2022年1月31日月曜日

NATOの屋台骨のはずのドイツがウクライナ支援にどっちつかずの態度をとるのは、ガスパイプラインが念頭にあるためか。何も決められない連立政権の弱点を露呈しているのか。

 

German Leopard 2 Tank. Image Credit: Creative Commons.

 

 

ドイツが防衛装備をウクライナに送らない背景にガスパイプラインがあるのか?

 

2022年1月24日、ジョー・バイデン大統領は、ウクライナにおけるロシアの侵略に対し、NATOと西側諸国指導者は結束していると述べた。しかし、他の西側諸国が東ヨーロッパとバルカン半島に防衛兵器を送っているにもかかわらず、オラフ・ショルツOlaf Scholz首相率いるドイツ政府は拒否しており、他のNATO諸国と全く対照的だ。

 

 

ドイツは何をしようとしているのか?

 

西側指導者たちは、同盟のコンセンサスを破るドイツを不思議に思っていたが、答えは、ドイツのエナジー需要の大部分を供給するロシアのガスパイプラインかもしれない。

 

ドイツは、ウクライナに旧ソ連設計の122ミリD-30榴弾砲を売却するエストニアを阻止するまでに至った。この行動により、その他西側諸国やNATOでは、ウクライナにおけるロシアの侵略を抑止するためドイツがどこまでコスト負担し、また、西ヨーロッパで最も豊かで最大の民主国家のドイツが、今後どこまで信頼できるパートナーになれるのかを見極める必要が生じている。

 

しかし、ショルツ首相は、政府がエストニアの榴弾砲売却を否定したことはないとし、自国はNATOおよびEUの同盟国とロシアのウクライナ侵略に反対する立場だと主張している。

 

「心配するような事態が発生した場合、ドイツは共同行動する」とメディアに語った。「高い代償を払わせることになる」と述べた。

 

しかし、ドイツ政府は、ウクライナへの武器供給は、状況を悪化させるだけと考えている。12万7千人超の部隊でウクライナを三方から囲むロシアと同じ姿勢だ。

 

その代わりドイツは、クリスティーネ・ランブレヒトChristine Lambrecht国防相によると、医療病院をまるまる一個2月にウクライナに派遣する。

 

国防相はDie Welt紙日曜版の取材で、「完全な形の野戦病院が引き渡され、ドイツが530万ユーロを負担する」とし、「武器提供は役に立たない。それが連邦政府の総意」と付け加えた。

 

ドイツはNATOや西側諸国へ複雑なシグナルを送っている。ロシアのウクライナ侵攻に対しNATOと結束していることは明らかだと述べる一方で、ドイツの軍事責任者はロシアとプーチン大統領に明らかに共感している発言をした。

 

1月21日にインド訪問したドイツ海軍のトップ、ケイ・アキム・ションバッハKay-Achim Schonbach中将は、プーチンが「本当に望むのは尊敬だ」と述べ、「尊敬を与えるのは簡単なことで、やる価値はある」とも付け加えた。

 

その後、ションバッハはTwitterで、自分の発言は 「明らかな間違い」と謝罪し、翌日に辞任した。その後、ドイツ国防省は、ションバッハ中将発言について、「国防省の立場と一致しない」とし、ダメージコントロールを図った。

 

ウクライナは、ドイツが武器供給協力を拒否したのを「受け入れがたい」とした。アンドレイ・メルニクAndrij Melnyk駐ドイツ大使は、日曜日紙「ハンデルスブラット」取材で援助の必要性を訴えた。

 

大使は「事態は深刻で、ウクライナへの武器供給問題をドイツ政府は直ちに再考し、軌道修正することが必要だ」と述べた。

 

「いかにも恩着せがましい態度は、ウクライナ人が人間以下の存在として扱われていたナチス占領時代の恐怖を思い出させる」とも述べている。

 

ドイツがウクライナに武器を送らない理由

ドイツがウクライナへの武器供与に消極的なのには、要因が2つある。ひとつは、ドイツの乱高下激しい歴史だ。ナチス・ドイツ政府は第二次世界大戦中にヨーロッパの大半を侵略し、ウクライナとソビエト連邦の広範囲を占領した。ドイツ人は安全保障に関して消極的だ。その結果、ドイツはモスクワと対峙するより、むしろ宥和しているように見える。

 

そして、天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」が大きな要因ではないか。ドイツは、再生可能エナジーや代替エナジー移行に伴い、天然ガス依存度を高めている。ドイツは最後まで残った原子力発電所3か所を停止し、2030年までに石炭を完全に廃止する計画だ。そのため、ロシアと天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」に依存することになる。

 

信頼できる貿易相手ではないと他のヨーロッパ諸国にわかればロシアは交渉で不利になるのでパイプラインを止めることはないとドイツ側は考えている。

 

しかし、その他多くのヨーロッパ人やドイツの野党議員でさえ、政府のやり方は大きな間違いと感じている。保守派議員ノルベルト・レトゲンNorbert Röttgenは、西側諸国の結束にドイツは不可欠とし、「プーチンの目標はヨーロッパを分裂させ、ヨーロッパとアメリカを分裂させることだ」と述べた。 

 

「NATOの強力な対応にドイツが全面的コミットしていないとの印象が広まれば、プーチンはヨーロッパを麻痺させ、同盟を分裂させることに成功するだろう」と述べた。

 

欧州のNATOで最大のパートナーたるドイツは意見一致をうたうものの事態をうやむやにしているようだ。■

 

Why Germany Won't Send Military Arms to Ukraine - 19FortyFive

BySteve Balestrieri

 

 

Steve Balestrieri is a 1945 National Security Columnist. He has served as a US Special Forces NCO and Warrant Officer before injuries forced his early separation. In addition to writing for 1945, he covers the NFL for PatsFans.com and his work was regularly featured in the Millbury-Sutton Chronicle and Grafton News newspapers in Massachusetts.

 


中国の対艦弾道ミサイルで脆弱化した空母に代わり、米国の対中攻撃の切り札はB-21レイダーに。

 



米海軍が太平洋方面で中国対応に取り組んでいるが、大きな効果を上げるのは空軍のB-21レイダーだ。


軍はここ数年にわたり航行の自由作戦(FONOPS)の実行頻度を南シナ海で増やしている。太平洋での活動強化は交通量の多い海域で不法な主権主張を止めない中国を念頭に置いたものだ。


南シナ海での権益をめぐる競合状態


ヴィエトナムとフィリピンの間に広がる南シナ海には各国の領有主張が重複しているが、国際法や慣習が背後にある。つまり、経済的排他水域の200マイルという従来の常識を超えて数千マイルを自国海域と主張する中国はまったく別個の存在であり、人工島構築まで行い実効支配を続けている。



中国は主張の根拠に歴史の史実があるというが、国際法廷はこうした主張は法の裏付けがないと一蹴している。これに対し、中国は海軍力を拡大し、沿岸警備隊のみならず海上民兵にも艦船を整備している。域内に中国は数百隻を展開し、他国の侵入を物理的に阻止しようとしている。このためヴィエトナムの海上油田は同国領内にあるにもかかわらず封鎖を受け、漁民は同国の経済排他水域から追い出され、太平洋の関係国のみならず遠くヨーロッパ各国も緊張の度合いを高めた。


ここに航行の自由作戦が加わった。南視界でのFONOPsは中国が自国領海とみる海域で軍艦を航行させることで、中国以外は国際海域と理解している海域だ。米国等がこの作戦を実行しており、国際規範の強化をめざし、中国の不法な主張に物理的な否定を加えようとするものだ。ただし、中国と世界有力国の間に緊張が高まる中で、極超音速技術で中国に有利な状況が生まれそうになってきた。


中国の極超音速対艦ミサイルが深刻な脅威となる


中国には膨大な数の弾道ミサイル巡航ミサイルがあるが、極超音速ミサイルが加わった。極超音速をめぐる軍備レースが始まっており、中国、ロシア、米国に加え日本がマッハ5超の極超音速ミサイルの配備を急いでいる。


中国のDF-17やCM-401ミサイルの驚異的な速力では迎撃がほぼ不可能で、膨大な運動エナジーによる破壊効果が生まれる。言い換えれば、こうしたミサイルがあれば、水上艦艇は運動エナジーの効果だけで撃破されうる。ここに弾頭がつけばさらに破壊力が増す。


CM-401は短距離対応とみられるが、DF-17は極超音速で中国沿岸からの有効射程は数千マイルといわれる。これだけの距離だと信頼度の高い標的捕捉が難関となるが、中国は超音速無人機で敵艦の標的データを入手し、飛翔中のDF-17に送るはずだ。


極超音速ミサイルで米空母部隊は無力化するのか


米海軍なかんずく米国自体はニミッツ級フォード級超大型空母による兵力投射効果に依存する。各空母は航空機多数と乗組員数千名により空母打撃群として一国の戦力を上回る攻撃力を展開する。しかし、中国にとって空母は極超音速対艦ミサイルの格好の標的となる。


F/A-18スーパーホーネットおよびF-35C共用打撃戦闘機の戦闘行動半径は500マイルにすぎず、米空母が中国沿岸に接近すれば極超音速ミサイル攻撃のリスクを冒すことになる。現在、空母攻撃力の有効範囲を拡大する改善策があるが、つなぎ策として実戦で有効かもしれないが、中国の極超音速ミサイルへ真正面から対抗する手段にはなりえない。


B-21の深部侵攻を中国は探知できない


そこで空軍の出番だ。最新鋭ノースロップ・グラマンB-21爆撃機は2020年代中ごろに運用開始となると見られ、史上最高のステルス爆撃機となる。ノースロップ・グラマンはB-21関連の極秘内容をうまく守っているが、以下想像するのは無理がないはずだ。新型爆撃機は探知を逃れ、グローバル規模での爆撃作戦を展開でき、中国相手のハイエンド戦を主導する。


F-35Cも中国沿岸に展開するミサイル陣地に接近して探知を回避できそうだが、航続距離が不足し、標的に到達できず、破壊したとしても帰投できない。だがB-21ならすべて可能だ。


軍事力を助ける外交努力


新型機の登場で国際紛争への対応で新たな意味が二つあらわれる。B-21で実現する戦闘能力の価値がまずある。つぎに外交力への影響だ。「ビッグ・スティック外交」とのテディ・ローズベルトの「穏やかに話しつつ、太い棒を持ち歩く」原則による国際関係への対処で基礎となる。


極超音速ミサイル出現までUSSセオドア・ローズベルトのような超大型空母が米国の「ビッグスティック」だった (US Navy Photo)



太い棒がないまま、やさしい口調で外交相手に話すのでは大きな成果は得られない。だが、B-21のような太い棒があれば敵も耳を傾けざるを得なくなる。B-21レイダーで極超音速対艦ミサイルが無力化されるとあれば、中国に残る選択肢は二つしかない。米国のブラフだと一蹴して開戦する。あるいは米新型爆撃機の優位性を認め、交渉の席でおとなしくすることだ。


William Allen Rogers’s 1904 cartoon courtesy of WikiMedia Commons


世界経済では米国、中国両国の市場に依存度が高く、開戦に踏み切れば両国ともに利益を得ることにならないが、戦争の構えを維持することで効果が生まれる。中国は対艦兵器で対外交渉で有利となり、外国の主張を無視できる。他方でB-21レイダーはこれまでの力の分布を均等化させ、高レベルの協力を強いる効果を生む。


ただ克服すべきハードルは残る。まず中国の高性能対艦装備の所在を把握する必要がある。米国は中国国内の情報網で再編が必要だ。2010年から中国はCIAの通信内容にアクセスし、国内のCIA協力者をつきとめ処刑している。中国国内での米情報収集能力が低下した。極超音速兵器を突き止めるためには偵察能力とあわせ人的情報集でCIAの努力が必須だ。


B-21 レイダーが米中戦争で先陣を切る


対中関係が悪化して開戦となれば、米国にとって中国本土への地上部隊侵攻は検討外となり、中国に有利な状況が生まれる。かわりに米国は海上戦闘を続け、中国のグローバル経済へのアクセスを止め、B-21は真っ先に投入され対艦ミサイルの破壊をまず行い、その後は中国の防空体制を叩き、友軍機で軍事経済基盤を狙い、中国を屈服させる。


米海軍が新型艦載戦闘機で戦闘行動半径を画期的に伸ばすまでは中国は対艦ミサイルで有利な立場を維持できる。だが、B-21の実戦化で、現在の中国の優位性は短期に終わるだろう。■

 


How the B-21 Raider could shift power in the Pacific - Sandboxx


Alex Hollings | April 8, 2021


 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2022年1月30日日曜日

空母運用中のF-35C機体表面の汚れが気になる。レーダー吸収塗装が厳しい環境で劣化しているのだろうか。ステルス性能に影響は出ていないか。

 

USN

 

(メディア関係者の皆さんへ。F35Cではありません)

 

初の艦上運用に投入されたF-35Cの機体表面に錆のような付着物が見られる。

 

海軍のF-35Cステルス戦闘機はUSSカール・ヴィンソン艦上からの水没事故もあり、注目を集めているが、初の海上作戦運用で著しい劣化摩耗が現れている。レーダー吸収剤を塗布した機体表面は以前から環境条件に弱いと指摘されていた。

 

F-35のレーダー吸収剤(RAM)の整備性は大幅に改良されたはずだが、F-35C初の作戦投入での直近の画像を見ると、厳しい海上環境での塗装整備が本当に軽易になっているのか疑問が生じる。

 

ペンタゴンの国防映像情報配信サービス(DVIDS)で公開された最近の写真では打撃戦闘機飛行隊147(VFA-147)「アーゴノーツ」がニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン(CVN-70)艦上で運用する機体で表面に劣化が進んでいることがわかる。写真は今月、同艦がフィリピン海を航行中に撮影されている。

 

空軍で供用中のF-35では見られない、表面に赤っぽい筋や汚れが海軍機の機体、主翼、尾翼に見られる。錆のようにも映る。

 

錆は機体の鉄、鋼で発生するが、複合材では起こらない。ただし、RAMは塩水に長く露出されると同様の現象があらわれる。F-35のRAM成分は極めて固く守られる秘密だが、主成分に鉄分がステルス技術初期から投入されていることが判明している。

 

U.S. NAVY

 

半年ほど海上展開したF-35Cが若干劣化しているのは間違いないが、赤茶色い汚れの原因は機体そのものに影響がなく、機体表皮の酸化もステルス性に大きな影響を与えない可能性がある。ただし、B-2やF-22など過去のステルス機で、低視認性処理が時間経過で劣化し、ある閾値に達するか、運用上の懸念から必要になった時点で、最適状態に戻すため補修が行われていることは注目に値する。

 

また、今回のF-35C型による初の空母運用展開の準備中に、ジェット機表皮の回復力が問題のひとつに挙げられていた。空母艦内でのステルス機の繊細な表皮の手入れは、陸上基地と同じだが、予備品や整備の専門家、専門工具が大量にない海上で重要な整備作業を行わなければならない場合は、より複雑な作業となる。さらに空母のスペースは限られるが、ステルス機整備には広い専用施設が必要となることが多い。

 

USN

 

また、空母艦上では機体の周囲を整備員等がたえず歩き回り、ジェット排気や海水噴霧を常に浴びる。さらに、作動油など油類があらゆるものに付着しがちだ。カール・ヴィンソン搭載のF-35Cは、こうした要因のいずれかが原因で劣化した可能性がある。

 

レーダー吸収材はF-35の生存性を高める一要素に過ぎず、複合材構造、特に前方から照射される火器管制レーダーを逸らすように調整されたエッジと放射状輪郭が慎重に配置されていることが別の要素だ。これらの特徴に加え、高度なセンサー、データ融合、ネットワーキング機能により飛躍的に向上した状況認識、電子戦、独自の戦術、最新の情報に基づき綿密に計画された任務プロファイルと組み合わせることで、同機は厳しい戦闘空域でも生き残ることができる。言い換えれば、RAMが多少劣化しても、脅威となるレーダーに完全に脆弱になるわけではない、ということだ。

 

米海軍はF-35Cのファクトシートで、同機は「従来の教訓と技術の突破口を組み合わせ、最も過酷な艦上条件でも、最小限のメンテナンスでステルス性を維持できる」と自慢している。

 

F-35Cの空母運用より前に、ロッキードは、600時間以上に相当する累積効果による「広範な損傷」の影響をモデルでシミュレートしたとする。また、レーダー断面積(RCS)の測定では、ステルス性が損なわれていないことが確認されたという。

 

2012年から海軍は艦上搭載のF-35向けの低視認性塗装とともに、専門設備なしで補修可能とするプロセスを開発していた。一方、米空軍のF-35A整備に関する説明では、高度かつ専門的な作業を労働集約的と強調することが多い。

 

空軍のF-35Aには、定期メンテナンスのためフライトラインで頻繁に取り外す・開けるパネルがあり、パネル固定用のファスナーも5,000以上に上る。「パネルの摩耗で、航空機のステルス性能を制限する可能性がある」と空軍は過去に述べており、同じことが空母上のF-35Cにも当てはまると思われる。

 

「F-35の表面に施されたレーダー吸収コーティングの保守整備は、細かい部分までマスキングし、薬品を適切に混ぜ、正確に塗布し、平滑化し、微小な欠陥も記録するなど、細部に非常にこだわり、時には退屈な仕事だ」と388整備飛行隊のフランシス・アネット上等兵曹は、空軍発表文で説明している。■

 

 

The F-35C's Radar-Absorbent Skin Is Looking Pretty Rough After Months At Sea

F-35Cs have become covered in rusty-looking deposits on their first operational carrier cruise.

BY THOMAS NEWDICK AND TYLER ROGOWAY JANUARY 29, 2022

https://www.thedrive.com/the-war-zone/44067/the-f-35cs-radar-absorbent-skin-is-looking-pretty-rough-after-months-at-sea




2022年1月29日土曜日

ウクライナ情勢 今週の気になるニュース(再出)

 

今週のウクライナ関連で気になるニュースをまとめました。



1月29日 ロシアが血液、医療品をウクライナ近辺に移動、戦闘開始に備える動きか

https://www.businessinsider.com/russia-moves-blood-to-ukraine-border-for-potential-invasion-report-2022-1


シアがウクライナ国境付近に血液医療補給品を移送したとロイターがが伝えている。専門家はウクライナ侵攻の準備ととらえ、軍事行動は数週間以内に始まると見ている。ロシアは10万名の部隊を国境付近に展開している。ホワイトハウス、ペンタゴンはこの報道に反応していない。



1月28日 トルーマン空母打撃群がNATO指揮下に入り、ロシアをけん制

NATO Command of USS Harry S. Truman Sends Signal to Russia, Says Secretary General Stoltenberg - USNI News

トルテンベルグNATO事務総長は加盟国が攻撃を受ければ、同盟が断固として防衛にあたるとハリー・S・トルーマンCSGがNATO指揮下に入ったことをロシアへの明白なメッセージだと公言した。また地上には40千名規模の即応部隊が待機しているとした。事務総長はスウェーデン、フィンランド両国よりの加盟申請があり次第「迅速に加入」可能と断言している。また、ウクライナ防衛のためカナダより装備品が送られており、ウクライナとcyber防衛に取り組んでいる現況にも触れた。ただ加盟国間でウクライナ情勢への対応で温度差があることは認めた。



1月26日 ロシア艦艇140隻がヨーロッパ、中東で大規模演習

140 Russian Navy Warships Drilling Across Europe, Middle East as Ukraine Tensions Simmer - USNI News


シア海軍がバルト海、黒海で演習を同時に展開し、北方艦隊がヨーロッパ方面に展開した。艦艇140隻に加え、航空機60が動員された。ウクライナ危機の中でヨーロッパ各国はこの動きに敏感に反応。アイルランドは以前の演習で実弾発射を同国沖合で展開されたこともあり、抗議の声を上げており、アイルランド漁船団は演習を妨害してやると意気軒高だ。一方、ロシア北方艦隊はバレンツ海に展開し、ノルウェー海軍が警戒を強めている。北方艦隊は別に北極海分遣隊も展開し、極地での作戦運用効果を試す。アラビア海には太平洋艦隊分遣隊が展開している。同分遣隊は地中海にその後移動する。



1月26日ペンタゴンのウクライナ向け軍事装備品支援2億ドルの中身https://www.defensenews.com/congress/2022/01/25/200m-in-javelins-other-anti-armor-systems-grenade-launchers-and-more-to-ukraine-dod/


れまで開示されていなかった米国によるウクライナ支援の中身が明らかになった。ジェベリン含む装甲車両攻撃装備、手りゅう弾発射装置、弾薬類に加え非殺傷兵器で、ウクライナ防衛の第一線に役立つ装備だ。在ウクライナ米大使館は合計79トンの装備品がキエフに到着しており、ジャベリン300基がここに含まれると明らかにした。今回の装備はクリスマス直前にバイデン大統領が承認したもので、米国のウクライナ支援は2014年以来の総額で27億ドルに上り、2021年だけでも6.5億ドルに上っている。



1月26日 ウクライナ予備部隊に配備されているのは第二次大戦前の機関銃

Needy Ukrainian Reserve Units Could Be Armed With Pre-World War II DP-27 Machine Guns


クライナ国土防衛部隊はこれまで十分に銃火器を配備されておらず、今回あわててDP-27軽機関銃の取り扱いを教習するビデオが出てきた。同機関銃は第二次大戦前の装備品だ。民間志願兵に同装備が配布されていることからウクライナが防衛体制強化に必死になっている状況がうかがえる。ただし、志願兵募集にも限界がある。DP-27はソ連時代1920年代の設計だが、ウクライナ教官は重要なのは銃の使い手の頭と腕だと自信を示しているが。




今週のウクライナ情勢で気になるニュース5点

今週のウクライナ関連で気になるニュースをまとめました。事態がどんどん展開しているので内容が古くなっている場合はご容赦ください。


1月29日 ロシアが血液、医療品をウクライナ近辺に移動、戦闘開始に備える動きか

https://www.businessinsider.com/russia-moves-blood-to-ukraine-border-for-potential-invasion-report-2022-1

シアがウクライナ国境付近に血液医療補給品を移送したとロイターがが伝えている。専門家はウクライナ侵攻の準備ととらえ、軍事行動は数週間以内に始まると見ている。ロシアは10万名の部隊を国境付近に展開している。ホワイトハウス、ペンタゴンはこの報道に反応していない。


1月28日 トルーマン空母打撃群がNATO指揮下に入り、ロシアをけん制

NATO Command of USS Harry S. Truman Sends Signal to Russia, Says Secretary General Stoltenberg - USNI News

トルテンベルグNATO事務総長は加盟国が攻撃を受ければ、同盟が断固として防衛にあたるとハリー・S・トルーマンCSGがNATO指揮下に入ったことをロシアへの明白なメッセージだと公言した。また地上には40千名規模の即応部隊が待機しているとした。事務総長はスウェーデン、フィンランド両国よりの加盟申請があり次第「迅速に加入」可能と断言している。また、ウクライナ防衛のためカナダより装備品が送られており、ウクライナとcyber防衛に取り組んでいる現況にも触れた。ただ加盟国間でウクライナ情勢への対応に温度差があることは認めた。


1月26日 ロシア艦艇140隻がヨーロッパ、中東で大規模演習

140 Russian Navy Warships Drilling Across Europe, Middle East as Ukraine Tensions Simmer - USNI News

シア海軍がバルト海、黒海で演習を同時に展開し、北方艦隊がヨーロッパ方面に展開した。艦艇140隻に加え、航空機60が動員された。ウクライナ危機の中でヨーロッパ各国はこの動きに敏感に反応。アイルランドは以前の演習で実弾発射を同国沖合で展開されたこともあり、抗議の声を上げており、アイルランド漁船団は演習を妨害してやると意気軒高だ。一方、ロシア北方艦隊はバレンツ海に展開し、ノルウェー海軍が警戒を強めている。北方艦隊は別に北極海分遣隊も展開し、極地での作戦運用効果を試す。アラビア海には太平洋艦隊分遣隊が展開している。同分遣隊は地中海にその後移動する。



1月26日ペンタゴンのウクライナ向け軍事装備品支援2億ドルの中身https://www.defensenews.com/congress/2022/01/25/200m-in-javelins-other-anti-armor-systems-grenade-launchers-and-more-to-ukraine-dod/

れまで開示されていなかった米国によるウクライナ支援の中身が明らかになった。ジェベリン含む装甲車両攻撃装備、手りゅう弾発射装置、弾薬類に加え非殺傷兵器で、ウクライナ防衛の第一線に役立つ装備だ。在ウクライナ米大使館は合計79トンの装備品がキエフに到着しており、ジャベリン300基がここに含まれると明らかにした。今回の装備はクリスマス直前にバイデン大統領が承認したもので、米国のウクライナ支援は2014年以来の総額で27億ドルに上り、2021年だけでも6.5億ドルに上っている。


1月26日 ウクライナ予備部隊に配備されているのは第二次大戦前の機関銃

Needy Ukrainian Reserve Units Could Be Armed With Pre-World War II DP-27 Machine Guns

クライナ国土防衛部隊はこれまで十分に銃火器を配備されておらず、今回あわててDP-27軽機関銃の取り扱いを教習するビデオが出てきた。同機関銃は第二次大戦前の装備品だ。民間志願兵に同装備が配布されていることからウクライナが防衛体制強化に必死になっている状況がうかがえる。ただし、志願兵募集にも限界がある。DP-27はソ連時代1920年代の設計だが、ウクライナ教官は重要なのは銃の使い手の頭と腕だと自信を示しているが。


米第六世代機はすでに完成している。驚くべき技術の新展開を大胆に予測する。

 


Air Force 6th-Gen Aircraft Now Airborne - Could be Massive War Technology Breakthrough


Raytheon



米国の新型第六世代機は長距離性能、高速飛行、自動誘導式兵器、新次元のステルス性能やAI連動センサーを搭載し、今後長く敵の追随を許さない機体になる。

 

 

空軍は第六世代機の飛行をすでに開始しており、大きな技術面の大きな突破口が開かれたようだ。

 

第六世代機は開発中で、保安上の理由か詳細情報は秘密のままだが、相当の新技術が盛り込まれた新型ステルス戦闘機が生まれているようだ。

 

開発陣は長年にわたり技術を模索し、第六世代戦闘機技術の試作や構想面に取り組んでおり、従来を上回るステルス機体構造、AIの導入、小型化に成功した長距離探知センサー、標的捕捉技術、さらにこれまでにない自律性能を有する無人機編隊の運用が実現する。

第六世代機が飛行を開始していることから事態を一変させるような基本性能も実現していると見ていい。

 

兵装開発、コンピュータ処理能力、推進系、燃料消費改善、ステルス機能で画期的な技術にペンタゴンや防衛産業界が引続き注視しているのは当然だろう。

 

6Gの機体

 

レイセオン・インテリジェンス&スペースRaytheon Intelligence & Space はじめ数社が軍と共同で第六世代機に求められる新次元性能の実現に取り組んでいる。

 

「当社は第四第五世代機向けにプロセッサーを供給しており、第六世代機に求められる内容を独自に理解できる点でユニークな存在です」(同社通信及び航空宇宙統制システムズ担当役員トメク・リスTomek Rys) リスはレイセオン主催の第六世代機ウェビナーでこう語っている。

 

Raytheon Next-Generation

 

レイセオン・インテリジェンス&スペースではデジタルエンジニアリングを応用し、次世代機で小規模な変化でコスト、工数、性能がどう変動するかを長期の視点で見ている。

Raytheon

 

多機能ハードウェア

 

そのレイセオンが取り組むコンセプトのひとつに「多機能ハードウェア」があり、従来は別個の複数機能をひとつのオペレーショナルシステムに統合することがある。これにより小型化、軽量化とともに消費電力も減らしながら、画期的な情報処理能力が実現する。

 

「多機能ハードウェアの時代に入りつつあると見ています。次世代戦術機では多機能技術とソフトウェアで変化していくミッションに対応していくはずです」とレイセオンの高度ミッションシステムズ担当役員のジェイソン・「テックス」・クラークJason “Tex” Clarkが述べている。

 

単一システムで多数の作戦機能が実行できればハードウェア設置面積が減るだけでなく、情報処理が大幅に加速化される。レイセオンでは機内コンピュータ処理能力を大幅に引き上げ、機体を同社の言い方で「空飛ぶデータセンター」に変えるとする。

 

「高性能かつ堅牢なプロセッサーで構成する機内コンピュータークラスターでデータセンターを空に設置することになるのです。各システムではリアルタイムでデータを情報に変換する人工知能を活用します。その結果、意思決定がより迅速になります」(リス)。

 

レイセオンが自社開発中のコンピュータ処理技術の新しい応用によるデータ統合、整理、分析は、新しいレーダー回避構造、コーティング材、高水準の熱信号低減など、現在開発中の次世代ステルス技術の基礎を幅広く形成するものだ。

 

6Gの AI 

 

技術革新のスピードを考えれば、一部はすでに実現しているかもしれない。新しい長距離、高速、飛行経路修正、あるいは自己誘導兵器と、新しいステルス属性やAI対応センサーを組み合わせれば、米国の第6世代機は今後数十年にわたり他の追随を許さない機体になってもおかしくない。海軍と空軍の開発者はこれまで長きにわたり「可能性の芸術」の境界を最大限に押し広げており、なんらかの大きな突破口を開いたのだろう。

 

近年、デジタル技術、兵器誘導技術、自律性、AIを活用した統合システム、ネットワーキングが進展していることを考えれば、あり得ない話ではない。

 

有望な新システムの成熟度を見て、新型機実現のる最適時期を見極める課題の難しさは、2016年の海軍大学校の論文 "The 6th-Generation Quandry" からわかるように、長年にわたって検討されてきた。

 

6Gの難局

 

同上論文では、第6世代の正式開発は真に画期的な進展が現れるまで延期し、その間に供用中でアップグレード可能な機材の発展型を追求する方が効果的になるのかとの命題を投げかけている。

 

この推定自体が数年前のものだが、空軍は新型機開発を進展させてよい答えを得たのだろうか?確かにそのように見える。

 

海軍大学校の2016年論文では、長期的に大きな可能性を示す「その時点での」最先端開発項目を挙げていた。

論文では、「空戦用に最適化された新型F-35」、今後登場するB-21、無人機を発進させるC-130「母船」、「兵器満載の重武装機」などが侵攻中の技術進歩を最適化する存在に挙げていた。

 

しかし、F-35近代化で長期計画が立てられていることを考えれば、こうした技術が消滅するとする推定は成り立たない。

 

ミッション・システム、エイビオニクス、AI を利用した標的捕捉と監視、そしてもちろん誘導兵器によって、近代化改修の重要要素多数が達成できることを考えると、ペンタゴンとロッキードの開発部門部門は、F-35が将来数十年にわたってソフトウェアのアップグレードやその他の技術的適応で、飛躍的レベルの性能を達成できると見ているのだろう。

 

F-35と第6世代戦闘機が、2080年代まで同時飛行する可能性があり、統合され接続されると多くが想像している。

 

6Gの AI が コンピュータ処理能力と合わさると

 

AIと高速コンピュータ処理の新しい応用は、目標捕捉、ドッグファイト、センサー統合に関して、航空戦闘の既存パラダイムの再構築につながる。

 

AIの応用で、技術進歩の枠組みが見えてくるとのコンセンサスが広く存在する。

 

Joint Air Power Competence Centerと呼ばれる16カ国のNATOのアナリスト組織が2017年論文で、AIがいつ、どのように人間の能力を追い越すかについて疑問を投げかけていた。

 

「ネットワーク環境における航空戦のコミュニケーション」の表題で同論文は、元米空軍の調達幹部ウィリアム・ローパーが、ペンタゴンで戦略戦力整備室長だったときの発言を引用して、「AIはヒトの能力を超えて進歩し、ヒトと相互作用する」と述べています。

 

「そのため、これから決定的に重要になるのは、膨大なデータから情報を作り出すことだ。そこで、データすべてを管理するために、人工知能や機械学習でサポートされた性能処理が必要になる」と、リスはコメントしている。

 

例えば、AIで強化されたアルゴリズムで、ミリ秒単位で膨大な戦闘情報を収集、分析、整理できる「スマートセンサー」が機体に組み込まれており、航空機のレーダー信号を増加させずに新しいセンシング技術を組み合わせている。

 

「第6世代機」に向け、ミッション・コンピュータと機内処理のインフラとアーキテクチャが重要になる。今日のミッション・コンピュータは、センサーからのデータにより戦場の状況を把握し、戦闘システムや兵器システムを制御して制空権を確保する。第6世代機のコンピュータ処理能力は、現在供用中の性能をはるかに超えるレベルに達するでしょう」とリスは述べた。

 

興味深いことに多機能ハードウェアとして新型高速スマートセンサーがステルス機体に搭載され、機体そのものに織り込まれる可能性がある。外部アンテナ、ポッドや機体形状に組み込めばレーダー探知性が高くなる。

 

「スマートセンサー、スマートアンテナアレイは状況に応じ対応可能年機体構造そのものに組み込む」とジェイン大学国際航空宇宙工学研究所が指摘している。

 

あわせて、センサー有効距離が大幅に伸び、データ共有と接続が長距離でも可能となれば、これまでにない利点が戦闘作戦で実現するが、同時に戦闘のネットワーク化がさらに必要となる課題にもなる。この現象は「組み込み式ISR」のクラスターを生むとJoint Air Power Competence Centerの上記論文はセキュリティ上のリスクとともに「極度の接続性」を警告していた。

 

センサー、兵装がともに有効距離を大きく伸ばし、AI関連機能を盛り込むことで、将来の戦闘は今より分散化し、直線的な部隊同士の対決は減ると見られる。この変化を後押しする新技術によりセンサーや情報ネットワークの重要性はさらに高まる。

 

こうした変化から「組み込みISR」と論文が提唱した構想が必要となる。ネットワークに依存した形の戦闘では標的捕捉で効果を上げ、探知から発射までの時間短縮、長距離攻撃が可能となる一方で、莫大な量の情報の海から重要な内容を取捨選択する機能がさらに重要となる。

 

 

「ネットワーク内全員がすべてを認知する必要はない。階層別構造になるが、バックアップを確保しておき、ネットワーク機能低下に備えるべきだ」(同上論文)

 

そこでAIが本領を発揮する。情報を整理し、そろえて、適切な形に整える機能により情報洪水を回避できるからだ。

 

膨大なISRデータを扱う課題には分散化、解析、整理統合が必要となる。ここでAIや高速処理がものをいう。高度アルゴリズムやリアルタイム解析を使い、コンピュータ処理で即座に重要情報を配信することで優先順位を示し、ヒトの決断を早める効果が大きくなる。

 

AIの助けを借りた戦場での決断にはリアルタイム解析の加速化もあり、決定者は本来なら入手不可能なデータの山から重要情報を把握できる。アルゴリズムで新規情報を統合すれば、収集したデータと比較検証が可能となり、ヒトの手を借りずに裏付けのある決定を下せる。決定的な価値は統合された解析内容が決定者に伝える速度だ。

 

「次世代多機能システムは従来と比べられないほどのデータ量を生成します。機体が搭載する多機能システムは、宇宙船や衛星、パイロットや無人ウィングマンなど、多用な発信源のデータと組み合わされ、非常に高密度のデータ環境を作り出す」とクラークは述べている。

 

「認知の負担」を軽減化するといわれるAIとヒト=マシン・インターフェイスにより、時間がかかりこれまで不可能といわれてきた情報解析が可能となり、ヒトの役割は指揮統制における意思決定に集中できる。

 

ヒトとマシン

 

このことから将来を予測する向きや兵装開発部門はヒトとマシンの属性を慎重にバランスよく組み合わせた最適化で双方の長所を活かしながら統合できると見ている。

 

「これまでドッグファイトが今後も必要なのかとの議論がありました。これはシステムが適切に攻勢されれば、ドッグファイトそのものが不要になるレベルに戦闘の様相が変わるとの翼があったためです。

 

「議論は今も続いており、今後もおわることはないでしょう。ただ、結局のところ元戦闘機乗りはドッグファイト機能をいざというときに備え温存したいと思っているでしょう」(クラーク)

 

ヒト=マシン混合体制があってこそ、第六世代機を「任意有人操縦」としたり、6世代機と運用する無人戦闘機にドッグファイトをさせる、あるいは危険な敵防空網への突入させる構想が生きてくる。

 

興味深いのは、AI応用の自律運用機の技術で実際にドッグファイトのシミュレーションしたところ、有人操縦に対し有利な結果が出ているとはいえ、航空戦でのヒトによる意思決定は正確に真似ることもマシンで完全に置き換えることもできないとの声が多いことだ。

 

米空軍では両者の統合をすでに試みており、実際に有人機とAI機能を搭載した無人機を同時に飛行させている。

 

この構想は「任意有人」機の開発者を勇気づけ、無人機を連携した形で、あるいは場合によっては有人機に代わり運用することにつながるとレイセオンは説明している。

 

「機体にはヒトが必要だが、敵の脅威が強い場合は例外だ。AIを投入しヒトからミッション内容を無人自律運用機に伝えればよい」(クラーク)

 

忠実なるウィングマン


ここから空軍の「忠実なるウィングマン」構想が急ピッチで進展しており今や実際に飛行を開始している背景がわかる。

 

F-35の多機能高性能データリンクMulti-Function Advanced Data Link (MADL)と同様に、第六世代機もなんらかの標的捕捉情報共有のため高度の通信能力を搭載している可能性もある。

 

この技術があれば、ビデオフィードの監視データは地上の指揮所を経由せずに、有人第6世代戦闘機のコックピットから即座に交換、整理、分析されるので、待ち時間が大幅に短縮される。この技術のカギはレーダーで、レイセオンは、データ処理の中核として探知から発射までの時間短縮という、重要課題の実現のため、同技術に注目している。

 

「将来の戦闘に投入される戦術機は率直に言って敵脅威を受けて、待ち時間を以下に短縮して作戦上のニーズに対応するかが求められる」(クラーク)

 

自動着陸技術

 

全く新しい形の高速、AI強化型コンピュータ処理能力により自律運用も強まるというのがレイセオン先端部門が描く第六世代機の作戦能力の中核だ。例としてF-35Bではパイロットの上空ホバリングと垂直降下をあらゆる海洋条件で難なく艦艇上空で実施可能とするソフトウェアが実用化ずみだ。

 

「自動降下技術のおかげで機体を着艦させる間、パイロットは手を触れなくてもいいのです。第六世代機について予言したいのは天候や地形に関係なく自動着陸を精密に行う能力ですね。

 

「自動着陸技術の進化とより精密な参照信号を組みわせることが現実になってきました」とレイセオン・インテリジェンス&スペースで国際営業を担当するマルセロ・カヴァルカンティMarcelo Cavalcantiがウェビナーで発言していた。

 

F-35Cでは「デルタフライトパス」の名称の高性能ソフトウェアを搭載しており、空母着艦のグライドパスに乗せ、飛行を安定させる機能があり、パイロットの負担を減らしている。

 

「空母運用の第六世代機に先立つ技術を実現している。この技術では各種GPSアルゴリズムを統合し、暗号化通信信号を用い、慣性航法センサーを使い、機体を空母の狭い一画に着陸させ、しかも何度でも同じ精度で繰り返し可能だ」とレイセオン・インテリジェンス&スペースで将来型航空機システム技術を担当するコン・ドハティが紹介している。■

 

Air Force 6th-Gen Aircraft Now Airborne - Could be Massive War Technology Breakthrough - Warrior Maven: Center for Military Modernization


New long-range, high-speed, self-guiding weapons, combined with new stealth attributes or AI enabled sensors could help a U.S. 6th-Gen platform achieve overmatch for decades

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

JAN 21, 2022


 

-- Kris Osborn is the President and Editor-in-Chief of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

KKris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven -the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.