2020年6月30日火曜日

韓国のグローバルホークはまもなく作戦運用可能になりそうだ

国空軍は高性能無人機グローバルホークの作戦運用を開始する準備に入っている。調達完了となる4号機の引き渡しも近づいている。
米国との2011年合意に基づき、韓国はRQ-4ブロック30仕様のグローバルホーク遠隔操縦機(RPA)4機を購入し、昨年12月の一号機以来これまで3機を受領している。▶「今年下半期にグローバルホークを作戦投入する。4号機がまもなく到着するが残りの機材をまず運用する」(韓国軍事筋)▶運用開始に備え運用部隊は飛行訓練を開始しているが、「中核戦略装備」にもかかわらず公式式典の予定はない。
別の筋によれば空軍は「10月末あるいは11月初頭の運用開始が目標だが、北朝鮮が10月に大きな動きを計画しており、配備を前倒しの可能性がある」という。▶北朝鮮は労働党創立75周年を祝う大規模軍事パレードを開催するようで、記念日は10月10日だ。
現地報道で韓国空軍が北朝鮮監視強化のため同機を本日飛行させたとあるが空軍は否定している。▶「グローバルホークが本日の飛行任務に投入された事実はない。本日のフライトも訓練の一環にすぎない」と空軍は述べており、「同機運用は通常通り行う」とした。
韓国が脱北者が反政府メッセージのビラを風船で飛ばすのを阻止しなかったため報復として北朝鮮は韓国を非難するビラを準備している。先週はケソンの南北連絡事務所を爆破している。
ノースロップ・グラマン製のグローバルホークは世界最高水準の情報収集機材で、およそ20キロの上空から40時間ほど偵察活動を継続できる。▶「マルチプラットフォームレーダー技術」による対地監視レーダーを搭載したグローバルホークは3千キロに及ぶ地点で30センチ大の物体を識別できる。
北朝鮮は高性能機材を導入した韓国に怒り狂っており対抗手段を取ると公言している。■
この記事は以下を再構成したものです。

(LEAD) S. Korea to deploy Global Hawk unmanned aircraft as early as next month: sources

All Headlines 15:58 June 22, 2020
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By Oh Seok-min

2020年6月29日月曜日

★★動き始めたReforge構想、まず訓練用F-22の用途変更、しかし各機種でトラブル続出



F-22 Raptor

空軍でパイロット養成に使用中の旧型F-22ラプター一部を戦闘対応機材に再区分する可能性が浮上している。航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が機材の稼働率向上策として言及している。


「初期生産ブロックのF-22は後期型並に改修しなくても十分戦闘に対応可能な機体だ。戦闘投入するならレガシー機材よりラプターを選択するのは明らかだ」とホームズ大将はミッチェル研究所で語った。「戦闘機訓練部隊の要求内容を減らせば、訓練用機材の一部を実戦対応に転換できる」


また正規訓練部隊(FTU)の一部を戦闘任務に転用するには、進めようとしている「リフォージ」つまり鍛錬再構築の訓練再構築構想を使えば可能とも述べた。リフォージには戦闘機パイロット養成期間を半減させる狙いがある。


ただし、ホームズ大将は用途変更について「航空戦闘軍団内部の検討対象にすぎない」とし、実際に何機を転用するか触れなかった。目標は「予算を使わずにどこまで多くの戦力を確保できるか」だという。
ラプターについて現時点の「課題は要求に対応できるエンジン数の確保で、F-22は想定以上の稼働になっているからだ」とする。特に、空軍はF-22をシリアで「想定外の用途に」投入しているという。


ただしホームズ大将はエンジン不足問題に関し悲観していない。メーカーのプラット・アンド・ホイットニーと対処中という。


空軍は機材近代化のニーズと経年化が進む機材の維持コストのバランスに苦慮しているが、各戦闘指揮官からはロシア、中国の挑戦に対し航空兵力への需要は強まるばかりだ。「戦力規模と近代化の両方にはさまれた格好だ」とホームズも認める。


機材維持でF-22エンジン問題以外に以下の課題をホームズが指摘した。
  • F-15:キャノピーシルのロンジロンに亀裂が見つかっており、機体にキャノピーを固定する重要部材で安全に関係する。「摩耗しており、耐用年数を超えたため交換が必要だがその間は機材が利用できなくなる」(ホームズ大将)
  • A-10ウォートホグ:各機の主翼で交換が必要な状態。
  • F-16ファイティング・ファルコン:ホームズ大将は耐用年数は残るものの「近代化改修を相当しないと現在の脅威に対応できない」とし、改修すれば長期間稼働不能となる。
  • F-35共用打撃戦闘機:主契約企業ロッキード・マーティンは部品不足のため生産維持に苦慮しているが、空軍は同機で稼働率が向上しており楽観視している。同機についてホームズ大将は「負担可能な経費で長期にわたり維持する方法を模索する」のが課題としている。
  • 情報収集監視偵察(ISR)用途機材ではボーイング707を原型とするE-8JSTARSやAWACSがあるが、エンジン不足に悩み、エンジン換装となれば整備時間が必要となる。


空軍には議会の反発も立ちふさがる。議会はA-10など既存機種の用途廃止には常に反発し、近代化改修経費が犠牲になっている。優先度が高いのが共用全ドメイン指揮統制(JADC2)事業で「全攻撃機材の各センサー」をつなぎ、全ドメイン作戦を実行可能にする構想だ。


例として上院軍事委員会の2021年度版国家防衛認可法案ではA-10退役を禁じており、作戦可能戦力として386飛行隊体制の維持を空軍に求めている。(現在の空軍の飛行隊総数はこれ以下)


ホームズ大将も戦闘司令部の要求内容に議会が理解と懸念を示してくれるのはありがたいとしながらも、必要な近代化改修を進め脅威へ対応することと現行の戦力維持の二律背反は解決する必要があると述べた。


「要求内容は多岐にわたり、使える手段をすべて使っても足りない」「近代化改修に優先順位を付ける必要がある」と述べた。


この記事は以下を再構成したものです。


Air Force Eyes Moving Older F-22s From Training To Combat Units


on June 22, 2020 at 6:14 PM

2020年6月28日日曜日

空母ロウズベルトの「撃沈」は米海軍ASW強化の強い警告になった (2015年)

海軍の対潜技術レベルは冷戦終結後に急低下している。

フランスの原子力攻撃型潜水艦がサフィールはUSSセオドア・ローズベルト空母打撃群の防御網を突破し、魚雷発射シミュレーションに成功したとフランス海軍が伝えたが、内容はその後削除されている。

2015年3月4日、フランス海軍がサフィール(サファイヤの意味)が空母ロウズベルトの追尾、攻撃シミュレーションに成功したとブログで伝えた。シミュレーションとはいえ原子力空母の撃沈は初めてであり、隻数不明だが護衛部隊も同時に撃沈されている。

フランス海軍の新鋭艦サフィールは配備前にロウズベルト空母打撃群と演習中だった。空母の護衛にタイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦、アーレイ・バーク級駆逐艦が数隻とロサンジェルス級原子力攻撃型潜水艦一隻があたっていた。

USNI Newsによれば、空母打撃群(CSG)12はノーフォーク海軍基地、メイポート海軍基地から3月5日に出港し、中東の配備先に移動中だった。CSG12の護衛部隊は巡洋艦USSノーマンディ、駆逐艦ウィンストン・S・チャーチル、フォレスト・シャーマン、ファラガットで構成。

配備前訓練場所はフロリダ沖合で、二段階構成とブログは説明している。第一段階でサフィールは米海軍部隊に加わり、敵潜水艦を探知しデータを対潜部隊に送った。「敵潜水艦」とはCSG 12に配備されていたロサンジェルス級原子力潜水艦だろう。

第二段階でサフィールは役目を変え、敵軍になった。サフィールはロウズベルトを突き止め撃沈可能な位置につくのが目標だった。演習シナリオが撃ち合いの様相を示すとサフィールに攻撃許可が下り、同艦はロウズベルトを「撃沈」し、護衛部隊の「大部分」も撃破したことになっている。

フランス海軍によるブログ投稿は3月4日のことでツイッターに掲載されたが即座に削除された。防衛関係サイト数点が投稿に気づき、保存した。ロシアのRTは「重大な脆弱性」のためサフィールはロウズベルト打撃群を突破できたと伝えた。ただしこれは完全な推測で、フランス海軍も脆弱性に言及していない。

とはいえ、本件は実際に発生していたようだ。ブログ削除のもっともらしい説明は単純に米側にバツの悪い内容だったからだろう。

サフィールはルビ級原子力攻撃型潜水艦6隻の二番艦で、同級はフランス初の原子力攻撃型潜水艦だ。1980年代初頭までフランスの攻撃型潜水艦は通常型だった。潜航時排水量が2,630トン、全長241フィートというルビ級は原子力潜水艦として世界最小だろう。乗員はわずか70名でK48加圧水型反応炉で水中速度25ノットを実現した。艦首魚雷発射管は4門でF17 Mod 2魚雷及びMM39エクゾセ対艦ミサイルを発射する。

ここまで小型の潜水艦で50倍の大きさの空母を撃沈できただろうか。ロウズベルト護衛部隊は対潜戦センサーを全て稼働していたのだろうか。作動に何らかの制約を加えていたのだろうか、あるいは演習のため使用不能扱いと想定の装備があったのだろうか。

二番目に、「撃沈」と引用符を振ったのには理由がある。フランスのF17魚雷は551ポンドのHBX-3高性能弾頭がつく。同時発射しても最大4本にしかならないのは同艦の発射管が4門のためだ。551ポンド魚雷一発ではタイコンデロガもバーク級も沈めるのは無理だが、損傷を与えるのは確実だろう。ニミッツ級スーパー空母の撃沈は絶対に無理だ。また空母を守る4隻とロウズベルトが搭載する対潜ヘリコプターが周囲を固める中でサフィールは魚雷4本の発射が精一杯ですぐ撤退を余儀なくされたはずだ。

サフィールがロウズベルトおよび援護艦3隻を攻撃対象に選択していたとすれば、4隻が損傷を受けた可能性はあるが、沈んだのは皆無だっただろう。護衛部隊が行動不能に陥った可能性はある。ロウズベルトに命中したのが魚雷一発のみなら、同艦は作戦を継続できていたはずだ。

米海軍の対潜戦技量は冷戦終結後に急低下し、とくに9/11後にその傾向が強い。地上戦を重視する方向になり、海軍は熱情も予算も別に向けてしまった。中国海軍が増強を続け、ロシア海軍も地中海やバルト海で横暴さを増す中、ASWのレベルアップは当然の優先事項だ。セオドア・ロウズベルトの「喪失」は海軍の誇りへ打撃となるが、現実に目を覚ますのが大切だ。次回、外国潜水艦が米海軍空母にまとわりつけば、空母に乗る6千名近くにとって生死を分ける話になる。■


Fact: A French Nuclear Submarine 'Sunk' an American Aircraft Carrier


Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
This article first appeared in 2016 and is reprinted here due to reader interest. 

Image: Reuters

歴史に残らなかった機体18 コンソリデーテッドB-32は日本上空で最後の空戦に巻き込まれ歴史をつくったのだが....


ーイングB-29スーパーフォートレスは爆撃機として名声を得つつ、広島長崎の原爆投下で悪名が付いた。爆弾を大量搭載し、長距離飛行し、高高度を飛ぶ重爆撃機の開発は米国でも第二次大戦中で極度なまで高額につく事業となり、マンハッタン・プロジェクトより高くなった。

ただし、スーパーフォートレスには知名度が低いながら競合機種があった。メーカーのコンソリデーテッドはB-24リベレーター大量生産で知られる会社だった。スーパーフォートレスの性能が期待通り発揮できない場合に備え、B-32ドミネーターが発注された。ただしB-29が想定性能を発揮し太平洋戦線で活躍し始めた1944年にコンソリデーテッドは100機超のB-32を生産しており、同機は1945年中頃に配備された。

大型爆撃機開発は真珠湾攻撃以前に始まっていた。ただし、コンソリデーテッド案はB-24原型の企画でボーイングB-29より相当見劣りがする内容だった。同機の設計は何度も変更を受け、当初の尾翼二枚形状や20ミリ機関砲を各エンジンナセルに搭載し後方発射する奇抜な構想は削除されている。

最終的にB-32の外観上の特徴は10メートルという巨大な尾翼となった。性能面でドミネーターはB-29に匹敵する水準になった。両機種ともエンジンはライトR-3350-23サイクロン4発で共通し、最高速度358マイル毎時は大戦初期のBf-109E戦闘機と同程度で、20千ポンドという爆弾搭載量を誇った。B-32では防御用に有人操作の機関銃10門がついた。

コンソリデーテッドもB-29で採用した与圧式機体と遠隔操作式機関銃の搭載を狙ったが断念した。このためドミネーターは中低高度用爆撃機に区分された。

他方でB-32の航続距離は3,800マイルとB-29より2割長く、巡航速度も290マイルとB-29の230マイルを上回った。ドミネーターには反転ピッチプロペラの他、B-24譲りの分厚いデイヴィス式主翼がつき、低速での抗力を最小限に抑え、着陸時に威力を発揮した。

こうした良い面もあったが、陸軍航空軍はB-29の性能水準に概ね満足しており、B-32はフィリピンでの運用テストを第5空軍の要請で行ったのみの状態だった。最終的に386爆撃飛行隊に編入されたドミネーター各機はフィリピンで日本軍を爆撃した他、台湾でも任務を遂行した。台湾では製糖工場やアルコール工場を爆撃した。当時の米戦略爆撃の対象がいかに広範囲だったかがわかる。

386隊にB-32が揃ったのが7月で、8月に沖縄読谷飛行場へ転進し偵察飛行隊に改組された。8月15日に天皇が陸海軍へ抵抗中止を命じた。9月2日にUSSミズーリ艦上で日本軍が降伏文書に署名しても陸軍航空軍は東京上空で偵察飛行を続け、日本軍が本当に降伏しているか確かめるとともに東京の道路網を調査していた。

だが日本軍の戦闘機パイロットは上空を飛ぶ爆撃機を別の見方で眺めていた。日本のエースパイロット坂井三郎は米爆撃機は東京爆撃に飛来したと思い、攻撃は正当な行為と考えていたと後日述懐している。

別のエースパイロット小町定は米爆撃機が誰にも邪魔されずに首都上空を飛ぶのを見て、米空襲で甚大な破壊を受けた東京を想起していた。

こうして8月17日、日本軍戦闘機編隊が偵察任務のB-32編隊を迎撃し、二時間に渡り攻撃を加え、米機搭乗員は.50口径機関銃で応戦したのだった。双方に大きな損傷はなかった。驚いた爆撃飛行隊は翌18日にも偵察任務で機体を送り、迎撃案件が偶発発生だったのか確かめようとした。同日に千島列島の日本軍部隊もロシア機と空中戦していたのは興味深い事実だ。ロシア機は奇襲上陸作戦の支援にあたっていた。降伏後も停戦まで数日かかったということだ。

話を戻すと18日午前7時に、B-32二機が東京上空に飛来し、各機には20偵察飛行隊から引き抜いた写真偵察要員3名が追加されていた。追加搭乗員は普段F-7(B-24の偵察機型)に搭乗していた。

午後2時、B-32編隊は東京上空の数回横断飛行を終えたが、高度20千フィートから日本戦闘機編隊が接近するのを見つけた。

記録によればA6Mゼロ戦14機、N1K-J紫電3機が横須賀基地から発進し迎撃に向かった。紫電は大戦中で最優秀性能の日本戦闘機で最高時速400マイル超で高速発射可能な20ミリ機関砲4門を備えたものの、高高度性能は芳しくなかった。

とはいえ、各機は大型B-32に群がり、機関銃機関砲を発射してきた。爆撃機には.50口径機関銃10門ずつが搭載されており、すぐ応戦を開始した。爆撃機、戦闘機の搭乗員は大戦で最後の空中戦の模様を回想している。真上から降下した小町機はB-32ホーボークイーンIIのエンジンに銃弾を命中させ、機体上部のプレキシグラス砲塔を粉砕し銃手ジミー・スマートが負傷した。別の日本機がホーボークイーンの胴体を銃撃し、写真偵察員ジョセフ・ラチャライトの両脚に銃弾が命中した。同偵察員は止血剤をふりかけ、同僚の写真偵察員アンソニー・マチオーネ軍曹により寝台に移された。

機関砲弾がホーボークイーンの胴体を貫通し、マチオーネの胸に命中した。他の搭乗員がかけつけ圧迫包帯を付け、血清と酸素を手配した。

B-32二機は急降下に入り、高速と慣性を活かし、日本戦闘機編隊より先に出た。両機が傷ついた姿で帰投したのは同日午後6時のことだ。ホーボークイーンIIはエンジン一基が破損、方向舵損傷、胴体に大きな穴30個がついた。ラチャライトは負傷の全快まで数年を要した。

マチオーネは失血で30分後に死亡。第二次大戦の戦闘で死亡した最後の航空兵となった。死亡通知を受けた家族は声を失った。翌日、日本軍は機体からプロペラを取り外し、事態の再発を防いだ。

陸軍航空軍はB-32生産を取り消し、生産済み116機の用途廃止を急ぎ開始した。B-29には多数の機体が残ったのと対照的だった。最後のドミネーターが1949年にスクラップ処分されると、生死をかけた最後の東京上空ミッションに投入された同機を物語る証拠は皆無になった。■

この記事は以下を再構成したものです。

B-32 Dominators Flew The Last Combat Mission Of World War II.


Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This piece was originally featured in February 2018 and is being republished due to reader's interest

Media: Wikipedia.

2020年6月27日土曜日

イージス・アショア頓挫で日本のミサイル防衛体制について米シンクタンクが提言


 

航空自衛隊がPAC-3対空迎撃ミサイル装備を米横田基地に展開し能力を実証した。 Aug. 29, 2017. (Eugene Hoshiko/AP)

本政府がイージス・アショア弾道ミサイル防衛導入を取りやめる決定をし日米同盟へ懸念が生まれている。ミサイル防衛推進派の反対意見が出てくるのは確実で、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃対処では実効性がイージス駆逐艦部隊より高いと主張してくるはずだ。
その主張は部分的に正しい。というのはイージス・アショア設置費用が当初予定より倍増しているとはいえ各18億ドルと、単価16億ドルでイージス・アショアのかわりに導入する3隻ないし4隻より安くなるからだ。
日本の防衛相は取りやめの理由の第一に費用をあげたがもっと大きな理由に近隣住民の懸念がありミサイルの一部が落下する、高出力レーダーが健康に不安を与えるというものがあった。
こうした懸念の一部は根拠が怪しいが、安倍政権は中期防衛計画の実現のためイージス・アショア予算を「総合的対空対ミサイル防衛能力」の整備に流用し日本が直面する全方位脅威に対応するべきだ。
イージス・アショアがあれば日本を広範囲で弾道ミサイルから防衛できる。ただし、施設内のミサイル数で性能が限定され、配置場所が固定され攻撃を受ける可能性がある。北朝鮮は弾道ミサイルを相当数配備しており、おとりやその他補助手段も動員しイージス・アショアのミサイル24本に飽和攻撃を試みるはずだ。敵のミサイルに防衛側が迎撃ミサイル複数を発射すると見越しているためだ。中国やロシアはさらに大規模な攻撃をしてくるはずで、イージス・アショア施設自体も標的となる。
防衛省はイージス・アショア代替策として以下を検討中。SM-3ではブースターを洋上に落下させるプログラム作成、レーダー設置場所を海岸線近くに移動し、近隣住民への影響を抑える。またイージス・アショアそのものを艦船やはしけに搭載する案も検討している。こうした動きは社会の懸念に答えるものだが、費用は現行より高くなりそうだ。
弾道ミサイル防衛が不調に終わる内容に予算を増やすより、防衛省は総合的な防衛体制の防空、ミサイル防衛の実現を目指すべきだ。特に中国等との激しい競争に日本が直面していることを考えると、日本は抑止効果の観点からも早期警戒、標的捕捉の能力を引き上げ、巡航ミサイル・弾道ミサイルの双方に対応し、意思決定を迅速化し、防衛網をかいくぐるミサイルがあっても靭性を発揮すべきだろう。
では日本の防空・ミサイル防衛はどうあるべきか。以下要素が5つあり、一部は既に実現しており、実行に必要な予算を下げられる。イージス・アショアに行くはずだった予算で以下すべてが実現できる。.
  • 移動式、固定式双方のセンサー(パッシブ、アクティブ)で分散型ネットワークを構築する。海自イージス駆逐艦もこの一部とし、米衛星群、AN/TPY-2レーダーに加え現在計画中の長時間飛行可能無人機に赤外線センサーを搭載し弾道ミサイルや極超音速ミサイルの発射を早い段階で探知する
  • 迎撃手段は短中距離ミサイル対応を重視すべきだ。こうしたミサイルは小型で安価で性能が高い。対応は現行のSM-3、今後登場するSM-6を海上運用し、広域防衛させ敵機も迎撃させる。ペイトリオット性能向上型-3迎撃ミサイルは重要地区・基地施設の防衛にあて、 Rolling Airframe Missile (RAM)は局地防衛に投入する。さらに発射直後の北朝鮮ミサイルには今後登場するブースト方式空対空迎撃ミサイルで対応する。
  • 高出力マイクロ波、電子戦ジャマー、おとりの他重要施設周辺にレーザーを配備すれば無限の発射回数が実現し、既存の短距離迎撃手段や局地防衛手段を補完できる。
  • 指揮命令系統が攻撃を受けてもすぐ回復できるようにし、米軍ともデータを融合し、脅威に対し経済的な迎撃手段を選択することで防衛の効率を高める。
  • 受動防衛措置として防衛部隊のカモフラージュ、隠蔽、偽装の他、一部施設を強化、再整備し、敵の標的捕捉能力を劣化させつつ防衛部隊の継戦能力を確保すること
防衛能力の補完や代替策として攻撃作戦が話題になる事が多い。しかし、日本の攻撃能力では北朝鮮への先制攻撃はありえず、中国やロシアのミサイル発射装置や指揮命令所を実質的に使用不能にできない。
日本政府はイージス・アショア凍結で生まれた好機をとらえ総合的なアプローチにより日本を敵機、ミサイルから守るべく、各種防衛手段を組み合わせ、さらに指揮命令機能を引き上げ、弾力性を加え敵攻撃を抑止することが可能だ。これができないままだと日本の安全保障体制向上につながらないまま弾道ミサイル迎撃手段の夢を追い求めることになりかねない。■

この記事は以下を再構成したものです。

It's time to rethink Japan's missile defensesIt’s time to rethink Japan’s missile defensesBy: Bryan Clark and Timothy A. Walton 8 hours agoBryan Clark is a senior fellow at the Hudson Institute think tank, where Timothy A. Walton is a fellow.

2020年6月24日水曜日

F-3国際開発で今年中に政府が方針を決定か

本政府がF-3開発の国際協力について決定に近づいているようだ。
防衛装備庁(ALTA)は英国、米国との協力は現時点でも検討対象としているという。次期戦闘機の開発は英国のテンペストをめぐる国際間の動きと並列しており、米国でも「第6世代」機開発が話題になっている。▶「開発協力国の基本枠組みは令和3年度予算が国会で承認されるまでには決めたい」(ALTA)
日本政府と防衛上で関係が強い米国政府も同事業に大きな関心を寄せている。2月には米空軍のケリー・シーボルトがFlightGlobal に米軍との共同作戦能力が米側の最大関心事と述べている。ALTAも同盟各国との共同作戦実施能力を中核的要求性能と捉えている。
だがALTAは次世代戦闘機は完全新設計機にすると今年早々に確認している。▶これによりロッキード・マーティン提案は日の目をあびなくなった。同社はF-22改修型にF-35技術を織り込む提案を出していた。▶ミッチェル研究所による報告書(2019年)でも日本の次世代戦闘機はFB-22構想を下敷きにするとあり、F-22の爆撃機転用型で大型機内兵装庫を売り物にするはずだった機体に言及。日本向け機材ではミサイルの大量搭載と長距離飛行性能がカギになると見られる。
日本は技術開発に相当の資源を投入している。X-2技術実証機は2016年から2017年にかけ34回の飛行したが、さらに14通りの別事業があり兵装庫扉、センサー、データリンク等、今後の高性能機に必要な技術要素の研究が進んでいる。IHIもこの関連でXF9-1試験エンジンを製作した。
日本政府は次期戦闘機で無人機との共同作戦能力を実現することを重要視している。無人機編隊に指示命令を与える能力を設計に織り込み有人機、無人機混合運用を2030年代に実現したいとする。▶「人工知能等の無人機関連技術が急進展しており、こうした技術の成熟化により高性能技術を応用した有人機無人機の共同運用で可能性が高まっている」(ALTA) ▶Tealグループのアナリスト、リチャード・アブラフィアによれば新しく登場する戦闘機の開発では有人操縦がまだ見られるが、無人機との共同運用能力が要求性能で中心となると述べている。■
この記事は以下を再構成したものです。

Tokyo edges toward Future Fighter framework | News | Flight Global

By Greg Waldron24 June 2020

2020年6月23日火曜日

スホイを勝手にコピーして生まれた中国のJ-15は欠陥艦載機だ

https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2013%3Anewsml_GM1E92Q1GPM01&share=true



シアのことわざに詐欺師に繁盛なし、というものがある。

ロシアの兵器数点が中国にリバースエンジニアリングされているが、当然ロシアはうれしくないはずだ。

ロシアの艦上ジェット機を中国が勝手にコピーした事実をご存知だろうか。同機での墜落事故が相次いでいるがロシアは同情のそぶりもないようだ。

ロシアと中国は親密な仲で、共同演習もするが、ロシアのスプートニクニュースが辛辣な記事を配信している。題して「中国海軍の艦載機不足、問題多発のJ-15のみ利用可能」とある。J-15とは正式ライセンスなしでコピーしたSu-33艦載機のことで、原型はSu-27K陸上戦闘機で1980年代に登場した機体だ。中国はウクライナからSu-33の試作型T-10K-3一機を入手し、リバースエンジニアリングした。

他人の不幸を喜ぶ素振りを隠そうともせず、スプートニクニユースは「第4世代機J-15に愛着の情は中国で皆無に近い」と伝え、「中国メディアが同機を無用の存在と報じ、空母での運用が不安定なため『跳ね魚』と呼ぶ。中国空母では艦載機は自機の推進力で傾斜ランプから離空するがJ-15のエンジン性能不足と自重が大きいため同機の運用効率は大きく損なわれている。空虚重量は17.5トンと世界の空母運用戦闘機で一番重い。米海軍のF-18は14.5トンに過ぎない」と伝えている。

eBayやアマゾンで買い物する人なら「ライセンスなし」の商品を買えば結果はご承知だろう。ロシアによる原設計がどこまで責任があるのかと尋ねる向きもあろう。いずれにせよJ-15の相当数が墜落炎上事故を起こしており、中国は新型艦載機J-31の開発を急いでいる。

J-15の欠陥についてスプートニクニュースはロシア軍事専門家ワシリー・カシンの意見を尋ねたが、許可なく他国の機材をコピーすべきではないという。

「中国は費用を節約しようと、ロシアからSu-33実機を導入し正式にライセンス生産するかわりにウクライナからSu-33試作型一機を購入した。

「J-15開発は予想より長期化し予算も多く必要となり、初期の生産機体は信頼性に欠いていた。さらに時間と予算を投入し中国は問題を解決したようで現在の機体は信頼性、性能ともに向上している」

ここまできて、ソ連及びソ連崩壊後のロシアに西側技術を同意を得ずに「取得する」傾向があったと記しておく必要があろう。原子爆弾からスペースシャトルさらにビデオゲームまで多数の例がある。自国内に技術革新を引き起こす能力が欠如している国なのだ。

中国にも同じ性癖があることで罰が下っているというのはなんとも皮肉な事実というしかない。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 22, 2020  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: Su-33J-15Air ForceMilitaryTechnologyRussiaChina

Yes, This Chinese Fighter Plane Is a Copy Take From Russia



And Moscow still isn't happy about it.

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
This first appeared in 2018 and is being reposted due to reader interest.
Image: Reuters