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輸送機がミサイル発射機になる。米空軍が進めるパレット弾薬類構想。

  米空軍がめざす戦力分散化の一貫としてこれまで支援機とされてきた機材も戦力を展開する手段となってきました。Breaking Defenseが以下伝えています。 2021年11月3日の空軍によるラピッドドラゴン構想の実証で実弾非装てんの巡航ミサイルが空中で発進した。MC-130Jがパレットのまま同ミサイルを投下した。(US Air Force) 米 空軍は輸送機を爆弾投下機に変貌させる画期的な演習を来月実施する。▼MC-130Jの標準貨物パレットで巡航ミサイル実弾をパラシュートで空中に投下する。▼この実証で空軍のラピッドドラゴン Rapid Dragon 事業の第一段階が終了する。▼これは「パレット弾薬」 Palletized Munition  構想の効果を確かめるのが目的だ。 高度戦力を展開する中国のような相手との戦闘の初期段階で空軍は空爆を受けることを覚悟しており、輸送用機材による人員装備の戦闘地への搬送が困難になると見ている。▼さらに、現有の戦闘機攻撃機だけでは打撃戦力に不足が生まれると想定している。▼コスト効果に優れた形で長距離スタンドオフ兵器を大量に多くの機材で運用できれば、戦闘実施の柔軟性が伸び、新たな抑止効果が生まれると空軍は期待する。▼米空軍の未来派クリント・ハイノート中将 Lt. Gen Clint Hinoteが昨年次のように発言している。「爆撃機部隊がいかに充実しようとも合同部隊が求める攻撃能力は増える一方だ」 そこでパレット搭載弾薬類を貨物機から投下する構想が生まれた。▼この考え方では「スマートパレット」をまず作り、外観上は標準パレットと同じだが、標的情報を入れ、内部に搭載する誘導兵器に標的情報発射指令を与える。▼パレットは輸送機から投下されると、落下中に各種装備を発射し、別々の標的を狙う、あるいは時差を設定しばらばらに運用することが可能となる。 ラピッドドラゴン装備をMC-130Jに搭載し空中投下の準備をした。 (US Air Force) 11月3日にホワイトサンズミサイル演習場(ニューメキシコ州)でMC-130Jから投下したパレットには長距離巡航ミサイル分離試験機が入っており、飛行実証に成功した。▼空軍研究本部(AFRL)によれば同実験でMC-130J乗員は見通し線外の中継機から標的データを受信し、情報を機内の戦闘制御装備から試験用巡

英空軍が合成燃料の作戦運用構想を示し、前線や艦艇内での燃料供給の可能性に触れた。一方、小型機には電動化技術の進歩が著しい。軍もゼロエミッションを目指している。

Zero Petroleum   ロンドン---英空軍トップが考える未来の姿では前方作戦基地や艦艇内で航空機用合成燃料を製造し、ネットゼロエミッションを2040年までに実現する。   英空軍の環境目標でエコフレンドリーなジェット燃料の実用化がカギとなる。だが、サー・マイク・ウィグストン空軍中将Air Marshal Sir Mike Wigstonはフリーマン航空宇宙研究所での11月24日スピーチで新技術の実用化で生まれる作戦運営上の利点にも触れた。 「再生可能発電は太陽光や小型水素電源とし、莫大な量の燃料や補給活動を不要にし、補給の脆弱性や苦労もなくなる。この動きをさらに進め合成燃料の製造施設を前方配備すれば、基地あるいは艦上でジェット燃料を製造できる。HMSクイーン・エリザベス空母打撃群で燃料を自給できる」 この構想はさほど突飛なものではない。 RAFの迅速戦力室Rapid Capabilities Office (RCO) が合成燃料製造技術に予算を投入しており、試行中の方法のうち少なくとも一方式が移動可能になると期待している。 今月初め、RAFは小型機イカルスC42を世界で初めて100%合成燃料で飛行させた、燃料は英国の小企業 ゼロペトロリアム Zero Petroleumが製造したと発表した。 ゼロペトロリアム以外の企業が手がける合成航空燃料二つ目の事業の詳細も間もなく発表される。 「RAFは民間技術系企業数社と組んでおり、12月初旬にもこれ以外の燃料プロジェクトの追加情報を開示したい」(英空軍報道官) ゼロペトロリアムの合成燃料の原料は空気と水だ。まず水から水素を、空気中の二酸化炭素から炭素を抽出する。風力や太陽光の再生可能エナジーで水素と炭素を結合させる。加熱した金属触媒で圧力をかけて合成燃料が生まれる。 同社はスコットランドの小島に製造プラントを数週間で設置し、今回のフライト用燃料を供給した。 RAFではエタノールやリサイクル廃油など飼料を原料のサステナブル航空燃料sustainable aviation fuel (SAF)をと使用しているが、高コストと小規模製造のため、実用性に疑問が出ていた。 「安価かつ供給に心配がなくなれば利用したいが、中短期的には製造規模が低くサプライチェーンも不足気味だ。この関連でいうと、世界規模のジェット燃料消費量は年間

建国間もないイスラエルが核兵器開発の発足に成功した背景には国境を越えたたくみな資金調達ネットワークがあった。

  The Japan Times     イ スラエルの核兵器取得の動きは1948年の建国にまでさかのぼる。建国の祖デイヴィッド・ベングリオンはホロコーストの恐怖とあわせアラブ周辺諸国の脅威を痛感していた。核兵器こそユダヤ国家存続のカギを握る最後の手段ととらえ、イスラエルに勝る通常兵力を周囲国が投入した場合をベングリオンは想定した。ただし、創設まもないイスラエルには必要な技術も資材もなく国産核開発がままならないことだった。そこでイスラエルは海外調達をめざした。幸いにもその願いを実現する条件が生まれた。     1950年代中ごろにフランスはアルジェリアを自国領土ととらえていたが、アルジェリア国内の抵抗勢力がエジプトから支援を受け強力となり、フランスの支配力は危機に陥った。そこでフランスはイスラエルの協力でアルジェリア情勢の情報収集を進め、代償としてフランス製通常兵器類を供与した。1956年には核技術も対象になったのは英仏両国が軍事介入の動きを示したいわゆるスエズ運河危機の発生だ。   ベングリオンはそもそもイスラエルをまきこませるつもりはなかった。だがフランスは小型試験原子炉の供与をもちかけた。スエズ侵攻の企ては米国ソ連双方がイスラエル、フランス、英国へゆさぶりをかけたため不発に至った。フランスはイスラエルを超大国から守れないことを露呈した。撤退合意に先立ち、イスラエルはフランスに核協力の強化を求めた。フランスは大型のプルトニウム増殖炉とともに再処理工場の提供に応じた。これでイスラエルは原爆製造に必要なプルトニウム獲得のめどがついた。あとは重水だけだ。   核兵器製造に必要な技術を他国にここまで提供した例はそれまでなかった。ただしベングリオンは核合意実施に必要な資金を用意立てする必要があった。ディモナ核施設の建設費用は不詳だが、イスラエルはフランスに1960年時点のドル価格で80から100百万ドルを支払ったとみられる。当時のイスラエルには大金だった。さらにベングリオンの心配は核開発予算を国防費から流用すればアラブ諸国に対し有効な通常兵力の整備がままならなくなることだった。   そこでベングリオンは民間資金でフランスとの合意を実現する方法を考えた。この経緯はマイケル・カーピンが The Bomb in the Basemen で説明している。ベングリオンは「エイブに

RQ-180、SR-72(とおぼしき機体)、さらにX-37も登場させてのISR機材の変遷をたどる米空軍の広報ビデオが公開されています。極秘機材が大好きな向きにはたまりませんね。

  米空軍公開のビデオからデジタル採取したSR-72と思われる機体     こ の度公開された米空軍の広報ビデオに興味深い対象が登場している。極秘扱いのSR-72とRQ-180だ。 ビデオはYouTube上で2021年11月8日に米空軍のArms Center of Excellence (PACE)が「今日につながる伝統、ISRとイノベーション」の題で公開したもので、米国最先端のISR(情報収集監視偵察装備)の各事業に触れている。   https://youtu.be/xbqWdXzV-Bk     三分足らずの短編でISRミッションの進化を創世期から見せている。2分25秒でRQ-4グローバルホークが飛行する姿を見せた後、ステルス全翼機形状の無人機が現れ、2013年に出た Aviation Week & Space Technology で表紙を飾った想像図とうり二つだ。この機体の姿に次のナレーションがつく。「気球、複葉機のあとを継ぐのがホワイトバットだ」とあり、RQ-180には「グレイトホワイトバット」のニックネーム(あるいは1995年の映画に登場したシカカとも呼ばれる)がつき、独特の形状は新型スパイ機を示している。   ただし、最新ビデオに登場した機体形状が本当にRQ-180なのか疑わしい点もある。カリフォーニアで昨年、フィリピンで今年前半に目撃された姿と異なるからだ。つまり登場した機体は実はRQ-180でなく、類似機のものであり、公表に備えているのかもしれない。   これがRQ-180ホワイトバットなのか。USAFビデオからスクリーンショットした。   その直後に興味深い機体が登場している。2:34時点で、すっきりしたステルス機体が暗いハンガーに写り、これがSR-71後継機として「ブラックバード二世」と呼ばれるロッキードのSR-72なのか。 nd the presumed date for a first flight possibly in 2025. SR-72は無人極超音速情報収集監視偵察機として、また攻撃機材としてマッハ6飛行を狙う。一部に目撃談がある以外はほとんど情報がないものの、噂だけがとびかい、2025年に初飛行するといわれている。   ただし、ビデオに登場した機体はコンピュータグラフィックで実機と細部が異なる可能性もあるが、そもそも同

いまだに大統領を乗せて飛行できない新型マリーンワン、VH-92Aは何が問題なのか。

  次期大統領専用ヘリコプターとして実機は完成しているものの、供用が遅れているVH-92Aは国家緊急時への投入がまだできない状態にあるとして、いまだに供用開始時期が決まらない。The Warzoneが以下伝えています。60年代から稼働中のVH-3の退役も待ったなしの中、どうするのでしょうか。 AP     ジ ョー・バイデン大統領が新型大統領専用ヘリコプター、シコースキーVH-92Aに搭乗する機会は当面発生しない。同機事業はさらに遅延し、「ホワイトトップ」塗装のマリーンワンとしての要求事項を満たしていない。中でも国家の存亡にかかわる緊急対応時フライトを十分な信頼性をもって実施できないとの指摘がある。   ブルームバーグの本日の記事では米政府関係者が匿名を条件にバイデン政権がVH-92Aが第一海兵ヘリコプター飛行隊 (HMX-1)での運用で安全性を確認できていないとある   ブルームバーグは米海軍航空システムズ本部(NAVAIR)の9月28日付内部評価を入手し、VH-92Aを「信頼性、稼働率、整備性のいずれでも最低限の要求水準を満たしていない」との内容を伝えている。   同書類ではVH-92Aを「運用に適している」とは評価しておらず、政府機能の継続を緊急時に確実にする点で懸念を呼ぶとしている。大きな危機が発生した場合に大統領を移動させる手段としては致命的欠陥となる。   VH-92Aで 安心して 重要な運航ができない理由としてブルームバーグ記事ではミッション通信装備(MCS)の問題を取り上げているが、全体像は不明だ。試験評価部門の総括によれば、MCSは「緊急時ミッション開始時に重要な通信で遅延が生じ、適時かつ連続した安全な交信が確立できなかった」とある。   このMCS問題が発生したものの、整備陣に診断能力がなく、修理が必要な部分へのアクセスに時間がかかりすぎたという。   MCS問題は2020年度に出た運用テスト評価部門長 (DOT&E) によるレポートで登場したもので、MCSバージョン3.0のテストを2020年1月に開始している。同バージョンはDOT&EによるVH-92A運用評価OT-B1レポート(2019年5月28日付)の提言を採用し、評価作業中に発覚した欠陥事項に対応している」   BLEND QATIPI VH-92Aが首都上空を編隊飛行した

中国の極超音速滑空飛行体が別のペイロードを放出していた可能性が浮上。中国技術が米ロの先を行くのか。極超音速兵器迎撃技術の開発も米国で始まった。まずグアム防衛をSM-6で進める。

DADEROT/WIKICOMMONS/RUSSIAN YOUTUBE SCREENCAP     中 国が今夏行った核兵器運用可能と思しき極超音速ミサイルテストでは、大気圏内をらせん状に飛翔する間に何らかのペイロードを放出していたとの報道が出てきた。真実なら、興味深い技術ではあるものの、内容は不明だ。   フィナンシャルタイムズ(FT)は7月27日の実験では極超音速滑空飛行体がペイロードを南シナ海上空で放出し、「少なくともマッハ5で標的に向かわせた」との記事を昨日掲載した。   これまでこの滑空体は宇宙空間から大気圏に突入し、地球を軌道飛行に似た形で横断し、標的に向かうFOBS(Fractional Orbital Bombardment Syste 準軌道爆撃システム)の一種と思われきた。冷戦時代の構想であるFOBSは早期警戒体制が想定する方向の逆から攻撃でき、飛翔経路も想定よりはるか下となり、警戒態勢の虚をつくことが可能だ。   GAO 極超音速滑空飛行体と通常の弾道ミサイルの飛翔パターンの違いを示す図。   FOBSの機能とは別に極超音速滑空体自体が予測困難となる飛翔経路を大気圏内の飛翔制御で行う。   先にCBSのインタビューでジョン・ハイテンGeneral John Hyten統合参謀本部副議長が7月27日テストを「長距離ミサイル」関連だと評していた。ハイテン大将は「地球一周し、極超音速滑空体を投下し、中国国内の標的に命中した」と述べていた。   今回のフィナンシャルタイムズではデメトリ・セヴァストプロemetri Sevastopulo記者が「情報筋に近い取材源」の話として、滑空体が「空中で別のミサイルを分離した」と伝えている。   話が混乱しているが、同じFT記事内でミサイルが発射された、正体不明の対抗措置が放出された、と報じ、匿名の専門家がこの対抗装置は中国がロシア、米国より極超音速兵器開発で先を行く姿を示していると評している。   他方でホワイトハウスはFT問合わせに応じておらず、7月27日テストは「域内外で平和安定を目指す我々にとって懸念となる」との具体性に欠ける声明を発表しているだけだ。FTは在英中国大使館にもコメントを求めたが、情報はないと拒否された。   記事のトーンには総じて深刻さが見られ、「ペンタゴン技術陣は虚を突かれた」とあるが、肝