2017年10月14日土曜日

☆SM-3でICBM迎撃は可能なのか、SM-6はどうか



ミサイル防衛にこれまで費やしてきた投資が真価を発揮する場面が本当にやってくるのか、興味津々というところですが、脅威は北朝鮮だけではないので、迎撃ミサイルも進化させていかねばなりません。日米の共同開発というのもこの国の皆さんはほとんど知らない話ではありませんか。米陸軍は今後ミサイル軍に変化していくのではないでしょうか

Aviation Week & Space Technology

Could SM-3 Interceptor Take On Intercontinental Ballistic Missiles?

SM-3迎撃ミサイルはICBMに有効に対応できるのか
As Pentagon adds dollars for missile defense, Raytheon pitches SM-3s as ICBM killers
ペンタゴンが追加予算をミサイル防衛に振り向ける中、レイセオンのICBMキラーとしてのSM-3売り込みに力が入る
Oct 10, 2017James Drew and Jen DiMascio | Aviation Week & Space Technology

  1. 北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射し、ドナルド・トランプ大統領は8月にミサイル防衛に「数十億ドル」を投入すると述べた。
  2. 年末までに弾道ミサイル防衛体制の点検を完成する予定のペンタゴンは短期間で強化策の検討を求められている。大統領の力の入れ方による結果の第一段が姿を現しはじめている。議会は367百万ドルを他事業からかき集めミサイル防衛に投入する予算執行を承認した。
  3. この予算で移動式ミサイルへの対抗策を求めていく。とくに発射前に対応が肝要だ。このため戦闘機からのミサイル発射、艦船発射兵器または特殊部隊による攻撃まで検討する。またアラスカ州グリーリーにミサイル防衛サイロ20基を新設し、海上配備Xバンドレーダー改修やSM-3ブロック2A迎撃ミサイルの追加発射も行う。.
  4. このうちレイセオンがSM-3ミサイルの最新のブロック2Aバージョンに力を入れている。同ミサイルは日米共同開発で中距離・長距離弾道ミサイルを宇宙空間で破壊するのが目的で長距離ミサイル対応にも投入可能だ。
  5. 直径を21インチに拡大した同ミサイルは速力、射程距離、高高度性能が十分にあり、ICBM対応を狙う。ブロック2Aでは直撃破壊する運動性弾頭部分が大型化されており、光学シーカーは再設計迎撃体(RKV)の中心だ。2022年以降にアラスカの地上配備迎撃ミサイル(GBI)の旧型ミサイルと交代する。
  6. RKVを開発するのはボーイング中心のコンソーシアムでロッキード・マーティンやレイセオンもここに加わる。レイセオンによればソフトウェア修正をRKVに加えればSM-3ブロック2Aは十分にICBMに対応できる。
  7. 「RKVではアルゴリズムでセンサー性能の向上をめざしており、ソフトウェア、ファームウェアの問題にすぎません」とロンデル・ウィルソン(レイセオンの航空ミサイル防衛装備の主任エンジニア)は語る。「SM-3ブロック2Aでこれを実現し、ICBMキラーになります」
  8. SM-3ブロック2Aは米国が来年ポーランドで稼働開始するイージスアショアの中心装備となるレイセオンは同様の陸上施設がハワイの他米国本土の東西両海岸にも設けられミサイル攻撃に対する防衛の冗長性を実現するとみている
  9. SM-3ブロック2Aはテスト中ですでに初期生産に入っているレイセオンに対する主要サプライヤーが三菱重工業で第二段第三段ブースターとノーズコーンを生産している
  10. 同ミサイルは二回の飛翔試験に成功しており、2月には初の弾道ミサイル迎撃に成功した。だが二回目の迎撃テストは6月で失敗したのはUSSジョン・ポール・ジョーンズの乗員が誤ったボタンを押しミサイルが自爆したためだ。「ミサイルが原因でなかったと判明しています」(ウィルソン)
  11. レイセオンは大気圏内脅威にSM-6の活用を米陸軍に提案している。同ミサイルは米国で最長の飛翔距離を有する防空装備となり、イージス誘導ミサイル駆逐艦でも運用できるようになる。
  12. ディーン・ゲア(レイセオン陸上配備スタンダードミサイル事業部長)によればSM-6は対航空機、巡航ミサイルさらに艦船も標的にできるという。大気圏再突入ミサイルの弾頭部分も標的にでき、おとりが燃え尽きるのを待ってじっくりと本体を狙えるという。
  13. 「SM-3とSM-6には大いなる性能があり、陸上運用すればよいのではないかと考えるが自然でしょう。すでにイージスアショアとして存在しますが陸軍の既存装備との統合を実現すれば多層にわたる防衛体制が実現します」(ゲア)
  14. レイセオンはSM-6用発射装置で各種提案が出ており、M1120 HEMTT装備はロッキード・マーティンの高高度防空(Thaad)ミサイル防衛と共有できる。米陸軍の火器管制装備にはノースロップ・グラマンの統合ミサイル防衛戦闘指揮統制システムを採用している。
  15. レイセオンとしてはペンタゴンに同社の長距離レーダー装備も採用してもらいたいところで、ThaadシステムにはXバンドTPY-2、海軍向けに開発中のSPY-6対空対ミサイル防衛レーダーはSバンドを用いる。■

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