2019年11月30日土曜日

防衛省がイージス・アショア用レーダーをロッキードに発注

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries
Credit: Lockheed MartinADVERTISEMENT

コメント 設置予定地への説明の不手際から不信感を持たれているイージス・アショアですが弾道ミサイル、巡航ミサイル防衛の整備のためにも「迷惑施設」ではないとの認識を現地の皆さんには持ってもらいたいものです。とはいえ、MDの整備を快く思わない外国勢力に同調する国内勢力も反対運動を展開してくるはずなので防衛省の力が試されますね。

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries

Japan’s defense ministry has awarded a contract for the delivery of two SSR antenna sets for two planned land-based Aegis Ashore ballistic missile defense systems.
防衛省がイージス・アショア基地2か所用のSSRアンテナを発注。

November 27, 2019
衛省はロッキード・マーティンに半導体レーダー(SSR)2基の製造納入を発注した。陸上配備のイージス・アショア施設用で現地設置は2020年代中頃になると同社は11月20日発表。
SSRは米政府制式名称AN/SPY-7(V)1でイージス・アショアシステムの一部となり、「高性能弾道ミサイルを探知、追尾、交戦」する「頼りになる装備」が日本に生まれるとし、従来のSPY-1の数倍の探知距離と感度で、標的多数に同時対応可能な実証ずみ装備と同社は説明。
日本はレイセオンのSPY-6レーダーと比較の上、SSRを2018年7月に採択した。SSRのライフサイクルコストの低さに加え総合的に性能が高いことが決め手となったと防衛省は説明していたが、別の理由があったのではないか。
日本がSSR採択に動いたのはSPY-6の輸出が2024年から2025年になりそうで、SSRのほうが早く入手できるというのも一つの理由だろう。
日本はイージス・アショア2箇所を2023年までに稼働開始したいとしており、今年7月30日の防衛省広報資料では契約調印から稼働開始まで6年間としていた。つまり現状では2024年から2025年に先送りとなる。
SSRの基礎技術はロッキード・マーティンが開発中の長距離識別レーダー(LRDR)と共通で、これは米本土を弾道ミサイル脅威から守る構想の地上配備中間段階ミサイル防衛(GMD)での使用を想定している。
イージス・アショアはSM-3ブロックIIA・ブロックIB迎撃ミサイルの他、SM-6対ミサイル迎撃弾も運用可能だ。設置箇所は秋田、山口の両県となる。
日本のイージス・アショアは海上自衛隊の艦船用現行装備と完全互換性を有するとロッキードは説明している。「脅威環境の進展と対応し、イージス・アショアジャパンは共通ソースライブラリ(CSL)で他のイージス装備と共通のソフトウェア・アップデートを続けていく」という。日本の最新型駆逐艦はイージスベイスラインJ7戦闘システムを搭載しており、これは米海軍のベイスライン9/BMD5.1仕様のイージス戦闘システムと同等の内容だ。
ロッキード・マーティンから今回の契約金額の説明、納入日程の説明がない。SSRシステムの調達、設置コストは23億ドル程度で、30年にわたる保守管理は41.8億ドル程度と防衛省は伝えている。■

2019年11月28日木曜日

JSI改修で、日本はF-15とF-35の併用でいっそうの防衛力整備を目指す

F-15JをJSI仕様に改修し、日本はF-35と任務棲み分けを模索するはず

はじめに

F-15Jの改修事業がいよいよ現実のものとなります。名付けてJSI。米空軍が導入するF-15EXと別のアプローチになりますが、一時は行く末が心配されながら老朽化だけ進行していた航空自衛隊のF-15に活路が生まれ、2030年代まで第一線の座についていてもおかしくありません。ただし、中国ロシアの相次ぐ領空接近事例のため各機の耐用年数をくいつぶしているわけで、F-15を引き続き稼働させればどこかの時点で日本も新造F-15の導入を検討することになるのでは。その際は生産ラインは米国にしか無いため、機材輸入となるのでしょうね。

Check Out Japan's Plans for a Souped-Up F-15J Fighter Jet

But will it happen? 
by David Axe 
November 28, 2019  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15JapanF-15 FighterMilitaryTechnology

Key point: The F-15J is already very good, but Tokyo wants to upgrade them even more.

米国務省は総額45億ドルで98機のボーイングF-15J戦闘機を新仕様で大幅性能向上した「日本向けスーパーインターセプター」(JSI)に改修する日本政府の要望を2019年10月採択した。
JSIは航空自衛隊で調達が始まっているロッキード・マーティンF-35と併用されることなり、相互に補完する見込みだ。一方で米空軍もF-15とF-35の混合部隊の運用を模索している。
日米両国の空軍部隊はステルス機非ステルス機の長所短所のバランスを取ろうとしている。両機種とも単価100百万ドル近くだがそれぞれ別の性能を実現している。
ステルス戦闘機は探知を逃れるため兵装は機内に搭載する。だが兵装庫を確保すれば燃料搭載量が減る。そのためステルス機の航続距離、ペイロードはいずれも非ステルス機の水準に及ばない。
これに対し非ステルス機の搭載兵装量はステルス機より多いのが通常だ。さらに「極超音速」ミサイルの搭載も可能だろう。
各国政府が空軍戦力をバランスよく整備するべく、双方の型式の戦闘機が必要と気づいている。そこで日本がF-15の近代化改装に踏み切るのは当然だろう。
JSI改修には各種新装備が盛り込まれ、レイセオンのAN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダー、BAEシステムズのAN/ALQ-239デジタル電子戦装備(強力なレーダー妨害装置)もその一部。また新型ミサイルも搭載する。
「日本には高性能AAM-4Bがあり、AESAシーカーを搭載したミサイルだが一部報道で米製AIM-120高性能中距離空対空ミサイルの導入とも伝えられている」とWar Zoneのジョセフ・トレヴィチックが以下伝えている。
「AIM-120はAAM-4Bより小型で交戦最大距離も短いといわれるが、F-15JのJSI仕様は米製ミサイルを今より多く搭載することで威力を高める。
さらに日本はヨーロッパのミサイル事業体MBDAの英国事業所と共用新型空対空ミサイル開発に取り組んでいる。新ミサイルにはAAM-4Bのシーカー等を流用し、MBDAのラムジェット推進指揮メテオの性能も盛り込むという」
日本はF-35AとF-35Bをそれぞれ105機、42機発注している。F-35とF-15JSI仕様は2020年代なかごろに日本の主力戦闘機の座についているはずだ。
「F-15JのJSI仕様機材はF-35に大切な相棒にして、防空任務で相互に補完する機材となる。ステルスのJSFが改修型イーグルの先をとべば、標的情報を非ステルス機につたえ、ペイロード量で威力のある非ステルス機の性能を最大限に発揮できる」(トレビチック)
米空軍でも同様のF-15、F-35併用体制を構築しようとしている。2020年時点で完全新型生産のF-15EXを144機発注して1980年代までさかのぼるF-15Cと交代させる案がある。米空軍ではF-35発注も増やしてステルス機の千機体制をめざしている。
おなじくWar Zoneでタイラー・ロゴウェイはF-15EXが「F-15C/D部隊のミッション以外の用途にも投入される他に代えがたい機体になる可能性がある、と伝えている。
「その例としてミサイル多数を搭載する空の兵装トラックとすること、極超音速巡航ミサイルや超長距離空対空ミサイルといった長尺兵装の搭載からステルス無人戦闘航空機の大群を制御すること、第5世代機と第4世代機をつなぐネットワーク機能も期待されている」
わずか数年前までは空軍は全ステルス機材に移行するとの見方型違反だったのに、現在は混合編成があたりまえになってきた。日米両国と同様にロシア、中国もステルス機は少数で非ステルスながら性能アップした機体とともに運用しようとしている

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in October 2019

2019年11月27日水曜日

20年度国防予算が未成立でもボーイングはF-15EX事業を推進中

ボーイングがF-15EX事業の進捗状況を報道陣に公開
Image: Boeing rendering of a digital model of an F-15

はじめに

ボーイングのF-15EX事業は国防予算の行方がスッキリしない中でも同社が進めているようです。デジタル製造技術が進展してきたことで機体は同じでも製造工程はガラリと変わりそうですね。その効果が本当に宣伝文句通りなのか注視したいところです。National Defense 記事をご紹介します。

JUST IN: Boeing Says F-15EX Initiative Progressing Despite Budget Impasse

11/22/2019
ーイングはF-15EX試験機合計2機の2020年末納入に向け作業を続けているが、議会で成立の目処がついていない予算を意識している。
2020会計年度の国防再出法案は未通過のままのため、ペンタゴン始め連邦政府は10月1日からは継続予算決議(CR)で機能中だ。ただし継続措置のためF-15EXはじめ新規事業が抑制されるのが国防総省に悩みのたねとなっている。
空軍は今後5年で同型機80機を調達予定で、最終的に144機にする。
「全機分の契約が下ればいいのですが、歳出法案が決議されないと実現しません」とボーイング・ディフェンス・スペース・セキュリティ副社長プラット・クマールが11月18日セントルイス本社で記者団に語っている。「現在は状況把握に努めており、当社はCRとは別に先行して投資支出しており、契約交付を見越した動きを展開してます」
議会は予想通り別の継続予算決議を採択し、12月20日まで2019会計年度と同等の予算執行が可能となった。
「継続措置が長引けば当社にはテスト機材の納入でプレッシャーになります」(クマール)同社は3月での契約交付を期待し、9ヶ月以内に2機を納入したいという。
EXは現行のF-15から相当の性能向上型となる。高性能コックピットシステムとして大型ディスプレイ、フライ・バイ・ワイヤによる空力特性の改良、9Gに耐える性能、完全統合型電子装備・アクティブ電子スキャンアレイレーダーによる残存性改良、空対空ミサイル最大12本、空対地兵装15本搭載による威力の向上、ミッションシステム改良としてコアプロセッサーII、作戦飛行プログラム9.1X一式を搭載するとボーイングでF-15EX事業を統括するローリー・シュナイダーがプレゼンしてくれた。
「EXはカタール発注のF-15Eをさらに強化し、空軍が期待する近代化改修すべてを完全に統合した機体」になるという。
またオープン・ミッションシステムの採用で新技術が実用化されればすぐに搭載できるとも説明。
システムアップグレードにより「量産一号機も再集合機と同一の性能になる」という。
空軍は新型び空中発射型極超音速兵器の開発中で、マッハ5超かつ高度の飛翔制御能力で敵防空体制に対応させる。
「F-15EXはこれから登場する新兵器の運用で効果を発揮します。ペイロードはずばぬけた規模で今後登場する極超音速兵器はじめ各種多数を搭載できます』(クマール)
ボーイングはデジタルモデリング技術や高度生産技術を駆使し、機体製造工程そのものを変えようとしている。F-15の場合は同社はデジタル機体構造digital airframeと呼ぶ方法を推進している。
新技術はF-15の主翼、機首、前方中央の機体に投入されている。フットプリント(投入資源量)、作業工数が大幅に削減され、他方で製造品質が向上しているとクマールは説明。主翼ではフットプリントは50%減、工数は70%減という。
この技術は機体前方部分にも投入され、さらに機体後部の生産にも応用するという。
「その結果として完全デジタル機体構造が実現し、製造が容易かつ安価でありながら高品質が実現します。新技術導入が今までより迅速になる効果が生まれます。兵装庫の再設計が不要となるためです」(クマール)
他方でボーイングとしては議会が2020年度予算を通過させれば、すぐにでも契約交付を受けたいところだ。予算が成立すれば空軍は提案要求(RFP)を交付し、ボーイングが予算割当の前に回答を提出する手はずだ。一連の作業には相当の書類作成が必要となる。
「空軍とは今年春からずっと密接に作業を進めており、最終RFPが交付されればすぐに対応できる準備ができています」とシュナイダーは述べている。。
国防支出のとりまとめをおこなう議会委員会、小委員会はF-15EX関連予算を2020年度歳出認可法案に盛り込んでいるが、成立していない。現時点で保証はまったくないとクマールも指摘。
「予算法案にそのまま残ることについて極めて楽観視しています。ただし、成立するまではリスクが有るのは事実です」(クマール)

2019年11月26日火曜日

台湾はなぜM1エイブラムズ戦車100両売却を米国に要望したのか---中国の台湾侵攻の可能性は?

Why Does Taiwan Need M-1 Abrams Tanks? 

Is this just a total waste of money or a powerful weapon to stop China if they invade?  

予算の無駄使いなのかそれとも中国侵攻の阻止で威力を発揮するのか
November 23, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanAbrams TankU.S. MilitaryChinaWar

はじめに

トランプ政権により台湾への武器輸出が大幅に増えそうです。F-16Vにつづく目玉がM1エイブラムズ戦車なのですが、台湾でなぜと感じた向きもすくなからずあったはずです。あらためて今回の案件の背景を見てみあしょう。

NATIONAL INTERESTによる解説 

米国務省が台湾の要請に応じM1A2Tエイブラムズ戦車108両の売却を承認した。総額20億ドルで、M88A2ハーキュリーズ戦車回収車両14台、120ミリ各種砲弾も含む。
国防安全保障協力庁は今回の売却で域内軍事バランスに変化が生じないと説明。台湾を中央の指示に反した一地方とみなす中国は、猛烈な反発を示している。
 だが本質的な疑問がある。台湾が中国による侵攻から自国防御にあたるのはいいとしても主力戦車がリストのトップに来る必要があるのだろうか。
 まず、台湾は島国である。台湾を武力制圧するため中国は幅110マイルの台湾海峡をはさみミサイル、空爆、揚陸作戦、空挺部隊で圧倒的な威力の攻撃を実施してくるはずだ。台湾に一定の部隊を上陸させても台湾さらに米国の防衛体制にさらされるはずだ。そうなるとM1A2の108両と旧型M60A3、M48の約500両が沿岸地区で反撃に出る。ナチス・ドイツがノーマンデイで悟ったように、防御は用意ではない。攻撃側は奇襲により局地的な優越性を得られるが、防衛側は砲撃爆撃にさらされ、弾道ミサイルも飛来するはずだ。中国には対戦車兵器は余るほどあり、人民解放軍陸戦隊や空挺部隊にも対戦車ロケット砲や揚陸走行車両や軽戦車も配備されている。さらに中国ではミサイル装備無人機の開発が進行中で戦車を狙い撃ちしてくるだろう。台湾に数個師団を上陸させるのに成功すれば、台湾には大災難となる。
 現時点の中国には台湾を本格侵攻する揚陸能力はないようだ。だがこのままで終わらない。中国は揚陸能力増強のため新型075型強襲揚陸艦を9月から運用開始しており、同艦は陸戦隊900名を車両、ヘリコプターとあわせ収容できる。更に垂直離着陸型戦闘機も搭載するだろう。075型はさらに建造が進み、中国は空挺師団3個とヘリコプター強襲連隊数個を展開できる。
戦闘力のバランスを見る限り、中国の台湾侵攻は用意ではない。だが中国の経済力とともに戦力構造がハイテク21世紀型部隊に変貌しつつある現場を見ると、侵攻の実施条件をらくらく満たす可能性も少なからず出てくる。
戦車が役に立たないわけではない。M1A2が100両あれば、米陸軍の装甲連隊戦闘チームの戦力に匹敵し、正しく運用すれば相当の兵力になる。中国の台湾侵攻は楽勝にならない。台湾の地形は平坦でないうえ、台湾空軍さらに米軍の航空機、艦船が防御する台湾海峡が盾となる。
 ただし、台湾が運用する冷戦時の戦車500両では中国侵攻への対抗として不十分なら、M1A2の100両が加われば状況は変わる。台湾に接近阻止力が増強されるからだ。対艦・滞空ミサイル、弾道ミサイル防衛、機雷、潜水艦、航空機により中国の侵攻部隊を阻止、あるいは抑止することになる。台湾の経済力からすればミサイルや機雷は低コスト装備であり、整備に成約はないだろう。
 ノーマンディからフォークランド諸島へ、さらに台湾へと揚陸部隊侵攻の阻止で最善策は侵攻部隊に上陸をさせないことだ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Creative Commons.

2019年11月25日月曜日

イラン偵察に米軍はRQ-170センティネルを投入している


Yes, America Is Using Stealth Drones to Spy on Iran

It is very likely.
November 21, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: StealthStealth DronesRQ-170IranU.S. NavyU.S. Air Force 
Key point: Drones carry less risk to human pilots, but are easier to escalate with.
軍が中東で展開中の機材にはF-15E戦闘爆撃機、F-22・F-35ステルス戦闘機、B-52爆撃等がある。
だが米国と域内同盟国サウジアラビア等の緊張がエスカレートし、イランおよびイラン支援を受けるイエメンのフーシ反乱勢力が他方に控える中、別の機材を投入する検討があってしかるべきだ。
ペンタゴンはペルシア湾岸で広範囲な偵察情報収集活動を展開中で、衛星、無人機、地上及び海上配備のセンサー類を駆使している。
イランが2019年6月に米海軍のグローバルホーク無人機を撃墜し、この体制に陰りが見えた。だが、別のステルス機を投入すれば高高度飛行可能だが非ステルスのグローバルホークの補完ができる。
米空軍はアラブ首長国連邦でRQ-170センティネル・ステルススパイ機の運用にふさわしい航空基地を2010年に調査している。
情報の公開法でジャーナリスト、ジョー・トレヴィシックが入手した文書には空軍の航空戦闘軍団が内部メモを回覧しており、「配備前調査」としてアル・ダフラ航空基地にRQ-170を展開する調査をしたことがわかる。
RQ-170部隊は小規模ながら関係なく多忙だ。第30偵察飛行隊は空軍とCIAの共同部隊で通常はネヴァダ州トノパに駐留し、30機近くあるRQ-170を運用する。同期はロッキード・マーティンが2000年代初頭に製造した。
センティネル各機は2003年の米主導イラク侵攻で偵察活動を展開した。コウモリ形状の同機の写真をジャーナリストがカンダハール基地で2007年に撮影した。2009年に空軍はセンティネルの存在を公表したが、詳細は発表していない。RQ-170はネイヴィーSEALsによるオサマ・ビン・ラディン強襲作戦(2011年)でパキスタン上空を飛行していたと伝えられる。
2011年12月におそらくカンダハールを発進した同機がイランとパキスタン国境に墜落し、イラン軍が捕獲した。同機はイランへの偵察活動に従事していたと見られ、核兵器開発を監視していたのだろう。
イラン技術陣は同機を研究し、粗雑なコピー機を短時間で製造した。
航空戦闘軍団では2010年9月27日の日付で別文書も回覧されており、アル・ダフラ航空基地を同機の展開先と特定している。センティネルは非ステルス機のプレデターやリーパー同様に空軍がCIAと運用し、三機一組とし一機を対象上空に常時滞空させ、残りを整備あるいは移動させているようだ。
同基地をセンティネル運用場所として調査したことで、極秘無人機の運用体制の実現のめどがついたのは2010年10月7日のことで、米空軍代表団がUAF空軍関係者と会談している。同国空軍は米空軍の強力な強力相手で米製プレデターやF-16を運用している。
一連の調査や会談でセンティネルはアル・ダフラ基地からの運用が可能となった。ステルスの同機によりイランを取り巻く米軍の問題は解決した。イラン空軍がイラン領空付近で米無人機を迎撃する事例が増えていたのだ。
2012年11月にはイランのSu-25攻撃機がMQ-1プレデターに実弾射撃した事例が発生した。射撃は命中しなかった。2013年3月にイランのF-4戦闘機がまたもプレデターを迎撃したが、今度はF-22により追い払われた。
プレデター等では探知を逃れず、救援が必要となることもある。だがセンティネルは単独飛行し、探知が困難な機体形状を活かし、イランのレーダーもレーダー波吸収剤で無効にできる。
2019年にはステルス機投入の声が強まった。MQ-4Cをイランのミサイルが撃墜したためだ。その後はレーダー探知が困難なセンティネルがイラン周辺を飛行しているのは確実だろう。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in September 2019.

2019年11月24日日曜日

米英安全保障の新時代へ 英空母で米海兵隊機材を運用



UK, US Enter New Era: ‘Unprecedented’ Carrier-Sharing Plan

“We’re not talking about interoperability anymore, we’re talking about proper integration to a level we’ve never seen,” Fleet Commander Vice Adm. Jerry Kyd told me on the deck of the UK's new carrier. 

on October 21, 2019 at 1:44 PM

一国では十分な安全保障が実現できない時代になっているのでしょうか。これまでの同盟関係の先をゆく運用統合が始まっています。NATO加盟国によるAWACSや大型輸送機の共同運行、仏独両国の部隊運用に加え、イギリスの新鋭空母が米海兵隊のF-35B運用を始めます。価値観を共有する同盟国であることが第一の条件のようですが、翻って日本はだれと組めるでしょうか。

英海軍が自国保有機のVTOL着艦を新鋭空母で初めて実施した。. Pic: Paul McLeary)
<HMSクイーン・エリザベス艦上にて> 米海兵隊のF-35B部隊が英新鋭空母艦の処女航海で艦上展開をする。これだけ親密な同盟国同士でさえ「前例のない」一歩となる。
「共同作戦体制はもはや話題ではない。いままでにない統合体制の適正なレベルを話題にしています」と英艦隊司令官ジェリー・キッド中将が大西洋上で航空機の離着艦を訓練する同艦で語った。
英空母での米海兵隊運用は「開闢以来前例が無い」と同中将は述べ、「同じことができる別の2国の組み合わせはないでしょう」という。
キッド中将以下英海軍関係者は米英両国の「特別関係」を高評価する。米海軍トップは世界の反対側から両国海軍の密接な連携の理想を語っている。
「両国の作戦環境では共通の価値観とあわせ集団的対応が海洋安全保障で必要だ」と米海軍作戦部長マイク・ギルデイ大将がベニスのシーパワー会議で講演している。
同大将は英海軍の能力向上とともにNATO各国との海上共同作戦の増加に触れ、マイク・ミュレン元作戦部長が当時1,000隻体制の海軍力整備を提唱していたことにを言及し、「1万隻でもいいのではないか。志を共有できる協力国と海洋コモンズを自由かつ開かれた形で維持すべく一緒にもっと多くの仕事ができる」
同盟諸国部隊との連携強化に向かう背景には中国海軍の急速な増強と強硬な姿勢があり、予測が困難なロシアの存在もある。「こちらは国際規範を守り、グローバル経済の繁栄を促進し、世界各地の水路を航行する権利を保護している。小国が大国にいじめられることをなくすためにもこれは必要だ」
同様にキッド中将も統合強化は潜在脅威各種のため必然と見ている。「中核となる同盟国と統合をもっと進めるべきだ。法に基づく国際体制が脅威を受ける中で西側の価値観を強化しつつ共同作戦を進める必要がある」と語る。
キッド中将は昨年秋の公試で米東海岸まで航海したクイーン・エリザベスの指揮を取り、今は英海軍全体の運用を取り仕切っている。昨秋は米F-35を同艦から運用したが、英海軍パイロットは自国保有のF-35Bの同艦からの運用を始めており、同機を空母艦上で運用する米国以外で初の事例となった。
QEには今回新設のウェストラント19空母打撃群としてタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランド、給油艦RFAタイドフォーズが加わっている。

英空母で米海兵隊機材を運用する意味

マイケル・アトレー准将は記者に対し、新型艦での新型機運用は「大きな前進の一歩であり、(空母運用の)復活だけの意味があるわけではない」と語る
F-35の先にウェストラント19空母打撃群のタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランドが随行している。
QEは今年7月から2021年の地中海中東方面への展開に備え準備中で、
英海軍が空母を運用するのは10年ぶりのことになる。
新型空母は最初からF-35運用を念頭に建造されており、
英関係者は「第五世代」艦としてインヴィンシブル級空母から大きな前進
になると強調。インヴィンシブルの退役は2010年で、誇り高き英海軍の伝統
の中で空母不在の時間が続いていた。
「本艦は英国の戦略で大きな意味があり、英国最大級の艦艇だが
米海兵隊との共同運用が可能であり、これも大きな推進力となる」
(キッド中将)
米海兵隊との統合と並行して海兵隊は米海軍とあらたな戦力構造評価を進め
ているなかで、今年末に評価がまとまり両軍の連携がさらに強化する見込み
だ。ほぼ20年間中東での地上戦に終止してきた海兵隊には大きな変化となる
海への回帰であり、無人機によりF-35Bの空中給油を試行し、太平洋地区の
未整備拠点での運用を目指しているのも伝統的な米国の海空での優越性
が消えつつある中での対応に過ぎない。
海兵隊上層部は将来の姿を模索する図上演習を実施すると先月発表したばかりで、
ギルディ大将は海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将とともに書簡をまとめ、
兵力投射の新しい姿を共同検討する。目標は両軍の教義の方向性を合わせ、
訓練や装備計画での補完機能の実現にあり、海軍は海兵隊部隊に移動手段と援護
だけを提供するだけにとどまらない姿勢を示している。
英海軍が米空母の不足状態を補完する?
QEが運用開始に備える中、英海軍がその中で大きな役割を演じる可能性
がでてきた。
QEの艦隊編入で「いきなり高度ネットワーク環境に入り、米軍と次の4、
5年にわたり、わずか10年前には想像もできなかった高性能機材の性能を
最大限活用する」とキッド中将は述べる。
英海軍のF-35運用2号艦HMSプリンス・オブ・ウェールズは北海で公試中
で2023年の初回配備に備えている。新鋭空母2隻が揃い、機材や任務を
米海軍、海兵隊と交換するのは米東海岸で配備の米空母がトラブルつづき
で予定通り出動できない中で大きな一歩となるのはまちがいない。