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バイオ燃料の実用化を本格的に開始する米空軍

Aviationweek.com 1月30日 マイアミ---米空軍は2013年までに二種類のバイオ燃料を型式証明し、ジェット燃料と50対50の混合比で30万ガロン以上の調達を計画している。民間航空ではバイオ燃料利用の拡大が動きつつある中、この計画は空軍が石油依存度を下げる大きな動きとなる。空軍は二種類のバイオ燃料を競合させる意味で各16万ガロン調達する予定。選定に残った燃料が実験、エンジンテスト、飛行テストに使われる。この概要は当地でAviation Weekが開催したシンポジウムでライトパターソン空軍基地の代替燃料型式証明事務局長ジェフ・ブラウンが発表したもの。 原油価格が10ドル上昇すると空軍の負担は6億ドル増加するとして空軍長官(当時)マイケル・ウィンが2005年に空軍の既存エネルギー依存度を下げる計画を開始した。その後空軍は合成燃料の型式証明を試み、石炭・天然ガス・バイオマスから抽出の燃料で全部隊で2011年までに飛行させることを目標としている。50-50混合比燃料で2007年8月にB-52が飛行し、昨年はC-17とB-1Bが飛行している。 しかし、合成燃料を精製する工程は温暖化ガス排出の量が石油燃料精製の場合よりも多くなる欠点がある。航空関係専門家は環境重視のオバマ政権ではバイオ燃料が望ましいと見られるものと予測している。そこで空軍が新方針を打ち出したのが新大統領就任式と時期が同じというのが興味をそそられるがブラウンによると偶然の一致という。 空軍の希望は国内運用の航空機燃料の半分をバイオあるいは合成燃料に2016年目標で代替すること。「バイオ燃料のほうが多くの点で合成燃料よりも利点が多いのです。ただ、合成燃料の型式証明が必要で、バイオ燃料開発に必要な知識情報の幅を広げるのに役立っています。」 軍用バイオ燃料の開発は民間エアラインが行っているテストの比ではない規模となり、生産量も飛躍的に増加させるだろう。大量生産の期待が寄せられる理由としてバイオ燃料に既存の精製施設を利用できるため、資金調達が難しくても新規のインフラ投資が相当節約できることがある。

レーザー兵器でUAV撃墜に成功

Aviationweek.com 1月27日 軍事仕様のソリッドステートレーザーはまだ実験室レベルだが、民生高出力工業用レーザーを使った兵器を実戦化すべく努力を続けている民間会社が二社ある。ボーイングは同社のアベンジャー防空システムにレーザーを搭載し、小型UAVを撃墜できることを実証した。一方、レイセオンはレーザーファランクスを飛翔中の迫撃砲弾に対して使用するテストをまもなく実施する。レーザーアベンジャーの実証テストは昨年12月にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)で実施された。ボーイングによると目標捕捉に成功し三機の小型UAVを「複雑な山地と砂漠の背景の中」追跡したという。キロワット級レーザーがそのうち一機のUAVを「実戦上意味のある距離から」撃墜した。目標は小型センサーまたは弾頭部分を装着したUAVで脅威として想定したもの。同機は機体に穴を貫通する燃焼が見られたという。同社は「初めて戦闘車両がレーザーによりUAVを撃墜した初の例」と主張。ロシアはそれより先にトラックに搭載の高出力レーザーによりドローンを撃墜したとする写真を公開しており、Almaz-Anteyが開発中と説明している。二酸化炭素ガスによるレーザーは技術的にはアメリカの空中発射レーザーと類似しており、アメリカはこれで飛行中のドローンを1973年に撃墜している。ボーイングとレイセオンのシステムはそれぞれ類似しえちるが、より軽量な電気レーザーである。2007年には初期型のレーザーアベンジャーが道路上の爆発物および不発弾を無力化する実証実験に成功している。ごく最近の実験ではレーザー出力が二倍となり、目標捕捉追跡・位置調整を加えるとともに、簡素化され高耐久化された。レーザーアベンジャーの開発予算はボーイング自社負担だが、すでに同ユニットの情報を顧客候補複数に提供したという。「政府予算がつけば、一年で実戦配備が可能です。」(同社)高出力レーザーがあれば現在アベンジャーが搭載しているスティンガーミサイル4本いりキャニスターが不要となる。レーザーに野戦カメラ赤外線目標捕捉システムを組み合わせることは可能だ。レイセオンは高出力レーザーをファランクス機関砲に取り付けることをめざしており、艦上搭載あるいは地上搭載の短距離防空を狙う。2006年6月には静止試験で20キロワット急の工業ファイバーレーザーを使用し

F-22合計24機をグアム・沖縄に配備

Aviationweek.com 1月26日 F-22の配備は第四回目かつ最大規模で飛行隊全部がエルメンドーフ空軍基地(アラスカ)からグアムのアンダーセン空軍基地に移動する。別に12機がラングレー空軍基地(ヴァージニア州)から嘉手納基地に今月はじめに飛来している。第一回目の配備がラングレーからエルメンドーフまで、第二回目はラングレーから沖縄へ、第三回目はエルメンドーフからグアムまでの派遣だった。すべて臨時編成の飛行隊として新鋭戦闘機の支援体制、信頼度を測る意味があったもの。 ただし、米国内の基地から嘉手納まで無着陸で飛行させることはリスクがあると考えられるのは、途中の洋上で島しょ・船舶から機密情報を収集される可能性があるため。特に電子・信号情報収集(sigint)が航行中の中国船舶多数から試みられる可能性があると、情報筋は認める。sigint能力のあるロシアTu-95複数機が最近グアム近辺を飛行して緊張を招いたばかり。 米国関係者は今回派遣の二飛行隊はアジア太平洋地区全体の安全と安定を保証する部隊の定期的なローテーションの一環と語る。アジアで軍事的な緊急事態が発生すると、アメリカの戦闘機がハワイ、グアム、アラスカそして嘉手納から日本、韓国、シンガポール内の前線基地に移動する。米本国からの追加派遣部隊が途中の基地に展開し、追加戦力として準備することになる。 西太平洋におけるF-22の主要な任務は巡航ミサイルへの対抗策であり、同機の高度なアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)式のレーダーで長距離から小規模目標を捕捉し、あわせてAIM-120CおよびD型のARMRAAM空対空ミサイルの新型搭載により巡航ミサイル防衛を期待される。F-22のもつ高度な電子偵察能力で中国、ロシア他の電子偵察活動を監視することも可能だ。

オバマ政権下の国防予算動向を占う

ターミナル1 2共通記事としてオバマ政権での国防予算の動向についての観測記事がありましたので掲載します。 Flightinternational.com 1月20日 航空宇宙産業は経済危機とは無縁の数少ないセクター。しかし、国防関係の調査開発、生産規模が年間1950億ドル規模となっているとはいえ、航空宇宙産業には困難な課題も存在する。ひとつには資金の不足がある。国防予算は今や第二次大戦後最大規模になっているのに、皮肉なことに航空宇宙産業の財政状態が逆にあだとなるのだという。実際には状況はもっと複雑である。オバマ政権の防衛支出は未知の要素に左右されるかもしれない。たとえば、紛争、テロ攻撃の発生。ただし、防衛支出の長期傾向は明白で、国防総省予算は当面は現状水準の維持となる見込みだ。これは兵器調達が急激に減少することを意味する。 国防予算の近未来動向は 戦費補正予算分除く2009年度の国防予算総額は5,170億ドルで、11年間連続の予算増となる。アメリカの国防支出は10年から15年周期で増加・減少を繰り返しており、最近の底は1997年。中期見通しは支出増が減速することを示しているが、急減少はまだ数年先のことになろう。議会予算局(CBO)の予測どおり2014年から2026年の平均年間支出が増減ゼロの予算になると、ペンタゴンの購買力は大きく減少する。その間にアメリカ経済全体が成長をするはずだからだ。国防総省の支出規模の対GDP比率は平均5.6%だった80年代から90年代は3.8%になっている。CBOは2013年に3.1%、2026年には急落して2.6%と予測。議会と新政権は経済活動との比較で最低規模は安全保障に投資していく必要があり、GDP4%相当が提案されており、現在の規模では5,910億ドルとなる。経済規模に呼応した国防支出の利点は明らかだ。国防支出はやがて安定し、未知の地政学的な変化があっても予算規模を想定することが可能となる。 4%枠を設定しても支出額は歴史的な規模を維持することになる。 予算基盤を増強 ではどれだけを国防予算に支出できるのか。戦略予算措置評価センター(CSBA)が9月にまとめた報告書では2018年度のGDP4%の国防予算は8,950億ドルとなり、長期予算案よりも2,630億ドルも多くなる。2009年度から2018年度の間の総支出額は4%枠では7.4兆

イラクからアフガニスタンへ 変わるアメリカの役割

Aviationweek.com 1月14日 イラク戦争とアフガニスタン戦争は表裏一体だ。ともに9.11攻撃の余波であるが、違う理由と違う方式で戦闘が継続している。イラク戦は大部分が都市内部、宗派間、イラク国境内部での戦闘行動である。一方、アフガン戦は農村部、かつ大部分が南部、東部でパキスタン西部のパシュトゥーン族と関連のある地帯が舞台である。その結果、ナサニエル・フィック(アフガニスタンで2001年から2002年従軍の元海兵隊将校、現新アメリカ安全保障研究所で主任研究員)はアフガニスタン国境内の戦闘行為だけに目をとらわれず、「パシュトゥーン族の心理的国境には半分がパキスタンとなっていること」に注意すべきと語る。  アメリカから3から4旅団(1万人から1.5万人)を増派し、現在イラクで従軍中の部隊から手当てする案がある。だがアフガニスタンで兵力増強をしたとしても、イラクよりも広大かつ人口も多い同国の中では少々の規模拡大ではインパクトに欠ける。新しい陸軍・海兵隊共用対内乱野戦マニュアルFM3-24によると、民間人千人につき、対内乱兵員20名が必要とされている。これをアフガニスタンにあてはめると、必要な兵員数は60万人となり、実現は不可能な規模だ。同マニュアルの編者のひとりジョン・ナガル(元陸軍中佐、新アメリカ安全保障研究所主任研究員)はアフガニスタンで対内乱戦闘を成功裏に実施するためには「アフガン保安部隊の劇的な増加が必要だ」と語る。ゲーツ国防長官も最近になり、アフガニスタン陸軍を現状の7万人から13万人に増強する案を公表している。だが、ナガルは「されに倍増して25万人必要だ」という。さらに、タリバン内部で使命感・信条に欠けるものを分離させる工作が必要とも主張する。アフガン保安部隊の増強、タリバン勢力の減退、アメリカによる対内乱戦術の向上に加え、アフガン陸軍内部で経験の蓄積があれば、今後数年間のうちに戦闘の方向性が変わってくるというのである。  アフガニスタンへ向かうアメリカ部隊についてフィックはアフガン陸軍向けの訓練に従事させることを進言している。ナガルはまずはカブールの制圧が第一で、そのあと治安を郊外に広げるべきと見る。「一方でアフガニスタン・パキスタン国境地帯に追加部隊を駐留させる。これなら勝利は可能だ。これまで十分な部隊を投入していない。だが、もっとすべきこと

次次世代の超音速・長距離攻撃機に期待する米空軍

Aviationweek.com  1月11日 米空軍の次世代爆撃機の飛行速度は亜音速とする決定があり、極超音速実証機ブラックスウィフトの計画中止が決まったばかりだが、高速・長距離飛行が可能な攻撃機に対する関心を失っていない。 次世代爆撃機を亜音速とする決定は高い生存性を持つ超音速機技術が2018年までには成熟化していないためであると空軍研究所の航空機部主任科学者ロナルド・ポールは語る。「高い生存性」とは高度ステルスであり、エンジンを機体に埋め込んで尾翼のない形状となるが、この機体形状では超音速機はまだ実現していないというのだ。空軍が2018年爆撃機を定義した際には超音速機を実現する技術が実用化されていなかったとポールは説明する。 鍵となる技術はアクティブフローコントロールであり、空気取り入れ口と排出口と無尾翼機体の制御に関するものとポールは語る。 空軍研究所では同時に航空戦闘軍団および太平洋司令部と共同で長距離攻撃機の研究も行っている。これは有人亜音速機となった次世代爆撃機の後継機をめざすものだが、現在は兵装に焦点を当てているという。検討されたオプションには高速度長距離ミサイルにボーイングX-51スクラムジェット実証機の技術を応用するものがある。X-51は本年末までに初飛行の予定。 極超音速航空機の実証機として期待されたブラックスィフト計画の中止により、同研究所はX-51の長距離版に追加予算が計上されることを期待している。ブラックスィフト(空軍研究所と国防高等研究プロジェクト庁の合同研究プログラム)は議会が野心的な目標の達成は無理とし昨年その開発を取りやめさせたもの。計画に終わった同機は滑走路からの離陸、ターボジェット推進での加速、スクラムジェットへの動力切り替え、マッハ6での巡航と飛行操作、か滑走路への着陸をもくろんでいた。 もし、空軍研究所にブラックスィフト向け予算が計上される場合には極超音速技術の研究の継続に使われると見られ、X-51(空中発射、ミサイル大)の開発が進むだろう。

大統領専用機の後継機種さがしが始まった

Flightglobal 1月9日 米空軍はボーイングVC-25大統領専用機の後継機選定に踏み出した。昨日、現有のVC-25(747-200改造型)2機に替わる広胴型合計3機発注を前提に市場情報の公告を発表した。代替候補の検討は2007年にしており、その際はA380が候補で、VC-25の近代化を実施するよりも新規購入が費用対効果で有利との結論であった。 次期大統領専用機一号機の納入は2017年としており、二号機三号機は2019年、2021年納入とする。選択肢は 747-8I とA380 に限定されよう。2007年10月にエアバス社は米空軍よりの要求でA380,340,330各機に関し前例のない範囲のデータ提供を実施している。今回の新規要求に対して同社は「同要求文書をすでに受領しており、検討中です。今後社内決定となります。」と発表している。昨年9月にEADSノースアメリカは大統領専用機含む各種米空軍向け開発計画を推進すべく開発責任者の公募公告を掲載している。 一方、ボーイング幹部は大統領専用機契約の受注は同社最重要事項の一つと発言している。「同契約はボーイング社に大きな意味を持ち、これまで50年にわたり維持している当社は大統領専用機に必要な事項をはっきりと理解しております。」(同社スポークスマン) ボーイング707を基にしたVC-137エアフォースワン一号機の納入は1962年。その28年後にVC-25が引き継いだ。同機も機齢27年を超え退役を迎えようとしている。 ただ、米国航空メーカーによる大統領用航空機供給の独占状態はすでに2004年に破られている。ロッキード・マーチンがアグスタ・ウェストランドEH101を原型とする次期他大統領専用ヘリコプター提案がシコルスキーH-92案を破って採用されているからだ。 コメント:ボーイングにはまた不利な展開となりそうな気がします。A380になると、またボーイングからの抗議となる泥仕合になるのでしょうか。そうなるとグローバルに大統領を運ぶ機体がなくなっていまいますが、いまさら巨大なA380をエアフォースワンとして運航するよりも威厳はなくなっても長距離ビジネスジェットや787にダウンサイズしてはいけないのでしょうか。通信機材や余裕の問題から一定の大きさが必要なのかもしれませんが、エアバスが大統領専用機になる事態だけは目にしたくないもので

インド海軍の次期哨戒機はP-8に決定

Aviationweek.com 1月5日 インド海軍がボーイングP-8i型多任務航空機合計8機を1月2日に発注し、同数の老朽化すすむTU-142と代替する。これはボーイングによるインド向け軍用機の初の直接販売となる。 今回の取引ではボーイングが30パーセントの実質値引きを提示。同社は引渡し予定ではコメントをしていない。 P-8Aは長距離、対潜哨戒、対艦攻撃、情報収集、監視、偵察機能を有し、戦闘空域における共同作戦能力を最大限発揮できるミッションシステムを搭載。 同機のオープンアーキテクチャアにより国内開発センサーの統合、機能向上アップグレードが簡単にできる。国産センサーを搭載可能と言うことはインドが今後海外(例としてイスラエル)との共同開発を進める余地があることになる。 高成長を続ける同国経済のエネルギー供給路がアフリカ沿岸まで延びており、インド海軍の洋上監視手段は大きな課題に直面している。さらに、南西アジアの安全保障体制の変化により、洋上でも軍事即応体制が必要になってきた。この関連でP-8I型機は今すぐ必要な選択と見られている。インドがP-8を導入すると、アクティブ電子スキャンアレイレーダー搭載のF/A-18E/FあるいはF-16とのネットワーク化の相乗効果には関心が寄せられよう。 一方で、インドはハープーンミサイル20基(ブロックII)をアメリカから購入し、インド空軍・海軍の対艦攻撃能力を近代化したいと考えている。 ハープーンミサイルの主契約先もボーイングとなる。今回の商談ではボーイングからの価格相殺ないといわれており、オプション全部含めると同契約成立時の価格は1.7億ドルとなるだろう。 同ミサイル導入でインド海軍もアメリカとの共同作戦能力を高めることができる。米国国防安全保障協力庁はインドによる同ミサイル導入に問題なしとの見解だ。ボーイングP-8I型にはハープーンミサイルの搭載が大きな変更なしで可能と予想される。 コメント 実質3割引、と言うのはインドとの商売のつらさを感じさせるくだりですね。日本はXP-1(P-X)の開発を進めており、P-8導入の余地はまったくありませんが、双発機で洋上低空低速ミッションができるのかと言う根本的な不安がありますね。運用上はUAVを低速監視に使うとのことですが、こちらも初飛行が大幅に遅れ、機体価格が初飛行まで進んでいるXP

イタリア空軍向けKC-767が就役へ一歩近づく

FlightInternational電子版1月2日 配備が遅れているイタリア空軍向けKC-767A空中給油・輸送機だが、ボーイングが同型機からの空中給油の実証実験に成功し、就役が一歩近づいてきた。 ボーイングのウィチタ工場(カンザス州)上空において12月17日にイタリア発注のKC-767一号機が4,540キログラム(1万ポンド)の燃料を二号機へ空中給油した。飛行中に同機の給油ブームを用いて合計7回のコンタクトに成功したボーイングは発表している。 KC-767のローンチカスタマーとなったイタリアは2005年から2008年までに4機の受領を想定していたが、飛行テストで判明の技術問題で大幅に遅延。ボーイングは昨年2月に2機を2008年末までに引き渡すと発表していたが、これも実現できなかった。発注済の残り2機はまだ製作中。 イタリアに続き同機を発注した日本は発注4機のうち2機を運用中。 コメント: すべてのモデルで引渡しが遅れているというのはそれはそれですごいこととしかいいようがありません。それはいいのですが、空中給油機に空中給油させるというのはイタリア空軍がアフリカ、西アジアはじめグローバルに輸送力を提供する作戦構想を持っているからでしょうね。

B-2 レーダー改修へ

あけましておめでとうございます。 今年も防衛産業の話題をターミナル2で扱っていきます。 最初に少し遊び心もあり、いつも当方がニュースソースとしている二つのサイトで同じ話題を同扱っているかを比較してみました。今年もよろしくご愛読ください。 まず、FlightGlobal http://www.flightglobal.com/home/default.aspx です。 B-2レーダーの改修の生産が始まる FlightGlobal.com 12月30日 米空軍はB-2のレーダー近代化改修(RMP)の開始を初期低レート生産でノースロップ・グラマンに総額468百万ドルで発注した。B-2のレーダーアンテナは新しい周波数帯の電子アクティブスキャンアレイ(AESA)に更新される。 本契約はノースロップによるアレイの再設計が米空軍の要求水準を満たしていることを意味する。米空軍は再設計が必要な理由については言及していない。ノースロップ関係者は米空軍発表についてのコメントをしていない。 米空軍がB-2のアンテナ改修を必要とするのは現在使用中の周波数帯が民用使用に切り替わるため。アンテナが切り替わるが、レーダー性能はレーダー・プロセッサーの更新がないため現状のまま。ノースロップの共同事業者はレイセオン・スペース・アンドエアボーン・システム、ロッキード・マーティンシステムインテグレーションおよびBAEシステムズの各社。 なるほど、コツを抑えた報道ですね。次はおなじみAviation Week and Space Technology (エイビエーションウィーク)http://www.aviationweek.com/aw/awhome.jsp です。 米空軍がB-2レーダーの改良型生産契約を交付 AviationWeek.com 12月30日 ノースロップ・グラマンはB-2のレーダー改修計画(RMP)契約を受注した。米空軍によるとレーダー改修はB-2ステルス爆撃機の「作戦運用性を持続する」ものという。同改修が必要となったのは商務省から米空軍に対しB-2で使用中のレーダー周波数の停止を求められたため。 改修の中心はアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)アンテナ。レーダー信号とデータ処理の変更はなく、性能の追加もない。ただノースロップグラマンによるとRMPは将来の性能拡張の基礎となるという。

お知らせ

ターミナル1にオバマ次期政権におけるビジネス航空、航空管制への影響についての観測記事をviation Weekより紹介しましたので、ご関心の向きはご覧ください。

F/A-18合計2千機のシステム改修

AW&ST 電子版 12 月 24 日 ボーイングは合計 2 千機の F/A-18 各型、 8 カ国で稼働中の機体のミッション・システムの改修契約を総額 9.053 億ドルで米海軍から獲得した。 F/A-18 A/B, C/D, E/F および EA-18G 各型の米国、カナダ、オーストラリア、スペイン、クウェート、スイス、フィンランド、マレーシア各国で運用中の機体は 2013 年 12 月完了予定の性能向上改修を順次受けることになる。今回のアップグレードは同型機を「今後 30 年間に出現する脅威に立ち向かえる」(ボーイング社スポークスマン)地位にとどめるためのもの。 今回の受注はボーイング社には大きな意味を持つ。同社はこれまでロッキード・マーチン F-35 共用打撃戦闘機やサーブ・グリペン NG を待つ米国および同盟国空軍には F/A-18 がつなぎとなるばかりか代替選択肢となると宣伝してきた。オーストラリア空軍、米海軍、米海兵隊がそろっていわゆる戦闘機ギャップをどうやって埋めるかで頭を悩ましてきた。 ボーイングはミッション・システムの改修をソフトウェア、ハードウェア両面から進める。その中には分散処理による目標設定プロセッサ やアクティブな電子スキャンを使うレーダーの改良が含まれ、改修効果が相乗効果を生むと同社は語る。 改修作業の 95 %は同社セントルイス工場(ミズーリ州)で実施、残りは海軍航空戦闘センターのウェポン部門(カリフォルニア州チャイナレイク)で予定。後者は今回の契約管理部門でもある。これだけの大規模契約であるが、予算は会計年度を繰越できないことになっている。 コメント : なかなかしたたかなビジネスです。新鋭戦闘機は当分ものにならないので、現有機の性能向上で運用能力の維持向上ができますよ、ということですね。こうなると、F-35等次世代戦闘機の導入がまた一歩遅れることにもなりかねません。F-35はお世辞にも美しい機体ではありませんので、当初は批判を受けながら順次成長してきたF/A-18(この表記をする機体も同機が最後?)の魅力的な姿が当分見られるのはうれしいことです。

空母運用に向けて準備進むX-47B

AW&ST 電子版 12 月 18 日 カリフォルニア州パームデール発 ---- ノースロップ・ グラマンと米海軍はX -47 B無人戦闘航空システム(UCAS) 実証機用に、 航空母艦の飛行甲板あるいは空中から同機を管制する制御装置、 視覚上の工夫、コンピュータ・ プロトコールの一連のデバイスを開発中。 その一部が 12 月 16 日に当地の同社施設でのX -47 Bロールア ウトで発表された。飛行可能な機体第一号AV -1 は 2009 年 1 1 月 11 日に初飛行する。二号機AV -2 は 2009 年 12 月に完 成予定。両機で無人戦闘航空機の空母運用の可能性を実証する。 初飛行後は一年間の性能限界向上テストをエドワーズ空軍基地( カリフォルニア州)で行い、 その後パタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州) に移る。カタパルト発進テストをレイクハースト海軍航空技術部( ニュージャージー州)で実施後にノーフォーク(バージニア州) でニミッツ級空母に搭載され、 2011 年 11 月に洋上の空母着艦 試験で終える。使用する空母はハリー・S・トルーマン(CVN 7 5 )を予定。 空母運用の適合性試験では無人機の空中・ 艦上での管制方法を評価する。 UCAS部隊関係者は飛行甲板上で「イエローシャツ」 と呼ばれる航空機運用関係者の後ろにたち、 リモコン装置で同機を操る。 イエローシャツの役目は混雑した空母上で円滑な運用と安全の確保 。標準的な空母の飛行甲板上に 12 人から 15 人のイエローシャツ がいる。 X -47 Bの状況は機首車輪に装着のライトの組み合わせで飛行甲 板乗員に表示される。緑のライトは甲板要員が同機を制御中、 青は同機がミッション要員の制御下にあること、赤は障害を示す。 UCASは空母への接近・ 着艦を自動で行うがその際に利用するのが共用精密接近着艦システ ムの母艦連動GPS着艦システムである。 UCASも着艦信号士官(LSO)が飛行士の経験を生かし、 最終接近で視認責任を果たすことになる。 アプローチが正しくない、 あるいは着艦位置が不明の場合にはLSOはインターロック・ スイッチを入れて着艦を「拒否」できる。 このスイッチでデジタル信号をUCASに送り、出力増で一気に 1 200 フィートまで

F-22のデータリンク改修の方向性

AW&ST電子版 12 月 19 日 米空軍はF -22 向け次期改修作業の要求内容を準備中で同戦闘機 にF -35 用に開発中のステルス性のあるデータリンクを装着する 。「F -22 の兵器システム開発の性能向上フェーズは 3.2 改修 で、多機能高度データリンク(MADL)能力の確保を含みます」 (ロッキード・マーチン) 同社は 3.2 改修作業の開始を控え、 高度データリンク装置の選定を待っている状態。改修は 2012 - 13 年にかけて実施される。ノースロップ・ グラマン製のMADLがロックウェル・ コリンズの戦術目標ネットワーク技術(TTNT) によるデータリンクを押さえて採用されている。 MADLは米軍のF -22 、F -35 、B -2 で構成の「 アクセス不能」部隊を束ねるべく採用された。 さらに海軍が開発中の無人戦闘航空システムも含まれる可能性があ る。F -22 にはすでに航空機間データリンク(IFDL) が装備されているが、同装置の性能には限界がある。 F -22 にMADLを装着するためには無線装置の更新、 現行IFDLアンテナのMADL用改修、また「 部隊間メッセージの統合処理のためのソフトウェア」( ロッキード・マーチン)が必要となる。空軍は当初 3.2 改修の対 象をF -22 のうち 80 機のみと計画していたが、 国防総省の調達責任者ジョン・ヤング次官が 11 月に議会に対し、 追加予算を要求し、初期生産 100 機にも追加改修する意向を伝え ている。 国防総省の高度戦術データリンク構想ではMADLが唯一の非アク セスネットワーク用のデータリンクとなる。B -2 向けにはEHF 衛星通信リンクが加わり、全地球情報網( Global Information Grid )への接続が可能となる。 「現在のところF -22 では追加の双方向データリンクはMADL とIFDL以外には要求を想定していないが、 アーキテクチャの方針決定を準備中で、 追加性能の統合が可能となります。」(ロッキード) コメント:  net centric warfare の中核をなすのがデータリンクですが、この 10 年 で米軍は相当の進歩を実現していますね。F -22 の調達は異例の 少数規模で終わりそうですが、 性能をこ

イランがロシア製SA-20を導入か

AW&ST電子版 12 月 10 日 米政府高官(複数)はイランがロシア製SA -20 長距離SAMシ ステム購入を「契約調印」していると確認。 イランが同システムを稼動させる西側が問題としている同国内核施 設の防衛能力が大幅に向上されることとなる。 「イランはSA -20 購入契約に動いている。 当方にとって今まで経験していない規模の課題に直面する。過去 2 0 年にわたり我方の航空優勢があってこそ安全保障が有効でどこで も自由に作戦を遂行できると感じていたにすぎない。」( 政府高官) アルマズ・アンテイ製SA -20 または S-300PMU1/S- 300PMU2 は非ステルス航空機には大きな脅威となり、 航空戦術ならびに作戦計画そのものの変更を余儀なくされる。SA -20 の有効範囲は 150 キロメートルであり、イランは S- 300PMU-2 型の購入契約を調印している可能性がある。 ロシアはべラルーシを販売経路として利用し、 自国は直接関与していないと主張している。(政府関係者) それでもイラン軍がSA -20 の運用能力を獲得するのには 22 ヶ 月は必要だろう。ただ、 契約内容に要員訓練が含まれる可能性は十分ある。

米海軍:無人機X-47Bで空中給油の実証へ

AW&ST電子版12月8日 ノースロップ・グラマンはX -47 B海軍向け無人戦闘航空実証機 ( UCAS-D )の二号機を改修し、自動空中給油(AAR) を海軍のプローブ・ドローグ式、空軍のブーム・ レセプタクル方式双方で使用可能とする。 米海軍は同社に単独契約を与え、AAR能力の実証を 2013 年ま でに実現する案を発表している。AARが実現するとN - UCAS (海軍版のU-CAS)の 2020 年実現目標である有人機以上の 偵察・攻撃能力を実現し、 敵の対艦弾道ミサイルの射程外から空母が陸上目標対象の作戦を実 施できる。製作中のX -47 Bはいずれも空中給油可能の設計。N - UCAS担当責任者スコット・ ウィンシップは二号機の移動式レセプタクルを利用可能とし、 給油プローブを取り付けるという。 X -47 B各機は空母発進、着艦の実証実験を 2011 年までに実 現する予定。自動空中給油の実証実験はUCAS - Dプログラムの 技術成熟の並列実施として企画。ただ、 海軍が独自で実証実験をするのか、空軍研究開発実験隊( AFRL) の自動化空中給油プログラムと合同で実施するのかは不明。 AFRLは 2011 年予定でブーム・ レセプタクル方式の空中給油をF -16 を無人機と見立てて実施す る。

E-3 AWACSの改修作業が進行中

AW&ST電子版12月3日 NATO運用のAWACS合計 12 機の大規模ミッション・ システムのアップグレード契約がボーイング主導のチームに総額 1 3.2 億ドルの中間近代化計画として交付された。 パートナー兼受託業者であるEADSがAWACS最終機の改修を 予定通り 11 月 3 日に完了した。 ボーイングもNATOのAWACS向けシミュレータ 2 基を中間近 代化仕様で納入している。 中間改修の主眼は新型の状況表示コンソールに以下を組み込んだこ とである。平面ディスプレイとユーザー・ フレンドリーの航法装置、 オープンアーキテクチャのミッション演算装置、 マルチセンサー積分により目標捕捉・識別精度を向上する機能、 また操作員の作業量を軽減するためにデジタル通信装置に衛星経由 で水平線外通信、 広範囲スペクトラムのVHF無線で近年増加中の東欧各国の空・ 陸部隊を支援すること、のほか、 敵味方識別機能の向上版で次世代国際航空交通管制システムとの互 換性あるもの、また、 最新の全地球測位システムを取り入れたものを装備している。 NATOのAWACS部隊以外もボーイングによる改良の恩恵を受 けている。 9 月にボーイングは米空軍のE -3 AWACSのブロッ ク 40/45 機体向けのミッション・ システムの飛行試験を完了した。これは同社によるとE -3 部隊の アップグレードでは最大規模のものという。また、同社は総額 42 百万ドル以内という海外軍事販売契約でサウジアラビア空軍のE - 3 A AWACS 5 機のレーダー改修第一フェーズを受注している。 初期診断でどの部品が老朽化しているかを判断し、 交換部品の試験および改修が実施される。 第二フェーズでノースロップ・ グラマン製のレーダーシステム改良プログラム(RSIP) キットの製作および取り付け、ソフトウェア統合と試験、 乗員訓練が行われる。

ゲーツ国防長官の課題

C -37 A機上にて。 オバマ次期大統領がロバート・ ゲイツ国防長官留任を発表してからわずか数時間後、 同長官は本誌に今後は国防総省の調達制度を整理することに焦点を 当てると語った。 ゲーツ長官は 12 月 1 日の本誌取材でハイテクを利用した米軍に匹 敵する敵に対峙する場合、 より安価な兵器でテロ戦争に立ち向かう場合、 さらに将来は国家ではない敵との対立の場合を想定した軍事力のバ ランスが必要と語った。 予算制約がある中で先例のない水準の各軍の協力が今後の軍事力構 築の構想と規模の設定で必要と言う。 各軍は運用上で交流を実現しているものの、 要求内容と調達業務では直接の合同企画づくりが欠落している。 「 これには各軍の司令部と原隊に加え長官官房の間でこれまではなか った形の協力関係が必要となる。これがこれまで機能していない。 ここが難しいところなのだが、 将来を見据えたある部門のプログラムにより多くの投資をして、 別の軍のプログラムへの出費を減らすと甘んじて受け止められるだ ろうか。」 これが将来の戦術航空機の兵力編成で鍵となる質問である。 例をあげると、ロッキード・マーティンのF -22 生産ラインが閉 鎖寸前となっている。マリエッタ工場(ジョージア州) の運命を左右する決定が三月までに必要と議会関係者は見ている。 その埋め合わせとなりうるのがF -35 だが、何機、 どの型式の同機を購入すべきかという問題がある。F -22 発注を 巡る意見対立はゲーツ長官が空軍参謀長を更迭することで米空軍の トップを入れ替える以前から続いていた。  「新参謀長は空軍にはF -22 が 381 機も必要ないと考えている 。また、 185 機で十分とも考えていない。そうすると、F -22 を追加配備したら、 代わりに共用攻撃戦闘機プログラムを犠牲にできるか、 と言う問題だ。」(同長官) 国防総省が空輸機・ 空中給油機の編成を見据える際にも同じ問いかけが発生する。 ボーイングC -17 の生産ラインも閉鎖が近づいており、 一方でロッキードC -130 JとL -3 コミュニケーションズ - ア レニア・ノースアメリカC -27 Jの追加購入が可能だ。 一方で、ボーイングとノースロップ・グラマン - EADS連合の競 争入札で給油機 179 機を完成さ

F-35を電子攻撃に投入する考え方

AW&ST 電子版 11 月 30 日 米空軍、 海兵隊向けの戦術電子攻撃機の後継機では長年の議論があったが、 F -35 が両軍に採用される可能性が高まってきた。 今日の戦闘で一番需要が高いのが電子攻撃(EA) を任務とする航空機であるのは軍事運用の専門家の一致した意見で ある。そのため、 より多くの機数と性能向上を求める圧力が存在する。 「電子攻撃は空軍、海軍、海兵隊の核心となるミッション領域だ。 電子攻撃が F-35 の中心ミッションとなるだろう。」( F-35 ライトニング II 開発の責任者チャールズ・デイビス少将) ただ、その開発は先例としての空軍のEF -111 レイブンや海軍 のEA -6 Bブラウラー・FA -18 Gグラウラーのアプローチは とらないだろう。 外部ポッドとアンテナアレイによる電子兵装の研究が進行中。 この追加電子兵装開発はF -35 の特徴である機体間のデータ交換 と組み込みずみのEA能力を活用するのが目標という。 「 F-35 は合計 80 もの異なるプラットフォーム間で相互運用を 想定し、 140 種類以上の情報を地上、艦船、 航空機との間で交換できる」(デイビス少将) 電子戦は合計 23 通りのミッションへの追加にすぎない。 「F -35 は第一世代のステルス機F -117 の教訓を生かした設 計だ。F -117 と違うのは戦術情報の共有能力がF -35 では最 初から組み込まれているが、ステルス性を犠牲にしていないこと」 (同少将) ただし、航空宇宙産業界では意見が分かれている。専門家にはF - 35 は電子戦能力が不足し、 機体内にシステムを追加する余裕がないと見る向きもある。 その解決策はジャマーと電力供給を兵装庫内に追加してステルス性 を確保するか、追加装備を外部搭載し、 スタンドオフの電子妨害任務に戻すかであるという。 「一機で電子攻撃任務の全部を実現することはできません。」( 電子戦に長い経験を持つ電子産業界の専門家) EA -18 Gグラウラーは双発で発電機も二基搭載して電力供給も 余裕があり次世代ジャマー(NGJ)を搭載できる。 NGJは長距離のスタンドオフ電子妨害能力があり、 風力発電装置の付いたボッド内に搭載する設計で、 多数の機体に搭載可能だ。