2018年4月30日月曜日

★★わかりにくなってきたF-3開発への道:心神からF-3? それとも海外との共同開発?

すでにご紹介したF-22/F-35ハイブリッド機開発はロッキード提案であって、ボーイング、BEAシステムズからの返答が不明のままですね。内容によっては改めて完全自国開発の道がかろうじて残っているということですか。ロッキード案には読者の皆さんは概して懐疑的ですね。ところで、心神の特徴を米国経由でないと知ることができないのは情けないですね。あるいは皆さんは同機の特徴についてこの記事以上の情報をお持ちでしたか?



Revealed: Japan Already Has Its Own Stealth Fighter 

日本にはステルス機がすでにある





 
Sebastien Roblin
April 28, 2018


2016年4月22日、白赤青塗装のほっそりとした機体が名古屋空港誘導路をタキシーし、日本はステルス機開発で世界四番目の国になった。機体は三菱X-2心神だ。


それから二年たち、わずか34回(予定は50回)で心神はテストフライトを終了した。自衛隊は次世代ステルス戦闘機の国内開発か海外調達かの重要な決定に迫られている。新しい報道内容では日本は後者に傾いているようだ。


ラプターが入手できず心神が生まれた


自衛隊とは一般の軍隊と異なり国土防衛任務のみを念頭に装備された組織だ。中国の空軍力整備、中距離弾道ミサイル、海軍力を目の前にして任務は重要さを増している。中国やロシア軍用機の接近のたびに日本の戦闘機は毎年数百回ものスクランブル出撃をしている。日本の杞憂が高まっているのは中国が第五世代ステルス戦闘機J-20を第一線配備し航空自衛隊のF-15やF-2戦闘機の質的優位性を脅かしていることだ。


21世紀に入ろうとする中で日本はF-22ラプターステルス戦闘機導入を真剣に求めていた。最高の航空優勢戦闘機と言われることが多いラプターには優れた性能に応じた価格が付く。ただし、米議会がF-22輸出の途を閉ざし、ラプター生産ラインは早期に閉鎖された。かわりに航空自衛隊(JASDF)はF-35Aの42機導入を決めたが、本来欲しかったラプターと比べると性能が見劣りする。


防衛省技術開発本部がステルス技術を研究しており、米国内テスト施設利用が許されないため、原型機モックアップはレーダー断面積測定をフランスで2005年に行った。それから11年がたち、三菱重工業が高度性能技術実証機AT-Dがを発表し、X-2の別名が付いた。同機には360百万ドルが投じられ、関連企業220社が機体の9割を国内生産した。


超小型のX-2は全長14メートル、翼幅9メートルだ。ここまで小型化できたのはX-2は実証機で兵装搭載の想定がなく、機体重量も10.5トン(最大14.4トン)しかないためだ。軽量と言われるF-16でも空虚重量は18トンある。


通常のレーダー波吸収塗装の代わりに心神では非反射性の炭化ケイ素とセラミックが使われ、風防にも特殊合金の被膜をついた。さらに機体表面はギザギザの処理や不規則曲線を組みあわせレーダー反射を減らした。尾翼は外側へ傾けられている。


日本の防衛関係は心神は「10キロ離れるとカブトムシ程度にしか映らない」とし、この発言は米軍がF-35のレーダー断面積(RCS)をゴルフボール程度、ラプターではマルハナバチ程度と発言しているのに通じる。ただしX-2のRCSはそこまでの実力はなく、むしろ中程度のステルス機中国のJ-20に対しては推力偏向型エンジンで優位になると見る向きもある。


エンジンはIHIのXF5-1低パイパス比ターボファン双発でアフターバーナー付きジェットエンジンとしては国産初で、耐熱セラミック複合物とチタンアルミ合金をベースに製造した。排気口にパドル3枚がつき、推力方向を三次元的に偏向させることでX-2は急角度で操縦が可能だ。量産型ではパドルの代わりに可変式排気ノズルをつけレーダー断面積をさらに減らす。


X-2のエンジンは各5,500ポンド推力しかないが機体が軽量のためマッハ2以上の速力が出せ、アフターバーナーなしで超音速を継続するスーパークルーズが可能だ。


心神には日本開発の各種技術が搭載されていると伝えられる。新型機では油圧制御の代わりに「フライバイワイヤ」が使われるが、三菱はさらに先を行き光ファイバーを採用し電磁攻撃への耐じん性を増している。また「自己修理型」制御系が採用されているともいわれ、水平尾翼や昇降機など制御表面の損傷を探知し自動的に補正制御して飛行を続ける。


実証機から三菱F-3が生まれるのか


心神は技術実証機であり、量産前試作機ではない。非武装機の開発は数千ポンドもの装備を積む実戦用機材よりも簡単である。


日本が目指す国産設計のステルス戦闘機には三菱F-3の名称がつくが、まだコンセプト模索段階だ。防衛省は大型双発ステルス機として長距離空対空ミサイル6本を機内搭載する同機の生産を2027年に開始したいと明示している。百機あればF-15JやF-4EJの後継機になるだろう。


公表済みのコンセプト図が二案あり、ひとつはF-22に類似し、もう一つは無尾翼第六世代機のようでボーイング提案のF-A-XXにも似ている。機体には構成の多機能レーダーを搭載し、接近する機材の探知に加え電磁センサーさらにマイクロ波兵器にもなり敵の電子系統を使用不可にする可能性もある。


ただし2018年4月配信のロイター記事では匿名日本防衛筋の話として日本が純国産開発よりも海外提携先の模索を目指すとある。2018年6月までに予算化されないとF-3は日本の時期五か年防衛計画に盛り込まれなくなる。


その理由にコストとリスクがある。日本の試算では初期費用だけで400億ドルとあり、日本の2018年度防衛予算が460億ドルであるので最大規模の事業となる。


また米国がF-35で新規技術開発に挑戦したが、多くが予想に反する結果となり遅延と費用上昇を招いた事実もある。そのため既存技術に資金を投入したほうが確実であり、他国の予算で既存技術に磨きがかかるのであればなおさら好都合だ。一から新技術開発に向かうリスクよりましだ。


ラプター・ライトニングのハイブリッド案はどうか


日本政府の情報開示要望はBAEシステムズ、ボーイング、ロッキード・マーティンの各社向けで新型ステルス戦闘機の共同開発の可能性がポイントだ。そこで浮上してきた興味深い提案がラプターとF-35ライトニングIIのハイブリッド版の開発だ。


もともと日本がF-22に魅力を感じたのはF-35より優れる航空優勢性能のためであり、JASDFは空対空戦能力を重視している。ただしラプターは1990年代のコンピューターが足かせで、性能改修は巨額費用が必要で機体表面のレーダー波吸収材(RAM)の塗布も高価だ。さらに重要なことに同機の生産が終了している。他方でF-35は経済性に優れたRAMパネルを採用し、センサーやコンピューターも高性能化され、標的情報をネットワークで友軍と共有できる。


したがって日本が目指す新型機はF-35の新機軸とF-22の優秀な飛行性能を加えたものとなる。実現すれば究極のステルス機になるが巨額の費用が必要となるだろう。ペンタゴンによる検討内容がリークされており、F-22生産ライン再開とあわせて旧式装備を近代化する場合、初期費用だけで70から100億ドル、194機生産の場合の単価は210億ドルで総額500億ドルとある。


ここに日本をからませれば費用が一部減るが、初期価格だけ見れば完全新型機開発と大差なく、ただ既存機に手を加えるだけなのでリスクは低くできる。米空軍も運用中のF-22約180機の追加や性能向上となれば前向きになるだろう。ただしF-35予算が流用されれば国防ロビー筋が反対するだろう。


心神原型の完全国産F-3ステルス戦闘機の開発案も代替策になる。日本が国内生産を好ましく思うのは確実でステルス技術も自国で管理できる。ただしJASDFはX-2実証機に多額予算を投入しながら、第五世代ステルス戦闘機を確実かつ費用対効果に優れた形で実現する方法は海外提携先を見つけることと結論付けている。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Wikimedia Commons

2018年4月29日日曜日

あなたの知らない戦史-4 イスラエルがソ連MiG-21を3分間で5機撃墜した(1970年)

罠にかけて目障りなMiGを一気に料理する作戦はベトナムでもUSAFのエースパイロット、オールズ大佐が67年に実施していますからイスラエルが参考にした可能性はありますね。(このときは米側がMiGを7機撃墜)とはいえ、イスラエルの作戦勝ちだったわけです

How Israel Shot Down 5 Russian MiGs in 3 Minutes イスラエルはソ連MiG5機を3分間でこうして撃墜した



April 26, 2018


1970年7月30日、イスラエル空軍がソ連軍MiG-21の5機を3分間で撃墜した。

アメリカ、ロシア、イスラエルはいずれもシリアで現在対峙しているが、48年前のこの物語には今日にも通じるものがある。ソ連の息がかかった国家、この場合はエジプト、がトラブルに直面していた。1967年の六日間戦争での敗北で屈辱を感じたアブデル・ナセル大統領はイスラエルに必勝の願いで戦いを選んだ。これが1967年から1970年にかけての消耗戦争でスエズ運河地帯のイスラエル陣地へ決死隊攻撃と砲撃を繰り返した。

だがイスラエルは死傷者の発生を嫌い、数ではアラブ側に劣勢なためなかなか優勢を得られない中で反撃に出た。六日間戦争では航空電撃作戦で勝利をつかんだイスラエル空軍(IAF)は新たに取得した米国製F-4ファントムでエジプト国内奥深くまで報復攻撃を実施した。それに対しナセルはソ連に要請し高密度の対空ミサイル(SAM)陣地をスエズ運河に沿って構築した。IAFはエジプト機多数を撃墜したが、SA-2、SA-3陣地によりIAFにも被撃墜機が発生し、運河地帯での空軍作戦に支障をきたした。これは当時のハノイ上空での米側航空作戦に似ている。

SAM導入はイスラエルにとってはレッドラインだったが、そらにソ連空軍のMiG-21飛行隊がエジプト防空に投入されたことが難易度を高めた。当初はソ連とイスラエルもそれぞれ回避しようとした(今日のシリア上空でのイスラエル、米国、ロシアの状況と似通う)。だがついにイスラエル空爆にソ連が迎撃をかけた。イスラエルのA-4スカイホーク一機が空対空ミサイルで被弾する事態が1970年7月25日に発生。SAMとMiGによりイスラエルはスエズ運河地帯を西部開拓時代の「テキサス」と命名したほどだ。

イスラエルはソ連に教訓を与える時が来たと決意し周到な立案実施をめざした。ロシア語のできるイスラエル通信要員がソ連交信を傍受し、IAFに名案が生まれた。

リモン20作戦は罠を仕掛ける構想だった。「実に簡単な作戦だった」と歴史家シュロモ・アロニが書いている。「ミラージュ4機を高高度偵察パターンで飛行させ、ソ連MiG-21の飛行区域上空を通過させる。ミラージュ二機ずつ組ませ、いかにも非武装の偵察飛行に見せるが、実は各機は武装している」 さらにファントムと別のミラージュ各編隊がイスラエルが支配するシナイ半島で低空飛行し、エジプト軍のレーダーに映らないまま待機し、ソ連機が餌にかかり「偵察」ミラージュを追い回し、イスラエル領内に近づくのを待つ。

ミッション志願者は多数いたが、最高のうちの最高で経験豊かなパイロットが選ばれた。IAFクルーは腕がうずうずしながらも不安をぬぐえなかった。「怖くなかったが、どういう事態になるか予測ができなかった。相手が相手だし高度装備を搭載しているはずだったから」と当時のイスラエルパイロットが回想している。「ロシア人に『テキサス』がどこにあるのか教えてやる時が来たと言われていました」

そして7月30日木曜日の午後が来た。ソ連機は罠にかかり、エジプト各地の空軍基地から21機ものMiG-21がスクランブル出撃し、偽の偵察機の迎撃を目指した。楽な標的と思ったらファントムとミラージュIII計16機の待ち伏せだった。三分間でMiGの5機が撃墜されたが、ファントムとミラージュが2機ずつ、残り1機は両型機で撃墜した。ファントム撃墜のMiGの一機は「超低空」撃墜でレーダー誘導のAIM-7スパローが仕留めたが、設計よりはるかに低い高度での出来事だった。別のイスラエル機は「15千フィートから2千フィートまでMiGを追尾し、AIM-9Dサイドワインダー一発で撃墜した」とアロニが記している。イスラエル側には技量だけでなく運も味方した。ロシア人パイロットがファントムの後尾につけ、アトール熱追尾ミサイルを発射したが不発だった。

イスラエルの勝利には詩的な響きもあった。だがイスラエルはうぬぼれず当初はエジプト機を撃墜したと認識していたほどだ。むしろエジプトがソ連軍事顧問に憤慨した。「エジプト軍にはロシア人の失態に笑いをこらえられない向きがあった」との指摘がイスラエルにある。「この戦闘以後、ナセルは飛行隊のロシア人教官を笑ってはならぬとの訓示を出している」

米国が仲介して消耗戦戦争は終結したが、イスラエルとアラブ諸国との戦闘はこれで終わったわけではない。休戦したがSAM陣地はスエズ運河地帯に残り、イスラエルは後悔することになった。三年後にエジプトとシリアに供与したSAMでソ連はスエズ運河とゴラン高原でIAF機へ復讐した。

ただし、今回はソ連パイロットや顧問団は関与していない。エジプト大統領アンワル・サダトが1972年に国外追放したためだ。

現在のイスラエル、米国、ロシアはシリア上空で対決を避けているようだ。だが1970年同様に接近しているため衝突の危険性は存在し、米軍空爆で死傷者が発生している中でロシア傭兵にも犠牲者が発生している。イスラエルもシリア国内でイラン軍を標的にしているが、ロシアの迎撃を受けたり、ミサイルに追われる事態が発生すれば、イスラエルは反撃にでるだろう。1970年同様に火薬庫の爆発の懸念はもしではなくいつかの問題だ。
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Flickr

2018年4月28日土曜日

独仏共同の哨戒機へのP-1売り込みは成功するか

思ったように成約しない日本の防衛装備ですが、商売とはそういうものでしょう。さらに実績がないのですから日本製装備にハンディがあるのは仕方ありません。しかし、P-1やC-2はニッチの製品ではないでしょうか。ましてや一国で単独開発する案件はこれから減るはずですから稀有な存在なのは明らか。そうなると政府も知恵をしぼって後押し(政府が主役になってはいけません)すべきであり、メーカーにももっとフリーハンドを与えていいのでは。企業メカニズムが動く方が効果が高いと思いますが、皆様のご意見はいかがでしょう。

Japan seeks role in French-German marine surveillance plane project - sources仏独哨戒機開発事業に日本が参画を目指している



TOKYO/BERLIN, April 25 (Reuters) - 第二次大戦後初の大型防衛装備の海外販売制約を目指し、海上哨戒機調達を狙う仏独共同案件に日本がP-1対潜哨戒機を提案している。日本政府筋二か所から確認した。
三か国政府による協議は昨年始まり、日本政府はP-1のメーカー川崎重工業にフランスのダッソーエイビエーションタレスSA両社との話し合いを求めていると内容に詳しいものの報道陣へ情報開示権限がない同上筋は明らかにしている。
「ゼロから作れば莫大な費用がかかるし仮にスペイン他が調達に動いても市場規模は小さい」と関係筋の一人が語る。
だがP-1売り込みは容易でなく、現地競争相手は多い。
エアバスはA320neo旅客機の軍用型を検討中としており、フランスのダッソーエイビエーションはファルコン8Xビジネスジェットの転用に向かう。両社は本件について論評を避けている。ボーイングもP-8Aポセイドンの売り込みを図りそうだ。
「防衛省の後押しで当社はP-1を他国に紹介してきた」と川崎重工業広報は述べる。「ただし、個別案件についてお話しできない」
防衛省は当方の照会に回答していない。
ドイツは現有哨戒機の後継機でロシア潜水艦の哨戒活動が冷戦終結後で最高水準になっていることへ対応させたいとする。
独仏国防相は今週のベルリン航空ショー会場で新型哨戒機の共同開発に関する文書に署名するとドイツ軍事筋が述べている。
ドイツ国防省の報道官は本件について論評を避けつつ、「ドイツ、フランス両国は現在存在する良好な協力関係の拡大可能性を検討中」とのみ答えている。
両国はその他共同調達や共同開発の実現を目指し、戦闘機や無人機もここに含む。またロッキード・マーティンC-130J輸送機の共同運用も実現する予定だ。

海外販売は成立するのか

安倍晋三首相は長きにわたった武器輸出禁止措置を4年前に解除している。
ただ日本製防衛装備で成約した海外販売は一件もない。各社がしのぎを削る商戦の中で日本の防衛産業はこれまで長く孤立してきた。
.2015年に英国にP-1を提案したが、採択されたのはボーイングP-8だった。2016年にはオーストラリア向け潜水艦販売案件はフランスの艦船メーカーDCNSに流れた。
欧州の防衛アナリスト、軍事筋には独仏共同選定でP-1は厳しい競争に直面するとの声が多い。なお、新型機の就役開始は2035年の設定だ。
「この時点で日本の川崎に成約できる、できないを占うのは時期尚早だ」との声が軍事筋にある。ボンバルディアイスラエル航空宇宙工業レオナルドが哨戒機商戦に参入を狙っている。
日本はフランス、ドイツ両国との防衛上の関係強化を狙いP-1をベルリン航空ショーで展示する。P-1は高高度または海面近くで高速飛行性能があり、ロッキード・マーティンP-3Cオライオンの後継機として開発された。
ドイツもオライオンを運用中だがフランスはダッソーエイビエーションが1980年代に製造したアトランティーク2(ATL2)を運用する。
P-1は日本の広大な領海を守るべく、太平洋から東シナ海まで飛行しており、後者では中国と日本が無人島をめぐり領有権を争っている。
四発の同機は胴体と主翼での亀裂やエンジン不調のため供用開始が2015年にずれこんだが、光ファイバーで飛行制御をコックピットから行う初の量産機になっている。■

(Reporting by Nobuhiro Kubo in TOKYO and Andrea Shalal in BERLIN; writing by Tim Kelly; Editing by Gerry Doyle)

2018年4月27日金曜日

米B-52編隊で中国広東省へののスタンドオフ攻撃演習をした米国の狙い

US B-52 bombers fly close to Guangdong coastB-52爆撃機編隊が広東省付近を飛行した模様

Rarely had US strategic bombers been seen above waters so close to the Chinese shore米戦略爆撃機が中国本土付近まで進出するのはまれなこと

By ASIA TIMES STAFF APRIL 26, 2018 4:01 PM (UTC+8)
今週火曜日午後、米空軍B-52ストラトフォートレス戦略爆撃機二機が広東省沿岸から250キロ以内をに飛行したとの台湾報道があり、USAF機材の動向を追うツイッターグループAircraft Spotsも同様に伝えている。
登録番号57-1454と60-0360の二機がコールサインHERO01、HERO02で台湾とフィリピンの間のバシー海峡上空で確認されており、グアムを発進したと見られる。
両機は南シナ海北部を西に向かい台湾が占拠する東沙諸島(香港から南東340キロ)上空を通過し、ジグザグコースをとり嘉手納航空基地に帰投した。この様子をAircraft Spotsが示している。また二機が沖縄付近で空中給油を行ったことが判明している。
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Aircraft Spotsに出たB-52二機編隊の飛行経路 Photo: Twitter

台湾の自由時報Liberty Timesは米戦略爆撃機が中国本土付近を飛行するのは珍しいと指摘。一方でH-6Kはじめ人民解放軍の爆撃機やスパイ機がひんばんに同空域を飛行しており、台湾外周を一周飛行することも多いという。
同紙によれば今回の飛行経路から爆撃機編隊がトマホーク巡航ミサイルで広東省沿岸部を標的にした模擬攻撃を行ったのがわかるという。
トマホーク巡航ミサイル最大射程は2,500キロあり、東沙諸島付近から発射すればPLAの軍事施設多数の攻撃が可能だ。
B-52が今回投入されたのは中国が台湾領空をないがしろにすれば米国としても対応の用意があると示す狙いがあったためと見られる。
中国がいわゆる第二列島線(小笠原諸島、火山列島からマリアナ諸島)の突破を狙っているのは明らかでH-6K爆撃機の航続距離を活用しCJ-10Kはじめ対地攻撃ミサイルを空中発射するのだろう。
こうしたミサイルの実用射程は1,500キロで台湾の太平洋側を飛ぶH-6Kから発射すればグアムも狙える。
噂だがH-6Kは空中給油でグアム付近まで進出可能ともいわれ、原型がソ連時代の旧式爆撃機にステルス性能は皆無で台湾や日本のレーダーなら簡単に探知できるはずだ。
中国国防省は今回の中国防空識別圏への侵入にまだ反応していないが、中国の防空レーダーが対応したのか、軍用機が迎撃に出撃したのかは不明だ。

だが中国のニュースポータルSinaに26日評論が出ており、大型のB-52も中国の防空体制の前には脆弱であり、中国にはロシアから輸入したS-400トリウームフ防空ミサイルもあると指摘している。■

シリア空爆は北朝鮮攻撃の予行演習になるのか




金正恩が見え見えの核実験凍結等の発言をしてすぐ反射的に喜んだのは韓国与党勢力でした。韓国の野党や日本は冷たい見方をしていましたが、今や金正恩に核兵器放棄の意図が全くないことが明らかになり、世界はあきれているのが現実です。ただこの記事にあるシリア攻撃が北朝鮮を頑なにさせているとの見方はどうでしょうか。来るべき米朝会談が決裂し、金正恩をなびかせることが出来なくなった米国が北朝鮮を攻撃する可能性が減る可能性はないでしょう。つまり、朝鮮半島の危機は緩和されることはないと見ます。今年上半期の動向が重要です。



Syria: A Preview of What Is to Come in North Korea? シリア空爆は北朝鮮にこれから起こることの予告編だったのか



April 22, 2018


先週の米英仏協調によるシリア国内化学兵器施設三か所への攻撃には明白な目的があった。サリンや塩素ガスを使用したバシャル・アル-アサド政権にはっきりと警告のメッセージを送ることだった。作戦自体は限定的ながら精密に攻撃対象を選び、死傷者は一人も発生していない。作戦完了後にジェイムズ・マティス国防長官は報道陣に今回のミサイル攻撃は「一回限り」でアサド二個例以上の化学兵器使用に向かわせないことを目指したと強調した。

今回はアサドを狙った攻撃だったが、事態の進展を注視していたのはアサドだけではなかった。トランプ大統領が今回の武力行使に踏み切った背景にもっと大きな構図があり、アサドはわき役に過ぎないとの見方がワシントンにある。タカ派の色彩が濃いワシントンのシンクタンクには今回のシリア攻撃にはアサドへの懲罰以上の意味があると指摘する向きがある。国際社会に北朝鮮の金正恩にホワイトハウスの言動に深刻に対応させる意味があることを示したというのだ。

ジョージ・W・ブッシュ政権でスピーチライターだったアメリカンエンタープライズインスティチュートのマーク・ティーッセンMarc Thiessenがワシントンポストに寄稿している。「シリアでの見せ場でトランプには北朝鮮のみならず駐豪へもメッセージを送り金正恩政権にも方向転換を迫り、今回の事例が示すように言葉の脅かしはこけおどしではないと分からせようとした」

残念ながらティーッセンの指摘は最良の場合のシナリオではない。トランプ大統領は北朝鮮指導部の足元にメッセージを送ったが、病的なまで偏執狂の金正恩はワシントンの専門家が期待するような形に受け止めていない。トランプに今後始まる北朝鮮相手の核交渉を有利にさせるのではなく、アサドへの空爆で北朝鮮には核兵器を交渉対象とすべきではないと考えさせたのではないか。シリアの首都近郊にミサイルの雨が降ったことで北朝鮮首脳部は核兵器廃棄を材料に交渉してはまずいと考えたはずだ。シリア首都近郊にミサイルの雨が降ったことで北朝鮮には核兵器および運搬手段がなければさらに危険な立場に追いやられると確信したはずだ。

では北朝鮮がシリア攻撃をどうとらえていたのか確実にわかる方法があるのか。もちろん確実なことはわからない。北朝鮮は難関中の難関で米情報機関もその実態を何十年も把握できないままだ。ただ北朝鮮外務省関係者と金正恩本人から十五年に及ぶ米主導の軍事行動で北朝鮮は核抑止力なくして生き残れないと考えるに至ったことがうかがえる。国家情報局長ダン・コーツが昨年に北朝鮮政府が過去15年に核兵器を保険と考えるようになったと表現したのは全く正しい。とくに同国は地球最強の軍事力を有する相手と対峙しているのだ。

金正恩は核兵器をこれから入手する必要はない。すでに保有しているからだ。トランプがシリアを攻撃したことで、金正恩はますます核廃絶にのりだせなくなっている。核抑止力はそこまで重要であり、金正恩政権が重要であるため米国は月でも星でも差し出しかねない様相だ。つまり、平和条約、韓国からの撤兵、経済生産の完全解除であり、北朝鮮はこれからもすべてての申し出を拒絶できる立場になる。またトランプ政権が求める実証可能な非核化についても同様だ。

端的に言えば、金正恩はサダム・フセインのような裁判にかけられることを避けたいと考え、ムアマル・アル-カダフィのように襲撃され殺害されることも望まず、バシャル・アル-アサドのように米空襲を何度となく受けて都度地下壕に退避する生活も望んでいないのだ。

トランプ大統領は金正恩との会談に高い期待をつないでおり、超大国を代表した交渉役として米国民の利益になるとすれば重要な会談でも途中放棄する構えだ。トランプは心底から金正恩に核兵器放棄を迫れると考えているようで、同時にワシントンが求める韓国、日本との安全保障枠組みをこれまで通り守れると考えているようだ。地政学並びに朝鮮半島を学んだものならここまで楽観視した考え方が笑止千万であることは承知の上だと思う。北朝鮮が国際約束を守ることにかけては見掛け倒しの実績しかないこと、北朝鮮政府の気まぐれな対応、腹黒さの歴史はよく知られている。仮に核兵器処理の交渉が本当に実現するのであれば、トランプ政権の最大の功績として北朝鮮から期待できるのはこれ以上の核開発を凍結し、核兵器のミサイル搭載も止めることだが、実際にこの二つの実現したとしてもその実証は国際的な査察体制がない限り不可能だろう。

だが懲罰行動的な空爆をアサドの化学兵器開発に加えたトランプは北朝鮮対応を自ら困難に変えてしまった。金正恩には自らの核兵器保有を守る理由ができてしまったのだ。■
Daniel R. DePetris, a fellow at Washington-based think tank Defense Priorities. He is a columnist for the National Interest and the American Conservative. Follow him on Twitter at @dandepetris.

Image: A U.S. Air Force B-1B Lancer and crew, being deployed to launch strike as part of the multinational response to Syria's use of chemical weapons, is seen in this image released from Al Udeid Air Base, Doha, Qatar on April 14, 2018. U.S. Air Force/Handout ​

2018年4月26日木曜日

米海軍は超大型空母以外に「小型」空母を建造すべきなのか

日本他で出現しているF-35搭載「空母」はどこまで超大型空母を補完できるのでしょう。すくなくとも低甚度紛争に超大型空母を派遣しなくてもあれば戦力を有効に使えますが、F-35B数機程度では大きな攻撃力にならないのでは。と思いますが、これまでの戦力とF-35がケタ違いに違うのであれば話は別です。ここは超大型空母とは違う世界を想定しないと話が先に進みません。

 

The Real Story of Why the Navy Hates 'Small' Aircraft Carriers 米海軍が「小型」空母構想を嫌う理由はどこにあるのか



April 24, 2018


米海軍で供用中の原子力超大型空母10隻は最大規模の艦船だ。5千名を超える乗組員海兵隊員が住みかとするニミッツ級空母は原子力推進で艦載機90機近くを搭載できる。だがこの形以外も可能なはずだ。海軍が数十年前に今と違う選択をしていれば超巨大空母へ費用対効果に優れた中型空母が補完効果をあげていたはずだ。

第二次大戦中の米海軍には空母型式二つがあった。大型艦隊空母と護衛空母だ。大型艦が攻撃力の中心で戦闘機、急降下爆撃機、雷撃機を取り混ぜて搭載した。護衛空母は「ジープ」空母とも呼ばれ小型艦で艦載機を小規模搭載し輸送船団の防空護衛や必要な場合に大型空母の穴埋めに活躍した。
戦後の米海軍は各種空母を運用した。大型空母として原子力艦USSエンタープライズ以下があり、小型攻撃型空母、対潜空母として戦時中のエセックス級を使った。その中で小型空母の老朽化が進み、その後継艦は超大型空母だった。小型空母は建造されず1980年代中にはUSSミッドウェイ、USSコーラルシーを除くと全部超大型空母だった。

超大型空母への道のりに政治と実用面の二つが混ざって作用した。国防予算が比較的自由に使えた冷戦時には大型空母一隻を発注するほうが小型艦二隻を毎年発注するより安全な選択だった。突然の緊急事態で二隻目の空母の発注取り消しを迫られない保証はなかったからだ。

大型空母は投入費用で得られる効果も大だ。単一艦に6千名もの乗員が乗る方が二隻で合計9千名必要となる場合よりも安上がりだ。大型艦一隻なら随行水上艦の巡洋艦、駆逐艦、フリゲートも一組で十分だし艦載機も大型化でき、多数搭載できる。

ただし大型艦の建造単価は極めて高くなり、運用経費も莫大な規模になっている。そのため海軍内部外部で代替策の検討が進んだ。1970年代には当時の作戦部長エルモ・ズムワルト大将がヴィエトナム戦終結後の予算縮小傾向の中で大戦時の艦船がまだ残る海軍艦艇構成に手を付けていた。何も手を付けないと戦力となる艦艇数が大きく減る危険があった。

ズムワルト提案は艦隊規模の維持のため艦船のハイローミックスがあり、高性能ハイエンド戦闘艦と戦力は劣るローエンド艦を組み合わせる構想だった。この考えを空母に応用しズムワルトは「中型空母」で超大型空母を補完する構想を提唱した。中型空母とは61千トン程度の通常動力艦で飛行甲板は908フィート長、最大60機を搭載し総人員は3,400名程度だった。

中型空母は蒸気カタパルト二基と、超大型空母の4本より少なく搭載し、艦載機発艦のペースは超大型空母の半分程度だった。エレベーターも大型空母の三基にに対し二基としながらも艦載機に艦隊防空任務機と対戦任務機を含めず攻撃力に集中することで超大型空母とほぼ同等の効果を狙った。

小型艦の多数建造には有利な点があった。戦後初めて空母合計が20隻を割り込み、通常型戦闘ですべての要求に答えるべく空母を十分そろえることが不可能となった。航空戦力を多数の艦に分散させれば空母喪失の場合にも抵抗力が高まる。現実にはペルシア湾などの新しい作戦水域の追加で既存戦力は薄く展開を迫られている。

中型空母構想の弱点は艦体の小ささでこれが原因で人気が出なかった。大型艦体があれば大型艦が実現するため海軍は引き続き大型空母建造を続けた。海軍は超大型空母で編成する空母戦力の実現を目指し、今日の空母部隊は全隻原子力推進超大型空母になっている。

だがこれで物語が終わったわけではない。新型フォード級空母の建造コストを憂慮したシーパワー推進派のジョン・マケイン上院議員も代替策模索に乗り出した。2017年1月のこと、同上院議員から白書が発表され、題名には「アメリカ軍事力の回復」とあり、「ハイ・ロー・ミックス」の空母整備を求めていた。アメリカ級揚陸強襲艦にF-35の短距離離陸垂直着陸型を搭載する構想なのだろう。今後も米海軍が空母調達を続ければハイ・ローミックス議論は続くはずだ。■

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.