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★インド向けUS-2販売で日本が柔軟性を示す構え

なかなか進まない商談にはインド側に問題があるようですが、本案件はなんとか成約させたいものです。ライセンス生産が可能なのかわかりませんが、ノウハウの詰まった同機の技術情報をどこまでブラックボックス化できるかが重要ですね。 Japan promotes 'flexible' US-2 sale to India Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly 04 October 2016 http://www.janes.com/article/64302/japan-promotes-flexible-us-2-sale-to-india    インドは新明和US-2i水陸両用機を導入し、捜索救難用に運用したい考え。 Source: Japanese Maritime Self-Defence Force インド向け 新明和工業 US-2の価格で日本が柔軟な姿勢を見せており成約を狙う。 両国政府はここ数年に渡り同機販売を交渉中でインド海軍(IN)へのUS-2i12機の納入は総額16億ドル程度といわれる。 9月末に日本の防衛省広報官はIHS Jane'sに対しインド要求には「柔軟に」対応して成約を急ぐと述べている。柔軟性とは機体価格だけでなく、インド産業界を機体生産に関与させることも含む。 ただし同報道官からはインドからUS-2i調達方針が明確に示されていないため商談が停滞していると明らかにした。INは完成機2機を新明和から導入し、残る10機はライセンス生産したいとの意向を示していた。 「日印防衛当局間では検討を急ぐことで合意している」と報道官は語っている。「ただし協力の具体的協議のためインド側が可能な限り迅速に調達方針を示すよう防衛省は期待している」 また報道官は「インドが調達方針を決定次第、当方もインド側要望に柔軟対応し両国間協力を具体化していきたい」と述べている。 US-2i輸出案件は2015年12月に両国間で合意されており、インド政府によれば「防衛装備・技術の移転」と関連し「機密防衛情報の保護」も盛り込まれている。■

★★日本が2030年代供用開始を狙う無人ウィングマン構想を発表

自動車で自動運転(自律運転ではありません)が意外に早く実現しそうで、航空機へも波及して装備庁が考えるロードマップは加速化されるのではないでしょうか。ただし、機体やエンジンの技術開発が追いつかないとアンバランスな機体になってしまいますから結局2030年代まで待つ必要があるのかもしれません。 Unmanned Wingmen For Japan’s Piloted Force Planned For 2030s Japan lays out a plan for pilotless combat aircraft to help fighters Sep 23, 2016  Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology http://aviationweek.com/defense/unmanned-wingmen-japan-s-piloted-force-planned-2030s 無人ウィングマン構想 人工知能には航空戦闘での機体操縦は攻撃任務より難易度が高い。このため自律飛行可能な軍用機開発を目指す各国は対地攻撃任務から着手するのが普通だ。 だが日本人にとって無人機による攻撃はあまりにも乱暴に聞こえるので、同国の防衛企画部門は一気に空対空の自動化を提案しているのだろう。この課題を実現すべく、有人戦闘機とともに飛行し、支援する高性能無人機の提案が浮上している。パイロットの指示を前提とする。機体は戦闘支援無人機またの名を無人ウィングマンと呼ばれ、まずセンサー搭載機材として前方を飛行し、その後攻撃任務を実施するはずだ。 機体はファミリー構成で2030年代に登場するとの技術ロードマップを防衛省の外局である防衛装備庁(ATLA)が発表した。防衛省は以前にも無人ウィングマン構想を検討していたが、今回はさらに前進させている。ロードマップには弾道ミサイル防衛用の機材も2030年代に供用開始するとある。 構想では無人機を五種類に分類し、まず二型式が最も簡単な構造で小型で運搬可能な見通し線外の通信用で日本はすでに供用中だ。三番目はまだ完成していないが、衛星通信の中継用の機材で米国には ジェネラルアトミックス MQ-1、MQ-9や ノースロップ・グラマン Q-

オーストラリア次期潜水艦建造でDCNS・ロッキード連合が開発契約交付を受ける

オーストラリア潜水艦選定問題ではストレスを感じた国内読者が多かったと思いますが、太平洋地区の重要なパートナー国のオーストラリア海軍の戦力整備は日本も関心を決して失っていては許されない問題です。引き続き、本問題の進展をフォローしていきます。 DCNS Satisfied With Australia's Pick of Lockheed for Sub Project By: Pierre Tran, September 30, 2016 http://www.defensenews.com/articles/dcns-satisfied-with-australias-pick-of-lockheed-for-sub-project PARIS — DCNSがオーストラリ政府が同社およびロッキード・マーティンの設計契約を承認し、バラクーダ・ショートフィン1A遠距離攻撃潜水艦構想が前進することを歓迎する声明を発表。 「DCNSは第一段階契約がオーストラリア向け次世代潜水艦建造事業で締結に至ったことを歓迎し、ロッキード・マーティンが戦闘システム統合事業者として選定されたことも歓迎する」 設計および展開契約が調印されたことで事業着手に向かい、ロッキード社および現地業者との統合調整が開始されると同社は述べている。 オーストラリア国防相マリーズ・ペインおよび国防産業相クリストファー・パインから9月30日に報道ではレイセオンが優勢といわれてきたものがロッキード・マーティンが選定されたと発表している。 オーストラリア発表を受けて「長期間に渡るフランスの潜水艦部門での戦略的提携関係の大事な第一歩」とフランス国防相ジャン・イブ・ルドリアンも同日声明を発表している。 DCNSの株式35%はタレスが保有しており、同社はソナー技術で独自の技術力を誇る。 「DCNSはオーストラリア政府、ロッキード・マーティン社ならびにオーストラリア国内産業界と長期に渡る戦略的関係を築くことに期待している」とDCNS会長兼CEOのエルヴェ・ジローは述べている。「今回の契約によりDCNSはオーストラリア向け次世代潜水艦建造の第一段階に進むことができる」 同社がインド向けに建造中のスコルペヌ型潜水艦の技術情報が漏洩した事件で国内メディアが表

A2/ADの用語を葬る米海軍

エアシー・バトルと同じくA2/ADの用語も過去のものとなるのでしょうか。米海軍は一般解よりも特定解を推奨するためにも足手まといになる用語を葬りたいのでしょうね。では中国を対象に構築する戦略をどう名付けるのでしょうか。さらに空軍他にも納得できる名称を低減できるのでしょうか。海軍作戦部長のお手並みに注目ですね。 CNO Richardson: Navy Shelving A2/AD Acronym By: Sam LaGrone October 3, 2016 5:31 PM https://news.usni.org/2016/10/03/cno-richardson-navy-shelving-a2ad-acronym#more-21878 160929-N-OT964-120 NORFOLK (Sept. 29, 2016) Chief of Naval Operations (CNO) Adm. John Richardson speaking at Naval Station Norfolk, Va. on Sept. 29, 2016. US Navy Photo WASHINGTON, D.C. — ペンタゴン用語の接近阻止領域拒否が各軍、軍事研究でかれこれ15年にわたり頻繁に使われている。だが海軍作戦部長のジョン・リチャードソン大将から海軍ではこの用語の使用を取りやめるとの発言が出てきた。 9月27日に米海軍協会とCSIS共催の海洋安全保障対話の中で同大将は海軍内ではA2/ADの表現の使用を控えさせると述べた。 「思考を明確かつ明瞭にするために...A2/ADは独り歩きしておりなんでもかんでもどこにでも誰にでも適用される言葉なのでもっといい表現に変える」 「課題は個別具体的で特定のものなので『一つで全部当てはまる』式の用語でミッションを表現すれば混乱を生むだけで、かつ明瞭でもない。代わりに戦略を論じるときは具体論で語り、対応する敵勢力との比較で能力についても論じていきたい。地理条件、作戦概念、技術内容の文脈の範囲内で語るべきだ」 特定の空域、陸地あるいは海域で敵の接近を拒否することは古典的な戦略であるものの、軍事上の概念として一般化した用語は1990年代末から登場し、2000年代初頭から略語として知られる

トランプ、クリントンの国防観、安全保障政策はここまで異なる

米報道機関はなんとかクリントンを当選させたく必死になっているようですが、状況は極めて流動的です。ここで米国内でテロ事件でも発生すればあるいは海外で危機状況が発生すれば一気に情勢が変わりかねません。軍関係者としては不毛の選択を迫られそうですが、トランプの方がまだマシということになるのではないですかね。クリントンがタカ派と言うのは日本では信じる人は少数派でしょうね。 From troops to nukes: This is how Trump and Clinton would manage the military B y: Andrew Tilghman and Leo Shane III, October 2, 2016 http://www.militarytimes.com/articles/from-troops-to-nukes-this-is-how-trump-and-clinton-would-manage-the-military 米軍は来年1月に新しい最高司令官を迎える。好き嫌いに関係なく当選に最も可能性の高い二人の選択で今後四年間にわたり軍の姿は大きく変わるが変容ぶりは選択次第で全く異なるだろう。 ドナルド・トランプ大統領の下で軍は人員、装備面で劇的にまで拡大するが、任務はひろがらないはずだ。同候補は世界各地の問題地点への米介入に疑問を隠すことなく述べており、米軍が多国籍軍に参加することにも懐疑的だ。米軍の海外拠点も減る方向に向かう。 対象的にヒラリー・クリントンが11月に勝利を収めれば、かねてから外交といわゆるソフトパワーを多用すると発言しており、世界各地で発生する小規模な介入でもこの姿勢を貫くはずだ。また同性愛者,性統一障害者に門戸を開いた軍の方針を歓迎しており、女性にも職種を開放したことを評価している。 軍各部隊の隊員には両候補者に不快感を示すものが多く、明確に一方の支援に傾くことはないようだ。9月中に行われたMilitary Timesとシラキューズ大共同の現役隊員向け調査では85パーセントがクリントン候補に不快感を示す一方で、66パーセントがトランプ候補にも快く思っていないことが判明した。 米軍隊員向け世論調査では独立候補ゲーリー・ジョンソンがドナルド・トランプと並ぶ支持率を集

第二次朝鮮戦争に備える---核兵器の使用可能性は?

北朝鮮が核運用能力を整備する前に片を付ける先制攻撃論がどうも強まってきたようです。その場合に核兵器使用の選択肢も検討には入っているものの、現状では使えない兵器のままなのか、それとも誰も経験したことのない新型核兵器の開発が促進するのかもしれません。文中で言う「核環境でも作戦行動可能な部隊」ですが、機能する保証もなく、絵空事に終わるのでしょうか。おそらく北朝鮮へ侵攻し、政府機能を喪失させる部隊のことでしょうね。 Preparing for The Next War in Korea By BOB BUTTERWORTH on September 26, 2016 at 4:01 AM http://breakingdefense.com/2016/09/preparing-for-the-next-war-in-korea/feed/ 戦闘準備で実際の戦争を回避することがある。また準備してあれば実際に開戦となっても有益だ。北朝鮮に対して開戦となればどうなるかを示すとともに同盟国韓国には米国がともにいることを真剣に見せるべき時が来た。 米韓通常兵力による軍事演習が一番良い選択肢で核攻撃の際の作戦能力を見せつけることが可能だ。 第二次朝鮮戦争の想定では米核攻撃で北を破壊するシナリオが多いが、今年になり米軍は2回も韓国へ爆撃機を派遣し、金正恩に対して核攻撃能力がこちらにあることを刷り込んでいる。だが米軍が核兵器を北に投下する実現性は低い。金が原子爆弾を使い開戦しても同じだ。 その理由としてよく言われるタブーやエスカレーションの危険はあたらない。投入がふさわしい兵器がないのだ。これまで低威力で最小限の放射能しか出さない一方で電子電磁効果を上げる兵器を求める声があり、戦術レベルの精密攻撃にふさわしい手段が必要とされてきた。これに一番近いのは低威力のB61-12爆弾で爆撃機から投下できるが、放射線レベルは遥かに高い。もし北朝鮮にロシア製高度防空体制が導入されていれば、爆撃機の生還は望み薄だ。 もちろん要求条件に適合した核兵器を個別に開発することは可能だし、これまでも米ロの軍事作戦立案で検討されてきた。だが国内政治上、米国がこのような特殊兵器を選択することは考えにくい。これまで政府が守ってきた政策を逆転させるからだ。 さらに軍事作戦上

イラン国内に不時着したRQ-170の謎とリバースエンジニアリングで生まれたイラン製「雷電」UAV

技術を一気に進める安価な方法はその技術を盗むことで、古今東西同じです。盗む側にとって棚からぼたもち状態なのは欲しい機体がこちらにやってくることで、今回のRQ-170の他にもサイドワインダーミサイルやB-29の例がありますね。今回の事例では機体そのものより内部の情報や情報収集手段が手に入った価値のほうが高いのではないでしょうか。 Iran unveils new UCAV modeled on captured U.S. RQ-170 stealth drone Oct 02 2016 By David Cenciotti https://theaviationist.com/2016/10/02/iran-unveils-new-ucav-modeled-on-captured-u-s-rq-170-stealth-drone/ 10月1日イランのイスラム革命防衛隊(IRGC) が新型戦闘無人航空機(UAV)セエケエSaeqeh(雷電)を公表した。 新型無人機は長距離型で精密誘導爆弾四個を搭載し、原型は米RQ-170センティネル(2011年にイランが捕獲)だ。 IRGC航空宇宙部門長アミラリ・ハジザデ准将はイランは米国を上回る性能の航空装備を有するにいたり、UAV部門の工業力はミサイル部門同様に発展するだろうと述べている。 イランはRQ-170をコピーしただけでなく、新たな性能を実現したようだ。「カンダハールの野獣」がイラン国内に不時着した背景は現在も謎のままだ。イラン機はセンティネルより微妙に主翼が小さいがRQ-170にある機体前面の空気取り入れ口がない。 また同機に着陸装置がついているのかも不明だ。 本誌が2011年以来報道しているように謎の解明には多数の説がある。 イラン側は同機をハッキングしたと主張しているが、ステルス無人機はレーダーでは探知できないはずで、イラン東部で故障のため不時着したのだろう。(また米軍は同機の捕獲防止のため派遣された特殊部隊は同機破壊ができなかった) イランはRQ-170の制御乗っ取りにジャミングとGPS探知攻撃を使ったと主張し、米空軍も認めるUAVの弱点に言及している。 だが筆者は一番可能性が高い説は同機はレーダー探知されず、イ