2018年3月31日土曜日

★韓国の原子力潜水艦建造は結局実現できないのではないか

オーストラリアで本命と言われていた日本のそうりゅう級を破り採用されたフランスDCNSのバラクーダがまた韓国の原子力潜水艦建造計画でふたたび出てきました。フランスは商売上手ですね。韓国がこのまま原子力潜水艦建造に向かう可能性が低いとのThe Driveの分析ですが、パッションだけで突っ走る韓国はその通りにならないかもしれません。でもそもそも韓国に原子力潜水艦が絶対不可欠とは思えないのですが。



Why Would The South Korean Navy Be Eyeing A Nuclear Submarine Capabilit韓国が原子力潜水艦に注目する理由は何か

A nuclear boat would offer significant additional capabilities for the service, but could come at a high cost, practically and politically.原子力潜水艦投入で韓国海軍の威力が高まるが、予算・政治面で代償は高くつく


DCNS
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 29, 2018
国海軍が原子力潜水艦取得の政治技術両面での可能性の検討に入った。北朝鮮が潜水艦弾道ミサイル開発をしており緊張が高まる中だが原子力潜水艦は技術的に複雑であり先に開発成功しても半島関係は緊張を増すばかりだ。
2017年10月に韓国海軍が委託したシンクタンクKorea Defense Network (KDN)が原子力潜水艦の基本設計を検討し始めた。最終報告書ではフランスのバラクーダ級を原型にした原子力潜水艦の開発を提言している。
「国産建造を提言したKDN報告書は慎重に精査している」と韓国海軍はDefene Newsに述べている。「原子力潜水艦建造案には微妙な内容がありとくに南北朝鮮頂上会談や米朝頂上会談が行われる中で慎重に扱う必要がある」
現時点の韓国海軍にはドイツの209型の派生型チャンボゴ級(9隻)がある。また9隻建造計画のソンウォニル級は7隻が完成しており、これもドイツの214型だ。両級はディーゼル電気推進艦だが後者には大気非依存型推進(AIP)が搭載され静粛化と長期間潜航が進んでいる。韓国海軍は9隻からなる三番目の級も要望しているが、新型艦が先に来るかもしれない。


USN
The South Korean Navy's submarine Jang Bogo.


原子力潜水艦がさらに低い聴音特性を実現するとはいえAIP搭載艦が静かなのは確かだ。各艦は214型より長く潜航可能で哨戒範囲を広げられる。
フランスのバラクーダ級をKDNが報告書に出発点としてふさわしいと取り上げられており、潜航時およそ5,300トンの規模だ。ソンウォニル級より大きく、開発中のチャンボゴ-III級より2,000トンも大きくなる。
増える空間は兵装の搭載に使い、米海軍のロサンジェルス級のように垂直発射管も備えるかもしれない。また大出力センサー類を搭載でき、韓国海軍には有力な沿岸のみならず内陸部の動向の情報収集手段になる。その場合、対象は北朝鮮だけでなく中国もカバーできるだろう。
未確認情報だがチャンボゴ-III級には弾道ミサイル・玄武Hyunmooを改装した装備が搭載されるといわれ、事実なら探知されることなく北朝鮮周辺海域を数か月航行できる重要な二次攻撃能力が韓国に実現する。
原子力潜水艦構想は北朝鮮が進める潜水艦発射弾道ミサイル能力開発から生れた。長期間の哨戒能力が監視、敵潜水艦追尾には最適だ。北朝鮮には沿岸用小型潜水艦が多数あり有事には特殊作戦部隊を韓国へ運び大きな脅威となる。
北朝鮮以外に韓国は中国やロシアへも対抗の必要がある。両国は東アジアで軍事行動を増強しており、特に中国は原子力、通常型双方で潜水艦部隊を増強中だ。また水中聴音能力も伸ばしている。ロシアも潜水艦部隊の再活性化を狙っている。
こうした状況をもとにすれば韓国が新型国産原子力潜水艦の建造に熱心なのは当然と言える。今回に先立ち2003年にも極秘調査が行われていた。
「2003年の検討では国産原子力潜水艦の基本設計まで完成し、小型原子炉の構想まで検討していました」と退役大佐Moo Keun-sikが明かす。当時「326計画」と呼ばれた構想をまとめていた。「韓国には自国で原子力潜水艦を設計開発する十分な力があります」
KDNがフランスのバラクーダ級とほぼ同じ艦の建造を提言したのは当時の検討結果を反映しているようだ。だが韓国に必要な知識と産業力があるかは別にしても、ここまで野心的な事業を実施する予算と時間が不足しているのではないか。
今日の潜水艦は複雑かつ建造が非常に高価で、原子力潜水艦はさらにその上を行く。少なくとも一号艦建造には10年かかり、各艦が作戦投入可能となるのに20年かかってもおかしくない。韓国政府は建造単価を10億ドルと試算しているといわれるが、あまりにも楽観視しすぎだ。フランスのバラクーダ級は16億ドルといわれ韓国では不慣れな建造現場で原子力潜水艦を一から国産建造するためこれ以上になるのは確実だ。
韓国の2017年度国防予算は340億ドル程度といわれ、国家予算の1割を占め、年率4パーセント増とされていた。そこに一隻10億ドルの潜水艦を建造すれば国防予算の3パーセントに相当する。
国防予算は増額されそうだがインフレを考慮すれば新型潜水艦は韓国が調達を進めるF-35共用打撃戦闘機やRQ-4グローバルホーク、早期警戒衛星、大型水上艦、巡航・弾道ミサイル各種他と予算を競い合うことになる。今年3月28日にロッキード・マーティンが韓国向けF-35Aの一号機をロールアウトしたが、韓国は40機調達の予定でF-35B取得にも関心を示しており、独島級揚陸強襲艦へ搭載したいとする。
だが最大の障害は政治で、韓国は核非拡散条約に調印しており、核分裂物質の濃縮を一定以上行わない取り決めを米国としている。原子力潜水艦の原子炉には高度能力核燃料が必要で、核兵器製造とほぼ同じ程度と言われる。これは小型装置で十分な出力を得るためだ。
このような原子炉を搭載した原子力潜水艦を建造すれば米国との取り決めに違反する。核物質濃縮やその他核施設を追求すれば高度濃縮核物質の入手に繋がり国際社会からも韓国は批判対象となり、NPT違反ともいわれそうだ。ここに韓国が326計画検討を秘密裏にした理由があり、またいったん知られるとすぐに放棄した理由もある。米国とともに国際原子力エネルギー機関が目を光らせたためだ。
シンクタンクKDNがバラクーダ級をモデルにする提言としたのは同級が低濃縮燃料を使う原子炉を搭載しているため濃縮問題を回避できるからだ。韓国は民生用原子力発電所で同様の燃料を使用中だ。
ただし北朝鮮は韓国が自国に脅威となる「核武装化」を進めていると非難し自国の核兵器開発を正当化するだろう。また北朝鮮宣伝機関の良い材料となり米国とその「傀儡」の韓国こそ核で侵略を狙っていると喧伝するはずだ。
韓国が緊張緩和を狙っていることを考慮する必要がある。北朝鮮指導者は歴史的な韓国大統領文在寅と韓国で2018年4月に直接会談する予定で、北朝鮮首脳が韓国国内に入るのははじめてとなる。
またキムとドナルド・トランプ大統領の会談にも影響が出る可能性がある。そうなると米国も韓国が原子力潜水艦の実現を目指すのは政治的にリスクが大きいと判断し、計画の放棄を求めてくるかもしれない。
トランプ政権としては韓国との合意内容の再交渉に前向きな姿勢を示しており、韓国の弾道ミサイルでの最大射程と性能の制限を再検討するともいわれる。トランプ政権が北朝鮮の脅威を理由に核燃料濃縮問題で緩和したり北朝鮮に核兵器放棄を迫る取引材料に使う可能性もある。
だがそもそも韓国がこうした障害を乗り切る必要性が見えてこない。フランスは原子力を使わないAIP型バラクーダ級を輸出用に開発しおわっており、ほぼ原子力艦に匹敵する性能があるといわれる。オーストラリアがローンチカスタマーになる。この艦なら韓国の要求内容を満たすことが可能で韓国もまずジャンボゴ-III級を優先して整備するようだ。
韓国は米国の核抑止力の傘の下にあるため、同国が二次攻撃力を非核手段で整備して北朝鮮に対する抑止力を限定的ながら整備する決定になるのかは興味深いところだ。韓国政府は北朝鮮攻撃を受ければ通常兵器による報復攻撃能力を広範に行使する用意があると公言しているが、韓国にはすでに潜水艦から対地攻撃巡航ミサイルを発射する能力がある。
もちろん北朝鮮に積極的に核兵器を放棄する兆候はなくむしろ国内体制維持にも核兵器は必要に思える。韓国から見れば核兵器への備えとして原子力潜水艦を残存可能なミサイル発射台として整備すれば朝鮮半島情勢が悪化した場合でも安心できるというのだろう。
北朝鮮の核兵器整備が進んでいることから韓国も北朝鮮と同様にNPTを脱退しても自国の核武装を再考せざるを得ないと噂する向きがある。いったん決定すれば韓国も急速に核武装を実現できるとの意見もある。
.総合すると原子力潜水艦で韓国海軍の作戦能力が大幅に拡充されるが、本当に同国が予算面でも政治面でも高額な装備開発に前向きになるかはっきりしない。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

★★台湾向けF-35B売却の可能性浮上

台湾問題がここにきて関心を集めているのは習近平体制が強硬な外交を展開しようとしていることと無関係ではないでしょう。南シナ海の実質的支配を確立した次は台湾なのか東シナ海なのか、今は台湾に関心が集まっていますが、日本ではまだ関心が低いようですね。F-15リース案件は実はF-35をリースするための布石だったのでしょうか。販売を回避し、「一つの中国」のまやかしも打破できるのですが。だが肝心のF-35Bの生産ってそんなに余裕がありましたっけ。

 

China's Worst Nightmare: Would America Sell the F-35 to Taiwan? 中国の悪夢になるのか、米国が台湾にF-35を販売する可能性




March 28, 2018



トランプ政権に台湾向けF-35売却を求める米有力上院議員

米上院の有力議員二名がトランプ政権にF-35の台湾売却を承認するよう今週月曜日に求めてきたとの報道が入った。台湾の「民主体制を守るため」と中国の軍事脅威の高まりを意識している。


「同戦闘機により台湾の防衛体制が向上し中国のアジア太平洋大での軍事姿勢に対する抑止力になる」とジョン・コーニンJohn Cornyn共和党院内副総務とジェイムズ・インホフェJames Inhofe軍事委員会有力議員がトランプ大統領に書簡を送った。


「軍事近代化を続ける中国は台湾を軍事統合する実力を1950年代以降初めて手に入れている」と両議員は指摘。「しかしながら大統領の指導力により台湾は民主主義国家として存続でき、軍事力の脅かしに屈しない関係を中国と築くことが可能だ」


報道陣から論評を求められたがホワイトハウスはまだコメントを出していない。だがジョン・ボルトンが国家安全保障担当補佐官に任命されており書簡内容も無視できない。ボルトンはかねてから対中強硬派で「一つの中国」論にも疑問を隠していない。


F-35Bを求める台湾


Defense Oneでは台湾がF-35Bの導入を要請いしてると伝えている。同機は艦上運用の他、短距離離陸性能を生かして地方民間空港からも運用可能だ。


「台湾が最新戦闘機を配備して国防要求に答えようとするのはまっとうな要望だ。」と両上院議員は書簡で書いている。「したがって台湾が米国の支援を得てF-35B調達を求めているのだ」

米側はリスクを恐れる

だがDefense One は専門家の見解としてF-35を台湾に売却すれば中国の怒りを呼び抑止力などと言ってられないリスクが増えるばかりだと指摘があると紹介。ただし同機が「台湾軍の要求に理想的な機材」だとは認める。


「台湾と中国の問題と言うより米国と中国の問題としてとらえるべき」と指摘するのはジョン・ヴェナブル元戦闘機パイロットで今はヘリテージ財団アナリストだ。「米国にとってリスクを冒す価値があるのか疑問」

台湾向け武器販売の新規提案としてトランプ政権が検討中のパッケージにロッキード・マーティンF-35が含まれているとの報道もある。だが実際に同機を台湾に販売するかまだ決まっておらず、米中協議や昨年11月のトランプ訪中でも懸念材料になりかねなかった。■

2018年3月30日金曜日

中国空母二号艦の海上公試近づく---首をかしげたくなる中国一般国民の考え方

これによれば中国国内の世論はかなり野蛮ですね。台湾は中国の一部で簡単に武陵併合できると本気で信じ込んでいます。新空母が「台湾」となれば本当に危険な事態で、日本ものほほんとしていられない事態が急にやってくるかもしれません。記事元は環球時報英語版ですから中国共産党の本流の考え方が示されているのでしょうね。中国では建造中は艦名がないまますすめるのでしょうか。変わった慣行です。韓国は平気で人名を戦闘艦にも付けていますが、さすがに中国では命名規則を確立して管理しているようですね。


China’s first domestically made aircraft carrier prepares for sea trial中国初の国産建造空母の海上公試近づく



月曜日に撮影された遼寧省大連での中国初の国産建造空母。 Photo: IC
By Yang Sheng Source:Global Times Published: 2018/3/27 18:58:39


中国初の国産建造空母001A型艦は初の海上公試の準備に入った。台湾問題の解決のためにも中国国民の同艦への期待が高いことが艦名をめぐる意見からうかがえる。

二号艦の現状

大連造船工業(DSIC)の造船現場(遼寧省大連)で撮影された同艦の写真がオンライン上で流布しており、艤装中の足場はすべて除去され、フェイズドアレイレーダーが搭載されたのがわかる。

「艤装関連の設備をすべて取り除き、主機関を初めて始動させた。2018年は中国国民を驚かせてみたい」とDSIC会長 Liu Zhengは中国中央テレビのウェブサイトcctv.comで3月13日に述べている。

同会長は001A型艦建造の総合責任者であり、人民代表会議全国政協の構成員として全人代・全国政協会議開催中にcctv.comへ以下述べている。

「001A型艦は海上公試開始が準備できつつあり、実行日時は天候と海洋状況に左右されます。4月23日がPLA海軍の海軍記念日(1949年)なので当然考慮されているでしょう」と北京在住の海軍関係専門家 Li JieがGlobal Timesに27日語っている。

「海上公試は通常6から12か月かかり、終わればPLANへ引き渡されます。そうなると2018年末に海軍艦艇として就役する可能性が高い」とテレビの軍事評論家Song Zhongpingが解説している。

なぜこんなに早く建造できるのか

001A型艦は2017年4月26日に大連で進水している。艤装工事は一年未満で完成したことになる。

001A号艦の建造は空母建造史上最速でわずか2年で進水にこぎつけた。重要なのは艦体から装備品まですべてが国産ということだとLiuが指摘する。

「国内建造の仕上がりは世界クラスになりました。たとえば飛行甲板の水平度ものばらつきは4パーセントを上回らず、3パーセント以内に仕上げています」

艦名はどうなるか

全人代・全国政協会議の期間中に浙江省Zhejiang Province台州市 Taizhouの全人代代表Yuan Maorongから新空母艦名を"Wei Wen"韋溫とする提案が出た。三国時代の武将で台湾に初めて到達した人物として歴史に名を残している。

Yuan代表はWei Wenと命名すれば台湾が中国の一部である歴史的事実をあらためて示し、海峡関係の発展につながると述べた。

艦名をめぐる議論はソーシャルメディアでも広がりを見せており、中国ネティズンに「台湾」を支持するものが多数あり、一方で清朝で台湾を奪回した提督"Shi Lang"施琅を推すものもある。

「中国国民に台湾問題解決を望む声が高いことの反映でしょう。初の国産空母はこの目的達成への強い決意と能力の象徴で台湾独立派へは強い警告を与えます」とLiは解説している。

ただし同空母は台湾を標的としていないと北京の匿名軍事筋は語る。その説明では中国が軍事手段で台湾問題を解決すると決定すればPLAは完全に任務遂行する能力があり、空母がなくても可能なので001A型艦の任務は別だというのだ。

「PLANには大型艦の命名規則があり空母もここに含まれます。一般に省や都市名称を使います」(Song)

「一号艦遼寧は訓練とともにデータ収集を目的としましたが、001A型艦は中国初の戦闘用空母となりますので艦名は特別なものになります。人名の採用は不可能です。中国で人名がつくのは科学調査船のみですから」と匿名軍事筋は解説してくれた。■

2018年3月29日木曜日

★沖縄で空戦技能の腕を上げるF-35Aパイロットたち

見かけと違ってF-35Aは相当の空対空戦能力があるようです。しかも訓練をつむ米空軍パイロットにとっては燃料不足でろくに訓練もできない北朝鮮空軍戦闘機など相手にもならないでしょう。航空自衛隊も先行して米F-35Aと対戦して同機の知見を積んでいる途中なのでしょう。ともに頼もしいことではあります。



Reporting from Kadena Air Base

How is the F-35 improving its dogfighting skills in Japan? F-35は日本でどこまでドッグファイトの腕をあげているのか---嘉手納基地に配備中のF-35A実戦部隊の様子を見てみよう

By: Valerie Insinna 


An F-35A from Hill Air Force Base's 34th Fighter Squadron sits on the ramp at Kadena Air Base, Japan. (Jeff Martin/Staff)
嘉手納航空基地にヒル空軍基地から移動したF-35A(第34戦闘機飛行隊)が翼を休めている (Jeff Martin/Staff)
KADENA AIR BASE, Japan, and WASHINGTON —F-35はドッグファイト性能不足がずっと批判対象にされている。
だが嘉手納航空基地の頭上でF-35はそんな批判は誤りと証明している。
.昨年10月に要員300名がF-35A12機とともにユタ州ヒル空軍基地から日本へ移動し、米空軍初のアジア太平洋地区でのF-35展開となった。その後、パイロットはF-35の空対空戦訓練に中心をおいているが、対地攻撃能力で知られる同機としては珍しいことだ。
嘉手納基地は466平方マイルと小ぶりの基地で周囲は太平洋に面しF-35部隊の空戦訓練に最適と第34戦闘飛行隊のライアン・ファンタシア大尉が述べている。「空域が全部洋上なので下を見ても何も見えないのが難易度を高めます。さらにここにはイーグル隊がいます」と大尉は嘉手納のF-15C/Dイーグル二個飛行隊に言及した。
F-35A隊はF-15C/Dと毎月二三回から毎週二三日のペースで訓練していると大尉はDefense Newsに語ってくれた。F-15は嘉手納基地の米空軍第44、第67戦闘飛行隊だったり航空自衛隊所属機だったりする。
「楽しんでいますよ」とファンタシア大尉は1月にF-35基本訓練課程を終えたばかりの新米パイロットとして語る。ファンタシアはじめ5名の「Bコース」修了生はF-35で操縦を始めた最初の組でF-22やF-16等他機経験がない。
新米パイロットはヒル基地ではF-35操縦経験のあるパイロットから学び、嘉手納ではF-15パイロットからも学んでいるわけで、戦術訓練と過去40年余りに蓄積された戦術を体得する途中だ。
「訓練ではこちらの強みを生かしています。各機の性能を生かした柔軟なシナリオを使っており、うまく行く場合もあり勉強になる場合も多いです」(ファンタシア大尉)
直近のフライトでファンタシアは一対一の空戦で基本戦闘操縦を試した。ハイG旋回、急上昇や高迎え角機動で有利な位置につきながら接近戦に臨んだ。
ファンタシアはF-35、F-15のいずれが相手だったのか口にしていないが、第四世代戦闘機はドッグファイトでは侮れない相手だ。
F-15Cは空軍主力戦闘機の座を長年にわたり保持しその期間は1970年代から2005年に第五世代機F-22の配備がはじまるまでだった。信じがたいほどの空戦記録で喪失記録が一機もない。
F-35も同機に対しては良好な記録を出していない。2015年にWar Is Boringが入手した5ページにおよぶF-35テストパイロットの手記ではF-16に対して主導権を握られなかったとある。このパイロットはF-35が低速すぎ操縦性も劣りF-16に捕まっても逃げられずF-16撃墜は困難と記していた。
国防総省はてテストに投入したの初期機材で飛行性能限界は5.5Gまで制限されていたとF-35を弁護した。ミッションシステムやステルス塗装やヘルメットディスプレイが作動しておらずF-35の特性が使えない状態だったが今ではすべて普通に使用可能だ。
嘉手納基地のF-35部隊は2月に最新の3Fソフトウェアを搭載され、戦闘能力が完全化されており、飛行性能も9G上限まで可能となった。だがその前から空対空模擬戦では改良がみられ、2017年初頭のレッドフラッグ演習では20対1の撃墜比率を達成していた。
嘉手納の第44戦闘飛行隊のF-15パイロット、ブロック・マクジヒー大尉はF-35について「極めて高性能」な空対空戦闘機だと2月にDefense News取材で述べていた。
「姿が見えない機体の周りを暗くなって飛ぶと怖い思いをします。各機のパイロットは腕がたち、状況認識が極めて高く、敵でなくてよかったと思わされます」
マクジヒー大尉はF-35と同じ第五世代戦闘機のF-22ラプターを比較してくれた。ともにステルス機で長距離では探知が非常に難しい。だが接近戦となればF-15はF-22やF-35相手に全く違う様相を示せるという。戦術内容を敵に明らかにすることを避け大尉は詳細に触れなかった。
「F-22の旋回能力はすごいですが、F-35の旋回はちょっと違います。基本戦闘操縦に注意して対応する必要があります」
ではF-15はF-35とのドッグファイトに勝てるのか。
「時々は勝てますね」とマクジヒーは述べ、空対空戦で負けるのは全機種共通だと付け加えた。

「原因に機体とパイロットの双方があります。ここには腕のいいパイロットがおり、攻撃をかけて勝利する可能性は高い。機体を熟知したパイロットに高い技能があればどんな機種を飛ばしても強力な存在になります」(マクジヒー)■

2018年3月28日水曜日

★ロッキードのCFR小型核融合炉が米特許を取得-----人類の生活を一変させる可能性と疑問

うーんあれから4年ですか。ロッキードが画期的な小型核融合技術を鳴り物入りで公表していました。今回は特許取得まで行きましたが、記事でも指摘しているとおり特許成立と技術の実現は別の話ですが、本当に実現すればロッキード株式に投資すべきでしょう。(当方は損失の責任は有しません) 日本ではそもそも原子力の原理が分かっていないまま感情で排斥する傾向が3/11以降定着しており、その根源は「穢れ」を排除する思想だと当方は見ていますが、核融合が普通に使える時代がそこまで来ているとすれば今から本気で核分裂と核融合は違うと社会に理解させていかないといけませんね。軍事利用を考えると今までの制約から自由になれればどれだけ画期的な装備が生まれるでしょうか。むしろレーザーやレイルガンのような高エネルギー消費装備の実現が容易になることでしょうか。ともあれ、五月雨式にしか出てこないロッキードのCFRですが今後も要注意ですね。



Lockheed Martin Now Has a Patent For Its Potentially World Changing Fusion Reactorロッキード・マーティンが世界を一変させる核融合炉の特許を取得

When it first announced the project, the company said it could have a working prototype of the revolutionary power source as early as 2019. 

同社は革命的な動力源をめざすプロジェクトを初めて公表した際に実用試作機をはやければ2019年に完成させると述べていた



BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 26, 2018
LOCKHEED MARTIN


ロッキード・マーティンが世界を一変させる可能性のある小型融合炉(CFR)で特許を交付された。予定通り進展すれば同社は、ニミッツ級空母一隻あるいは一般家庭8万軒に十分な電力を供給できる海運コンテナ大の試作機を早ければ来年にも公表する。
特許は封じ込めシステム部分で日付は2018年2月15日。メリーランド州に本社を置く防衛産業最大手のロッキード・マーティンは2013年4月3日暫定申請し一年後に正式申請していた。
2014年に同社は装置作成に取り組んでいると発表し、スカンクワークス(カリフォーニア州パームデール)で小型核融合プロジェクトとして進め、目標は5年で作動型融合炉を完成させ10年で実用型を完成させることと明らかにした。
1920年代から科学者は融合炉構想に取り組んできたが完成したモデルは低性能かつ巨大に終わるのが大部分だった。しかも巨額の費用が必要だった。その例がITER(国際熱核融合実験炉)で国際協力でフランスに2021年完成を目指し費用概算は500億ドルで総重量23千トンになる。しかも装置は実験用であり実用と程遠い存在だ。
核融合は太陽内部と同様の仕組みで核融合反応の封じ込めが中核部分とされる。核分裂では原子がぶつかり合ってエネルギーが生まれるが、核融合炉ではガス状燃料を加熱し圧力で原子をイオンと電子に分割し自由イオンが重い核に融合される。
この過程で膨大なエネルギーが放出され化石燃料を燃やす通常の化学反応の百万倍超となる。だがこのためにはガスを保持しつつ高度のエネルギーを持つプラズマ状態を維持する必要がある。温度は華氏数億度になる。
これが反応炉の性能を制約する。と言うのは作動不良が恐ろしい結果になるためだ。ロッキードの2014年のAviation Week向け説明ではソ連開発のトカマクの例では安全な作動には磁気圧を低く維持する必要があるとのことだった。
LOCKHEED MARTIN
ロッキードの反応炉の概念図


ロッキードの助けを得て本稿ではCFRでこの問題はどう解決されたかを以下説明してみる。
「トカマクの問題はプラズマ保持に限界があることでこれをベータリミットと呼ぶ。プラズマ圧と磁気圧の比率でみると平均的なトカマクのベータリミットは低く、封じ込め圧の5%相当しかない。自転車タイヤに例えると空気を入れすぎるとタイヤが壊れ破裂するようなものだ。安全運転のため限界近くにはできないことになる。
CFRではこの問題を回避するためプラズマ封じ込めに画期的な方法を採用した。プラズマをチューブ状リングに封じ込める代わりに超電導コイル多数で別の磁場を作りプラズマを反応室内に広く封じ込める。超電導磁石をコイルの間に装着し反応室の外に磁場を作る。自転車用タイヤを破裂させてしまうのではなく、強い壁に向かって拡張するチューブを使っているわけだ。CFRのベータリミットは1で、つまり100%さらに上を目指している」
装置がうまく作動すれば戦闘の将来像を大きく変えるのみでなく人類の生活が一変するのは確実だ。水素アイソトープの重水素三重水素燃料が25ポンドがあればロッキードの計算では一年連続運転でき、100メガワットが常時発電できる。
.同社ウェブサイトのCFR特集では反応炉で空母一隻を航行させ、C-5ギャラクシーと同規模の機体を飛行させ、人口10万人規模の都市に電力供給が可能とある。あるいは火星への飛行のスピードがあがるだろう。いずれの場合もCFRが通常型燃料にとって代わり、核分裂反応炉とも交代し、大幅に小型化可能となる。余分なスペースや補器類が不要となり運転維持の負担も軽減されエネルギー効率は圧倒的に向上する。
USPTO
特許成立した融合炉外観の概略図
航空分野への応用では炉の大きさが問題だが無制限の飛行距離が実現し、制約は乗員の食糧、飲料水他の生命維持関係のみとなる。高高度飛行無人機なら数か月・数か年滞空し衛星等の中継装備の代わりとなり、軍用民生用双方で活用できる。
太平洋のように広大な地域の常時監視体制は現状では困難だがCFRなら無期限に監視可能となり、敵の動きを逐一監視できるほか野生動物の群れや水温観察が連続実施できるようになる。
同様に車両、艦船、宇宙機にも恩恵が生まれ、距離の制約を取り払い無制限の電力供給が可能となる。軍用用途では無人の地上車両や艦船に無制限のパトロールをさせたり、危険性のある分裂炉を使わずに資源の有効活用につながる。
USPTO
CFRを搭載した四発航空機エンジンと反応炉の配置の概念図
核分裂に対して核融合の利点として最大の点は危険な廃棄物が生まれないことだ。重水素三重水素はともに民生分野で大量入手が可能でかつ低量なら危害は加えない。燃料が少量で済むため事故があっても融合炉から汚染が広範囲に広がることは少ない。
また融合炉では加工済み核分裂物質が不要となれば核兵器拡散防止上も有益だ。加工工程が核兵器製造の出発点となるからだ。移動可能で効率が良い電源となり世界中どこにでも設置でき病院、学校、海水淡水化プラント他重要だが大量の電力を必要とする民生インフラの安定電源となる。
燃料は膨大にあり比較的簡単に入手できる。海中にほぼ無制限の重水素があり、リチウムから三重水素を得られる。廃棄物処理は分裂炉よりはるかに容易で危険な放射能も数千年単位ではなく数百年で無害となる。
システムでは高熱を作りそのエネルギーでタービンを回し発電する。既存の発電方式の石炭、石油、核分裂方式を核融合炉に交代するのは比較的容易だとロッキード・マーティンは見ている。自然災害のような緊急事態にはトラックに搭載した反応炉で都市全体の電力復旧に役立つ。
USPTO
ロッキード・マーティンのCFRの応用可能性を示す図 特許出願内容より
もちろんロッキード・マーティンの融合炉が実現するかは別の問題だ。ほぼ一世紀にわたり多数の企業研究機関が核融合の実用化を目指しているが成功したのは一例もない。
特許取得しても書面通りに技術が実現に向かっているとは限らない。2014年のメディア向け公表以降のスカンクワークスはほぼ何も発表してこなかった。米政府は国家安全保障に関する内容で必要と判断すれば特許内容を非公表とできる。つまり今回の特許内容から見ればシステムの成熟度がまだ低く物議を醸しだす内容ではないことを意味するのか。
とは言えスカンクワークスが特許出願をこの4年間続けてきたことから同社が研究を推進中だとわかり、ある程度の達成をしたのだろう。スカンクワークスは高度研究開発で目を見張る実績を誇る。四年前も外部取材に反応炉を詳細説明するほど自信にあふれ、事業の大日程や目標まで話していたころから同社の本腰の入れようがわかる。

2014年当時に反応炉試作型完成まで5か年の大日程を示していたことから、ロッキード・マーティンからの重大発表が近づいているのではないか。■

2018年3月27日火曜日

速報 金正恩の北京訪問の背景---存在感を示さぜるを得ない習近平の苦しい立場と応じた金正恩の打算

米朝韓の一連の進展で最大の疎外感を感じているのが中国です。(日本も程度こそ違え同様)ただ面子を重んじるのはいいのですが、今回の呼びつけは後々に大きな影響を与えそうな気がします。若いキムからすれば中国に対する意識も前の世代と異なるはず。仮に「謎の人物」が金正恩本人だとすれば屈辱がばねとなる可能性もありますね。北朝鮮をめぐっては今後の進展は加速化していきますので硬直した見方をしていては理解できなくなります。


 

Kim Jong Un May Be in China. What Does That Mean for Trump? 

金正恩の北京入りでトランプにどんな影響が出るか


North Korean leader Kim Jong Un visits a factory in this undated picture provided by KCNA in Pyongyang on November 4, 2017. KCNA via Reuters

March 26, 2018


ルームバーグニュースが金正恩が北京に月曜に到着したと報じている。
日本テレビは特別列車の画像を伝え、NK Newsは北京が厳戒態勢に入ったと報じた。
Nikkei Asian Reviewは特別賓客の車列が釣魚台国賓館に入っており、人民大会堂の警備が強化されていると報じた。人民大会堂で中国指導者が各国指導者と会見することが多い。
BBC中国特派員スティーブン・マクダネルは突然の訪問に中国首都が動揺しているとツイッターで伝えた。
本当にキムだとすれば2011年12月に権力を掌握して以来初の国外旅行となる。中国外務省はキムだとは確認していない。
在韓米軍勤務の経験がありペンタゴンへ長年助言しているロバート・コリンズの観測はキムは列車に乗っておらず、中国へ来たのは実妹の金与正だという。
北京入りしたのがキム本人なのか別の高位人物なのかは別としてあらためてPRCがDPRKに異例の影響力を及ぼしていることを改めて思い起こさせてくれる。中国がひもを引いて北朝鮮に何かさせることができる。今回は習近平がひもを引いた。
習がこの時点にキムを呼びつけたのはおどろくべきことではない。北京は北朝鮮が韓国、米国とそれぞれ首脳会談をしようとする中で大事な話し合いの蚊帳の外におかれそうだ。
トランプは5月末までにキムと会談したいと話した。キムは文大統領と4月に会う。
中国は間もなく始まる協議の舞台の中心に戻ろうと必死なのだ。
北京としては面子を保つためにものけ者にされまいと必死だ。「今後の成り行きと関係なく、半島問題の解決は中国の人智と無関係ではありえず、中国の意向と無関係に進めてはならない」との評論を新華社が3月16日に伝えている。「半島問題については中国は多大な努力をし、中国案を提示し、関係国全体をまとめてきた」
北京がそうした役割を本当に果たしてきたのか証拠はない。今回の会談を実現に導いたのは文在寅であり、その安全保障補佐官鄭義溶Chung Eui-yongと国家情報院長官徐薰Suh Hoonの功績だ。
さらに北京は今後の見通しでも誤っている。「中国は朝鮮半島の核問題解決に常に独自の役割を果たしていく」と新華社は伝えている。トランプは中国を一連の工程から排除したいようだ。トランプ-lキム会談は非武装地帯で実現するとの見込みがあり、その他スウェーデン、フィンランドでも可能性があるが、中国の可能性はない。今や機能しなくなっている六か国協議が北京で開催されていた。
したがって中国では警戒の意識が出ているはずだ。「中国にとってのリスクは関係外とされることだ」とミラ・ラップ-ホッパー(イェール大ロースクール)がニューヨークタイムズに語っている。「米朝関係で完全に遮断されるのは中国の想定外」という。
だがトランプが簡単に中国を部外者にしてしまう中で中国は自らが大国だとどうやって納得させられるのか。明らかに習は北朝鮮に影響力を及ぼしキムあるいは実妹あるいは別の高官を中国の首都に来させた。
確かに中国の影響力は相当ある。まず中国は北朝鮮の最大の交易相手で、2016年の貿易量の92.5%が対中国だった。
中国は北に原油の9割以上を供給していると見られ多くは物々交換の形だが、また食料供給の三分の一は中国からで北朝鮮の食糧生産が恒常的に低下する中で重要性を増している。航空燃料は全数中国が供給することもある。中国からの投資だけで対外直接投資の半分を占める。
中国の力は経済分野以外にも広がり、平壌の主要支援国となっており、とくに国連安全保障理事会でその傾向が強い。
もう一つ手段がある。北朝鮮首脳部にとって米国、韓国その他から政権を安泰に維持できるのは中国の存在あってのためだ。
北京には金正恩の考える中核問題を変えることはできないし、だれにもできないのだが、中国にはその気になれば北朝鮮に兵器開発に固執する態度を変えさせることが可能であり、キムが政権内部で人望がないことも明らかだ。
だが原油供給を遮断したり国境を封鎖したり北への投資をすべて禁止すれば平壌のエリート層には中国が支援をしなくなったと受け止められ、中国といえども北に言うことを聞かせるのに数か月もかかることになった。
今こそ中国が影響力を行使すべき時なのだ。「習近平は文やトランプに先に金正恩と会談させたくないのだ」とデイヴィッド・マックスウェル(在韓米軍経験が長い韓国問題専門家)がNational Interstに語っている。「またもちろんキムが習に喉頭の礼を示し習が朝鮮半島の見ならず地域大で影響力を行使できるようにする意味がある」
無論キムには呼ばれる理由がある。コリンズは「金正恩は背後で虚をかかれないようにしたいのだろう。北東アジアでは同盟国がないと安心していられない」と述べた。
いずれにせよキムあるいは別の人物が特別列車で北京入りしたのは中国の北朝鮮への支配力は消えたとの主張に対して決定的な意味がある。金正恩は家臣の役割を演じている。
この見解だと中国には非常に都合がよい。北京には米大統領に習がその縄張りで軽視されているとの観を払拭する必要がある。■
Gordon G. Chang is the author of Nuclear Showdown: North Korea Takes On the World. Follow him on Twitter @GordonGChang.
Image: North Korean leader Kim Jong-un visits a factory in this undated picture provided by KCNA in Pyongyang on November 4, 2017. KCNA via Reuters