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★中国への備え、離島防衛>陸上自衛隊が米陸軍の先行事例になる

防衛を中心に整備をしてきた陸上自衛隊が米陸軍のモデルになる、という指摘ですが、米陸軍が皮肉にも日本(あるいは台湾?)から装備を供与受けることになるかもしれないという予測です。攻撃にまわってなんぼという米戦略で防衛だけに専念することは難しく、かつドクトリンの変更が必要になるのでしょうね 。 Japan Blazes Trail For US Army: Coastal Defense Vs. China By SYDNEY J. FREEDBERG JR. on July 15, 2015 at 2:58 PM http://breakingdefense.com/2015/07/japan-blazes-trail-for-us-army-coastal-defense-vs-china/ WASHINGTON: 脅威度を上げてきた中国を抑止し敗退させるためには海軍・空軍だけで十分とはいえない。陸上自衛隊の現状は煮え切らない態度の米陸軍に参考になりそうだ。 「陸自は待ちの姿勢になっていませんね」とアンドリュー・クレピネヴィッチAndrew Krepinevich(戦略予算評価センター理事長)がアジア歴訪の直後に記者に語ってくれた。「日本は『第一列島線』の北方部分の防衛への関与を望んでいます。琉球諸島で施設拡充を進め、中国の侵攻を食い止めようというのは非常にすばらしいことです」 陸上自衛隊はクレピネヴィッチが Foreign Affairs  2月号に寄稿した「列島防衛」構想と同じ方向を向いている。 Andrew Krepinevich クレピネヴィッチは「中国人民解放軍の防衛体制の中に海軍艦船を送り込むのではなく、米国及び同盟国は地上兵力を第一列島線上に配備し、移動式ミサイル発射装置に対艦巡航ミサイルを装備することで対応が可能だ」と著述している。対空ミサイルやミサイル防衛体制の整備も同時に可能だ。クレピネヴィッチ構想では海軍艦艇と空軍長距離爆撃機は移動予備兵力で陸上防衛線の背後に配置し、被攻撃地点の補強にあたり、中国軍の突破を防ぐ。艦隊は中国の支配部分から遠い地点にとどまる。 クレピネヴィッチはさらに「西太平洋では我が方に大きな利点がある。これまでは兵力投射をしてきたが、今回は同盟各国の防衛にあたる。進出し

★F-35模擬空中戦報道>関連背景事情を理解しましょう

F-16との模擬空中戦で精細を欠いたF-35Aのニュースが当ブログでも話題になりましたが、根はもっと深いのです。ただし、とりあえず今回の記事でこの話題は一旦終了とさせてください。F-35が決して万能の機体ではないこと、F-35だけに依存することで防衛予算が消費されることがどれだけ危険かをご理解いただければ幸いです。 ARES Behind That F-35 Air Combat Report Jul 6, 2015  by Bill Sweetman in Ares http://aviationweek.com/blog/behind-f-35-air-combat-report ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機(JSF)のテストパイロットによる報告書がリークされたが、以前にも同様事例があった。2008年の事例ではRAND研究所がF-35をスホイSu-35その他機体と比較した資料がリークされていた。 「米空軍による解析を引用しつつ、チャールス・デイビス中将’ Maj. Gen. Charles Davis 当時JSF推進責任者)はF-35は少なくとも空対空戦でスホイ含む各国の最新鋭戦闘機よりも少なくとも400%優秀だ。 「ロッキード・マーティンによればF-35の3型式でそれぞれ動力性能はいかなる第四世代戦闘機を凌駕しているという。比較の対象は遷音速加速性能で空対空装備のユーロファイター・タイフーンに対し、また高迎え角での戦闘能力でボーイングのスーパーホーネットにそれぞれ優越しているというもの。「F-35は空対空戦の各性能ですべて既存機を上回ている』とロッキード・マーティン社テストパイロット、ビル・フリンが語っている」 以上もあり今回はF-35がエネルギー機動性でブロック40のF-16に劣るとの報道が話題になったのだろう。F-16がタイフーンと飛行速度で同等だと思う人はいないはずだし、スーパーホーネットの高迎え角性能でも同等だとは思わない。あるいはSu-35がこの両者を実現していることも承知のはずだ。F-35推進派の反応も注視に値する。 まず出てきたのはロッキード・マーティンが資金を援助するレキシントン研究所のダン・グア Dan Goure による「F-35がドッグファイトをこなせないって? いいではな

日本向MV-22第一陣5機の売却決まる

まず第一期分ですね。オスプレイを他国に先駆けて導入するあたりが日本がいかに米国と近しいかの現れなのでしょうね。それとも各国とも導入したいが、ヘリコプターがあり、国防予算縮小のあおりで躊躇しているのか。どちらにせよオスプレイの真価が理解されれば導入は進むと見ているのですがいかがでしょう。 Japan Finalizes Purchase of 5 MV-22s in First International Osprey Sale By: Megan Eckstein July 14, 2015 6:10 PM http://news.usni.org/2015/07/14/japan-finalizes-purchase-of-5-mv-22s-in-first-international-osprey-sale 米海兵隊のMV-22オスプレイが海上自衛隊のヘリコプター護衛艦JSひゅうが (DDH-181)に着艦している。揚陸演習ドーン・ブリッツ2014で撮影  US Navy photo. 日本はMV-22を17機導入する計画だたが、まず5機の調達を決定した。日本がオスプレで最初の海外顧客になった。 米海軍は総額332.5百万ドルでベル・ボーイングに複数年度契約を交付し、同型機の製造、引き渡しに加え、サポート、訓練、装備も行わせることとしたと14日にベルヘリコプターとボーイングが共同発表した。 「V-22ティルトローター機は陸上自衛隊の能力を大幅に引き上げ、災害救助に理想的な機材です」(プレスリリースより) 米国防安全保障協力庁(DSCA)からは総額30億ドルで17機を販売すると議会に5月に通告していた。 「日本は防衛任務の支援強化策として輸送手段の更改に向かっている」とDSCAは述べており、「今回提案のV-22B ブロックC型は陸上自衛隊の災害対策人道救難ミッション以外に揚陸作戦の支援へも活用が期待される。今回の売却で同盟国日本から負担分担ならびに米軍との相互運用性の向上が期待される。日本は同型機の編入を容易に実現するだろう」 現時点でMV-22を運用するのは米海兵隊のみだが、米空軍は特殊作戦軍団が独自仕様のCV-22を運用し、米海軍も名称未決定の海軍仕様44機の導入を決定している。日本向販売は初の国際売却事例

ロシア>軍用機墜落相次ぐ、今度はTu-95爆撃機が中国国境付近で墜落

このところロシアで軍用機事故が連続発生しているのは興味深い現象です。プーチン大統領がめざす大国としてのロシアと、これまでの経緯から整備状況、訓練にお金をかけてこなかった空軍の現実のギャップが大きいのではと推察します。 Tu-95 Bear Bomber Crashes Near Russia’s Border With China By: Sam LaGrone July 14, 2015 9:47 AM http://news.usni.org/2015/07/14/tu-95-bear-bomber-crashes-near-russias-border-with-china ロシアのツボレフ Tu-95ベア H型、スコットランド沿岸で2014年、英空軍撮影 ロシア空軍の戦略爆撃機が中国国境線に近いハバロフスク近郊で墜落したと14日ロシア国防省が現地報道を通じ発表した。 事故機はツボレフTu-95MSベア爆撃機で訓練中にロシア東方軍区司令部から50マイル地点に墜落したとTASS通信が配信。「7月14日現地時間午前9時50分、Tu-95MS機が定期的訓練飛行途中にハバロフスクから約80キロ地点で墜落した。乗員は機外脱出した」 「機長が緊急事態を宣言し乗員にパラシュート脱出を命じた。捜索救難隊が乗員を捜索中」 またTASS通信によれば捜索救難活動にアントノフAn-12、ミルMi-8ヘリコプター2機が動員されている。 この事故を受けロシア空軍は同型機の飛行を中止している。事故機ではエンジンで 問題が 発生した との報道がある。■

★米新軍事戦略が想定する考えたくない危険な可能性

ロシア、さらに中国との交戦を想定すると戦闘は長期化する、との予測でとりあえず新板の国家軍事戦略はできたが、中身はまだ未整備だというのが今回の指摘です。細部はともペンタゴンが現実の世界に対処する考え方をまとめはじめたということでしょうか。 New Military Strategy Shows A Dangerous World – But Not How To Deal With It By SYDNEY J. FREEDBERG JR. on July 10, 2015 at 12:15 PM http://breakingdefense.com/2015/07/new-military-strategy-shows-a-dangerous-world-but-not-how-to-deal-with-it/ WASHINGTON: ペンタゴンは世界の変化を痛いほど認識しているが、対応方法の答えが見えていない。 新国家軍事戦略 National Military Strategy から見えてくるのはこんな頼りない結論だ。そもそも官僚の作文には高い期待はできないものだが、今回の新戦略構想ではこれまで存在しなかった脅威をどうとらえているのかのヒントが含まれている点が救いだ。ただし、対策は普通の域を脱していない。. 「良い点は全体の状況把握は正確で、戦略環境を正しく捉えていること。では軍としてどう対応すべきかという点になると、やはり以前通りの直線的な解釈に終始している」というのが陸軍大学校准教授ネイサン・フライア Nathan Freier の評だ。 戦略案を発表したデンプシー統合参謀本部議長は複雑な安全保障環境から「軍歴40年の中で最も予測が難しい」と評している。テロリストのみならずロシアや中国といった大国との開戦のリスクが「拡大中」である状況が同時並行しており、その中間に「ハイブリッド脅威対象」としてゲリラ勢力が国家並みの装備を展開しているという認識だ。ロシアによるウクライナ併合は現地勢力を活用しつつ、特殊部隊も展開した点でハイブリッド型の例で軍事大国がゲリラ戦術を活用している点に注意が必要だ。イスラム国が支配地域を確保し維持しているのもハイブリッド型で非正規部隊が限定的ながら国家のように振舞っている例だ。 ただし新戦略で

★★F-35>ドッグファイト結果からパイロットの役割を考えよう

さすがに元空軍士官だけに問題の本質をパイロットの観点から整理しなおしています。このままでは F-35が 空軍の成り立ちを根本から変えるのは必至ですね 結局はパイロットの腕にかかってくるのですね。当面今回のドッグファイト試験の余波はつづきそうですね What the F-35 vs F-16 Dogfight Really Means: Think Pilots By DAN WARD on July 08, 2015 at 4:01 AM http://breakingdefense.com/2015/07/what-the-f-35-v-f-16-dogfight-really-means-think-pilots/feed/ 共用打撃戦闘機にドッグファイターとして欠陥ありとの報道が出るや、JSF推進派の反応は迅速かつ予想通りだった。多くがF-35はそのまま容認できるとし、中にはもともと空対空戦の想定はないのだから問題無いと言う向きまであらわれた。ただこの見解は長くは持ちそうもない。そもそもなぜ米空軍がこの段階になってF-16との模擬空中戦を実施したのか。おそらく空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が2013年12月に説明しているように、「F-35はF-22を補完して空中優越性の確立のため実戦投入する」からだろう。言い換えれば米空軍にはF-35がドッグファイターとして必要なのだ。 この他にも擁護派の説明では今回の想定は単なるテストで、リークされた報告書は実態をよく理解していない者が抜粋したものだとする。だから機体の価値を本件だけで判断すべきでないという。JSFの開発契約が1996年に成立してからはじめて今回基本戦闘機操縦テストに投入されたわけだが、(量産型機は2020年までこのテストに使われない)、だれも急いで結論を出そうとしていない。ただ軍用機のテストでそれなりの経験と一家言を持つ筆者として、一回のテストでも十分に意味のある性能データを得ることが可能だと断言できる。F-35支持派も逆にドッグファイトに勝利していたら同じ事を言っていただろう。 ただ筆者はこれとは違う擁護派の発言に注目している。FighterSweep  http://fightersweep.com/2548/f-35-v-f-16-article-

★LRS-B>選定決定は秋ごろに延期、次期JSTARS機も選定に向かう

LRS-Bの契約選定が遅れるのは結果の重大性を考えると米空軍が相当に逡巡していることの証拠です。LRS-Bは既存技術を多用したかなり「常識的」な機体になりそうですが、受注に失敗した企業にとっては辛い結果になると言われてきましたが、実態はそうでもなさそうですね。注目したいのは下にさり気なく挿入されたJSTARSの次期機体の話題です。技術の進歩でかなりダウンサイズした期待になりそうですね。 Air Force: Next-gen bomber award could slip into fall By Brian Everstine, Staff writer 3:01 p.m. EDT July 9, 2015 http://www.airforcetimes.com/story/military/2015/07/09/air-force-bomber-award-fall/29912075/ 米空軍は新型長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約交付を先送りし、三ヶ月程度遅らせると発表した。 空軍次官(調達)ビル・ラプランテBill LaPlanteによれば公表時期は「でき次第」だとし、拙速より正しい結果を重視するという。導入機材は50年間の供用の予定で、発表時期を急ぐ必要はないとの考えだ。 ラプランテは「正しい結果を得るべく、正しい時期に正しい方法で始めるのが肝要だ」と戦略国際研究センター(ワシントンDC)で7月9日に語った。 ラプランテ発言の前に空軍長官デボラ・リー・ジェイムズがロイター通信に契約交付は9月になりそうだと伝えている。 契約獲得をめぐり争う二社は結果如何で大きな影響を受けそうだ。B-2で実績がある ノースロップ・グラマン と ロッキード・マーティン = ボーイング 共同事業体だ。 B-52後継機として空軍は80機ないし100機の導入を希望し、導入開始を2020年、機体単価を500百万ドル、事業規模は総額800億ドルと見込んでいる。 この事業は議会の批判の的となっており、下院による2016年度国防予算認可法案では460百万ドル減額されたが、実際の開発研究予算は非公開あるいは「闇の」予算に盛り込まれている。 空軍は新型爆撃機について口を閉ざしており、ステルス性以外に核・非核運用、任意で有人