concerns Industry
    aviationweek.com Jan 12, 2010

    1. インドが昨年12月30日に給油機A330の発注6機を唐突にキャンセルしたことで、国際的に波紋が広がり、インドの防衛調達に透明性が不足しているとの不満が出ている。

    2. 当初ロシアのIL-78は入札条件を満たさないとして対象外となり、EADSとの価格交渉が昨年来進行していた。インドがEADS提示価格が高い としてはねつけたが、価格は最終決定されつつあり、ロシアの入札が受理された。ロシアは入札価格を変更せず、かわりに予備エンジン5基と保守作業を無償提 供する条件を提示した。
    3. インドの国防装備調達手順では最低価格(L1)の入札が不採択となった場合には二番目に低い価格(L2)が採択される。
    4. 2009年1月時点でのロシア提示価格は機体だけで10.05ユーロで前回インドが同機を購入した2004年水準より384%上昇していた。EADSは17.1億ユーロで交渉中とはいえ予備エンジンおよび30年の保守契約が含まれていた。
    5. インド空軍は新技術を求めており、今回の決定には不満といわれる。IL-78には満足できないのは明らかで、入札手続きそのものを疑問視している。
    6. A330はIL-78に比べて多くの点で優位だと見ている。IL-78では追加燃料タンクを貨物室内に取り付ける必要があり、A330より巡航速 度が劣り、A330が持つ民間機との部品共用性は保守作業を容易にする。また、A330の航続距離が15,000キロメートルあるのに対し、IL-78は 9,000キロしかない。
    7. インドが西方に展開する場合にIL-78だと中東で一度着陸して給油する必要があるが、A330ならそのまま飛行できる。給油機として同時に292名を輸送できる点も同機の優位な点だ。

    2010年1月9日土曜日

    F-X: F-35以外の選択肢の可能性浮上か

    Japanese Review Bolsters Non-F-35 Order Case
    aviationweek.com Jan 8, 2010

    1. 日本の航空宇宙産業を検討した報告書では同国の戦闘機製造技術が急速に衰退する可能性を指摘するとともに戦闘機をまるごと輸入するのは避けるよう同国政府に勧告している。
    2. ユーロファイター・タイフーンの発達型、ボーイングF-15あるいはボーイングF/A-18E/Fのいずれかを購入し、50機の要求を実現することが議論されてしかるべきだ。
    3. 「戦闘機技術を将来も継承するには、産業基盤が一度消滅すれば、経験有る技術者等が離散してしまい再建がままならないことを想起すべきだ」と戦闘機生産技術基盤改革委員会報告書はまとめている。
    4. F-2に従事していた三菱重工業の技術社員のおおよそ7割は別の業務に従事している、と同報告書は指摘している。現在日本で唯一の戦闘機生産である同機関連業務に従事している技術者は合計60名にすぎない。
    5. それどころか、F-2生産は2011年9月に終了する予定。同時にIHIのジェネラルエレクトリックF110エンジン生産ラインも停止する。IHIが ATD-Xステルス戦闘機技術実証機に搭載すべくXF5-1エンジン開発をすすめることも「生産能力の減少を遅らせるだけ」と同委員会は見る。
    6. 「我が国が運用する戦闘機のために完全な国内生産基盤を維持することが望ましい。これで必要なメンテナンス、技術支援、性能向上が可能となる」
    7. このくだりはATD-Xについて言及している。つまり、仮に米国がF-22供給を拒否すれば日本は独自にステルス戦闘機を開発するぞ、ということだ。
    8. 日本の戦闘機製造に従事する合計1,100社で軍用航空機開発関連に投入されている延べ時間は1.1百万時間。このうち三分の一がATD-X、別の三分の一が縮小進むF-2、C-X輸送機・XP-1洋上哨戒機関連だ。残りの三分の一は機体メンテナンスに当てられている。
    9. F-2調達が終了すると軍用機関連業務量が4割減ることになり、2014年までに国内での戦闘機開発はごく僅かな業務量になると同委員会は予測する。エンジン開発も同じ傾向となるが、電子関連は装備改修により業務量を維持出来る見通しだ。
    10. このことから、産業基盤を維持するためには日本の技術陣には開発案件が必要だとする。ロッキード・マーティンF-35が現在F-X候補最有力と見られているが、この点での貢献度は低い。あるいは同機の改修型が検討されれば話は別だが、相当先のことになる。F-35生産の業務が日本にも割り当てられる可能性はある。ロッキードがかかえる多大な業務量には海外委託がされていないものもある。
    11. これに対してユーロファイター社とボーイングはそれぞれ日本が望むのであれば自由に設計改修し自国仕様を完成させて良いと強調している。
    12. ユーロファイターはさらに先に行っており、タイフーンの設計を自由に変更してよいといっている。
    13. あるいは日本国内で戦闘機製造業務を増加させるにはF-2を追加生産し、性能向上を図るのが考えられる。これは防衛省の考え方と大きくハズレていないはずだ。
    14. 同省の防衛技術本部で航空機開発の元主任もF-2追加発注が実現すれば単価は下がると分析している。
    15. 日本経済は依然デフレ傾向であるにもかかわらず、F-2生産原価は90年代のF-15よりも高い。

    コメント: タイフーンの導入はまだ実現性が低いのですが、全然ありえないことではないということですね。あるいはアメリカ勢に対する対抗力の切り札となるのでしょうか。防衛省にそこまでのプレイヤーの実力がアルトは思えないので、記事にあるようなF-2増産でつないで、ATD-X後の実用機開発に期待する、というのが国産技術振興の観点では望ましいのでは。武器輸出三原則の改訂あれば逆にステルス機を米国に輸出することも夢ではないのですが。まずは実証機の完成ですね。

    2010年1月6日水曜日

    ペンタゴン近くに本社を移転するノースロップ・グラマンの狙い


    Northrop Grumman Moving Headquarters To D.C. Region
    aviationweek.com Jan 5, 2010

    1. ノースロップ・グラマン(本社ロサンジェルス)は1月4日にワシントンDCへの本社移転を2011年夏までに完了すると発表した。
    2. 現在12万人を雇用する防衛産業大手の同社の創設は70年前にロサンジェルス郊外であった。現在、ワシントンDC、メリーランド、ヴァージニアで候補地を絞り春までに決定する。「グローバルな防衛産業である当社の顧客構成はワシントンDC地区に大きく存在しているので、移転により当社はいっそうわが国と顧客に仕えることができるようになります」と同社の新CEOウェス・ブッシュが声明文を発表した。
    3. 本社移転でカリフォルニア州内で勤務する同社従業員3万人のうち異動となるのはわずか300人にすぎないものの、カリフォルニア州として冷戦時代から航空宇宙産業の中心地となっていただけに今回の移転は象徴的。
    4. 同州に本社をおいていたロッキード、ヒューズ、ロックウェル、リットンといった防衛大手が企業統合の激しかった90年代以降は他州に本拠を構える企業と吸収合併を繰り返した。ノースロップはグラマンとの合併(1994年)、TRWの吸収(2002年)以降もロサンジェルスを本拠地としていた。
    5. これでノースロップ・グラマンはペンタゴンの近隣に本社を置く企業の仲間入りをする。ロッキード・マーティンはメリーランド州ベセスダ、EADSの北米本社はヴァージニア州アーリントンにある。一方ノースロップ・グラマンはカリフォルニア州が引き続き同社の「研究開発ならびに生産の主要地点であることにかわりはない」としている。

    2010年1月5日火曜日

    日本はタイフーンを導入するのか


    今年最初のニュースはブログ1と同じくヨーロッパからの記事です。

    Typhoon Remains In Demand
    aviationweek.com Jan 4, 2010

    1. トランシェ3でユーロファイター・タイフーンの生産継続が2016年まで決まったが、調達数は当初の合意規模の半分を下回る。
    2. イギリスも調達を分散させるものの、予算制約のためトランシェ3以降の追加購入の可能性はない。
    3. ユーロファイターは四カ国(独、伊、西、英)共同開発による高性能・多用途戦闘機でこれまで200機が引き渡されている。最初に運用を開始したのがドイツ空軍で、英空軍ではフォークランド諸島の防空任務を本機でトーネードF3から引き継いでいる。
    4. 一方で輸出はサウジアラビア向け72機、オーストリア向け15機以外にも増える可能性がある。このうちサウジ向け機体の納入が進行中。
    5. インドの求める中型多用途戦闘航空機計画の候補でもある。また、スイス向けにも少数編成導入の商談が継続中。今年第一四半期に日本から50機程度導入の提案要請が来ると期待されている。サウジアラビアは引き続き追加購入を検討中で、オマーンも導入候補国だ。
    6. 同機を導入する各国はトランシェ3Aの決定事項でエイビオニクス支援コストの段階的削減として50%(2009-14年)、70%(2015年以降)となる恩恵を受けるはず。このトランシェ3機体の納入は2013年からとなる。
    7. これから開始となる日本向け新型機の競争でタイフーンにはロッキード・マーティンF-35が最大のライバルとなりそうだ。加えてボーイングF/A-18E/FあるいはF-15も競合する可能性がある。
    8. 予算にゆとりがあればF-35とタイフーンは競合機ではなく補完しあう機体となる、というのがタイフーン側の主張。
    9. 両機種を導入した場合にはタイフーンの主要任務はアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)を搭載し、メテオー(ロケット・ラムジェット動力のアクティブレーダー誘導空対空ミサイル)を装備することで制空任務になる他、空対地任務も想定される。反対にF-35は低視認性を生かした攻撃任務が想定されるが、空対空戦闘も可能だ。
    10. この考え方を検討しているのが、英国、イタリー、スペイン。この線で英国が日本にも購入を勧める。
    11. AESA・メテオーの組み合わせでレイセオンAIM-120Dを上回る性能になるとしているとし、日本等の輸出候補国にはこの組み合わせを推すことになる。
    12. ただし、未解決なのはAESAの設計・統合問題だ。四カ国で共通戦略の合意を見ようとしているが、英国は斜め板方式でアレイアンテナに角度をつけることで固定アレイの成約を解消する技術解決策を主張する。AESAが同機に実際に搭載されるかが日本・インドにとって重大な関心事項だjavascript:void(0)。

     コメント F-XではF-35で決定と見る向きが多いと思いますので、この記事には意外に思われるのではないでしょうか。もちろんユーロファイターによる情報操作でもあるのですが、F-35に不安を感じる向きには有望な選択肢となりうるでしょうが、両機種をそろえるだけの贅沢は事業仕切りの発想では許されそうもありませんね。でもなかなかタイフーンは魅力的です。もちろん法外な開発費用等の負担を求めてくるF-35への対抗としてタイフーンを押す作戦もありますが、どちらにせよF-35より美しい機体であるのは確かに思えます。