2021年4月30日金曜日

新空軍長官に元国防次官フランク・ケンドールを指名したバイデン政権。オバマ政権時の懐かしい人物が再びスポットライトを浴びる。空軍次官には非白人女性ジョーンズを指名。議会は難なく承認するのでは。

  

 

英国向けF-35の引き渡し式典(2012年)でフォートワース(テキサス州)で招待客に祝辞を述べるフランク・ケンドール(調達、技術、補給活動担当国防次官、当時)。(Tom Pennington/Getty Images) 

 

 

イデン政権は空軍長官にフランク・ケンドールFrank Kendall、空軍次官にジーナ・オーティス・ジョーンズGina Ortiz Jonesを正式指名した。

 

4月27日午後にホワイトハウスが発表し、同日朝にDefense Newsが先に報じていた。

 

ケンドールはオバマ政権で国防総省の調達最高責任者を2012年から2016年にかけて務めた。調達、技術、補給活動担当の国防次官として調達活動の機動性確保のため “Better Buying Power” を提唱した。

 

ケンドールは国防総省内で数々のポストを歴任しており、2010年から2012年には主席次官代理だった。また国防産業でも1990年代にレイセオンで技術部門副社長だった。

 

陸軍で軍歴を有する人権派弁護士のケンドールは選挙運動中のバイデンチームで早くから国防問題の顧問となり、国防総省あるいは軍の長官ポストの噂が出ていた。

 

ケンドールは陸軍出身だが、ペンタゴンで空軍向け及び航空宇宙関連の兵装調達トップ歴が長い。ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機には鋭い批判をすることで知られ、「調達の悪例」とまで呼んだ。

 

ジョーンズはペンタゴンでは新参者だが、その他政府組織で広い経験を有する。空軍では2003年から2006年にかけ情報官としてイラクに派遣された。2008年には国防情報局へ顧問として移動している。その後、米国通商代表部に勤務した。

 

ジョーンズは2018年2020年連続して下院議員に立候補し、テキサス23選挙区で民主党候補となったがともに共和党候補に敗れている。

 

ジョーンズはフィリピン系米国人で「聞くな、話すな」の軍方針の元で同性愛者として勤務する困難な日々を過ごした。任命が確定すれば、初の非白人女性空軍次官となる。

 

両名は厳しい局面に立たされている空軍を指導することになる。空軍参謀総長C・Q・ブラウン大将は空軍の変革をめざい、高性能機材を投入するロシアや中国の脅威に対抗しようとする。ただし、本人も変革は意味のなくなった事業や既存機種の削減があってこそ実現できると見ている。

 

米空軍は議会に自らのメッセージを伝えるのに苦労してきた。ケンドール=ジョーンズ両名は空軍の戦略的意義を議員に伝えるのを助ける役目を果たしそうだ。

 

新人事の公表を受け、下院軍事委員会委員長アダム・スミス議員(民、ワシントン)は両名の指名を支持する旨の声明を発表した。

 

「フランク・ケンドールこそ公僕として空軍を率いるのが適任の人物で、空軍に多くの将来の脅威に対し模索を続けているところだ。40年に及ぶ国防、安全保障での経験に加え、オバマ政権時の調達業務への献身ぶりから、これ以上の逸材は見つからない」

 

スミス委員長はジョーンズが空軍勤務時の経験を評価し、今回の指名はバイデン政権が米国民の多様性を反映する形に国防総省を構築する動きの一環と述べた。

 

上院の軍事委員会院長ジャック・リード議員(民、ロードアイランド)もケンドール指名を支持すると述べている。両名は1971年のウェストポイント陸士卒でもある。

 

「フランクの指導力は実証済みで有効だ。本人には技量、経験、誠実さ、トップ文官として空軍を率いる性質が備わっている」との声明文を発表した。■


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Biden to nominate Frank Kendall as Air Force secretary

By: Valerie Insinna and Joe Gould

Aaron Mehta in Washington contributed to this story.

 

コメント F-35に批判的な空軍長官が誕生するとロッキードには逆風ですね。これまで大きすぎてつぶせないとまで言われてきたライトニングIIですが、空軍内部にも見切りをつける動きが顕著になっています。それにしてもバイデン政権はまるでオバマ政権の延長の様相を明確にしてきましたね。


2021年4月29日木曜日

遼寧空母部隊の動向を日本等の外部発表を使って伝えざるを得ない中国の異常な情報管理の実態。環球時報記事は中国のおかしな主張、考え方を反映している。

ご注意 以下は共産党の機関紙ともいわれる環球時報の記事を忠実に訳したものです。PLAの情報公開が国内でも圧倒的に不足しているので、統合幕僚監部発表を引用せざるを得なかったり、台湾報道にふりまわされるなど中国国内体制の不備がうかがえます。記事にある「解決」が中国の望む形での日本封殺にあるのは間違いなく、台湾、南シナ海情勢ともあわせ、これからのCCP=PLAの動きには注意が必要です。中国人とCCPは別の存在としたトランプ政権のアプローチは共産党側には痛いところで、なぜバイデン政権が同じ路線を踏襲していないのか不思議でなりません。CCPはテロ集団よりはるかに質の悪い組織犯罪集団と言ってよいでしょう。

   

The picture shows the aircraft carrier <em>Liaoning</em> (Hull 16) and other vessels and fighter jets in the maritime parade conducted by the Chinese People's Liberation Army (PLA) Navy in the South China Sea on the morning of April 12, 2018. Chinese President Xi Jinping, who is also general secretary of the Communist Party of China (CPC) Central Committee and chairman of the Central Military Commission (CMC), reviewed the parade. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Zhang Lei)

空母遼寧 (艦番号 16) 他の艦艇、戦闘機が南シナ海で2018年4月の軍事パレードを展開した。中国共産党総書記兼中央軍事委員会委員長の習近平が閲兵した。 (eng.chinamil.com.cn/Photo by Zhang Lei)

 

 

寧空母任務群は4月26日宮古海峡を通過し、翌日に搭載機一機を釣魚諸島付近に展開させた。


これについて中国国内専門家は同諸島をめぐり誤った主張を繰り返す日本への警告と評し、同様の展開をPLAが今後も繰り返すとも述べた。

 

海上自衛隊は中国艦6隻を見つけた。空母遼寧以外に055型大型駆逐艦南昌、052D型駆逐艦成都および太原、054A型フリゲート黄岡、901型補給艦呼倫で、沖縄本島と宮古島の間を通過し東シナ海北方へ移動したと統合幕僚監部が27日報道発表した

 

各艦は4月3日に同海域を南方へ移動しており、今回は本国へ帰投の途中だった。

 

遼寧から発進したのはZ-18早期警戒ヘリコプターで釣魚諸島のChiwei Islet に接近したと日本側発表にある。

 

中国側軍事専門家は任務部隊が台湾付近及び南シナ海で行われた演習から本国帰投のため宮古海峡を通過するのは想定内としつつも、航空機を釣魚諸島付近に発進させたのは異例とのコメントが出た。

 

遼寧空母集団の最近の動きは日本への警告であり抑止効果を狙うものと中国軍備管理軍縮協会のXu Guangyuが環球時報に4月28日語っている。

 

釣魚諸島に関する繰り返し誤った主張を日本が発表しており、米国が同地区を日本防衛の対象と再確認したとする4月初めの主張もその一部である。また中国沿岸警備隊が中国領有の島しょ部分で展開する合法的かつ正当に法執行活動を外交青書が4月27日に批判している。

 

同上のXuは中日関係の進展に応じ、問題が解決するまでPLAは今回と同様の活動を今後も定期的に展開すると見ている。

 

また遼寧の最新の動向を伝えた日本側発表により、同艦が「出力喪失」したとする台湾国内の風説が否定されたとXuは指摘した。

 

台湾メディアは商用衛星画像を使い、米艦艇がPLA空母集団を追尾したと伝えているが、中国本土の専門家には衛星画像は無関係であり、軍艦や軍用機が他国艦艇の動向を公海上で監視するのは通常のこと、国際法を遵守し安全距離を保ち衝突を避けるべく安全措置を取ることも通常の行為との指摘があった。

 

PLA海軍からは遼寧空母任務集団が台湾周辺で演習を通常の形で展開すると4月5日に発表があった。その後の報道は同空母集団が南シナ海まで展開し追加演習を行ったことを示している。■

 

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China's Liaoning aircraft carrier group crosses Miyako Strait, patrols Diaoyu Islands, 'warning to Japan'

By Liu Xuanzun

Published: Apr 28, 2021 08:28 PM

 

HMSクイーンエリザベス空母打撃群は5月出港し、アジア太平洋へ進出。日本含む40か国歴訪する。米海兵隊と英空軍F-35B混成部隊を搭載。

  

USSジェラルド・R・フォード乗組員がHMSクイーン・エリザベスを見ている。両艦は大西洋を航行した。Nov. 25, 2019.ANGEL THUY JASKULOSKI/U.S. NAVY

 

 

リゾナに配備中のF-35BライトニングII戦闘機隊がインド太平洋地区へ展開の準備に入った。各機は英海軍空母に搭載される。米海兵隊が4月27日に発表した。

 

英国最新の空母HMSクイーンエリザベスは随行艦艇と来月ポーツマスを出港し、インド、日本、南朝鮮、シンガポールなど40か国を歴訪すると英海軍は4月26日発表している。

 

同空母に搭載されるF-35Bはアリゾナ州ユマの211海兵隊戦闘攻撃飛行隊「ウェークアイランド・アヴェンジャーズ」と英空軍617飛行隊「ダムバスターズ」との発表があった。

 

日本の防衛省は27日に発表内容を歓迎しながら、在日米軍はF-35Bが日本で具体的に何をするかについて詳しく述べていないものの、日本に配備がぞ供されている第五世代機材の一部に加わることは確かだ。

 

米海兵隊211戦闘攻撃飛行隊のF-35BライトニングIIがHMSクイーンエリザベスの飛行甲板に現れた。Sept. 28, 2020.ZACHARY BODNER/U.S. MARINE CORPS

 

海兵隊は昨年10月に海兵隊岩国航空基地の配備部隊を交代し、242海兵隊戦闘攻撃飛行隊がF-35Bを運用する二番目の海外駐留飛行隊となった。初の飛行隊は121海兵隊戦闘攻撃飛行隊で岩国に2017年1月到着していた。

 

日本は通常型のF-35Aを三沢基地で運用中で、最終的にF-35Aを105機、F-35Bを42機調達し、後者はヘリコプター空母いずも、かがの両艦で運用すべく、現在改修工事中だ。

 

ユマ基地配備のF-35B隊は英国で空母配備前の最終テスト中と海兵隊が発表している。米英両国混成部隊が空母搭載第五世代機部隊として最大規模の戦力を実現すると声明文にある。

 

クイーンエリザベスは排水量65千トンと、横須賀海軍基地を母港とするUSSロナルド・レーガンよりかなり小さい。

 

同空母とあわせ、HMSダイアモンド、HMSディフェンダーの両駆逐艦、フリゲートはHMSリッチモンドとHMSケント、アスチュート級原子力潜水艦一隻、支援艦RFAフォートヴィクトリア、RFAタイズスプリングで打撃群を構成する。

 

なおオランダ海軍のフリゲートHNLMSエバーツェン、米海軍駆逐艦USSサリバンズも同打撃群に加わる。■

 

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Marine Corps F-35B fighters prepare for Indo-Pacific deployment aboard Royal Navy carrier

 By SETH ROBSON | STARS AND STRIPES

Published: April 28, 2021

 


台湾が潜水艦国内建造に乗り出し、戦術・戦略地図はこう変わる。日米など同盟国も台湾の自助努力を見て、台湾支援へ動きやすくなる。そうなると中国には不利な状況が増えるばかり。

 

 

湾の潜水艦建造は大歓迎だ。

 

米国政府が台湾向け潜水艦の艤装兵装品輸出に課していた制限を解除したため建造が可能となった。台湾国内の建造所で8隻建造し、海外提携先がセンサー、戦闘システム、兵装を技術支援とともに提供することになりそうだ。末広がりで縁起の良い八隻がそろえば、現有の老朽艦2隻、旧式化が進む2隻にかわり、政治戦略的な効果を台湾にもたらす。

 

台湾は自国の運命を自らの手で開くことが可能となる。なんといっても世界では自助努力をする側が救われる構図となっている。賢明な社会は自らの手で安全と権益を守る傾向があり、頼りにならない海外同盟国に任せることはない。

 

自助努力が国際関係の基礎となるかは人間の特性を見ればわかる。ジョージ・S・パットン将軍は人間観察に優れ、人は勝者には惜しみない賛辞を送り、敗者には軽蔑を送るものと述べた。実際その通りだ。勝ち目のない側にわざわざ寄り添うものがいるだろうか。

 

ウィンストン・チャーチルの下で英国は1940年から1941年にかけ枢軸側に単独立ち向かう状態となったが、勇気を示した。それだけの価値があった。台湾の潜水艦部隊は英国の戦いにおける英国空軍に匹敵する。台湾海軍(中華民国海軍ROCN)は本国をめざす敵部隊の接近を拒みつつ、同盟諸国による台湾支援に勢いをつけるだろう。

 

軍事の賢人カール・フォン・クラウゼビッツは優先事項が競合すれば同盟軍は集中できなくなると述べている。相互に支援しあっていても対象国の主張を自国のものととらえなければ効果が生まれない。中途半端な対応のまま外交、経済、軍事各面で資源を使ってしまう。

 

事態が悪化すると、体力のない同盟国が姿を消すことになるとクラウゼビッツは警告していた。台湾住民はこの現象を骨身にしみて知っているはずだ。外諸国には台湾防衛にかけつけないよう中国本土が外交、経済、軍事で露骨な脅かしで求めているからだ。

 

このため台湾は台湾海峡をはさむ強大な兄弟国に対する防衛体制を自らの手で強化する必要がある。海軍作戦に関しては、「制海」から「海上拒否」戦略に移行することである。制海とは強者の戦略だ。制海任務にあたる海軍部隊は対抗勢力を重要水域から排除し、兵力展開の航路を制御するべく水域を確保する。

 

かつては台湾海軍も制海任務を目指し、実際にその実現の好機があった。装備人員で優秀性があったため、規模こそ大きいが遅れた人民解放軍海軍に対抗する立場にあった。だがそうした日々は回想のかなたとなり、中国はハイテク軍艦軍用機を大量生産能力を手にし、沿岸には強力な支援火力を整備している。

 

端的に言えば、台湾海軍は近隣水域さえも統制できず、海洋支配の再確立の可能性は皆無に近い。だからといって台湾が敗北にむかっているわけではない。自国防衛のためROCNは台湾周辺のPLANによる支配を打破しようとするはずだ。揚陸部隊を撃破し、封鎖をうちやぶり、海上輸送を寸断すれば、同盟国なかんずく米国が救援にかけつける時間をかせぐことができ、中国による侵攻を食い止めることができる。

 

海上拒否は昔からある戦略で弱者のものだ。巧妙に運用すれば敵部隊には暗い一日になる。歴史家セオドア・ロップは世紀末のフランス海軍を観察し、弱小ダビデが巨人ゴライアス(英海軍)に勝つためには巨人の沿海地区で移動の自由を奪えばよいと考えた。

 

ロップの海上拒否構想には今も魅了するものがあり、ディーゼル潜水艦に「大気非依存型推進」が搭載され、探知困難なまま海中待機できるようになった。高速警戒艇は水上交通にまぎれ、混雑する沿海部を気づかれずに移動できる。

 

洋上あるいは水中から魚雷攻撃や対艦ミサイルを発射し、侵攻部隊の接近に対抗できる。また無人機、無人艇、無人潜水艇を併用できる。混みあった台湾海峡でこうした装備から攻撃を受ければPLANは反撃が難しく、対応に使える時間も限られる。

 

近代海戦では一隻の小舟艇でさえ敵の戦略に打撃を与えられる。英海軍とアルゼンチン海軍で1982年のフォークランド戦争でこれを学んだ。英海軍の原子力攻撃型潜水艦がアルゼンチン海軍の誇り巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノを撃沈した。だが英海軍任務部隊は遊弋するアルゼンチン潜水艦一隻のため対潜装備をほぼ全数投入したものの排除できなかった。台湾海軍の技量はアルゼンチン海軍以上とみる向きがあろう。ROCNが米国や西側装備品、戦術、知見を活用できるためだ。ROCNが水中戦を有利に展開すればPLANの作戦展開を妨害でき、台湾は有利になる。すべて理想通りになれば台湾近海への侵入そのものを防げるはずだ。

 

そこで潜水艦の連続建造が台湾の目的にかなうことになる。8隻を新規建造し、旧型艦を退役させる。訓練、維持、整備を順当に行えば常時三隻ないし四隻が出撃可能になる。各艦に戦略的価値が生まれる。海軍は哨戒活動を常時展開し、乗員の戦術対応能力を磨きながら、潜水艦部隊が停泊中に奇襲攻撃で壊滅する事態を回避できる。

 

台湾海軍にこれ以外にも海上拒否の手段があるのだろうか。海上拒否は防御的に見えるが、実は攻撃戦術も含まれる。攻撃が戦略的防御の中心であることは海洋戦略の大家も認めるところだ。ROCN潜水艦部隊は、高雄などの沖合で哨戒任務にあたるが、こうした地点は揚陸強襲作戦の対象になりかねない。あえて攻撃されるのを待ってから反撃を強烈に加える作戦だ。

 

潜水艦艦長に攻撃精神が旺盛なら中国本土の港湾地点沖合まで移動して海中に潜むことも可能だろう。あるいは台湾海峡周辺に待機する。ルソン海峡がPLAN潜水艦の西太平洋、南シナ海への重要な移動経路で、ここをふさげば大きな効果が生まれる。台湾北部の宮古海峡も潜水艦の狩場になりそうだ。

 

中国が第一列島線から自由に動けなくなれば台湾の東海岸が安全になる。そうなれば台湾軍は中央部防衛に集中し、米軍も同盟諸国と第一列島線に展開し、PLAの海上作戦に大きな障害が生じる。

 

政治面の効果はこうなる。ROCNにより台湾の戦略価値が高まり、全体としての同盟国側戦略にも弾みがつく。同時に米海軍、海上自衛隊といった同盟国部隊に台湾防衛に手を貸す大義名分が生まれる。同盟国側は共通の大義名分のもと団結できる。台湾が自助努力で存続をかけ努力する姿が他国からの支援につながる。好循環が生まれる。

 

就役艦が増えれば、目標実現がそれだけ早くなり、よいことづくめだ。他方で各国潜水艦部隊間で戦術、訓練、水域管理を共有する議論を静かに始めるのは早ければ早いほど良い。

 

台湾の水中戦力増強問題はつまるところ新型潜水艦調達になる。多国間部隊で水中戦技術を磨こう。ともに前進したいものである。■

 

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The Need for Taiwan's Forthcoming Submarine Program Is More Than Pressing

April 27, 2021  Topic: Submarines  Region: Asia Pacific  Blog Brand: The Reboot  Tags: TaiwanMilitaryTechnologyWorldSubmarinesChina

by James Holmes

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College, coauthor of Red Star over the Pacific, and author of A Brief Guide to Maritime Strategy. The views voiced here are his alone.

Image: Reuters. 


2021年4月28日水曜日

ペルシア湾で米海軍がイランに警告射撃を加えた。トランプ政権時には急減した革命防衛隊による威嚇行為がバイデン政権になり再び増加傾向へ。イラン首脳部は革命防衛隊を制御しきれていないのか。

 An image the US Navy released from an incident in which the Cyclone class patrol craft USS Firebolt fired warning shots at Iranian boats in the Persian Gulf of April 26, 2021.

USN

 

 

海軍はサイクロン級警戒艇USSファイヤーボルトがイラン小舟艇3隻に警告弾を発射したと発表。ペルシア湾で昨日発生した。これと別にイラン革命防衛隊の別の小舟艇がやはりペルシア湾で米沿岸警備隊カッターに嫌がらせ行為を働いたとも発表している。

 

ファイヤーボルトは沿岸警備隊のUSCGCバラノフとともに4月26日現地時間午後8時ごろから航行していた。海軍は接近してきたイラン側舟艇の型式等に触れていないが、イラン革命防衛隊(IRGC)が各種小舟艇を運用していることは周知の事実だ。

 

USN

A stock image of the USS Firebolt.

 

 

イラン小舟艇は「国際法上で必要とされる他の船舶への安全維持義務を逸脱し、公海上の米海軍艦艇に接近してきた」と米海軍は声明文を発表。「IRGCN(イラン革命防衛隊海軍)の武装高速艇が急速に米海軍警備艇USSファイヤーボルト(PC 10)及び米沿岸警備隊警備艇USCGCバラノフ(WPB 1318)に意図不明なまま非必要に接近し、最接近時には米艦から68ヤードまで近づいた」

 

「米乗員は無線交信で警告を数回にわたり送り、拡声器も使ったがIRGCN舟艇はそのまま接近を続けた」と声明文は続ける。「ファイヤーボルト乗員はそこで警告弾数発を発射すると、IRGCN舟艇は方向を変え、安全距離をとった」

 

米海軍は使用した武器の種類に触れていない。サイクロン級の主要兵装は25mm自動機関砲二門だが、その他小口径幾何陰獣、自動手りゅう弾投射装置もあり、他にもAGM-176グリフィン精密誘導ミサイルがある。

 

「今回の遭遇を通じ米側は積極的にIRGCN舟艇に交信を試み、事前設定の対応手順に従い、誤解によるリスク低減、衝突回避、状況の危険度低下を図った」「米側海軍艦艇は警戒を維持しつつこうした事態に冷静に対応する訓練を受けており、自艦の防御に必要な行為を取る権利を行使できる」

 

「IRGCNの行動は誤解や衝突のリスクを増やし、国際海上衝突回避規則(COLREGS) 、海上交通の慣習にも反するものだった」「さらにIRGCN側の行動は国際法を無視し、海上交通の安全義務にも反するものだった」(米海軍)

 

US ARMY

A stock image of the USCGC Baranoff.

 

この事件に先立ち、4月2日に同様の事象が沿岸警備隊アイランド級警戒艇とハース55級双胴船シャヒド・ナゼリ含むIRGCN小舟艇の間で発生していた。

 

前回の事件でも海軍がイラン側に警告弾含め発砲したかは不明だ。2017年には別のサイクロン級警戒艇USSサンダーボルトがIRGCN舟艇に警告弾を発射している。

 

昨年は警告弾発射は一回も発生していないものの、イラン舟艇が大挙して米海軍、沿岸警備隊をペルシア湾内で妨害していた。この後、ドナルド・トランプ大統領から米海軍に対し、今後イラン武装艇が海上で米側へ嫌がらせ行為に出れば、射撃し排除する命令が出ていた。トランプ大統領は交戦規則の変更ではないと同日中にツイッターで明らかにしていた。

 

今回の事件と対照的なのは2016年1月の事案で、米海軍の小舟艇二隻の乗員がイラン領海に侵入しIRGC部隊に投降した。この事態は15時間後に米乗員が解放され解決を見た。米政府はイランへの公式謝罪は否定したが、イランはこれを宣伝工作に利用し、バラク・オバマ政権批判を繰り広げた。

 

イランにはペルシア湾内で米艦艇への嫌がらせ行為を繰り返す実績があったが、トランプ政権になり急減していた。理由は不明だ。その他のイランによる挑発行為に民間船舶拿捕、無人機による威嚇飛行があり、こうした行為は今も続いている。またイランによる、あるいはイランが支援する形でオマーン湾で石油タンカーを攻撃している。

 

2019年にはIRGCが米海軍RQ-4A広域海上監視機能実証機(BAMS-D)をオマーン湾上空で撃墜し、米イ両国が交戦寸前になった。イランが無人機とミサイルでサウジアラビアを同年後半に攻撃した際に米政府はイランを非難した。その後、米軍がカセム・ソレイマニ将軍をIRGCクッズ部隊司令官としてイラクで殺害する事件が2020年1月に発生し、イランは報復として弾道ミサイルでイラク内の米軍を攻撃した。

 

ジョー・バイデン政権はイランと間接交渉を狙い、イラン核開発をめぐる多国間交渉に復帰もめざしている。この関連でイラン側はトランプ政権時の制裁措置で緩和をバイデン政権に求めている。バイデンはイラン交渉復帰の前提として制裁緩和は考えていないと強調するものの、ここにきて柔軟性を示す兆候があるとの報道がある。

 

交渉での立場強化を狙いIRGCの一派が働いている可能性があり、米国との協調を図ろうとする勢力の足場を崩そうというのだろう。イラン首脳部がIRGC活動をどこまで制御できているのか疑問も生まれている。

 

「IRGC海上部隊の活動はイラン最高指導者の指令によるものとは限らない。むしろ地方指導部の無責任な行為によるものだ」と米中央軍司令官フランク・マッケンジー海兵大将がコメントしている。「挑発の罠に落ちてはいけないと慎重に対応している。当方の各員が優秀なことに助けられている。緊張拡大を避ける能力が備わっている」

 

IRGC内部に状況悪化を望む勢力があるのは明らかだ。■

 

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The incident took place yesterday and is the second instance of Iranian boats harassing American military vessels in less than a month.

BY JOSEPH TREVITHICK APRIL 27, 2021

 

Contact the author: joe@thedrive.com


2021年4月27日火曜日

歴史に残る艦(4) USSレキシントン、珊瑚海海戦で戦没したが、現在の超大型空母の出発点となる艦だった。

 

歴史に残る艦(4)USSレキシントンは今日のスーパー空母の祖先だ

 

 

2018年3月4日、慈善家ポール・アレンの資金援助で空母USSレキシントンの痛々しい姿が珊瑚海の深度2マイルで発見された。初の艦隊型航空母艦として米海軍に就航したレイディ・レックスは史上初の空母対空母対決で撃破され、海底の墓地に76年もの長きにわたり眠っていた。

 

独立戦争諸端のレキシントン会戦にちなむ米海軍軍艦として5番目の艦がUSSレキシントンだった。姉妹艦サラトガとともに巡洋戦艦として企画された。しかしながら、建造は第一次大戦で遅れ、さらに1922年のワシントン海軍条約の制限対象となった。

 

当時建造は四分の一程度進展していたが、米海軍は廃艦せず、二隻を空母に改装することとした。費用は各艦28百万ドルについた。当時生まれたばかりの空母は第一次大戦中にめぼしい活躍がなく、条約では各国は排水量33千トン以下の空母を二隻まで保有できた。

 

米海軍は初の空母USSラングレイ(排水量14千トン、給油艦を改装)で空母運用を経験済みで、レキシントン、サラトガはこれに対し全長270メートル、36千トン(条約違反である)と相当大きな艦容で、「アイランド」上部構造を導入し、艦橋と航空機管制塔機能を一つにまとめ、今日に続く形状の先駆けとなった。海軍二番目の空母としてCV-2の艦番号がつき、偵察、爆撃、雷撃、戦闘の各飛行隊VS、VB、VT、VFを搭載した。

 

レキシントンの鉱区格納庫は3平方キロの広さがあり、当時最大の広さを誇り、80機から110機の航空機をエレベーター2基で移動させた。飛行甲板には拘束ワイヤーを巡らせ、機体着艦時に利用した。同艦は「耐雷撃装備」を特徴とし、膨大な量の航空燃料が爆発しないように区画を隔離していた。

 

「グレイレイディ」と呼ばれた同艦には巡洋戦艦の名残も残り、装甲帯には7インチの厚さがあり、対艦攻撃には8インチ砲連装が4門あったが、射撃で飛行甲板に影響が出る恐れがあった。さらに5インチ対空砲で補強し、機関銃多数を備えた。

 

レキシントン、サラトガ両艦は1927年就役し、太平洋で演習に動員された。その時点で空母が実戦に投入された事例はなく、海軍は三隻そろった空母の使い道を模索していた。ここから偵察機を順次発艦させ、連続で行う戦闘航空哨戒(CAP)の概念が生まれ、敵偵察機を排除し、敵空母の位置をつかみ、これを撃破する作戦につながった。レキシントンの艦載機は少なくとも三回にわたり真珠湾を「奇襲」した。演習の教訓が生かされなかったのは明白だ。

 

演習の合間にレキシントンはターボ電気発電機能でワシントン州タコマに一カ月にわたり給電した。同市は干ばつで水力発電が使えなくなっていた。また、1931年に地震被害を受けたニカラグアへ物資輸送した。さらに、洋上燃料補給実験にも使われ、これが第二次大戦中で広く用いられた。

 

サイエンスフィクションの巨匠ロバート・ハインライン(スターシップトルーパーズ、異星の客等)はレイディレックスに通信士官として勤務し、艦内コンテストで短編小説を書いたが選外となった。若い少尉として艦長アーネスト・キングの娘とデートした。キングは大戦中に海軍作戦部長をつとめた。

 

大戦初期の運用実態

 

日本が真珠湾奇襲を実行した際にはその他米空母と同じく被害を免れた。フレデリック・シャーマン艦長の指揮下でウェイク島守備隊援護を試みたが同島はその前に陥落し、同艦は日本潜水艦との遭遇を警戒していたのが1942年1月の状況だった。

 

大戦勃発時のレキシントン艦載航空部隊はとても最強と言えない陣容で、時代遅れの機体のF2Aバッファロー戦闘機(海兵隊パイロットは「空飛ぶ棺桶」と呼称)、不運の三人乗りTBDディヴァステイター雷撃器は時速206マイルの低速で敵機や火砲の絶好の標的となり、装甲も薄く、勝ち目のない機材だった。

 

とはいえ、二人乗りSBDドーントレス急降下爆撃機隊は良好な戦績を残した。装甲貫徹1000ポンド爆弾を急降下中に比較的正確に投下できた。同機も250マイルと低速だったが、敏捷性を生かし、緊急時には防空任務にも投入された。

 

レキシントンは間もなくバッファローをグラマンF4Fワイルドキャットに交代させた。同機は330マイルの最高速度を誇った。ずんぐり形状で青色塗装の同機は敵のA6Mゼロ戦闘機より機敏性、速力で劣ったものの装甲と降下速度を生かし奮戦できた。

 

さらに真珠湾攻撃五カ月前に第一世代レーダー装備CXAM-1が搭載され、ワイルドキャット隊を助けた。50から100マイルを走査し、海上目標の探知は12マイル有効だった。同レーダーにより米空母部隊は敵襲を直前で警戒できた。

 

1942年2月にレキシントンはニューブリテン島ラバウルの日本軍基地攻略に出撃した。日本飛行艇に発見されたため奇襲攻撃は失敗した。戦闘機隊が飛行艇2機を撃墜したものの、海上位置を通報された。シャーマン艦長は攻撃を断念し、そのまま洋上にとどまり、日本機をひきつけ、これを撃破する作戦に変更した。これは危険な賭けで、敵機がレキシントンCAPを潜り抜ければ、初の喪失空母になるおそれもあった。

 

実際にレキシントンのレーダーはG4Mベティ双発爆撃機(一式陸攻)の9機(第四航空隊所属)が西から接近するのを4:25p.m.に探知した。慌ててワイルドキャット隊19機さらにSBDまで動員し発艦させ迎撃させた。

 

迎撃隊が空戦を展開する中、15分後にさらにベティ8機がレーダーでわずか12マイル東方に探知された。発艦可能なワイルドキャットはわずか2機、しかもうち一機の機関銃はすぐに詰まってしまった。

 

残るワイルドキャットはエドワード・「ブッチ」・オヘア大尉が操縦し、劇的な成果を上げた。オヘアは三機を撃墜し、三機を損傷させた。これだけの戦果をオヘアは.50口径450発で達成した。

 

それでも残るG4M隊は必死にジグザク航行するレキシントンに爆弾投下したが一発も命中しない。一機は体当たり攻撃まで試みたがこれも成功しなかった。帰投できたG4Mは3機のみで、ワイルドキャットに2機喪失が発生した。オヘアに名誉勲章が授与され、ワイルドキャットのメーカー、グラマンからはタバコ数千箱が贈られた。自身は1943年にG4Mとの夜間空戦で友軍の誤射を受け撃墜されたが、1949年にその名がシカゴ空港につけられた。オヘア国際空港である。レキシントンは日本軍偵察機を振り切り、3月10日に攻撃隊を発艦させ、パプアニューギニア沖で日本軍輸送艦3隻を撃破した。

 

16日後、同艦は真珠湾に戻り、8インチ砲を撤去し、代りに高速射撃可能な対空砲を搭載した。ついに海軍も大型砲よりも遠隔地を攻撃可能な航空隊を運用し、航空機で艦を防御する方が重要と理解するに至った。

 

直後の5月にレキシントンは初の空母対空母の対決となった珊瑚海海戦で没することになったのである。■

 

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Meet the USS Lexington: America's Original Supercarrier

by Sebastien Roblin

 

April 26, 2021  Topic: Aircraft Carriers  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: LexingtonCarrierAircraft CarrierU.S. NavyWorld War IIFighterJapanMilitaryTechnology

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.