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★★ヴィエトナムが海自P-3C余剰機材の導入に前向きになっています

さすがヴィエトナムの目の付け所は鋭いですね。フィリピン向け練習機の案件ではリース方式にしましたが、今回ヴィエトナム案件が成立したらどう処理するのでしょうか。 それはさておき、日本が国境線から利益線に世界観を拡大するのはよいことでしょう。もちろん、それを歓迎しない勢力もあるわけで、とりわけ国内では次回参院選挙で政党の世界観・安全保障観が問われていると思います。 Vietnam eyes secondhand Japanese defense gear June 26, 2016 1:00 pm JS ATSUSHI TOMIYAMA, Nikkei staff writer http://asia.nikkei.com/Politics-Economy/International-Relations/Vietnam-eyes-secondhand-Japanese-defense-gear HANOI--米国が武器禁輸措置を解除してヴィエトナムが国防力増強に取り組んでいる。 中国を意識し海上哨戒能力の向上を狙う同国だが問題は米国製装備の高価格だ。代替策でヴィエトナムは安価な使用済み機材を海上自衛隊から導入したいようだ。 ロイター報道によれば同国はロッキード・マーティンに使用済み米海軍P-3オライオン4機ないし6機の価格および納期を照会する予定だ。P-3の新品価格は最低でも80百万ドルでヴィエトナムは一機しか調達できない。 対潜能力整備は同国の目標で、武器禁輸措置解除により米製装備の調達に向かうと見られたが、ここにきて日本が浮上しており、日本側関係者によればヴィエトナム海軍から非公式に海自の退役済みP-3C対潜哨戒機購入の打診が今年春にあったという。 ヴィエトナムの悩みの種は中国潜水艦部隊だ。中国の約70隻に対しヴィエトナムもキロ級潜水艦をロシアから6隻購入たがそれだけでは対抗しきれない。そこで対潜哨戒航空機材の整備をめざす。 ただし日本への期待は価格だけではない。まず日本には十分な機数のP-3Cがある。海自が新型P-1の導入し機種更新中のためだ。またヴィエトナムは訓練も期待している。P-3C乗員は音紋から潜水艦を識別する必要があり、海自は同機運用で世界トップクラスと言われ、ヴィエトナムは日本から学ぶのが近道と考

ブレグジットとトランプ:なぜエリート層はショックを受けているのか

Why Do Brexit and Trump Still Shock National Security Elites? BY KEVIN BARON EXECUTIVE EDITOR, DEFENSE ONE READ BIO 8:29 PM ET http://www.defenseone.com/ideas/2016/06/why-do-brexit-and-trump-still-shock-national-security-elites/129396/ ブレグジットで判ったこと:結局、耳を傾けず、理解せず、意思疎通せず、説明もしていない。 LONDON – 6月23日の出来事を追っていただろうか。ブレグジットは関心を引いただろうか。この記事をご覧の皆さんは国家安全保障専門家あるいは外交政策にご関心の向きだろう。国民投票結果に恐れを感じ、トランプ候補のメッセージにも脅威を感じるのなら、大衆に非を求めるのはやめてご自分のことを考え直した方がいい。 こんなのはいかがだろうか。もう一度各種記事を読んで米国人、英国人が安全保障の専門家知見から距離を置く理由を考えてほしい。その次にこのブログを閉じて周りの人に説明してほしい。どんな仕事をしていてどれだけ重要な仕事なのか。またその政策実施がどれだけアメリカを再び偉大な地位につけられるかを。これはトランプが実行していることだ。トランプは市井の人々を巻き込んでいる。あなたはしていない、あるいはしているつもりでも十分ではない。 ロンドンでこの四月にアスペン安全保障フォーラムがあり、参加者のほとんどがEU離脱に反対の上、離脱の可能性はないとしていた。なぜ英国が世界規模の安全保障、情報利用の機会を放棄し再度自国で作り上げる必要があるのか。ブレグジットに一票を投じるのは自分の顔から鼻を切り取ることではないか。(鼻とは法執行、情報活動、軍事保安作戦の総称だ) ワシントンの国家安全保障専門家のほぼ全員がドナルド・トランプを最高司令官とすることに反対している。共和党指導部でさえトランプの安全保障観を憂慮している。イスラム教徒への態度、イスラム国へ核兵器投入を許容する姿勢であり、NATO解体もある。先週もネオコンの長老ロバート・ケイガンがヒラリー・クリントン支持に回り、保守派著述家のマックス

米空軍>指向性エネルギー兵器の技術進展と実戦化の現状

Air Force has directed energy weapons; now comes the hard part Phillip Swarts , Air Force Times 12:16 p.m. EDT June 25, 2016 http://www.airforcetimes.com/story/military/2016/06/25/air-force-has-directed-energy-weapons-now-comes-hard-part/86337816/ (Photo: Air Force) 20年間にわたり、米軍は産業界とレーザーなど指向性エネルギー兵器の実用化をめざしてきた。装置は危険な化学レーザーから信頼性の高い半導体レーザーに変わり、出力は数ワットから数キロワットへ拡大している。 これからが困難な部分だ。空軍はワシントンDCで第二回指向性エネルギーサミットを開催し大きな課題が改めて認識された。 主催は国防コンサルティング企業 ブーズ・アレン・ハミルトン とシンクタンクの戦略予算評価センターで指向性エネルギー分野で業界最高の人材が集結した。 軍上層部は早く実戦化したいとじりじりしている。指向性エネルギー兵器は敵車両を止めたり通信を遮断し、飛んでくるミサイルを破壊したりと多様な用途の想定がある。 だがレーザー兵器の実戦化は困難な課題だ。空軍が指向性エネルギー兵器をはじめて開発したのは2000年代初期で、装置は巨大な ボーイング 747の全長を必要とした。海軍の試験版は揚陸艦ポンセに搭載され重量は通常の航空機の搭載量を上回る。 さらに新技術は通常通り試験、分析、予算手当、調達、運用構想の作成、立案、承認、訓練を経てやっと実戦化される。 「予算をたくさん確保するには書類がたくさん必要だ」とブラドリー・ハイトフォード中将(空軍特殊作戦軍団司令官)は軽口をたたく。「今はたくさんの書類に字を埋めているところ」 同中将によれば敵を警戒させず静かかつ迅速に敵のシステムを妨害する装備が空軍に必要だとし、音を立てず目に見えないレーザーは最適だという。 「指向性エネルギーを高密度レーザーの形でAC-130ガンシップに搭載できるようになった」とハイトホールド中将は述べる。「指向性エ

★歴史に残る機体③ T-4超音速爆撃機など実現しなかったソ連の怪物たち

戦闘装備の歴史では数々の役に立たない兵器が生まれましたが、ソ連では特にその数が多いようです。いつか実物を拝見したいものです。では現在のロシアはどうなのでしょう。すっかり元気がなくなっているロシアですがいつまでもこのままではないでしょう。なんといっても基礎研究はしっかりしていたロシアでボーイングその他米企業が安価に基礎研究結果をソ連崩壊後に買いあさっていましたね。今はむしろ中国の動向に配慮すべきでしょうね。数十年たって中国のとんでもない兵器が過去の遺物になればいいのですが。 These Five Soviet Super-Weapons Were Disastrous It’s not surprising that most stayed on the drawing board by ROBERT FARLEY https://warisboring.com/these-five-soviet-super-weapons-were-disastrous-a2a714e060d0#.qry1mu40t T-4爆撃機. Clemens Vasters /Flickr photo ソ連時代の産軍複合体は西側企業へ70年近くも対抗意識を燃やしていた。中には西側を驚かせる安価かつ革新的で高性能の装備もあったが、空を飛ぶのもやっとという機体や何とか浮かんでいるだけの艦船があったのも事実だ。 ソ連崩壊を回避できた兵器は一つもなかったが一部は崩壊の様相を変えている。戦闘では技術と「ヒト」的要素の関係は複雑だ。その関係で孤立した装備の配備を決定をすれば国防に大きな影響が出る。 兵器開発の中止にはそれなりの理由がある。各種の出来事が関係する中で真の国益と必要性に集中するのが普通で栄光や見栄だけの追求ではない。ソ連の場合では「驚異の兵器」の多くは想像の世界のままだった。ソ連自身にもソ連の敵にとっても。 口径40.6センチのB-37海軍砲は「ソヴィエッキー・ソユーズ」級に製作された。 Photo via Wikipedia 「ソヴィエッキー・ソユーズ」級戦艦 20世紀初頭時点で帝政ロシアは比較的近代化されて強力な海軍力を維持していたが日露戦争がおわるとロシア造船業界は西側諸国よりかなり遅れをとり、さらに革命で産業界の

★米海軍のUAVトライトンがP-8へ映像送信に成功、ひろがる広域海上監視能力の実現性

しばらくニュースがなかったトライトンですが着実に海軍用として進化を遂げているようです。P-8との共同運用が今回のテストで実証されています。前にも主張しましたが日本が本当に必要とするのはこちらのトライトンが本命ではないでしょうか。  Navy’s Triton UAV Passes Full-Motion Video To P-8 During Flight Test By: Otto Kreisher June 22, 2016 5:12 PM https://news.usni.org/2016/06/22/triton-uav-passes-full-motion-video-p-8-flight-test MQ-4Cトライトンが飛行テストに離陸する準備中。2016年6月、パタクセントリバー海軍航空基地。直近のテストで同機は初めて最大荷重飛行とともに飛行中のP-8とのデータ交換性能を実証した。US Navy photo . 米海軍が実用化をめざす長距離無人海上哨戒機MQ-4Cトライトンで運用テストが続いているが、今回は収集情報を有人P-8Aポセイドン多用途哨戒機と共用できることを実証した。 6月2日に海軍航空基地パタクセントリバー(メリーランド州)でトライトンはポセイドンと共通データーリンクシステムを介してフルモーションビデオ画像の交換に初めて成功した。海軍航空システムズ本部NAVAIRが本日発表した。テストでトライトンが持つ水上目標追跡能力(電子光学赤外線カメラEO/IRを使用)による状況把握能力が離れた地点を飛行中のポセイドン乗員に共有され二機種の同時運用が実証されたことで広域海洋上での共同ミッションに道が開けた。 「作戦環境では現地到着する前からP-8乗員が監視対象の状況を知ることができることを意味します」とダニエル・パップ中佐(トライトン統合運用実証チーム主査がNAVAIR広報資料で語っている。 トライトンはこれとは別に一連の重量荷重飛行テストを行い、燃料満載で監視地点上空の高高度で滞空可能な時間をさらに伸ばしている。トライトンは燃料満載状態で高度20千フィートから30千フィートへ上昇している。重量物搭載テストは今後も続け最終的に実用上昇限度を60千フィートに伸ばすとNAVAIR広報官ジェイ

★ブレグジット後の英国防衛政策はどうなるのか

なんといっても先週の大きな話題はBrexitで結構な差で離脱が決まりましたね。英国内ではまだ動揺が続いているようですが、英国はNATO脱退まで決めたわけではありません。それでも経済パフォーマンスが落ちることを前提に早くも国防力縮小の議論が発生しているようです。これを機会にロシアが勢力を伸ばすことは許容できませんので、欧州特に西欧の防衛面の結束はますます必要で、EUがだめでもNATOは一層重要性を増してくるでしょう。その中で日本のNATO加盟(NATOの改組が当然必要です)もそのうち議題に上るのではないでしょうか。週明けの金融界は大変でしょうが、経済論理より正当な扱いを受けていないと感じる政治感情の方が強いことが証明された事件で、これから世界は大きく変わるのではと見ています。 After the Brexit, What's Next for Defense? Andrew Chuter 12:10 p.m. EDT June 24, 2016 http://www.defensenews.com/story/defense/2016/06/24/after-brexit-whats-next-defense/86333926/ (Photo: LEON NEAL, AFP/Getty Images) 英国は未知の世界に突入した。国民投票でEU離脱が決まるとアナリスト、関係者それぞれが国防関連の影響を憂慮し始めた。 直近の影響は政治面ですでに現れており国防支持派の首相ディヴィッド・キャメロンが辞任を発表し10月までに退陣する。 ジョージ・オズボーン蔵相も辞任と見られる。オズボーンは国防省の実績に不満を持ちながら戦略国防安全保障見直し strategic defence and security review, SDSR で今後五年間の国防支出増を昨年11月の認めた 欧州残留を希望したスコットランド自治政府も独自に国民投票を実施し連合王国残留の可否で民意を問う可能性が出てきた。 スコットランドが分離独立すれば軍事作戦上で大きな影響が発生する。ファスレーンの原潜基地だけの問題ではない。与党スコットランド国民党の公約は英海軍の弾道ミサイル原潜、攻撃型原潜をスコットランドから追い出すことだ。 だがEU離脱の影響