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KC-X 応酬するボーイングとEADSノースロップグラマン連合

Boeing, Airbus Chiefs Exchange Tanker Barbs aviationweek.com Oct 22, 2009 1.ボーイング経営トップは同社が不公平な優位性を米空軍KC-X空中給油機契約競争で受け手いるとの見解を否定するとともに逆に競争相手のEADS-ノースロップ・グラマン連合こそ政府補助金を受けた機体を使っていると非難した。 2.EADSとノースロップ・グラマンは当初は350億ドルの給油機契約を2008年初めに獲得したものの、米会計検査院がペンタゴンによる選定基準に疑義を呈したため契約ヶ成立しなかった経緯がある。今回は同連合からA330ベースの価格詳細情報がボーイングに漏れていた野ではないかとの疑惑が発表された。 3.「当方にとっては無視できない話題です。と言うのも双方ともに同じような機体を提案しているからです」とEADSのCEOルイ・ギャロワがワシントンでの10月20日記者会見席上発言している。「ボーイングにとっては当方の価格構成がわかることが好都合でしょう。当方も同じことが言えます」 4.これに対しボーイング会長兼CEOのジェイムズ・マクナーニは10月21日にボーイングの「いわゆる優位性」について反論した。「今回の競争では相手方から当社の情報がないという抗議ヶありそこから情報が出ている感じがする。相手方のいわんとしていることが理解できない」と第③四半期営業報告の発表席上発言している。 5.マクナーニは世界貿易機構によりヨーロッパ各国政府が不正にエアバス開発の補助金を支給していたとの指摘があったことを取り上げている。逆にヨーロッパ側からはボーイングが米政府からの援助を受けているとの反論に対する裁定は2010年に出るものと予想されている。 6.「公正な競争とはいえない。なぜなら今回の裁定内容で事実上エアバスの各機種が補助金を受けて開発されたことが判明したためで、A330もそのうちのひとつだ」とマクナーニは続ける。「これにより相手方は当社以上のリスクを引き受けることができるようになっている。このことは当社が詳しく調査したいと思っている」 7.マクナーニの発言は同社の統合防衛システム部門(軍用機関連)の売り上げが年換算3%増加し87億ドルになったとの説明の席上であったもの。営業利益は4%

F-35 韓国に甘い誘惑を送るロッキード

Lockheed Dangles F-35 Work For S. Korea aviationweek.com Oct 21, 2009 1. 韓国がF-35発注に踏み切った場合、同機部品製造に韓国企業が参入することができるとロッキードマーティンは発表。 2. 生産ペースが上がり、日産一機になると、決定済みのメーカーに加えサプライヤーを追加する必要がある。 3. F-35用の部品製造は韓国航空宇宙産業には仕事量は増えても国産戦闘機設計では進歩する可能性にはつながらない。ボーイングはF-15SEへの韓国の参加を提案しており、こちらでは技術力向上が期待されている。 4. コリアンエアの子会社コリアンエアアエロスペースはF-35生産の分担に関心を持っているものと見られる。 5. F-35ブロック2とブロック3のソフトウェア作成では生産分担の可能性があるとロッキードは見ている。 6. 一方、韓国は同国F-X IIIの要求性能を持つ機体合計60機を求めている。それとは別に国産KF-Xを2020年配備を前提としたより高い性能水準の発揮に提案されている。来月にも同計画の今後が決定される見込みで、実現すれば韓国航空宇宙の技術水準を押し上げる効果が期待されるが、F-35購入に対して費用対効果の点で疑問が呈されているのも事実。さらに、KF-Xの要求性能水準は半ステルス性まで格下げされている。

インドが陸上配備型E-2Dを検討中

India Mulls Land-Based E-2D aviationweek.com Oct 19, 2009 インド海軍は将来の空母設計を再評価中で米海軍の電磁航空機発艦システム(Emals)(ジェネラルアトミックスが開発中)への関心を示している。 Emalsではリニアモーターを使い、加速を得る。インドは短離陸垂直着陸(Stovl)のシーハリアーを現有の空母ヴィラートから運用しているが、同艦は退役が近づいている。インド海軍はロシアの空母アドミラル・ゴルシコフの改装をずっと待っており、最新の引渡し予定は2012年でイタリアのフィンキャンティエリの協力で空母整備を進めている。 「カタパルト技術が向上すれば、蒸気の代わりに電気を動力とする通常型空母の建造が有望だ」とインド海軍参謀総長(前)スレッシュ・メータ提督は語る。防衛対象の海岸線が7,500キロメートルにも及ぶ同国には空母が最低5隻必要だという。 より現実的に今日の警戒・軍事力投入のニーズに応えるため、インドはノースロップ・グラマンE-2Dアドバンスト・ホークアイの評価をしている。米国政府からは8月に輸出許可が下りたことで検討が進んでいる。 インドの要望はE-2D合計6機の購入で、監視警戒飛行および対テロ巡視任務に投入するもの。 インドからは2008年に情報開示の請求があり、本年8月に米海軍から技術情報のプレゼンテーションが行われた。インド海軍の空母ではカタパルト発艦ができないため、陸上型のE-2Dがノースロップ・グラマンに求められている。 陸上基地からの運用以外にインド海軍には選択肢はない。ゴルシコフ用にはMiG-29K戦闘機が配備されるが、カタパルトではなくスキージャンプで発艦させる。 高高度からの監視偵察能力の増強を進めるインドはボーイングP-8I 長距離海上偵察機を発注済で老朽化進むツボレフTu-142Mを取り替える。  またインドは長年にわたり空中早期警戒能力および戦闘管理能力を有する機体の取得に関心を示してきた。E-2Dにはロッキード・マーティン製AN/APY-9レーダーが搭載されており、監視対象面積が現在よりも300%増加させることができる。  一方、E-2Dについて連続飛行能力が低い、機内が窮屈、運用コストが高い、米海軍の通信機器専用に設計された機体だとの批判もある。「インド側には8時間の飛行

インド、ロシア軍事協力の最新状況

Russia And India Discuss Decade Of Defense Ties aviationweek.com Oct 16, 2009  ロシア・インド間軍事協力協議が開催され、両国間の防衛協力の円滑化が中心議題の通常の会議に見えるが、 ロシアから見るとインドは通常の軍備装備市場の域を脱している。  米、独、仏、英各国がインドの国防支出の中から自国装備購入のシェアを高めようと必死であり、その例として調達機数126機の中型多用途戦闘航空機(MMRCA)があり、その他にもロシアも競争に加わるべき計画が目白押しだ。  今回の協議ではロシア国防相アナトリ・セルジューコフとインド国防相A.K.アンソニーが議長となり、特に二つの議題が最重要課題となった。ひとつがロシアで改装中の空母ヴィクラマディティヤ(旧名称アドミラル・ゴルシコフ)の引渡し価格であり、もうひとつは今後の両国の防衛産業協力の枠組みの合意だ。  その他にはロシアのT-90S戦車の国内生産が計画から遅れていること、さらに重要な新規開発計画として第五世代戦闘機(FGFA)の共同設計・開発問題のほか、多用途輸送機(ATA)の共同開発がある。  インド海軍向けのMiG-29K艦載機の引渡しが来月開始の予定で、同機の艦上運用試験がロシア海軍の空母アドミラル・クズネトフで最近実施されている。空母ゴルシコフの改装は日程から遅れており、予算も超過しているが、インド国内の政治的関心も高まっている。これがこじれないことがロシアの利益にもなるのは、乗員の訓練他で国防産業協力が拡大する可能性が出るためだ。  2011年から2020年の期間にインドはロシアの第五世代戦闘機スホイPAK FAの取得をめざし、同時に現有のSu-30MKI の性能向上も実施する。多用途輸送機開発はインド首相のロシア訪問(2007年)に合意したものだが両国で開発状況を再検討しており、このために合弁企業を設立し、両国軍の要望にこたえる15トンから20トンの機体の設計、開発、生産を行う。このため両国はまもなく協定書に調印する見込み。  誘導ミサイル関連ではSu-30MKI用の空対地ミサイルとして3M-55 ヤコント (SS-N-26) の派生型ブラーモスの導入が協議内容に含まれており、加えてブラーモスから超音速性能の兵器開発が検討されている。ブラーモ

アフガニスタン派遣で明らかになった英国軍の補給体制の弱点

U.K. Logistics And Support Concerns Oct 13, 2009 英国によるアフガニスタン国内での作戦展開では補給および予備部品供給の問題があることが下院予算委員会で浮き彫りになった。 同委員会の報告書が国防省による戦闘部隊への補給・支援活動の実績が明らかにしている。 「国防省は重要装備を迅速に『緊急作戦要望』(UOR)要領にのっとり移送し、現場で発生した脅威に対応使用としたが、結果は不十分な初期対応または継続展開に限界があることがしばしば発生した」としている。 国防省はUOR調達手順に準拠して比較的早く戦闘部隊用の装備品を調達している。このことを念頭に同報告書が提起しているのは「国防省の現行装備調達活動とのバランスはどうなのかと言う疑問」である。 報告書では国防力見直しの一部として国防省が装備品整備計画が現在進行中ならびに将来発生しうる作戦に直結した能力水準のバランスが取れた装備を実現しているかを根本的に見直すべき、としている。 また報告書ではアフガニスタンで「マスティフ戦闘装甲車両はきわめて高い性能を示している」一方で、「予備部品の不足が発生している」としている。また「ベクター車両の信頼性は低いと判明した」としている。 さらに報告書では国防省が「イラク、アフガニスタン双方でサプライチェーンの目標水準を実現できていないが、補給対象の各部隊の平均待ち時間は短縮されている」としている。 ヘリコプターに関しては予備部品が問題としており、アグスタウェストランド・マーリンとWAH-64アパッチで顕著なのは「機体部品の共食いが必要となっており、結果本国内でのヘリコプター利用を減じている」という。 そこで戦闘作戦の支援が必要なのは認識しつつ、同委員会は「本国と海外の双方でヘリ運用の支援を実現するために民間企業へ奨励策を与え、予備部品の確保を改善する方策を検討すべき」とまとめている。■ 写真 アグスタウェストランド・マーリンヘリ、WAH-66アパッチヘリ、マスティフの原型米製クーガー装甲車両(大きいです)、ぱっとしない外観のヴェクター クーガー戦闘装甲車両(総重量17トン)を英国版にしたのがマスティフです。

米陸軍航空兵力の将来像

U.S. Army Aviation Plots Its Future aviationweek.com Oct 12, 2009 米陸軍航空部隊のトップはコマンチに計上した146億ドルを再配分し、各種装備の近代化に支出している。コマンチヘリの開発は2004年に中止。ただ、この資金はまもなく枯渇する見込みで陸軍は財源の確保の戦略を練っている。 「陸軍航空隊の業績は好調」とウィリアム・クロスビー准将(航空部門計画責任者)は評価する。運用稼働率が高いまま維持されていることで「予算は順調についてきましたが、予算規模そのものが縮小傾向で、自己評価も謙虚にならなければなりません」 陸軍航空部隊の将来像を現実的に理解する作業は完了している。陸軍参謀副総長J.D.サーマン中将主宰の航空部隊研究報告IIは参謀総長の承認を得て 12番目の戦闘航空旅団の創設を内容に含み、装備の再編成を今後12から18ヶ月かけて実施する。また、無人航空機の利用方法を今後も模索する。 さらに4億ドルで訓練体系を改善してフォート・ラッカー(アラバマ州)でのヘリコプターパイロット養成を現状の1,200名から1,400名に増強する。一時は高等訓練機への移行に800名の訓練生が順番待ちになっていたこともあり、今回の予算措置でこれを緩和できる。アパッチ、ブラックホークの新型機導入で2012年までに解消の見込み。 コマンチの開発中止以降に陸軍航空部隊が予算不足に直面する事態は発生していない。逆に航空関連予算は40%増加している(会計検査院(GAO))。ただ陸軍もこのまま推移するとは見ていない。 GAOはまさしくその方向で、陸軍に対し2010年度陸軍航空近代化計画に予算の不確実性を取り込むべきと提言し予算削減の場合の対処方針の検討を勧めている。GAOは同時に共用将来型戦域空輸ヘリ開発を進めるべきと希望しており、空軍が短距離離発着に傾いて同計画が頓挫しかけている事を憂慮している。 陸軍の当面の予定は2010年までに現有システムの改良、新規開発、民生機種・装備の調達(例 UH-72Aラコタ軽量多用途ヘリ(LUH)の購入)を進めること。またUH-72については陸軍はEADS製の同機合計345機を導入する予定でこのうち210機は州軍に配備される。LUHの導入が進むとその分ブラックホークを戦闘に送ることができるとニール・サーグッ

ユーロ・ホーク

Northrop Grumman Unveils Euro Hawk aviationweek.com Oct 12, 2009 ノースロップ・グラマンはユーロ・ホーク一号機の受領テストを開始する。同機はRQ-4グローバル・ホーク無人機(UAV)の派生型でカリフォルニア州パームデールで10月8日にロールアウトした。 初の国際型UAVとなる同機はこれまでの機体と通信傍受(SIGINT)用のポッド6基を主翼に装着している点が異なっており、飛行制御ソフトの改修が必要。現在その最終作業が進行中で、タクシーテストの開始予定は来年2月。 初飛行の予定は3月。同機の所有権はドイツで、ノースロップ・グラマンは国務省に同機のフェリー飛行をエドワーズ空軍基地まで初飛行の際に行う外交上の許可を申請中。エドワーズで同機は六ヶ月にわたり性能限界を引き上げる作業を受けてからドイツに移送される。 ノースロップ・グラマンは飛行ルートを検討中。現在はカナダの領空を通過する大圏コースで直行する予定。これまでの大西洋横断飛行が西海岸からある場合はフロリダ経由だったが、航路短縮で飛行時間は約6時間短くなるという。 同機はEADSのマンチン工場へ来年9月か10月に移送されダミーのペイロードを正式なSIGINT装置に取り替える。その後のテスト等を経てドイツ空軍への引渡しは2011年となり、当初6ヶ月は作戦運用コンセプトの開発に使われる。続いて生産型ユーロ・ホーク4機の生産が2012年末までに完了する見込み。 ユーロ・ホークの生産は米空軍向け機体のロット12とロット13の一部とする計画をノースロップ・グラマンは考えている。同社が期待するのは初の海外型となったユーロ・ホークをきっかけに「大規模な」海外市場が形成されること。ドイツ・NATO向け以外に同機に関心を寄せているのはオーストラリア、スペイン、韓国、日本であり、それ以外にもあると同社は見ている。

アフガニスタン空軍部隊の再建

USAF Mentors Pass Skills To Afghan Pilots aviationweek.com Oct 9, 2009 カブール空港から北数百メートルの荒廃したビルの陰に老朽化したMiG-21戦闘機が一機たたずんでいる。コンクリートの隙間から生えた雑草が同機を取り囲んでいる。そこから非舗装道路を少し行くと米国により最近補修された施設が二つあり、そこでアフガン国民軍航空部隊向けの教導訓練が行われている。MiGを片付けて、記念モニュメントにする計画がある。その他にもソ連時代の影響がUSAF指導員、アフガン教官、および訓練生により払拭されつつある。訓練生の多くは高年齢のパイロットで1990年代にソ連が支援した政権が崩壊したした際に国外へ脱出していたものもあり、国土の大部分を支配する部族の下で、あるいは北部同盟あるいはタリバンの下で飛行したものと経歴は様々だ。 カブール航空隊訓練センターではアフガン人機付長、消火部隊員、整備部隊員向けの講習に加え、英語とコンピュータ研修を実施している。講習に当たるのはアフガンの民間人が大部分でアメリカ人が支援している。米空軍中佐ビル・シェッド(第738空軍派遣顧問団の指揮官)によるとアフガン人教官の登用が大切なのだという。「アフガン人が関与して実施してる形を重視しています。訓練の進展は時間がかかり、忍耐も必要」だという。アフガニスタンで運用されているのはアントンフAn-26/32 輸送機、Mi-17輸送ヘリおよびMi-35 攻撃ヘリだ。 滑走路の反対側に新設の兵舎、食堂および航空隊司令部がきれいに並んでいる。その中にはMi-17ヘリのパイロット37名が教習を受けるシミュレーターも設置されている。ただし、稼働時間は一日一時間だけだ。米空軍中佐ジェイムズ・ドゥービンによると「シミュレーターを本当は一日16時間から18時間稼動させたいのですが、そうなると操作員がもっと必要になる」とのこと。 同じことはアフガニスタン駐留の米軍将校の全員から聞こえた。この国のあちこちを数週間かけて訪問して、すべてが不足していること、人員・機材の不足、いつも変更され骨抜きの交戦規則で空軍力の使用が制限されていることから戦闘行為に混乱した状態が存在していることが明らかになった。 ただひとつ希望が見えるのは生まれたばかりのアフガン航空隊の能

雨に弱いF-22

久しぶりにF-22の話題です。購入の道をほぼ閉ざされた日本にはもはや未練はないのかもしれませんが、もし導入していたらと考えると次の報道には考えさせられてしまいます。今後何十年も使う機体ですからこれくらいのトラブルはトラブルとはとらえずひたすら熟成を図るのでしょうか。 Air Force Timesより F-22 problems linked to rain in Guam By Erik Holmes - Staff writer Posted : Monday Oct 5, 2009 11:53:34 EDT 雨とラプターは相性が悪い。アンダーセン空軍基地(グアム)の高温多湿環境でアラスカから移動してきたラプターがつぎつぎに故障を起こしている。グアムの雨季は7月から12月。同機の冷却システムに水分が入りショート、機能作動不良となっている。新型機の場合はメンテナンス上のトラブルはよくあるが、「この機体をいろいろな環境の中で使う際に避けて通れない習熟上の問題です」と太平洋空軍広報責任者のエドワード・トーマス大佐は語る。「F-15やF-16 の導入時にも小さなトラブルがあったものです」 基地の整備部隊がF-22の故障は解決しており、問題箇所に防水コーティングを施す対策を講じたという。 当地のF-22はエルメンドーフ空軍基地(アラスカ)の第525戦闘機部隊からの派遣で5月から4ヶ月の駐留。全機予定通り原隊に戻っている。アンダーセン基地へのラプターの配備はこれが三回目でいずれもエルメンドーフから移動している。 今回の事例はグアムの戦略的意義には「全然影響がない」もので、同地の防衛体制に支障は与えなかった。(同大佐)今後はグアム以外の場所にも配備される予定。

厳しい米軍各部隊のヘリ運用事情

Aging U.S. Rotary Fleet Gets Upgrades aviationweek. com 10 月8日 予算が厳しい中、アメリカの各軍は現有回転翼機の改修、改造で前線部隊の要望に応えようとしている。陸軍航空部隊の運用責任者ウィリアム・クロスビー准将は「これはヘリコプター戦争というべきものだ。予算制約の中、厳しい運用環境におかれている」という。新型機の導入のめどが立たない中、各軍は現有機材の保守点検に中心をおきつつある。クロスビー准将によれば、飛行時間の拡大、砂塵・高温・高地が組み合わさって磨耗損傷が機体に目立ってきたことを指摘する。陸軍の補給部門から航空ミサイル司令部へ今後の機材装備計画の検討が依頼された。今月は重整備計画の最初の報告書の締切があり、その後数ヶ月をかけて分析をし、装備計画を作っていく。 クロスビー准将は「機材は改修後は10年間の耐用年数を持たせたいところです。ではどうそれを実現するか。要は事前に行動をとることです。故障が発生してから’さあどうしよう’と考える事態にはなりたくありません」 【陸軍では①ブラックホーク】各軍の中で一番多くのヘリを運行するのが陸軍だとニール・サーグッド大佐(多用途ヘリ計画主査)は語り、現時点で350機のブラックホークが飛行している事実を指摘する。80年代製のUH-60A型が新型のL型、M型と一緒に飛んでいる。A型とL型はともに改修を受けており、M型の新造機を最初に配備するのはアフガニスタンになるとサーグッド大佐は語る。 陸軍の考えるUH-60の必要機数は合計1,931機。だが現有機数は1,750機。このためA型は全機L型仕様に改装を受けている。この作業に290日かかる。さらにM型への改修でフライバイワイヤー、完全デジタル管理のエンジン(Fadec)と共用エイビオニクス計器システム(CAAS)のコックピットに換装されるが、まだ改装工程の開発に2年間必要だ。性能向上を求める声は大きく、陸軍はM型の性能水準を既存機に取り入れていくことになる。サーグッド大佐は「まだ進行中ですが、性能向上内容の他型機への展開の検討をしているところです」という。 【陸軍②チヌーク】ボーイングは砂漠の嵐作戦以降のイラクでの教訓を取り入れていると、ジャック・ドハーティー(同社H-47チヌーク計画主査)は語る。その結果チヌークはアフガ

USAF: KC-135E退役でKC-Xへの期待が高まっています

今回は米空軍の広報資料からお送りします。http://www.af.mil/news/story As KC-135Es retire, Air Force officials' focus shifts to KC-X Posted 10/5/2009 by Tech. Sgt. Scott T. Sturkol Air Mobility Command Public Affairs スコット空軍基地(イリノイ州)(AFNS)--- KC-135Eストラトタンカーの最後の機体が9月28日の最終飛行をシェパード空軍基地(テキサス州)で行い退役し、50年以上の運用に終止符を打った。このKC-135E 56-1503機は同基地で航空機メンテナンスの教材として使用され、1956年製で同型機161機のひとつ。空軍はKC-135R合計415機の運用を今後新型機が導入されるまで継続する。KC-135Eの退役でKC-X次期空中給油機の必要性があらためて注目されると空軍機動軍団(AMC)は見る。9月24日、国防総省はKC-X提案仕様書案を公表。それによると新型空中給油機179機をKC-135の後継機とする。KC-Xは二次的に貨物、人員、患者を輸送する。 KC-135部隊の稼働率は80パーセントを維持していると、AMCの兵站本部は報告している。KC-135では飛行時間一時間あたり平均延べ7人時間から8人時間の保守点検が必要だ。KC-135の任務一回ごとに機付長と補佐2名が機体を点検している。一番多くの保守作業が必要なのは燃料タンク、補助動力装置、飛行制御、エンジン計器。その他にも毎年大体72機のKC-135が空軍資材軍団で経年変化への対応作業を受ける。KC-135のシステムおよび保守点検関係者によるとこの作業日数は増大の傾向にあるという。 AMCの予測では今後15年から30年でKC-135の保守点検は増大し、配線の更新、表皮処理、腐食対策他機体の維持ならびに飛行制御の総点検、アナログシステムの改修が含まれる。これらの合計で年間費用は20億ドルから60億ドル増加していくと見ている。退役後のKC-135Eには教材として使われる機体以外に部品取りのため「ボーンヤード」となるデイビス・モンタン基地(アリゾナ州)に保管される機体がある。 「必要な部品を取り外されるまで15年から20

イラク空軍は再建途中

Iraqi Air Force to Expand Capability aviationweek.com 10月5日 イラク空軍(IQAF)再建が米国主導で開始された際、米国側はゼロからのスタートであり、飛行運用の開始は2016年と見ていた。だが、米-イラク協定により米軍撤退期限の2011年12月が迫り、いまや26ヶ月しか残されていない。 「この現状の中で、短時間で多数の種類の能力を運用可能にしようとしています」(イラク軍事訓練顧問団団長米空軍少将ロバート・ケイン)だが、同少将も残る時間内で任務を完了するのは「とても高い課題」と認める。事態をややこしくするのは、最近の原油価格の低下だ。これまでもイラク空軍再建の努力は予算の不足で台無しになっている。 現在のIQAFの能力の水準は大きくばらついている。空輸は2005年から運行され合計3機のC-130Eが中心。ここでの顧問団の役割は若干の保守点検を除けば事実上終了している。イラクはさらにC-130J導入予定。 情報収集活動で同空軍が運用しているのはC-208キャラバン、ホーカー・ビーチクラフトのキングエア350とSAMA CH2000で、これも着実に進展した。その結果、顧問団はセンサーで得られる情報の活用に指導の中心を移している。 対地上攻撃はIQAFが対ゲリラ戦を展開するために必須と見られ、ここでも目立った効果が出てきた。これまでは少数のMi-17攻撃ヘリで非誘導型ロケット弾を発射するだけだったが、3機のコンバット・キャラバンがここに加わり、今月にはレーザー誘導ヘルファイアミサイルの発射が実現する。 短期的な解決方法としてMi-17ヘリの改修で2.75インチ口径のダガロケット弾にレーザー信号追尾装置を装着する。さらにウェストカムMX-15 FLIRを装着し、正確に目標を識別させる。また新造のMi-17を合計22機購入する。 装甲つきの偵察ヘリとしてベル407を2011年導入の予定。学習効果を高めるため、通常型のベル407を先行導入しパイロットの習熟を進めている。したがって、装甲偵察型が導入で、顧問団は任務遂行の訓練に中心を移す。 対地上攻撃能力を向上すべく、地上航空管制官(陸上部隊に派遣され航空作戦を調整する)の技能向上を検討中。目標捕捉能力の向上は今のところIQAFの空対地攻撃能力が不足していることから優先度は低く

USAF 代替燃料の開発最新状況

USAF Progresses On Alternative Fuels aviationweek.com 10月5日 米空軍はフィッシャー・トロプシュ法(F-T)による合成燃料の2011年使用開始に向けて準備中だが、同時並行で水素処理再生可能ジェット燃料(HRJ)用のバイオ燃料の型式証明の準備も開始した。また、セルロース系原料からの燃料にも関心を示している。「混合比50対50のHRJの型式証明の日程ができています」(ビル・ハリソン 空軍燃料部次長) 「F-T法を詳細に研究して迅速かつ円滑な型式証明を期待しています」 【有望な原料は】 ハリソンによると、航空用バイオ燃料の会議が9月上旬に開催され、米国の農業関係者に望ましい原料についてのガイダンスがあった。短期的には種子植物のカメリナが一番有望と見られるが、中長期的にはセルロース系原料(例 トウモロコシ茎葉)が期待されるという。「セルロースに大きな関心があり、事実大きな進展があります」とハリソンは語る。年間10億トンもの原料が利用できることを指摘している。 【各社の動き】 国防エネルギー支援センター(DESC)が各軍向けの燃料を調達しており、テストと型式証明用に合計600千ガロンの再生可能燃料の調達契約を発注した。DESCによるとこの発注量は前例がない規模だという。サステイナブル石油(Sustainable Oils)、ソラザイム(Solazyme)およびハネウェル子会社のUOPが空軍向けに400千ガロン、海軍向けに190千ガロンを供給する。このうち、サステイイナブル石油はカメリナ、ソラザイムは藻、UOPは動物脂肪をそれぞれ原料とする。各社とも処理方法にはUOPの技術を利用する。ジェネラルエレクトリックはアミリスバイオテクノジーズ(Amyris Biotechnologies)製のバイオ燃料(工業的に甘蔗糖を直接発酵させて酵母に工業的に炭水化物にする)のテストを実施中。同社はブラジルとカリフォルニアにバイオディーゼル燃料の試験工場を持ち、ジェット燃料への商業利用を早ければ2012年に開始する予定だ。 【合成燃料のグリーン化を目指す】 バイオ燃料への関心が高まる中、DESCは平行して石炭および天然ガスからF-T法により合成ジェット燃料JP-8の抽出の試験工程を実施中だ。一方、エネルギー省は予算700百万ドルでF-T法

USAF 先行きが心配な新型機開発計画

U.S. Air Force Programs Face Challenges aviationweek.com 10月 2日 QDR(四年ごとの国防力見直し)で空軍の各開発プロジェクトと空軍力全般をどう扱うかを巡り空軍関係者は不安感を隠せない。ゲイツ国防長官は空中給油機選定の権限を空軍に戻す譲歩を示した。一方、同長官は予算編成方針で不正規戦闘が重視されていることを認め無人航空機他の通常戦装備増強には不利となったことへの同情の意を示したが、「年間175百万ドルを不正規戦闘用予算に計上したところで軍全体の装備近代化には影響は全然ない」とも言及した。装備近代化で突出した規模の計画は二つある。空中給油機と共用打撃戦闘機(JSF)である。 【KC-X】 給油機については政治的に墨がついた前回の競争提案の繰り返しをいかに避けるかと言う点が関心の的だ。前回2008年にはノースロップ・グラマン/EADS連合の採用決定に対してボーイングが抗議している。そこで今回は提案協議仕様書(RFP)の作成で留意してボイコット、抗議のいずれも発生しないようにすることが最初の一歩だ。 ただし、RFPの作成部門は競合各社の提案内容がわかっている。仮にRFPが具体的になると、大型・中型・小型いずれかの機体に有利との誹謗中傷を招き、逆に具体性を欠くと、今後はあいまいすぎるとの非難をあびることになる。 【JSF】 JSFは空軍にとって重要だ。ゲイツ長官、シュワルツ参謀総長ともに同計画の進展に高い自信を示しており、ゲイツ長官は繰り返し、JSF計画により「中国が第五世代戦闘機の一号機を配備する時点で空軍はF-22とF-35合計1,000機を運用できる」としており、同戦闘機のテストに追加500百万ドルを2010年度予算に計上するとしている。このことからQDRはJSF開発の進展度合いを評価しているのではないかと思われる。 JSFの推進以外に空軍には代替計画がない。F-15C/DおよびF-16の近代化改装で機体寿命を延長する策もあるが、抜本的な改装がないと各機体の構造的な限界から戦闘部隊がかなり減少することにもなりかねない。 今後の退役機数を補うべく年間80機以上となるF-35の生産規模から考えるとJSF予算のわずかな変動が空軍予算全体への大きな影響を与えることがわかる。そのため、ペンタゴンによりJSF開発の進捗に

北朝鮮の軍事脅威度 在韓米軍司令官の見方

New Technology Threatens South Korea aviationweek.com 10月2日 北朝鮮の戦闘遂行能力はイラク、アフガニスタンの例を参考に技術、戦術両面で向上している。 【特殊作戦部隊】 韓国にとっての最大の脅威は特殊作戦の訓練を受けた北朝鮮部隊合計8万名の兵員だ。特に即席爆発装置(IED)の新型取り扱いの訓練を最近活発に行っている。この装置の改良は中東で進んできた。特殊作戦部隊の再訓練はイラク・アフガニスタンの教訓を基としていると国連軍・在韓米軍司令官ウォルター・シャープ大将は考えている。軍事休戦ラインの南側で活動を展開して韓国を混乱に貶めるのが大規模戦闘の初期段階で特殊部隊の果たす役割だ。特殊部隊は長期的な支援を受けられないと見られがちだが、米国情報機関関係者は本誌に対して特殊部隊の投入の目的は鋭利な一撃を首都ソウルの人口稠密地帯に加えることで、その後の連合軍による大規模反撃が加えられる前に和平交渉を北朝鮮が提案するのだという。「通常型攻撃を必ずしも中心にとらえていません。勝利を収めることは不可能と北は理解しています。」(シャープ大将)  【特殊兵器】 いびつな軍事装備開発が弾道ミサイル、サイバー攻撃、核兵器で見られ、これらが「北朝鮮が重点としているもの」(同大将)という。「資金を継続的に投入する対象はミサイル、核兵器、特殊部隊でしょう」(同大将) 大量破壊兵器搭載のミサイルが一発あるだけで大量の市民が逃げ場を失うというのである。「心配なのはサイバーです」とシャープ大将は言う。「北朝鮮はサイバー攻撃の利点を理解しており、我がほうの指揮命令系統がデジタルネットワークにどれだけ依存しているかも知っています。サイバー攻撃を挑発行為あるいは限定攻撃に使うでしょう。その他の軍事装備は旧式です。現在はミサイル防衛能力の確保をめざしているところです。また、イラク、アフガニスタンの事例からIED対抗の戦術を樹立するべく努力しています。そのほかにも北朝鮮は外部事例から学んでいるはずです。特殊作戦部隊がその成果を使うことは確実です。」 【通常兵力は脅威にあらず】規模は大きいが、装備が旧式で機動力が不足する北朝鮮陸上部隊は連合軍航空力の前に悲惨な目に会うだろうとシャープ大将は語る。そのため、陸上兵力は大きな脅威とは考えられていない。米軍情報筋によ

チャイナレイク 電子戦の開発最前線

Push For New Weapons Transforms China Lake aviationweek.com 9 月24日 カリフォルニア州チャイナレイクにて----非運動性、高度運動性、指向性のエネルギー兵器および電子兵器のニーズにより当地の米海軍航空戦闘センターにおける研究開発活動の様相が変わってきた。「当地には電子戦、高出力マイクロウェーブならびに運動性兵器に加えて空中からの電子攻撃の環境がそろっています」とマーク・ストーチ海軍大佐は海軍航空戦闘センターの武器開発部の指揮官代行として語る。「砂漠地帯から太平洋の孤島まで各種の演習地があり、今後戦闘が予想される各種の環境を再現できます。さらに研究開発施設の拡充が進んでいます。」 「特に高地と深い谷があることが当地の利点です。」とマット・ボッグス(地上演習地施設管理担当)が語る。例を挙げると、エチロン渓谷はこれまでステルス開発の地として知られているが、今日では電子攻撃と指向性エネルギー照射実験の現場であり、谷底まで7000フィートあることから電子照射の混入を心配する必要がない。その近辺には低温の山地と森林がある一方、反対側には高温の砂漠と乾燥した水のない湖底がある。 「湖底を武器試射につかっています。G地区は空対地、空対空、ならびに地上発射武装のテスト用です。C地区はベトナム戦争後放置されてきましたが現在は無人機と短距離射程兵器用です。B地区は高速投下用に改造した通常型爆弾演習地です。」(ボッグス) 各演習地区は何百マイルに及ぶ舗装道路と高速通信網ならびに高速撮影カメラで結ばれている。そのほか各種遠隔操作移動目標を使うことも多い。米国最大の回転台が開発中止となったA-12用に建造されており、レーダー断面積(RCS)テスト地区の中にあるが、同地区は現在は指向性エネルギー兵器の開発用に使われており、高出力マイクロウェーブ、レーザーおよびGPS妨害装置のテストが実施されている。地形を生かして電磁テストの影響が外部に漏れないようにしている。GPS妨害への対抗手段の開発には放射線測定と1万ポンド搭載可能の回転台により大型車両への影響を把握できることが役立っている。この回転台は水平面から35度垂直方向に上方移動できるほか、最大5度の下方移動もできるのでアンテナの干渉問題を回避できる。このチャイナレイク施設の詳細につい

KC-X選定を空軍に任せる 国防長官

Gates Names USAF to Oversee KC-X Procurement aviationweek.com 9月16日 ロバート・ゲイツ国防長官はKC-X次期空中給油機の選定(予算規模350億ドル以上)で監理権限を空軍に与える。同長官が空軍協会の年次総会でのスピーチで表明した。会場から賛意の拍手が寄せられた。このスピーチの後、同長官は本件について「考えが変わった」わけではないが、空軍が今後の競争を監理する最善の組織であると確信を持っていると語った。ボーイングとノースロップ・グラマン/EADSの間で合計179機の空中給油機の受注を争うことになる。 これは空軍の調達業務の信用回復につながる大きな一歩となる。次期戦闘捜索救難ヘリCSAR-X、宇宙防衛装備調達、給油機で何回も失敗を重ねてきたからだ。給油機では二回仕切りなおしとなっており、先回はエアバスA-330が一度選定されたものの、ボーイングの抗議で政府監査部門が精査し、契約過程に問題ありと判定したため破棄された経緯がある。 今回は調達決定権限を国防長官官房に与えることも可能であったし、事実ゲイツ長官はオバマ大統領から国防長官職に再任命される以前に官房中心の調達方式を検討していた。 国防長官のスピーチを受けて空軍長官マイケル・ドンリーは声明を発表し、提案競技仕様書ドラフトが近日中に「発表可能となり、提案者に検討する時間が十分取れる」見込みとした。正式な仕様書がその後は交付され、契約成立を2010年と予定する。KC-X初号機は2015年の引渡しが予定されている。「空軍は本日の長官発表を歓迎し、空軍が契約業務の中心となることに自信をもっている」とドンリー長官は表明した。

気になるF-22関連の動きと2010年度国防予算(上院)

Senate panel seeks end to F-22 export ban ロイター9月10日配信 上院委員会が9月10日、輸出型F-22の開発を空軍に求めた。同機に関心を示す国は日本、イスラエル、オーストラリアの各国だが、海外向け販売は1998年法案で禁止となっている。上院歳出委員会で上程の法案が通過すると、国防総省が極秘情報・高度技術ならびに米軍の戦闘能力水準を秘匿したままF-22改造型の開発を進める道が開ける。 同法案に添付の報告書では「本委員会は空軍に対し研究開発試験評価費として歳出済みの予算を利用してこの努力を開始することを求めるもの」としている。これに対し、ロッキード・マーティンも空軍はいずれもコメントを出していない。輸出型の開発が可能となると米国内の雇用が確保され、米国にも必要であれば高額な生産再開コストを支払わずに追加購入が可能となる。 米空軍の見積もりでは日本向けラプターの開発費用総額は23億ドル。日本が希望するのは2飛行隊合計40機の購入。北朝鮮との緊張から現実味を帯びた要望といえる。同法案は質疑応答なく15分間で賛成30反対ゼロで可決された。 【2010年度国防予算法案】 さらに、委員会ではオバマ大統領の国防計画見直しを支持して6,363億ドルとする2010年度国防予算(10月1日より)を可決。このまま次年度予算が本会議を通過すると戦闘捜索救難ヘリコプター、大統領専用ヘリコプターならびにミサイル防衛のうち運動エネルギー迎撃機構想が中止となる。総額のうち1282億ドルが「海外緊急作戦」用で、主にイラクとアフガニスタンの戦闘を想定したもの。 F-22に関しては総生産187機を上限で生産停止するが、冷戦期の空軍計画では750機の調達を見込んでいた。ゲイツ国防長官は4月にF-22生産終了の案を発表しており、各軍はイラク・アフガニスタン型の戦闘に備えた準備にいっそう向かうべきという。 【F-35代替エンジン】  議論の的のF-35共用打撃戦闘機用の第二番目のエンジン予算は盛り込まれず。オバマ政権はこの代替エンジンを予算の無駄とし、ホワイトハウスからは盛り込んだ場合は拒否権を行使させる罠と見られていた。下院では5.6億ドルで開発が承認済みである。メーカーのGEとロールスロイスは上下両院協議で同エンジン開発の承認が下りることを楽観視している。一方、上

それでもF-22をあきらめない日本

Japan Still Eyes F-22 Aviation Week & Space Technology 9月7日号 新政権が過激な変化、短期的な変化をもたらす可能性は低い。 民主党による新政権にはかつて自民党所属議員が多数含まれると見られ、ワシントンは過激な政府運営の変化を予測していない。総選挙前の取材では米政府関係者は日米関係の変化は基本的に肯定的なものとなると見ていた。「日本との同盟関係に変化が出てきました。その一部は日本の国防で必要な能力は何かを日本が議論していることから生じています。同盟国として相互にリスクを受け止め、一方が保有していない能力を提供する必要があります。」(エドワード・ライス米空軍中将 第五空軍司令官) 同中将の言っているのは日本がロッキード・マーティンF-22の取得を希望していることで、同機の持つ速度、高度、ステルス性、精密爆撃、長射程電子偵察能力で日本南西部の沖縄での既存装備の能力不足を補いたいとするもの。ただ、F-22生産ラインは日本への同機販売が承認される前に閉鎖の可能性がある。生産終了となると日米両国にとって日本向けのステルス戦闘機の調達が課題として残る。航空自衛隊幹部への取材の結果、F-22部隊が米国所属であれば同機の性能を活用した即時運用、効果のある運用が困難と日本側が考えていることがわかった。特に米空軍が日本国内の基地に同機を駐留させてもF-22の持つ戦略的な意義が減じてしまうと見ている。米側は日本防衛にF-22が利用可能とする。ライス中将も両国の能力ギャップを最小限にするため装備体系の変更が必要と認める。「米国はF-22の持つ性能を日本に提供できます。この性能を日本が持つ必要はない。第五世代戦闘機のみで構成する空軍力を実現するには別の方法があるはずです。」 一方、日本を長年にわたり担当しているある情報機関関係者は次のように見ている。「日本は地域内の脅威を非常にはっきりと認識しています。(米国と違って)機敏です。ただしローテク戦闘があちこちで頻発しており、日本の分析は集中を乱されています。憂慮すべきは当然としても北朝鮮については長期的には脅威度が減るでしょう。日本経済が最悪の状況を脱していきますから、米国の軍事技術を応用する希望が高まるでしょう。それ自体は悪いことではありません」 日本の中長期的な防衛方針と米国のQ

F-35Bの垂直着陸テスト予定

F-35BTo Restart STOVL Tests aviationweek.com 9月9日 ロッキード・マーティンはF-35B共用打撃戦闘機の飛行テスト機BF-1が9月4日に飛行に復帰したことで初の垂直着陸のカウントダウンを再開した。 短距離離陸垂直着陸(STOVL)を行う初の機体となるBF-1は初回の飛行とボーバーピットでのテストの結果を受け改修のため長期間飛行ができない状態だった。 BF-1はフォートワース(テキサス州)で飛行を実施するが、STOVL用のドアを開き、リフトファンを飛行中に始動し、飛行制御ソフトウェアの作動状況を確認する。 その後同機はパタクセントリバー海軍航空基地(メアリーランド州)内の海軍テストセンターに移送され、STOVLの「ビルドダウン」テストを行った後、初の垂直着陸を10月に実施する予定。 二号機BF-2は空中給油テストに成功しており、フェリー飛行が可能となった状態が確認されたので地上で最終仕上げに入っている。同機は今週にホーバーピット入りし、飛行再開の準備が始まる。 BF-3(三号機)の地上テストは延長になっているので、次のF—35で飛行を予定されるのは生産型とほぼ同一の通常型離着陸機AF-1とSTOVLテスト機としては最終のBF-04となる。 コメント:  それにしても格好の悪い飛行機ですね。どうしてもF-35は好きになれません。ただ実用化されるとSTOVL性能は日本の関心にもかなうかもしれません。海上自衛隊の新型「護衛艦」との組み合わせも考えられないことではないでしょう。