2020年9月30日水曜日

将来の戦闘で給油機をどうするかが課題。KC-46の武装化それとも大型戦闘機、あるいは小型無人給油機?

  

KC-46A

Credit: Boeing/Paul Weatherman

 

型の長距離戦闘機、ボーイングKC-46給油機の武装型、さらに無人小型ステルス給油機...これが米空軍上層部が検討中の内容と空軍次官補ウィル・ローパーが9月23日に明らかにした。

ローパーは調達、技術、兵站を担当し、新任の航空機動軍団司令ジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将とKC-46の動向に注視していると述べた。トラブル続きの同機では空軍とボーイングが遠隔視覚システム2.0のアップグレードの完成に努力している。 

KC-46で問題解決すれば次の給油機に注力できるとローパーは述べ、実際の給油能力と現場が求める給油能力の差を解消したいとする。航空優勢が確保できない環境ではKC-46のような機体は大型すぎ、防御力も低いため脆弱性が隠しきれない。 

そこで生存性の高い機体で厳しい空域でも給油を提供できる機体がヴァン・オヴォスト大将との協議の焦点だったとローパーは紹介している。

「空軍の次の戦略課題は給油機を敵戦闘機から守る方法で、敵は給油機を撃墜すれば戦闘機、爆撃機多数を撃墜するのと同じ効果があるとわかっている」

ローパーは敵攻撃にさらされる給油機を一つのアーキテクチャアと考え、各種の選択肢を検討する。

そのひとつに給油機への依存を減らすことがあり、新型戦闘機の搭載燃料を増加させればよい。

「現行の戦闘機のサイズで今後の対応は難しい。さらにすべてがデジタルエンジニアリングになる中で将来の戦闘機の姿を想像すれば大型化が自然に出てくる」

もう一つの選択肢がKC-46の生存性を高めることで、これが可能なら前方進出が可能となる。 

「KC-46が大型機なので各種センサーや兵装を主翼下に搭載する余裕がある」「高価値機材の防御に戦闘機の哨戒飛行をあてられるのならこんなことはしない」(ローパー)

今後に向け別の形の給油機も必要だという。二つ選択が可能だ。ひとつはKC-46を上回るサイズの機体で搭載燃料をふやすことだが、実際は敵の手が届かない地点に留まることになる。もうひとつは小型無人ステルス「マイクロ給油機」で敵防空空域の内部に進出することだという。

「敵戦力が強い空域で航空戦力を展開するためには燃料を戦略的に理解する必要がある」とローパーは述べている。■

 

この記事は以下を再構成しました。

USAF Discussing Larger Fighters, Weaponized KC-46, Roper Says

Steve Trimble September 23, 2020


2020年9月29日火曜日

J-20まで台湾海峡に展開する中国の意図は「実戦」と日米両国へのけん制だ

 

 

国の戦闘機、対潜哨戒機、早期警戒機が台湾に接近するパトロール飛行を続けており、中国は「実戦」に向けた準備として台湾進攻をはじめようとしている。中国指導部は真剣なのだろうか。

中国はステルス戦闘機、対潜哨戒機、早期警戒機などを台湾に接近飛行させており、台湾進攻の「実戦」準備に入ったようだ。

 

共産党寄りの環球時報によればY-8対潜哨戒機、KJ-500早期警戒機、Y-9偵察機さらに第五世代ステルス戦闘機のJ-20が台湾付近を飛行しており、軍事行動の準備中という。「台湾軍情報を収集するのが目的で、あわせて米国、日本の動向とりわけ潜水艦や兵員移動、軍事基地の状況を把握し、PLAによる戦闘の準備をしている」とある。

 

同記事によればJ-20は台湾沖合500キロ地点を飛行し、台湾、米国双方の軍用機を数分で撃破できる状態だったという。さらにJ-20は台湾を15-20分で攻撃できる状態だったとある。

 

 

J-20は台湾の現役軍用機よりヒト世代先を行く気体であり、PLA侵攻時には一方的な勝利となると同紙にある。

 

他紙記事でも米軍日本軍が台湾防衛に出動しても中国軍の攻勢の前に敗退し、Y-8が米日両国の潜水艦を追尾するとある。

 

Y-9偵察機も敵軍の情報をつかみ、敵基地の情勢を探り、港湾、飛行場の様子が手に取るようにわかるからという。

 

では記事にある「実戦」とはどういう意味なのか。戦闘にむけたエスカレーションなのだろうか。

 

台湾と米国は中国侵攻の脅威を現実のものと感じてきた。今回の中国の動きにはエスカレーションの意図が明らかだ。偵察情報収集ミッションとJ-20の脅威が組み合わさり、挑発の意図に深刻なものだある。

 

ではどんな対抗策がとれるだろうか。

 

一つ思い浮かぶのはF-35Bを搭載した米強襲揚陸艦を付近に配備し、J-20に対抗しながら、中国偵察機の安全を脅かすことだ。

 

同地域でもう一つ忘れていけないのが米側が爆撃機タスクフォースを定期的に配備し、訓練や偵察パトロールを展開しておくことであり、米国が台湾と共同で接近してくる中国機を探知し迅速な迎撃態勢を維持することだ。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。中国はこのまま何もしないと張子の虎と笑われますので、何らかの手を打ってくるでしょう。タイミングはズバリ、11月の大統領選挙後です。この中で習主席を国賓として招こうと主張している人がいるのはどうしたもんでしょう。

 

Chinese J-20 Stealth Fighters are Flying Very Close to Taiwan

September 28, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanChinaMilitaryDonald TrumpJ-20Stealth Fighters

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 


2020年9月28日月曜日

初期型ホーネットを2030年代まで使いまわせ、米海兵隊の各種性能改修案

 2030年代以降の米海兵隊の戦術航空機材 (TACAIR) はロッキード・マーティンF-35B、C型ライトニングIIに統一される。現在はマクダネルダグラスAV-8BハリヤーIIおよびボーイングF/A-18AからD型ホーネットも海兵隊の近接航空支援(CAS)に投入されている。現行案ではハリヤーIIは2028年度、ホーネットは2030年度に廃止される。

 

海兵隊のホーネットはA型からD型まで1980年代の製造で旧式化が目立つものの全機が性能改修を受ける。各機退役まで10年近く残る中で、選抜した84機は最終年度まで供用対象となる。

 

ホーネットは空対空、空対地両面で海兵隊で最優秀機材となっているがさらに一部機材は10千時間までの稼働を可能とすべく保守管理が施される。並行して新装備も導入され、ライトニング部隊がフル稼働する2030年までのつなぎ機材として十分に機能させる。

 

非公式に「クラシック」ホーネットと呼ばれる第一世代F/A-18はすでに米海軍では大型化したF/A-18E/Fに交代している。海軍から一部機材が海兵隊に提供され、2030年までの供用を期待されている。

 

JAMIE HUNTER

米海兵隊のホーネットは最大7個飛行隊に最新性能改修の実施を目指す。

 

 

F/A-18A-D事業管理部門(PMA)が今後の計画を積極的に検討しており、稼働率向上や機材保存に加え耐用年数末期予定点検(PMI)の再検討も行っている。年二回にわたり検討会を開き、海兵隊の現有ホーネットで今後も供用可能な機体の特定に努めている。

 

海兵隊上層部からホーネット攻撃機部隊に関し、大胆な案が出ている。その中心が数次にわたる改修で、最終的に飛行隊7個分の最良状態のホーネットを確保する。全機にレイセオンAN/APG-79(v)4アクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載する。

 

このレーダーは Block 2/3のF/A-18E/FスーパーホーネットならびにEA-18Gグラウラーに搭載されているAN/APG-79(v)1が原型だ。クラシックホーネットにAESAを搭載する構想は長年にわたりあったが、新型機体防御装備ならびに精密誘導兵器を搭載すれば、ホーネットはハイエンドミッションに耐える機体になる。

 

ホーネットの兵装システム士官(WSO)だったマイケル・ペイヴィス中佐がパタクセント海軍基地でF/A18A-D事業にかかわり、The War Zone取材にこう述べている。「海兵隊の航空戦力整備案は海兵隊F/A-18A-D各型の今後の基礎となります。2030年の退役とF-35への機種転換でも重要な構想です。移行期間中もホーネットは海兵隊機材として空対空、空対地で最も多く運用される機体であることにかわりありません。このため同機の維持が必要であり、国防戦略構想でも各機を十分な威力を維持し稼働可能に維持する必要があります」

USMC

米海兵隊のF-35機種転換計画図。

 

 

「A-D各型を運用中の各飛行隊を今後は混成編成にしていきます。F/A-18Cを7機、F/A-18Dの5機として最小限の支出で最大の効果を実現します。F/A-18の設計寿命は6千飛行時間でしたが、8千時間まで延長が完了しています。長時間飛行ずみ機体の点検結果から、1万時間までの飛行が可能と判明しています。ただしこの点検は非常に高額で時間がかかり、作業中は機材が使用できなくなります。点検済み機材はAN/APG-79(v)4レーダー、AN/ALQ-214(v)5・AN/ALR-67電子戦装備を搭載し、最少の出費で最高の性能を実現します。あくまでも機体保持費用を下げながら性能を最高水準にするのがねらいです」

 

新編成の混合飛行隊構想は現役で残る海兵隊のホーネット飛行隊7個でF/A-18の想定ミッションをすべてこなすのが狙いだ。「人員面の問題が解決されますし、今後はホーネットWSOの新規訓練は終了します。ただしホーネット稼働中はキャリアフィールドは維持し、複座型のみで可能な前方航空統制官(機内)や戦術航空統制ミッションの能力開発を進めます」「全部隊にこれを広げれば、WSOの活用が可能となります。混成部隊ならではの人材活用策となります」(ペイヴィス中佐)

 

最良の状況の機材を選ぶ

 

海兵隊ホーネット各飛行隊はこの数年、稼働率問題に苦しんできた。要求を満たす機材数の確保が大変だった。2018年度版の海兵隊航空戦力整備案では「海兵隊所属機材は現時点で飛行隊11予備飛行隊1の編成である。この数年は修理のため稼働機数の不足に悩まされている。そこで海兵隊総司令部では臨時措置として第一線飛行隊を10個編成とし、て稼働率を維持しつつ現時点の作戦要求にこたえる体制とする。今後は点検等が終了し復帰する機体が増えるので12個飛行隊体制が2017年度第三四半期に実現の見込み」とある。

 

海軍システムズ本部がホーネット部隊の摩耗度を調査した際に大きな支えとなったのが飛行時間予測ツールで2030年まで支援コストを最小限にしながら機体の利用度を最大にできるとわかった。「この分析で性能改修が可能な機材が把握できた」とペイヴィス中佐が説明。「最高の常態の機体を抽出し、最少の保守管理費用で最大の効果を実現した。また生産ロット別に区別し、一定のロット番号以降の機体を改修対象にし、それ以下は対象外とした。F/A-18Cではロット15が境目でD型はロット14だった」「機体を個別に点検すると総飛行時間がわかり、どこまでの寿命が残っているか疲労度で把握した」とし、中でも主翼付け根の疲労度が大きな要素で交換が必要なのかで所要時間が変わり、センターバレル交換プラス(CBR+)は大きな出費となる。

 

2019年度海兵隊航空戦力整備計画では「F/A-18供用期間管理事業((SLMP)はセンターバレル交換プラス(CBR+)と長時間飛行機材(HFH) 点検事業で構成する。CBR+でロット17以前の機材の供用期間を延長し、HFH点検ではF/A-18A-D各型で8千時間超を実現する。HFH、CBR+と並行して供用期間延長事業(SLEP)では点検整備に加え技術変更点提言によりその他F/A-18A-D機材の飛行時間を1万時間に延長する。海軍航空兵力整備事業では飛行時間8千超の機体整備も計画する」とある。

 

ペイヴィス中佐は「機体疲労度を調べ、飛行時間累計からどこまでの性能改修が可能か検討し、CBR実施の必要度を判断することでCBR予測を大幅に減らしています。合計5回分のCBRを回避できた事例もあります。これでごく小規模の疲労対策で機材を1万時間稼働させられます」と述べる。「整備拠点には8千時間超のHRH点検対象機材が大量に残っています。可能な限り早く第一線部隊に戻したいので現在の作業工数は最高レベルになっていますが、このままでは完了は2030年になります。9千時間点検もありますが、これは軽微な内容です。

 

JAMIE HUNTER

ホーネット混成飛行隊体制で海兵隊はホーネット完全退役までWSOのキャリアを維持できる。

 

 

現役飛行隊に加え、予備飛行隊一個がフォートワース海軍航空基地/供用予備隊基地(テキサス州)におかれる。VMFA-112「カウボイズ」は旧式F/A-18+機材から低飛行時間機体のロット10および11のF/A-18Cに機種転換中で、後者はボーイングによりC+仕様に改修中だ。このプロジェクトは30機を当初対象にしていたが19機に削減された。「C+プログラムでこれまで7機が納入済みです。12機分の改修作業が残っており、VMFA-112飛行隊を『用途最終日』まで支援していきます」とペイヴィスは述べる。

 

F/A-18C+改修では多機能情報分配システム-小規模ターミナルMultifunctional Information Distribution System-Low Volume Terminal (MIDS-LVT) のデジタル通信機能、海軍航空乗員共通射出座席 Naval Aircrew Common Ejection Seat (NACES) 、共用ヘルメット搭載目標照準システム Joint Helmet-Mounted Cueing System (JHMCS)、戦術航空機用移動地図表示機能Tactical Aircraft Moving Map Capabilities (TAMMAC)や新型フルカラーコックピット表示装置を搭載する。

 

新装備による性能改修

こうした装備品の個別搭載に加えソフトウェアの「手直し」を作戦運用飛行事業Operational Flight Programs (OFP)として連続実施する。ここはLink-16データリンク、Gen4ライトニングポッド、レーダー航法機能の高度化があり、航空管制上の規程に合致するようになる。

 

電子戦機能の高度化でも一部機材への搭載が始まっている。「ALE-67(v)3レーダー警報受信機[RWR]に加え、ALQ-165 ASPJ(機内搭載防御用ジャマー)にALQ-214(v)5を付けて搭載しており、作業は進行中」とPMA-265でレーダー電子戦装備の整備を統括するビシャー・マフティ中佐が説明してくれた。

 

あらたに承認され今後登場する装備品に自動地上衝突回避システムAutomatic Ground Collision Avoidance System (Auto-GCAS)があり、ペイヴィス中佐によれば搭載は「可及的速やかに」なるという。NAVWARと呼ばれる改修予算が認められ2022年度に事業開始となり、2023年度2024年度にかけ続き、GPSと時間計測機能を加えるとペイヴィス中佐は述べた。これはジャミングに強いGPSで、一定の作戦シナリオで応用される。

 

兵装面の性能向上ではAIM-9XブロックII、AIM-120D高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、AGR-20A高性能精密命中兵器システム Advanced Precision Kill Weapon System (APKWS)の搭載があり、後者はハイドラ70無誘導ロケットにレーザー誘導装置を付け精密誘導弾にしたものだ。新装備に加え新型アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを組み合わせるとホーネットの戦力は全く新しい水準になる。

 

AESAで戦闘能力が大きく引き上げられるだけでなく、可動部品が減ることで信頼性が高まる効果も期待できる。運用面での改善効果として探知能力が向上し探知範囲も広がり、巡航ミサイルのようなレーダー断面積が小さな標的の探知識別能力が向上するほか広い空域を迅速に走査できるのはAESAレーダーが機械式装置を使わないためだ。

 

ホーネットが搭載するAN/APG-73の換装を海兵隊は長年にわたり望んできた。レイセオンは当初2010年に当時APG-79(VX)の呼称だった同社製高性能レーダーに換装できるか検討した。しかし、案は2018年度海兵隊航空戦力整備案まで陽の目を見なかった。

 

RAYTHEON

レイセオン社員がAPG-79(v)4の装着適合性をチェックしている。

 

 

その他のレーダー候補にはノースロップのScalable Agile Beam Radar (SABR)があり、同社はホーネットへの搭載可能性チェックを2018年に行った。2019年1月にはレイセオンから発表があり、海兵隊より AN/APG-79(v)4の採用通知を受け、F/A-18C/D各機へ搭載が決まった。現時点の予算では同レーダー75基の調達が決まっている。海軍航空システムズ本部はレイセオンに30.2百万ドルの契約を交付し、2021年12月より9基を先行調達する。注目されるのはカナダも同型レーダーを自国のCF-18ホーネットの性能改修用に採用したことだ。

 

同レーダーの選択理由としてスーパーホーネットで搭載したAN/APG-79につながる装備品として費用対効果が優れ、ホーネットで搭載ずみのAN/APG-73用ソフトウェアとも互換性があることがあるとペイヴィス中佐は説明。スーパーホーネット、グラウラーで搭載のAPG-79(v)1 との互換性から新型レーダー換装の際のソフトウェア開発費用を抑える効果がある。「AESAによりサプライチェーンを整理できる」とマフティ中佐も述べている。「APG-79(v)1をスーパーホーネットに搭載し、(v)4は約90パーセントの共用性がある。今後用途廃止までの間のレーダー装備を十分維持できる」


JAMIE HUNTER

海兵隊はホーネットのコックピットディスプレイ改修の予算実現も期待している。

 

 

さらにその先にまだ予算化されていない改修作業もある。AN/ALR-67(v)5 RWRの改良がその一つだ。「コックピット内のディスプレイも旧式化しており整備が問題になっている。左右のデジタルディスプレイ表示装置、コックピット映像記録装置だ」とペイヴィス中佐は述べ、段階的改修の予定があるが予算化と計画化が必要という。

 

こうした案で初期型ホーネットは最強の戦力を発揮するようになる。F-35の配備案が先送りになる中、F/A-18が耐用年数を延長しながら性能改修を受けていけば海兵隊には頼りがいのある機材になる。

 

ただし海兵隊は既存ホーネットの型式名を変更する予定はない。むしろ、ペイヴィス中佐はF/A-18A-D フリートで各種の非公式名称が流布しているが、いずれも米海軍、海兵隊で正規名称と認識されていないと指摘する。「 F/A-18A-Dホーネットです。『レガシー』ではありません、『レジェンダリー』でも『クラシック』でもありません」という。■

 


この記事は以下を再構成したものです。


2020年9月27日日曜日

北朝鮮の国家ぐるみサイバー攻撃に金融はじめ産業界は対策を講じるべきだ。究極の対策は北朝鮮体制の転覆しかないのか。

 

 

朝鮮偵察総局の一派が金融機関に侵入し金銭を盗む動きが世界各国で再開しており、能力をさらに引き上げていると米サイバーセキュリティおよびインフラストラクチャセキュリティ局(CISA)が注意報を出しており、財務省、米サイバー司令部、FBIも注意喚起している。

 

ビーグルボイズBeagleBoyzと呼ばれる集団が2015年からの事件に関連しており、2016年にはバングラデシュ銀行が81百万ドルを窃盗された。合計被害額は20億ドルを超えると見られる。 

 

注意報では「ビーグルボイズによる銀行襲撃で各金融機関に深刻な営業リスクが発生しており、盗難被害や回復費用以外に信用喪失が怖い」「同様に懸念されるのがハッカー集団の手口が巧妙になっており、銀行はじめ金融機関の基幹コンピュータシステムが運転できなくなる事態が発生していることだ」と指摘。

 

ビーグルボイズの犯行は2018年に「FASTCash」として発覚した。これはATMから現金を盗む手口で、最新の注意報は「FASTCash 2.0、北朝鮮ビーグルボイズによる銀行襲撃」として大きく二つの進展があるとする。ハッカー集団はWindowsサーバー上のスイッチ操作用アプリケーションに侵入し、銀行間取引用の接続を狙うとある。

 

「北朝鮮ハッカー集団は戦術を巧みに変更して金融以外の業界にもサイバー犯罪をはたらいている」とCISAのサイバーセキュリティ部門次長のブライアン・ウェアが解説する。「CISAはその他関連機関と連絡を取りながらサイバー脅威の関連情報を具体的かつアクションが取れる形で適宜配信しています。目標は悪意あるサイバー作戦を妨害し、敗退させることで敵の先を行く形で最大のリスクに政府、民間で対応していくことにあります」

 

注意報の推奨内容にはオペレーティングシステムに最新のパッチを当てるといった一般的なものから金融機関に焦点をあてたATMや電子決済装置での注意点までを含む。

 

「財務省のサイバーセキュリティ・重要インフラ防護部門は政府、民間部門との連携でグローバル金融部門への北朝鮮等サイバー犯による脅威の低減に努めています。 チームとして動く必要があり連携と情報共有により金融業界のセキュリティと回復力を維持しています」と財務省のデイヴ・ラックメント次官補代理は語る。

 

手口としてはマルウェアを使うことが多く、ECCENTRICBANDWAGONの例ではログインしスクリーンキャプチャーで重要情報を得ている。連邦政府関係機関からマルウェアに対する注意喚起が以前からあり、リモートアクセスで被害機関を内側から操作した事例があるという。その例としてHOPLIGHTCROWDFLOUNDERがあり、類似形としてELECTRICFISHVIVACIOUSGIFTがある。注意報にはこうしたマルウェアの解説へのリンクがある。

 

しかしビーグルボイズとは極度なまで統制が取れた組織であると注意報にあり、銀行襲撃後も痕跡をきれいに消すため、捜査が困難だ。

 

国家レベルの実行犯ビーグルボイズが犯罪ハッキング集団を使いフィッシングでマルウェアを植え付けたり、セキュリティホールから攻撃を加えアクセスを確保する。犯行集団は入手物をビーグルボイズに渡すが、ビーグルボイズがこれを利用して実際の犯行に至るのは数か月後だ、と注意報にある。■

 

この記事は以下を再構成したものです

 

N. Korean Hackers Upgraded Their Financial-Theft Tools, Feds Warn

BY MARIAM BAKSH

AUGUST 28, 2020 08:00 AM ET


これでは制裁の効果があがりません。国民が植えようが異常な使命感に燃えるコンピューター知識に富んだ集団が倫理観なしで犯行に走り、その成果を国家に献上して地位を確保するいびつな構造が現在の北朝鮮の実態でしょう。こういう体制は崩す必要があります。中国に目が移りがちですが、北朝鮮も注目を集めようととんでもない行動に走るかもしれません。要注意です


新鋭英空母が米海兵隊F-35Bを搭載。英米両国は新しい安全保障協力の時代に入った。

 海軍空母HMSクイーン・エリザベスが英米両国のF-35Bを搭載した新しい運用段階に入った。英海軍、英空軍、米海兵隊が共同で新運用体制を準備してきた。

英空軍617飛行隊「ダムバスターズ」と米海兵隊戦闘攻撃飛行隊VMFA211「ウェイクアイランド・アヴェンジャーズ」の合計15機が同空母に搭載された。これと別に英海軍航空隊所属のマーリンヘリコプター8機もある。

各機は同艦に2020年9月22日から順次合流した。英国保有のF-35Bで作戦投入可能な機材は15機で、RAFマーハム基地に展開する。別に3機がエドワーズ空軍基地(カリフォーニア)でテスト評価作業に従事している。

F-35Bで最大の運用事例はUSSアメリカが太平洋を航行中の13機だった。海兵隊の「ライトニング空母」構想では強襲揚陸艦にF-35Bを16機から20機搭載する。

海兵隊は F-35Bの作戦能力獲得を2015年に宣言し、2018年から揚陸艦に搭載している。同年に海兵隊のF-35Bがアフガニスタンで初のF-35B実戦投入となった。

UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT

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実戦飛行隊二個から15機を集め空母に搭載するのは英国海軍航空部隊の戦力整備で大きな一歩だ。2010年に英戦略防衛安全保障検討で英海軍最後の固定翼機運用空母HMSアークロイヤルをハリヤージャンプジェット機と合わせ廃止したことからこの構想は生まれた。

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2隻建造される新型空母の一号艦HMSクイーン・エリザベスは2017年6月に初の外洋航海を実施し、スコットランド沖合で公試に入った。ライトニングの初運用は2018年9月の米東海岸沖合で、パタクセントリバー海軍航空基地の統合試験部隊の米海兵隊F-35Bだった。英軍機材の運用開始は2019年10月で同じく米東海岸沖合でのことだった。

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英国防省によればHMSクイーンエリザベス艦上の航空部隊は1983年のHMSハーミーズ以来で最大規模という。

排水量65千トンのHMSクイーンエリザベスはポーツマス軍港を2020年9月21日出港し、F-35Bを搭載し同盟国との演習に向かった。スコットランド北東の沖合で9月21日から10月15日までNATO最大規模の演習ジョイントウォリアーに加わる。

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同空母は英海軍艦艇7隻と同じ行動をとる。これは英主導のNATO空母打撃群構想が来年から実施されるのに先立つ準備作業となる。

「617飛行隊にはわくわくする瞬間となり、米海兵隊とHMSクイーンエリザベスでの来年の本格運用に備えます」と同飛行隊司令マーク・スパローが述べている。「英軍でこれだけの規模の運用は30年も前のことで第五世代機の空母運用としては初のことです。大型空母で高速ジェット機を運用する時代がもどってきました」

「ウェイクアイランド・アヴェンジャー隊は英乗組員、航空要員との業務に向け準備ができています。英軍の同僚と今後数か月を過ごし、大西洋両岸の海軍部隊として全力を尽くします。この重要な責務を同盟国の空母打撃力整備で果たせることに誇りを感じます」とVMFA-211司令ジョセフ・フレシャウアー中佐が語っている。

UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT

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英空母打撃群司令スティーブ・ムーアハウス准将は「英国の海軍力復活は今後も続き、新世代艦艇、潜水艦、航空機を投入していく。だがなんといっても意味のある戦闘力として集結させたのは今回がはじめてだ」と述べている。「HMSクイーンエリザベスは第五世代戦闘機航空部隊として最大規模の戦力を運用する。英海軍が主導するが、最も親密な同盟国から支援を受ける、この新空母打撃群はNATOに真の戦力となり、世界規模で役割を希求する英国の決意を改めて示すことになる」

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英空母航空部隊司令ジェイムズ・ブラックモア大佐はこう加える。「F-35Bの海上運用でUSMCに学ぶ点が多い。海兵隊は運用経験がこちらより長く、運用方法を共有できる。だがそれ以上の意味がある。大西洋同盟が動き、親密な同盟国が自国空母からの運用に加え、必要に応じそれぞれの空母から運用可能となるからだ。統合運用により危機、紛争、有事に柔軟な運用に道が開く」

HMSクイーン・エリザベスは10月末にポーツマスに帰港予定だ。F-35飛行隊二個とヘリコプター支援部隊を搭載した同空母により英国は空母打撃群戦力の再整備へ大きな一歩を踏み出した。■

この記事は以下を再構成したものです。日本も将来は英米の艦艇でF-35Bを運用する日が来るかもしれません。逆に日本の「軽空母」での米軍機運用も現実になるのかも。安倍政権が進めた日米同盟の強化が効果を発揮する日がくるでしょう。左巻きの人は戦争をする体制というかもしれませんが、これは抑止力です。平和を維持するためのコストととらえるべきでしょう。

Behold A British Carrier Carrying The Most Stealth Fighters Of Any Warship To Date

British and American F-35Bs have gone aboard HMS Queen Elizabeth for the latest phase of trials.

BY THOMAS NEWDICKSEPTEMBER 23, 2020

 


2020年9月26日土曜日

NGAD試作機のメーカーはどこなのか?

 空軍向け次期戦闘機で実証機の存在が公表されたが、製造企業は謎だ。

空軍調達を仕切るウィル・ローパーは新型機について多くを語らず、すでに飛行しており、一部システムは飛行テスト中で、デジタルエンジニアリングで作成したとだけ述べている。

では謎解きの手がかりを見てみよう。まず試作機は次世代制空戦闘機(NGAD)事業の一部のようだ。

2015年1月、下院軍事委員会で当時の調達、技術、補給活動担当国防次官補フランク・ケンドールは新型機各種をエンジン技術とあわせ空軍、海軍向けにDARPA主導のプロジェクトで開発中と述べていた。

「ねらいは次世代の制空能力を有する機材の試作機を開発することで、Xプレーンと呼んでよい」とケンドールは述べていた。航空宇宙技術革新構想Aerospace Innovation Initiativeと呼ばれ、「技術開発とともに関連リスクを解消し、F-35に続く機体さらに高性能航空機材を実現するのがねらいだ」

「NGAD試作機メーカーの候補にボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンがあり、そのほかジェネラルアトミックスも設計した可能性があるが可能性は低い」とキャピタルアルファパートナーズのアナリスト、バイロン・キャランが記している。「テクストロンがスコーピオンで新設計案も一年で飛行させることが可能と証明したが、戦闘用機材にこの技術が応用できるようになったとは思えない」

エンジンはGEあるいはレイセオンテクノロジーズ傘下のプラット&ホイットニー製とキャランはみている。

ではNGAD戦闘機の製造元として可能性のある各社を見ていこう。

ボーイング

シカゴに本社を置く航空宇宙大手の同社はデジタルエンジニアリングに詳しく、スウェーデンのSaabと共同でT-7A訓練機の設計製造を一年未満で完了した実績がある。T-7Aのミッションコンピュータはサードパーティ製ソフトウェア、アプリが実行でき、アップグレードは容易だ。また設計は組立工程の簡易化もねらい、胴体前後部の組立ては15分で完了する。F/A-18スーパーホーネットの胴体組立は24時間かかるとボーイングディフェンスCEOリーアン・カレットが述べている。

 

ノースロップ・グラマン

ノースロップがスケイルド・コンポジッツ Scaled Compositesを子会社にしているのを知る向きは少ない。これは初の民間宇宙船スペースシップワンの設計を担当しXプライズ受賞の企業だ。米空軍向け練習機競作で同社も新型機を組立てたが、参加を見合わせた。

ノースロップはペンタゴンの極秘事業で受注が増えている。B-21ステルス爆撃機事業にキャッシュを相当投じていると思われるが、秘密資金がNGAD試験機にも流れている可能性が十分ある。

同社は地上配備戦略抑止力事業にも参加しており、新型大陸間弾道ミサイルとして冷戦時のミニットマンIIIの置き換えを狙う。ここでもデジタルデザインテクノロジーを使っているとローパーが述べている。

ロッキード・マーティン

同社の高性能技術開発事業(ADP)部門はスカンクワークスの名称のほうが知名度が高いが、ここがこれまで米軍向け超性能極秘機材を数々開発してきた。U-2、SR-71、F-117対地攻撃機があり、同社はF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機も製造してきた。

「ADPは各種事業で多忙だ....デジタルセンチュリーシリーズのほか、第六世代機さらに次世代機がある」とロッキード・マーティンエアロノーティクスおよび傘下のスカンクワークスを率いるミシェル・エヴァンスが述べている。

エヴァンスは民生技術や民間手法を防衛用途に流用するロッキードの試みスタードライブ Stardriveについて以下述べている。「モデルをもとにしたシステムのエンジニアリングをソフトウェアのアジャイル開発やデータ分析やAIにどう応用するかを考えている」「こうした技術から想定外の機会が生まれ今後の装備品の開発期間を大幅短縮するでしょう」

その他企業Someone else

興味深い可能性として新型機は一社のみの製品とならないことがある。デジタルデザインツールの長所として新興企業でもこれまではひとつかみの既成企業のみが独占してきた市場に参入可能となるとローパーが力説している。その例として7月に空軍が有人機に随行可能な無人機開発をもとめたところ18社が応募してきた。

「大手企業の関心度は高いのは予想通りだが、小規模企業からも同様の藩王がある」と空軍物資本部を率いるアーノルド・バンチ大将が記者向けリモート会見で明らかにしている。「デジタルキャンペーンでデジタルエンジニアリングを進めればこれまでより広範囲の企業に門戸が開き、これまで不可能だった企業も参加できるようになるはずだ」■

 

この記事は以下を再構成したものです。

Who is Secretly Building the USAF’s New Fighter?

Officials are mum, so here’s a roundup of clues.

 

BY MARCUS WEISGERBER

GLOBAL BUSINESS EDITOR

SEPTEMBER 16, 2020