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韓国、北朝鮮、第七艦隊の戦力バランスはどうなっているか

日本の安全保障を考えると休火山のような朝鮮半島の情勢にはいつも関心を示しておく必要があります。今回は関連する三カ国の海軍兵力を海軍協会が紹介していますのでお伝えします。 Two Koreas, Three Navies USNI News By: Kyle Mizokami Published: May 8, 2014 3:25 PM Updated: May 8, 2014 3:25 PM 朝鮮戦争(1950年―53年)は休戦協定により終結したが、平和条約は結ばれておらず、三カ国(韓国、北朝鮮、米国)は技術的に戦闘状態にある。朝鮮半島であらたな軍事対立が発生すれば、再活性化された韓国海軍、老朽化が進み弱体化した北朝鮮海軍、に加わり弾道ミサイル防衛能力を有する米海軍が関与することになる。 朝鮮半島をめぐる海軍力の均衡は韓国と米国に移っており、韓国の産業基盤により大型の建艦が次々に実現している。同時に北朝鮮は経済衰退により200トン以上の艦船は建造不可能になっている。 南北朝鮮のめざす目標は異なっており、韓国経済は海上交通路の確保が不可欠で、その結果韓国海軍 (ROKN)は大型ハイテク艦船で海洋海軍をめざしている。一方、ずっと小規模な北朝鮮の人民軍海軍(KPN)のミッションは、現政権を外部からの攻撃より防衛することだ。そのため、北朝鮮海軍は小型かつローテクの警備艇を多数建造して、南側に非対称戦を求めている。 その背景に巨大な存在を示すのが米第七艦隊であり、その威力は南北朝鮮の規模をはるかに超えている。日本に本拠地を構える同艦隊は空と海で戦力を投射し、地域大で弾道ミサイル防衛を提供する能力を有している。 韓国海軍(ROKN) Naval jack of Republic of Korea Navy 韓国海軍は規模を拡大中で、国内の造船産業を活用し小型戦闘艦艇から大型ヘリコプター搭載艦まで進化してきた。ROKNは海軍戦力として重要な存在になっており、朝鮮半島を超えてより広範なアジア太平洋にも戦力を投射する能力を有しているが、有事の際は船舶航路の確保、防空、機雷対応、後方確保ならびに韓国海兵隊の支援が任務となろう。 ROKNの規模は人員68千名、艦船120隻、航空機70機で、隻数では北朝鮮を下回

次期大統領専用ヘリにシコルスキーS-92が選定されました

Sikorsky Wins $1.24 Billion Contract for Presidential Helo USNI News By: Dave Majumdar Published: May 7, 2014 5:05 PM Updated: May 7, 2014 5:05 PM An artist’s rendering of Sikorsky’s bid for the VXX presidential helicopter. Sikorsky Photo 米海軍はVXX次期大統領専用ヘリコプターにシコルスキーS-92を選定した。契約規模は12.4億ドルとペンタゴンの契約広報で報じている。 テスト用6機および関連支援設備、政府指定搭載システムとの統合、訓練システムとして飛行訓練装置および保守点検訓練装置、兵站、技術全般、試験評価での支援を含む、と発表があった。 最終的な調達規模は運用機材21機とテスト用2機。 VXXはシコルスキーS-92で老朽化進む同社製VH-3とVH-60のVIP仕様各機と交代させる内容だが、同社の一社入札に終わった。 2013年7月時点でアグスタ・ウェゥトランドAW101大型ヘリコプターが脱落した。ボーイングはCH-47チヌークとV-22オスプレイのどちらも提案しなかった。 一社入札になったが、海軍は法的には標準手順を守る中でシコルスキーが正式に採択されたことで、今後の展開は加速するとみられる。海軍はテスト機材一号機の受領を2016年に期待している。初期作戦能力獲得は2020年末の予定で、完全稼働は2022年となる。. 2009年にもVXX入札があり、ロッキード・マーティンとアグスタ・ウェストランドの合同提案が採択されたものの、費用超過のため取り消しとなり、これが2008年の大統領選挙でも争点となった経緯がある。■

南シナ海で何が起きているのか ベトナム、中国の対立

Hanoi: Chinese Ships Rammed Vietnamese Patrol Boats in Escalating Oilrig Dispute USNI News By: Sam LaGrone Published: May 7, 2014 11:29 AM Updated: May 7, 2014 11:50 AM ベトナム艦船に対して放水する中国船。ベトナム国家国境委員会発表 ベトナムが自国警備艇が中国艦船から海上で衝突されたと抗議している。発生個所は中国の10億ドルの価値がある海上石油掘削施設の周囲で、ベトナムと中国がそれぞれ排他的経済水域と主張しているもの。 「ベトナムの漁業監視部隊はわが方の主権と管轄権を守り、中国側に海域からの退去を求めた」とベトナム国家国境委員会副委員長チャン・ヅイ・ハイTran Duy Hai, deputy chairman of the Vietnam National Border Committeeが7日のハノイでの記者会見で発表している。「ベトナムはこれまで自生してきたが、中国艦船が今後もベトナム船舶に衝突をしてくれば、当方も自衛手段を取らざるを得なくなる」 ベトナム警備艇に衝突してくる中国船(5月3日) ベトナム国家国境委員会発表 . また、中国海上警察の複数艦船がベトナム監視艇複数に放水している画像がベトナム国家国境委員会から公開された。 . 「わが方の海上警察および漁業保護部隊はこれまで極限まで自制しており、今後も同海域にとどまる」とベトナム沿岸警備隊副指令ゴ・ゴ・チューNgo Ngoc Thuが記者会見で述べている。「ただもし(中国船が)引き続き衝突を試みれば、当方も同様の方法で自衛策をとる」 ベトナムによれば中国は石油掘削施設の周囲に80隻を展開中という。掘削場所はベトナム本土から120カイリの位置にある。問題の海上原油掘削機は 海洋石油 981 Haiyang Shiyou 981の名称で、中国海洋石油China National Offshore Oil Corporation (CNOOC) が所有しており、5月1日にパラセル諸島近くに移動してきた。この海域はベトナムと中国がそれぞれ領有を主張している。 今月5日にベトナ

トルコがF-35A導入で正式契約に調印

Turkey Approves Buy Of First Two F-35As aviationweek.com May 6, 2014 Amy Butler | AWIN First USAF トルコがF-35A2機の調達契約に調印した。 トルコが導入するのはブロック3F仕様で調印は5月6日。トルコは1999年から同機の共同開発国の一員。トルコの生産分担は機体中央部分だ。 トルコ政府によりプラット&ホイットニーF135エンジンの最終組立点検および保守管理用施設の国内建設も承認され、「トルコ企業及びトルコ空軍施設」を活用し、F-35使用国すべてに施設を開放するという。 トルコのF-35導入規模は100機で、今回の2機は低率初期生産(LRIP)では第10ロットの機材となる。 小規模とはいえ、今回の動きはF-35が着実に支持を得つつあるもう一つの事例となった。米空軍のクリストファー・ボグデン中将(F-35開発最高責任者)は参加各国の参画とそのタイミングが全体に影響すると繰り返し発言している。トルコの例では以前にLRIPからの調達を遅らすと決定したため一機あたり百万ドル分の価格上昇が同じロット内の全機に発生している。■

米比防衛協定の中身と対中国戦略の枠組みの現状

中国は相手国の実力、姿勢で対応をそれぞれ使い分けており、フィリピンは完全になめられているとしか思えません。経済が上向きとはいえ、まだまだ余裕のないフィリピンが米国や日本に期待するものが大きいのは当然です。しかし国内憲法の縛りがある中、今回の合意内容はなかなかうまくできているようです。そんなフィリピンの姿勢を西側諸国が支援していけば、中国はいっそう頑なに包囲されていると感じ、予想外の行動に出るかもしれませんね。フィリピンの対応は隣国のベトナムやマレーシアも注視しているはずです。 New Defense Agreement Between The Philippines and U.S. USNI News By: Armando J. Heredia Published: April 29, 2014 2:43 PM Updated: April 29, 2014 4:06 PM U.S. Navy and Philippine military officials during the humanitarian aid and disaster relief operation in Tacloban in 2013. US Navy Photo フィリピン国防相ヴォルテール・ガズミン Defense Secretary Voltaire Gazmin と駐比米国大使フィリップ・ゴールドバーグ Philip Goldberg が4月28日に歴史的文書に署名し、米軍が同国に復帰することになった。 防衛協力強化合意書 Enhanced Defense Cooperation Agreement (EDCA)は米軍によるフィリピン国内の基地施設利用に道を開く枠組みであり、戦闘だけでなく人道援助・自然災害援助 humanitarian assistance and disaster relief (HADR) 任務用資材の事前集積も可能となる。 1991年に基地使用料の値上げ更新を求める声が高い中50年の基地利用協定が失効して米軍部隊は撤退している。そこに輪をかけるようにルソン島ピナツボ火山が噴火し、基地施設が火山灰や泥流に覆われた。天然の良港であるスービック海軍基地と修理施設を保持したいという声もあったが、冷戦は終結に向かい、

☆ 海洋監視技術でJAXA技術が防衛分野で貢献できる日が来そうです

意外に広がりを示しているJAXAの活動にあらためて注目です。海洋監視はレーダー観測技術の応用で当然考えていっていい内容ですが、紹介の仕方自体で妙なアレルギー反応が市井から出ても困りますね。 L-band SAR Satellite May Help JAXA’s New Military Job JAXA may get ocean-surveillance job with its new space-law assignments aviationweek.com May 1, 2014 Frank Morring, Jr. and Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology .日本の民生用宇宙機を軍事目的にも転用出来る道が新しい宇宙利用政策で可能となった。写真はH-IIAロケットにGPMミッションを搭載し、打ち上げを待つJAXA種子島施設。 Bill Ingalls/NASA JAXA 宇宙航空研究開発機構が開発した衛星が宇宙基本法改正により防衛機能が付与される。ALOS-2(域観測技術衛星だいち2号)の打ち上げが今月に行われるのが、この先行事例となる。海上自衛隊は衛星データから域内の艦船追尾が可能となる。 JAXA理事長奥村直樹はJAXAの三つの課題の最初に「安全保障と災害対応の準備」を掲げており、民生用宇宙機への投資見返りを増やそうとしている。. JAXAは引き続き宇宙科学研究で日本が先頭に立つことを掲げているが、防衛分野はこれまで見られなかったものである。ただ、JAXAは2005年に宇宙偵察衛星4基を打ち上げている。 日本は米戦略司令部と非公開の宇宙状況認識 space situational awareness (SSA) 情報の交換を外務省経由で昨年末に合意していることもあり、JAXA理事長の発言になっている。「JAXAの収集情報は外務省へ提供しています。新たに軍事衛星を開発するという話ではなく、現有の機材を利用して情報を提供するものです」(奥村理事長) ALOS-2レーダー衛星により海上自衛隊は艦船の追尾が可能となる。 Credit: JAXA Concept 検討しているのは海洋監視機能だ。奥村理事長は Aviati

F-35Bを操縦してみた米海兵隊パイロットの証言

Pilot reaction to flying the F-35B aviationweek.com Apr 24, 2014 by Guy Norris in Ares F-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)型の初飛行(2008年6月)はBAEシステムズ所属のテストパイロットがしたが、それ以降は同機の操縦性がきわめて正確かつ簡単との話が多く聞かれている。STOVL運用をめぐってもパイロットの間には垂直着陸の「プッシュボタン」で楽にできることに話題が集中しがちで、どうしてもハリアーと比較されてしまい、なれるまでは「ブレンダ―の中に入れたウォールナッツ」音がリフトファンから聞こえるのも気になるようだ。 しかしこれまでのコメントは経験が深い軍あるいは民間のテストパイロット、または経験豊かな教官パイロットで同機の訓練対象に選ばれた人の声。今や海兵隊の現役パイロットでF-35Bを操縦する人数がユマ海兵隊航空基地(アリゾナ州)で増える中、彼らはどう思っているのか。JSFが今夏にも初の海外遠征を英国の航空ショーエアタトゥーとファーンボロで行おうという中その視点には興味をそそるものがある。 ロッキード・マーティンの社内誌Code OneでF-35Bのユマ基地での運用状況を掲載しており、飛行隊の初の有資格パイロット数名への取材も含まれている。同誌取材の3月時点ではパイロット数は16名だったが、その後も名簿は追加されており、同基地で運用中の機体数も増えている。F-35Bの初納入を2012年に受けたVMFA-121飛行中隊も現時点で定数の17機に増えている。 Preparing for a sortie at Yuma (Code One) では同誌記事から見てみよう。 ブライアン・ミラー大尉Capt. Brian MillerはF/A-18Dから転向組で機種切替を簡略に表現している。「ホーネットでは真ん中に操縦桿がありましたが、F-35はサイドスティック方式です。でもその違いは意識していません。シミュレーターで離着陸を体験すれば、操作系の位置を難なく取扱いできましたよ」 「ハリアーのパイロットはF-35BのSTOVLモードでは以前の経験から有利と考えるでしょうね」とミラー大尉は続ける。「でもF-18パイロットもSTOVLを先入観な