スキップしてメイン コンテンツに移動

今後は英空軍。機材稼働率の低下は予算だけの問題なのだろうか

英国でも国防体制の維持は大変なようです。機材価格が上昇していますが国防予算が縮小されると整備や保守管理の費目が後回しにされるのでしょうか。大型装備の導入の話題が続く日本とて笑ってばかりいられません。軍事装備の維持管理は民生部門よりも負担が大きい分だけ予算部門や政治指導層に正しい理解をお願いしたいところですね。

RIP RAF?: One-Third of Britain’s Air Force Can’t Fly 

英空軍機材の三分の一が飛行できない状態に

January 14, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RAFNATOMilitaryTechnologyAir ForceGreat Britian
空軍(RAF)で機材三分の一が飛行できない状態にあるとの報道が出ている。
デイリー・ミラー紙は「情報公開法で空軍保有の434機中142機が飛行不能と判明」と伝えた。
一部機材はモスボール状態にされ、大修理中の機材もある。機種も多様で英空軍の主力ユーロファイター・タイフーンも例外ではない。
「RAFのタイフーン155機で55機が『第一線機材』から外れている」と同紙は伝えている。本来ならすぐ稼働すべき第一線機材に「短期間使用不能機」が含まれている。
タイフーン以外でも「20機あるA400Mアトラス輸送機で稼働可能は5機、しかも引き渡しは2014年開始したばかり」とも伝えている。
ジェット練習機は半数超が地上に残る。「81機のホークT1ジェットでは44機が保存あるいは整備中」という。
レーダー警戒監視機材の稼働率が大変だ。E-3Dセントリー早期警戒統制機では6機中3機しか稼働できず、英議会では整備不良で稼働可能なのは一機のみとの指摘もあった。センチネルR1監視機では5機中3機しか飛べず、キングエア350は四機のみだ。
英軍ヘリコプターでも同様でチヌークは60機中19機が飛行不能、ピューマは23機中で可動可能なのは7機しかない。
ミラー紙は「RAFで唯一全機飛行可能な部隊はBAe146隊で王室や政府上層部の輸送用飛行隊であり、もうひとつF-35BライトニングIIジェット戦闘機も含まれる」とある。
予想通り野党はテレーザ・メイ首相率いる保守党政権攻撃の材料として利用しており、欧州連合からの離脱交渉での難航もある。英軍には別の装備品問題もあり、45型駆逐艦はペルシア湾での機関故障のため現在も港内に係留されたままであり、政府会計検査部門からは原子力潜水艦、装甲車両、F-35といった購入希望の資金が不足との警告もでている。
「保守党による予算削減で国防体制で大きな悪影響が出ておりこのままでは各種脅威に対応できない」と影の内閣の国防相ナイア・グリフィスが述べている。「2017年は海軍の年でフリゲート、駆逐艦の多数が何ヶ月も軍港で動けなかった。今度はRAFで、機材がこれだけ飛べない状況に驚かされる。保守党政権は国防予算を8年間倹約した結果を素直に受け止めるべきだ」
英軍は航空機が整備を受けるのは通常だと回答している。「実戦機材には整備対象や改修作業の対象機体あるいは保存中機体も含まれる」とRAF広報官は述べている。「現代の軍用機は極めて複雑な構造のため注意して管理整備しないと運用に耐えず必要な事態が生じた際に十分な数を確保できない」
自由民主党広報のミン・キャンベル卿も航空機が整備で第一線を離れることに理解を示す。「しかし英空軍の戦力の源泉はパイロットと機材だけでなく、現実の脅威が発生したときに出動させNATO作戦に派遣できることも重要です。こうした必要は保守管理より優先するはずです」
航空機整備に悩むのは英国だけではない。米会計検査院はF-22やB-52含む多数の機種で稼働率が低迷している事実を突き止め、原因は整備と部品不足とした。今年はじめにドイツ空軍のタイフーンでほぼ全数が飛行できない状態とも判明している。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Creative Commons.

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ